JP5289088B2 - 熱交換器及び伝熱管 - Google Patents

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本発明は、熱交換器及び伝熱管に関する。特に、本発明は、貯湯式ヒートポンプ給湯機に用いられる熱交換器及び伝熱管に関する。
貯湯式ヒートポンプ給湯機は、主として夜間に一定の時間をかけて湯を沸かす装置であり、当該給湯機が備える熱交換器の伝熱管を流れる水の流速は小さいものである。したがって、伝熱管内を流れる水の流れが層流になることから、熱交換器としての伝熱性能を向上させることを目的とする場合、水を流通させる伝熱管の伝熱性能を向上させることが不可欠である。
従来、ヒートポンプ式給湯機として、水冷媒熱交換器の水伝熱管と、1本の水伝熱管に対して1本以上の冷媒伝熱管とを備え、水伝熱管は、らせん巻きされることにより略円筒形状に形成され、冷媒伝熱管は、略円筒形状に形成された水伝熱管の外周に所定のピッチでらせん巻きされ、更に、冷媒伝熱管は、少なくとも断面の1個所以上が水伝熱管の略全長にわたり接合され、かつ、水伝熱管を流れる水の流れの方向と冷媒伝熱管の内部を流れる冷媒の流れの方向とが反対方向に向いているヒートポンプ式給湯機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のヒートポンプ式給湯機は、上記構成を備えるので、給湯機全体の小形化、低コスト化を図ることができると共に、熱変換効率を向上できる。
特開2005−133999号公報
しかし、特許文献1に記載のヒートポンプ式給湯機は、湯機全体の小形化、低コスト化を図ることができると共に熱変換効率を向上できるものの、近年の地球温暖化対策の観点からは熱変換効率は十分ではなく、熱変換効率の向上には改良の余地がある。
したがって、本発明の目的は、熱変換効率が高い熱交換器及び伝熱管を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、内周面にらせん状に設けられる複数の溝と、複数の溝の間に位置する複数のフィンとを有し、らせん巻きにより円筒に形成される第1伝熱管と、第1伝熱管に隣接して設けられる第2伝熱管とを備え、第1伝熱管は、円筒の曲率半径をR、第1伝熱管の最大内径をID、フィンの高さをHFとした場合に、下記式(1)を満たす熱交換器が提供される。
Figure 0005289088
また、上記熱交換器は、第2伝熱管は、円筒の外周に沿って巻き付けられることにより第1伝熱管の外表面に接してもよい。
また、上記熱交換器は、第2伝熱管は、第1伝熱管の表面に沿って巻き付けられ、第1伝熱管の表面と第2伝熱管の表面とが接合されてもよい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、内周面にらせん状に設けられる複数の溝と、複数の溝の間に位置する複数のフィンとを備え、らせん巻きにより円筒に形成される伝熱管であって、円筒の曲率半径をR、伝熱管の最大内径をID、フィンの高さをHFとした場合に、下記式(1)を満たす伝熱管が提供される。
Figure 0005289088
本発明に係る熱交換器及び伝熱管によれば、熱変換効率が高い熱交換器及び伝熱管を提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係る熱交換器の断面図である。 (a)は、第1の実施の形態に係る水伝熱管の断面図であり、(b)は、(a)の一点鎖線の円で囲んだ部分の拡大断面図である。 (a)は、第1の実施の形態に係る水伝熱管が直状である場合の斜視図であり、(b)は、(a)においてX1−X2に沿って切り開いた場合の図である。 本発明の第2の実施の形態に係る熱交換器の断面図である。 本発明の実施の形態の変形例に係る熱交換器の図である。 実施例及び比較例に係る水伝熱管を直状にした場合における伝熱性能の測定結果を示す図である。 実施例及び比較例に係るらせん巻きした水伝熱管の伝熱性能を測定した結果を示す図である。
