JPH0449501Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、熱交換器やヒートパイプ等におい
て用いることのできる熱交換用フインの構造に関
するものである。

従来の技術 高温流体と低温流体とを混合・接触させずに熱
交換を行なう場合、いずれか一方の流体を流すパ
イプの外周にフインを設け、熱伝達面積を可及的
に広くすることが一般に行なわれることは周知の
通りである。

従来、この種のフインとしては、例えば特公昭
41−17512号公報に記載されたものが知られてい
る。

これは、第４図ないし第６図に示すように熱交
換器用の針状フイン付き管で、銅、鉄あるいはア
ルミニウム等の熱伝導良好な金属テープ１に、
銅、鉄あるいはアルミニウム等からなる針金をコ
字形（第４図参照）に形成したフイン部材２を、
前記金属テープ１の裏面から打込んで植設し、金
属テープ１の表面に針状の多数のフイン部材２を
垂直に突出させ（第５図参照）、このフイン部材
２を植設した金属テープ１を、熱伝導良好な金属
管３の外周に巻き付けた構造となつている。（第
６図参照）。したがつて、板状フインを備えた金
属管と比べて、製造加工の工程が簡便でかつ安価
に製作できるという利点を有している。

しかし、この熱交換器用の針状フイン付き管の
場合には、金属テープ１に多数のフイン部材２を
打込んで植設することから金属テープに傷穴が形
成れてしまうため、これを金属管３の外周に巻き
付ける際に金属テープ１にテンシヨンが掛けられ
ると、前記傷穴から亀裂等が拡大して金属テープ
の切断や、植設されているフイン部材２が脱落す
る等の恐れがある。また、このフイン部材２を植
設した金属フイルム１の厚みが薄いため各フイン
部材２が倒れ易く、金属管３の外周に巻き付ける
際に倒れたままの状態で巻装され易いなどの恐れ
がある。

そこで、これらの課題を解決するものとして、
例えば特開昭53−97657号公報に示される熱交換
器官が提案されている。

これは第７図および第８図に示すように、熱伝
導良好な銅やアルミニウム等からなる薄膜板４に
多数の孔を穿設し、この薄膜板４の裏面からこれ
ら各孔に銅やアルミニウム等の熱伝導良好な材質
のスパイクフイン５を挿入し、さらに、その裏面
側に両面粘着性のテープ６を貼り付けて、前記各
スパイクフイン５の倒れを防止するとともに、多
数の孔が穿設された薄膜板４を補強している。

したがつて、多数のスパイクフイン５が植設さ
れた薄膜板４を、金属パイプ７の外周に巻装する
際に、薄膜板４の裏面に貼られたテープ６がスパ
イクフイン５の転倒を防止するとともに、このテ
ープ６が補強材となつて薄膜板４の破断を防止す
るようになつている。

しかし、前述した薄膜板４にスパイクフイン５
を植設した薄膜板４を巻き付けた従来の熱交換器
管においては、スパイクフイン５の倒れを防止す
るとともに、多数の孔が穿設された薄膜板４を補
強し、また金属管へ巻装した際の接着用に、薄膜
板４の裏面に、両面粘着性のテープ６を貼付して
いる。そのため、テープ６の貼付という繁雑な工
程が増えるとともに、製造コストが高くなるとい
う不都合が考えられる。

一方従来から、第９図に示すように金属製薄板
からなるテープ２０に、その幅方向の一方の縁部
から幅方向に沿う多数の切込み２１を所定間隔を
置いて形成して、その多数の切込み２１によつて
多数のフイン２２を区分形成し、かつそのテープ
２０の幅方向の他方の縁部付近は切離さずに基部
２３として残しておき、前述のフイン２２の部分
を基部２３からほぼ垂直に立上がるように屈曲さ
せ、そのテープ２０を図示しない金属パイプの外
周面に巻付けることにより、フイン付管を得るこ
とも知られている（例えば実開昭51−163142号参
照）。

また、実公昭52−47168号では、第１０図に示
すように、同じく金属製薄板からなるテープ２０
に、その幅方向の一方の縁部から、幅方向に対し
所定角度θだけ傾斜する多数の切込み２１を入れ
て、角度θだけ傾斜するフイン２２を区分形成
し、フイン２２の部分を基部２３から立上がらせ
ずにそのまま金属パイプの外周面に巻付けて、前
述の傾斜の効果によつてフイン２２を金属パイプ
の接線方向に突出した状態としたフイン付管を得
ることも提案されている。

