JP2009243863A - ヒートパイプ用内面溝付管及びヒートパイプ - Google Patents
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Abstract
【課題】加工性及び生産性に優れ、品質上も安定し、更に、冷却性能に優れた内面溝付管を提供する。
【解決手段】管1内面に管軸方向と平行又は傾斜する方向に伸びるフィン3が形成された銅又は銅合金製のヒートパイプ用内面溝付管において、フィン3の管軸に対するリード角βが0乃至5°、フィン3の高さHが0.1乃至0.3mm、フィン3の頂部の山頂角θが40°以下である。更に、連続して並ぶ5個のフィンの内2個以上の割合で、フィン3の頂部からフィン3間の溝2の底部にかけて形成されるフィン斜面は、片側又は両側に管軸と平行若しくは斜面を上る方向若しくは斜面を下る方向に切り欠き状の凹み4を有している。更に、管軸直交断面内におけるフィン3間の溝底幅Lは0.1乃至0.3mmである。
【選択図】図1
【解決手段】管1内面に管軸方向と平行又は傾斜する方向に伸びるフィン3が形成された銅又は銅合金製のヒートパイプ用内面溝付管において、フィン3の管軸に対するリード角βが0乃至5°、フィン3の高さHが0.1乃至0.3mm、フィン3の頂部の山頂角θが40°以下である。更に、連続して並ぶ5個のフィンの内2個以上の割合で、フィン3の頂部からフィン3間の溝2の底部にかけて形成されるフィン斜面は、片側又は両側に管軸と平行若しくは斜面を上る方向若しくは斜面を下る方向に切り欠き状の凹み4を有している。更に、管軸直交断面内におけるフィン3間の溝底幅Lは0.1乃至0.3mmである。
【選択図】図1
Description
本発明はパソコンの中央演算処理装置(CPU)等の放熱・冷却に用いられるヒートパイプ及びこのヒートパイプの製造に供され、水を冷媒(作動液)として用いる内面溝付管に関する。
近時、パソコンの高速化に伴いCPUの発熱量が大きくなり、CPUの冷却に使用されるヒートパイプに高伝熱性能が求められている。更に、携帯性の要求からノート型パソコンの薄肉化が進められている。このように発熱量の大きな薄肉化されたノート型パソコンへの内蔵の必要性から、ヒートパイプには銅又は銅合金製の伝熱管の内面に溝を設け、溝間の突起としてのフィンを形成することにより、伝熱管と冷媒(作動液)である水との接触面積を増やすことによって伝熱性能を向上させた内面溝付管が使用されている。この内面溝付管は、偏平加工してヒートパイプに供される。図2(a)は偏平加工された内面溝付管の断面図、(b)は、偏平加工された内面溝付管の曲線部を示す断面図である。図2に示すように、内面溝付管1は偏平加工されることにより、管軸直交断面において半円形の曲線部11bを直線部11aで結んだ形状となる。そして、曲線部11bの管内面における曲率半径は、元の内面溝付管の内半径より小さくなっている。そのため、管の曲線部にあるフィン同士は接近し、曲線部におけるフィン間の溝の幅は狭まり、曲線部の溝部、特に曲線部中央付近の溝部断面積は小さくなる。そのため、溝部に保持できる作動液量が減少するとともに作動液の流れは阻害される。
ヒートパイプ内の作動液は気体と液体の状態で存在する。作動液はCPU等の熱源(蒸発部側)付近で管壁から熱を奪い、液体から気体となる。そのため蒸発部側の圧力が高くなり、気体となった作動液は圧力の低い放熱部側(凝縮部側)へ管断面中心部を流れる。放熱部側に流れた気体は熱を管壁に放出し、気体から液体となり、毛細管力によってフィン間の溝部を凝縮部側から蒸発部側へと流れる。
従来、ヒートパイプには溝部が管軸に対するリード角を有し、フィン根元に傾斜部を持つことにより、作動液が溝部を凝縮部から蒸発部へと流れやすくしている内面溝付管が使用されている。
例えば、特許文献1には、管軸に対してリード角を有する複数本の溝を転造によって管材の内面に成形し、更に、フィン傾斜部と溝底部の境界に設ける平滑な緩斜面の高さを最適化することによって、加工性及び工具寿命を向上させた内面溝付管が提案されている。
