JPH0696691B2 - ハードコーティング剤及び光学製品 - Google Patents

ハードコーティング剤及び光学製品

Info

Publication number
JPH0696691B2
JPH0696691B2 JP63137148A JP13714888A JPH0696691B2 JP H0696691 B2 JPH0696691 B2 JP H0696691B2 JP 63137148 A JP63137148 A JP 63137148A JP 13714888 A JP13714888 A JP 13714888A JP H0696691 B2 JPH0696691 B2 JP H0696691B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
coating agent
parts
hard coating
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63137148A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH01306477A (ja
Inventor
充弘 宝田
和治 佐藤
義夫 岡村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP63137148A priority Critical patent/JPH0696691B2/ja
Publication of JPH01306477A publication Critical patent/JPH01306477A/ja
Publication of JPH0696691B2 publication Critical patent/JPH0696691B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Silicon Polymers (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、屈折率の高い光学製品、特にプラスチックレ
ンズ等のプラスチック製光学製品の被覆剤として好適な
ハードコーティング剤及び該ハードコーティング剤の硬
化物の被膜が表面に形成された光学製品に関する。
従来の技術 従来より、軽量で易加工性、耐衝撃性に優れたプラスチ
ック製光学製品に高い硬度や耐摩耗性、耐溶剤性を付与
するため、一般にコーティング剤としてエポキシ基含有
珪素化合物とコロイダルシリカとからなる組成物を光学
製品に塗布し、硬化被膜を形成する方法(特公昭57−27
35号公報)が行なわれている。
一方、各種光学製品のうち、特に眼鏡等においては、ガ
ラスよりも軽く成型し易いことから、プラスチック材
料、例えばポリメチルメタクリレート,ジエチレングリ
コールビスアリルカーボネート(CR−39)等を用いて製
作することが多くなっている。これらのプラスチックは
屈折率が1.45〜1.50と低く、曲率半径によっては非常に
厚いレンズになるため、従来はレンズの軽量性を望むこ
とが困難であったが、近年、これらプラスチック分子中
にハロゲン原子を導入したり、ウレタン結合を形成した
り、ラジカル重合性化合物とスチレンを共重合するなど
してプラスチックの屈折率を1.5以上に高め、レンズの
軽量化を図る方策がとられている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、屈折率が1.5以上のプラスチック製レン
ズ表面を上述のエポキシ基含有珪素化合物とコロイダル
シリカとからなるコーティング剤で被覆すると、被膜の
屈折率がプラスチック材料のそれに比べて非常に低いた
め、表面に干渉縞が生じるという欠点がある。
そこで、特開昭59−115366号公報では、コーティング剤
に従来から配合されているコロイダルシリカ等のシリカ
の代わりに屈折率1.6以上のアルミナやチタニア微粒子
を配合し、屈折率の高い被膜を得ることを提案してい
る。しかし、この方法はコーティング剤成分であるエポ
キシ基含有珪素化合物自体の屈折率が非常に低いのを高
屈折率の微粒子としてアルミナやチタニアを大量に配合
することで補い、コーティング剤の屈折率を上げている
ので、その被膜が脆く、実用上不利である。
また、特開昭57−168922号公報においては、コーティン
グ剤に難燃化剤として五酸化アンチモンを配合する方法
を開示しているが、コーティング剤の屈折率を高めるま
でには至っておらず、特開昭59−108064号公報において
は五酸化アンチモン,シリカ及びCH3Si(OH)3の混合物を
配合することが提案されているが、シリカやCH3Si(OH)3
は屈折率が低いため、このコーティング剤では高屈折率
の被膜を得ることが難しく、実用性の高い高屈折率の被
膜を得ることは困難である。
更に、特にプラスチックレンズにおいては美粧性やファ
