JPH08311401A - コーティング用組成物およびその製造方法および積層体 - Google Patents

コーティング用組成物およびその製造方法および積層体

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JPH08311401A
JPH08311401A JP8038451A JP3845196A JPH08311401A JP H08311401 A JPH08311401 A JP H08311401A JP 8038451 A JP8038451 A JP 8038451A JP 3845196 A JP3845196 A JP 3845196A JP H08311401 A JPH08311401 A JP H08311401A
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coating
fine particles
group
coating composition
lens
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JP8038451A
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Katsuyoshi Takeshita
克義 竹下
Kazunori Miyashita
和典 宮下
Atsushi Kinoshita
淳 木下
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Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コート被膜自体およびコート被膜表面に無機物
質からなる反射防止膜を設けたときの充分な耐候性を満
足するコーティング用組成物の提供。 【解決手段】金属酸化物、シラン化合物およびフェニル
系酸化防止剤を主成分とするコーティング用組成物およ
びそのpHを限定したコーティング用組成物の製造方法
およびそのコート被膜表面上に無機物質からなる反射防
止膜を設けた積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明プラスチック
材料の表面に、耐摩耗性、耐薬品性、耐温水性、耐熱
性、耐候性等の耐久性および染色性に優れた透明被膜を
提供しさらには、その被膜上に、無機物質からなる反射
防止膜(以後無機蒸着膜と呼ぶ)を設けることを可能と
したことを特徴としたコーティング用組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂製レンズ、特にジエチレングリ
コールビスアリルカーボネート(CR−39)樹脂レン
ズは、ガラスレンズに比較し、安全性、易加工性、ファ
ッション性などにおいて優れており、さらに近年、反射
防止技術、ハードコート技術、ハードコート+反射防止
技術の開発により、急速に普及してきた。しかし、CR
−39樹脂の屈折率は1.50とガラスレンズに比べ低
いために、近視用レンズでは外周部がガラスレンズに比
べ厚くなるという欠点を有している。このため合成樹脂
製眼鏡レンズの分野では、高屈折率樹脂材料によって薄
型化を図る技術開発が積極的に行われている。そのため
の技術提案として、特開昭59−133211号公報、
特開昭63−46213号公報、特開平2−27085
9号公報などでは1.60さらにはそれ以上の屈折率を
有する高屈折率樹脂材料が提案されている。
【0003】一方ハードコート技術としては、特公昭5
7−2735号広報には、コロイダルシリカとエポキシ
基含有アルコキシシランからなる非染タイプの熱硬化塗
料が、また、特公昭56−34033、同55−291
02号広報等には、エポキシ基含有アルコキシシランと
テトラアルコキシシランを主成分とする非染タイプの熱
硬化塗料が、また、特公昭63−61981広報等に
は、コロイダルシリカとシラノールの部分縮合物および
橋かけ剤を主成分とする可染タイプの熱硬化塗料が、ま
た、特開昭59−231501号広報等には、コロイダ
ルシリカとエポキシ基含有アルコキシシランと多官能性
エポキシ化合物からなる可染タイプの熱硬化塗料が、ま
た、特公昭57−43578、同57−15608、同
57−20968号広報等には、光重合塗料がそれぞれ
開示されており、それぞれ、耐薬品性、耐擦傷性の向上
がはかられている。一方、特開平3−145602号広
報等には、これらの熱硬化と光硬化の併用で、プラスチ
ック基材への密着が優れるとする可染タイプの硬化塗料
が提案されている。
【0004】また、屈折率が1.52以上の高屈折率樹
脂レンズに同様の方法を適用した場合には、樹脂レンズ
とコーティング膜の屈折率差による干渉縞が発生し、外
観不良の原因となる。この問題を解決するための技術提
案として、特公昭61−54331号公報、特公昭63
−37142号公報のようにシリコン系コーティング組
成物に使われている二酸化ケイ素微粒子のコロイド状分
散体を高屈折率を有するAl、Ti、Zr、Sn、Sb
の無機酸化物微粒子のコロイド状分散体に置き換えると
いったコーティング技術が開示されている。また、特開
平1−301517号公報では、二酸化チタンと二酸化
セリウムの複合系ゾルの製造方法が開示されており、特
開平2ー264902号公報ではTiとCeの複合無機
酸化物微粒子、特開平3ー68901号公報ではTi、
CeおよびSiの複合無機酸化物を有機ケイ素化合物で
処理した微粒子をコーティング組成物に用いる技術が開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述のコーテ
ィング用組成物は、コート被膜自体の充分な各種耐久性
を充分に満足させるものは得られていない。特に屈折率
が1.50のコート被膜と比較して高屈折率コート被膜
は、耐候性のレベルがかなり低い。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決するため鋭意検討を行ったところ、金属酸
化物微粒子、重合可能な反応基を有するシラン化合物、
フェノール系酸化防止剤を主成分とする組成物を熱硬化
で得られるコーティング被膜において、透明性、硬化性
に優れ、且つコート被膜自体の充分な各種耐久性と、無
機蒸着膜をその被膜表面に設けたときの各種耐久性の双
方を充分に満足させることを見い出した。
【0007】特に、金属酸化物微粒子にTiの金属酸化
物からなる微粒子および/または少なくともTiの金属
酸化物が含まれる複合微粒子を用いた時にその効果を発
揮する。
【0008】すなわち本発明は、少なくとも下記の成分
(A),(B)および(C)を主成分とすることを特徴
とするコーティング用組成物およびそのコーティング用
組成物からなる被膜表面に無機物質からなる反射防止膜
を設けたことを特徴とする積層体に関するものである。
【0009】(A).粒径1〜100ミリミクロンのS
i,Sn,Sb,Ce,Zr,Tiから選ばれる1種以
上の金属酸化物からなる微粒子および/またはSi,A
l,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,
Zr,In,Tiから選ばれる2種以上の金属酸化物か
ら構成される複合微粒子。
【0010】(B)一般式
【0011】
【化1】
【0012】で表される有機ケイ素化合物 (式中、R1
は重合可能な反応基を有する有機基、R2 は炭素数1
〜6の炭化水素基である。X1 は加水分解性基であり、
nは0または1である)。
【0013】(C)フェノール系酸化防止剤 本発明で使用する(A)成分の粒径1〜100ミリミク
ロンのSi,Sn,Sb,Ce,Zr,Tiから選ばれ
る1種以上の金属酸化物からなる微粒子および/または
Si,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Z
n,W,Zr,In,Tiから選ばれる2種以上の金属
酸化物から構成される複合微粒子の具体的例としては、
SiO2 ,SnO2 ,Sb25 ,CeO2 ,ZrO
2 ,TiO2の無機酸化物微粒子が、分散媒たとえば
水、アルコール系もしくはその他の有機溶媒にコロイド
状に分散させたものである。または、Si,Al,S
n,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,
In,Tiの無機酸化物の2種以上によって構成される
複合微粒子が水、アルコール系もしくはその他の有機溶
媒にコロイド状に分散したものである。さらにコーティ
ング液中での分散安定性を高めるためにこれらの微粒子
表面を有機ケイ素化合物またはアミン系化合物で処理し
たものを使用することも可能である。この際用いられる
有機ケイ素化合物としては、単官能性シラン、あるいは
二官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等が
ある。処理に際しては加水分解性基を未処理で行っても
あるいは加水分解して行ってもよい。また処理後は、加
水分解性基が微粒子の−OH基と反応した状態が好まし
いが、一部残存した状態でも安定性には何ら問題がな
い。またアミン系化合物としてはアンモニウムまたはエ
チルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、
n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミ
ン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミ
ン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の
アルカノールアミンがある。これら有機ケイ素化合物と
アミン化合物の添加量は微粒子の重量に対して1から1
5%程度の範囲内で加える必要がある。いずれも粒子径
は約1〜300mμが好適であり、本発明のコーティン
グ組成物への適用種及び使用量は目的とする被膜性能に
より決定されるものであるが、使用量は固形分の10〜
50重量%であることが望ましい。すなわち、10重量
%未満では、無機蒸着膜との密着性が不充分となるか、
もしくは、塗膜の耐擦傷性が不充分となる。また50重
量%を越えると、塗膜にクラックが生じる。
【0014】続いて、(B)成分において、R1 は重合
可能な反応基を有する有機基であり、ビニル基,アリル
基,アクリル基,メタクリル基,エポキシ基,メルカプ
ト基,シアノ基,イソシアノ基,アミノ基等の重合可能
な反応基を有するシラン化合物であり、R2 は炭素数1
〜6の炭化水素基であるが、その具体的例としては、メ
チル基,エチル基,ブチル基,ビニル基,フェニル基等
が挙げられる。またX1 は加水分解可能な官能基であり
その具体的なものとして、メトキシ基,エトキシ基,メ
トキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基,ブロモ
基等のハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。
【0015】このシラン化合物の具体例として、ビニル
トリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニ
ルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリ
アルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコ
キシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシ
シラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチル
シラン、γ−グリシドオキシプロピルトリアルコキシシ
ラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチ
ルトリアルコキシシラン、メルカプトプロピルトリアル
コキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチ
ルジアルコキシシラン等がある。
【0016】この(B)成分は、2種以上混合して用い
てもかまわない。
【0017】(B)成分の使用量は、全組成物の20〜
60重量%であることが望ましい。すなわち、20重量
%未満であると、無機蒸着膜との密着性が不充分となり
やすい。また60重量%を越えると、硬化被膜にクラッ
クを生じさせる原因となり好ましくない。
【0018】続いて(C)成分のフェノール系酸化防止
剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メ
チルフェノール、2,2’−メチレンビス−(4−メチ
ル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン
ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフ
ェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、トリス−(2−メチル−4−ヒドロキ
シ−5−t−ブチルフェニール)−ブタン、4,4’−
チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチル
チオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチ
ルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリス
リチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2−
チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタ
デシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレ
ンビス(3,5−ジ−t−ブチル4−4−ヒドロキシ−
ヒドロシンナマミド),3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエス
テル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)
−イソシアヌレイト、オクチル化ジフェニルアミン、
2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−O−クレゾ
ール等が挙げられる。この中においても、本発明におい
てチオビスフェノール系酸化防止剤が最もその効果を発
揮する。
【0019】また、本発明において、染色成分として多
官能性エポキシ化合物を添加することも有用である。多
官能性エポキシ化合物とは、塗料、接着剤、注型用など
に広く実用されているもので、例えば過酸化法で合成さ
れるポリオレフィン系エポキシ樹脂、シクロペンタジエ
ンオキシドやシクロヘキセンオキシドあるいはヘキサヒ
ドロフタル酸とエピクロルヒドリンから得られるポリグ
リシジルエステルなどの脂環式エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールAやカテコール、レゾシノールなどの多価フェノ
ールあるいは(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセ
リン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトー
ル、ジグリセロール、ソルビトールなどの多価アルコー
ルとエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエ
ーテル、エポキシ化植物油、ノボラック型フェノール樹
脂とエピクロルヒドリンから得られるエポキシノボラッ
ク、フェノールフタレインとエピクロルヒドリンから得
られるエポキシ樹脂、グリシジルメタクリレートとメチ
ルメタクリレートアクリル系モノマーあるいはスチレン
などの共重合体、さらには上記エポキシ化合物とモノカ
ルボン酸含有(メタ)アクリル酸とのグリシジル基開環
反応により得らるエポキシアクリレートなどが挙げられ
る。
【0020】多官能性エポキシ化合物の具体例として
は、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレン
グリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコール
ジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエ
ーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノ
ナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペ
ンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチル
グリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジ
ルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロール
トリグリシジルエーテル、ジグリセロールジグリシジル
エーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジ
グリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリス
リトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール
トリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラ
グリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグ
リシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエー
テル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレー
トのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル、等
の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールジグリシ
ジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシ
ルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化
合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシ
ジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテ
ル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、フェノール
ノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラ
ックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物
等が挙げられる。
【0021】上記した中でも、1,6−ヘキサンジオー
ルジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジル
エーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエー
テル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロー
ルトリグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエ
チル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル等の
脂肪族エポキシ化合物が特に好ましい。
【0022】また、被膜の屈折率の調整または被膜の耐
久性を更に向上させるために、一般式がSi(OR)4
で表される四官能シラン化合物の添加も有用である。具
体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキ
シシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシ
ラン、テトラアセトキシシラン、テトラアリロキシシラ
ン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テト
ラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2
−エチルヘキシロキシ)シラン等があげられる。これら
は単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
また、これらは無溶媒下またはアルコール等の有機溶剤
中で、酸の存在下で加水分解して使用する方が好まし
い。
【0023】このようにして得られるコーティング用組
成物は、必要に応じ、溶剤に希釈して用いることができ
る。溶剤としては、アルコール類、エステル類、ケトン
類、エーテル類、芳香族類等の溶剤が用いられる。
【0024】尚、本発明のコーティング組成物は上記成
分の他に必要に応じて、少量の界面活性剤、帯電防止
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散染料・油溶染料・
蛍光染料・顔料、フォトクロミック化合物、ヒンダード
アミン・ヒンダードフェノール系等の耐光耐熱安定剤等
を添加しコーティング液の塗布性および硬化後の被膜性
能を改良することもできる。
【0025】さらに、本発明のコーティング組成物の塗
布にあたっては、基材レンズと被膜の密着性を向上させ
る目的で、基材表面をあらかじめアルカリ処理、酸処
理、界面活性剤処理、無機あるいは有機物の微粒子によ
る研磨処理、プライマー処理またはプラズマ処理を行う
ことが効果的である。
【0026】また、塗布・硬化方法としては、ディッピ
ング法、スピンナー法、スプレー法あるいはフロー法に
よりコーティング液を塗布した後、40〜200℃の温
度で数時間加熱乾燥することにより、被膜を形成するこ
とができる。特に熱変形温度が100℃未満の基材に対
しては治工具でレンズ基材を固定する必要のないスピン
ナー法が好適である。
【0027】また、シラノ−ルあるいは、エポキシ化合
物の硬化触媒を添加することも有用である。
【0028】好ましい硬化触媒としては、過塩素酸,過
塩素酸アンモニウム,過塩素酸マグネシウム等の過塩素
酸類、Cu(II),Zn(II),Co(II),Ni(I
I),Be(II),Ce(III ),Ta(III ),Ti
(III ),Mn(III ),La(III ),Cr(III
),V(III ),Co(III ),Fe(III ),Al
(III ),Ce(IV),Zr(IV),V(IV)等を中心
金属原子とするアセチルアセトネ−ト、アミン,グリシ
ン等のアミノ酸、ルイス酸、有機酸金属塩等が挙げられ
る。この中でも最も好ましい硬化触媒としては、過塩素
酸マグネシウム、Al(III ),Fe(III )のアセチ
ルアセトネ−トが挙げられる。添加量は、固形分濃度の
0.01〜5.0%の範囲内が望ましい。
【0029】また、硬化被膜の膜厚としては、0.05
〜30μであることが好ましい。すなわち、0.05μ
未満では、基本となる性能が出ず、30μを越えると、
表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪が発生する為好
ましくない。
【0030】その塗布方法としては、浸漬法、スプレ−
法、ロ−ルコ−ト法、スピンコ−ト法、フロ−コ−ト法
等が挙げられる。
【0031】本発明において、コーティング液のpH
は、耐擦傷性,コーティング液のポットライフ等におい
て重要な因子である。即ち、pHが4.5未満であると
コーティング液のポットライフが短くなり、生産性が低
下する。また6.5を越えると、耐擦傷性が低下する。
本発明において、コーティング液のpHとは、コーティ
ング液を純水で10倍に希釈した後の測定値である。
【0032】このようにして得られたコート被膜の表面
上に、無機物質からなる反射防止膜を形成する被膜化方
法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ス
パッタリング法等が挙げられる。真空蒸着法において
は、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビー
ムアシスト法を用いてもよい。また、膜構成としては、
単層反射防止膜もしくは多層反射防止膜のどちらを用い
てもかまわない。
【0033】使用される無機物の具体例としては、Si
2 ,SiO,ZrO2 ,TiO2,TiO,Ti
23,Ti25,Al23,Ta25,CeO2 ,Mg
O,Y23,SnO2 ,MgF2 ,WO3 などが挙げら
れる。これらの無機物は単独で用いるかもしくは2種以
上の混合物を用いる。
【0034】また、反射防止膜を形成する際には、ハー
ドコート膜の表面処理を行なうことが望ましい。この表
面処理の具体的例としては、酸処理,アルカリ処理,紫
外線照射処理,アルゴンもしくは酸素雰囲気中での高周
波放電によるプラズマ処理,アルゴンや酸素もしくは窒
素などのイオンビーム照射処理などが挙げられる。
【0035】以下、実施例により更に詳細に説明する。
【0036】
【発明の実施の形態】実施例により本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0037】実施例−1 (1)塗液の調整 メタノール826.5g、1,4−ジオキサン826.
5g、メチルセロソルブ分散二酸化チタン−三酸化鉄−
二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工業(株)製、
固形分濃度20重量%)5483gおよびγ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン1700gを混合し
た。この混合液に0.05N塩酸水溶液720gを攪拌
しながら滴下し、さらに4時間攪拌後一昼夜熟成させ
た。この液に1wt%水酸化ナトリウム水溶液45g添
加した後過塩素酸マグネシウム10.5g、シリコン系
界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−70
01」)3gおよびフェノール系酸化防止剤(川口化学
工業(株)製、商品名「アンテージW−400」)1
2.5gを添加し4時間攪拌後一昼夜熟成させて塗液と
した。 この塗液のpHを測定したところ4.82であ
った。
【0038】(2)塗布および硬化 このようにして得られた塗液で、アルカリ処理を施した
屈折率1.60眼鏡レンズ(セイコーエプソン(株)
製、セイコースーパールーシャス用レンズ生地)に浸漬
法にて塗布を行なった。引き上げ速度は、18cm/m
inとした。塗布後80℃で20分間風乾した後125
℃で100分間焼成を行なった。このようにして得られ
た硬化被膜の厚みは約2ミクロンであった。
【0039】(3)反射防止薄膜の形成 上記の方法で得られたレンズをプラズマ処理(アルゴン
プラズマ400W×60秒)を行なった後、基板から大
気にむっかて順に、SiO2 、ZrO 2、SiO2 、Z
rO2 、SiO2 の5層からなる反射防止多層膜を真空
蒸着法(真空器械工業(株)製;BMC−1000)に
て形成を行なった。各層の光学的膜厚は、最初のSiO
2 層、次のZrO2 とSiO2 の等価膜層および次のZ
rO2 層、最上層のSiO2 層がそれぞれλ/4となる
様に形成した。なお、設計波長λは520nmとした。
【0040】得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈
し、全光線透過率は98%であった。
【0041】(4)試験および評価結果 上記方法で得られたレンズをそれぞれ次に述べる方法で
試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0042】(a)耐摩耗性:ボンスター#0000ス
チールウール(日本スチールウール(株)製)で1Kg
の荷重をかけ、10往復、表面を摩擦し、傷ついた程度
を目視で次の段階に分けて評価した。
【0043】 A:1cm*3cmの範囲に全く傷がつかない。 B:上記範囲内に1〜10本の傷がつく。 C:上記範囲内に10〜100本の傷がつく。 D:無数の傷がついているが、平滑な表面が残ってい
る。 E:表面についた傷のため、平滑な表面が残っていな
い。
【0044】(b)耐水・耐薬品性:水、アルコール、
灯油中に48時間浸漬し、表面状態に変化のないものを
良とした。
【0045】(c)耐酸・耐洗剤性:0.1N塩酸及び
1%ママレモン(ライオン油脂(株)製)水溶液に12
時間浸漬し、表面状態に変化のないものを良とした。
【0046】(d)密着性:基材とハードコート膜およ
びハードコート膜とマルチコート膜との密着性は、JI
SD−0202に準じてクロスカットテープ試験によっ
て行なった。即ち、ナイフを用い基材表面に1mm間隔
に切れ目を入れ、1平方mmのマス目を100個形成さ
せる。次に、その上へセロファン粘着テープ(ニチバン
(株)製 商品名「セロテープ」)を強く押し付けた
後、表面から90度方向へ急に引っ張り剥離した後コー
ト被膜の残っているマス目をもって密着性指標とした。
【0047】(e)耐候性:キセノンランプによるサン
シャインウェザーメーターに400時間暴露した後の表
面状態に変化のないものを良とした。
【0048】(f)耐熱性(冷却サイクル性):70℃
の温風中に1時間保存した後表面状態を調べた。更に−
5℃で15分、60℃で15分のサイクルを5回繰り返
し、表面状態に変化のないものを良とした。
【0049】(g)耐久性:耐久性は本質的に密着性の
接続であると考え、(a)から(f)の試験を行なった
ものについて、上記のクロスカットテープ試験を行ない
コート膜に剥離のないものを良とした。
【0050】(h)塗液のポットライフ:塗液調整後2
0℃の雰囲気で3週間保管した後に、同様な方法で塗布
および硬化を行ない、そのハードコートレンズの上記各
種耐久性を確認した。塗液のポットライフの評価として
は、保管後塗布したレンズの耐久性が、保管前に塗布し
たレンズより、低下しないものを良とした。
【0051】実施例−2 (1)塗液の調整 ブチルセロソルブ350g、1wt%水酸化ナトリウム
水溶液8g、メチルセロソルブ分散二酸化セリウム−二
酸化チタン−二酸化ケイ素複合微粒子ゾル(触媒化成工
業(株)製、商品名「オプトレイク1832」固形分濃
度20wt%)445gおよびメチルセロソルブ分散コ
ロイド状シリカ(触媒化成工業(株)製、商品名「オス
カル1832」固形分濃度30wt%)22.5を混合
した後、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
106gおよびγ−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン39gを混合した。この混合液に0.05N
塩酸水溶液38gを攪拌しながら滴下を行ない4時間攪
拌後、この液にアルミニウムアセチルアセトネート2.
5g、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、
商品名「FZ−2110」)0.3gおよび フェノー
ル系酸化防止剤(シプロ化成(株)製、商品名「シーノ
ックス226M」)1.2gを添加し更に4時間攪拌後
一昼夜熟成させて塗液とした。
【0052】この塗液のpHを測定したところ5.26
であった。
【0053】(2)塗布および硬化 このようにして得られた塗液で、屈折率1.66眼鏡レ
ンズ(セイコーエプソン(株)製、セイコースーパーソ
ブリン用レンズ生地)にスピンナー法にて塗布を行なっ
た。
【0054】コーティング条件は以下の通りである。
【0055】 回転数 500rpmで10秒(この間に塗液を塗布) 回転数 2000rpmで 1秒 回転数 500rpmで 5秒 塗布後80℃で20分間風乾した後、130℃で120
分間焼成を行なった。このようにして得られた硬化被膜
の厚みは約2.3ミクロンであった。
【0056】(3)反射防止薄膜の形成 上記の方法で得られたレンズをプラズマ処理(アルゴン
プラズマ400W×60秒)を行なった後、基板から大
気にむっかて順に、ZrO2 、SiO2 、ZrO2 、S
iO2 の4層からなる反射防止多層膜を真空蒸着法(真
空器械工業(株)製;BMC−1000)にて形成を行
なった。各層の光学的膜厚は、最初のZrO2 とSiO
2 の等価膜層および次のZrO2 層、最上層のSiO2
層がそれぞれλ/4となる様に形成した。なお、設計波
長λは520nmとした。
【0057】得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈
し、全光線透過率は98%であった。
【0058】(4)試験および評価結果 このようにして得られたレンズは実施例−1と同様の方
法で試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0059】実施例−3 (1)塗液の調整 イソプロピルセロソルブ400g、純水68gおよびメ
タノール分散二酸化スズ−二酸化タングステン複合微粒
子ゾル(日産化学工業(株)製、固形分濃度30wt
%)325gを混合した後、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン115gおよびγ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン22gを混合した。この混
合液に0.1N塩酸水溶液38gを攪拌しながら滴下し
た。さらに5時間攪拌後一昼夜熟成させた。この液にト
リメチロールプロパンジグリシジルエーテル(ナガセ化
成工業(株)製、商品名「デナコールEX−321」)
28g、Fe(III )アセチルアセトネート1.2g、
シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名
「L−7604])0.3gおよびをヒンダードフェノ
ール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)製、商品名
「イルガノックス1222」)1.5gを添加し4時間
攪拌後一昼夜熟成させて塗液とした。
【0060】この塗液のpHを測定したところ5.23
であった。
【0061】(2)塗布および硬化 このようにして得られた塗液で、屈折率1.58のポリ
カーボネート射出成形眼鏡レンズにスピンナー法にて塗
布を行なった。コーティング条件は、実施例−3と同様
な方法で行なった。
【0062】塗布後80℃で15分間風乾した後、13
0℃で2時間焼成を行なった。このようにして得られた
硬化被膜の厚みは約2.1ミクロンであった。
【0063】(3)反射防止薄膜の形成 上記の方法で得られたレンズを実施例−4のZrO2
ZrO2とTi酸化物の混合物(ZrO2 /Ti酸化物
=65/35(重量比))に変更したこと以外は、同様の
方法で反射防止膜を形成した。
【0064】得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈
し、全光線透過率は99%であった。
【0065】(4)試験および評価結果 このようにして得られたレンズは実施例−1と同様の方
法で試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0066】実施例−4 (1)塗液の調整 メチルセロソルブ421g、1wt%水酸化ナトリウム
水溶液112g、水分散五酸化アンチモン微粒子ゾル
(日産化学工業(株)製、固形分濃度30wt%)33
0gを混合した後、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
メトキシシラン31g、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン120gおよびテトラメトキシシラン3
8gを混合した。この混合液に0.1N塩酸水溶液61
gを攪拌しながら滴下を行ない4時間攪拌後一昼夜熟成
させた。この液に、第一塩化スズ4g、シリコン系界面
活性剤(ビッグケミー(株)製;商品名「BYK−30
0」)0.2gおよびヒンダードフェノール系酸化防止
剤(日本チバガイギー(株)製、商品名「イルガノック
ス1010」)1.5gを添加し4時間攪拌後一昼夜熟
成させて塗液とした。
【0067】この塗液のpHを測定したところ4.96
であった。
【0068】(2)塗布および硬化 このようにして得られた塗液で、屈折率1.56眼鏡レ
ンズ(セイコーエプソン(株)製、セイコープラックス
IIGX用レンズ生地)スプレー法にて塗布を行なった。
【0069】スプレーは、イワタワイダー61(岩田塗
装機(株)製;ノズル口径1mm)を用い、スプレー圧
力3Kg/平方cm、塗料吐出量100ml/minで
おこなった。
【0070】塗布後80℃で10分間風乾した後130
℃で2時間焼成を行なった。このようにして得られた硬
化被膜の厚みは約4ミクロンであり、外観、染色性共に
優れたものであった。
【0071】(3)反射防止薄膜の形成 実施例−6で得られたレンズを酸素ガスによるイオンビ
ーム照射処理(加速電圧500V×60秒)を行なった
後、基板から大気にむっかて順に、SiO2 、ZrO
2 、SiO2 、TiO2 、SiO2 の5層からなる反射
防止多層膜を真空蒸着法(真空器械工業(株)製;BM
C−1000)にて形成を行なった。その際4層目のT
iO2 をイオンビームアシスト蒸着により成膜を行っ
た。蒸着各層の光学的膜厚は、最初のSiO2 、次のZ
rO2 とSiO2 の等価膜層がλ/4、TiO2 層がλ
/2、最上層のSiO2 層がλ/4となる様に形成し
た。なお、設計波長λは520nmとした。
【0072】得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈
し、全光線透過率は99%であった。
【0073】(4)試験および評価結果 このようにして得られたレンズは実施例−1と同様の方
法で試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0074】実施例−5 (1)塗液の調整 ブチルセロソルブ3111g、メタノール分散二酸化チ
タン−二酸化ジルコニウム−二酸化ケイ素複合微粒子ゾ
ル(触媒化成工業(株)製、固形分濃度20重量%)4
590g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン283gおよびγ−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン1130gを混合した。この混合液に0.
05N塩酸水溶液275gを攪拌しながら滴下し、さら
に4時間攪拌後一昼夜熟成させた。この液に、グリセロ
ールジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、
商品名「デナコールEX−313」)587g、Fe
(III )アセチルアセトネート27g、シリコン系界面
活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−700
1」)3gおよびチオビスフェノール系酸化防止剤(川
口化学工業(株)製、商品名「アンテージクリスタ
ル」)17.5gを添加し4時間攪拌後一昼夜熟成させ
て塗液とした。 この塗液のpHを測定したところ4.
98であった。
【0075】(2)塗布および硬化 このようにして得られた塗液で、アルカリ処理を施した
屈折率1.56眼鏡レンズ(セイコーエプソン(株)
製、セイコープラックスIIスーパーフロンティア用レン
ズ生地)に浸漬法にて塗布を行なった。引き上げ速度
は、20cm/minとした。塗布後95℃で30分間
風乾した後130℃で120分間焼成を行なった。この
ようにして得られた硬化被膜の厚みは約2ミクロンであ
った。
【0076】(3)試験および評価結果 このようにして得られたレンズは実施例−1と同様の方
法で試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0077】実施例−6 (1)反射防止薄膜の形成 実施例−5で得られたレンズに実施例−4と同様の方法
で反射防止膜を形成した。
【0078】得られた多層膜の反射干渉色は緑色を呈
し、全光線透過率は99%であった。
【0079】(2)試験および評価結果 このようにして得られたレンズは実施例−1と同様の方
法で試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0080】実施例−7 (1)塗液の調整 メチルセロソルブ5367g、イソプロピルアルコール
分散コロイド状シリカ(触媒化成工業(株)製、商品名
「オスカル1432」、固形分濃度30重量%)222
0g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9
52gを混合した。この混合液に0.05N塩酸水溶液
265gを攪拌しながら滴下し、さらに4時間攪拌後一
昼夜熟成させた。この液に、1,6−ヘキサンジオール
ジグリシジルエーテル(ナガセ化成工業(株)製、商品
名「デナコールEX−212」)1160g、Fe(II
I )アセチルアセトネート40g、シリコン系界面活性
剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)
3gおよびチオビスフェノール系酸化防止剤(川口化学
工業(株)製、商品名「アンテージクリスタル」)1
7.5gを添加し4時間攪拌後一昼夜熟成させて塗液と
した。この塗液のpHを測定したところ5.12であっ
た。
【0081】(2)塗布および硬化 このようにして得られた塗液で、アルカリ処理を施した
屈折率1.50眼鏡レンズ(CR−39レンズ生地)に
浸漬法にて塗布を行なった。引き上げ速度は、12cm
/minとした。塗布後100℃で40分間風乾した後
135℃で100分間焼成を行なった。このようにして
得られた硬化被膜の厚みは約2.2ミクロンであった。
【0082】(3)試験および評価結果 このようにして得られたレンズは実施例−1と同様の方
法で試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0083】比較例−1 実施例−1において、フェノール系酸化防止剤を添加し
ないこと以外はすべて同様な方法でレンズに塗布を行な
った。
【0084】このようにして得られたレンズを実施例−
1と同様の方法で試験を行ない、その結果を表1に示し
た。
【0085】比較例−2 実施例−7において、チオビスフェノール系酸化防止剤
を添加しないこと以外はすべて同様な方法でレンズに塗
布を行なった。
【0086】このようにして得られたレンズを実施例−
1と同様の方法で試験を行ない、その結果を表1に示し
た。
【0087】比較例−3 実施例−1において、1wt%水酸化ナトリウム水溶液
112gを添加しないこと以外はすべて同様な方法でレ
ンズに塗布を行なった。
【0088】この塗液のpHを測定したところ4.01
であった。
【0089】このようにして得られたレンズを同様の方
法で試験を行ない、その結果を表1に示した。
【0090】
【表1】
【0091】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により表面
の高硬度化が可能となり、かつ良好な耐久性と塗液のp
Hを調整することによる生産性向上を得ることができ
た。特にコート被膜の耐候性向上の効果は大きい。即ち
プラスチックレンズ材料として、(メタ)アクリル樹脂
をはじめとしてスチレン樹脂、カーボネート樹脂、アリ
ル樹脂、アリルカーボネート樹脂、ビニル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ウレタン樹脂更に新た
なモノマーやコモノマーの重合体等各種機能をもった樹
脂に応用し得られる。
【0092】優れた耐擦傷性と良好な耐久性および良好
な無機物からなる反射防止膜との密着性(耐久性)を兼
ね備えたプラスチック材料は、眼鏡レンズ、カメラレン
ズ、光ビーム集光レンズや光拡散用レンズとして民生用
或いは産業用に広く応用することができる。更に本発明
による効果は、ウォッチガラスやディスプレイ用カバー
ガラス等の透明ガラスやカバーガラス等の光学用途の透
明プラスチック全般に応用利用が可能であり、得られる
効果は多大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02B 1/11 G02B 1/10 A 1/10 Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記の成分(A)、(B)お
    よび(C)を主成分とすることを特徴とするコーティン
    グ用組成物。 (A)粒径1〜100ミリミクロンのSi,Sn,S
    b,Ce,Zr,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化
    物からなる微粒子および/またはSi,Al,Sn,S
    b,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,
    Tiから選ばれる2種以上の金属酸化物から構成される
    複合微粒子 (B)一般式 【化1】 で表される有機ケイ素化合物 (式中、R1 は重合可能
    な反応基を有する有機基、R2 は炭素数1〜6の炭化水
    素基である。X1 は加水分解性基であり、nは0または
    1である。) (C)フェノール系酸化防止剤
  2. 【請求項2】 前記フェノール系酸化防止剤がチオビス
    フェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項
    1記載のコーティング用組成物。
  3. 【請求項3】 前記(A)成分がTiの金属酸化物から
    なる微粒子および/または少なくともTiの金属酸化物
    が含まれる複合微粒子であることを特徴とする請求項1
    または2記載のコーティング用組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のコーティング用
    組成物において、そのpHを4.5〜6.5とすること
    を特徴とするコーティング用組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載のコーティング用
    組成物を基材に塗布した後、硬化させることにより得ら
    れるコート被膜表面に無機物質からなる反射防止膜を設
    けたことを特徴とする積層体。
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