JPH05121390A - 酸の除去方法 - Google Patents

酸の除去方法

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JPH05121390A
JPH05121390A JP3308268A JP30826891A JPH05121390A JP H05121390 A JPH05121390 A JP H05121390A JP 3308268 A JP3308268 A JP 3308268A JP 30826891 A JP30826891 A JP 30826891A JP H05121390 A JPH05121390 A JP H05121390A
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Hideo Ito
秀男 伊藤
Mitsutoshi Ubukawa
満敏 生川
Kazuhiro Sakai
一弘 堺
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KOUJIYUNDO SILICON KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 シリコン塊の酸洗浄後、該シリコン塊を純水
蒸気中に保持し、シリコン塊上に生じた凝結水により洗
浄することによる該酸の除去方法。 【効果】 本発明によれば、シリコン塊に残留する酸の
除去を数分間で行なうことができる。このため、シリコ
ン塊の洗浄時間を大幅に短縮することができる。また、
本発明によれば、大量の浸漬水が不要となるため、純水
および浸漬槽のスペースを節約することができ、経済的
にも極めて有利である。さらに蒸気との接触によってシ
リコン塊の温度が高められるので、次工程の乾燥時間も
短縮することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコンに付着した酸
の除去方法に関する。より特定すれば、本発明は、シリ
コン塊、特に多結晶シリコン塊を酸を用いてエッチング
洗浄した後、該シリコン塊に付着した酸を速やかに除去
する方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】高純度多結晶シリコンの製造
においては、シリコンを棒状に成長させた後、これを適
当な大きさに切断/破砕して円柱状塊(「チャンク」と
称される)または小塊(「ランプ」と称される)とした
後、その洗浄を行なう。洗浄は、通常、フッ化水素酸と
硝酸とを主な成分とするエッチング液でエッチングして
表面に付着した不純物および酸化被膜を除去し、次いで
エッチング液を純水で洗い落とすことにより行なわれ
る。この後、シリコン塊は乾燥工程に移される。エッチ
ング液は酸を含有するため、清浄なシリコン塊を得るた
めにはその除去を可能な限り完全に行なう必要がある。
しかし、上記のようにして得られたシリコン塊は、微細
なレベルでは複雑な表面形状を有するため、単なる洗浄
では塊表面へ付着あるいは浸透した酸の除去が十分には
行なわれない。このため、シリコン塊を純水浴に浸漬し
て酸を除去する方法が行なわれる。この方法は技術的に
単純であるという利点は有するが、洗浄工程に長時間を
要することになる。現状では洗浄水を途中数回交換し一
晩浸漬して洗浄後の残留硝酸イオン量を実用レベルまで
減少させている。また、浸漬洗浄では浸漬槽のために大
きなスペースを必要とし、大量の純水を製造あるいは回
収する必要がある。なおかつ、自然拡散によって酸を除
去するため、塊の形状によっては酸の除去が十分ではな
いという問題があった。このため、短時間で、より少量
の純水を使用して酸の除去を行ない作業工程を合理化す
ることが求められていた。
【0003】
【問題解決に至る知見】こうした目的を達成するため、
発明者らは、シリコン塊を複数の洗浄槽に繰り返し浸漬
する方法、洗浄槽の水温を熱水とする方法、洗浄槽内に
おける超音波洗浄等、種々の方法を試みた。しかし、い
ずれの方法でも有意な改善は達成されなかった。ところ
が、乾燥工程に至る前処理として蒸気による予熱を試み
たところ、予想外にも極めて短時間で効率的な酸の除去
が行なえることが見出され、本発明を完成するに至っ
た。
【0004】
【発明の構成】すなわち、本発明は、該シリコン塊を純
水蒸気中に保持し、シリコン塊上に生じた凝結水により
洗浄することによる該酸の除去方法を提供する。本発明
の適用可能なシリコン塊は、酸の除去が困難でありかつ
酸の除去が必要とされるシリコン塊である。こうした見
地から、多結晶シリコンのチャンクおよびランプの洗浄
に本発明は特に有効である。塊の形状は、蒸気の侵入を
妨げない限りにおいて特に限定されない。純水蒸気は、
純水を常法にしたがって加熱することによって発生させ
る。蒸気の量は、蒸気がシリコン塊上で凝結しかつ凝結
水が順次更新される程度とする。たとえば、常圧下約1
00℃の蒸気中に常温の塊を搬入する場合、蒸気室単位
体積(1リットル)あたりおよそ0.5g/minの蒸
気発生があればよい。蒸気の温度は、通常、その系にお
ける水の沸点程度である。圧力は特に限定されないが、
装置構成を簡単にするため、外圧の1〜数倍程度である
ことが好ましい。シリコン塊の品質の劣化を招かない限
りにおいて、加熱または加圧した蒸気を用いてもよい。
シリコン塊は水蒸気中に保持するが、その態様は特に限
定されない。蒸気を充満させた室内に保持してもよく、
また、シリコン塊全体が蒸気に包まれるような条件で蒸
気を吹き当ててもよい。好ましくは、水蒸気の凝縮が速
