JPH06336685A - ステンレス研磨製品の製造方法及び製造装置 - Google Patents

ステンレス研磨製品の製造方法及び製造装置

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JPH06336685A
JPH06336685A JP12688293A JP12688293A JPH06336685A JP H06336685 A JPH06336685 A JP H06336685A JP 12688293 A JP12688293 A JP 12688293A JP 12688293 A JP12688293 A JP 12688293A JP H06336685 A JPH06336685 A JP H06336685A
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polishing
strip
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Takashi Sato
孝 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】模様状欠陥の発生を防止すると共に耐食性を向
上するステンレス研磨製品の製造方法を提供する。 【構成】ステンレス鋼帯30を研磨装置44で表面研磨
し、次に脱脂装置46で表面の研磨油を除去する。次
に、ステンレス鋼帯30の表面に残留した研磨油と脱脂
液を洗浄装置48により洗浄水で洗い流し、ステンレス
鋼帯30の表面が洗浄水で濡れたままの状態で硝酸浸漬
装置50の硝酸水溶液に浸漬する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス研磨製品の
製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2を参照して、従来のステンレス研磨
製品の製造方法を説明する。ステンレス研磨製品製造装
置10のペイオフリール12から供給されたステンレス
鋼帯30は、研磨装置14で表面研磨された後、脱脂装
置16で表面の研磨油が除去され、表面に残留した研磨
油と脱脂液が洗浄装置18により洗い流される。その
後、ステンレス鋼帯30は、乾燥装置20で乾燥され、
テンションリール22に巻き取られる。
【0003】ところで、周知のように、ステンレス鋼は
表面に不働態皮膜が形成されるため高い耐食性を有して
いる。しかし、ステンレス研磨製品では、研磨工程の際
に、この不働態皮膜が一旦除去されてしまう。その後、
大気中で不働態皮膜が再び徐々に表面に形成され、ステ
ンレス鋼の耐食性が回復する。しかし、研磨や脱脂洗浄
の操業条件の変動等により、研磨焼けと呼ばれるテンパ
ーカラーが発生したり、研磨のスラジや脱脂液等の異物
が表面に残留することがあり、これらの場合は、不働態
皮膜の形成が不十分なものとなるため耐食性が低下す
る。一方、テンパーカラーの発生や上記異物の残留を防
止するために、研磨や脱脂洗浄の操業条件の変動を皆無
にすることは困難である。
【0004】そこで、研磨や脱脂洗浄の操業条件が変動
してもテンパーカラーの発生等を防止してステンレス研
磨製品の耐食性を確実に向上させる方法として、研磨後
のステンレス鋼帯を硝酸水溶液に浸漬(以下、硝酸浸漬
という。)もしくは硝酸水溶液中で電解処理(以下、硝
酸電解という。)する方法が提案されている(例えば、
特開平1−208484号公報参照)。この方法によれ
ば、ステンレス鋼帯の表面は、研磨ラインの出側で一旦
乾燥装置で乾燥されるか又は自然に乾燥されてドライの
状態にされる。その後、ステンレス研磨ラインとは別の
設備で、研磨後のステンレス鋼帯の硝酸浸漬、硝酸電解
が行なわれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、表面がドラ
イの状態でステンレス鋼帯を硝酸電解又は硝酸浸漬する
と、表面にしばしば模様状欠陥が発生する。表面に模様
状欠陥が発生すると、意匠性製品としてのステンレス研
磨製品の商品価値を損ねてしまうという問題がある。一
方、研磨後のステンレス鋼帯に硝酸電解又は硝酸浸漬を
施さないと、上述のように、テンパーカラー等により不
働態皮膜の形成が不十分なものとなるため耐食性が低下
するという問題がある。
【0006】本発明は、上記事情に鑑み、模様状欠陥の
発生を防止すると共に耐食性を向上するステンレス研磨
製品の製造方法及び製造装置を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、従来から行われている研磨後の硝酸浸
漬又は硝酸電解での模様状欠陥の発生現象を調査した。
この結果、脱脂液等を洗浄水で洗い流してもステンレス
