JPH05131642A - インク容器、これを用いた記録ヘツドユニツトおよびこれを搭載する記録装置 - Google Patents

インク容器、これを用いた記録ヘツドユニツトおよびこれを搭載する記録装置

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JPH05131642A
JPH05131642A JP3323906A JP32390691A JPH05131642A JP H05131642 A JPH05131642 A JP H05131642A JP 3323906 A JP3323906 A JP 3323906A JP 32390691 A JP32390691 A JP 32390691A JP H05131642 A JPH05131642 A JP H05131642A
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一浩 中島
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  • Table Devices Or Equipment (AREA)
  • Containers And Packaging Bodies Having A Special Means To Remove Contents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 周囲環境の変化や使用時等の姿勢によっても
インクもれが発生せず、インク貯蔵率が高いインク容器
を実現する。 【構成】 容器本体１は、その底壁１ａ上にポリウレタ
ンフォーム等からなる板状の多孔質体３が配設されてお
り、多孔質体３の部分以外は５枚の仕切板２ａ〜２ｅに
よって６個の室に区分されている。容器本体１の排出口
１ｄが形成された前面壁１ｂの外面には記録ヘッド５が
取付けられ、吐出口５ａと前記排出口１ｄとが連通され
ている。第１室６ａの空間部には大気連通孔４が開口さ
れており、前記排出口１ｄの近傍にまで多孔質体３が配
設されている。さらに、前記多孔質体３の延長部によっ
て各室は相互連通されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、筆記具、インクジェッ
ト記録装置、複写機またはファクシミリ等の記録装置に
おいて使用される液体であるインクを貯蔵可能なインク
容器、これを用いた記録ヘッドユニットおよびこれを搭
載する記録装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】インクジェット記録装置等に使用される
インク容器は、記録ヘッドから吐出されて消費されるイ
ンクの量に見合ったインクを良好に供給することができ
るとともに、非記録時等において、吐出口からのインク
漏れがないことが要求されるが、この要求に応えるイン
ク容器として下記（イ）、（ロ）および（ハ）のインク
容器が知られている。
【０００３】（イ）図１２に示すように、インク溜め２
０１が２つの分割壁２０２ａ，２０３ａにより３個の室
２０６，２０７，２０８に分割され、各室２０６，２０
７，２０８は分割壁２０２ａ，２０２ｂにそれぞれ設け
られた小径のオリフィス２０３ａ，２０３ｂにより相互
に接続されている。第１の室２０６の底部は、インク滴
発生器２０５にインクを給送するためのインク井戸２０
９に連通されており、第３の室２０８の底部は、滴下管
２１０の気泡生成オリフィス２０３ｃにより通気管２０
４によって大気と連通された溢れ溜め２１１と連通され
ている。
【０００４】このインクジェット・ペンでは、インク滴
発生器２０５より吐出されて消費されるインクの量に見
合うインクが、オリフィス２０３ａを通して第２の室２
０７から第１の室２０６へ供給されて行き、第２の室２
０７にはオリフィス２０３ｂを通して第３の室２０８か
ら供給される。その結果、第３の室２０８の内部気圧が
低下し、該内部気圧がしきい値に達すると、気泡生成オ
リフィス２０３ｃより空気が第３の室２０８内へ供給さ
れて第３の室２０８の内部気圧が自動的に調節され、こ
れにより第２および第１の室２０７，２０６の内部気圧
が制御される。他方、周囲環境の変化によりインク溜め