また、特許文献2には、管軸に平行又はリード角を有する複数本のU字状の主溝及びこの主溝に対して交差角を持つ複数本のV字状の副溝を圧延加工によって断続的に板材に形成し、その後ロールフォーミングによって溝成形面を内側に向けて円弧状に丸め、電縫加工によって管体にする方法が開示されている。そして、この内面溝付管は、成形されたV字状のフィンに対し、溝上部の開口幅を部分的に狭めて管状溝を形成し、この管状溝内に気泡が発生しやすくなるようにしている。この気泡が核となって蒸発を促進することによって気化効率を高め、更に、溝内での表面張力による作動液の輸送効率を向上させている。
また、特許文献3には、管軸に平行又は螺旋状に延びる複数本の主溝を圧延加工によって板材に形成した後、主溝と一定角度で交差するV字状の副溝を間欠的に板材に形成し、その後ロールフォーミングによって溝成形面を内側に向けて円弧状に丸め、電縫加工によって管体にする方法が開示されている。管内面に形成される主溝とV字溝の交差部では、主溝間に形成される突条がV字溝によって分割されて、左右に傾斜した傾斜壁が形成されている。この隣接する傾斜壁の間には、底部よりも開口幅が小さい管状溝が間欠的に形成されている。突条のみが形成された領域と管状溝が形成された領域とが交互に形成されることで、管状溝内では作動液の気泡が発生しやすくなるようにし、突条のみが形成された領域では気泡が滞留しないようにして、作動液の流速が大きい場合においても熱媒流体と伝熱管との伝熱効率低下を少なくしている。
しかしながら、前述の従来技術には以下のような問題点がある。ヒートパイプにおいて、凝縮部を流れる凝縮液にはフィンに対して垂直な速度成分がある。凝縮液が持つフィンに対して垂直な速度成分は内面溝の管軸に対するリード角の増大とともに増えて、フィンが抵抗要素として強く作用するようになるのに加え、溝底部を流れる凝縮液の流動長さはリード角の増大とともに長くなり、ヒートパイプの一定断面を通過する凝縮液の流速は小さくなる。また、管中央部を蒸発部から凝縮部へと流れる蒸気と管壁に沿って凝縮部から蒸発部へと流れる作動液とは流れる方向が逆であり、その境界には摩擦が生じる。そして、凝縮液の流速が低下したり、蒸気と凝縮液の間に生じる摩擦によって凝縮液の凝縮部側から蒸発部側への流れが妨げられると、蒸発部側に作動液が不足してドライアウトし、熱伝達率が急激に低下するためヒートパイプとしての役割を果たせなくなる。特許文献1に記載の内面溝付管はリード角が大きいため、作動液の流速が遅いことに加え、管断面中心部を流れる蒸気と管壁に沿って流れる凝縮液との接触面積が広く、境界に摩擦を生じやすいため、蒸発部側に作動液が不足してドライアウトしやすく、冷却性能が十分に得られないものである。また、リード角が大きいため、管内面に溝加工する際に溝付プラグの損耗が大きく、加工性が悪く、加工コストが大きくなる。
更に、特許文献1に記載の内面溝付管は、フィン傾斜部と溝底部の境界に平滑な緩斜面を設け、その緩斜面の高さを規定することで内面溝付管の加工性を向上させているが、前記緩斜面の溝底部における幅が広いために溝部面積が減少し、溝部を流れる作動液の量が減ることによって冷却性能の低下を招く。
また、特許文献2及び3に記載の内面溝付管は、板材に圧延による溝加工及びロールフォーミングを施した後、電縫加工によって管に成形するため、管内面に電縫加工による溶接部が生じてしまい品質上安定しないという欠点を有している。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、加工性及び生産性に優れ、品質上も安定し、更に、冷却性能に優れたヒートパイプ用内面溝付管及びヒートパイプを提供することを目的とする。
本発明に係るヒートパイプ用内面溝付管は、管内面に管軸方向と平行又は傾斜する方向に伸びるフィンが形成された銅又は銅合金製のヒートパイプ用内面溝付管において、前記フィンの管軸に対するリード角βが0乃至5°、前記フィンの高さHが0.1乃至0.3mm、前記フィンの頂部の山頂角θが40°以下であり、更に、連続して並ぶ5個のフィンの内2個以上の割合で、前記フィンの頂部から前記フィン間の溝底にかけて形成されるフィン斜面の片側又は両側に管軸と平行若しくは斜面を上る方向若しくは斜面を下る方向に切り欠き状の凹みを有し、管軸直交断面内における前記フィン間の溝底幅Lが0.1乃至0.3mmであることを特徴とする。
