JP3064605B2 - 合成樹脂製レンズ - Google Patents

合成樹脂製レンズ

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JP3064605B2
JP3064605B2 JP3333300A JP33330091A JP3064605B2 JP 3064605 B2 JP3064605 B2 JP 3064605B2 JP 3333300 A JP3333300 A JP 3333300A JP 33330091 A JP33330091 A JP 33330091A JP 3064605 B2 JP3064605 B2 JP 3064605B2
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film
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屈折率が1.60前後
またはそれ以上である合成樹脂製レンズ表面に、基材と
同程度の屈折率を有する耐摩耗性、耐薬品性、耐温水
性、耐熱性、耐候性等の耐久性に優れた透明被膜を有す
る合成樹脂製レンズに関する。さらには、その透明被膜
上に、無機物質からなる反射防止膜を設けた合成樹脂製
レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製レンズ、特にジエチレングリ
コールビス(アリルカーボネート)樹脂レンズは、ガラ
スレンズに比較し、安全性、易加工性、ファッション性
などにおいて優れており、さらに近年、反射防止技術、
ハードコート技術、ハードコート+反射防止技術の開発
により、急速に普及している。しかし、ジエチレングリ
コールビス(アリルカーボネート)樹脂の屈折率は1.
50とガラスレンズに比べ小さい為に、外周部がガラス
レンズに比べ厚くなるという欠点を有している。このた
め眼鏡レンズのプラスチック化は、高屈折率樹脂材料に
よる薄型プラスチックレンズへの要望を高めている。そ
のための技術提案として、特開昭59−133211号
公報、特開昭63−46213号公報、特開平2−27
0859号公報などの1.60前後さらにはそれ以上の
屈折率を有する高屈折率樹脂材料が提案されている。
【0003】一方、プラスチックメガネレンズは傷が付
き易いという欠点がある為、シリコン系のハードコート
被膜をプラスチックレンズ表面にコーティングする方法
が一般に行われている。しかし、屈折率が1.60前後
さらにはそれ以上の高屈折率樹脂レンズに同様の方法を
適用した場合には、樹脂レンズとコーティング膜の屈折
率差による干渉縞が発生するため、外観不良の原因とな
る。この問題を解決するための技術提案として、特公昭
61−54331号公報、特公昭63−37142号公
報のようにシリコン系コーティング組成物に使われてい
る二酸化ケイ素微粒子のコロイド状分散体を、高屈折率
を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sbの無機酸化物微
粒子のコロイド状分散体に置き換えるといったコーティ
ング技術が開示されている。また、特開平1−3015
17号公報では、二酸化チタンと二酸化セリウムの複合
系ゾルの製造方法が開示されており、特開平2ー264
902号公報ではTiとCeの複合無機酸化物微粒子、
特開平3ー68901号公報ではTi、CeおよびSi
の複合無機酸化物を有機ケイ素化合物で処理した微粒子
をコーティング組成物に用いる技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のコーテ
ィング技術の内、特公昭61−54331号公報、特公
昭63−37142号公報のコーティング用組成物は、
以下のような課題を有していた。例えば、Al、Zr、
Sn、Sbの無機酸化物微粒子のコロイド状分散体を
1.60前後さらにはそれ以上の高屈折率樹脂レンズの
コーティング用組成物として用いた場合、シリコン系の
コーティング用組成物に比べ塗布、硬化後の干渉縞の程
度を改善できる。しかし、Al、Sbの無機酸化物微粒
子を用いた場合はコーティング被膜としての屈折率に限
界があるため、干渉縞を完全に抑えることは不可能であ
る。これは、無機酸化物微粒子単体としては1.60以
上の高い屈折率を有するものの、一般にコーティング材
料として用いる際には、シリコン系カップリング剤、エ
ポキシ樹脂等を混合するため、被膜自体の屈折率が基材
レンズより低くなるためである。また、Zr、Snの無
機酸化物微粒子を用いる場合は、その分散性が不安定で
あるため透明な被膜を得ることができなかった。一方、
Tiの無機酸化物微粒子のコロイド状分散体をコーティ
ング用組成物として用いた場合は、TiO2自身が前記
無機酸化物に比べ高い屈折率を有するために、形成され
た被膜は、1.60前後さらにはそれ以上の高屈折率層
を提供し、同時に、被膜の屈折率の選択の幅も広くなる
という長所がある。しかし、TiO2は耐候性が極めて
劣るため、TiO2とシリコン系カップリング剤から形
成される被膜では被膜中のシリコン系カップリング剤の
有機成分の分解、さらには、樹脂基材表面での被膜の劣
化が起こり、その耐久性に課題があった。
【0005】また、特開平2−264902号公報の二
酸化チタン及び二酸化セリウムの複合微粒子を用いるコ
−ティング組成物では微粒子の分散安定性が悪く塗膜の
透明性に劣った。さらに特開平3−68901号公報の
コ−ティング組成物では、屈折率調整にコロイダルシリ
カを用いると複合微粒子と相溶性が悪く被膜の白濁が起
こり、固形分中のシランカップリング剤等の割合を高め
