JP2011252626A - 二重管熱交換器用伝熱管 - Google Patents
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Abstract
【課題】伝熱性能の向上を効果的に果たすことができる二重管熱交換器伝熱管を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る二重管熱交換器用伝熱管1は、螺旋状のコルゲート溝2aを外周面に有し、水を内部に流すコルゲート管からなる第1伝熱管2と、第1伝熱管2内に配置され、冷媒を内部に流す管部材4,5を螺旋状に捩じって互いに組み付けてなる第2伝熱管3とを備えた二重管熱交換器用伝熱管であって、第1伝熱管2は、第2伝熱管3の外接円の直径とコルゲート管の最小内径との間の寸法差をDdとするとともに、水のレイノルズ数をReとすると、コルゲート溝2aの溝深さHcが寸法差Dd及びレイノルズ数Reに応じて設定されている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の一態様に係る二重管熱交換器用伝熱管1は、螺旋状のコルゲート溝2aを外周面に有し、水を内部に流すコルゲート管からなる第1伝熱管2と、第1伝熱管2内に配置され、冷媒を内部に流す管部材4,5を螺旋状に捩じって互いに組み付けてなる第2伝熱管3とを備えた二重管熱交換器用伝熱管であって、第1伝熱管2は、第2伝熱管3の外接円の直径とコルゲート管の最小内径との間の寸法差をDdとするとともに、水のレイノルズ数をReとすると、コルゲート溝2aの溝深さHcが寸法差Dd及びレイノルズ数Reに応じて設定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、二重管熱交換器用伝熱管に関する。
例えば、貯湯式ヒートポンプ給湯機の熱交換器には、水が流れる外管、及び冷媒が流れる内管を有する二重管からなる二重管熱交換器が知られている。
一方、貯湯式ヒートポンプ給湯機は、主に夜間などに時間をかけて湯を沸かすものであり、水の流速が小さく、その流れは層流となる。このような条件下で、熱交換器の性能を上げるためには、所謂ボトルネックになる外管の伝熱性能の向上が不可欠である。
従来、伝熱性能の向上を目的とした熱交換器としては、第1伝熱管内に、複数の管部材を螺旋状に捩じって互いに組み付けて構成された第2伝熱管を配置してなるものがある(特許文献1)。特許文献1には、水の圧力損失やスケール成分の溶出が小さく、伝熱促進体としての別部品を用いることなく伝熱促進することができる二重管熱交換器用伝熱管が記載されている。
しかし、特許文献1に記載の二重管熱交換器用伝熱管によると、第1伝熱管が平滑管であるため、第1伝熱管による所望の攪拌効果が得られず、伝熱性能の向上を効果的に果たすことができないという問題がある。
従って、本発明の目的は、第1伝熱管による所望の攪拌効果を得ることができ、もって伝熱性能の向上を効果的に果たすことができる二重管熱交換器用伝熱管を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、以下の二重管熱交換器用伝熱管を提供する。
(1)螺旋状のコルゲート溝を外周面に有し、第1流体を内部に流すコルゲート管からなる第1伝熱管と、前記第1伝熱管内に配置され、第2流体を内部に流す複数の管部材を螺旋状に捩じって互いに組み付けてなる第2伝熱管とを備えた二重管熱交換器用伝熱管であって、前記第1伝熱管は、前記第2伝熱管の外接円の直径と前記コルゲート管の最小内径との間の寸法差をDdとするとともに、前記第1流体のレイノルズ数をReとすると、前記コルゲート溝の溝深さHcが寸法差Dd及びレイノルズ数Reに応じて設定されている二重管熱交換器用伝熱管。
(2)前記第2伝熱管は、前記複数の管部材の捩れ方向を前記コルゲート溝の捩れ方向と反対の方向とする上記(1)に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
