JPH05172471A - 炉床回転式バッチ炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼成室内における温度分布及び雰囲気ガスの
均一化を容易に図ることができる炉床回転式バッチ炉を
提供する。 【構成】 被加熱物Ｓを収納して加熱する焼成室１と、
被加熱物Ｓを回転させる炉床テーブル２とを備えてなる
炉床回転式バッチ炉であって、被加熱物Ｓの最上部に積
み重ねて載置される炉内雰囲気ガスの撹拌用治具１０を
具備しており、この撹拌用治具１０には当該治具の回転
に伴って炉内雰囲気ガスを周囲に向かって送り出す羽根
１１を設けていることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は炉床回転式バッチ炉にか
かり、詳しくは、その焼成室内における温度分布を改善
するための技術に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、炉床回転式バッチ炉として
は、図３及び図４で示すように、被加熱物Ｓを収納して
加熱する焼成室１と、載置された被加熱物Ｓを焼成室１
内で回転させる炉床テーブル２とを備えたものが知られ
ており、この炉床テーブル２は回転動作のみならず昇降
動作をも行いうる構成とされている。すなわち、この被
加熱物Ｓは予め炉外において炉床テーブル２上に載置さ
れた後、この炉床テーブル２が上昇して焼成室１の下側
に設けられた被加熱物出入口（図示していない）を閉塞
するのに伴って焼成室１内に収納されたうえ、この焼成
室１内で回転させられながら所定の温度条件に従って加
熱されることになる。

【０００３】なお、この被加熱物Ｓが、例えば、サーミ
スタ製造用の円板状セラミックス成形体などである場合
には、これらを箱形とされた焼成用匣鉢（図示していな
い）内に収容したうえ、これらの焼成用匣鉢を互いに積
み重ねて炉床テーブル２上に載置するのが一般的となっ
ている。また、図３及び図４における符号３はその内部
に焼成室１が設けられた炉体、４は焼成室１内の所定位
置ごとに配置されたヒータであり、５，６のそれぞれは
炉体３を貫通して設けられた炉内雰囲気ガスの供給通路
及び排出通路である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来構
成とされた炉床回転式バッチ炉においては、加熱されて
比重の軽くなった炉内雰囲気ガスが対流によって上昇す
ることが起こるため、焼成室１内の下層部に比べて上層
部の方が高温となりやすく、この焼成室１内における温
度分布の不均一が生じることになる。そして、このよう
な温度分布の不均一が生じていると、焼成済みとなった
セラミックス成形体それぞれの特性が揃わないことにな
る結果、製品歩留まりの低下というような重大な不都合
の発生を招くことにもなってしまう。

【０００５】本発明は、このような不都合に鑑みて創案
されたものであって、焼成室内における温度分布の均一
化を容易に図ることができる炉床回転式バッチ炉の提供
を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、被加熱物を収納して加熱する焼成
室と、被加熱物を回転させる炉床テーブルとを備えてな
る炉床回転式バッチ炉であって、被加熱物の最上部に積
み重ねて載置される炉内雰囲気ガスの撹拌用治具を具備
しており、この撹拌用治具には当該治具の回転に伴って
炉内雰囲気ガスを周囲に向かって送り出す羽根を設けて
いることを特徴とするものである。

【０００７】

【作用】上記構成によれば、炉内雰囲気ガスの撹拌用治
具は被加熱物とともに炉床テーブルによって回転させら
れることになり、この撹拌用治具が回転すると、焼成室
内の上層部にある炉内雰囲気ガスは羽根の回転によって
かき乱されたうえ、その周囲に向かって送り出されるこ
とになる。そして、この撹拌用治具から送り出されてき
た炉内雰囲気ガスは焼成室の内壁面に衝突したうえ、こ
の内壁面に沿いながら焼成室内の下層部に向かって強制
的に流動させられることになる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【０００９】図１は本実施例にかかる炉床回転式バッチ
炉の概略構造を示す縦断面図であり、図２は図１のＡ−
Ａ線に沿う横断面図である。なお、この炉床回転式バッ
チ炉の全体構成は従来例と基本的に異ならないので、図
１及び図２において図３及び図４と互いに同一もしくは
相当する部品、部分には同一符号を付し、ここでの詳し
い説明は省略する。

