JP2018151040A - 管継手、熱交換器及び熱交換器の製造方法 - Google Patents

管継手、熱交換器及び熱交換器の製造方法 Download PDF

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Fumihiko Kusano
文彦 草野
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亮平 川端
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Sachihiko Satake
祥彦 佐竹
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Abstract

【課題】扁平管などの管材と接合するU字形状の管継手において、接合時の高温領域においてもU字形状の変形が抑制され、良好な接合ができるようにした管継手、熱交換器及び熱交換器の製造方法を得る。【解決手段】流体が通流される管材5の管端部相互を接続する外観がU字形状の管継手6であって、円弧状の湾曲部分であるU字湾曲部6aにおける内周側の管壁に、加熱によって生じる変形を抑制し得る凹部6dを設けたことを特徴とする。凹部を設けたことで、管材との接合時に高温領域下に置かれた場合でも、加熱による変形が抑制され、流体が通流される管材に対して気密性の高い良好な接合が得られ、また、接合時の固定ジグなどを不要とし、もしくは簡素化できる。【選択図】図3

Description

本発明は空調装置や冷凍機器などに用いられるフィン&チューブ方式の熱交換器に使用される管継手、熱交換器及び熱交換器の製造方法に関するものである。
従来のフィン&チューブ式熱交換器のうち、チューブに扁平管を使用した熱交換器において、隣接する扁平管同士をつなぐ際にはヘッダー管やUベンド管等の管継手が使用される。一般に管継手はその一部が円管形状を有することから、扁平形状と円管形状をつなぐ部分が必要で、これには円管の一部に穴をあけたり、円管の端部を変形させたり、変換専用の管継手を円管と扁平管の間に介在させることが必要である。
例えば、ヘッダー管を通じて隣接する扁平管同士を接続し、冷媒回路を構成する。ヘッダー管内に仕切り板を複数挿入することで、冷媒回路構成の自由度を上げるようにしたものがある(特許文献1参照)。
また、一端が扁平形状、他端が円形状の管継手を有する熱交換器を均一にろう付するために、扁平形状側のろう付部長さを、所要ろう付長さよりやや長めに設計すると共に、熱交換器全体を拘束するジグを使って、管継手と扁平管熱交換器をろう付するようにしたものがある(特許文献2参照)。
また、Uベンド管の端部を扁平形状にすることによって、隣接する扁平管同士を接続できるようにしたものがある(特許文献3参照)。
また、Uベンド管の端部を扁平形状に加工することによって、扁平管の一部を円管として熱交換器を構成する。Uベンド部における流路抵抗を小さく、能率のよい熱交換器を作ることができるようにしたものがある(特許文献4参照)。
特開2013−130386号公報 特開2014−233725号公報 特開2010−185614号公報 特公昭59−47233号公報
特許文献1のような構成にすると、1つのヘッダー管で複数の冷媒回路を構成できるという利点があるが、熱交換性能を上げるために隣接しない扁平管に流路を組み難く、また複数の仕切り板を設けることで、ヘッダー管内部形状や外部形状が複雑な構成になってしまう。また、扁平管をヘッダー管内に直接差し込むことになり、扁平管からヘッダー管へと冷媒が流れる場合には拡大流路となり圧力損失が大きくなるという問題点がある。
特許文献2、3、4の技術は流路分配の自由度を上げるのに適しているが、特許文献2は管継手が独立しているため、管継手同士を接続する部材が必要であるため、部品点数、接合工程が増加する。特許文献3、4は管継手同士が一体となっており、部品点数、接合工程を減らすのに効果があるが、炉中ろう付などの接合時に高温領域下に長時間置くと、U字湾曲部が開いて、扁平管とのクリアランスが変化し、ジグ等を使用してその動きを拘束しなければ、ろう材などの接合部材が十分に充填しない恐れがある等の問題があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、扁平管などの管材に接合するU字形状の管継手において、接合時の高温領域においてもU字形状の変形が抑制され、良好な接合ができるようにした管継手、その管継手を用いた熱交換器及び熱交換器の製造方法を得ることを目的としている。