ッション性の要望が高く、レンズ基材を着色してカラー
レンズにすることが多いが、レンズ基材を着色できない
場合はレンズの保護被膜を染色する必要がある。しか
し、上記の高屈折率を有するコーティング剤で形成され
た被膜は、染色することが困難なものである。
このため、従来より屈折率が高く、染色可能な被膜を与
える実用性の高いコーティング剤の開発が望まれてい
た。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、高い屈折率を
有する上、容易に染色できる被膜を与え、高屈折率のプ
ラスチックレンズ等の光学製品の被覆剤として好適なハ
ードコーティング剤及び該ハードコーティング剤の硬化
物の被膜が表面に形成された光学製品を提供することを
目的とする。
課題を解決するための手段及び作用 本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ね
た結果、有機珪素化合物として下記一般式(1) R1R2 aSi(OR3)3-a ・・・(1) (但し、式中R1は炭素数2〜8のエポキシ基を含む有機
基、R2は炭素数1〜6のアルキル基,アルケニル基,ハ
ロゲン化アルキル基又はアリール基、R3は水素原子又は
炭素数1〜4のアルキル基,アルコキシアルキル基もし
くはアシル基であり、aは0〜2の数である。) で示されるエポキシ基含有珪素化合物及び/又はその部
分加水分解物100重量部と、下記一般式(2) R4 bR2 cSi(OR3)4-b-c ・・・(2) (但し、式中R2,R3は上記(1)式と同様であり、R4
炭素数6〜12のアリール基,ハロゲン化アリール基又は
シリル化アリール基である。また、bは1〜3、cは0
〜2で、b+cは1〜3の数である。) で示される芳香族基含有珪素化合物及び/又はその部分
加水分解物10〜80重量部とを併用すると共に、屈折率の
高い酸化アンチモンゾル,アルミナゾル,チタニアゾル
から選ばれる1種又は2種以上の無機微粒子5〜200重
量部、更にはアルミニウム錯化合物0.1〜10重量部を配
合することにより、屈折率が1.5以上の高い屈折率を有
し、屈折率が1.5以上のプラスチック材料からなるレン
ズに被覆しても干渉縞が生じることがない上、容易に染
色でき、しかも高硬度で耐すり傷性,耐摩耗性,耐溶剤
性,プラスチックとの密着性などの特性が良好な被膜を
与えるコーティング剤が得られ、このコーティング剤は
高屈折率のプラスチック製光学部品用ハードコーティン
グ剤として最適であることを知見し、本発明をなすに至
った。
従って、本発明は、 (イ)上記(1)式で示されるエポキシ基含有珪素化合
物又はその部分加水分解物100重量部と、 (ロ)上記(2)式で示される芳香族基含有珪素化合物
又はその部分加水分解物10〜80重量部と、 (ハ)酸化アンチモンゾル,アルミナゾル,チタニアゾ
ルから選ばれる1種又は2種以上の無機微粒子5〜200
重量部と、 (ニ)アルミニウム錯化合物0.1〜10重量部を配合して
なることを特徴とするハードコーティング剤及び該ハー
ドコーティング剤の硬化物の被膜が表面に形成された光
学製品を提供する。
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の第1の必須成分は上記(1)式で示されるエポ
キシ基含有珪素化合物であり、この第1成分は被膜形成
や有機染料の吸着に寄与するものである。
ここで、(1)式中置換基R1は炭素数2〜8のエポキシ
基を含む有機基、例えばグリシドキシプロピル基,エポ
キシシクロヘキシル基等であり、R2は炭素数1〜6のア
ルキル基,アルケニル基,ハロゲン化アルキル基又はア
リール基であり、具体的にはメチル基,エチル基,プロ
ピル基,γ−クロロプロピル基,3,3,3−トリフルオロプ
ロピル基,ビニル基,アリル基,フェニル基等が例示さ
れる。また、置換基R3は水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基,アルコキシアルキル基もしくはアシル基であ
り、例えば水素原子,メチル基,エチル基,プロピル
基,ブチル基,メトキシメチル基,メトキシエチル基,
エトキシエチル基,アセチル基,プロピオニル基等が示
され、(1)式中aは0〜2の数である。
この(1)式のエポキシ基含有珪素化合物としては、具
体的にγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン,γ−グ
リシドキシプロピルトリス(メトキシエトキシ)シラ
ン,γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン,γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン,β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシラン,β−(3,4−エポルキシシクロヘキシ