考案が解決しようとする課題 第９図に示すように、金属製薄板からなるテー
プ２０に多数の切込み２１を入れてフイン２２を
区分形成し、そのフイン２２を基部２３から立上
げた状態でテープ２０を金属パイプに巻付ける場
合、切込み２１が開く方向への力が作用して、切
込み２１の内側端部に著しい応力集中が生じ、こ
のような応力の著しい集中によつて切込み２１の
内側端部から基部２３に亀裂が生じ、遂には基部
２３が破断してしまうおそれがある。またこのよ
うにフイン２２の部分を折曲げた状態のテープ２
０は、剛性が高くなつているため、金属パイプ外
周面に巻付ける際に滑らかに湾曲させることが困
難であり、したがつて巻付け作業自体も困難を伴
なうことが多い。

一方第１０図に示されるように、傾斜状の切込
み２１を形成したテープ２０を用いる場合には、
テープ２０の巻付け時には切込み２１が開く方向
の力は作用しないが、巻付け時のテンシヨンによ
る切込み２１への応力集中によつて基部２３が破
断するおそれがある。また切込み２１の傾斜のみ
によつてフイン２２を金属パイプの接線方向に突
出させているため、金属パイプ表面からフイン２
２の先端の高さを余り大きくすることができない
という根本的な欠点があり、さらには全てのフイ
ンが金属パイプの軸線方向に沿つた方向の一方の
側へ傾斜した状態で突出するため、熱交換器に用
いた場合に、金属パイプの外側を流れる流体の流
れに対するフインの抵抗が方向性を有することに
なり、そのため汎用性に欠けるという問題があ
る。したがつて第１０図のような構造は、現実に
実用化することは困難であつた。

この考案は以上の事情を背景としてなされたも
ので、製造が簡単かつ容易であるとともに、金属
パイプへの巻付け時に金属テープが応力集中によ
り破断するおそれが少なく、かつ金属テープの巻
付け自体も容易に行なうことができ、しかもフイ
ンの高さを任意に設定することができるととも
に、パイプの外側の流体の流れに対するフインの
抵抗が方向性を持たないようにした熱交換器フイ
ンの構造を提供することを目的とするものであ
る。

課題を解決するための手段 上記課題を解決するための手段としてこの考案
の熱交換用フインの構造は、折り曲げ可能な金属
製の線条材を所定の寸法に切断してなる多数のフ
イン部材を、それぞれの先端側が櫛歯状に突出す
るように各基端側を裏面に貼付して設けた金属テ
ープを、パイプの外周面に巻き付けるとともに、
巻き付けた金属テープの一側から櫛歯状に突出す
る前記フイン部材を、パイプの外周面に対してほ
ぼ垂直となるように折り曲げてなることを特徴と
している。

作 用 この考案の熱交換用フインの構造によれば、フ
イン部材はその基端側を金属テープの裏面に貼付
するだけでよいため製造が容易となる。また、こ
のフイン部材を貼付した金属テープは、フイン部
材が金属テープの一側から、金属テープと平行な
方向に櫛歯状に突出しているのみで、金属テープ
の面に垂直な方向に突出しているものがないた
め、フイン部材を貼付した金属テープをその巻付
け時にパイプの外周面に沿つて滑らかに湾曲させ
ることができ、したがつて金属テープを容易に巻
付けることができ、かつ互いに重なり合うように
巻重ねることも容易であり、しかも金属テープ自
体はコイル状に巻いた状態でコンパクトに収納で
きる。そしてまた、金属テープ自体には特に切込
みや孔などが形成されていないため、巻付け時に
切込みの先端や孔等に応力集中が生じて破断を招
くようなこともない。

そして、フイン部材を貼付した金属テープを、
パイプの外周面に螺旋状に巻装する際あるいは巻
装した後、各フイン部材の先端側を、金属テープ
の外周面、すなわちパイプの外周面に対して垂直
な方向に折曲させる。

したがつて、このような構造のフイン部材を備
えた熱交換パイプを用いれば、流体が針状のフイ
ン部材と接触しつつ流動することにより、両者間
で熱の授受が効率よく行なわれる。その場合、フ
インがパイプの外周面に対して垂直に突出する針
状となつているため、流体の流動方向がいかなる
方向であつてもフインが流体の流れを特に阻害す
ることがない。

かつまた、パイプの外周面からのフインの高さ
は、フイン部材の長さを変えることによつて任意
に設定できる。

実施例 以下、この考案の熱交換用フインを金属管の外
周面に取付けた場合についての一実施例を第１図
ないし第３図に基づいて説明する。

金属管１１の外周には、金属線等からなる針状
のフイン部材１２と一体化した金属テープ１３を
金属管１１の外周面に巻付けることによりフイン
１４が形成れている。

ここに使用されているフイン部材１２と金属テ
ープ１３とは第３図に示すように、金属線等をコ
字状に折り曲げてなるフイン部材１２を、その先
端部が金属テープの１３の幅方向での一方へ突出
するよう金属テープ１３の裏面に貼り付けて両者
を一体化してある。