本発明に係る管継手は、流体が通流される管材の管端部相互を接続する外観がU字形状の管継手であって、湾曲部分であるU字湾曲部における内周側の管壁に、加熱によって生じる変形を抑制し得る凹部を設けたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る熱交換器は、流体が通流される管材の管端部相互を接続する外観がU字形状の管継手であって、湾曲部分であるU字湾曲部における内周側の管壁に、加熱によって生じる変形を抑制し得る凹部を設けた管継手を用いたことを特徴とするものである。
また、本発明に係る熱交換器の製造方法は、流体が通流される管材の管端部相互を接続する外観がU字形状の管継手であって、湾曲部分であるU字湾曲部における内周側の管壁に、加熱によって生じる変形を抑制し得る凹部を設けた管継手を用いた熱交換器における前記管継手と前記管材との接合の際に、炉中ろう付手法を用いたことを特徴とするものである。
本発明に係る管継手によれば、U字湾曲部における内周側の管壁に凹部を設けたことにより、接合時に高温領域下に置かれた場合でも、加熱によって生じる変形が抑制され、流体が通流される管材に対して気密性の高い良好な接合が得られる。また、接合時の固定ジグなどを不要にし、もしくは簡素化できる。
また、本発明に係る熱交換器によれば、用いる管継手が、U字湾曲部における内周側の管壁に凹部を設けたことにより、接合時の加熱によって生じる変形が抑制され、流体が通流される管材に対して気密性の高い良好な接合が得られるものであることにより接合部分の信頼性が向上される。
また、本発明に係る熱交換器の製造方法によれば、前記管継手と管材との接合の際に、炉中ろう付手法を用いたことにより、ろう付時の部材間温度差が少ない状態でろう付が可能となるため、ろう材が均一に流れ易く、接合信頼性の高い熱交換器を製造することができる。
本発明の実施の形態1に係る熱交換器を用いた冷媒回路構成図である。 本発明の実施の形態1及び実施の形態5に係る管継手を利用した熱交換器の外観を示す要部構成図である。 本発明の実施の形態1に係る管継手を示すもので、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)及び図3(d)は断面図である。 本発明の実施の形態1の変形例に係る管継手を概念的に示すもので、図4(a)は正面図、図4(b)は側面図である。 本発明の実施の形態1の管継手に扁平管の管端部が挿入、固定された状態を示すもので、図5(a)及び(b)は図3の管継手を用いた場合の正面図及び側面図、図5(c)及び(d)は図4の管継手を用いた場合の正面図及び側面図である。 本発明の実施の形態2に係る管継手を示すもので、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図、図6(c)及び図6(d)は断面図である。 本発明の実施の形態2の変形例に係る管継手を示すもので、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図である。 本発明の実施の形態3に係る管継手を示すもので、図8(a)は正面図、図8(b)は側面図、図8(c)は断面図である。 本発明の実施の形態3の変形例に係る管継手を示すもので、図9(a)は正面図、図9(b)は側面図である。 本発明の実施の形態4に係る管継手を示すもので、図10(a)は正面図、図10(b)は側面図である。 本発明の実施の形態4の変形例に係る管継手を示すもので、図11(a)は正面図、図11(b)は側面図である。 本発明の実施の形態5及び実施の形態7に係る熱交換器の外観を示す要部構成図である。 本発明の実施の形態6に係る熱交換器の製造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態6に係る管継手と扁平管をろう付する際のリングろうの配設位置の一例を示すもので、図14(a)は正面図、図14(b)は側面図である。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る熱交換器を用いた冷媒回路構成図、図2は本発明の実施の形態1に係る管継手を利用した熱交換器の外観を示す要部構成図、図3は本発明の実施の形態1に係る管継手を示すもので、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は図3(b)のIIIc−IIIc線における矢視断面図、図3(d)は図3(a)のIIId−IIId線における矢視断面図である。