２０１内の圧力が高くなったときは、インクはインク滴
下管２１０を通して溢れ溜め２１１内へ流れ、インク滴
発生器２０５からもれることはない。
【０００５】（ロ）図１３に示すように、カートリッジ
本体３０１内に、そのほぼ全体に多孔質体３０３が収容
されており、多孔質体３０３にはインクが保持されてい
る。多孔質体３０３の一端側にはインク供給口３０５が
供給管３０６を介して連通されており、他端側の部位は
大気連通口３０４に連通されている。
【０００６】また、カートリッジ本体３０１のインク排
出口３０５から最も離れた壁面には図示しない複数のリ
ブが突設されており、該リブによりインク多孔質体３０
３に大気圧が作用する空間部が形成されている。
【０００７】このインク容器は、多孔質体３０３の毛管
力により、インク容器内の負圧力が制御され、インク供
給口３０５からのインクもれを生じない。
【０００８】（ハ）図１４に示すように、ペン本体４０
１は一次貯蔵部４０２と二次貯蔵部４０４からなり、両
貯蔵部を連通するインク流路４０６とプリントヘッド支
持部４０７および二次貯蔵部４０４との間に多孔質部材
４０３が配置されたインクジエット・ペン。このインク
ジェット・ペンはプリントヘッド４０５からインクが吐
出されると、インクは一次貯蔵部４０２から順次インク
流路４０６、多孔質部４０３を通してプリントヘッド４
０５へ供給され、一次貯蔵部４０２の内部圧力が下がる
と、空気が二次貯蔵部４０４から順次多孔質部材４０
３、インク流路４０６を通して一次貯蔵部４０２へ流れ
る。非記録時において温度変化等により一次貯蔵部４０
２の内部圧力が上昇すると、インクは一次貯蔵部４０２
から順次インク流路４０６、多孔質部材４０３を通して
二次貯蔵部４０４へ流れ、プリントヘッド４０５からイ
ンク漏出を防ぐ。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術のう
ち、（イ）は、複数の室が相互に小径のオリフィスによ
って連通されているので、インクにゴミなどが混入して
いる場合目詰まりを起し易い。また、周囲環境の変化に
よりインク溜め内の圧力が高くなったとき、インクはす
べて溢れ溜めに流れるので、予め溢れ溜めの容積を大き
くして通気管より外部へのインクの溢流を防止しなけれ
ばならない。加えて、使用時において、インク溜めの姿
勢によっては通気管より外部へインクが溢流し易いとい
う問題点がある。
【００１０】さらに、複数の室を連通する小径オリフィ
スは、吐出口からインクがもれないような、また、イン
クの効率的な供給を防げない大きさおよび形状でなけれ
ばならず製造に困難を伴う。
【００１１】（ロ）は、インクの保持を多孔質体に行な
わせているため、使用時の姿勢は制約されないが、カー
トリッジ本体の容積に対するインク貯蔵量、すなわちイ
ンク貯蔵率が低く、さらに、使用されずに残存するイン
ク量も多いといった解決すべき課題がある。また、イン
クの残存量を検知することが困難であるという解決すべ
き課題がある。
【００１２】（ハ）は、上述の如く温度変化によるプリ
ントヘッドからのインク漏出をある程度防ぐことは可能
であるが、二次貯蔵室の容積を一次貯蔵室に比較して小
さくすると一次貯蔵室からの流出するインクを収容しき
れず、二次貯蔵室からインクが漏出する。また、使用時
において、図示するようにプリントヘッドが下向きの場
合には問題はないが、横向きにした場合、インク残存量
が約半分以下になったときにはインクが供給されなくな
ってしまい、効率的にインクを使用しうる姿勢がかなり
限定される。
【００１３】すなわち、一次貯蔵室と二次貯蔵室の容積
比を適切な値にしないと温度変化等による内部圧力上昇
時にインク漏れが生じるとともに、使用時における姿勢
に対する制約が大きいという問題点がある。
【００１４】本発明は、上記従来の技術の有する問題点
や課題に鑑みてなされたものであって、周囲環境の変化
や使用時等の姿勢によってインクもれが発生せず、イン
ク使用効率が高いインク容器を実現することを目的とす
るものである。
【００１５】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のインク容器は、インクを貯蔵するためのイ
ンク容器において、容器本体が複数の仕切部材によって
区画された複数の室を有し、前記の室のうち容器本体の
