JP2002168576A - 伝熱管およびその製造方法 - Google Patents

伝熱管およびその製造方法

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JP2002168576A
JP2002168576A JP2000370861A JP2000370861A JP2002168576A JP 2002168576 A JP2002168576 A JP 2002168576A JP 2000370861 A JP2000370861 A JP 2000370861A JP 2000370861 A JP2000370861 A JP 2000370861A JP 2002168576 A JP2002168576 A JP 2002168576A
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transfer tube
meniscus
groove
tube
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JP2000370861A
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Kazuhiko Minami
和彦 南
Hidemitsu Hamano
秀光 浜野
Yasuhisa Hagiwara
靖久 萩原
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱輸送効率に優れたメニスカス部形状を有す
る伝熱管およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 作動流体を封入する伝熱管21において、
横断面において少なくとも1つの隅状のメニスカス部25
を有し、このメニスカス部25は、チューブ内面に凹設さ
れた折り溝26が、該折り溝26の閉塞方向に折曲げられて
なる。また、前記伝熱管21は、金属条の片面に条方向に
凹陥状の折り溝26を形成した後に略円形に成形するとと
もに継ぎ目を接合して円形チューブとし、次いで、前記
折り溝26を折曲げる加工を施してメニスカス部25を形成
することにより作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】各種電子機器を冷却する熱交
換器、特に小型発熱デバイスの放熱器として好適に用い
られる伝熱管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パソコンには、CPU、CD−ROMド
ライブ、ハードディスクドライブ等の数多くの発熱デバ
イスが組込まれており、長時間にわたって正常な動作を
維持するために、発生した熱を排出してこれらのデバイ
スを冷却する必要がある。そのため、各種放熱器が用い
られているが、特にノートブック型パソコンや携帯用パ
ソコンでは、小型ケースの中に前述の発熱デバイスを装
填し、かつキーボードも同じケース内に装填する必要
上、狭いスペースに多くの発熱デバイスが組み込まれる
こととなり、高い熱輸送効率が求められる。
【0003】このようなパソコン用放熱器として、放熱
性が優れていることはもとより薄くてスペースをとらず
かつ軽量であることから、作動流体を封入した伝熱管が
使用されることが多い。
【0004】本出願人は、先に特願平11−20711
5号において、図8に示すようなチューブ型熱交換器を
提案した。この熱交換器に用いられている伝熱管(61)
は、横断面形状が平坦部(62)と湾曲部(63)とからな
る半月形で、平坦部(62)の両端の交差角度の異なる2
つの管壁で囲まれた部分に作動液を流通させるメニスカ
ス部(64)(64)が形成されたものである。前記伝熱管
(61)は、平板を横断面略円形に成形するとともに継ぎ
目を接合して円形チューブとし、ロールフォーミングを
施して、周方向の一部に平坦部(62)を形成するととも
に、平坦部(62)の両端を折曲げるように成形して作動