ることで基材と塗膜の屈折率を調整する必要があった。
この組成では樹脂成分が増加するため反射防止膜の密着
性が低下してしまうという課題を有していた。また実施
例中の液組成ではコーティング液の硬化スピードが遅い
ために含硫ウレタン系樹脂レンズのような染色剤が抜け
易い基材には不適当であった。
【0006】そこで本発明は、これらの課題を解決する
ものであり、その目的とするところは、屈折率が1,6
0前後あるいはそれ以上の高屈折率合成樹脂製レンズに
屈折率が基材レンズと同程度のハードコート膜を設ける
ことで干渉縞の発生を防止しかつ高い表面硬度、耐久性
を有する薄型眼鏡用合成樹脂製レンズを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の合成樹脂製レン
ズは、上記目的を達成する為に、下記のA成分、B成分
およびC成分を主成分とするコーティング組成物を屈折
率が1.60前後あるいはそれ以上の基材上に塗布、硬
化することによって得られるものである。
【0008】A.Ce、TiおよびSiの無機酸化物か
ら構成される複合微粒子を有機ケイ素化合物により処理
してなる、粒子径が1〜300mμの複合微粒子のコロ
イド状分散体 B.一般式が R12 aSi(OR33-a で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物。 C.一般式が Si(OR34 で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物。
(ここでR1は、炭素数1から6の炭化水素基、ビニル
基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基、また
はエポキシ基を有する有機基、R2は、炭素数1から4
の炭化水素基、R3は、炭素数1から8の炭化水素基、
アルコキシアルキル基、アシル基、aは、0または1を
表す。)以下、本発明の合成樹脂製レンズについて、詳
しく述べる。
【0009】本発明の請求項1に記載のコーティング組
成物に用いられるA成分とは、二酸化セリウム、二酸化
チタンおよび二酸化ケイ素の複合微粒子を有機ケイ素化
合物により処理してなる、粒子径が1〜300mμの複
合微粒子が水または有機溶媒にコロイド状に分散したも
のである。二酸化チタンは、結晶構造により、2.2〜
2.7とAl、Zr、Sn、Sbの無機酸化物に比べ高
い屈折率を有する無機酸化物である。しかし、二酸化チ
タン微粒子のコロイド状分散体とシリコン系カップリン
グ剤等を主成分とするコーティング液を塗布、硬化して
得られる被膜は、耐候性が劣り基材と被膜の密着性の低
下あるいは被膜中のビヒクル成分の分解による膜の劣化
が起こる。これは二酸化チタンが280−320nmの
紫外光を吸収し活性化するために起こるものと考えられ
る。このため二酸化チタンと二酸化セリウムを複合化さ
せることで二酸化セリウムが二酸化チタンより高波長域
から紫外光を吸収し、二酸化チタンの活性化を防ぐこと
ができる。この二種類の複合化において二酸化チタンの
耐候性を改良するための二酸化セリウムの混合割合はC
eO2/TiO2(重量比)が0.1以上である必要があ
る。また二酸化セリウムがあまり多くなると黄色味が強
くなるため1.0以下で使用するのが好ましい。
【0010】さらにこの二種の微粒子に二酸化ケイ素微
粒子を複合化させることで水或は有機溶剤中での分散安
定性を高めることができる。二酸化ケイ素微粒子の混合
割合としては、ゾルの全固形分に対して5重量%から3
0重量%の範囲内が好ましく5重量%以下では分散安定
性の効果が不十分であり30重量以上では逆に二酸化チ
タン及び二酸化セリウムの分散安定性が低下するためこ
の範囲内で複合微粒子のコロイド状分散体を作製する必
要がある。二酸化ケイ素との複合化により各種溶剤中で
の微粒子の安定性は改善されるもののコーティング液と
した時の微粒子の分散安定性を確保するためには、さら
に、この複合微粒子を有機ケイ素化合物で処理する必要
がある。この時用いられる有機ケイ素化合物としては、
3SiX(Rはアルキル基、フェニル基、ビニル基、
メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ
基を有する有機基,Xは加水分解性基)で表される単官
能性シラン、例えばトリメチルシラン、ジメチルフェニ
ルシラン、ジメチルビニルシラン等があげられる。ある
いはR2SiX2で表される二官能性シラン、例えばジメ
チルシラン、ジフェニルシラン等、RSiX3で表され
る三官能性シラン、例えばメチルシラン、フェニルシラ
ン等、さらにはSiX4で表される四官能性シラン、例
えばテトラアルコキシシラン等がある。処理に際しては
加水分解性基を未処理で行ってもあるいは加水分解して
行ってもよい。また処理後は、加水分解性基が微粒子の
−OH基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状
態でも安定性には何ら問題がない。これら有機ケイ素化
合物の添加量は複合微粒子の重量に対して1から15%
程度の範囲内で加える必要がある。この有機シラン処理
された複合微粒子は三種類の金属酸化物微粒子が凝集し
た状態および/または三種類の金属酸化物が化学的に結
合して一つの微粒子を形成して溶媒中に存在するもので
ある。複合微粒子の粒子径は約1〜300mμが好適で
あり、粒子径のあまり小さいものは作製が困難であり、
コストが高くて実用的でなく、また、あまり大きなもの
は、透明感が低下する為、上記範囲内のものが好まし
い。また、この複合微粒子の分散媒としては、水、炭化
水素、エステル類、ケトン類、アルコール類、セロソル