一端の室は、前記インクを取出すための排出口と、空間
部を残し前記排出口近傍に配設された多孔質体と、前記
空間部に開口された大気連通口とを備え、前記多孔質体
の延長部によって前記複数の室が相互連通されているこ
とを特徴とするものである。
【００１６】また、前記大気連通孔を前記室の空間のほ
ぼ中央部位に開口させるとよい。さらに、容器本体を内
部のインクが視認可能な材料から構成してもよい。
【００１７】
【作用】本発明のインク容器は、容器本体の複数の室の
おのおのは、多孔質体を介して連通されているため、イ
ンクに混入したゴミ等によって目詰まりを起すことはな
く、後述するように、インクを取出すための排出口近傍
に多孔質体が配設されているため多孔質体の毛管力によ
り容器本体内の負圧力は良好に制御される。
【００１８】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【００１９】図１は第１実施例のインク容器の一部を破
断して示す模式斜視図であり、図２は第１実施例の模式
断面図である。
【００２０】なお、これらの図においては、インクを被
記録媒体である紙等に飛翔させて記録を行う記録ヘッド
５を接続した状態を示している。
【００２１】図１および図２に示すように、本実施例の
容器本体１は、その底壁１ａ上にスポンジ等からなる板
状の多孔質体３が配設されており、多孔質体３の部分以
外は５枚の仕切板２ａ〜２ｅによって第１室６ａから第
６室６ｆまでの６個の室に区分されている。この容器の
材質を視認可能な材質とすることができ、この場合には
インクの残量を知ることができる。
【００２２】容器本体１の排出口１ｄが形成された前面
壁１ｂの外面には記録ヘッド５が取付けられ、前面壁１
ｂに設けられた排出口１ｄと前記記録ヘッド５の吐出口
５ｄとが連通されている。容器本体１の一端の室である
第１室６ａの空間部には大気連通孔４が開口されてお
り、記録ヘッド５の取り付け時に前記排出口１ｄは近傍
にまで配された前記多孔質体３から記録ヘッド側へイン
クを供給することが可能なようになされている。
【００２３】すなわち、容器本体１の一端の室である第
１室６ａは、インクを取出すための排出口１ｄと空間部
を残し前記排出口１ｄの近傍にまで配設された多孔質体
３と前記空間部に開口された大気連通口４とを備え、前
記多孔質体３の延長部によって前記複数の室が相互連通
されている。
【００２４】大気連通孔４は、管状に形成して第１室６
ａの空間部のほぼ中央部位に突出して開口しているた
め、大気連通孔４が設けられている第１室６ａにインク
が溜った場合にインク容器をどのような姿勢にしても、
該第１室６ａの容積の半分以下までのインク量であれば
漏れ出すことはない。
【００２５】次に、本実施例のインク容器の記録時の動
作について、図４を参照して説明する。
【００２６】なお、本実施例のインク容器記録時に、図
４に示すように多孔質体３の少なくとも一部がインク容
器の最底部に配置されるような姿勢であればよく、効率
的にインクを使用しうる姿勢の自由度が大きい。
【００２７】初期状態においては該インク容器には、大
気連通孔４が開口された第１室６ａを除く全ての室がイ
ンクで満たされている。印字を行っていくと、図４
（Ａ）に示すようにインクは第１室６ａから最も近い室
から順に消費されていく。
【００２８】その理由は次のとおりである。インクが順
次排出口１ｄ、吐出口５ａを通して吐出されるのに伴
い、最も第１室６ａに近い第４室６ｄのインクが吐出量
に見合う分だけ多孔質体３を通して吸い出される。同様
にして第１室６ａ寄りの室から順にインクが供給される
ことにより、吐出口５ａに対して連続的にインクが供給
されていく。そして、インクが吸い出された分だけ空間
部が生じるが、この空間部には、大気連通孔４から供給
される空気が多孔質体３の中を通って供給される。こう
して第１室６ａ寄りの室から順にインクが消費されるの
である。なお、このときインクの排出口まで配された多
孔質体３で記録ヘッド５が連結されており、しかも各室
は多孔質体３の延長部で相互連通されているため、この
多孔質体３内に形成された微小な多数のメニスカスによ
ってインク容器内のインクは所定の負圧を維持してい
る。
【００２９】次に、非印字時におけるインクの状態維持
