JP5642462B2 - 熱交換器用伝熱管、及びこれを用いた熱交換器 - Google Patents

熱交換器用伝熱管、及びこれを用いた熱交換器 Download PDF

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Description

本発明は、熱交換器用伝熱管、及びこれを用いた熱交換器に関する。
従来、自然冷媒ヒートポンプ式の給湯機(以下、単に「ヒートポンプ給湯機」と称する場合もある。)の熱交換器としては、水が流通する外管と、冷媒が流通する内管との内外二重管構造からなる二重管式熱交換器がある。この種の二重管式熱交換器においては、冷媒が流通する内管に腐食による孔が開くと、水と冷媒が混ざり合ってしまうことから、水又は冷媒の漏洩を検知して、給湯機を停止するための漏洩検知部が設けられている。この漏洩検知部は、漏洩検知溝を有する漏洩検知管からなり、この漏洩検知管を設けることによって、実質的には三重管構造を有する熱交換器が構成される。
一方、ヒートポンプ給湯機は、夜間に時間をかけて湯を沸かすものであり、水の流速が小さく、層流となる。そのため、熱交換器としての性能を向上させるには、ボトルネックになる水管の伝熱性能の向上が不可欠となる。
伝熱性能の向上を目的としたヒートポンプ給湯機の熱交換器の一例としては、第一伝熱管内に、複数本の伝熱管を螺旋状にねじって構成した第二伝熱管を配置した熱交換器がある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1記載の熱交換器によれば、水の圧力損失やスケール成分の溶出が小さく、伝熱促進体としての別部品を用いずに伝熱促進することができる旨が記載されている。
また、ヒートポンプ給湯機の熱交換器の他の一例としては、水管を芯管として冷媒管を外側から巻き付けた熱交換器がある(例えば、特許文献2参照。)。当該芯管の形状としては、平滑管、内面溝付管、あるいは芯管内部にねじり板を挿入する構成が開示されている。この特許文献2記載の熱交換器によれば、製造・運搬の容易性、熱交換性の向上、コストの低減等の面で効果を有する旨が記載されている。
一方、ヒートポンプ給湯機の小さい流速条件に最適な伝熱管としては、本出願人が先に提案した内面溝付コルゲート管がある(例えば、特許文献3参照。)。この特許文献3記載のコルゲート形状は、平滑管に比べて、伝熱性能を大きく向上できる。
特開2004−360974号公報 特開2002−228370号公報 特開2009−174833号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の熱交換器では、複数本の伝熱管を螺旋状にねじる工程自体が複雑であり、つぶれや折れ等の変形が発生しやすい中空管をねじる工程は、中実なワイヤをねじる工程ほど容易ではなく、製作コストがかかる。また、第一伝熱管と複数本の第二伝熱管を分離する熱交換器端末部分の処理(構成)が複雑になる。更に、上述した漏洩検知部を設ける際に、複数本の第二伝熱管のそれぞれを二重管構造にする必要が生じるので、その製作コストが高騰する。
上記特許文献2記載の熱交換器では、単純に芯管をコルゲート形状としたり、芯管にねじり板を挿入したりしても、所望の伝熱性能を得られず、製作コストや圧力損失の増大を招く場合がある。また、芯管を内面溝付管とした場合は、伝熱面積が増大しても、流速の小さい層流域では、伝熱面積の増大による効果を得ることはできない。更に、内面溝付管の製法上の制約から、流速の小さい層流域で乱流効果を起こさせるような大きな形状変化を形成することは困難である。
上記特許文献3記載の熱交換器は、自然冷媒ヒートポンプ式給湯機に最適な仕様の内面溝付コルゲート管を使用することで、高い伝熱性能を達成することはできるけれども、Re≦5000の低レイノルズ数域においては、伝熱性能の向上率が顕著に現れない。