[第1の実施の形態]
(熱交換器1の構成の概要)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る熱交換器の断面の概要を示す。
第1の実施の形態に係る熱交換器1は、例えば、貯湯式ヒートポンプ給湯機(以下、「ヒートポンプ給湯機」という場合がある)において、水−冷媒間の熱交換に用いられる熱交換器である。具体的に、熱交換器1は、円筒形状又は略円筒形状にらせん巻きされた第1伝熱管としての水伝熱管10と、水伝熱管10に隣接して設けられる第2伝熱管としての冷媒伝熱管20とを備える。水伝熱管10には水が流され、冷媒伝熱管20には冷媒が流される。すなわち、水伝熱管10は水管として使用され、水伝熱管10を流れる水と、冷媒伝熱管20を流れる冷媒との間で熱が交換される。
(水伝熱管10)
伝熱管としての水伝熱管10は、その内周面に設けられる複数の溝12と、複数の溝12の間に位置すると共に、水伝熱管10の内側に突き出た凸形状を有する複数のフィン14とを有する。複数の溝12は、例えば、水伝熱管10の内周面にらせん状に形成される。第1の実施の形態に係る水伝熱管10は、略直線状(以下、「直状」という場合がある)の水伝熱管10をらせん巻きすることにより形成されるので、略円筒形状の外形を呈する。なお、複数のフィン14によって、水伝熱管10を流れる水の攪拌が促進される。
そして、第1の実施の形態に係る水伝熱管10は、らせん状に複数巻きされることにより複数段を有して形成されており、一の段に該当する水伝熱管10の表面10bと、一の段に続く次の段に該当する水伝熱管10の表面10bとが、接触部10aにおいて直接に接触する。第1の実施の形態に係る水伝熱管10は、例えば、直状の水伝熱管10に対して連続的に曲げ加工を施して複数段にらせん巻きすることにより形成することができる。
また、らせん巻きされて略円筒形状に形成される水伝熱管10の曲率半径を「R」、水伝熱管10の最大内径を「ID」、フィン14の高さを「HF」とした場合に、水伝熱管10は、下記式(1)を満たすように形成される。
Figure 0005289088
(冷媒伝熱管20)
冷媒伝熱管20は、第1の実施の形態において水伝熱管10の外周に接触して設けられる。具体的に冷媒伝熱管20は、略円筒形状を呈する水伝熱管10の外周に沿ってらせん状に巻きつけられる。すなわち、第1の実施の形態に係る冷媒伝熱管20は、水伝熱管10のらせん巻き方向に沿って水伝熱管10の外周に巻き付けられる。換言すると、水伝熱管10内に流れるべき水の流れ方向と、冷媒伝熱管20に流れるべき冷媒の流れの方向とが互いに略平行となるように、冷媒伝熱管20が水伝熱管10の外周に巻きつけられる。そして、冷媒伝熱管20は、水伝熱管10の表面10bに接合された接合部20aを有して形成される。冷媒伝熱管20は、接合部20aを介して水伝熱管10に一体化することになる。
ここで、第1の実施の形態に係る熱交換器1においては、1本の冷媒伝熱管20が水伝熱管10の外周に巻き付けられる。具体的に、冷媒伝熱管20は、略円筒形状の水伝熱管10の外周に、一の段に該当する冷媒伝熱管20の表面と、一の段に続く次の段に該当する冷媒伝熱管20の表面とが離間するように巻き付けられる。例えば、一の段の水伝熱管10と一の段に続く次の段の水伝熱管10とが接触している部分に生じるくぼみ部分に冷媒伝熱管20を沿わせることにより、冷媒伝熱管20を水伝熱管10の外周に接合することができる。
なお、水伝熱管10と冷媒伝熱管20との接合は、例えば、ロウ付け接合等の接合法を用いることができる。また、水伝熱管10及び冷媒伝熱管20はいずれも、所定の熱伝導率を有する金属材料から形成される。金属材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を基いることができる。そして、水伝熱管10の内径は冷媒伝熱管20の内径より大きく形成され、水伝熱管10の外径は冷媒伝熱管20の外径より大きく形成される。