(3)前記第1伝熱管は、前記コルゲート管の最大外径をODとするとともに、前記コルゲート溝の溝ピッチをPcとし、かつ前記コルゲート溝の条数をNとすると、前記コルゲート溝の捩れ角βcが90°>βc=(180/π)×arctan{(π×OD)/(Pc×N)}≧69°である場合、前記コルゲート溝の溝深さHcがHc/Dd≧(44.5−0.65βc)×(Re/104)+(0.015βc+0.28)を満足する寸法に設定されている上記(1)又は(2)に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
(4)前記第1伝熱管は、前記コルゲート管の最大外径をODとするとともに、前記コルゲート溝の溝ピッチをPcとするとともに、かつ前記コルゲート溝の条数をNとすると、前記コルゲート溝の捩れ角βcが0<βc=(180/π)×arctan{(π×OD)/(Pc×N)}<69°である場合、前記コルゲート溝の溝深さHcがHc/Dd≧1.25を満足する寸法に設定されている上記(1)又は(2)に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
(5)第1伝熱管は、その材料が銅,銅合金,アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属材料によって形成されている上記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
(6)前記第2伝熱管は、前記複数の管部材が各口径が互いに異なる内管及び外管からなり、前記内管と前記外管との間に微小空間が設けられている上記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
本発明によれば、第1伝熱管による所望の攪拌効果を得ることができ、伝熱性能の向上を効果的に果たすことができる。
[実施の形態]
(二重管熱交換器用伝熱管の全体構成)
図1(a)及び(b)は二重管熱交換器用伝熱管の全体を示す。図2(a)及び(b)は第1伝熱管を示す。図3(a)及び(b)は第2伝熱管を示す。図1に示すように、二重管熱交換器用伝熱管1は、第1伝熱管2及び第2伝熱管3から大略構成されている。
(二重管熱交換器用伝熱管の全体構成)
図1(a)及び(b)は二重管熱交換器用伝熱管の全体を示す。図2(a)及び(b)は第1伝熱管を示す。図3(a)及び(b)は第2伝熱管を示す。図1に示すように、二重管熱交換器用伝熱管1は、第1伝熱管2及び第2伝熱管3から大略構成されている。
(第1伝熱管2の構成)
第1伝熱管2は、図2(a)及び(b)に示すように、外周面に螺旋状のコルゲート溝2aを有するとともに、内周面に螺旋状の凸部2bを有し、全体が熱伝導率の比較的大きい例えば銅(Cu)等の金属材料からなるコルゲート管によって形成されている。そして、第1伝熱管2は、内部に、すなわち内周面と第2伝熱管3の外周面との間に形成される流路2cに第1流体としての水を流すように構成されている。第1伝熱管2は、管軸Taに対するコルゲート溝2aの捩れ角βcが0<βc<90°を満足する角度に設定されている。
第1伝熱管2は、図2(a)及び(b)に示すように、外周面に螺旋状のコルゲート溝2aを有するとともに、内周面に螺旋状の凸部2bを有し、全体が熱伝導率の比較的大きい例えば銅(Cu)等の金属材料からなるコルゲート管によって形成されている。そして、第1伝熱管2は、内部に、すなわち内周面と第2伝熱管3の外周面との間に形成される流路2cに第1流体としての水を流すように構成されている。第1伝熱管2は、管軸Taに対するコルゲート溝2aの捩れ角βcが0<βc<90°を満足する角度に設定されている。
なお、コルゲート管とは、コルゲート加工技術を用い、平滑管の外周面にコルゲート溝としての螺旋状の凹溝を形成することにより、内周面に螺旋状の凸部が設けられた管部材をいう。