従って、本発明の目的は、水−冷媒熱交換器の伝熱性能を向上させ得る熱交換器用伝熱管、及びこれを用いた熱交換器を提供することにある。
[1]本発明は、熱交換器を構成する水管として使用される管と、前記管の内面に形成された螺旋状の内面溝と、前記管の外面に形成された螺旋状のコルゲート溝と、前記コルゲート溝と隣り合わせて形成された複数のディンプル溝と、前記コルゲート溝に対応して前記管の内面に突出して形成されたコルゲート突起と、前記ディンプル溝に対応して前記管の内面に突出して形成されたディンプル突起とを有し、前記ディンプル溝のピッチをPd、前記管の外径をODとすると、0.5≦(Pd/OD)≦1を満たすことを特徴とする熱交換器用伝熱管を提供する。
[2]前記コルゲート溝のコルゲート深さをHc、前記管の外径をOD、前記内面溝のフィン高さをHf、前記管の最大内径をIDとすると、0.022{30.7×(Hc/OD)+1.13}(−0.5)≦(Hf/ID)≦0.035を満たすことが好適である。
[3]前記コルゲート溝のコルゲート深さHc、及び前記管の外径ODは、0.03≦(Hc/OD)を満たすことが好ましい。
[4]前記ディンプル溝のピッチをPd、前記管の外径をODとすると、0.5≦(Pd/OD)≦1を満たすことが好ましい。
[5]前記コルゲート溝と前記管の軸線とがなすねじれ角をβc、前記内面溝と前記管の軸線とがなすねじれ角をθとすると、βc>θを満たすことが好ましい。
[6]本発明は更に、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の伝熱管を備えたことを特徴とする熱交換器を提供する。
本発明によれば、自然冷媒ヒートポンプ式給湯機のような水の流速が小さい使用形態においても、熱交換器の性能を向上させた熱交換器用伝熱管、及びこれを用いた熱交換器が得られる。
本発明における伝熱管の構造を模式的に示す説明図であり、(a)は一部切欠した平面図、(b)は(a)のB−B線矢視断面拡大図、(c)は(a)の矢視Cで囲まれた部分の断面拡大図である。 レイノルズ数Reが2000のときのコルゲート溝深さHc及びコルゲート外径ODの比(Hc/OD)と、平滑管に対する伝熱性能比との関係を示すグラフである。 レイノルズ数Reが2000のときのコルゲート溝深さHc及びコルゲート外径ODの比(Hc/OD)と、平滑管に対する圧力損失比との関係を示すグラフである。 (a)は螺旋状内面溝付管及び平滑管の伝熱性能を示すグラフであり、(b)はレイノルズ数Re領域の一部を拡大して示すグラフである。 螺旋状内面溝付管、及び内面溝付コルゲート管の圧力損失測定結果を示すグラフである。 (a)は平滑管、内面平滑コルゲート管、内面溝付コルゲート管、及び内面溝付T字コルゲート管の伝熱性能測定結果を示すグラフ、(b)はレイノルズ数Re領域の一部を拡大して示すグラフである。 平滑管、内面平滑コルゲート管、内面溝付コルゲート管、及び内面溝付T字コルゲート管の圧力損失測定結果を示すグラフである。 乱流域でのレイノルズ数と、平滑管における粘性底層の厚みを管の最大内径IDで除した値δの関係を示すグラフである。 平滑管の管摩擦係数の倍数と粘性底層の厚みを内面溝の最大内径IDで除した値δの関係を示すグラフである。 (a)は伝熱性能と層流領域(レイノルズ数Reが小さい領域)との関係を示すグラフ、(b)は圧力損失と層流領域(レイノルズ数Reが小さい領域)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
(伝熱管の全体構成)
図1において、全体を示す符号1は、この実施の形態に係る典型的な伝熱管の全体構成を示している。この伝熱管1は、熱交換器を構成する水管として使用されるものであり、伝熱管内面を流れる水と伝熱管外面を流れる冷媒との間で熱交換が行なわれる。図示例による伝熱管1は、例えば自然冷媒ヒートポンプ式給湯機の水−冷媒熱交換器用の伝熱管として好適に使用される。