作用について説明する。周囲環境の変化、特に温度や周
囲の気圧の変化に伴って、インクは液体であるのでその
体積はほとんど変化しないが、空気は大きく膨張収縮す
る。例えば、図４（Ａ）の場合、温度が上昇したとき、
第４室６ｄの空気はインクによって外気と遮断されてい
るため、第４室６ｄの空気の膨張に伴い第４室６ｄ内の
インクは第３室６ｃ側へと押し出される。ところが第３
室６ｃ側に押し出されたインクは多孔質体３の中を第１
室６ａ方向に広がっていくため、その過程で第３室６
ｃ、第２室６ｂ内の空気は外気と遮断される。その結
果、さらに第４室６ｄの空気が膨張して、インクが第３
室６ｃ側に押し出されても、図４（Ｂ）に示すように、
押し出されたインクは第３室６ｃ、第２室６ｂ内にはほ
とんど入らずに大気連通孔４が開口している第１室６ａ
のみに移動する。
【００３０】このように第１室６ａに溢流するインク量
は、温度上昇前に１つの室内にインクと空気が存在する
室（例えば６ｄ）に在るインク量のみによって決定され
るため第１室６ａの容積は、第２室６ｂ以降の前述のイ
ンクと空気が存在する室のインクの容積に対して、想定
される温度および気圧の変動範囲に鑑みて所定の比率で
確保すれば良い。
【００３１】一方、図４（Ｂ）に示す状態から温度が低
下したときには、第２，３，４室６ｂ〜６ｄの空気が外
気と遮断さされているため、空気の収縮に伴い第１室６
ａに移動していたインクが逆に第２，３，４室６ｂ〜６
ｄに向かって吸い戻される。そして、最終的には、図４
（Ｃ）に示すように初期状態に復帰する。
【００３２】上述した非印字時におけるインク状態維持
作用は、他のどんな姿勢に対しても同様に機能する。た
だし、多孔質体３が図４の状態とは上下逆になった場合
は、温度上昇してもインク容器内のすべての空気は外気
とインクの移動なしに速やかに連通するため、インクの
第１室６ａへの溢流さえも起こらない。
【００３３】以上述べたように本実施例によると、あら
ゆる姿勢で温度変化や圧力変化に曝された場合にも元の
状態に復帰可能である。
【００３４】図３は第２実施例のインク容器の模式断面
図であって、本実施例は、多孔質体１３が、第５の仕切
板１２ｅの開放端と容器本体１１の底壁１１ａとの間ま
で延在しているが、底壁１１ａの第６室６ｆに面する部
位には配設されていない点で、上記図４に示す第１実施
例と異なるのみで、その他の部分は第１実施例と同様で
ある。
【００３５】本実施例では、排出口１１ｄが上になるよ
うな向きで印字を行なう場合に第６室６ｆのインクが残
存することを除けば実施例１と全く同様に動作し、この
様な向き以外では、多孔質体１３の体積が少ない分第１
実施例のものより残存するインクを少なくすることがで
きる。
【００３６】本発明の容器は、記録ヘッドとは別体のカ
ートリッジタイプのものとすることができる。次にその
実施例について説明する。
【００３７】図５は第３実施例のインク容器を示す模式
断面図であって、容器本体２１の前面壁２１ｂに設けら
れた排出口２１ｄは、内方に向かって突設された筒状の
弁ガイド２９で囲まれている。弁ガイド２９の解放端は
多孔質体２３によって覆われており、排出口２１ｄは押
さえばね２７で常時排出口２１ｄに向けて押圧されたボ
ール２８によって閉鎖されている。そしてインク等の液
体が供給されるヘッド等の一部によって接続時に開放さ
れる。
【００３８】図６は第４実施例のインク容器を示す模式
断面図であって、容器本体３１の排出口３１ｄは、排出
口３１ｄ近傍に配された多孔質体３３により常時排出口
３１ｄに向けて押圧されたボール３８で閉鎖されてい
る。
【００３９】図７は第５実施例のインク容器を示す模式
断面図であって、容器本体４１の排出口４１ｄは、閉鎖
シート４８で閉鎖されており、使用時に剥すかあるいは
不図示のヘッドのインク導入部によって突き破ることに
よってインク供給可能となる。
【００４０】次に、多孔質体の配設部位および形状の変
形例について、図８、図９および図１０を参照して説明
する。
【００４１】図８において、（Ａ）は上述の各実施例に
示したものと同じ配設位置および形状の多孔質体５３ａ
を有する容器本体５１ａであって、図示と逆さま（すな
わち、多孔質体５３ａが上になる）の姿勢以外はすべて
動作が可能である。
【００４２】（Ｂ）は（Ａ）のものを９０度ずらせて配