ブ類、アミン類、有機カルボン酸類などを使用すること
ができる。また、これらの分散媒は2種以上の混合物と
して用いることも可能である。
【0011】さらに、得られる被膜の屈折率、密着性、
染色性、耐熱性等を基材レンズの種類によって最適化す
る為にAl、Zr、Sn、Sb、Ta、La、In等の
無機酸化物微粒子を上記Ce−Ti−Si微粒子と複合
化もしくは混合し用いることもできる。尚、硬化被膜中
に占める上記無機酸化物微粒子の割合は、10重量%か
ら90重量%が適当でありこの範囲内に納まるようコー
ティング組成物を調整する必要がある。これは、10重
量%以下では硬さが不充分であり、また90重量%以上
では基材と被膜の密着性が低下し、さらに、硬化後の被
膜にクラックが発生するため上記範囲内での使用が好ま
しい。
【0012】本発明のB成分である一般式が R12 aSi(OR33−a で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物とし
ては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチ
ルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエ
トキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−(3.4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシラン等があげられる。これらは単独で用
いても、2種以上を混合して用いてもよい。また、これ
らはアルコール等の有機溶剤中、酸の存在下で加水分解
して使用する方が好ましく、単独で加水分解後に無機酸
化物微粒子のコロイド状分散体と混合しても、あるいは
無機酸化物のコロイド状分散体と混合後に加水分解をし
てもいずれでも良い。尚、硬化被膜中に占める上記B成
分の有機ケイ素化合物またはその加水分解物から誘導さ
れる被膜成分の割合は、10重量%から90重量%が適
当である。これは10重量%以下では、基材と被膜の密
着力が低下するため好ましくなく、また、90重量%以
上では、被膜の屈折率が低下し干渉縞が発生しやすくさ
らに無機物質から構成される反射防止膜の密着性が低下
するためこの範囲内でのコーティング組成物の調製が好
ましい。
【0013】次に本発明のC成分である一般式が Si(OR4 で表される有機ケイ素化合物あるいはその加水分解物は
形成される被膜の屈折率を被膜の透明性を維持したまま
調整し、さらにコーティング液塗布後の被膜の硬化スピ
ードを早めることを目的に用いられる。本発明のA成分
の複合微粒子のコロイド状分散体はその安定性のある微
粒子の構成比では屈折率が1.8−2.0を有するた
め、基材の屈折率に被膜の屈折率を合わせるようとする
と被膜中に占める複合金属酸化物の含有量を少なくする
必要がある。しかしこのような組成系では無機物質から
なる反射防止膜の密着性が得られない。トータルの無機
酸化物の割合を減らさずに屈折率を調製するためにコロ
イダルシリカをコーティング組成物に用いると前記複合
微粒子のコロイド状分散体の分散安定性が悪くなり粒子
の凝集が起こり硬化後の被膜が白濁するという問題があ
る。本発明のC成分を用いることで硬化後の被膜の屈折
率を基材レンズの屈折率に応じて適宜変更することが出
来かつ複合無機酸化物の含有量が低下しても反射防止膜
の密着性を得ることが可能となる。さらにこのC成分で
表される四官能シラン化合物をコーティング組成物とし
て用いることで塗布後の硬化スピードが早くなり、特に
染色剤が抜け易い含硫ウレタン系樹脂のような基材に被
膜を形成するときにその抜け量を抑え被膜形成前後の染
色レンズの色調変化を小さくすることができる。この四
官能シラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テ
トラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラ
イソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ
フェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラア
リロキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)
シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テ
トラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等を用いる
ことが出来る。尚、B成分およびC成分の有機ケイ素化
合物は触媒が存在しなくても硬化が可能であるが、さら
に硬化を促進するために各種の硬化触媒を用いることが
可能である。例えば、n−ブチルアミン、トリエチルア
ミン、グアニジン、ビグアニドなどのアミン類、グリシ
ンなどのアミノ酸類、アルミニウムアセチルアセトネー
ト、クロムアセチルアセトネート、チタニルアセチルア
セトネート、コバルトアセチルアセトネートなどの金属
アセチルアセトネート、酢酸ナトリウム、ナフテン酸亜
鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸
スズなどの有機酸金属塩、過塩素酸、過塩素酸アンモニ
ウム、過塩素酸マグネシウムなどの過塩素酸類あるいは
その塩、塩酸、リン酸、硝酸、パラトルエンスルホン酸
などの酸、またはSnCl2、AlCl3、FeCl3