液が流通するメニスカス部(64)を形成することにより
製造され、さらに要すればこの伝熱管(61)が基板(6
5)上に取付けられる。なお、(66)はチューブ内表面
積を拡大するための縦溝を示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に伝熱管の熱輸送
効率を決める要因に、チューブ内断面積と作動液の流通
路となるメニスカス部の形状とがある。チューブ内断面
積は大きいほど熱輸送効率が良く、メニスカス部形状
は、先端からの立上がりが緩やかでメニスカス角度
(M)が小さい方が、蒸発部と凝縮部の気液界面の差が
大きくなって凝縮液が戻りやすくなるために熱輸送効率
が良い。従って、上述の伝熱管(61)の場合、湾曲部
(63)が平坦部(62)の先端から緩やかに立上がって小
角度のメニスカス部(64)を確保した後は、大きく立上
がって断面積を拡大できるメニスカス部形状が好まし
い。
【0006】上述の伝熱管の製造方法では、円形チュー
ブから所要横断面形状に加工する際に平坦部(62)両端
を折曲げてメニスカス部(64)を形成している。しか
し、単に折曲げるだけでは折曲げ位置や折曲げ角度が安
定しないという問題点があった。また、折曲げの度合い
を大きくしてメニスカス角度(M)を小さくすると、曲
げ外側の応力が大きくなって破断するおそれがあって、
折曲げ角度に限界がある。また、メニスカス角度(M)
を小角度に成形すると、その後の立上がり部分の成形が
不安定になる。このため、前記伝熱管(61)のメニスカ
ス部(64)の形状は必ずしも最大の熱輸送効率を発揮し
うるものではなかった。
【0007】この発明は、このような技術背景に鑑み、
熱輸送効率に優れたメニスカス部形状を有する伝熱管お
よびその製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明の作動流体を封入する伝熱管(21)は、横
断面において少なくとも1つの隅状のメニスカス部(2
5)(25')を有し、このメニスカス部(25)(25')
は、チューブ内面に凹設された折り溝(26)(26')
が、該折り溝(26)(26')の閉塞方向に折曲げられて
なることを基本要旨とする。
【0009】前記伝熱管(21)においては、折り溝(2
6)(26')によって曲げ部分の曲げ応力が低減されるた
め、小角度のメニスカス角度の形成が可能であり優れた
熱輸送効率を得ることができる。また、折り溝(26)
(26')で折曲げるからメニスカス部(25)(25')の位
置が安定する。
【0010】前記メニスカス部(25)は、前記折り溝
(26)が閉塞した状態に折曲げられてなることが好まし
く、安定したメニスカス角度が得られる。
【0011】また、前記メニスカス部(25')は、前記
折り溝(26')が開口した状態に折曲げられてなること
が好ましく、所要のメニスカス角度に成形するための折
曲げ角度は、閉塞したメニスカス部(25)よりも小さく
て済むから、曲げ応力はさらに低減される。また、メニ
スカス部(25')は先端側の小角度(α1)とチューブ中
心側の大角度(α2)の2段階になり、チューブ内断面
積が拡大されて、さらに優れた熱輸送効率を達成でき
る。
【0012】また、前記伝熱管(21)は、少なくとも内
面側が銅または銅合金により形成されていることによ
り、優れた熱伝導率と耐食性が得られる。
【0013】また、前記伝熱管(21)の肉厚(T)は
0.2〜3.0mmが好ましく、折曲げ時の曲げ応力を抑
制しつつチューブとして必要な耐圧性が得られる。
【0014】また、前記折り溝(26)(26')の深さ
(D)は0.05〜1.0mmであることが好ましく、折
曲げ時の曲げ応力を抑制しつつチューブとして必要な耐
圧性が得られる。
【0015】また、この発明の伝熱管の製造方法は、作
動流体を封入する伝熱管(21)の製造方法であって、金
属条(40)の片面に条方向に沿って少なくとも1本の横
断面凹陥状の折り溝(26)(26')を形成した後、該折
り溝(26)(26')の形成面を内側にして略円形に成形