ル)エチルトリエトキシシラン,β−グリシドキシプロ
ピルフェニルジメトキシシラン,γ−グリシドキシプロ
ピルフェニルジエトキシシランなどの1種又は2種以上
が使用される。
なお、上記エポキシ基含有珪素化合物はそのまま使用す
ることができるが、予め加水分解してその部分加水分解
物を使用することもできる。
次に、第2の必須成分は上記(2)式で示される芳香族
基含有珪素化合物であり、この第2成分はコーティング
剤の被膜形成性,高屈折率,被膜の可撓性に寄与するも
のである。
この場合、(2)式中置換基R2,R3はそれぞれ上記
(1)式と同様であり、置換基R4は炭素数6〜12のアリ
ール基,ハロゲン化アリール基又はシリル化アリール基
で、例えばフェニル基,p−トリル基,ベンジル基,ナフ
チル基,クロロフェニル基,ブロモフェニル基,シリル
フェニル基等が挙げられる。
このような(2)式の芳香族含有珪素化合物としては、
具体的にフェニルメトキシシラン,フェニルトリエトキ
シシラン,ジフェニルジメトキシシラン,ジフェニルジ
エトキシシラン,フェニルメチルジエトキシシラン,フ
ェニルメチルジエトキシシラン,クロロフェニルトリメ
トキシシラン,ブロモフェニルトリメトキシシラン,p−
トリルトリメトキシシラン,ベンジルトリメトキシシラ
ン,ナフチルトリメトキシシラン,1,4−ビス(トリメト
キシシリル)ベンゼン,1,4,−ビス(ジメトキシメチル
シリル)ベンゼン,トリフェニルメトキシシラン,ジフ
ェニルメチルメトキシシラン等が例示され、これらを単
独で又は2種以上を併用して用いることができるが、中
でもフェニルトリメトキシシラン,ジフェニルジメトキ
シシランが工業的に好適で汎用される なお、上記芳香族基含有珪素化合物はそのまま使用する
ことができるが、(1)式の化合物と同様に予め加水分
解してその部分加水分解物を使用することもできる。
また、(2)式の化合物の配合量は(1)式の化合物10
0部(重量部、以下同様)に対して10〜80部、好ましく
は10〜50部であり、配合量が10部未満では屈折率1.5以
上の被膜を得ることができず、80部より多いとプラスチ
ック基材を保護被覆するのに十分な硬度にならない。
更に、第3必須成分の無機微粒子は、コーティング剤の
被膜硬度、高屈折率に寄与するものであり、酸化アンチ
モンゾル,アルミナゾル,チタニアゾルから選ばれるも
のを単独で又は2種以上を併用して用いる。本発明で
は、有機珪素化合物として上記(1)式及び(2)式の
化合物を併用すると共に、このような高屈折率の無機微
粒子を配合することにより、屈折率1.5以上の被膜を形
成することができるものであるが、無機微粒子として特
に酸化アンチモンゾルを用いると、屈折率1.55以上の被
膜を形成し得、高屈折率レンズの保護被覆材として最適
なコーティング剤を得ることができる。
上記無機微粒子の粒子径としては、1〜200ミリミクロ
ン、特に5〜100ミリミクロンのものが好ましく使用さ
れる。粒径が1ミリミクロンより小さい無機微粒子を用
いると被膜の表面硬度が劣る場合があり、200ミリミク
ロンより大きいと被膜の透明性が低下する場合がある。
上記無機微粒子としては、一般に市販されている上記無
機微粒子の酸性溶液あるいは塩基性溶液(水や有機溶剤
に分散したコロイド溶液)を利用することができ、具体
的にはサンコロイドAMT−130(不揮発分30重量%の水系
酸化アンチモンゾル、日産化学社製),アルミナゾル52
0(不揮発分10重量%のアルミナゾル、日産化学社
製),酸化チタンゾルNTS−10R(不揮発分10重量%のチ
タニアゾル、日産化学社製),アルミナクリアーゾル
(アルミナゾル、川研ファインケミカル社製)等が例示
される。
なお、第3成分の無機微粒子の配合量は、第1成分であ
るエポキシ基含有珪素化合物100部に対して5〜200部、
好ましくは10〜100部とする。無機微粒子の配合量が5
部未満では高硬度かつ高屈折率の被膜を得ることができ
ず、200部より多いと得られる被膜が脆く、被覆性が劣
る。
なおまた、本発明コーティング剤においては、上記無機
微粒子と共にその他の無機微粒子例えばシリカゾル等を
配合し、硬度、反応性、硬化性等を改良することができ
る。
本発明の第4必須成分は、上記3成分の混合物を硬化さ
せるのに必要な硬化剤であり、シラノールの縮合促進剤
や各種エポキシ樹脂に用いられる硬化剤を用いることが
できるが、本発明ではコーティング剤の安定性、被膜の
硬度、硬化性、着色の有無などの点からアルミニウム錯
化合物を使用する。
この場合アルミニウム錯化合物としては、下記一般式
(3) AlXnY3-n ・・・(3) (但し、式中Xは低級アルコキシ基、Yはβ−ジケトン
類やβ−ケトエステル類であり、nは0,1,2又は3であ
る) で示される化合物、具体的には下記式(3a)−(3g) (但し、式中nは上記と同様である。) の化合物やアルミニウムトリアセトン,アルミニウムジ