また、第1伝熱管2は、第2伝熱管3の外接円の直径dc(図3(b)に示す)とコルゲート管の最小内径IDとの間の寸法差Ddとするとともに、水(第1伝熱管2内の水)のレイノルズ数をReとすると、コルゲート溝2aの溝深さHcが寸法差Dd及びレイノルズ数Reに応じて設定されている。これにより、流路2cの水が凸部2bを乗り越えて管軸Taに沿って流れるため、水の乱流化を促進することができ、第1伝熱管2による所望の攪拌効果が得られる。この効果は、コルゲート溝2aの捩れ角βcがβc>60°である場合に得られることが確認されている。
第1伝熱管2は、コルゲート管の最大外径をODとするとともに、コルゲート溝2aの溝ピッチをPcとし、かつコルゲート溝2aの条数をN(本実施の形態ではN=1)とすると、コルゲート溝2aの捩れ角βcが90°>βc=(180/π)×arctan{(π×OD)/(Pc×N)}≧69°である場合、コルゲート溝2aの溝深さHcがHc/Dd≧(44.5−0.65βc)×(Re/104)+(0.015βc+0.28)を満足する寸法に設定されていることが望ましい。
また、コルゲート溝2aの捩れ角βcが0<βc=(180/π)×arctan{(π×OD)/(Pc×N)}<69°である場合には、コルゲート溝2aの溝深さHcがHc/Dd≧1.25を満足する寸法に設定されていることが望ましい。
これにより、第1伝熱管2内に第2伝熱管3を挿入して配置する際の挿入性を平滑管と同等に確保して伝熱性能を高めることができる。また、第1伝熱管2が平滑管と比べて流路2cが大きくなるため、スケール析出による詰まりを防止することができる。
なお、第1伝熱管2は、端末平滑部肉厚TW及びコルゲート溝2aのピッチPcが特に限定されるものではないが、例えば0.4mm≦TW≦1.7mm,3mm≦Pc≦30mmを満足する寸法に設定されたコルゲート管が用いられる。
(第2伝熱管3の構成)
第2伝熱管3は、図3(a)及び(b)に示すように、複数(本実施の形態では2本)の管部材4,5からなり、第1伝熱管2(図2に示す)内に配置されている。
第2伝熱管3は、図3(a)及び(b)に示すように、複数(本実施の形態では2本)の管部材4,5からなり、第1伝熱管2(図2に示す)内に配置されている。
管部材4,5は、前記コルゲート溝2a(図2に示す)の螺旋方向と反対の方向に螺旋状に捩じって互いに密接しながら絡み合うように組み付けて配置され、全体が第1伝熱管2の材料と同様に例えばCu等の金属材料によって形成されている。そして、管部材4,5は、各内部に第2流体としてのフロン,二酸化炭素などの冷媒を流すように構成されている。
管部材4は、各口径を互いに異にする内管4A及び外管4Bを有し、内管4Aと外管4Bとの間に外部に連通する微小空間4Cが設けられている。この微小空間4Cを利用することにより、管部材4内の冷媒の漏洩を検知することができる。管部材5は、管部材4と同様に、各口径を互いに異にする内管5A及び外管5Bを有し、内管5Aと外管5Bとの間に外部に連通する微小空間5Cが設けられている。この微小空間5Cを利用することにより、管部材5内の冷媒の漏洩を検知することができる。
なお、本実施の形態では、微小空間4C,5Cを有する管部材4,5が用いられる場合について説明したが、例えば飲料用の二重管熱交換器用伝熱管でない場合などは微小空間を有しない管部材が用いられることもある。
(二重管熱交換器用伝熱管1の作用)
次に、本実施の形態に示す二重管熱交換器用伝熱管1の作用について説明する。第1伝熱管2内(流路2c)に水を供給すると、水が第1伝熱管2内の流路2cを一方向に沿って流れる。一方、第2伝熱管3(管部材4,5)内に冷媒を供給すると、冷媒が管部材4,5内を他方向に沿って流れる。
次に、本実施の形態に示す二重管熱交換器用伝熱管1の作用について説明する。第1伝熱管2内(流路2c)に水を供給すると、水が第1伝熱管2内の流路2cを一方向に沿って流れる。一方、第2伝熱管3(管部材4,5)内に冷媒を供給すると、冷媒が管部材4,5内を他方向に沿って流れる。
この場合、第1伝熱管2内の水が凸部2bを乗り越えて流れるため、この部位において第2伝熱管3の外周面への水の接近によって冷媒との間の熱交換に大きく寄与する。また、第1伝熱管2内の凸部2bによって水が攪拌され、管部材4,5の螺旋形状による効果と相俟って熱交換率を一層高く維持することができる。