するとともに継ぎ目を接合して円形チューブ(45)と
し、次いで、前記折り溝(26)(26')を該折り溝(2
6)(26')の閉塞方向に折曲げてメニスカス部(25)
(25')を形成することにより伝熱管(21)を作製する
ことを基本要旨とする。
【0016】この発明の方法によれば、伝熱管(21)の
折り溝(26)(26')の形成は平面状態で行われるた
め、溝付加工が容易であるとともに折り溝形状も安定す
る。ひいてはメニスカス部(25)(25')形状が安定
し、上述した伝熱管を容易に製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1および図2に、伝熱管(21)
の一例を示す。
【0018】図1に示すように、前記伝熱管(21)は、
横断面において、平坦な底辺部(22)から側辺部(23)
が湾曲状に立上がって、底部(22)に平行な頂辺部(2
4)につながる扁平台形状である。前記伝熱管(21)内
において、前記底辺部(22)と側辺部(23)とが合わさ
る部分に、これら交差角度の異なる2つの管壁で囲まれ
た空間によって形成され、かつ液化した作動流体を流通
させる隅状のメニスカス部(25)(25)が形成され、さ
らに要すれば前記メニスカス部(25)およびチューブ継
ぎ目(44)を除く部分に多数の縦溝(31)が形成されて
いる。
【0019】図2(A)(B)に示すように、前記メニ
スカス部(25)は、チューブ内面に凹設された折り溝
(26)を該折り溝(26)の閉塞方向に折曲げるようにチ
ューブを断面変形させることによって形成されている。
メニスカス部(25)は、メニスカス角度(α)が小さい
ほど凝縮液の戻りが良好であるから、前記底辺部(22)
から側辺部(23)が緩やかに立上がる形状が好ましく、
小角度のメニスカス部(25)を形成することができる。
また、チューブの平板状態からの折曲げ角度(β)は、
大きくなるほど、換言すればメニスカス角度(α)が小
さくなるほど折曲げ外側の曲げ応力が大きくなり、曲げ
応力が限界を越えると破断に至る。この発明では、折り
溝(26)を設けて曲げ部分の肉厚を薄くすることによっ
て曲げ応力を減少させ、破断を防いで所要の小角のメニ
スカス角度(α)となるまでの十分な折曲げを可能にし
ている。さらに、折り溝(26)の形成によって、メニス
カス部(25)の形成位置や曲げ角度(β)が安定して伝
熱管の寸法精度が向上し、ひいては熱輸送効率も安定さ
せることができる。
【0020】なお、前記折り溝(26)は横断面形状がV
字状であり、この折り溝(26)によってV字状のメニス
カス部(25)が形成されている。
【0021】また、図1および図2の例では、折り溝
(26)を構成する2つのテーパ面(27)(27)が接し
て、折り溝(26)が完全に閉塞するまで折曲げられたも
のであるから、折曲げ角度(β)が一定して、安定した
メニスカス角度(α)が得られる。
【0022】また、図3(A)(B)に示すように、2
つのテーパ面(27')(27')が離れた状態で折曲げを止
めて折り溝(26')が開口したメニスカス部(25')を形
成することもできる。折り溝(26')が開口したメニス
カス部(25')では、メニスカス角度が、切り溝(26')
の2つのテーパ面(27')(27')がなす角度(α1)と
チューブ内面(22a')(23a')がなす角度(α2)との
2段になって、メニスカス部(25')の先端側で小角度
(α1)を確保した上で、チューブ中心側の大角度
(α2)によってチューブ内断面積が拡大されるため、
さらなる熱輸送効率の向上を図ることができる。また、
折り溝の形状が同一であれば、所要のメニスカス角度に
成形するための折曲げ角度(β’)は、図2の閉塞した
メニスカス部(25)よりも小さくて済むから、曲げ応力
が低減されて破断のおそれはさらに小さくなる。また、
先端側の小角度(α1)から大角度(α2)への立上がり
は、折り溝(26')の形成によって既に設定されている
から、安定した立上がり形状が得られる。
【0023】ところで、上述の伝熱管(21)では、2つ