TiCl4、ZnCl3、SbCl3などのルイス酸であ
る金属塩化物などが使用できる。
【0014】また、本発明のコーティング組成物には、
形成される被膜の染色性の向上、あるいは各種耐久性の
改良を目的に、多官能性エポキシ化合物、多価アルコー
ル、多価カルボン酸、または多価カルボン酸無水物より
選ばれる1種以上を使用することができる。多官能性エ
ポキシ化合物としては、(ポリ)エチレングリコール、
(ポリ)プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、カテコール、レゾルシノール、アルキレングリコー
ルなどの二官能性アルコールのジグリシジルエーテル、
またはグリセリン、トリメチロールプロパンなどの三官
能性アルコールのジまたはトリグリシジルエーテルなど
があげられる。多価アルコールとしては、(ポリ)エチ
レングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ネオ
ペンチルグリコール、カテコール、レゾルシノール、ア
ルキレングリコールなどの二官能性アルコール、または
グリセリン、トリメチロールプロパンなどの三官能性ア
ルコール、またはポリビニルアルコールなどがあげられ
る。多価カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、ア
ジピン酸、アゼライン酸、マレイン酸、オルソフタル
酸、テレフタル酸、フマル酸、イタコン酸、オキザロ酢
酸などがあげられる。多価カルボン酸無水物としては、
無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、1.
2−ジメチルマレイン酸無水物、無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロフタル酸無水物、無水ナフタル酸などがあげられ
る。
【0015】尚、本発明のコーティング組成物は、アル
コール類、ケトン類、セロソルブ類、カルボン酸類など
の溶媒を単独または混合して加えることによって、固形
分濃度を調整し用いる。また、必要に応じて、少量の界
面活性剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、分散染料・油溶
染料・顔料を添加しコーティング液の塗布性および硬化
後の被膜性能を改良することもできる。
【0016】さらに、本発明のコーティング組成物の塗
布にあたっては、基材レンズと被膜の密着性を向上させ
る目的で、基材表面をあらかじめアルカリ処理、酸処
理、界面活性剤処理、無機あるいは有機物の微粒子によ
る研磨処理、プライマー処理またはプラズマ処理を行う
ことが効果的である。
【0017】また、塗布・硬化方法としては、ディッピ
ング法、スピンナー法、スプレー法あるいはフロー法に
よりコーティング液を均一に塗布した後、40〜200
℃の温度で数時間加熱乾燥することにより、被膜を形成
することができる。特に熱変形温度が100℃未満の基
材に対しては治工具でレンズを固定する必要のないスピ
ンナー法が好適である。被膜の膜厚は1〜30μmが適
当で、1μm未満の場合は得られた被膜の耐擦傷性が充
分でなく、30μmを越える場合は、被膜にクラックを
生じ易い。
【0018】上記方法で形成される本発明の硬化被膜は
二酸化チタンと二酸化セリウムが紫外線吸収能を有する
ために、基材レンズを紫外線から保護する機能をもつ。
これによって、光による基材レンズの耐黄変性を改良で
きるばかりでなく、基材レンズの前処理としてプラズマ
処理を用いた時の耐候試験での基材と被膜の密着性の低
下を防ぐこともできる。
【0019】次に、本発明のコーティング組成物の塗布
基材となる合成樹脂製レンズ基材について述べる。高屈
折率の合成樹脂製レンズを得るための技術提案として
は、公知のように幾多の公開特許公報がある。本発明の
目的とする薄型眼鏡用レンズとして有用な素材は、屈折
率が1.60前後またはそれ以上のものが好ましく、更
に素材の透明性、染色性、耐熱性、吸水性、曲げ強度、
耐衝撃性、耐候性、加工性等の点から所望の特性を満足
できる基材レンズとしては、請求項2に記載の含硫ウレ
タン系樹脂レンズおよび請求項3に記載の(メタ)アク
リル系樹脂レンズが好適である。以下に、これら基材レ
ンズの作製方法について説明する。
【0020】請求項2に記載の含硫ウレタン系樹脂レン
ズは、ポリイソシアネート化合物と一般式が
【0021】
【化5】
【0022】で表される4−メルカプトメチル−3、6
−ジチオ−1、8−オクタンジチオールまたは一般式が
【0023】
【化6】
【0024】で表されるペンタエリスリトール テトラ
(3−メルカプトプロピオネート)のチオール化合物の
混合液をガラス型とガスケットからなるモールド中に注
入し、加熱重合することにより得られる。ポリイソシア
ネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジ
フェニルメタンジイソシアネート、ポリメリック型ジフ
ェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネ
ート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネー
ト、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメ
チルキシリレンジイソシアネート、2.5−ビス(イソ
シアネートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、
2.6−ビス(イソシアネートメチル)ビシクロ[2.