図2Aの(a)は、第1の実施の形態に係る水伝熱管の断面の概要を示し、図2Aの(b)は、図2Aの(a)の一点鎖線の円で囲んだ部分の拡大断面の概要を示す。
図2Aの(a)を参照すると、第1の実施の形態に係る水伝熱管10は、その内周面に形成される複数の溝12と、複数の溝12の間のそれぞれに設けられるフィン14とを有する。また、図2Aの(b)を参照すると、水伝熱管10が有するフィン14は、水伝熱管10の内周面に所定の間隔を有して形成される。
ここで、第1の実施の形態において、水伝熱管10の最大外径を「OD」、最大内径を「ID」とする。また、フィン14の高さ、すなわち、溝12の底部からフィン14の先端までのフィン高さを「HF」、水伝熱管10の肉厚、すなわち、水伝熱管10の外周面から内周面(つまり、溝12の底部)までの底肉厚を「TW」とする。
図2Bの(a)は、第1の実施の形態に係る水伝熱管が直状である場合の斜視図を示し、図2Bの(b)は、図2Bの(a)においてX1−X2に沿って切り開いた場合の概要を示す。
図2Bの(a)は、曲げ加工が施される前の直状の水伝熱管10を示す。そして、図2Bの(a)及び(b)を参照すると、水伝熱管10は、その内周面にらせん状に形成された複数の溝12を有する。更に、水伝熱管10は、複数の溝12の間に複数のフィン14を有する。ここで、第1の実施の形態において、複数のフィン14の間隔を「b」、直状の水伝熱管10の長手方向に対する溝12及びフィン14のなす角度(以下、「ねじれ角」という)を「β」とする。
第1の実施の形態に係る水伝熱管10において、フィン14の間隔は、水伝熱管10の内有面に設ける溝12の数に応じて決定することができる。また、ねじれ角βは、水伝熱管10の長手方向(直状の水伝熱管10の軸方向)に対して0°を超え、90°未満の範囲にすることができる。
(第1の実施の形態の変形例)
第1の実施の形態に係る熱交換器1は、水伝熱管10の外周に1本の冷媒伝熱管20を設けたが、第1の実施の形態の変形例においては、複数本の冷媒伝熱管20を水伝熱管10の外周に設けることもできる。この場合、一の冷媒伝熱管の内径と他の冷媒伝熱管の内径とを異ならせることもできる。
(第1の実施の形態の効果)
第1の実施の形態に係る熱交換器1は、水伝熱管10の内周面に上記式(1)を満足するような複数の溝12及び複数のフィン14を設けたので、複数のフィン14において水伝熱管10を流れる水の攪拌が促進される。これにより、第1の実施の形態においては、例えば、貯湯式ヒートポンプ給湯機のように水伝熱管10内を流れる水の流速が遅い場合においても、熱交換器1の伝熱性能を向上させることができ、温暖化対策に資することができるような、熱変換効率が高い熱交換器1を提供することができる。
また、第1の実施の形態に係る熱交換器1は、水伝熱管10内を流れる水の方向と、冷媒伝熱管20内を流れる冷媒の方向とを逆にした対向流にすることができる。これにより、第1の実施の形態においては、熱交換性能を向上させた熱交換器1を提供することができる。
更に、第1の実施の形態に係る熱交換器1は、例えば、複数本の中空の水伝熱管をらせん状にねじることを要さないので、水伝熱管をらせん状にねじった場合に生じる得る水伝熱管の折れ、割れ、つぶれ等の変形が生じない。したがって、第1の実施の形態によれば、簡易な製造工程によって熱交換器1を製造することができ、信頼性の高い熱交換器1を提供できる。
[第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る熱交換器の断面の概要を示す。