設した多孔質体５３ｂを有する容器本体５１ｂであっ
て、図示左面が下となる向き以外はすべて動作が可能で
ある。
【００４３】（Ｃ）はＬ字状の多孔質体５３ｃを有する
容器本体５１ｃであって、どのような姿勢でも動作可能
である。
【００４４】（Ｄ）はコ字状の多孔質体５３ｄを有する
容器本体５１ｄであって、どのような姿勢でも動作可能
である。
【００４５】図９において、（Ａ）は容器本体６１ａの
１隅に棒状の多孔質体６３ａを配設したもの、（Ｂ）は
容器本体６１ｂの１壁面の中央部に棒状の多孔質体６３
ｂを配設したものを示す。（Ｃ）は容器本体６１ｃの１
壁面上の２隅に棒状の多孔質体６３ｃをそれぞれ配設し
たものであり、あらゆる姿勢でも動作可能である。
【００４６】図１０において、（Ａ）は容器本体７１ａ
の図示底壁が傾斜面となっており、該傾斜面に沿って多
孔質体７３ａを配設したものを示し、（Ｂ）は容器本体
７１ｂの図示底壁および右側壁が傾斜面となっており、
その隅部に三角柱状の多孔質体７３ｂを配設したものを
示し、（Ｃ）は容器本体７１ｃが円筒状のものであり、
その内周面に多孔質体７３ｃを配設した例を示す。
【００４７】以上の各実施例において室数は６の場合に
ついて説明したが、室数は２以上の任意数を選択するこ
とができる。ただし、大気連通孔４が開口している第１
室には初期状態ではインクを入れないため、室数が少な
いとインク貯蔵率が余りあがらない。一方、室数が多過
ぎる場合にはインク容器内の仕切り板の占める体積が相
対的に増大し、インク貯蔵率は低下する。これらの条件
を考慮し、最適な室数を選択することが望ましい。
【００４８】また、各室の容積は任意でもよいが、初期
にインクで満たされるインク室の最大容積の０．６倍以
上の容積が大気連通孔が開口している第１室に必要であ
る。これは、通常インクタンクが使用もしくは保存され
ると考えられる温度範囲でのタンク内気体の膨張、収縮
によるインク漏れ防止を保証するものである。さらに、
初期にインクで満たされた室の大きさは、インクの供給
を良好にするために、ほぼ均等か、第１室から遠い室ほ
ど大きくすることができる。
【００４９】次に、本発明のインク容器に用いる多孔質
体に関して詳細に説明する。
【００５０】この多孔質体としてはポリウレタンフォー
ムを用いることが望ましい。ポリウレタンフォームを製
造する方法としては、例えば、ポリエーテルポリオール
とポリイソシアネートと水とを反応させ（その他、所望
の発泡助剤、触媒、着色剤、添加剤等を使用できる）、
多数の空孔を有する高分子化合物を合成し、これを必要
なサイズ（ブロック）に切断し、このブロツクを燃焼ガ
ス雰囲気下に浸し、ガスを爆発させることによってセル
間の膜状物質を除去する方法が望ましい。
【００５１】表１に、種々の空孔量ｐの多孔質体（ポリ
エーテル系ポリウレタンフォーム）が挿入されたインク
タンクの各々について必要特性を評価した結果を示す。
【００５２】なお、この評価を行ったインクタンクは本
発明の第一実施例として説明したインク容器であり、図
２にその模式断面図を示す。図２において、吸収体は排
出口１ｄを覆い、第１室６ａから第６室６ｆまで相互連
通すべく挿入されているが、仕切板２ａ〜２ｅの底面と
容器本体１の底壁１ａによって隙間なく挟み込まれてい
ることが必要である。ここで、容器本体１の底壁１ａよ
り仕切板２ａ〜２ｅの底面までの距離をＴ1 、挿入前の
多孔質体の厚みをＴ2 としたとき多孔質体が挟み込まれ
ている状態はＴ2 ／Ｔ1 （以下圧縮比：Ｋとする）の比
で表すことができる。すなわち、Ｋが１より大きいとき
は仕切板および容器本体１の底壁により多孔質体に一定
の圧力が加わった状態となっており、Ｋが１より小さい
時は多孔質体と仕切板あるいは底壁との間に隙間が発生
しており、この場合以下に説明するように本発明の動作
機能に支障をきたす。
【００５３】例として仕切板２ａの底面において、Ｋ＝
０．８の値をとった場合、仕切板２ａの底面と底壁と多
孔質体との間に間隙があいていることになり、第１室の
空気が第２室へ、また第２室のインクが第１室へといっ
た気体と液体での変換が発生してしまう。この状態にお
いて周囲環境の変化特に空気が加温膨張した時に同体積
分のインクが第２室より第１室へと移動するが、あらか
じめ第１室へインクが存在してしまうとこれらを合わせ