のテーパ面によって形成されたV字状の折り溝(26)
(26')を折り曲げたV字状のメニスカス部(25)(2
5')を例示したが、折り溝およびメニスカス部の形状は
図示例に限定されない。例えば、図4(A)(B)
(C)に示すように、テーパ面と湾曲面とを組み合わせ
た折り溝(52a)、テーパ角が多段階に形成された折り
溝(52b)、湾曲面に形成された折り溝(52c)等、1つ
または複数のテーパ面と湾曲面を自在に組み合わせるこ
とができる。また、折り溝は中心線に対称である必要は
なく、図4(D)に示すように非対称形の折り溝(52
d)でも良い。また、メニスカス部はこれらの折り溝を
折り曲げて隅状に形成されたものであるから、折り溝形
状と折曲げ角度とに応じて、V字状、U字状、円弧状、
楕円状等に形成され、いずれもこの発明に含まれる。
【0024】前記伝熱管(21)の材質は、熱伝導性が優
れていることからアルミニウムまたは銅あるいはこれら
の合金を推奨できる。特に、銅またはその合金は、作動
流体として汎用される水に対する耐食性に優れていると
いう長所があり、少なくとも作動流体に触れる伝熱管
(21)の内面を銅または合金で形成することが好まし
い。内面のみを銅または銅合金で形成する方法として、
メッキ、電着、蒸着、クラッド等例示できる。また、好
適な銅材料として特に水との反応性が低いOFC(無酸
素銅)やCu−Zr系化合物を推奨できる。
【0025】前記伝熱管(21)の肉厚(T)は0.2〜
3.0mmが好ましい。0.2mm未満では耐圧性が不足
し、3.0mmを超えると曲げ応力が過大になって破断の
おそれが大きくなる。肉厚(T)の特に好ましい上限値
は2.5mmである。
【0026】また、前記折り溝(26)(26')の深さ
(D)は0.05〜1.0mmが好ましい。0.05mm未
満では曲げ応力を低減する効果に乏しく小角度のメニス
カス部の形成が困難であり、1.0mmを越えると薄肉に
なりすぎて伝熱管としての耐圧性が得られない。折り溝
(26)(26')の深さ(D)の特に好ましい下限値は
0.06mm、特に好ましい上限値は0.8mmである。な
お、折り溝(26)(26')の角度(γ)(γ’)は特に
限定されないが、上述した折り溝(26)(26')の深さ
(D)、後述するメニスカス角度(α)(α1
(α2)、メニスカス部形状が閉塞か開口かによって決
定される。
【0027】また、前記メニスカス角度(α)(α1
(α2)は、折り溝が閉塞、開口いずれの場合も10〜
45°が好ましい。10°未満ではチューブが偏平にな
りすぎて作動流体量が少なく十分な熱輸送効率が得られ
ない。一方、45°を超えると毛細管力が低くなって凝
縮液のもどりが悪くなり、熱交換性能を発揮し得ない。
メニスカス角度(α)(α1)(α2)の特に好ましい下
限値は12°であり、特に好ましい上限値は40°であ
る。なお、折り溝(25')が開口してメニスカス角度
(α1)(α2)が2段階に形成される場合、少なくとも
先端側メニスカス角度(α1)が上記範囲内であれば毛
細管力による熱交換性能が発揮される。
【0028】また、この発明の伝熱管においては、上述
したメニスカス部を少なくとも1つ有すれば良い。メニ
スカス部数に制限はなく、2つ以上の場合は、折り溝が
完全に閉塞したものと開口したもの、メニスカス形状や
角度の異なるものを混在させることも任意である。ま
た、隣接するメニスカス部間が平坦か湾曲かも限定され
ない。横断面形状も上述した扁平台形のものに限定され
ない。
【0029】例えば図5に示す伝熱管(51)は、横断面
形状が多角形であり、各コーナ部に折り溝(56)を開口
させたメニスカス部(55)が形成されている。この多角
形チューブのように、コーナ部の内角度が上述のメニス
カス角度好適範囲を超えていても、開口した折り溝をメ
ニスカス部として利用することによって、小角度のメニ
スカス部を形成することができ、優れた熱交換性能が得
られる。
【0030】さらにこの発明おいては、隅状のメニスカ
ス部以外に加えて、チューブ内表面積を拡大するための