イソプロポキシドモノエチルアセトアセテート,アルミ
ニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート
等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使
用することができる。
また、硬化剤の配合量に応じてコーティング剤の硬化時
間を調節することができるが、上記アルミニウム錯化合
物を硬化剤として用いる場合は、アルミニウム錯化合物
を第1成分のエポキシ基含有珪素化合物100部に対して
0.1〜10部とする。アルミニウム錯化合物の配合量が0.1
部より少ないとコーティング剤の硬化性が乏しくなり、
10部より多いとコーティング剤溶液の安定性が悪くな
る。
なお、第4成分の助触媒として、必要に応じ、酢酸ナト
リウム,蟻酸カリウム,プロピオン酸ナトリウム等のア
ルカリ金属塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシ
ド,トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等の
四級アンモニウム塩、過塩素酸マグネシウム,過塩素酸
アンモニウム等の過塩素酸塩などを添加してもよい。
本発明のハードコーティング剤は、プラスチック基剤と
の密着性、耐候性、反射防止性を向上させる目的で本発
明の効果を妨げない範囲において上記第1,2成分以外の
有機珪素化合物やエポキシ樹脂、紫外線吸収剤等の任意
成分を添加することが可能である。この任意成分として
は、例えばテトラメトキシシラン,テトラエトキシシラ
ン,ポリエチルシリケート,メチルトリメトキシシラ
ン,メチルトリエトキシシラン,ビニルトリメトキシシ
ラン,ビニルトリエトキシシラン,γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン,γ−クロロプロピルトリ
メトキシシラン,メチルトリアセトキシシラン,ビニル
トリアセトキシシラン,3,3,3−トリフルオロプロピルト
リメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン,γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ
(N−β−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシ
シラン,ジメチルジメトキシシラン,ジメチルジエトキ
シシラン,メチルビニルジメトキシシラン等の各種有機
珪素化合物、その部分加水分解物、ポリオレフィン系エ
ポキシ樹脂,シクロヘキセンオキシド,ポリグリシジル
エステル類,エピクロルヒドリンとビスフェノールAの
縮重合物,グリシジルメタクリレートとアクリル化合物
との共重合体等のエポキシ樹脂、ベンゾフェノン系,ベ
ンゾトリアゾール系,フェノール系等の紫外線吸収剤な
どが挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上
を併用して添加し得る。
更に、本発明では、ハードコーティング剤の塗布性向上
を目的として各種の界面活性剤を配合することができ、
界面活性剤としては特にジメチルシロキサンとポリエー
テルとのブロック共重合体やグラフト共重合体,フッ素
系界面活性剤などが有効に配合される。
本発明のコーティング剤は、第1及び第2成分の有機珪
素化合物と第3成分の無機微粒子や任意成分を混合した
後、第4成分のアルミニウム錯化合物を添加するなど、
通常のコーティング剤と同様の方法で得ることができる
が、特に有機珪素化合物としてその部分加水分解物を用
いる場合は、第1成分のエポキシ基含有珪素化合物と第
2成分の芳香族基含有珪素化合物、更には必要により任
意成分として挙げた上記有機珪素化合物を同一反応槽内
で予め混合し、この混合物に純水や塩酸等の酸性水溶液
を添加、撹拌するなどして共加水分解し、この有機珪素
化合物の共加水分解物の入った反応槽内に他成分を添加
して製造する方法を採用することができる。なお、上記
共加水分解を行う際に、同一反応槽内に有機珪素化合物
と共に第3成分の無機微粒子を添加し、共加水分解して
も差支えない。
本発明のハードコーティング剤は、プラスチックレンズ
等のプラスチック製光学製品表面に塗布し、主として加
熱処理することで硬化させて硬化被膜を形成するもので
あり、その塗布方法としては、例えば刷毛塗り,ロール
塗り,スプレー塗り,流し塗り,浸漬塗りなど通常の塗
布方法を採用することができる。更に、硬化条件は、上
記の通り硬化剤の配合量などにより変化するが、例えば
プラスチックレンズに使用する場合は、プラスチックレ
ンズの軟化点未満の温度、即ち50〜150℃で0.5〜10時間
硬化することで、屈折率が1.5以上の高屈折率を有する
硬化被膜を得ることができる。