やかに進行するようにシリコン塊を水蒸気気流中に保持
する。シリコン塊は、たとえば、汚染源にならない材質
でできた網の上やカゴに載せるなどして保持することが
できる。保持時間は、残留している酸の絶対量、塊の形
状にもよるが、目安としてはシリコン塊の表面が凝縮水
により濡れる程度でよい。通常、その時間は数分間程度
であり、従来の浸漬洗浄と比べ飛躍的に洗浄時間が短縮
される。
【0005】本発明においては、純水蒸気がシリコン上
で凝結し、酸がシリコン表面層から該凝結水に移動し、
さらに該酸を溶解した凝結水がシリコンから離れる過程
が順次行なわれることが本質的に重要であり、温度、水
蒸気の流量、保持時間等は、こうした過程が達成できる
かどうかによって決定されることが注意されなければな
らない。本発明の効果が何に起因するものであるかにつ
いては、水蒸気分子がシリコンの微細な表面構造(凹凸
やクラックと呼ばれる「ひび」など)に侵入し、該部分
に付着していた酸を溶解する;水蒸気凝結時に発生した
熱がシリコン表面またはそこに滞留するガスを局所的に
膨張させ酸の除去を容易にする;などの機構が考えられ
るが、詳細は定かではない。しかしながら、後述の実施
例と比較例との対比から明らかなように、本発明では数
分間で酸の除去が達成されておりその効果は顕著であ
る。
【0006】酸の除去は、本発明の効果を妨げない限り
において既知の方法と組み合わせて行なってもよい。具
体的には、本発明の洗浄に先立って予備洗浄を行なうこ
とが好ましい。この場合、本発明の効果を妨げない程度
に乾燥した後、蒸気洗浄を行なう。また、凝結水を洗い
落とすために後洗浄を行なってもよい。
【0007】
【発明の具体的開示】
【実施例1】60%硝酸と50%フッ酸を9:1の容量
比で混合した酸を約10リットル入れた酸洗槽および純
水約15リットルを入れた水洗槽7槽を用意した。シリ
コンランプ約3kgを樹脂製カゴに入れ、酸洗槽に約4
0秒間浸した後、水洗槽により予備洗浄を行なった。水
洗方法としては、10秒間浸漬し5秒間引き上げる操作
を1槽あたり2分間繰り返し、これを7槽について順次
行なった。その後、純水を入れ加熱してあらかじめ純水
の蒸気を生じさせてある市販のステンレス製蒸し器の中
に、前記のシリコンランプをカゴごと入れ、これを蒸気
中に5分間保持した。その後、凝縮水を約4リットルの
純水を用いて洗い落とした。シリコン塊に残留している
硝酸を定量するため、7リットルの純水に上記シリコン
ランプをカゴごと一晩浸漬した。浸漬終了後、浸漬水中
の硝酸イオン濃度を硝酸イオン電極で測定した。結果は
検出限界である0.1ppm以下であった。
【0008】
【比較例1】本発明の上記洗浄を行なわない他は実施例
1と全く同様にしてシリコンランプの洗浄を行なった。
実施例1と同様にシリコンランプに残留する酸の定量を
行なったところ、硝酸イオン濃度は0.50ppmであ
った。
【0009】
【比較例2】従来法にしたがってシリコンランプの洗浄
を行なった。具体的な手順は以下のとおりである。60
%硝酸と50%フッ酸を9:1の容量比で混合した酸を
約10リットル入れた酸洗槽および純水約15リットル
を入れた水洗槽2槽を用意した。シリコンランプ約3k
gを樹脂製カゴに入れ、酸洗槽に約40秒間浸した後、
水洗槽により予備洗浄を行なった。水洗方法としては、
10秒間浸漬し5秒間引き上げる操作を1槽あたり2分
間繰り返し、これを2槽について行なった。その後、上
記シリコンランプを7000リットルの純水中にカゴご
と一晩浸漬した。ただし、槽内の純水は、4時間おきに
3回、全量を入れ替えた。シリコン塊に残留している硝
酸を定量するため、7リットルの純水に上記シリコンラ
ンプをカゴごと一晩浸漬した。浸漬終了後、浸漬水中の
硝酸イオン濃度を硝酸イオン電極で測定した。結果は
0.34ppmであった。
【0010】
【比較例3】本発明の上記洗浄に代えて75℃の温水に
5分間浸漬した他は実施例1と全く同様にしてシリコン
ランプの洗浄を試みた。実施例1と同様にシリコンラン
プに残留する酸の定量を行なったところ、硝酸イオン濃
度は0.51ppmであり、温水浸漬による効果は全く
見られなかった。
【0011】
【比較例4】従来法において本発明と同程度の洗浄効果
を達成するために、比較例2の純水浸漬工程において、
槽内の純水の入替えを2時間おきに5回、全量を入替え
て行なった。他の手順は比較例2と同様とした。同様に
硝酸イオン濃度を定量した結果は、検出限界である0.
1ppm以下であった。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、従来十数時間を要して
いた酸の除去を数分間で行なうことができるため、シリ
コン塊の洗浄時間を大幅に短縮することができる。ま
た、本発明によれば、大量の浸漬水が不要となるため、
純水の使用量および浸漬槽のスペースを節約することが
でき、経済的にも極めて有利である。さらに蒸気との接
触によってシリコン塊の温度が高められるので、次工程
の乾燥時間も短縮することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコン塊の酸洗浄後、該シリコン塊を純
    水蒸気中に保持し、シリコン塊上に生じた凝結水により
    洗浄することによる該酸の除去方法。
JP3308268A 1991-10-29 1991-10-29 酸の除去方法 Pending JPH05121390A (ja)

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