この伝熱管1の内面は、図1に示すように、フィン2aを管軸腺Ta方向にわたって螺旋状に形成することで、螺旋凹状の内面溝2bを有している。一方、伝熱管1の外面には、内面溝2bとは異なる傾斜角をもって、螺旋状に連続して先窄まり状をなすコルゲート溝3と、独立した矩形窪み状をなす複数のディンプル溝4とが同一線上に隣り合って形成されており、その管壁の断面が湾曲波形状を有している。伝熱管1の内面には更に、コルゲート溝3及びディンプル溝4のそれぞれに対応して、先窄まり状のコルゲート突起5と矩形状のディンプル突起6とが突出して形成されている。このディンプル溝4及びディンプル突起6からなるディンプルの螺旋方向位置は、1ピッチずつずれて形成されている。
ここで、ディンプル加工を施していない内面溝付伝熱管を内面溝付コルゲート管といい、図示例による伝熱管1では、伝熱管内面の基本形状が内面溝付コルゲート管であり、ディンプルとコルゲートとの組み合わせが正面視でT字形状を有しているので、図示例による伝熱管1を内面溝付T字コルゲート管1という。また、コルゲート溝3及びコルゲート突起5をコルゲートという。
内面溝付T字コルゲート管1のコルゲート溝3と管軸線Taとのなす角をコルゲートねじれ角βcとすると、コルゲートねじれ角βcがとり得る値は、0°<βc<90°の範囲となるが、そのねじれ角βcは、40°以上90°未満の高ねじれ形状とすることが望ましい。より望ましくは、40°≦βc≦82°の範囲が好適である。一方、内面溝2bと管軸線Taとがなす内面溝ねじれ角をθとすると、内面溝ねじれ角θがとり得る値は、0°<θ<90°となるが、そのねじれ角θは、βc>θの条件を満たすことが好適である。これにより、流体の乱流化を促進することができる。
この内面溝付T字コルゲート管1においては、図1に示すように、内面溝2bのフィン高さをHf、内面溝付T字コルゲート管1の最大内径(以下、「コルゲート最大内径」という。)をID、コルゲート溝3の深さ(以下、「コルゲート深さ」という。)をHc、内面溝付T字コルゲート管1の外径(以下、「コルゲート外径」という。)をOD、内面溝付T字コルゲート管1の端末平滑部分の肉厚(以下、「コルゲート肉厚」という。)をTwとすると、下記(イ)〜(ハ)の条件を満たすことが好適である。この構成により、内面溝付T字コルゲート管1として良好な伝熱性能(以下、「性能」ともいう。)が得られる。
(イ)0.022{30.7×(Hc/OD)+1.13}(−0.5)≦(Hf/ID)≦0.035、
(ロ)0.04≦(Hc/OD)、及び
(ハ)OD=2Tw+ID
図示例によるディンプルのピッチをPdとすると、0.5≦(Pd/OD)≦1の関係を満たすことが更に望ましい。このディンプルをコルゲートに隣接させることで、水の流れる方向、即ち管軸線方向に対して、周期的にディンプルとコルゲートによるT字形状が現れるため、繰り返し前縁効果が発生して伝熱性能を大幅に向上させることができる。
コルゲート肉厚TwやコルゲートのピッチPcは、特に限定されるものではないが、例えば0.4mm≦Tw≦1.7mm、及び3mm≦Pc≦10mmの関係を満たすことが好適である。内面溝付T字コルゲート管1の材質としては、特に限定されるものではないが、熱伝導率や機械的強度を勘案して銅や銅合金、又はアルミニウムやアルミニウム合金などが好ましく用いられる。
図2には、レイノルズ数Reが2000のときのコルゲート深さHc及びコルゲート外径ODの比(Hc/OD)と平滑管に対する伝熱性能比との関係が示されている。コルゲート外径は9.52mm、コルゲートピッチPcは8mm、条数は1条である。図2から明らかなように、(Hc/OD)が0.04未満になると、急激に伝熱性能が低下することが分かる。よって、0.04≦(Hc/OD)の関係を満たすことが望ましい。