たインク量が第１室の体積を越えてしまう結果として大
気連通孔４よりインク漏れが発生するおそれがある。ま
た、Ｋの値があまり大きすぎてもインクや空気に対する
流体抵抗が増大し、また多孔質体のインク保持力が過大
となり多孔質体においてインクが多く残存するといった
ことも生じてしまう。
【００５４】一方、タンクのインクを取り出すための排
出口近傍の多孔質体の空孔量も動作特性を規定する要素
である。前述の多孔質体が排出口近傍の容器の壁によっ
て所定の圧縮がなされるように構成することにより、所
望の空孔量に設定することが可能である。以下に評価結
果を示す。
【００５５】空孔量Ｐとは多孔質体１ｉｎｃｈ中のセル
数を示しており、本発明の特性評価は仕切り板とインク
タンク底板によって挟まれた部分の圧縮比：Ｋ＝１．５
一定として、空孔量を変化させた多孔質体の特性を下記
の項目にて評価した。表１．における未圧縮部とは
仕切り板による圧力が加わっていない部分のことであり
長手方向において挟み込まれている部分の約７倍の大き
さである。
【００５６】インク供給応答性能 記録を行う時にインクタンクに接続された記録ヘッドへ
過不足無くインクを供給することができるかを表す特性
であり、約１００ｐｌのインクを吐出するノズルが６０
ノズル配列された記録ヘッドにて、４ｋＨｚの吐出周波
数で普通紙上に６０ノズル全吐出を行い（以下ベタ印字
記録とする）、Ａ４サイズ５枚記録可能であったものを
〇、５枚記録中に不吐出の発生したものを×とした。
【００５７】振動耐久性能 上記と同じ記録ヘッドが接続されたインクタンクを縦
置き（記録ヘッドが下側）にした状態で２Ｇ／１０Ｈｚ
の振動を１時間加え、ノズルあるいは大気連通孔よりイ
ンク漏れの無きものを○、漏れの発生したものを×とし
た。
【００５８】
【表１】 次に、本発明のインク容器を適用した図１１に示すイン
クジェット記録装置について説明する。
【００５９】記録ヘッド１０３と上記第３実施例のイン
ク容器とを接合した記録ヘッドユニットを搭載したキャ
リッジ１０１はガイド軸１０４および螺旋溝１０５ａを
もつリードスクリュ１０５に案内され、キャリッジ１０
１上には、本発明のインク容器が内装されたインク容器
カセット１０２を装着することが可能である。ちなみ
に、記録ヘッド１０３側には、図示しない棒体が設けら
れており、インク容器カセット１０２を一体化した際
に、前記棒体の先端部が容器本体１の排出口３内に挿入
されてボール２８を押えばね２７の弾発力に抗して押圧
し、排出口２５ａを解放するように構成されている。
【００６０】リードスクリュ１０５は、正逆回転する駆
動モータ１０６によって歯車列１０６ａ，１０６ｂ，１
０６ｃ，１０６ｄを介して正逆回転され、その螺旋溝１
０５ａに先端部が係合したキャリッジ１０１に設けられ
ているピン（図示せず）を介してキャリッジ１０１を矢
印方向および反矢印方向へ往復移動させる。駆動モータ
１０６の正逆回転の切換は、キャリッジ１０１がホーム
ポジションにあることをキャリッジ１０１に設けられた
レバー１１５とフォトカプラ１１６とで検出することに
より行なう。
【００６１】他方、被記録媒体である記録紙１０９は、
プラテン１０７に押え板１０８によって押圧され、紙送
りモータ１１０によって駆動される紙送りローラ（図示
せず）によって記録ヘッドに対向するように搬送され
る。
【００６２】回復ユニット１１１は、記録ヘッド１０３
の吐出口に付着した異物や粘度の高くなったインクを除
去して、吐出特性を正規の状態に維持するために設けら
れたものである。
【００６３】回復ユニット１１１は、吸引手段（図示せ
ず）に連通されたキャップ部材１１３を有し、記録ヘッ
ド１０３の前記吐出口をキャッピングして吸引すること
により、吐出口に付着した異物や粘度の高くなったイン
クを除去する。また、回復ユニット１１１とプラテン１
０７の間には、案内部材１１２に案内されて記録ヘッド
１０３の吐出口面の走行経路上に向けて前進、後退する
クリーニングブレード１１４が配設されており、該クリ
ーニングブレード１１４の先端で前記吐出口面に付着し
た異物やインク滴をクリーニングできるように構成され
ている。
【００６４】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中で熱エネルギーを利用して飛翔液滴を形成し、記録を