溝や凝縮液の環流を促進するウイック等を任意に設ける
ことができる。例えば、図1および図2に例示した伝熱
管(21)では、メニスカス部(25)およびチューブの継
ぎ目(44)を除く部分に多数の縦溝(31)が形成されて
内表面積が拡大されている。
【0031】如上の伝熱管(21)は、図6に示すこの発
明の方法によって好適に製造される。
【0032】伝熱管(21)の作製に際し、まず長尺の金
属条(41)の片面に、条方向の凹陥状の折り溝(26)を
メニスカス部(25)相当位置に形成する。図示例の折り
溝(26)はV字状である。要すれば所要位置に縦溝(3
1)を形成する(図6(I)(II))。なお、図示の便
宜上、図6(II)〜(V)における縦溝(31)の数は図
2よりも減数されている。また、チューブの内面側のみ
を銅または銅合金で形成する場合は、メッキ、電着、蒸
着、クラッド等を施す。折り溝(26)等の形成方法はロ
ール圧延を推奨でき、折り溝(26)等を形成するととも
に、肉厚(T)も所定厚さに形成することができる。ま
た、次工程で横断面半円形のチューブに成形することを
勘案して、両端の接合位置(42)には折り溝(25)等を
形成しない。このように、溝付加工を平面状態で行うこ
とにより、容易に溝の形状設定を行うことができる。ロ
ール圧延時に使用した圧延油や汚れ、材料表面に存在す
る酸化膜などは、この段階で適宜洗浄および酸洗するこ
とにより除去しておく。この段階では、材料(41)は板
状であるから洗浄および酸洗作業は容易であり、かつ完
全な洗浄および酸洗を期することができる。
【0033】次いで、折り溝(26)等を形成した材料
(41)を溝形成面を内側にして横断面略円形に成形して
両端の継ぎ目(44)を接合して円形チューブ(45)とす
る(図6(III))。接合方法は、TIG溶接や高周波
加熱接合などのように連続的に突き合わせ溶接ができる
接合方法であれば適用できる。
【0034】次いで、前記円形チューブ(45)に対し、
断面形状を変形させる加工を施し、折り溝(26)部分を
折曲げてメニスカス部(25)を形成するとともに所要横
断面形状の伝熱管(21)に成形する(図6(IV))。変
形加工方法は、長尺で細いチューブの成形に有利である
点でロールフォーミングを推奨できる。加工は変形の度
合いに応じて適宜数段階で行う。
【0035】なお、このようにして製作された伝熱管
(21)は、要すればさらに、図6(V)に示すように、
基板(11)上に取付けることによりハンドリング性や放
熱性を加味することができる。前記基板(11)の材質や
厚さは限定されないが、熱伝導性に優れている点でアル
ミニウムまたは銅あるいはこれらの合金を推奨できる。
また、厚さは基板としての剛性を確保しつつ軽量化を図
るために0.1〜2mmが好ましい。また、前記伝熱管
(21)を基板(11)に取り付ける場合、前記伝熱管(2
1)は、横断面において周方向の一部に平坦部(図示例
では平坦な底辺部(22))を有すること、あるいはさら
に基板(11)上に前記平坦部で該基板(11)に接するよ
うに取付けることが好ましい。広い面積で基板と接触さ
せることにより熱輸送効率を高める得るためである。ま
た、前記伝熱管(21)は、基板(11)との密着性が良い
点で、ろう付、かしめ、超音波接合、グリス、粘着性テ
ープのいずれかによって取付けられていることが好まし
い。
【0036】
【実施例】〔実施例1〕図1に示す伝熱管(21)を製作
した。
【0037】伝熱管(21)の材料として、幅20.7mm
×板厚0.8mmのOFC(無酸素銅)H1/2条(40)
を用い、基板(11)材料として、幅100mm×長さ20
0mm×板厚0.2mmの平板を用いた。
【0038】まず、図6(I)(II)に示すように、前
記条(40)に対し、ロール圧延により条方向に沿って溝
付加工を施すとともに、板厚を0.3mmに圧延した。溝
は、メニスカス部(25)となる2本のV字状の折り溝
(26)および多数の縦溝(31)である。前記折り溝(2
6)は、図2(A)に示すように、深さ(D):0.1m