第2の実施の形態に係る熱交換器2は、水伝熱管10のらせん巻きの形態、及び冷媒伝熱管20の水伝熱管10に対する巻き付け方が異なる点を除き、第1の実施の形態に係る熱交換器1と略同様の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態に係る熱交換器2は、直状の水伝熱管10をらせん巻きすることにより略円筒形状の外径を呈する水伝熱管10を備える。第2の実施の形態に係る水伝熱管10は、らせん状に複数巻きされることにより複数段を有して形成されており、一の段に該当する水伝熱管10の表面10bと、一の段に続く次の段に該当する水伝熱管10の表面10bとが、少なくとも冷媒伝熱管20の外径に相当する間隔だけ離間している。すなわち、第2の実施の形態に係る水伝熱管10は、一の段に該当する水伝熱管10の表面10bと、一の段に続く次の段に該当する水伝熱管10の表面10bとは接触していない。
第2の実施の形態に係る冷媒伝熱管20は、水伝熱管10の外表面に沿ってらせん状に巻きつけられ、冷媒伝熱管20と水伝熱管10との接触部分がロウ付け接合等によって接合される。具体的に冷媒伝熱管20は、略円筒形状を呈する水伝熱管10の外周及び内周、並びに一の段と一の段に続く次の段との間のすき間に対応する水伝熱管10の表面部分のそれぞれに接した状態で、水伝熱管10にらせん状に巻きつけられる。すなわち、第2の実施の形態に係る冷媒伝熱管20は、水伝熱管10のらせん巻き方向に対して傾斜した方向に沿って水伝熱管10の外周に巻き付けられる。換言すると、水伝熱管10内に流れるべき水の流れ方向に対して、冷媒伝熱管20に流れるべき冷媒の流れの方向が傾斜するように、冷媒伝熱管20が水伝熱管10の外周に巻きつけられる。
(第2の実施の形態の効果)
第2の実施の形態に係る熱交換器2は、水伝熱管10から形成される円筒の外周及び内周、並びに一の段と一の段に続く次の段との間のすき間に対応する水伝熱管10の表面部分のそれぞれに冷媒伝熱管20が接している。これにより、第2の実施の形態においては、水伝熱管10の表面と冷媒伝熱管20の表面との接触面積が増大するので、結果として伝熱面積を増加させることができる。したがって、第2の実施の形態に係る熱交換器2によれば、熱変換効率を大幅に向上させることができる。
[実施の形態の変形例]
図4は、本発明の実施の形態の変形例に係る熱交換器の一例を示す。
図4においては、冷媒伝熱管20の図示を省略している。そして、本変形例に係る熱交換器は、第1伝熱管としての角形伝熱管15が、略四角形状の断面を有する点を除き、第1の実施の形態に係る熱交換器1と略同様の構成を備える。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
本変形例においては、第1伝熱管としての角形伝熱管15は、断面が略四角形状に形成された後、外形が略円筒形状になるようにらせん巻きされる。そして、図4において図示は省略しているが、らせん巻きされた角形伝熱管15の外周に冷媒伝熱管20が巻き付けられる。そして、角形伝熱管15の表面と冷媒伝熱管20の表面とが接合される。なお、本変形例においては、角形伝熱管15の断面において、内面における対角線を最大内径「ID」と、外表面における対角線を最大外径「OD」とする。
ここで、図4においては、一の段に対応する角形伝熱管15の表面と、一の段に続く次の段に対応する角形伝熱管15の表面とは接触部15aにおいて接触している。なお、実施の形態の更に他の変形例に係る熱交換器においては、第2の実施の形態に係る熱交換器2と同様に、一の段に対応する角形伝熱管15の表面と、一の段に続く次の段に対応する角形伝熱管15の表面とを冷媒伝熱管20の外径以上に離間させることもできる。この場合、冷媒伝熱管20は、略円筒形状を呈するらせん巻きされた角形伝熱管15の外周及び内周、並びに一の段と一の段に続く次の段との間のすき間に対応する角形伝熱管15の表面部分のそれぞれに接した状態で、角形伝熱管15にらせん状に巻きつけられる。
本変形例に係る熱交換器によれば、水が流れるべき伝熱管が角形形状を有するので、断面が円形状の場合に比べて、二次流れの効果が大きくなる。また、角形伝熱管15を円筒形状にらせん巻きする場合に、角形伝熱管15が扁平に変形することを抑制できるので、コンパクトなサイズの熱交換器を提供できる。