更に、本発明に係るヒートパイプ用内面溝付管は、管内面にプラグにより溝形状を転造加工することにより、前記フィンが管内面に形成されていることが好ましい。
本発明に係るヒートパイプは、前述のヒートパイプ用内面溝付管を、その円形断面を偏平状に成形したものであることを特徴とする。
本発明のヒートパイプ用内面溝付管によれば、フィン斜面に切り欠き状の凹みを設けたことで性能が向上する。つまり、蒸発部では切り欠き状の凹みが気泡の起点となって核沸騰が起こりやすくなり、最大熱容量が増加する。また、凝縮部及び凝縮と蒸発の中間域においては、切り欠き状の凹みが作動液を毛細管力で蒸発部側へと流れやすくし、熱抵抗が低下する。
また、本発明のヒートパイプ用内面溝付管を、その円形断面を偏平状に成形したヒートパイプは、管内面に溝付プラグにより溝形状を転造加工することにより、溝を成形した場合は、電縫加工による溶接部がなく、品質上安定しており、成形される溝の管軸に対するリード角が小さいため溝付プラグの損耗を抑えられ、加工性、生産性に優れている。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1(a)は本発明の実施形態に係る内面溝付管における、管軸直交断面での内面溝付管の一部を示す断面図、図1(b)は図1(a)の一部拡大断面図、図3は図1(a)の斜視図、図4は管軸平行断面における断面図、図7及び図8は、本実施形態のヒートパイプ用内面溝付管を偏平加工後に管軸方向に曲線部で切断した断面を示す概略図である。
まず、本発明の内面溝付管の形状について説明する。図1(a)及び図4に示すように、内面溝付管は、管1内面に管軸方向と平行又は傾斜する方向に複数の溝2が螺旋状に形成されており、この螺旋溝2間の突起として螺旋状に伸びるフィン3が形成されている。フィン3は管軸直交断面において、頂部の幅が底部より小さい台形型、頂部の幅が底部より小さく頂部が円弧状をした頂部の丸い台形型又は頂部の幅が底部より大きい逆台形型の形状を有する。図1及び図3に示すように、本発明においては、フィン3は、連続して並ぶ5個のフィンの内2個以上の割合で、フィン3の頂部から溝2の底部にかけて形成されるフィン斜面の片側又は両側に管軸と平行若しくは斜面を上る方向若しくは斜面を下る方向に切り欠き状の凹み4が形成されている。本発明においては、溝2の管軸方向に対するリード角βは0乃至5°である。更に、フィン高さHは0.1乃至0.3mmである。更に、切り欠き状の凹み4は、フィン3の斜面上フィン頂部から溝部との境界まで高さ方向全体にあってもよいし、途中で途切れていてもよい。また、切り欠き状の凹み4は、フィン長手方向に規則性のある間隔で並んで存在していることが好ましい。更に、フィン3の斜面がなす山頂角θは0乃至40°、フィンとフィンの間に形成される溝2の溝底幅Lは0.1乃至0.3mmであり、好ましくは山頂角θが0乃至30°、溝底幅Lが0.13乃至0.2mmである。
次に、本発明の実施形態に係る内面溝付管の製造方法について説明する。まず、素管内に、螺旋状の溝が表面に形成された溝付プラグと縮径プラグとを連結した状態で挿入し、前記プラグの位置において素管外面に接するダイスを設ける。そして、前記素管を引き抜くことにより、縮径ダイスにより前記素管を縮径加工すると共に、素管を介して縮径プラグを素管の引抜力に抗してその位置に保持し、前記溝付プラグを連結軸を介してフローティング状態でその位置に保持する。溝付プラグは縮径プラグと回転可能に連結されており、溝付プラグの位置において、管外面に遊星回転するように複数個の転造ボール又は複数個の転造ロールを配置し、この転造ボール又は転造ロールにより前記素管を前記溝付プラグに向けて押圧すると、素管内面の管肉が溝付プラグの溝内に侵入して素管内面に溝付プラグの溝に対応するフィン3が形成される。