鋼帯の表面の一部に、洗浄水に混入した脱脂液等が残留
することがあり、この場合、その後の乾燥工程で表面に
部分的に脱脂液の濃化現象が起こる。この結果、硝酸浸
漬や硝酸電解による酸洗作用が鋼帯表面内で不均一に起
こり、これにより表面に模様状欠陥が発生することが判
明した。即ち、脱脂液等が混入した洗浄水の水滴は乾燥
過程で徐々に小さくなっていくが、このとき水滴の中で
脱脂液等の濃化が起こり、最後に乾いた部分に最も濃縮
された脱脂液等が残り、この最も濃縮された脱脂液等が
ステンレス鋼帯表面に残留して模様状欠陥が発生する。
そこで、この模様状欠陥を防止するためには、ステンレ
ス鋼帯の洗浄後、このステンレス鋼帯表面を水膜で覆っ
た状態(キープウェット)のまま、硝酸浸漬又は硝酸電
解を行う装置に装入すればよいことを見い出し本発明を
なすに至った。
【0008】具体的には、本発明のステンレス研磨製品
の製造方法は、ステンレス鋼帯を研磨してステンレス研
磨製品を製造するステンレス研磨製品の製造方法におい
て、ステンレス鋼帯を研磨する工程と、研磨された前記
ステンレス鋼帯を脱脂する工程と、脱脂された前記ステ
ンレス鋼帯を洗浄水で洗浄する工程と、前記洗浄水の水
膜が前記ステンレス鋼帯の表面に形成された状態で、前
記ステンレス鋼帯を、酸洗を行うための硝酸処理装置に
装入する工程とを含むことを特徴とするものである。
【0009】また、本発明のステンレス研磨製品の製造
装置は、ステンレス鋼帯の表面を研磨する研磨装置と、
該研磨装置で研磨された前記ステンレス鋼帯に付着した
脱脂液を洗浄する洗浄装置と、該洗浄装置で洗浄された
前記ステンレス鋼帯を乾燥させる乾燥装置とを備えたス
テンレス研磨製品の製造装置において、前記洗浄装置と
前記乾燥装置との間に、前記洗浄装置で洗浄されたステ
ンレス鋼帯を酸洗する硝酸処理装置を備えたことを特徴
とするものである。
【0010】ここで、ステンレス鋼帯を酸洗する硝酸処
理装置とは、硝酸液もしくは硝酸を主成分とする水溶液
が貯えられステンレス鋼帯が浸漬される装置、又は、ス
テンレス鋼帯を硝酸液中もしくは硝酸を主成分とする水
溶液中で電解する装置をいう。また、研磨とは、JIS
G4305のNo.3、No.4、#240、#32
0、#400、HL及びこれに相当する表面仕上げも
の、及びバイブレーション仕上げ等表面に種々の磨き目
をつけて意匠性を高めたものをいう。
【0011】尚、脱脂液としてはNaOHや(Na2
O)2 SiO2 等のアルカリが多用されており、脱脂液
が残留したステンレス鋼帯表面にはNaイオンやSiイ
オンが見られることが多い。
【0012】
【作用】本発明のステンレス研磨製品の製造装置によれ
ば、洗浄装置と乾燥装置との間に硝酸処理装置が備えれ
れているため、ステンレス鋼帯の表面が水膜で覆われた
状態のまま硝酸処理装置に装入される。このため、ステ
ンレス鋼帯の表面には脱脂液等が濃化した部分は生成さ
れず、硝酸浸漬や硝酸電解によるステンレス鋼帯の酸洗
がステンレス鋼帯の表面全体で均一に行われ、ステンレ
ス鋼帯の表面に模様状欠陥が発生することが防止され
る。しかも、ステンレス鋼帯の表面は均一に酸洗される
ため、ステンレス研磨製品の耐食性を向上させることが
できる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は、
本発明のステンレス研磨製品製造装置の一実施例を示す
概略構成図である。ステンレス研磨製品製造装置40の
ペイオフリール42から供給されたステンレス鋼帯30
は、研磨装置44で表面研磨された後、脱脂装置46で
表面の研磨油が除去され、表面に残留した研磨油と脱脂
液が洗浄装置48により水で洗い流される。その後直ち
に、ステンレス鋼帯30は硝酸浸漬装置50の硝酸水溶
液に浸漬される。これにより、ステンレス鋼帯30の表
面は洗浄水で濡れたままの状態、即ちキープウェットの
状態で硝酸浸漬される。ここで、硝酸浸漬装置50に代
えて硝酸電解装置を設け、ステンレス鋼帯に硝酸電解を
施してもよい。ステンレス鋼帯30は硝酸浸漬された
後、洗浄装置52で表面の硝酸が洗い流され、乾燥装置
54で乾燥される。その後、テンションリール56に巻
き取られステンレス研磨製品の製造は終了する。
【0014】次に、図1に示されたステンレス研磨製品
製造装置40と、従来の研磨設備及び硝酸浸漬・硝酸電
解設備とを用いて、以下に示す種々のプロセスでステン
レス研磨製品を製造した実験結果を比較して表1、表2
に示す。表1には供試材の化学成分を示し、表2には実
験結果を示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】SUS430、SUS436J1Lの鋼帯
に対し、JIS G4305のNo.4の研磨を施した