以下、本発明の実施例に係る熱交換器について説明する。
図5は、実施例及び比較例に係る水伝熱管を直状にした場合における伝熱性能の測定結果を示す。
具体的には、表1に示す仕様の直状の水伝熱管を作製した。水伝熱管の内周面に形成された複数の溝の仕様については、らせん状内面溝仕様の欄に記載した。実施例1及び実施例2、並びに比較例1及び比較例2に係る水伝熱管はいずれも、リン脱酸銅から作製した。そして、各水伝熱管の最大外径「OD」はいずれも8mmとした。ここで、「伝熱性能」は、流体の物性の影響を相殺すべく、ヌセルト数Nuをプラントル数Prの0.4乗で除した値で定義した(すなわち、伝熱性能=Nu/Pr0.4であり、実施例及び比較例について同様である)。
Figure 0005289088
また、水伝熱管の圧力損失については、以下の説明において、無次元数であるDarcyの管摩擦係数fとして表す。以下、第1の実施の形態において述べた上記式(1)についての根拠を実施例を元にして説明する。
まず、実施例1及び2に係る水伝熱管を作製する場合に用いる直状の水伝熱管においてはいずれも、レイノルズ数「Re」が2000以下の場合、平滑管である比較例2に係る水伝熱管と略同等の熱変換効率を示した(熱変換効率の値については省略)。これは、水伝熱管の内表面にフィンを設けていたとしても、フィンが、乱流境界層に覆われるからである。
ここで、レイノルズ数Reは次式(2)によって定義される。
Figure 0005289088
上記式(2)において、ρは管内を流れる流体の密度(kg/m)であり、μは管内を流れる流体の粘度(Pas)である。また、νは流体速度(m/s)であり、IDは水伝熱管の内径である。
ここで、乱流境界層は、水伝熱管の管壁のごく近傍を層流で流れる粘性底層(又は層流底層)と、層流と乱流との中間の層とから構成される。ここで、フィン高さと粘性底層等の厚みとを比較すべく、水伝熱管の管壁から水伝熱管の管中心方向への距離y(すなわち、粘性底層の厚み)の無次元数yを以下の式(3)で定義する。
Figure 0005289088
式(3)においてuは摩擦速度であり、以下の式(4)で定義される。
Figure 0005289088
式(4)においてτは、管壁における摩擦応力(Pa)である。
通常、粘性底層は0≦y≦5の範囲内であるので、粘性底層の厚みはy=5の場合のyに近似できる。上記式(3)から、粘性底層の厚みyは、摩擦速度uに反比例することが分かる。そして、摩擦速度uは、管壁における摩擦応力τに比例することが上記式(4)から分かる。ここで、摩擦応力τと、水伝熱管の長手方向の所定の区画Lにおける圧力損失△Pとの関係は、以下の式(5)から導き出される式(6)により示される。なお、区画Lの一端における圧力をP1、区画Lの他端における圧力をP2(但し、P1≧P2)とする。また、区画Lの長さをLとする。
Figure 0005289088
Figure 0005289088
ここで、Darcy−Weisbachaの式は以下の式(7)のとおりである。
Figure 0005289088
式(7)においてνは流体の平均流速(m/s)であり、fは管摩擦係数である。そして、式(7)を式(6)に代入すると、以下の式(8)が得られる。
Figure 0005289088
式(8)を参照すると分かるように、水伝熱管を流れる流体の流体温度、及び流速が同一であれば、摩擦応力τは管摩擦係数fに比例する。したがって、管摩擦係数fが大きくなると、上記式(3)で示した粘性底層の厚み、すなわち、y=5の場合におけるyの値は小さくなる。また、粘性底層の厚み(つまり、y=5の場合におけるyの値)を水伝熱管の最大内径IDで除した値は、管摩擦係数fがレイノルズ数Reの関数である場合、上記式(2)から上記式(8)より、以下の式(9)のようにレイノルズ数Reと管摩擦係数fとの関数として表すことができる。
Figure 0005289088