(実施の形態の効果)
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
以上説明した実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
(1)第1伝熱管2による所望の攪拌効果を得ることができ、伝熱性能の向上を効果的に果たすことができる。
(2)第1伝熱管2内に第2伝熱管3を挿入して配置する際の挿入性を平滑管と同等に確保して伝熱性能を高めることができる。
(3)第1伝熱管2が平滑管と比べて流路2cが大きくなるため、スケール析出による詰まりを防止することができる。
次に、本実施の形態に関する実施例1〜7について説明する。実施例1〜7に係る二重管熱交換器用伝熱管を、また比較例1〜4に係る二重管熱交換器用伝熱管をそれぞれ表1に示す伝熱管仕様で作製した。表1において、第1伝熱管を水管とし、また第2伝熱管の管部材を内管とする。
本実施の形態に関する実施例および比較例に係るコルゲート管の製造方法としては、コルゲート加工技術を用い、平滑管の外周面にコルゲート溝としての螺旋状の凹溝を形成することにより、内周面に螺旋状の凸部を設ける。より具体的には、コルゲート溝は、コルゲート形成用の円盤状のディスクを、平滑管すなわち管軸に対して垂直に切ったときの内周面の断面が真円である管からなる平滑管の中心軸に垂直な方向に対して傾斜をつけた状態で、平滑管に連続的に押し付けながら回転させつつ、平滑管の周囲に公転させるとともに、平滑管を所定の速度で軸方向へ移動させることにより形成する。
実施例1〜7は、二重管熱交換器用伝熱管1の伝熱性能に寄与する水側熱伝達率(管外熱伝達率)を求めることにより、比較例1〜4と比較した。
熱伝達率を求めるために、内管内には30℃の温水を、また水管の内周面と内管の外周面との間の流路には20℃の冷水をそれぞれ流して熱交換し、内管及び流路の流量,出入口温度を測定し、熱交換量Q及び熱通過率Κを求めた。次に、出入口温度の平均値を代表温度として、プラントル数Pr=μCp/λ(μ:粘性係数,Cp:比熱,λ:熱伝導率)及びレイノルズ数Re=ρvdi(ρ:密度,v:流速,di:内管の内径)を求め、Dittus-Boelter(ジッタスとベルター)の式(Nu=0.023Re0.8Pr0.4)と代表温度での熱伝導率λから管内伝達率αiをαi=Nuλ/diより求めた。これにより、管外熱伝達率αoがαo=1/{(1/Κ)−(1/αi)}より求められる。
熱伝達率(伝熱性能)は比較例1に対する比で整理して表した。比較例1,2で用いられる水管は共に平滑管である。比較例2は、水管の管径を小さくすれば、すなわち水管の最小内径IDと内管の外接円直径dcとの寸法差Ddを小さくすれば、比較例1に対して伝熱性能が向上している。この比較例2の平滑管の伝熱性能よりも実施例1〜6の水管の伝熱性能が向上する仕様を明確にする必要がある。
図4は実施例1〜3と比較例2との熱伝達率の比較結果を示す。図5は実施例4〜6と比較例2との熱伝達率の比較結果を示す。図6は実施例1〜6の熱伝達率と比較例2の熱伝達率とが同等になる場合のReとHc/Ddとの関係を示す。図4及び図5により、実施例3,6のように、全てのレイノルズ数Reで比較例2に対して伝熱性能が向上する仕様もあるが、レイノルズ数Reによっては比較例2よりもコルゲート溝の捩れ角βcが異なると、伝熱性能が下回る場合もある。このため、図4及び図5において、比較例2と同等の熱伝達率(伝熱性能)になるレイノルズ数Reを求め、さらにレイノルズ数Reに基づいてHc/Ddを求めた。このHc/DdとReとの関係を図6に示した。図6には、Hc/DdとReとの関係を表わす近似直線も併記した。
ここで、Re=1500,βc=73.5°として実施例4〜6の伝熱性能をHc/Ddで比較した。この比較結果を図7に示す。また、Re=1500,Hc/Dd=1.25として実施例3,6,7の伝熱性能をβcで比較した。この比較結果を図8に示す。図7は実施例4〜6の伝熱性能の比較結果を示す。図8は実施例3,6,7の伝熱性能の比較結果を示す。