m、角度(γ):140°とした。また、縦溝(31)
は、図7に示すように溝幅(Gw):0.11mm、溝深
さ(Gd):0.23mm、溝角度(θ):92°とし、
開口角部(32)および底角部(33)をそれぞれ曲率半径
(R1)(R2)0.02mmの円弧状に形成した。図6
(II)に示すように、前記溝(31)は、後で溶接する幅
方向の両端部(42)(42)および前記切り溝(26)形成
位置を除いて幅方向に全域に形成し、隣接する溝(31)
(31)の間隔(Gp)を:0.15mmの等間隔とした。
【0039】次に、溝付加工した材料(41)をアセトン
で圧延油や汚れを洗浄除去した後、酸洗により酸化膜を
除去した。材料(41)は平面状であるから、洗浄により
圧延油等は容易に除去することができた。
【0040】次に、図6(III)に示すように、材料(4
1)を横断面略円形になるように曲げ、継ぎ目(44)を
TIG溶接して長尺の円形チューブ(45)とした。
【0041】次に、図6(IV)に示すように、前記円形
チューブ(45)を5段階のロールフォーミングにより、
折曲げ角度(β)を140°として折り溝(26)が閉塞
するまで折曲げるとともに横断面扁平台形の伝熱管(2
1)に成形した。前記折り溝(26)は、曲げ部分が破断
することなく上記角度まで円滑に折曲げることができ
た。
【0042】最終的に得た伝熱管(21)の横断面内部寸
法は、幅(W)が10mm、高さ(H)が1.5mm、メニ
スカス角度(α)が15°である。 〔実施例2〕先の実施例1とは折り溝およびメニスカス
部の形状のみが異なる。本実施例では、図3(A)
(B)に示すように、折り溝(26')の深さ(D)を
0.1mm、角度(γ’)を165°とした。そして、折
曲げ角度(β’)を150°として折り溝(26')が開
口した状態に折曲げ、15°および30°の2段階のメ
ニスカス角度(α1)(α2)を有するメニスカス部(2
5')を形成した。前記折り溝(26')は、曲げ部分が破
断することなく上記角度まで円滑に折曲げることができ
た。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の伝熱管
において、隅状のメニスカス部は、チューブ内面に凹設
された折り溝が、該折り溝の閉塞方向に折曲げられてな
るものであるから、曲げ部分の曲げ応力は折り溝によっ
て低減されていて、曲げ角度を大きくしても破断のおそ
れがなく小角度のメニスカス角度の形成が可能である。
また、メニスカス部の位置は折り溝で決まるから形成位
置が安定する。従って、メニスカス部が小角度で安定し
た位置に設けられていることによって、優れた熱輸送効
率を安定して得ることができる。
【0044】また、前記伝熱管において、前記メニスカ
ス部が折り溝の閉塞状態に形成されている場合は、位置
に加えてメニスカス角度も安定し、優れた熱輸送効率が
さらに安定して得られる。
【0045】また、前記メニスカス部が折り溝の開口状
態に形成されている場合は、所要のメニスカス角度に成
形するための折曲げ角度は、閉塞したメニスカス部より
も小さくて済むから、曲げ応力はさらに低減されて破断
のおそれはさらに小さくなる。また、メニスカス部は先
端側の小角度とチューブ中心側の大角度の2段階にな
り、メニスカス部の先端側で小角度を確保した上で、チ
ューブ中心側の大角度によってチューブ内断面積が拡大
されるため、さらなる熱輸送効率の向上を図ることがで
きる。
【0046】また、前記伝熱管の少なくとも内面側が銅
または銅合金により形成されている場合は、熱伝導率お
よび封入する作動流体に対する耐食性が向上する。
【0047】また、前記伝熱管の肉厚が0.2〜3.0
mmである場合は、あるいは前記折り溝の深さが0.05
〜1.0mmである場合は、折曲げ時の曲げ応力を抑制し
つつ伝熱管として十分な耐圧性が得られる。
【0048】また、この発明の伝熱管の製造方法は、金
属条の片面に条方向に沿って少なくとも1本の横断面凹
陥状の折り溝を形成した後、該折り溝の形成面を内側に
して略円形に成形するとともに継ぎ目を接合して円形チ