また、本発明のコーティング剤で得られる硬化被膜を染
色する際は、例えばコーティング処理したレンズを各種
分散染料が分散している染浴中に80〜100℃で5〜15分
間浸漬するなどして、様々な色や染色度に容易に染色す
ることができる。
発明の効果 以上説明したように、本発明のハードコーティング剤
は、プラスチック製光学製品に使用することにより光学
製品の透明性を損うことなく高硬度で、特にスチールウ
ールで摩擦してもほとんど傷が入らず、耐摩擦性に優
れ、かつプラスチックとの密着性や耐溶剤性が良好な硬
化被膜を与える。しかも、この硬化被膜は、屈折率が1.
5以上と高いので、高屈折率を有するプラスチック製光
学製品に塗布しても干渉縞が生じることがなく、良好な
外観を呈する上、染色性が良好で、分散染料水溶液中で
熱処理することにより容易に染色できる。更に、この被
膜は可撓性が良好で光学製品の温度変化に良く追随し、
表面にクラックがほとんど発生しない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。また、以下の例において部はいずれも重量部を示
す。
なお、各例に先立ち、各例で採用したコーティング剤の
評価方法を示す。
〔評価方法〕
<耐摩耗性> スチールウール(#0000)を用いて硬化膜を500g荷重で
10回こすり、硬化膜の傷の入り方を目視で測定した。
<密着性> JIS−K5400 第6.15項に準じ、硬化膜にナイフで1mm間隔
の碁盤目を縦,横各々11本ずつ入れ、セロテープ(ニチ
バン社製)を付着させた後、剥離テストを行って剥離し
なかった升目の数を調べた。
<屈折率> ポリテトラフルオロエチレンシート上にコーティング剤
を塗布して120℃で60分硬化させた後、得られた被膜を
剥し、この硬化被膜をサリチル酸メチルの間にはさみ、
屈折率計を用いて25℃でサリチル酸メチルの屈折率(25
℃,1.5350)の次に現われる値を測定した。
<耐溶剤性> アセトンを含浸させた脱脂綿で硬化膜を軽く10回擦った
後、硬化被膜の透明性を目視で判定した。
<染色性> 分散染料ブラウン−D(セイコー社製)の0.2重量%水
溶液中にコーティング剤でコーティング済みのレンズを
85℃で5分間浸漬し、このレンズの光透過率を測定し
た。
〔実施例1〕 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン300部、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン100
部、ジフェニルジメトキシシラン100部の混合物に0〜1
0℃の温度下で0.05規定の希塩酸120部を滴下し、加水分
解してポリシロキサンを得た。このポリシロキサンにサ
ンコロイド AMT−130 (日産化学社製,不揮発分30重量
%の水系酸化アンチモンゾル)600部を加えて室温で3
時間撹拌し、得られた乳白色微濁溶液に下記式(3c)′ で示されるアルミニウムキレート化合物6部とエタノー
ル400部を加え、コーティング剤Aを調製した。
〔実施例2〕 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン400部、
テトラメトキシシラン100部、ジフェニルジメトキシシ
ラン100部、フェニルトリメトキシシラン100部の混合物
に0〜10℃の温度下で0.05規定の希塩酸160部を滴下
し、加水分解してポリシロキサンを得た。このポリシロ
キサンにサンコロイドAMT−130S 800部を加えて室温で
3時間撹拌し、得られた乳白色微濁溶液に上記(3c)′
式のアルミニウムキレート化合物3部とエタノール400
部を加え、コーティング剤Bを調製した。
〔実施例3〕 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン400部、
テトラメトキシシラン250部、ジフェニルジメトキシシ
ラン200部の混合物に0〜10℃の温度下で0.05規定の希
塩酸240部を滴下し、加水分解してポリシロキサンを得
た。このポリシロキサンにアルミナゾル520(日産化学
社製、不揮発分10重量%のアルミナゾル)800部を加え
て室温で3時間撹拌し、得られた乳白色微濁溶液にアル
ミニウムトリアセチルアセトン10部とエタノール400部
を加え、コーティング剤Cを調製した。
〔実施例4〕 γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン300部、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン250
部、ジフェニルジメトキシシラン150部の混合物に0〜1
0℃の温度下で0.05規定の希塩酸160部を滴下し、加水分
解してポリシロキサンを得た。このポリシロキサンにNT
S−10R(日産化学社製、不揮発分10重量%のチタニアゾ
ル)300部を加えて室温で3時間撹拌し、得られた乳白