また、溝付プラグのフィンの部分が素管内面において溝2となり、溝付プラグの外面の溝形状が、素管内面に転写されてフィン3となる。このとき形成されるフィン3の形状は頂部の幅が底部より小さい台形型又は頂部の幅が底部より小さく頂部が円弧状をした頂部の丸い台形型である。またこのとき、溝付プラグの頂部と溝部斜面との境界部における曲率半径をフィン高さに対して十分小さくすると、溝付プラグの頂部と溝部斜面の境界部において管肉の溝付プラグ溝内への侵入が阻害されて、形成されるフィン3の一部は、フィン3の頂部からフィン3間の溝2の底部にかけて形成されるフィン斜面の片側又は両側に、切り欠き状に管肉が満たされない凹み4が形成される。また、溝付プラグの溝に侵入してフィン形状となった素管内面の管肉が、転造ロール又は転造ボールと溝付プラグの間を抜ける際、溝付プラグによって引き抜きに対して逆方向の抗力を受け、管内面に生成されたフィン斜面に切り欠き状の凹み4が形成される。その後、製造装置の整形部でさらに縮径されて内面溝付管として仕上げられると、前記台形型又は頂部の丸い台形型のフィンを有する内面溝付管が完成する。ここで、整形部での縮径を行わず、第1の溝付プラグによる転造加工を施されて第1の溝が形成された管内面に、第1の溝付プラグより小径で外面が平滑なテーパ状のプラグを挿入して、再度前記同様の縮径及び転造加工を行うと、フィン3の頂部が平滑プラグによる押圧を受けて、管軸直交断面において頂部の幅が底部より大きい逆台形型のフィン形状が形成される。
以下、上記各数値限定の理由について説明する。
「リード角β:0乃至5°」
前述の如く内面溝付管を偏平加工すると、図2(a)に示すように、内面溝付管1は直線部11a及び曲線部11bを有する形状となる。この偏平加工した内面溝付管1をヒートパイプとして使用する場合においては、管の曲線部11bにあるフィン同士は接近し、フィン間の溝の幅は狭まるため、溝部を凝縮部側から蒸発部側へと流れる液体の作動液の循環量は減少する。図7及び図8の破線は、偏平加工による曲線部の影響を受けるフィン、実線は偏平加工による曲線部の影響を受けないフィンを示す。また、図7はリード角βが小さい場合、図8はリード角βが大きい場合を示す。図8に示すように、リード角が大きくなるに従って、単位長さ当たりの管において曲線部を通るフィンの数は増えるため、性能は低下する。更に、蒸発部から凝縮部へと流れる蒸気がほぼ管軸に平行な流れであるのに対し、凝縮部から蒸発部へと流れる液体の作動液の流れはリード角によってフィン斜面に垂直な速度成分を持ち、リード角が大きくなるに伴いより強く流れが阻害されてしまう。また、凝縮部で液体となった作動液は毛細管力によって溝底部を蒸発部側へと流れるが、リード角βが大きくなると、作動液の流動長さがそれだけ増大するため流れが遅くなる。そして、作動液の循環量低下により蒸発部側に作動液が不足するとドライアウトしやすくなり、急激に冷却性能が低下する。更にまた、リード角が大きいと管内面に溝を加工する際に、溝付プラグの損耗が大きく、加工性が低下し、加工コストが増大する。リード角が5°を超えると、偏平加工された管において、管の曲線部において溝部面積が減少する頻度が増えて作動液の循環量が減るのに加え、作動液のフィン斜面に直交する速度成分が大きくなり、更に、作動液の流動長さが増大してドライアウトしやすくなる。従って、前記溝が管軸方向となすリード角βは0乃至5°である。
前述の如く内面溝付管を偏平加工すると、図2(a)に示すように、内面溝付管1は直線部11a及び曲線部11bを有する形状となる。この偏平加工した内面溝付管1をヒートパイプとして使用する場合においては、管の曲線部11bにあるフィン同士は接近し、フィン間の溝の幅は狭まるため、溝部を凝縮部側から蒸発部側へと流れる液体の作動液の循環量は減少する。図7及び図8の破線は、偏平加工による曲線部の影響を受けるフィン、実線は偏平加工による曲線部の影響を受けないフィンを示す。また、図7はリード角βが小さい場合、図8はリード角βが大きい場合を示す。