そして、フイン部材１２が貼付された金属テー
プ１３は、金属管１１の外周面へ巻き付ける際
に、金属テープ１３を案内するガイド部材（図示
せず）にフイン部材１２を90度折り曲げるよう設
けた案内部分にて、フイン部材１２を金属テープ
に対して90度に折り曲げる。このようにして１工
程にて第１図に示すフイン構造を得ることができ
る。

上述したフイン構造では、フイン部材１２の配
列に方向性があるものの、フイン部材１２自体に
は方向性がないから、金属管１１の外周側におけ
る流体は、フイン部材１２に対してあらゆる方向
に流動することができ、したがつて流体の滞留が
生じることがなく、また流体にダストが含まれて
いる場合には、フイン部材１２に対するダストの
付着が抑制される。また、フイン部材１２にダス
トが付着した場合には、ブラシに類似した工具で
フイン部材１２を梳けば、容易に清掃することが
できる。さらに上述したフイン構造は、フイン部
材１２を予め貼付した金属テープ１３を、金属管
１１の外周に巻き付ければよいから、極めて容易
に製造することができ、また金属パイプをコイル
状に巻いた形状の金属管１１等のパイプの外周で
旋回させることによりパイプに金属テープ１３を
巻き付ければ、任意の長さの長尺なフイン付きパ
イプを製造することができる。

また、フイン部材１２が金属テープ１３の裏面
に貼付して一体化されているため、金属テープ１
３には、フイン形成のための切込み、あるいはフ
イン部材を打込んだ傷穴や、予め穿設された挿通
孔等の孔や傷がなく、したがつて巻付け時におけ
る応力集中による金属テープ１３の破断やフイン
部材１２の脱落等の不具合は生じない。また、各
フイン部材１２は、それぞれの基端側の所定の長
さの部分を金属テープ１３の裏面に貼り付けられ
ているため、フイン部材１２の倒れは発生しない
等の利点を有している。

考案の効果 以上の説明から明らかなように、この考案の熱
交換用フインの構造は、折り曲げ可能な金属製の
線条材を所定の寸法に切断してなる多数のフイン
部材を、それぞれの先端側が櫛歯状に突出するよ
うに各基端側を裏面に貼付して設けた金属テープ
を、パイプの外周面に巻き付けるとともに、巻き
付けた金属テープの一側から櫛歯状に突出する前
記フイン部材を、パイプの外周面に対してほぼ垂
直となるように折り曲げた構造としたので、パイ
プの長さが制約されずに長尺に形成できるととも
に、フイン部材の長さを調整することによつて、
パイプ外周面からのフイン突出高さを任意に設定
でき、しかも極めて容易に製造できる。また、金
属テープにフイン形成のための切込みやフイン部
材取付け用の孔や傷がなく、したがつてその切込
み等に対する応力集中による金属テープの破断や
フイン部材の脱落等の不具合は生じ難い。また、
金属テープ自体は特に折曲げられていないため、
その巻付け時にはパイプの外周面に沿つて滑らか
に湾曲させることができ、そのため巻付け作業も
容易に行なうことができる。さらに各フイン部材
の基端側が金属テープの裏面に貼り付けられてい
るため、フイン部材の倒れが発生するおそれが少
なく、かつまたフインの突出方向はパイプの外周
面に対し垂直となるため、流体の流れに対するフ
インの抵抗に方向性はなく、そのため汎用性に富
んでいる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案の一実施例を示
すもので、第１図は金属管に設けたフインの状態
を示す断面図、第２図は第１図の−線断面
図、第３図はフイン部材を貼り付けた金属テープ
を示す斜視図、第４図ないし第６図は従来例を示
すもので、第４図はフイン部材の斜視図、第５図
は金属テープにフイン部材を打込んだ状態を示す
斜視図、第６図はフイン部材を植設した金属テー
プを金属管に巻き付けた状態を示す斜視図、第７
図および第８図は別の従来例を示すもので、第７
図はスパイクフインを植設した薄膜板の断面側面
図、第８図はスパイクフインを植設した薄膜板を
金属管に巻き付け状態を示す斜視図、第９図は別
の従来例におけるフインを一体に形成した金属テ
ープを示す斜視図、第１０図はさらに別の従来例
におけるフインを一体に形成した金属テープを示
す平面図である。 １１……金属管、１２……フイン部材、１３…
…金属テープ、１４……フイン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 折り曲げ可能な金属製の線条材を所定の寸法に
   切断してなる多数のフイン部材を、それぞれの先
   端側が櫛歯状に突出するように各基端側を裏面に
   貼付して設けた金属テープを、パイプの外周面に
   巻き付けるとともに、巻き付けた金属テープの一
   側から櫛歯状に突出する前記フイン部材を、パイ
   プの外周面に対してほぼ垂直となるように折り曲
   げてなることを特徴とする熱交換用フインの構
   造。