図4は本発明の実施の形態1の変形例に係る管継手を概念的に示すもので、図4(a)は正面図、図4(b)は側面図である。図5は本発明の実施の形態1の管継手に扁平管の管端部が挿入、固定された状態を示すもので、図5(a)及び(b)は図3の管継手を用いた場合の正面図及び側面図、図5(c)及び(d)は図4の管継手を用いた場合の正面図及び側面図である。なお、各正面図は管継手がU字形状に見える姿勢での構成を示し、各側面図はその姿勢のものを図の右側から見た形状を示す。また、図4の変形例は図3のものと類似しているが、図4(b)に示すように、管継手を側面から見たときに扁平形状部相互が同一面上にはなく、前後方向(図の左右方向)に偏倚した形状となっている。
以下、図に基づいて詳細に説明する。図1に示した実施の形態1の熱交換器1は、主として気液二相流体を冷媒とする空気調和装置の冷媒回路の中に設けられ、圧縮機2や膨張弁機構3と接続し、蒸発器1Aまたは凝縮器1Bとして使用されるものである。冷媒流体は蒸発器1Aを通過する際に、周囲の流体から熱を奪った後、圧縮機2を通過して高圧の高温流体となる。高温となった冷媒は、凝縮器1Bを通る際に周囲に熱を与えて冷却され、さらに膨張弁機構3を通ることにより低圧の低温流体となり、再び蒸発器1Aに入る、という回路を構成している。周知のように、同じ場所に設置された熱交換器であっても、内部の冷媒回路を切り替えることにより、蒸発器としても凝縮器としても使用することが可能となる。実施の形態1の熱交換器1はこのような状態で使用されるものである。
熱交換器1は図2に例示するような外観を有するフィン&チューブ式熱交換器と呼ばれているもので、放熱フィン4と管材(チューブ)である扁平管5、U字湾曲部6aを有する管継手6、U字湾曲部を有しない直管継手7、直管継手7に接続されるヘッダーなどの配管8より構成され、通例、同一列内で複数の段を有すると共に、1列あるいは並列に2列以上に並んで1つの熱交換器1が構成される。放熱フィン4、扁平管5、U字形状の管継手6、直管継手7、配管8は全て例えばアルミニウム、銅などの金属によって構成される。扁平管5は横断面が扁平形状で、管材の長手方向の中央付近でU字形状に曲げられており、その両端はU字形状の管継手6もしくは直管継手7と接続されている。なお、管継手6及び直管継手7の扁平管5との接続部は、扁平形状をしており、直管継手7のもう一方の管端部は円管形状をしている。
扁平管5と放熱フィン4、扁平管5と管継手6、扁平管5と直管継手7はそれぞれ、ろう付もしくは接着によって接合され一体となっている。図2に示した熱交換器1の管継手6は同一列内の隣接する扁平管5と接続されているが、隣の列の扁平管5を繋いでも、さらに他の列の扁平管5とも繋いでもよい(図示省略)。また、図2には管継手6が3個、直管継手7が4個、直管継手7に接続されるヘッダーなどの配管8が2個記載されているが、熱交換器1の仕様に合わせて、個数や挿入位置等は自由に変えることが可能である。
実施の形態1のU字形状の管継手6は図3に示すように、横断面が円管状のU字湾曲部6a、横断面が扁平管状の扁平形状部6b、及び円管と扁平管の移行部分である接続部6cから構成され、U字湾曲部6aの内周側の管壁には凹部6dが形成されている。実施の形態1の凹部6dは、図3(a)及び図3(d)に示すように、正面側からに見たときに切通し状に形成されて該凹部6dの底辺部分が見えると共に、図3(c)の断面図に示すように、凹部6dの背面側の管肉が内周面側に突出されていることを特徴とする。なお、図3(d)において、凹部6dの図の上下方向の長さは、後述する実施の形態2における凹部6dとの違いを明確にするため、後述する管外径dと同一寸法にまで誇張して図示している。本実施の形態1においては前述の長さは、凹部6dの深さfによって変化し、該深さfが浅いほど管外径dよりも短い寸法となることは自明である。また、凹部6dはU字湾曲部6aを形成する前または形成後に成形型(図示省略)で押すことにより、容易に形成することができる。
ここで、図3(c)に示すように、U字湾曲部6aにおける管板厚をt、管外径をdとし、該U字湾曲部6aに形成された凹部6dにおける管内面側の最小内径をd’、凹部6dの深さをfとすると、凹部6dの深さfと、最小内径d’は、大凡、