行うインクジェット記録方式の記録ヘッド、記録装置に
於いて、優れた効果をもたらすものである。
【００６５】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されており、本発明はこれらの基
本的な原理を用いて行なうものが好ましい。この記録方
式は所謂オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれ
にも適用可能である。
【００６６】この記録方式を簡単に説明すると、液体
（インク）が保持されているシートや液路に対応して配
置されている吐出エネルギー発生手段である電気熱変換
体に、記録情報に対応して液体（インク）に核沸騰現象
を越え、膜沸騰現象を生じる様な急速な温度上昇を与え
るための少なくとも一つの駆動信号を印加することによ
って、熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用
面に膜沸騰を生じさせる。この様に液体（インク）から
電気熱変換体に付与する駆動信号に一対一対応した気泡
を形成出来るため、特にオンデマンド型の記録法には有
効である。この気泡の成長、収縮により吐出孔を介して
液体（インク）を吐出させて、少なくとも一つの滴を形
成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切
に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性に優れ
た液体（インク）の吐出が達成でき、より好ましい。こ
のパルス形状の駆動信号としては、米国特許第４４６３
３５９号明細書、同第４３４５２６２号明細書に記載さ
れているようなものが適している。なお、上記熱作用面
の温度上昇率に関する発明の米国特許第４３１３１２４
号明細書に記載されている条件を採用すると、更に優れ
た記録を行なうことができる。
【００６７】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体を組み合わせた構成（直線状液流路又は直角液流路）
の他に、米国特許第４５５８３３３号明細書、米国特許
第４４５９６００号明細書に開示されている様に、熱作
用部が屈曲する領域に配置された構成を持つものにも本
発明は有効である。
【００６８】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出孔とする構成を開
示する特開昭５９年第１２３６７０号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭５９年第１３８４６１号公報に基づいた
構成のものにおいても本発明は有効である。
【００６９】さらに、本発明が有効に利用される記録ヘ
ッドとしては、記録装置が記録可能である記録媒体の最
大幅に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドが
ある。このフルラインヘッドは、上述した明細書に開示
されているような記録ヘッドを複数組み合わせることに
よってフルライン構成にしたものや、一体的に形成され
た一個のフルライン記録ヘッドであっても良い。
【００７０】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【００７１】また、本発明の記録装置に、記録ヘッドに
対する回復手段や予備的な補助手段を付加することは、
記録装置を一層安定にすることができるので好ましいも
のである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対
しての、キャピング手段、クリーニング手段、加圧或は
吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子、或
はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別
の吐出を行なう予備吐出モードを行なう手段を付加する
ことも安定した記録を行なうために有効である。
【００７２】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみを記録するモードだけではなく、記録