図3には、レイノルズ数Reが2000のときのコルゲート深さHc及びコルゲート外径ODの比(Hc/OD)と圧力損失(平滑管に対する管摩擦係数比)との関係が示されている。この管摩擦係数とは、ΔP=λ×L/de×(ρv2)/2の関係式で規定される無次元数λであり、流路面積や流体の流速等の影響を相殺した圧力損失の指標とみなすことができる。ここで、ΔPは内面溝付T字コルゲート管1の圧力損失、Lは内面溝付T字コルゲート管1の長さ、deは内面溝付T字コルゲート管1の相当直径(4×流路面積/濡れ縁長さ)、ρは流体の密度、Vは流体の流速である。
図3から明らかなように、コルゲート深さHc及びコルゲート外径ODの比(Hc/OD)が0.04未満になると、図2示す伝熱性能比と同様に管摩擦係数比、即ち圧力損失も急激に減少し、乱流促進ができなくなることが分かる。一方、(Hc/OD)が0.04以上になると、管摩擦係数比は増加し続けることが分かる。更に図3からみて、(Hc/OD)が0.1を超えると(0.1<(Hc/OD))、管摩擦係数比(圧力損失)が伝熱性能を超えてしまうことが分かる、例えば、(Hc/OD)=1.1において、伝熱性能比4.3に対し、管摩擦係数比4.5となる。従って、0.04≦(Hc/OD)≦0.1を満たすことが望ましく、低圧力損失で高性能な内面溝付T字コルゲート管1が得られる。
(内面溝付T字コルゲート管の製造方法)
内面溝付T字コルゲート管1の内面溝2bの製造方法としては、一般的な内面溝付管の転造加工を用いることができる。その一例としては、例えば図示しない凹凸形成用の円盤状ディスクを管軸線Taに対して傾斜した状態で素管の内面に連続的に押し付けながら、回転させるとともに、素管の内面内で公転させ、素管を所定の速度で引き抜くことで螺旋状の内面溝2bを形成することができる。円盤状ディスクの形状、回転速度、伝熱管の引き抜き速度などを変化させることで、各種の加工パターンに形成することができることは勿論である。
内面溝付T字コルゲート管1のコルゲート(コルゲート溝3及びコルゲート突起5)、及びディンプル(ディンプル溝4及びディンプル突起6)の製造方法としては、一般的なコルゲート管の転造加工を用いることができる。その一例としては、例えばコルゲート及びディンプルに対応する凹凸形成部を有する図示しない円盤状ディスクを管軸線Taに対して傾斜した状態で素管の外面に連続的に押し付けながら、回転させるとともに、素管の外面で公転させ、素管を所定の速度で引き抜くことで螺旋状のコルゲート及びディンプルを形成することができる。円盤状ディスクの形状、回転速度、伝熱管の引き抜き速度などを変化させることで、各種の加工パターンに形成することができる。
以上の製法により、伝熱管内面に螺旋状内面溝2bを有し、伝熱管外面に螺旋状に連続するコルゲート溝3と、独立した複数のディンプル溝4とを隣接して形成することで、伝熱管内面にコルゲ一ト突起5とディンプル突起6とが隣接してT字状に形成された突起を有する内面溝付T字コルゲート管1が効果的に得られる。
(熱交換器の構成)
上記のように構成された内面溝付T字コルゲート管1は、熱交換器を構成する水管(内管)として使用される。図示しない熱交換器は、内面溝付T字コルゲート管1の外面側に外管を備えており、内面溝付T字コルゲート管1と外管との間の環状路に冷媒が流れるように構成される。
以下に、表1〜3及び図2〜9を参照しながら、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例1及び比較例1〜7を挙げて詳細に説明する。なお、この実施例では、上記実施の形態の典型的な一例を挙げており、本発明は、これらの実施例及び比較例に限定されるものではないことは勿論である。