2.1]ヘプタン、3.8−ビス(イソシアネートメチ
ル)トリシクロ[5.2.1、02、6]−デカン、3.
9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ[5.
2.1.02、6]−デカン、4.8−ビス(イソシアネ
ートメチル)トリシクロ[5.2.1.02、6]−デカ
ン、4.9−ビス(イソシアネートメチル)トリシクロ
[5.2.1.02、6]−デカン、ダイマー酸ジイソシ
アネート等のポリイソシアネート化合物およびそれらの
化合物のアロファネート変性体、ビュレット変性体、イ
ソシアヌレート変性体があげられ、単独あるいは、必要
に応じて2種類以上の混合物として用いてもよい。ま
た、ポリイソシアネート化合物とチオール化合物の使用
割合は、NCO/SH(官能基)モル比が通常0.5〜
3.0、好ましくは0.5〜1.5の範囲内である。ま
た、内部離型剤、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、分散染料・油溶染料・顔料などの
着色剤、反応触媒等を原料中に適宜添加することもでき
る。こうして得られる含硫ウレタン系樹脂は、屈折率が
高い割にアッベ数が高いという特徴を有する眼鏡用レン
ズとして好適な素材である。 請求項3に記載の(メ
タ)アクリル系樹脂レンズは、一般式が
【0025】
【化7】
【0026】で表される(メタ)アクリル系モノマーと
一般式が
【0027】
【化8】
【0028】で表されるスチレン誘導体モノマーの共重
合によって得られる。この(メタ)アクリル系モノマー
としては、2、2−ビス(3、5−ジブロム−4−(メ
タ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパンが
好適である。また、スチレン誘導体モノマーとしてはス
チレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等を用いるこ
とができる。共重合にあたつては、上記(メタ)アクリ
ル系モノマーが20〜80重量%、スチレン誘導体モノ
マーが80〜20重量%からなるコモノマーをガラス型
とガスケットからなるモールド中に注入し、ラジカル共
重合することにより得られる。この時、有機過酸化物等
のラジカル重合開始剤、架橋剤、光安定剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、染料・顔料などの着色剤等を適宜添加
することができる。こうして得られる(メタ)アクリル
系樹脂は、屈折率が高く、高強度であるという特徴を有
する眼鏡用レンズ素材である。
【0029】上記方法で得られる合成樹脂レンズ基材に
本発明のコーティング組成物を塗布・硬化して硬化被膜
を設けた後、請求項4に記載の無機物からなる単層・多
層の反射防止膜を設けることにより、反射の低減、透過
率の向上を図ることができ、眼鏡レンズとしての機能を
より向上させることができる。無機物質として、Si
O、SiO2、Si34、TiO2、ZrO2、Al
23、MgF2、Ta25等を用いて、真空蒸着法等の
薄膜形成法により、反射防止膜を形成することができ
る。
【0030】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0031】(実施例1) (1)コーティング組成物の調製 攪拌装置を備えたフラスコ中に、エチルセロソルブ4
1.15g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン38.44g、テトラメトキシシラン4.13gを
攪拌しつつ順に加え、その後0.05規定塩酸水12.