ここで、直状の水伝熱管の管摩擦係数fは、例えば、水伝熱管が平滑管である場合、乱流域の式(ブラジウスの式:f=0.3164/Re0.25)、層流域の式(ハーゲンポワズイユの法則よりf=64/Re)で表されるように、レイノルズ数Reの0.25乗、又はレイノルズ数Reに反比例する。したがって、直状の平滑管の場合には、上記式(9)を参照すると分かるように、粘性底層の厚み(つまり、y=5の場合におけるyの値)を水伝熱管の最大内径IDで除した値は、レイノルズ数Reが増加すると減少する。
一方、らせん巻きした水伝熱管と直状の水伝熱管との管摩擦係数比kは、以下の式(10)により定義される。
Figure 0005289088
式(10)においてDeはディーン数であり、らせん巻きにした水伝熱管の曲率半径をR、レイノルズ数をReとした場合に、次式(11)により定義される。
Figure 0005289088
ここで、貯湯式ヒートポンプ給湯機のレイノルズ数Reは、沸き上げ時の水温の上昇に応じて増加する。また、レイノルズ数Reは、水伝熱管の内径、貯湯式ヒートポンプ給湯機が備える熱交換器のパス数、熱交換器の能力、室外条件等によっても変化する。そこで、室外条件及び給湯条件を、中間期条件(すなわち、室外空気温度:16℃、入水温度:17℃、出湯温度:65℃)に設定すると共に、中間水温度を41℃に設定した場合のレイノルズ数Reを、水伝熱管の内径、熱交換器のパス数、熱交換器の能力を以下に示す表2の条件ごとに算出した。なお、水伝熱管の内径、熱交換器のパス数、熱交換器の能力はそれぞれ、貯湯式ヒートポンプ給湯機に要求されるサイズ等の制約条件から考えられる範囲で大きく設定した。また、らせん巻きの曲率半径Rが20mmの場合におけるディーン数Deと、らせん巻きされた水伝熱管及び直状の水伝熱管それぞれの管摩擦係数比kも表2に示した。
Figure 0005289088
表2を参照すると、最小のレイノルズ数Reは1300であり、この場合に粘性底層が最も厚くなる。したがって、本発明者は、らせん巻きされた水伝熱管が平滑管より高い性能を発揮するには、内周面に溝及びフィンが形成された水伝熱管のフィン高さが、レイノルズ数Re=1300における粘性底層の厚さよりも高いことが要求されるという知見を得た。
なお、らせん巻きした水伝熱管の最小臨界レイノルズ数Recは以下の式(12)により定義される。
Figure 0005289088
らせん巻きの曲率半径Rが大きく、水伝熱管の内径IDが小さいほど最小臨界レイノルズ数Recは小さくなる。ここで、貯湯式ヒートポンプ給湯機に要求されるサイズを考慮すると、らせん巻きの曲率半径Rは最大でも200mm程度であり、内径IDの最小値を、例えば、表2に示した6.8mmに設定した場合には、最小臨界レイノルズ数Recは約5400となる。したがって、斯かる特性を有するらせん巻きの水伝熱管を流れる流体は、当該水伝熱管の略全域にわたって層流となり、層流域での直状の平滑管における管摩擦係数f=64/Reに上記式(10)に示すらせん巻きの水伝熱管の管摩擦係数と直状の水伝熱管の管摩擦係数との比である管摩擦係数比kを乗ずることで、らせん巻きの平滑管における管摩擦係数f(=k×f)を算出できる。
したがって、上記式(10)及び式(11)、並びに層流域での直状の平滑管における管摩擦係数f=64/Reを用いると、上記式(9)は、以下の式(13)のように整理できる。
Figure 0005289088
そして、本発明者は、上記式(13)に基づいて以下の式(1)の関係を満たすらせん巻きした水伝熱管によれば、当該水伝熱管内を流れる流体の粘性底層をフィン高さより薄くすることができるという知見を得た。
Figure 0005289088
これにより、本発明者は、例えば、ヒートポンプ式給湯器のレイノルズ数の範囲内において、本実施例に係る熱交換性能を向上させることができる熱交換器、及び当該熱交換器用の伝熱管を提供できるという知見を得た。