f≦0.3t、かつ、 d’=d−f−2t>0
となるように設定することで、管継手6の内部に通流される流体の流れに与える影響を抑制しつつ、加熱によって生じる変形を効果的に抑制することができる。なお、凹部6dの深さfを小さくし過ぎると加熱による変形の抑制効果が薄れるので、f=0.3tに近付ける方が望ましい。一例として、管板厚t=2mm、管外径d=8mmとした場合は、凹部6dの深さfは0.6mm程度以下に設定することが好ましい。なお、凹部6dの幅や形状などは特に限定されるものではない。例えば、凹部6dの底面が図3(a)の奥行方向に平面状に形成した場合について説明したが、凹部6dの底面の形状はU字湾曲部6aにおける管の外周面に沿って湾曲された曲面状としても良い。また、上記式は、凹部6dの形成加工によって、U字湾曲部6aの基本形状や凹部6dの底面部分の肉厚が形成加工前の管板厚tと変わらないものと仮定している。
なお、図4に示す本実施の形態1の変形例による管継手6Aは、図4(a)に示すようにU字形状を正面に見た時、扁平形状部6bが図3(a)の場合に対して90度回転した角度に設けられ、かつ、側面から見た時、図4(b)の側面図のように管継手6の両端部に設けられた扁平形状部6bの双方の図における左右方向の位置が同一平面上に重ならない形状に偏倚されている。また、管継手6Aの凹部6dは図4(b)の側面図において、図の右側に形成されているが、凹部6dの位置はU字湾曲部6aの略中央部分であればよく、図示の位置に限定されない。このような変形例に成る管継手6Aは、熱交換器における列の構成などの設計仕様上の必要性によって図3に示す管継手6と共に適宜用意され、扁平管5の管端部相互の接合部分の内、異なる列の接続のために用いられる。なお、接合の際は図5(a)、(b)、または図5(c)、(d)に示すように、管継手6または管継手6Aにおける扁平形状部6bの内部に扁平管5の管端部を挿入した後、適宜のろう付や接着手法などによって対応する扁平管5の管端部相互を接続固定する。
前記のような構成とすることで、図5(a)、(b)、または図5(c)、(d)の配置にて、扁平管5とU字湾曲部6aを有する管継手6、または管継手6Aを加熱してろう付や接着などで接合する時に、加熱による管継手6、または管継手6A自身の熱変形によって、管継手6、または管継手6AのU字湾曲部6aを開く方向に変形する力がかかった際に、U字湾曲部6aに形設された凹部6dの存在が障害となって、その凹部6dが無い場合に比べて、U字湾曲部6aないしはそのU字湾曲部6aに連なる扁平形状部6b相互の間隔が開く熱変形を抑制することができる。また、扁平管5が加熱によって熱変形を起し、管継手6、6Aとの接続部である扁平形状部6bを通じて、管継手6、6AのU字湾曲部6aを変形させるような力が作用した場合においても、U字湾曲部6aの内周側に形成された凹部6dが障害となって、U字湾曲部6aないしはそのU字湾曲部6aに連なる対向された扁平形状部6b相互の間隔を開くような変形を抑制することができる。
一般的な炉中ろう付工程の例において、業務用室外機用の熱交換器などサイズが大きいものを、炉を使ってろう付接合する際には、炉の形状、特に高さ寸法の制約により、重力方向に対して、ろう付前の熱交換器を図2に示す面を水平方向にした姿勢で炉中に置かねばならないことがある。その場合、例えば管継手6(または管継手6A)と扁平管5のろう付部分において、ろう材が進行してほしい向きが水平方向となるのに対して、溶けたろう材は重力方向へ流れ易くなるので、方向が一致しない。そのような場合に信頼性の高いろう付を行うためには、毛細管現象によるろう材のろう付け部への浸透を十分に図ることが必要となり、U字湾曲部6aを有する管継手6と扁平管5のクリアランスを厳密に管理することが要求される。
U字湾曲部6aを有する管継手6のろう付の際に前述のように熱変形が生じると、管継手6の扁平形状部6b内の扁平管5との間のクリアランスが、片方は狭く、他の片方は広くなって、クリアランスを均一に保てなくなり、ろう材が均等に充填されない恐れが生じるため、外部からその変形を抑制するようなジグが必要となるが、配管流路が複雑な場合にはジグ形状が複雑になる。これに対して、本実施の形態1の管継手6(または管継手6A)は、U字湾曲部6aの内周側に凹部6dが設けられていることで、の凹部6dの存在が変形の障害となるため、熱変形を抑制することができるので、複雑なジグを使用せずに、信頼性の高いろう付が可能になると共に、冷媒回路が急拡大、急収縮しないので冷媒の圧力損失を抑えることも可能となる。