90gを加え30分間攪拌した。続いてシリコン系界面
活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名“L−760
4”)を0.04gさらにメチルセロソルブ分散二酸化
チタン一二酸化セリウム−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル
(TiO2/CeO2/SiO2=68/17/15(重
量比)、固形分濃度20.5重量%、テトラメトキシシ
ラン処理品)103.39g、ブルーイング剤としてデ
ィスパーズバイオレット1を0.016g添加し充分攪
拌した後、0℃で24時間放置し熟成を行いコーティン
グ組成物を得た。
【0032】(2)プラスチックレンズ基材の作製 4−メルカプトメチル−3、6−ジチオ−1、8−オク
タンジチオール87g、m−キシリレンジイソシアネー
ト94g、ジブチルスズジラウレート0.02g、内部
離型剤0.15g、2−(5−メチル−2−ヒドロキシ
フェニル)ベンゾトリアゾール0.09gを混合し、充
分に攪拌した後、5mmHgの真空下で60分脱気を行
った。その後、ガラス型とガスケットよりなるモールド
型中に注入し、40℃で7時間保持し、その後40℃か
ら120℃まで10時間かけて昇温する加熱炉中で重合
を行い、冷却後、ガラス型とガスケットを除去し、含硫
ウレタン系樹脂製レンズを得た。得られたレンズは屈折
率1.66、アッベ数33であった。
【0033】(3)硬化被膜の形成 上記方法で作製した含硫ウレタン系樹脂レンズを5重量
%濃度の水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸漬し、洗
浄・乾燥した後、(1)で調整したコーティング液を用
い、スピンコート法による塗布を行った。スピンコート
の条件は、低回転中にハードコート液を塗布した後、回
転数:2500rpm、回転時間:1秒で振り切りを行
った。塗布後、120℃で30分仮焼成し冷却後、残り
の面に同様の条件で塗布し、120℃で3時間加熱・硬
化を行い、硬化被膜を設けた。得られた被膜の膜厚は
2.3μmであった。尚、市販のプラスチックレンズ用
染色剤(セイコープラックス用アンバーD)を用いて9
0℃の染色浴で3分間生地染色を行ったものについて同
様の被膜を設けた。被膜形成前後の透過率を分光光度計
(大塚電子(株)製,MCPD−1000)を用いて測
定し色差を求めたところ△Eabは1.1であり見た目で
も大きな色調変化は感じられなかった。
【0034】(4)反射防止膜の形成 上記の方法で、形成した硬化膜を有するレンズを真空中
200Wの出力のアルゴンガスプラズマ中に30秒間暴
露させた後、真空蒸着法により、レンズ側から大気側へ
向かってSiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2、SiO
2、の5層の薄膜を形成した。形成された反射防止膜の
光学的膜厚は、順にSiO2が、約λ/4、次のZrO2
とSiO2の合計膜厚が、約λ/4、次のZrO2が、約
λ/4、そして最上層のSiO2が約λ/4である。な
お、設計波長λは510nmである。以上により得られ
た合成樹脂製レンズについて次の性能評価試験を行い、
結果を表1に示した。 外観:干渉縞の発生の有無について、背景を黒くし
た状態で蛍光灯の光をレンズ表面で反射させ、光の干渉
による虹模様の発生を肉視で観察した。判定は次のよう
にして行った。 ○:虹模様が認められない。 △:かすかに虹模様が認められる。 ×:はっきりと虹模様が認められる。 耐擦傷性:#0000スチールウールにより荷重1
kg/cm2で10往復させた後の被膜の状態をみた。 A:ほとんど傷がつかない。 B:少し傷がつく。 C:多く傷がつく。 密着性:70℃の温水中に2時間浸漬した後、レンズ
表面にナイフで縦横にそれぞれ1mm間隔で11本の平
行線状の傷を付け100個のマス目を作りセロファンテ
ープを接着・剥離後に被膜が剥がれずに残ったマス目の
数をみた。 耐候性:キセノンロングライフフェードメーター(ス
ガ試験機(株)製)を用い、150時間暴露した後、以
下の評価を行った。 i)外観:レンズの着色を肉眼で観察した。 ii)密着性:試験後のレンズについて、前記と同様
のクロスカット・テープ試験を暴露面について行った。
【0035】(実施例2) (1)コーティング組成物の調製 攪拌装置を備えたフラスコ中に、エチルセロソルブ3
7.87g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン34.01g、テトラエトキシシラン21.90g
を攪拌しつつ順に加え、その後、0.05規定塩酸水2
1.79gを加え30分間攪拌した。続いて、前記実施
例1で用いたと同じシリコン系界面活性剤0.04gお
よびメチルセロソルブ分散二酸化チタン一二酸化セリウ
ム−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(TiO2/CeO2
SiO2=68/16/16(重量比)、固形分濃度2
0.5重量%、メトキシトリメチルシラン処理品)8
4.44g、実施例1で用いたと同じブルーイング剤
0.016gを添加し充分攪拌した後、0℃で24時間
放置し熟成を行いコーティング組成物を得た。
【0036】(2)プラスチックレンズ基材の作製 ペンタエリスリトール テトラ(3−メルカプトプロピ
オネート)130g、m−キシリレンジイソシアネート
100g、ジブチルスズジクロライド0.018g、内
部離型剤0.18g、2−(2’−ヒドロキシ−5’−
t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.115
gを混合し、充分に攪拌した後、5mmHgの真空下で
60分脱気を行った。その後、ガラス型とガスケットよ
りなるモールド型中に注入し実施例1と同様の昇温パタ
ーンにより重合を行い、冷却後ガラス型とガスケットを
除去し、含硫ウレタン系樹脂レンズを得た。得られたレ
ンズは屈折率が1.59、アッベ数が36であった。
【0037】(3)硬化被膜の形成 上記方法で作製した含硫ウレタン系樹脂レンズを5重量
%濃度の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬し、洗浄
・乾燥した後、(1)で調製したコーティング液を用
い、実施例1と同様の塗布・硬化法により硬化被膜を設
けた。得られた被膜の膜厚は2.5μmであった。尚、
実施例1と同様の生地染色を行ったものについて被膜を
設ける前後の色差を求めたところ△Eabは0.8であり
見た目でも大きな色調変化は感じられなかった。
【0038】(4)反射防止膜の形成 上記の方法で形成した硬化膜を有するレンズに実施例1
と同様の方法で反射防止膜を設けた。以上により得られ
た合成樹脂製レンズについて、実施例1と同様の性能評
価試験を行い、結果を表1に示した。
【0039】(実施例3) (1)コーティング組成物の調整 攪拌装置を備えたフラスコ中に、メチルセロソルブ6
8.18g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン13.12g、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン27.58g、テトラメトキシシラン1
6.91gを攪拌しつつ順に加え、その後、0.05規
定塩酸水18.02gを加え30分間攪拌した。続いて
メタノール分散二酸化チタン一二酸化セリウム−二酸化
ケイ素複合微粒子ゾル(TiO2/CeO2/SiO2
=64/16/20(重量比)、固形分濃度30重量
%、ジメトキシジフェニルシラン処理品)50.05g
およびグリセリンジグリシジルエーテル(長瀬産業
(株)製、商品名“デナコールEX−313”)5.6
7g、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、
商品名“L−7001”)0.04g、硬化触媒として
過塩素酸マグネシウム0.4713g、実施例1で用い
たと同じブルーイング剤0.016gをこの順で添加・
溶解させた後、0℃で24時間放置し、熟成を行い、コ
ーティング組成物を得た。
【0040】(2)プラスチックレンズ基材の作製 スチレン50g、2.2−ビス(3.5−ジブロム−4
−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン4
8.5g、ジエチレングリコールビスアリルカーボネー
ト2.8g、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート
1.5g、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール0.2gを混合し、充分に攪拌
した後、ガラス型とガスケットよりなるモールド型中に
注入した。その後、30℃で4時間、30℃から50℃
まで10時間、50℃から70℃まで2時間、70℃で
1時間、80℃で2時間加熱を行った後、冷却し、ガラ
ス型とガスケットを除去し、メタクリル系樹脂レンズを
得た。得られたレンズは、屈折率が1.59、アッベ数
が32であった。
【0041】(3)硬化被膜の形成 上記方法で作製したメタクリル系樹脂レンズを表面処理
用プラズマ装置(真空器械工業(株)製)を用い、エア
ー流量100ml/分、出力50W、真空度0.2To
orで30秒間処理を行った。その後(1)で調整した
コーティング液を用い引き上げ速度15cm/sの条件
でデッピング法により塗布を行った。塗布後、120℃
で3時間硬化し硬化被膜を設けた。尚、得られた被膜の
膜厚は2.2μmであった。尚、このレンズを実施例1
と同様の染色剤を用いて染色を行ったところ全光線透過
率が53%であり、良好な染色性を示した。
【0042】(4)反射防止膜の形成 上記の方法で形成した硬化膜を有する染色レンズに実施
例1と同様の方法で反射防止膜を設けた。以上により得
られた合成樹脂製レンズについて、実施例1と同様の性
能評価試験を行い、結果を表1に示した。
【0043】〔比較例1〕攪拌装置を備えたフラスコ中
に、エチルセロソルブ54.63g、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン38.09gを攪拌しつつ
順に加え、その後0.05規定塩酸水10.46gを加
え30分間攪拌した。続いて実施例1で用いたと同じシ
リコン系界面活性剤を0.04gさらに五酸化アンチモ
ンのメタノールゾル(日産化学工業(株)製、固形分濃
度30重量%)96.83gを添加し充分攪拌した後、
0℃で24時間放置し熟成を行いコーティング組成物を
得た。
【0044】このコーティング組成物を実施例1で作製
した屈折率が1.66の含硫ウレタン系樹脂レンズに実
施例1と同様の塗布・硬化法で硬化被膜を設けた。得ら
れた被膜の膜厚は、2.2μmであった。さらに前記実
施例と同様の方法で反射防止膜を設けた。以上により得
られた合成樹脂製レンズについて、実施例1と同様の性
能評価試験を行い、結果を第1表に示した。尚、実施例
1と同様の生地染色を行ったものについて被膜を設ける
前後の色差を求めたところ△Eabは2.0であり見た目
で色調変化が感じられた。
【0045】〔比較例2〕攪拌装置を備えたフラスコ中
に、エチルセロソルブ69.21g、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン51.98gを攪拌しつつ