ヘッドを一体的に構成したものか、複数個の組み合わせ
で構成したものかのいずれでも良いが、異なる色の複色
カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一つを
備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【００７３】本発明において、上述した各インクにたい
して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行する
ものである。
【００７４】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファ
クシミリ装置の形態を採るものであってもよい。
【００７５】
【発明の効果】本発明は上述のように構成されているの
で、以下に記載するような効果を奏する。
【００７６】複数の室は多孔質体により相互に連通され
ているため、周囲環境の変化や使用時の姿勢によってイ
ンクもれが発生せず、しかも、インク貯蔵率が高く小型
化が可能となる。
【００７７】また、印字に適切な負圧を製造容易な構成
で実現することができる。
【００７８】さらに、インク容器本体を内部のインクが
視認可能な材料で構成すると、残存インクを視認するこ
とも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】第１実施例を一部破断して示す模式斜視図であ
る。
【図２】第１実施例の模式断面図である。
【図３】第２実施例の模式断面図である。
【図４】第１実施例の動作を示す説明図である。
【図５】第３実施例の模式断面図である。
【図６】第４実施例の模式断面図である。
【図７】第５実施例の模式断面図である。
【図８】本発明のインク容器の多孔質体の形状および配
設部位の変形例を示す模式断面図である。
【図９】本発明のインク容器の多孔質体の形状および配
設部位の変形例を示す模式断面図である。
【図１０】本発明のインク容器の多孔質体の形状および
配設部位の変形例を示す模式断面図である。
【図１１】本発明のインク容器を搭載したインクジェッ
ト記録装置の一例を示す斜視図である。
【図１２】従来のインクジェット・ペンを示す断面図で
ある。
【図１３】従来のインク容器カセットを示す断面図であ
る。
【図１４】従来の他のインクジェット・ペンを示す断面
図である。
【符号の説明】
１ 容器本体 １ｄ 排出口 ２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ，２ｅ 仕切板 ３ 多孔質体 ４ 大気通気孔 ５ 記録ヘッド

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 インクを貯蔵するためのインク容器にお
    いて、容器本体が複数の仕切部材によって区画された複
    数の室を有し、前記の室のうち容器本体の一端の室は、
    前記インクを取出すための排出口と、空間部を残し前記
    排出口近傍に配設された多孔質体と、前記空間部に開口
    された大気連通口とを備え、前記多孔質体の延長部によ
    って前記複数の室が相互連通されていることを特徴とす
    るインク容器。
  2. 【請求項２】 大気連通孔が空間部のほぼ中央部位に開
    口された請求項１記載のインク容器。
  3. 【請求項３】 容器本体は、内部のインクが視認可能な
    材料から構成された請求項１乃至２のいずれか１項記載
    のインク容器。
  4. 【請求項４】 請求項１乃至３項いずれか１項記載のイ
    ンク容器を備え、前記インク容器の排出口と連通された
    液路を有し、前記液路に設けられた吐出エネルギ発生手
    段によりインクを吐出させる吐出部を有する記録ヘッド
    を備えた記録ヘッドユニット。
  5. 【請求項５】 請求項４記載の記録ヘッドユニットを搭
    載するキャリッジと、吐出エネルギ発生手段に電気信号
    を供給する手段と、記録ヘッドに対向するように被記録
    媒体を搬送するための搬送装置を備えた記録装置。
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