上記のように、実施の形態1の管継手6は、U字形状の湾曲部分であるU字湾曲部6aにおける内周側の管壁に凹部6dを設けたので、ろう付や接着などの接合時に長時間高温領域下に置いたとしても、加熱時の管継手6のU字湾曲部6aの熱変形、その熱変形に伴う、管継手内部のクリアランス変化を抑制することができる。これによりジグ等で複雑に抑え込まなくても、気密性の高いろう付を行うことができるといった、従来にない効果を得ることができる。また、実施の形態1における管継手6の凹部6dは、U字形状を正面に見たときに該凹部6dの底辺が切通し状に見えるようにしたので、凹部6dの加工を容易にできるという効果が得られる。
実施の形態2.
図6は本発明の実施の形態2に係る管継手を示すもので、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図、図6(c)は図6(b)のVIc−VIc線における矢視断面図、図6(d)は図6(a)のVId−VId線における矢視断面図である。図7は本発明の実施の形態2の変形例に係る管継手を示すもので、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図である。なお、図7の変形例は図6のものと類似しているが、図7(b)に示すように、管継手を側面から見たときに扁平形状部相互が同一面上にはなく、前後方向(図の左右方向)に偏倚した形状となっている。以下、図に基づいて本発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図6に示すU字湾曲部6aを有する管継手6Bは、実施の形態1と同様にU字湾曲部6aの中央部付近における内周側に凹部6dを有すると共に、図6(a)及び図6(d)が示すように、U字形状を正面に見たときに、その凹部6dの底面が見えない有底穴状に形成されていることを特徴としている。ここで、U字湾曲部6aの管板厚をt、管外径をd、管内径における凹部6dの内周面側の最小内径をd’、凹部6dの深さをf、湾曲方向幅をb、湾曲面に直交する半径方向幅をsとし、更に図6(d)のように見た時のU字湾曲部6aの湾曲端における管外周面相互の離間距離をl(エル)とすると、深さf、最小内径d’、凹部6dの湾曲方向幅b、及び半径方向幅sは、それぞれ、
f≦0.3t、 d’=d−f−2t>0、 b<l、 s<d、
となるように設定することで、管継手6の内部に通流される流体の流れに与える影響を抑制しつつ、加熱によって生じる変形を効果的に抑制することができる。
一例として、管板厚t=2mm、管外径d=8mm、U字湾曲部6aの湾曲端における管外周面相互の離間距離l=10mmとした場合、凹部6dの深さfは0.6mm以下、湾曲方向幅bは10mm未満、半径方向幅sは8mm未満、最小内径d’は約3.4mm未満に設定することが好ましい。なお、本実施の形態2の管継手は、図7に示す変形例の管継手6Cのように、管継手6Cを側面から見たときに扁平形状部6b相互が同一面上にはなく、前後方向(図の左右方向)に偏倚した形状としてもよい。
本発明の実施の形態2は前記のような構成とすることで、実施の形態1に比べて、U字形状を正面に見たときに該凹部の底が切通し状に見えるように形成されていない分、湾曲方向幅bを広くとることができ、U字湾曲部6aの開き、またはねじれに対して障害になって、加熱時にU字を開く方向に作用する力及びねじれを抑制することができる。これにより、複雑なジグを使用しなくても、部材間の熱変形や熱変形による管継手内部のクリアランス変化を抑制することができ、信頼性の高いろう付が可能となる。さらに、冷媒流路が急拡大、急収縮しないので冷媒の圧力損失を抑えることができるという従来にない効果を有するものである。
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態3に係る管継手を示すもので、図8(a)は正面図、図8(b)は側面図、図8(c)は図8(b)のVIIIc−VIIIc線における矢視断面図である。図9は本発明の実施の形態3の変形例に係る管継手を示すもので、図9(a)は正面図、図9(b)は側面図である。なお、図9の変形例は図8のものと類似しているが、図9(b)に示すように、管継手6Eを側面から見たときに扁平形状部6b相互が同一面上にはなく、前後方向(図の左右方向)に偏倚した形状となっている。なお、実施の形態3に係る管継手6Dは、実施の形態1の管継手におけるU字湾曲部6aの外周側の管壁部における内周側の凹部6dに対向する位置に凹み部6eを設けたことを特徴とする。