順に加え、その後、0.05規定塩酸水14.27gを
加え30分間攪拌した。続いて、前記実施例1で用いた
と同じシリコン系界面活性剤0.04gおよびメチルセ
ロソルブ分散二酸化チタン一二酸化セリウム−二酸化ケ
イ素複合微粒子ゾル64.54g、実施例1で用いたと
同じブルーイング剤0.016gを添加し充分攪拌した
後、0℃で24時間放置し熟成を行いコーティング組成
物を得た。このコーティング組成物を実施例2で作製し
た屈折率が1.59の含硫ウレタン系樹脂レンズに実施
例1と同様の塗布・硬化法で硬化被膜を設けた。得られ
た被膜の膜厚は2.3μmであった。さらに前記実施例
1と同様の方法で反射防止膜を設けた。以上により得ら
れた合成樹脂製レンズについて、実施例1と同様の性能
評価試験を行い、結果を表1に示した。尚、実施例1と
同様の生地染色を行ったものについて被膜を設ける前後
の色差を求めたところ△Eabは2.1であり見た目で色
調変化が感じられた。
【0046】〔比較例3〕攪拌装置を備えたフラスコ中
に、エチルセロソルブ43.40g、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン34.01gを攪拌しつつ
順に加え、その後、0.05規定塩酸水9.34gを加
え30分間攪拌した。続いて、前記実施例1で用いたと
同じシリコン系界面活性剤0.04gおよびメチルセロ
ソルブ分散二酸化チタン一二酸化セリウム−二酸化ケイ
素複合微粒子ゾル84.44g、イソプロピルアルコー
ル分散コロイダルシリカ(触媒化成工業(株)製、商品
名“OSCAL−1432”)、実施例1で用いたと同
じブルーイング剤0.016gを添加し充分攪拌した
後、0℃で24時間放置し熟成を行いコーティング組成
物を得た。このコーティング組成物を実施例2で作製し
た屈折率が1.59の含硫ウレタン系樹脂レンズに実施
例1と同様の塗布・硬化法で被膜を設けたところ被膜が
白濁しレンズとならなかった。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の合成樹脂製
レンズは、二酸化チタン−二酸化セリウム−二酸化ケイ
素の無機酸化物から構成される複合微粒子を有機ケイ素
化合物により処理してなる複合微粒子のコロイド状分散
体を用いたコーティング液を屈折率が1.60前後また
はそれ以上である含硫ウレタン系樹脂あるいは(メタ)
アクリル系樹脂レンズに設けることによって、干渉縞の
発生を抑えかつ耐久性の優れた薄型眼鏡レンズを提供す
るものである。更に、本発明のコーティング組成物は四
官能のシラン化合物を用いることによって耐久性を低下
させずに被膜の屈折率を自由に調整することができ、ま
たハードコート液の硬化スピードが早いため含硫ウレタ
ン系樹脂レンズのような生地染色後に染色剤が抜け易い
基材に対して被膜形成後の色調変化を極力抑えることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−68901(JP,A) 特開 平2−264902(JP,A) 特開 昭57−168922(JP,A) 特開 昭60−221702(JP,A) 特開 平1−301517(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 1/10 - 1/12 C09D 1/00 - 10/00 C09D 101/00 - 201/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記A成分、B成分、およびC成分を主成
    分として含有するコーティング組成物を塗布、硬化させ
    て得られた硬化被膜を有することを特徴とする合成樹脂
    製レンズ。 A.Ce、TiおよびSiの無機酸化物から構成される
    複合微粒子を有機ケイ素化合物により処理してなる、粒
    子径が1〜300mμの複合微粒子のコロイド状分散
    体。 B.一般式が R12 aSi(OR33-a で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物。 C.一般式が Si(OR34 で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物。
    (ここでR1は、炭素数1から6の炭化水素基、ビニル
    基、メタクリロキシ基、メルカプト基、アミノ基、また
    はエポキシ基を有する有機基、R2は、炭素数1から4
    の炭化水素基、R3は、炭素数1から8の炭化水素基、
    アルコキシアルキル基、アシル基、aは、0または1を
    表す。)
  2. 【請求項2】レンズ基材が下記一般式1または2で表さ
    れるメルカプト化合物の1種以上と、ポリイソシアネー
    トの1種以上を反応させて得られる含硫ウレタン系樹脂
    であることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製レ
    ンズ。 【化1】 【化2】
  3. 【請求項3】レンズ基材が下記一般式3および4を主成
    分とするコモノマーをラジカル重合して得られた共重合
    体であることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製
    レンズ。 【化3】 【化4】 (式中R4は水素またはメチル基、X1、X2は水素また
    はフッ素を除くハロゲン、m+nは0から8の整数を表
    す。)
  4. 【請求項4】請求項1に記載の硬化被膜上に、無機物質
    からなる反射防止膜を積層したことを特徴とする合成樹
    脂製レンズ。
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