図7及び図8において、熱伝達率比がいずれも線形に増加していることが分かる。伝熱性能は、水管のコルゲート溝の溝深さHcと捩れ角βcの関数として表わせるが、それぞれの関数の偏微分が一定(線形の比例定数)になることから、コルゲート溝の溝深さHcと捩れ角βcの積に比例する。
従って、比較例2と同等の伝熱性能になるコルゲート溝の溝深さHcと捩れ角βcとは反比例の関係にあることが推定され、この概念図を図9に示す。図9は、Hc/Ddと捩れ角βcとの関係を示す。
しかしながら、実施例1〜7においては、いずれも捩れ角βcがβc>60°であるため、βcの範囲は狭く(最大でもβc<90°)、この範囲に捩れ角βcで比較例2と同等の伝熱性能になるコルゲート溝の溝深さHcは、βcの単調減少1次関数で近似してよいことが分かる。
以上より、水管の最小内径と内管の外接円直径との寸法差Ddを基準にとり、平滑管と同等性能となる、コルゲート溝の溝深さHcと捩れ角βcは、Hc/Dd=−a×βc+b(ここで、a,bは正の数)と表わされる。
βc=81°とβc=73.5°を上式に代入したものは、図6に記載されているそれぞれのβcのときの式に等しくなり、上式のa,bを求めると下式となる。
βc=81°とβc=73.5°を上式に代入したものは、図6に記載されているそれぞれのβcのときの式に等しくなり、上式のa,bを求めると下式となる。
Hc/Dd≧(44.5−0.65βc)×(Re/104)+(0.015βc+0.28)
上式のReの係数(44.5−0.65βc)は、実施例1〜6の範囲では負であるため、Reが小さくなれば、右辺が大きくなるため、左辺であるHcも大きくしなければならないことを表わしている。逆に、Reの係数が正であるときは、Reが小さくなれば、右辺は小さくなり、左辺であるHcを大きくする必要がなくなり、実態と合わない。そこで、Reの係数が負となる条件が必要であり、上式が成立するβcはβc≧69°となる。
一方、実施例7のように、Hc/Dd≧1.25のときは、βc<69°でもレイノルズ数によらず、平滑管よりも伝熱性能が向上する。
なお、実施例1〜7の伝熱性能は、比較例3,4の伝熱性能よりも向上することが同様に確認された。
以上、本発明の二重管熱交換器用伝熱管を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば次に示すような変形も可能である。
(1)本実施の形態では、第1伝熱管2及び第2伝熱管3が例えば銅からなる金属材料によって形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば銅合金,アルミニウム(Al),アルミニウム合金からなる金属材料によって第1伝熱管及び第2伝熱管を形成してもよい。この他、第1伝熱管及び第2伝熱管の材料としては、熱伝導率や機械的強度を勘案して他の材料を用いることができる。
(2)本実施の形態では、コルゲート溝2aの条数NがN=1である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば2条,3条あるいは4条以上の条数であってもよい。コルゲート溝の条数Nは、比較的高い捩れ角を実現し易いという点でN=1〜3であることが望ましい。
(3)本実施の形態では、コルゲート溝の幅は、製造方法に用いた円盤状ディスクの幅と略同一であり、平滑管の表面での測定において、0.5mm〜1.5mmとなる。このコルゲート溝以外の箇所は、コルゲート加工前の平滑管の形状を保っている。コルゲート溝の幅が大きい場合は、水の流れの乱流の状態が、変化し、圧力損失に悪影響を及ぼすことはいうまでもない。コルゲート溝幅が3mm以上の場合は、すなわち、本願の数式を満たさない。