【００１０】本実施例にかかる炉床回転式バッチ炉は、
被加熱物Ｓを収納して加熱する焼成室１と、被加熱物Ｓ
を焼成室１内で回転させる炉床テーブル２とを備えるほ
か、被加熱物Ｓの最上部に積み重ねて載置される炉内雰
囲気ガスの撹拌用治具１０を具備している。そして、こ
の撹拌用治具１０は、耐熱及び耐衝撃性に優れたムライ
トやアルミナあるいは炭化硅素、窒化硅素などを用いて
形成されたものであり、被加熱物Ｓ上に載置される中空
円板部１０ａと、この中空円板部１０ａ上の所定位置ご
とに離間配置されたうえで上向きに突設された羽根１１
とから構成されている。なお、このとき、羽根１１のそ
れぞれは、図で示すように、撹拌用治具１０の回転に伴
って炉内雰囲気ガスを周囲に向かって送り出しやすいよ
うに湾曲した形状とされていることが望ましい。

【００１１】ところで、本実施例においては、撹拌用治
具１０が一体形成されたものとして図示しているが、こ
れに限られるものではなく、例えば、図中の仮想線で示
すように分割されたものを互いに当てつけることによっ
て構成されるものであってもよいことは勿論である。ま
た、この撹拌用治具１０は被加熱物Ｓの最上部に載置さ
れているのであるから、この被加熱物Ｓが焼成用匣鉢の
積み重ね体である場合などには撹拌用治具１０がこれら
の荷崩れ防止用としても機能することになる。すなわ
ち、この炉床回転式バッチ炉においては、予め下降動作
させられて炉外に位置する炉床テーブル２上に被加熱物
Ｓが載置されたうえ、さらに、この被加熱物Ｓの最上部
に炉内雰囲気ガスの撹拌用治具１０が積み重ねて載置さ
れた後、被加熱物Ｓと撹拌用治具１０とは炉床テーブル
２の上昇動作に伴って焼成室１内に収納される。そし
て、この焼成室１内に収納された被加熱物Ｓは、炉床テ
ーブル２の回転動作により、例えば、図中の矢印Ｃ方向
に沿って回転させられながら所定の温度条件に従って加
熱されることになる。

【００１２】そこで、このとき、被加熱物Ｓ上に載置さ
れた撹拌用治具１０は被加熱物Ｓとともに炉床テーブル
２によって回転させられることになり、この撹拌用治具
１０が回転した際には、焼成室１内の上層部にある炉内
雰囲気ガスは羽根１１の回転によってかき乱されたう
え、その周囲に向かって送り出されることになる。さら
に、この撹拌用治具１０から送り出されてきた炉内雰囲
気ガスは焼成室１の内壁面１ａに衝突することになり、
この内壁面１ａに沿いながら焼成室１内の下層部に向か
って強制的に流動させられることになる。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる炉
床回転式バッチ炉においては、炉床テーブルによって回
転させられる被加熱物の最上部に炉内雰囲気ガスの撹拌
用治具を積み重ねて載置しており、この撹拌用治具が被
加熱物とともに回転するので、焼成室内の上層部にある
炉内雰囲気ガスは撹拌用治具に設けられた羽根の回転に
よってかき乱されたうえ、その周囲に向かって送り出さ
れることになる。そして、この撹拌用治具から送り出さ
れてきた炉内雰囲気ガスは焼成室の内壁面に衝突したう
え、内壁面に沿いながら焼成室内の下層部に向かって強
制的に流動させられることになる。

【００１４】したがって、本発明によれば、焼成室内の
上下方向における炉内雰囲気ガスの強制流動が確保され
ることになり、焼成室内における温度分布及び雰囲気ガ
スの均一化を容易に図ることができるという効果が得ら
れることになる。そこで、被加熱物がセラミックス成形
体などであった場合、焼成済みとなったセラミックス成
形体それぞれの特性が互いに揃うことになる結果、製品
歩留まりの向上が図れることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例にかかる炉床回転式バッチ炉の概略構
造を示す縦断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う横断面図である。

【図３】従来例にかかる炉床回転式バッチ炉の概略構造
を示す縦断面図である。

【図４】図３のＢ−Ｂ線に沿う横断面図である。

【符号の説明】

１ 焼成室 ２ 炉床テーブル １０ 撹拌用治具 １１ 羽根 Ｓ 被加熱物

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被加熱物（Ｓ）を収納して加熱する焼成
   室（１）と、被加熱物（Ｓ）を回転させる炉床テーブル
   （２）とを備えてなる炉床回転式バッチ炉であって、 被加熱物（Ｓ）の最上部に積み重ねて載置される炉内雰
   囲気ガスの撹拌用治具（１０）を具備しており、この撹
   拌用治具（１０）には当該治具の回転に伴って炉内雰囲
   気ガスを周囲に向かって送り出す羽根（１１）を設けて
   いることを特徴とする炉床回転式バッチ炉。