図8に示すように、リード角が大きくなるに従って、単位長さ当たりの管において曲線部を通るフィンの数は増えるため、性能は低下する。更に、蒸発部から凝縮部へと流れる蒸気がほぼ管軸に平行な流れであるのに対し、凝縮部から蒸発部へと流れる液体の作動液の流れはリード角によってフィン斜面に垂直な速度成分を持ち、リード角が大きくなるに伴いより強く流れが阻害されてしまう。また、凝縮部で液体となった作動液は毛細管力によって溝底部を蒸発部側へと流れるが、リード角βが大きくなると、作動液の流動長さがそれだけ増大するため流れが遅くなる。そして、作動液の循環量低下により蒸発部側に作動液が不足するとドライアウトしやすくなり、急激に冷却性能が低下する。更にまた、リード角が大きいと管内面に溝を加工する際に、溝付プラグの損耗が大きく、加工性が低下し、加工コストが増大する。リード角が5°を超えると、偏平加工された管において、管の曲線部において溝部面積が減少する頻度が増えて作動液の循環量が減るのに加え、作動液のフィン斜面に直交する速度成分が大きくなり、更に、作動液の流動長さが増大してドライアウトしやすくなる。従って、前記溝が管軸方向となすリード角βは0乃至5°である。
「フィン高さH:0.1乃至0.3mm」
フィン高さが小さいと溝部断面積が小さくなり溝部に保持できる作動液量が減るため、作動液循環量が減り、凝縮部側から蒸発部側へと流れる冷媒(作動液)が蒸発部側に不足してドライアウトを生じ、冷却性能が低下する。一方フィン高さが大きいと、ヒートパイプを偏平加工した際に曲線部となる部分でフィン先端同士が接触する程接近して溝部面積が狭くなり、溝部に保持される作動液の循環量が減り冷却性能が低下する。フィン高さが0.1mm未満であると溝部断面積の減少によってドライアウトを生じ、冷却性能が低下する。フィン高さが0.3mmを超えると、溝部に保持される作動液の循環量が減り冷却性能が低下する。従って、フィン高さHは0.1乃至0.3mmである。
フィン高さが小さいと溝部断面積が小さくなり溝部に保持できる作動液量が減るため、作動液循環量が減り、凝縮部側から蒸発部側へと流れる冷媒(作動液)が蒸発部側に不足してドライアウトを生じ、冷却性能が低下する。一方フィン高さが大きいと、ヒートパイプを偏平加工した際に曲線部となる部分でフィン先端同士が接触する程接近して溝部面積が狭くなり、溝部に保持される作動液の循環量が減り冷却性能が低下する。フィン高さが0.1mm未満であると溝部断面積の減少によってドライアウトを生じ、冷却性能が低下する。フィン高さが0.3mmを超えると、溝部に保持される作動液の循環量が減り冷却性能が低下する。従って、フィン高さHは0.1乃至0.3mmである。
「切り欠き状の凹みを持つ突起の割合:連続する5つの内2つ以上」
突起部斜面に切り欠き状の凹みを設けると、蒸発部では切り欠き状の凹みが気泡の起点となって核沸騰が起こりやすく最大熱容量が増加する。また、凝縮部及び凝縮と蒸発の中間域においては、切り欠き状の凹みが作動液を毛細管力で蒸発部側へと流れやすくし、熱抵抗が低下する。切り欠き状の凹みを持つ突起の割合が連続する5つの内2つ未満であると、最大熱容量の増加及び熱抵抗の低下が十分得られず、切り欠き状の凹みを持つ突起の割合が連続する5つの内2つ以上になると、核沸騰の頻度が大きくなり、毛細管力で作動液を凝縮部から蒸発部側へと供給しやすくなるため冷却効率が高まり、ドライアウトしにくくなる。従って、切り欠き状の凹みを持つ突起の割合は、連続する5つの内2つ以上である。
突起部斜面に切り欠き状の凹みを設けると、蒸発部では切り欠き状の凹みが気泡の起点となって核沸騰が起こりやすく最大熱容量が増加する。また、凝縮部及び凝縮と蒸発の中間域においては、切り欠き状の凹みが作動液を毛細管力で蒸発部側へと流れやすくし、熱抵抗が低下する。切り欠き状の凹みを持つ突起の割合が連続する5つの内2つ未満であると、最大熱容量の増加及び熱抵抗の低下が十分得られず、切り欠き状の凹みを持つ突起の割合が連続する5つの内2つ以上になると、核沸騰の頻度が大きくなり、毛細管力で作動液を凝縮部から蒸発部側へと供給しやすくなるため冷却効率が高まり、ドライアウトしにくくなる。従って、切り欠き状の凹みを持つ突起の割合は、連続する5つの内2つ以上である。