図8(c)に示すように、外周側の凹み部6eは、その深さをh、U字湾曲部6aの管板厚をt、管外径をd、凹部6dの背面側の内周面と凹み部6eの内周面との間隔に相当する最小内径をd’、内周側の凹部6dの深さをfとすると、凹部6dの深さf、凹み部6eの深さh、最小内径d’は、それぞれ、
f≦0.3t、 h≦0.3t、かつ、 d’=d−f−h−2t>0
となるように設定するのが好ましい。
一例として、U字湾曲部6aの管板厚t=2mm、管外径d=8mmの場合は、内周側の凹部6dの深さf、及び外周側の凹み部6eの深さhは何れも0.6mm以下に設定され、最小内径d’は約2.8mmとなる。
なお、本実施の形態3の管継手は、図9の変形例に示すように管継手6Eを側面から見たときに扁平形状部6b相互が同一面上にはなく、前後方向(図の左右方向)に偏倚した形状としてもよい。また、凹み部6eは実施の形態2で示した形状の管継手6B、6Cにも適用できる。また、外周側にのみ凹み部6eを設け、内周側の凹部6dを設けなかった場合、加熱時のU字湾曲部6aの形状変形を抑制する作用効果が不十分となるため、U字湾曲部6aの内周側に凹部6dを設けることは必須である。
本発明の実施の形態3は前記のような構成とすることで、U字湾曲部6aにおける外周側の管壁に設けた凹み部6eが、U字湾曲部6aにおける内周側の凹部5dと協働して加熱によって生じるU字湾曲部6aの形状変形を一層抑制し得るため、本発明の実施の形態1及び実施の形態2に比べてU字を開く方向に作用する力を一層抑制することができる。これにより、拘束用の複雑なジグを使用しなくても、部材間の熱変形を抑制することができ、信頼性の高いろう付が可能となるという従来にない効果を有するものである
実施の形態4.
図10は本発明の実施の形態4に係る管継手を示すもので、図10(a)は正面図、図10(b)は側面図である。図11は本発明の実施の形態4の変形例に係る管継手を示したもので、図11(a)は正面図、図11(b)は側面図である。なお、図11の変形例は図10のものと類似しているが、図11(b)に示すように、管継手を側面から見たときに扁平形状部6b相互が同一面上にはなく、前後方向(図の左右方向)に偏倚された形状となっている。この実施の形態4の管継手6Fまたは管継手6Gは、実施の形態1の管継手6の扁平形状部6bの管端部に、該扁平形状部6bから延出されたスカート状ないしはロート状の傾斜部6fを設けたことを特徴としている。
図において、管継手6F、6Gの傾斜部6fにおける、扁平形状部6bの管軸方向(図の上下方向)に対する傾斜角度θは、何れも特に限定されるものではないが、約45°〜60°程度の範囲内とすることが好ましい。また、傾斜部6fにおける、管軸方向の長さLは特に限定されないが、リングろうなど、加熱前に固体で、加熱後、被ろう接材相互の間隙の内部に流し込むものと同径以下とし、放熱フィン4やその他熱交換器1に取り付けられる部材と干渉しない程度とする。また、凹部6dは図3に示す実施の形態1と同様の形状のものであるが、実施の形態2の形状としても良く、さらには扁平形状部6bの外周側に実施の形態3に示すような凹み部6eを設けても差し支えない。
実施の形態4によれば、上記のような構成とすることで、管継手6F(または管継手6G)の管端部に例えばリングろうを設置して扁平管5と管継手6Fをろう付する際に、上記の傾斜部6fが、まず、加熱して液状化したフラックス及びろう材を、ろう付したい管継手6Fの扁平形状部6dに誘導して、流れ込み易くさせることができる。さらに、この傾斜部6fの部分にもろう材がたまり、傾斜部6fがない場合に比べて、外フィレットを大きく形成することができる。外フィレットはろう付有無を判断する材料になるだけでなく、外力が加わって接合部を引きはがすような力が加わった時にも、この部分が塑性変形をすることで破壊を防ぐという効果も得られる。傾斜部6fは、実施の形態2または実施の形態3の管継手に設けることもでき、該傾斜部6fを設けることにより、U字形状の管継手6のろう付信頼性を向上させることができるという、従来にない効果を有するものである。また、外部からろう材を供給する場合、傾斜部6fによって、ろう材の位置決め・溶融したろう材のガイド、ろう材のこぼれ落ちを抑制することができる。
実施の形態5.