図2〜9を参照すると、螺旋状内面溝付管(比較例1〜4)、平滑管(比較例5)、コルゲート管(比較例6)、内面溝付コルゲート管(比較例7)、内面溝付T字コルゲート管(実施例1)の伝熱性能測定結果が示されている。これらの伝熱管の仕様を下記の表1にまとめて示す。
Figure 0005642462
比較例7は比較例4に、実施例1は比較例1にコルゲート加工を施した伝熱管である。何れの伝熱管も、材質を銅又は銅合金とし、コルゲート外径(OD)を9.52mmとした。ここで、伝熱性能とは、流体の物性の影響を相殺するために、ヌセルト数Nuをプラントル数Prの0.4乗で除したものと定義する(Nu/Pr0.4)。圧力損失も無次元数であるDarcyの管摩擦係数fで表す。
図4(a)に、比較例1〜4(螺旋状内面溝付管)、及び比較例5(平滑管)の伝熱性能測定結果をまとめて示す。図4(b)に、図4(a)のレイノルズ数Re=5000以下を拡大して示す。比較例3及び4は、比較例1及び2とは異なり、遷移域(レイノルズ数Re=2300〜4000)で伝熱性能は上がっているが、層流域(レイノルズ数Re=2300以下)では、比較例5の伝熱性能とは同等となる。
図5に、比較例1(螺旋状内面溝付管)、比較例4(螺旋状内面溝付管)、及び比較例7(内面溝付コルゲート管)の圧力損失測定結果をまとめて示す。比較例4は層流域で急激に低下し、比較例1と逆転している。図4及び図5からみて、遷移域で伝熱性能が向上するフィンの高い内面溝付管は、層流域では整流化作用があると言える。
図6(a)に、平滑管(比較例5)、内面平滑コルゲート管(比較例6)、内面溝付コルゲート管(比較例7)、及び内面溝付T字コルゲート管(実施例1)の伝熱性能測定結果をまとめて示す。図6(b)に、図6(a)のレイノルズ数Re=4000以下(遷移域〜層流域)を拡大して示す。図7には、比較例5、比較例6、比較例7、及び実施例1の圧力損失測定結果をまとめて示す。
図4に示す比較例4(螺旋状内面溝付管)にコルゲート加工した比較例7の内面溝付コルゲート管は、図6に示すように、比較例6の内面平滑コルゲート管よりも、層流域で却って伝熱性能が低下している。同様に、圧力損失についても、比較例7の内面溝付コルゲート管は、比較例6の内面平滑コルゲート管より、低下している。比較例7の内面溝による整流化作用により、コルゲート管の伝熱性能を低下させていると言える。
一方、実施例1の内面溝付T字コルゲート管は、層流域では、コルゲート管の伝熱性能を低下させることなく、比較例1の螺旋状内面溝付管と同等の伝熱性能であり、遷移域〜乱流域では、コルゲート管以上の伝熱性能となる。この遷移域〜乱流域では、比較例7の内面溝付コルゲート管と比べても、実施例1の内面溝付T字コルゲート管は、伝熱性能の優位性を維持している。比較例6の内面平滑コルゲート管に比べ、実施例1の内面溝付T字コルゲート管の重量アップは、上記表1に示すように、13%と最も小さく、レイノルズ数Reが7000のときは、実施例1の内面溝付T字コルゲート管の伝熱性能は、30%以上アップしている。
下記の表2に、内面溝のフィン高さHfを管の最大内径IDで除した値(Hf/ID)を示す。図4及び表2からみて、内面溝付コルゲート管が層流域で整流化され、内面平滑コルゲート管の性能を低下させないためには、比較例2の螺旋状内面溝付管の(Hf/ID)は、0.038以下である必要がある。
Figure 0005642462
ところで、実施例1のコルゲート加工前である比較例1の螺旋状内面溝付管は、遷移域では平滑管より伝熱性能を向上しないため、層流域では、流れを整流化するほどにフィンは高くない。しかしながら、乱流域(レイノルズ数Reが4000以上)でも、高めのレイノルズ数Reでないと伝熱性能は上がらない。これは、内面溝のフィン高さHfが低いため、乱流境界層に隠れてしまうためである。