色微濁溶液にアルミニウムトリアセチルアセトン10部と
エタノール400部を加え、コーティング剤Dを調製し
た。
〔比較例〕
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン200部、
γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン200
部の混合物に0〜10℃で0.05規定の希塩酸60部を滴下
し、加水分解してポリシロキサンを得た。このポリシロ
キサンにメタノールシリカゾル(日産化学社製、不揮発
分30重量%)500部を加えて室温で10時間撹拌し、得ら
れた蛍光色溶液にアルミニウムトリアセチルアセトン5
部とエタノール400部を加え、コーティング剤Eを調製
した。
上記実施例及び比較例で得られたコーティング剤A〜E
をそれぞれアルカリ前処理済みのプラスチックレンズ
(CR−39)に浸漬法で塗布し、120℃で60分間硬化させ
て硬化被膜を形成した。
次に、この硬化被膜の性質を上記方法で測定し、コーテ
ィング剤の特性を評価した。
結果を第1表に示す。
第1表の結果より、本発明のコーティング剤は屈折率が
高く、染色性が良好で、かつ耐摩耗性、密着性、耐溶剤
性も良好であることが確認された。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83/04 83/06 LRS 8319−4J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)下記一般式(1) R1R2 aSi(OR3)3-a ・・・(1) (但し、式中R1は炭素数2〜8のエポキシ基を含む有機
    基、R2は炭素数1〜6のアルキル基,アルケニル基,ハ
    ロゲン化アルキル基又はアリール基、R3は水素原子又は
    炭素数1〜4のアルキル基,アルコキシアルキル基もし
    くはアシル基であり、aは0〜2の数である。) で示されるエポキシ基含有珪素化合物又はその部分加水
    分解物100重量部と、 (ロ)下記一般式(2) R4 bR2 cSi(OR3)4-b-c ・・・(2) (但し、式中R2,R3は上記(1)式と同様であり、R4
    炭素数6〜12のアリール基,ハロゲン化アリール基又は
    シリル化アリール基である。また、bは1〜3、cは0
    〜2で、b+cは1〜3の数である。) で示される芳香族基含有珪素化合物又はその部分加水分
    解物10〜80重量部と、 (ハ)酸化アンチモンゾル,アルミナゾル,チタニアゾ
    ルから選ばれる1種又は2種以上の無機微粒子5〜200
    重量部と、 (ニ)アルミニウム錯化合物0.1〜10重量部を配合して
    なることを特徴とするハードコーティング剤。
  2. 【請求項2】前記アルミニウム錯化合物が下記一般式
    (3) AlXnY3-n ・・・(3) (但し、式中Xは低級アルコキシ基、Yはβ−ジケトン
    類またはβ−ケトエステル類であり、nは0,1,2又は3
    である)で示される化合物である請求項1記載のハード
    コーティング剤。
  3. 【請求項3】前記アルミニウム錯化合物が である請求項2記載のハードコーティング剤。
  4. 【請求項4】請求項1記載のハードコーティング剤の硬
    化物の被膜が表面に形成された光学製品。
JP63137148A 1988-06-03 1988-06-03 ハードコーティング剤及び光学製品 Expired - Fee Related JPH0696691B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63137148A JPH0696691B2 (ja) 1988-06-03 1988-06-03 ハードコーティング剤及び光学製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63137148A JPH0696691B2 (ja) 1988-06-03 1988-06-03 ハードコーティング剤及び光学製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH01306477A JPH01306477A (ja) 1989-12-11
JPH0696691B2 true JPH0696691B2 (ja) 1994-11-30

Family

ID=15191939

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63137148A Expired - Fee Related JPH0696691B2 (ja) 1988-06-03 1988-06-03 ハードコーティング剤及び光学製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0696691B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05331304A (ja) * 1992-06-04 1993-12-14 Nikon Corp コーティング組成物およびそれで被覆されたレンズ