1…二重管熱交換器用伝熱管、2…第1伝熱管、2a…コルゲート溝、2b…凸部、2c…流路、3…第2伝熱管、4…管部材、4A…内管、4B…外管、4C…微小空間、5A…内管、5B…外管、5C…微小空間、dc…第2伝熱管3の外接円の直径、OD…第1伝熱管2の最大外径、TW…第1伝熱管2の肉厚、Hc…コルゲート溝2aの溝深さ、Pc…コルゲート溝2aのピッチ、ID…コルゲート管の最小内径、Dd…直径dcと最小内径IDとの寸法差、βc…コルゲート溝2aの捩れ角、Ta…管軸
Claims (6)
- 螺旋状のコルゲート溝を外周面に有し、第1流体を内部に流すコルゲート管からなる第1伝熱管と、
前記第1伝熱管内に配置され、第2流体を内部に流す複数の管部材を螺旋状に捩じって互いに組み付けてなる第2伝熱管とを備えた二重管熱交換器用伝熱管であって、
前記第1伝熱管は、前記第2伝熱管の外接円の直径と前記コルゲート管の最小内径との間の寸法差をDdとするとともに、前記第1流体のレイノルズ数をReとすると、前記コルゲート溝の溝深さHcが寸法差Dd及びレイノルズ数Reに応じて設定されている二重管熱交換器用伝熱管。 - 前記第2伝熱管は、前記複数の管部材の捩れ方向を前記コルゲート溝の螺旋方向と反対の方向とする請求項1に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
- 前記第1伝熱管は、前記コルゲート管の最大外径をODとするとともに、前記コルゲート溝の溝ピッチをPcとし、かつ前記コルゲート溝の条数をNとすると、前記コルゲート溝の捩れ角βcが90°>βc=(180/π)×arctan{(π×OD)/(Pc×N)}≧69°である場合、前記コルゲート溝の溝深さHcがHc/Dd≧(44.5−0.65βc)×(Re/104)+(0.015βc+0.28)を満足する寸法に設定されている請求項1又は2に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
- 前記第1伝熱管は、前記コルゲート管の最大外径をODとするとともに、前記コルゲート溝の溝ピッチをPcとするとともに、かつ前記コルゲート溝の条数をNとすると、前記コルゲート溝の捩れ角βcが0<βc=(180/π)×arctan{(π×OD)/(Pc×N)}<69°である場合、前記コルゲート溝の溝深さHcがHc/Dd≧1.25を満足する寸法に設定されている請求項1又は2に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
- 第1伝熱管は、その材料が銅,銅合金,アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属材料によって形成されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
- 前記第2伝熱管は、前記複数の管部材が各口径を互いに異にする内管及び外管を有し、前記内管と前記外管との間に微小空間が設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二重管熱交換器用伝熱管。
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CN102855396A (zh) * | 2012-08-24 | 2013-01-02 | 张周卫 | 双股流螺旋缠绕管式换热器设计计算方法 |
JP2015175569A (ja) * | 2014-03-17 | 2015-10-05 | 株式会社デンソー | 熱輸送システム |
JP2016033440A (ja) * | 2014-07-31 | 2016-03-10 | 株式会社コベルコ マテリアル銅管 | 管内単相流用伝熱管 |
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2010
- 2010-05-31 JP JP2010125032A patent/JP2011252626A/ja active Pending
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