表3に表1に示した内周面に複数の溝がらせん状に形成された水伝熱管のフィン高さに対する内径の比であるHF/IDと、上記式(13)においてらせん巻きの曲率半径Rが20mmの場合の粘性底層の厚みに対する内径の比の値(y/ID)とを示す。
Figure 0005289088
図6は、実施例及び比較例に係るらせん巻きした水伝熱管の伝熱性能を測定した結果を示す。
図6は、実施例1及び2、並びに比較例1に係る水伝熱管それぞれについて、らせん巻きした水伝熱管のらせん巻きの曲率半径Rが20mmの場合の伝熱性能を測定した結果である。図6を参照すると、らせん巻きした場合、実施例1及び2においてはレイノルズ数Reが1300において、平滑管(比較例2)に対して伝熱性能が向上した。一方、比較例1においては、平滑管と同程度の伝熱性能であった。
(実施例の効果)
例えば、ヒートポンプ式給湯器の水−冷媒間の熱を交換する熱交換器における水の流速は非常に小さい。ここで、平滑管又は直状の伝熱管を用いた場合、これらを流通する流体(例えば、水)は層流になるので、伝熱性能が非常に低い。しかしながら、実施例1及び2の結果から、実施例1及び実施例2に係るらせん巻きした水伝熱管であって、内周面に所定の関係を満たす複数のらせん状の溝及び複数の溝間に位置する複数のフィンとを有する水伝熱管によれば、内周面に形成されたらせん巻きの溝の特性を利用して、粘性底層よりフィンの高さを高くすることができる。これにより、複数のフィンによる流体の攪拌と、フィンと流体とが接触する表面積が拡大する効果とにより、熱変換効率を効果的に向上させることができる。更に、水伝熱管の内周面に設けた溝のらせん巻きによる二次流れにより、熱変換効率を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1、2 熱交換器
10 水伝熱管
10a 接触部
10b 表面
12 溝
14 フィン
15 角形伝熱管
15a 接触部
20 冷媒伝熱管
20a、20b 接合部

Claims (4)

  1. 水−冷媒間の熱交換に用いられる熱交換器であって、
    内周面にらせん状に設けられる複数の溝と、前記複数の溝の間に位置する複数のフィンとを有し、らせん巻きにより円筒に形成される第1伝熱管と、
    前記第1伝熱管に隣接して設けられる第2伝熱管と
    を備え、
    前記第1伝熱管はその中を前記水が流れる水伝熱管であり、前記第2伝熱管はその中を前記冷媒が流れる冷媒伝熱管であり、
    前記第1伝熱管内を流れる前記水は、レイノルズ数Reが1300以上5400以下の状態を含み、
    前記第1伝熱管は、前記円筒の曲率半径をR(ただし、Rは200mm以下)、前記第1伝熱管の最大内径をID、前記フィンの高さをHFとした場合に、下記式(1)を満たす熱交換器。
    Figure 0005289088
  2. 前記第2伝熱管は、前記円筒の外周に沿って巻き付けられることにより前記第1伝熱管の外表面に接する請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記第2伝熱管は、前記第1伝熱管の表面に沿って巻き付けられ、
    前記第1伝熱管の表面と前記第2伝熱管の表面とが接合される請求項1に記載の熱交換器。
  4. 水−冷媒間の熱交換に用いられ、その中を水が流れる伝熱管であって、
    前記伝熱管は、内周面にらせん状に設けられる複数の溝と、前記複数の溝の間に位置する複数のフィンとを備え、らせん巻きにより円筒に形成されて用いられ
    前記伝熱管内を流れる前記水は、レイノルズ数Reが1300以上5400以下の状態を含み、
    前記円筒の曲率半径をR(ただし、Rは200mm以下)、前記伝熱管の最大内径をID、前記フィンの高さをHFとした場合に、下記式(1)を満たす伝熱管。
    Figure 0005289088
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