「山頂角θ:0乃至40°、溝底幅L:0.1乃至0.3mm」
同一突起数及び同一溝底幅の場合、山頂角が小さいほど突起と溝底とのなす角が直角に近く、溝形状が管状に近くなり、更に、作動液が形成するメニスカスが高くなることによって高い毛細管力が得られるようになる。そのため、作動液の凝縮部側から蒸発部側への流れが向上し、冷却性能が向上する。また、溝底幅が広くなると溝部面積が増えて保持しうる作動液の量が増えるため、作動液の循環量が増加して冷却性能は向上するが、溝底幅が広くなりすぎるとメニスカスの高さが低くなって毛細管力が得られなくなり、冷却性能は低下する。山頂角が40°を超えると毛細管力が低下して作動液循環量が減り、また、溝部又は突起斜面と気相との接触面積が増えて気相と液相の境界での摩擦が大きくなって作動液の流れが阻害されやすくなるため、冷却性能が低下する。溝底幅Lが0.1mm未満であると作動液の表面張力のために作動液が溝部に入り難く、溝底幅Lが0.3mmを超えるとメニスカスの高さが低くなり、毛細管力の低下によって冷却性能は低下する。従って、突起部の山頂角θは0乃至40°、溝底幅Lは0.1乃至0.3mmである。
同一突起数及び同一溝底幅の場合、山頂角が小さいほど突起と溝底とのなす角が直角に近く、溝形状が管状に近くなり、更に、作動液が形成するメニスカスが高くなることによって高い毛細管力が得られるようになる。そのため、作動液の凝縮部側から蒸発部側への流れが向上し、冷却性能が向上する。また、溝底幅が広くなると溝部面積が増えて保持しうる作動液の量が増えるため、作動液の循環量が増加して冷却性能は向上するが、溝底幅が広くなりすぎるとメニスカスの高さが低くなって毛細管力が得られなくなり、冷却性能は低下する。山頂角が40°を超えると毛細管力が低下して作動液循環量が減り、また、溝部又は突起斜面と気相との接触面積が増えて気相と液相の境界での摩擦が大きくなって作動液の流れが阻害されやすくなるため、冷却性能が低下する。溝底幅Lが0.1mm未満であると作動液の表面張力のために作動液が溝部に入り難く、溝底幅Lが0.3mmを超えるとメニスカスの高さが低くなり、毛細管力の低下によって冷却性能は低下する。従って、突起部の山頂角θは0乃至40°、溝底幅Lは0.1乃至0.3mmである。
以下、本発明の実施例の効果について比較例と対比して説明する。下記表1乃至3は、比較例、実施例の形状条件を示す。
この実施例又は比較例のヒートパイプの製造には、外径10mm、肉厚0.40mmの素管に対し、上述の製造方法で溝(フィン)を形成し、外径6mm、底肉厚0.3mmに加工した内面溝付管を使用した。この内面溝付管の構成(形状、寸法)を下記表1乃至表4に示す。
そして、この内面溝付管を長さ210mmに切断後、内面を洗浄し油分を除去した。次に、管の一方の端部を口絞り長さ5mm区間縮径し、TIG溶接で塞いだ後、他方の端部を口絞り長さ5mm区間縮径した。次に、TIG溶接していない管端より0.6±0.01cc入れた後、水が漏れないよう管を温め、管内の水を蒸発させながら、開口端をTIG溶接して塞ぐ。そして、両端を5mm区間ずつ縮径され、更に両端をTIG溶接によって塞がれて長さ200mmとなった管を、偏平加工後、図5に示すように、管端から100mmの位置にて曲げ半径30mmでL字状に曲げ加工した。この管の寸法は表4に示すとおりである。
図6は本実施形態の内面溝付管の性能測定に用いた実験装置を示す。ヒートパイプ11は管端より25mmの区間を加熱部であるヒーター12によって加熱した。本実施例においては、ヒーター12により入力電力30Wにてヒートパイプ11を10分間加熱後、T型熱電対式温度計を用いて加熱部温度、凝縮部温度及び雰囲気温度を測定した。ここで加熱部温度はヒーター12によって加熱される管端より10mm位置14におけるヒートパイプ11の表面温度であり、凝縮部温度はヒートパイプ11のヒーター12によって加熱されない管端より20mm位置15におけるヒートパイプ表面温度であり、雰囲気温度は実験時の大気温度測定点16における温度である。