乱流境界層は、管壁のごく近傍を層流で流れる粘性底層又は層流底層と、層流と乱流の中間の層で構成される。内面溝のフィン高さと粘性底層などの厚みを比較するため、管壁から管中心方向への距離yの無次元数yを以下の式(1)のように定義する。
Figure 0005642462
ここで、ρ、μは管内を流れる流体の密度(kg/m)及び粘度(pas)、uは摩擦速度であり、次式(2)で定まる。
Figure 0005642462
ここで、τは管壁における摩擦応力(Pa)である。
一般に、粘性底層は、0≦y≦5の範囲である。
乱流域と遷移域の境界であるレイノルズ数Reが4000の場合において、比較例1〜4の内面溝のフィン高さに相当するyを計算した結果を下記の表3に示す。なお、表3には表2で示した(Hf/ID)も併記した。
Figure 0005642462
図4からみて、比較例2においては、レイノルズ数Reが4000以上で伝熱性能がアップしており、このとき、yは、粘性底層の2倍以上であることが、上記表2から分かる。
図8に、乱流域でのレイノルズ数Reと、平滑管における粘性底層の厚み(y=5のときのy)を管の最大内径IDで除した値δを示す。図8からみて、比較例1では、レイノルズ数Reが6000〜7000における粘性底層の厚みは0.012となる。上記表2からみて、比較例1の(Hf/ID)は0.027であり、比較例2と同じく粘性底層の厚みが0.011の2倍以上のとき、性能がアップする。
上記式(1)より、粘性底層の厚み(y=5のときのy)は、摩擦速度uに反比例することが分かる。摩擦速度uは管壁における摩擦応力τに比例する。また、摩擦応力τと、管の長さ(区間)Lの圧力損失ΔP(=P1−P2)の関係は次式(3)の通りである。
Figure 0005642462
Darcy−Weisbachの式(数4)として、
Figure 0005642462
ここで、vは流体の平均速度(m/s)である。
上記式(4)を上記式(3)に代入すると、次式(5)となる。流体温度、流速が同じであれば、摩擦応力τは管摩擦係数fに比例する。
Figure 0005642462
平滑管の管摩擦係数fの値を1として、これの倍数kと粘性底層の厚み(y=5のときのy)とを内面溝2bの最大内径IDで除した値δを図9に示す。
ヒートポンプ給湯機のレイノルズ数Reの範囲は、1500〜7000程度であり、乱流域においては4000〜7000となるので、レイノルズ数Reが4000と7000との場合ついて、定式化すると、
(レイノルズ数Re=4000の場合)
δ*=0.018k−0.5
∴2δ*=0.036k−0.5
(レイノルズ数Re=7000の場合)
δ*=0.011k−0.5
∴2δ*=0.022k−0.5
となる。
ここで、コルゲート管の圧力損失平滑管比(図3)は、0.04<(Hc/OD)で直線的に増加するので、圧力損失比kと(Hc/OD)の関係式は次の式(6)のようになる。
Figure 0005642462
Hf/IDが粘性底層δの2倍以上のとき性能がアップするので、内面溝付コルゲート管において、性能アップできる(Hf/ID)の下限値は、次式(7)となる。
Figure 0005642462
望ましくは、次式(8)となる。
Figure 0005642462
以上より、次式(9)の場合は、比較例1の内面溝付管のように、ヒートポンプ式給湯機のレイノルズ数Reの範囲では性能アップできなくても、これを内面溝付コルゲート管とすることで、コルゲートの攪拌効果により粘性底層を薄くすることができるようになり、ヒートポンプ式給湯機のレイノルズ数Reの範囲で性能をアップすることが可能となる。
Figure 0005642462
[他の実施例]
以下に、表4及び図10を参照しながら、本発明の更に具体的な実施の形態として、実施例2〜4及び比較例8を挙げて詳細に説明する。