US20080286583A1 (en) * 2004-10-08 2008-11-20 Tokuyama Corporation Coating Composition and Production Process Thereof
JP5034301B2 (ja) * 2005-04-15 2012-09-26 Jsr株式会社 高屈折材料形成用組成物およびその硬化体、ならびに高屈折材料形成用組成物の製造方法
JP5188045B2 (ja) * 2006-08-30 2013-04-24 キヤノン株式会社 ナノ酸化物粒子及びその製造方法
JP5247016B2 (ja) 2006-08-31 2013-07-24 キヤノン株式会社 複合材料及び分散剤の製造方法
JP5236326B2 (ja) * 2008-03-21 2013-07-17 三井化学株式会社 ハードコート剤組成物、成形品、およびレンズ
JP5236325B2 (ja) * 2008-03-21 2013-07-17 三井化学株式会社 ハードコート剤組成物、成形品、およびレンズ
JP5976523B2 (ja) 2011-12-28 2016-08-23 富士フイルム株式会社 光学部材セット及びこれを用いた固体撮像素子
JP6139374B2 (ja) * 2013-10-24 2017-05-31 セイコーインスツル株式会社 コーティング剤、コーティング膜、およびコーティング剤の製造方法
DE102013222003A1 (de) 2013-10-29 2015-04-30 Evonik Industries Ag Mittel für die Versiegelungen von Licht-emittierenden Dioden
WO2020235524A1 (ja) * 2019-05-22 2020-11-26 株式会社カネカ 樹脂組成物、その製造方法、及び、多液型硬化性樹脂組成物
WO2021145064A1 (ja) * 2020-01-15 2021-07-22 株式会社カネカ 樹脂組成物、その製造方法、及び、多液型硬化性樹脂組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH01306477A (ja) 1989-12-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5566306B2 (ja) コーティング組成物、該組成物の製造方法、およびハードコート層を有する積層体
JPH02189380A (ja) ハードコーティング剤
GB1596107A (en) Coating compositions and articles coated therewith
JPH0459601B2 (ja)
JPH0696691B2 (ja) ハードコーティング剤及び光学製品
JPH09227830A (ja) コーティング組成物及び該組成物の硬化被膜を有する合成樹脂製レンズ
JPH05339541A (ja) コーティング組成物
JPS624074B2 (ja)
JP2725441B2 (ja) ハードコーティング剤及びプラスチック製光学製品
JP2001214121A (ja) コーティング剤組成物並びにコーティング方法及びコーティング物品
JP2882181B2 (ja) 光学物品
JPS6011727B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
JPS60213902A (ja) 合成樹脂製レンズ
JPS624060B2 (ja)
US7183004B2 (en) Coating composition and resin product having light transmitting property
JPS6154331B2 (ja)
JPH08311401A (ja) コーティング用組成物およびその製造方法および積層体
JPS6221030B2 (ja)
JP3079539B2 (ja) コーティング組成物及びこれが塗布されたプラスチック成形物
JPH0461327B2 (ja)
JP2000281970A (ja) 耐候性ハードコート組成物
JPS61166824A (ja) 硬化性樹脂組成物
JPH04126784A (ja) ハードコーティング剤及びプラスチック製光学製品
JPH07117601B2 (ja) ハードコーティング剤及びプラスチック製光学製品
JP2800236B2 (ja) 硬化膜

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees