JP2001305302A - 厚膜化可能なコーティング方法及びプラスチックレンズ - Google Patents

厚膜化可能なコーティング方法及びプラスチックレンズ

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JP2001305302A
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film
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plastic lens
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Shusuke Takushima
秀典 宅島
Makoto Watanabe
渡辺  誠
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Pentax Corp
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浸漬方式を採用して優れた耐擦傷性を示すハ
ードコート膜を効率よく形成しうる厚膜化可能なコーテ
ィング方法及び厚膜のハードコート付きプラスチックレ
ンズを提供すること。 【解決手段】 浸漬方式によるハードコート膜の形成に
あたり、ハードコート液への浸漬時間を40〜80秒と
することを特徴とする厚膜化可能なコーティング方法及
びこの方法で形成された膜厚3.0μm以上のハードコ
ート膜を有することを特徴とするハードコート付きプラ
スチックレンズ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックレン
ズ基材に対する厚膜化可能なコーティング方法及びこの
方法によってコーティングされたハードコート付きプラ
スチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックレンズは、軽量であると共
に耐衝撃性や染色性に優れているものの、耐擦傷性に劣
るため、この耐擦傷性の向上を目的として、プラスチッ
クレンズ表面にハードコート膜を設ける手法が一般的に
行われている。また、その耐擦傷性、つまり傷の付き難
さは、コート膜の膜厚に依存することが知られている。
つまり、一般的には膜厚が厚いほど耐擦傷性は良くなる
傾向にある。しかし、膜厚を無制限に厚くすれば耐熱性
の点で劣り、クラックが発生する。また、膜厚を厚くす
る目的でコーティング組成物を改良したとき、例えば濃
度を高くした場合にはタレや液自体の安定性に問題が生
じ、浸漬後の引上げ速度を上げることにより膜厚が厚く
する方式を採用したとしても、被塗布物における引上げ
方向に対する膜厚の均一性が損なわれる。さらに、液自
体の粘度を上げようとして増粘剤を添加した場合は、液
自体の安定性やポットライフに問題が生じる。さらに、
複数回操作を繰り返してハードコート膜を積層する方法
もあるが、加工上時間がかかり、生産性に劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記
問題点に鑑みて、浸漬方式を採用して優れた耐擦傷性を
示すハードコート膜を効率よく形成しうる厚膜化可能な
コーティング方法及び厚膜のハードコート付きプラスチ
ックレンズを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、浸漬方式によ
るハードコート膜の形成にあたり、ハードコート液への
浸漬時間を40〜80秒とすることを特徴とする厚膜化
可能なコーティング方法を提供するとともに、この方法
で形成された膜厚3.0μm以上のハードコート膜を有
することを特徴とするハードコート付きプラスチックレ
ンズを提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】浸漬方式によるコーティング方法
は、コーティング液中へ被塗布物を浸漬し、しかるべき
時間の後、被塗布物を液中から所定の速度で引き上げる
方法である。この浸漬方式において厚膜を得るための条
件を種々検討したところ、浸漬時間が厚膜を得るための
最も重要な条件であることが判明した。浸漬時間は、溶
媒の種類、コーティング液の粘度、コート膜に求める物
性などにより異なるが、厚膜を形成する目的で40〜8
0秒とするのが好ましい。浸漬時間が40秒未満である
と、コーティング液の塗布量が少なすぎて十分な膜厚を
得られない。一方、80秒を超えて浸漬時間を長くして
も膜厚は変わらない。
【0006】コーティング液の塗布量は、浸漬時間を調
節することによりハードコート膜の膜厚が3.0μm以
上となるように選定される。このハードコート膜の膜厚
が3.0μm未満であると、耐擦傷性に劣る。しかし、
膜厚が厚すぎると耐熱性の点で問題が生じるので、10
μm以下にするのが好ましい。
【0007】コーティング液の粘度は、被塗布物の材質
に依存し、適宜求める膜厚に相応した粘度であることが
望ましい。本発明に用いるコーティング液においては、
粘度は、4.0〜50.0cpsであることが好まし
い。4.0cps未満であると、厚膜が得られにくくな
り、耐擦傷性の向上が不充分であり、50.0cpsを
超えると、被膜の表面にシワやブラッシングが発生し外
観を損ねる。
【0008】コーティング液の固形分は、コーティング
液の成分によって制限されるが、求める膜厚に応じて変
更できることが好ましい。本発明に用いるコーティング
液において、固形分は20〜40重量%であることが好
ましい。20重量%未満であると、厚膜を得ることが困
難となり、40重量%を超えると、ポットライフに問題
が生じる。
【0009】本発明のコーティング方法における引上げ
速度は、コーティング液の粘度及び固形分に左右される
が、通常、100〜300mm/minの範囲で用いら
れることが好ましい。引上げ速度が100mm/min
未満であると、厚膜が得られにくくなり、300mm/
minを超えると、塗布面にタレが生じて外観を損ね
る。
【0010】本発明において用いられるコーティング液
の成分としては、用途、目的に応じて使い分けられる
が、現状では有機珪素化合物と金属酸化物微粒子ゾルを
混合したコーティング液が最も簡便かつ効果的であり、
一般に広く使用されている。有機珪素化合物としては、
加水分解性のものが好ましく、例えば、メチルトリメト
キシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニ
ルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)
γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン等のアルコキシシランが挙げら
れる。これらは単独で用いても、2種類以上を組み合わ
せてもよい。また、これらは、酸により加水分解して用
いるのが好ましい。
【0011】本発明に用いるコーティング液に含まれる
金属酸化物ゾルとしては、珪素、スズ、タングステン、
鉄、ジルコニウム、チタンなどから選ばれる1種以上の
金属の酸化物微粒子のコロイド状分散体を挙げることが
できる。具体的には、これらの金属酸化物微粒子を溶媒
中にコロイド状に分散させてあるものが好ましい。
【0012】本発明に用いるコーティング液としては、
粘度の維持管理が簡便になり、また厚膜を求める目的で
高沸点溶媒を添加した、あるいは添加可能なコーティン
グ組成物であることが好ましい。ここで用いられる高沸
点溶媒としては、シクロヘキサン、2−プロパノール、
1,2−ジメトキシエタン、水、トルエン、エチレンジ
アミン、1−ブタノール、2−メトキシエタノール、酢
酸ブチル、2−エトキシエタノール、キシレン、N,N
−ジメチルホルムアミド、フェノール、1,2−プロパ
ンジオール、ベンジルアルコールなどが挙げられる。こ
れらの溶媒は1種のみを用いてもよいが、コーティング
液の粘度、揮発性及び基材に対する濡れ性を考慮して異
なる2種類以上の溶媒を用いることが出来る。上記以外
の低沸点溶媒は、溶解性、粘度調整の点で良溶媒である
が、揮発速度が高いため多量に混合すると、コーティン
グ液の濃度変化を引き起こす恐れがある。このとき濃度
変化が生じると、それに倣う形で固形分変化も起こり、
コーティング液のポットライフに問題が生じる恐れがあ
る。
【0013】本発明に用いるコーティング組成物には、
硬化を促進する目的で硬化触媒を用いることが出来る。
硬化触媒としては、アミン類、金属キレート、有機酸金
属塩、過塩素酸類、金属塩から選ばれる1種以上の硬化
剤である。具体例としては、グアニジン、トリエチルア
ミン、アニリンなどのアミン類、アセチルアセトンが配
位した、クロム(III)、コバルト(III)、鉄
(III)、ジルコニウム(IV)、インジウム(II
I)などの金属アセチルアセトネート、酢酸ナトリウ
ム、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸
亜鉛、オクチル酸スズなどの有機酸金属塩、過塩素酸、
過塩素酸アンモニウム、過塩素酸マグネシウムなどの過
塩素酸塩類、塩化スズ、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩
化チタン、塩化亜鉛などの金属塩化物などが挙げられ
る。硬化触媒の添加量としては、溶媒への溶解度と硬化
触媒としての効果を考慮して、シリコーン化合物に対し
て0.1〜10.0重量%の割合とするのがよい。さら
に好ましくは、0.5〜3.0重量%の範囲で用いるの
がよい。
【0014】本発明に用いるコーティング組成物には、
本発明の目的を損なわない限り、必要に応じてさらにレ
ベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、顔料、
フィラー、安定剤、界面活性剤、帯電防止剤、不燃剤、
香料などを添加し、コーティング液の塗布性、被膜の性
質、被膜加工の作業性等を改良することができる。
【0015】本発明のコーティング方法を適用する基材
としては、プラスチックレンズ基材、例えば、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリカーボネート、脂肪族アリルカ
ーボネート、芳香族アリルカーボネート、ポリチオウレ
タン等の合成樹脂が挙げられ、特に透明性の高いものが
光学用として好適である。また、本発明のコーティング
方法を適用するにあたり、基材と被膜の密着性を向上さ
せる目的で、基材表面を予めアルカリ処理、酸処理、界
面活性剤処理、各種有機溶媒による化学処理、無機物又
は有機物の微粒子による研磨処理、各種樹脂を用いたプ
ライマー処理、紫外線、電子線などによる放射線処理、
プラズマ処理などを行うことができる。
【0016】上記の方法で形成したハードコート膜上に
無機化合物を単層又は多層に成膜して反射防止膜を施す
ことができる。この成膜方法としては、例えば真空蒸着
法、スパッタ法、イオンプレーティング法、イオンアシ
スト法などが挙げられる。また、使用する無機化合物と
しては、具体的にはZnO、TiO2 、Sb23 、S
25 、SnO2 、ZrO2 、Al23 、MgF
2 、SiO2 、SiO、LiF、3NaF・AlF3
AlF3 、Na3 AlF3 、Ta25 、Yb2 3
どが挙げられる。
【0017】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらによって制限されるもので
はない。また、以下「部」は「重量部」をあらわす。
【0018】実施例1〜5 (1)コーティング組成物の作製 マグネチックスターラーを備えたガラス製フラスコ中に
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン100.