図2及び図12は本発明の実施の形態5に係る熱交換器の外観を示す要部構成図である。なお、図2は図3に示した実施の形態1の管継手6を使用したもの、図12は図3及び図4に示した実施の形態1の管継手6及び管継手6Aを使用して熱交換器1Aを構成したものである。図2に示す熱交換器1は、複数のU字形状の扁平管5の直線部分に対して直交する方向に延在された放熱フィン4が所定の複数枚挿入されて、コアと呼ばれる1つの集合体を構成している。さらに、図12に示す熱交換器1Aは、熱交換の性能を上げるため、図2と同様に構成されたコアを2列以上に並列かつ、隣り合うコアと扁平管5の管端が1個ずつずらして並ぶように構成されたものである。なお、熱交換性能を更に上げるために、図12のようなものを同列に複数並べて1つの熱交換器として長い冷媒回路を構成することもできる。
U字形状をした扁平管5の管端には、U字湾曲部を有さない直管継手7と、例えば実施の形態1の管継手6、管継手6Aを用いる。図12に示すように管継手6は、同一コア内の隣り合う扁平管5同士を接続する場合に使用され、管継手6Aは並列した異なるコア同士を接続する場合に使用される。U字湾曲部を有さない直管継手7はヘッダー管などの配管8と接続して、同一列内あるいは、異なるコア同士を接続する際に使用する。図2及び図12の冷媒回路は一例であるので、直管継手7及びU字湾曲部を有する管継手6、6Aの個数は構成した冷媒回路に合わせて自由に変えてよい。また、前記説明では実施の形態1の管継手6、6Aを使用して説明したが、実施の形態1〜4で説明した管継手6、及び管継手6A〜管継手6Gの中から適宜選択して同様に構成することができる。なお、図12の熱交換器1Aにおける管継手6Aは、図4(b)の側面図に示す姿勢となっている。
実施の形態5によれば、熱交換器1、または熱交換器1Aを上記のような構成としたことで、隣り合う扁平管5との冷媒輸送のみならず、本発明の管継手6Aを通じて異なるコアの扁平管5にも冷媒輸送して、効率よく熱交換することが可能となり、U字湾曲部6aの長さ等は必要に応じて変化させることができるので冷媒回路設計の自由度を上げることができる。更に、従来のU字形状を有さない直管継手7によってU字形状の管材をろう付等で接合した場合に比べて、接合する配管数を減らすことができる。また、本発明の管継手を使用することで、特殊な接合ジグを使用しなくても、信頼性の高い接合を持つ熱交換器を構成することができると共に、配管流路の自由度の高い冷媒回路設計をすることができる等の効果が得られる。
実施の形態6.