ヒートパイプの性能は、下記数式1及び2にて算出したパラメータを用いて評価する。
この表1乃至3に示すように、実施例1乃至10はリード角βが請求項1を満足するので、請求項1を満足しない実施例6に比して冷却性能に優れている。また、実施例1乃至13はフィン高さHが請求項1を満足するので、請求項1を満足しない比較例3及び4に比して冷却性能に優れている。また、実施例1乃至13は切り欠き状の凹みを持つ突起の割合が請求項1を満足するので、請求項1を満足しない実施例1及び2に比して冷却性能に優れている。また、実施例1乃至13は突起の山頂角θが請求項1を満足するので、請求項1を満足しない実施例5に比して冷却性能に優れている。
1:内面溝付管、2:溝、3:フィン、4:切り欠き状の凹み、11:ヒートパイプ、11a:直線部、11b:曲線部、12:ヒーター、14:加熱部温度測定点、15:凝縮部温度測定点、16:雰囲気温度測定点、θ:山頂角、β:リード角、L:溝底幅、W:ヒーターによる入力電力、Th:加熱部温度、Ta:雰囲気温度、Tc:凝縮部温度
Claims (3)
- 管内面に管軸方向と平行又は傾斜する方向に伸びるフィンが形成された銅又は銅合金製のヒートパイプ用内面溝付管において、前記フィンの管軸に対するリード角βが0乃至5°、前記フィンの高さHが0.1乃至0.3mm、前記フィンの頂部の山頂角θが40°以下であり、更に、連続して並ぶ5個のフィンの内2個以上の割合で、前記フィンの頂部から前記フィン間の溝底にかけて形成されるフィン斜面の片側又は両側に管軸と平行若しくは斜面を上る方向若しくは斜面を下る方向に切り欠き状の凹みを有し、管軸直交断面内における前記フィン間の溝底幅Lが0.1乃至0.3mmであることを特徴とするヒートパイプ用内面溝付管。
- 管内面にプラグにより溝形状を転造加工することにより、前記フィンが管内面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートパイプ用内面溝付管。
- 前記請求項1又は2に記載の内面溝付管を、その円形断面を偏平状に成形したものであることを特徴とするヒートパイプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008094316A JP2009243863A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | ヒートパイプ用内面溝付管及びヒートパイプ |
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JP2008094316A JP2009243863A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | ヒートパイプ用内面溝付管及びヒートパイプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009243863A true JP2009243863A (ja) | 2009-10-22 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104949564A (zh) * | 2015-07-08 | 2015-09-30 | 赤峰宝山能源(集团)贺麒铜业有限责任公司 | 一种直齿高低齿内螺纹传热管 |
JP2017078563A (ja) * | 2015-07-14 | 2017-04-27 | 株式会社不二工機 | アキュームレータ |
JP7444703B2 (ja) | 2020-06-04 | 2024-03-06 | 古河電気工業株式会社 | 伝熱部材および伝熱部材を有する冷却デバイス |
-
2008
- 2008-03-31 JP JP2008094316A patent/JP2009243863A/ja active Pending
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