内面溝付T字コルゲート管1のコルゲート溝3に隣接してディンプル加工を更に追加することで、前縁効果により性能が向上する。試験に使用した伝熱管の仕様を下記の表4にまとめて示す。何れの伝熱管も、材質を銅又は銅合金とし、コルゲート外径(OD)を10.5mmとした。これらの伝熱管に対してレイノルズ数Reが異なる水を流し、伝熱性能と圧力損失とを計測して算出した。ここで、伝熱性能とは、流体の物性の影響を相殺するために、ヌセルト数Nuをプラントル数Prの0.4乗で除したものと定義する(Nu/Pr0.4)。また、ヒートポンプ式給湯機で実際に使用される水流量に対応するレイノルズ数Reで比較した。
図10は、比較例8に対して実施例2〜4の伝熱性能と圧力損失とを、層流領域(レイノルズ数Reが小さい領域)で比をとったものである。図10から明らかなように、試験した0.5≦(Pd/OD)≦1の範囲であれば、比較例8に対して実施例2〜4の全てが伝熱性能を上回っている。また、実施例3のものが損増加率よりも性能増加率が最も大きく上回っており、最適な設計といえる。
Figure 0005642462
以上の説明から明らかなように、内面溝付T字コルゲート伝熱管1は、自然冷媒ヒートポンプ式給湯機の要素で最大のネックである水冷媒熱交換器の水管側の伝熱性能をレイノルズ数Re=5000において向上させ、給湯機システム全体の効率を向上させることができる。また、低圧損であることから、ポンプ入力の低減を図ることができる。なお、例えば内面溝2b、コルゲート溝3、ディンプル溝4、コルゲート突起5、及びディンプル突起6のそれぞれの外観形状は図示例に限定されるものではないことは勿論である。
1 伝熱管
2a フィン
2b 内面溝
3 コルゲート溝
4 ディンプル溝
5 コルゲート突起
6 ディンプル突起
Hc コルゲート溝の深さ
Hf フィン高さ
ID コルゲート管の最大内径
OD コルゲート管の外径
Pc コルゲートのピッチ
Pd ディンプルのピッチ
Ta 管軸線
Tw コルゲート管の端末平滑部分の肉厚
βc,θ ねじれ角

Claims (5)

  1. 熱交換器を構成する水管として使用される管と、
    前記管の内面に形成された螺旋状の内面溝と、
    前記管の外面に形成された螺旋状のコルゲート溝と、
    前記コルゲート溝と隣り合わせて形成された複数のディンプル溝と、
    前記コルゲート溝に対応して前記管の内面に突出して形成されたコルゲート突起と、
    前記ディンプル溝に対応して前記管の内面に突出して形成されたディンプル突起とを有し、
    前記ディンプル溝のピッチをPd、前記管の外径をODとすると、0.5≦(Pd/OD)≦1を満たすことを特徴とする熱交換器用伝熱管。
  2. 前記コルゲート溝のコルゲート深さをHc、前記管の外径をOD、前記内面溝のフィン高さをHf、前記管の最大内径をIDとすると、0.022{30.7×(Hc/OD)+1.13}(−0.5)≦(Hf/ID)≦0.035を満たすことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用伝熱管。
  3. 前記コルゲート溝のコルゲート深さHc、及び前記管の外径ODは、0.03≦(Hc/OD)を満たすことを特徴とする請求項2に記載の熱交換器用伝熱管。
  4. 前記コルゲート溝と前記管の軸線とがなすねじれ角をβc、前記内面溝と前記管の軸線とがなすねじれ角をθとすると、βc>θを満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器用伝熱管。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の伝熱管を備えたことを特徴とする熱交換器。
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