ューブとし、次いで、前記折り溝を該折り溝の閉塞方向
に折曲げてメニスカス部を形成することにより伝熱管を
作製するから、折り溝の溝付加工を平面状態で行え、作
業が容易であるとともに折り溝形状も安定する。ひいて
はメニスカス部形状が安定し、この発明の伝熱管を容易
に製造することができる。さらに、溝付加工後の洗浄を
平面の状態で行え、洗浄に完全を期すことができ、残留
した加工油等による熱輸送効率の低下を抑制することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の伝熱管の一例を示す横断面図であ
る。
【図2】図1の伝熱管におけるメニスカス部の形成方法
を示す断面図であり、(A)は折曲げ前の平板状態を示
し、(B)は折曲げによってメニスカス部が形成された
状態を示している。
【図3】他の伝熱管におけるメニスカス部の形成方法を
示す断面図であり、(A)は折曲げる前の平板状態を示
し、(B)は折曲げによってメニスカス部が形成された
状態を示している。
【図4】(A)(B)(C)(D)は、他の折り溝形状
を示す横断面図である。
【図5】さらに他の伝熱管の横断面図である。
【図6】この発明の伝熱管の製造方法を説明する工程図
である。
【図7】伝熱管内面に形成された縦溝を示す要部断面図
である。
【図8】従来の伝熱管およびチューブ型熱交換器の部分
断面図である。
【符号の説明】
21…伝熱管 25、25'…メニスカス部 26、26'、52a、52b、52c、53d…折り溝 45…円形チューブ D…折り溝の深さ T…チューブの肉厚 α、α1、α2…メニスカス角度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 萩原 靖久 堺市海山町6丁224番地 昭和アルミニウ ム株式会社内 Fターム(参考) 4E063 AA01 BB10 MA17 5F036 AA01 BA08 BA23 BB60

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作動流体を封入する伝熱管(21)におい
    て、 横断面において少なくとも1つの隅状のメニスカス部
    (25)(25')を有し、このメニスカス部(25)(25')
    は、チューブ内面に凹設された折り溝(26)(26')
    が、該折り溝(26)(26')の閉塞方向に折曲げられて
    なることを特徴とする伝熱管。
  2. 【請求項2】 前記メニスカス部(25)は、前記折り溝
    (26)が閉塞した状態に折曲げられてなる請求項1に記
    載の伝熱管。
  3. 【請求項3】 前記メニスカス部(25')は、前記折り
    溝(26')が開口した状態に折曲げられてなる請求項1
    に記載の伝熱管。
  4. 【請求項4】 前記伝熱管(21)は、少なくとも内面側
    が銅または銅合金により形成されている請求項1〜3の
    いずれかに記載の伝熱管。
  5. 【請求項5】 前記伝熱管(21)の肉厚(T)は0.2
    〜3.0mmである請求項1〜4のいずれかに記載の伝熱
    管。
  6. 【請求項6】 前記折り溝(26)(26')の深さ(D)
    は0.05〜1.0mmである請求項1〜5のいずれかに
    記載の伝熱管。
  7. 【請求項7】 作動流体を封入する伝熱管(21)の製造
    方法であって、 金属条(40)の片面に条方向に沿って少なくとも1本の
    横断面凹陥状の折り溝(26)(26')を形成した後、該
    折り溝(26)(26')の形成面を内側にして略円形に成
    形するとともに継ぎ目を接合して円形チューブ(45)と
    し、次いで、前記折り溝(26)(26')を該折り溝(2
    6)(26')の閉塞方向に折曲げてメニスカス部(25)
    (25')を形成することを特徴とする伝熱管の製造方
    法。
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