後、アルカリ脱脂((Na2 O)2 SiO2 の2%水溶
液、温度60℃、時間12秒)を施し、その後温水洗浄
(温度60℃)を行った。次に、これらの鋼帯を以下に
示す各水準で処理した。 (水準1)鋼帯の表面から洗浄水を取り除き乾燥させ
た。 (水準2)水準1の鋼帯をステンレス研磨設備とは別の
ラインで硝酸浸漬した。 (水準3)水準1の鋼帯をステンレス研磨設備とは別の
ラインで硝酸電解した。 (水準4)鋼帯表面の洗浄水を絞りロールで軽く絞り、
鋼帯表面上に薄く一様な水膜が張った状態で直ちに硝酸
浸漬装置50(図1参照)で硝酸浸漬した。 (水準5)鋼帯表面の洗浄水を絞りロールで軽く絞り、
鋼帯表面に薄く一様な水膜が張った状態で直ちに硝酸電
解装置で硝酸電解した。
【0018】以上の5水準の処理を行い、各水準の鋼帯
の表面を目視観察することにより模様状欠陥の有無を調
査するとともに、各水準の鋼帯から試片を採取し塩水噴
霧試験(SST)を行った。この塩水噴霧試験の試験条
件は、SUS430は35℃、SUS436J1Lは5
0℃で、16時間噴霧、8時間休止の1サイクルであ
る。この結果を表1に示す。従来法は水準1、2、3に
示され、本発明法は水準4、5に示されている。
【0019】水準1では模様状欠陥の発生は無いが、塩
水噴霧試験で錆が発生しているものがあるため耐食性が
問題である。水準2もしくは水準3では耐食性はよい
が、模様状欠陥が発生しているものがあるため意匠性の
点で問題である。これに対し、本発明法である水準4も
しくは水準5は耐食性及び模様欠陥ともすべて良好であ
り従来法の問題点が解決されている。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明のステンレス
研磨製品の製造方法では、ステンレス鋼帯が研磨、脱脂
された後、このステンレス鋼帯の表面が洗浄水によるキ
ープウェット状態のまま硝酸処理装置に装入される。こ
れにより模様状欠陥を発生させずに耐食性を向上させる
ことができるため、意匠性と耐食性の両方を満足するス
テンレス研磨製品を確実に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステンレス研磨製品製造装置の一実施
例を示す概略構成図である。
【図2】従来のステンレス研磨製品製造装置を示す概略
構成図である。
【符号の説明】
30 ステンレス鋼帯 40 ステンレス研磨製品製造装置 42 ペイオフリール 44 研磨装置 46 脱脂装置 48 洗浄装置 50 硝酸浸漬装置 52 洗浄装置 54 乾燥装置 56 テンションリール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼帯を研磨してステンレス研
    磨製品を製造するステンレス研磨製品の製造方法におい
    て、 ステンレス鋼帯を研磨する工程と、 研磨された前記ステンレス鋼帯を脱脂する工程と、 脱脂された前記ステンレス鋼帯を洗浄水で洗浄する工程
    と、 前記洗浄水の水膜が前記ステンレス鋼帯の表面に形成さ
    れた状態で、前記ステンレス鋼帯を、酸洗を行うための
    硝酸処理装置に装入する工程とを含むことを特徴とする
    ステンレス研磨製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼帯の表面を研磨する研磨装
    置と、該研磨装置で研磨された前記ステンレス鋼帯に付
    着した脱脂液を洗浄する洗浄装置と、該洗浄装置で洗浄
    された前記ステンレス鋼帯を乾燥させる乾燥装置とを備
    えたステンレス研磨製品の製造装置において、 前記洗浄装置と前記乾燥装置との間に、前記洗浄装置で
    洗浄されたステンレス鋼帯を酸洗する硝酸処理装置を備
    えたことを特徴とするステンレス研磨製品の製造装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08319591A (ja) * 1995-05-24 1996-12-03 S S Kooto:Kk ステンレス鋼製品のさび止め方法
JPH0926093A (ja) * 1995-07-12 1997-01-28 Teisan Kk 高圧ガス容器の内面処理方法
JPH0941174A (ja) * 1995-07-31 1997-02-10 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd 金属材料の洗浄方法およびその設備
KR101220491B1 (ko) * 2010-12-02 2013-01-10 주식회사 포스코 초강도강의 황변 방지 장치

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