1部を入れ、0.01規定塩酸27.0部を加え、一昼
夜攪拌して加水分解物を調製した。該加水分解物にメタ
ノール分散コロイダルシリカ(固形分濃度30重量%、
平均粒子径10mμ)260.0部、硬化触媒としてア
ルミニウムアセチルアセトネート3.9部、水143.
0部、シリコーン系界面活性剤0.1部を順次加え、一
昼夜攪拌し、24時間5℃で静置して熟成させ、コーテ
ィング組成物を作製した。このコーティング組成物の粘
度は6.5cps(20℃)であった。 (2)ハードコート膜の作製 基材であるジエチレングリコールビスアリルカーボネー
トレンズを45℃に保温した10%水酸化ナトリウム水
溶液中に4分間浸漬して洗浄した。次いで、上記コーテ
ィング組成物を用いて浸漬法によりプラスチックレンズ
を塗布した。このときのコーティング条件を表1に示し
た。コーティング処理されたレンズを120℃で2時間
加熱硬化を行い、ハードコート膜を作製した。
【0019】(3)試験及び性能評価 以上の処理により得られたレンズについて下記の方法で
試験を行い、得られた結果を表1に示した。 耐擦傷性 #0000のスチールウールを用い、500g荷重で2
0往復させた後の被膜の状態を肉眼で観察し、下記の基
準で判定を行った。 A:傷つかない B:擦傷面の50%未満に傷がつく C:擦傷面の50%以上に傷がつく 密着性 カッターナイフにより1mm間隔で11本の平行線を縦
横に入れ、100個のマス目を作り、セロファン粘着テ
ープ(ニチバン社製)を密着して貼り付け、急速に剥が
して残ったマス目の数を数えた。 耐候性 サンシャインウェザーメーター(スガ試験機社製)を用
い、300時間暴露した後、被膜の状態を肉眼で観察
し、下記の基準で判定を行った。 A:被膜に変化無し B:被膜が荒れている C:被膜が溶解して下地が見える 耐熱性 80℃のオーブンにレンズを入れ、10分間後に取出し
てスライドプロジェクターを用いて調べ、下記の基準で
判定を行った。 良好:被膜に異常なし 不良:被膜にクラックが入っている
【0020】比較例1及び2 前記実施例のハードコート膜の作製条件において、表1
に示すコーティング条件で行った以外は、実施例1と同
様にして行った。評価試験の結果を表1に示した。
【0021】
【表1】
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、コーティング組成物中
への浸漬時間を長くするという簡便な方法により厚膜の
コーティング膜を容易に形成することができ、耐擦傷牲
に優れ、かつプラスチックレンズとの密着性にも優れた
ハードコート膜を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 183/04 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2K009 AA15 BB14 BB24 BB25 CC03 CC42 DD02 4D075 AB01 AB52 AB56 CA47 DA08 DB31 DC24 EA05 EB42 EC08 EC30 4J038 DL031 HA166 HA436 KA06 NA11 PB08 PC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬方式によるハードコート膜の形成に
    あたり、ハードコート液への浸漬時間を40〜80秒と
    することを特徴とする厚膜化可能なコーティング方法。
  2. 【請求項2】 ハードコート液の主成分が有機珪素化合
    物である請求項1記載のコーティング方法。
  3. 【請求項3】 ハードコート液に高沸点溶媒を添加した
    請求項1又は2記載のコーティング方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の方法で形成された膜厚
    3.0μm以上のハードコート膜を有することを特徴と
    するハードコート付きプラスチックレンズ。
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