図13は本発明の実施の形態6に係る熱交換器の製造方法を示すフローチャート、図14は本発明の実施の形態6に係る管継手と扁平管をろう付する際のリングろうの配設位置の一例を示すもので、図14(a)は正面図、図14(b)は側面図である。
本発明の熱交換器1は図13に示すフローチャートに従って製造される。最初にU字形状に曲げた扁平管5に放熱フィン4を所定の複数枚挿入する(ステップ1)。この時、放熱フィン4には表面にろう材が圧延されて一体化しているものを使用し、挿入後、放熱フィン4及び扁平管5の表面にフラックスを塗布する(ステップ2)。フラックスには後工程で洗浄不要な非腐食性フラックスで、かつろう材よりも融点が低いものを使用する。次に、図14に示すように扁平管5の管継手6とのろう付部にリングろう9を挿入した後、U字形状を有する管継手6及び直管継手7(図2、図12中に図示)を扁平管5に挿入する(ステップ3)。
リングろう9にはフラックスが内包されているものを用いても、内包されていないものを用いても良い。フラックスが内包されていないものには別途、リングろうの外側からフラックスを塗布する必要があるが、フラックスが内包されていないものにも塗布してもよい。複数列のコアを接続するために、U字形状を有する管継手6を使用する際には、ジグ等を使用して複数列を積んだ後に挿入する。この後に、雰囲気炉に投入してろう付を行う(ステップ5)。なお、図14では実施の形態1のU字湾曲部6aを有する管継手6を用いて説明したが、実施の形態2〜4の形状のものを用いても良い。
実施の形態6によれば上記のような製造方法により、加熱によりフラックスの溶融により酸化皮膜を除去し、その後ろう材が溶融することで、扁平管5と放熱フィン4及び扁平管5とU字形状を有する管継手6、U字形状を有さない直管継手7とを同時にろう付することができる。このとき、炉中ろう付を使用することで、ろう付時の部材間温度差が少ない状態でろう付が可能となるため、ろう材が均一に流れ易く、接合信頼性の高い熱交換器を製造することができる。また、U字形状を有さない管継手とそれに繋がるヘッダーなどの配管のみで構成した熱交換器に比べて、ろう付箇所が減り、ろう付工数を減らすことができるという従来にない効果を有するものである。
実施の形態7.
図12は本発明の実施の形態7に係る熱交換器の外観を示す要部構成図である。なお、実施の形態7の熱交換器1Aは、実施の形態5において説明した熱交換器1Aと外観上全く同様であるが、熱交換器1Aを構成する放熱フィン4、扁平管5、U字形状を有する管継手6、6A、直管継手7、ヘッダーなどの配管8が全てアルミニウムもしくはアルミニウム合金によって構成されていることを特徴とする。そして、放熱フィン4にはアルミニウムもしくはアルミニウム合金の表面に、例えばJIS規格におけるBA4045、BA4047などのアルミニウムろう材が圧延されている。ろう付時には、一般的に採用されている非腐食性のフラックスを用いたノコロックろう付法を使用する。U字形状を有する管継手6及びU字形状を有さない直管継手7と扁平管5とのろう付にもアルミニウムろう材とノコロックろう付法を使用する。
実施の形態7に係る熱交換器は上記のような構成とすることで、現在多くの熱交換器に使用されている、扁平管5に銅、放熱フィン4にアルミニウムを使用した熱交換器に比べて、軽量で熱交換性能の高い熱交換器を作ることができる。さらに、本発明のU字形状を有する管継手6を使用することで、アルミニウムのように線膨張係数の高く高温領域下で大きく伸びる金属においても、変形を抑制してろう付性を高めることができるという、従来にない効果を得ることができる。また、アルミニウムを使用することで材料費を削減することもできる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。例えば、管継手6あるいは管継手6A〜管継手6Gの接続相手が何れも扁平管5である場合について説明したが、2つの接続相手の内、一方または双方が円管であっても同様の効果が得られる。その場合、管継手の扁平形状部6bは断面円形状とし、接続部6cは不要にすることで対応できる。
1 熱交換器、1A 蒸発器、1B 凝縮器、2 圧縮機、3 膨張弁機構、
4 放熱フィン、5 扁平管、6 管継手、6A〜6G 管継手、6a U字湾曲部、
6b 扁平形状部、6c 接続部、6d 凹部、6e 凹み部、6f 傾斜部、
7 直管継手、8 配管、9 リングろう、
b 凹部6dの湾曲方向幅、
d U字湾曲部6aにおける管外径、
d’ 凹部6dにおける管最小内径、
f 凹部6dの深さ、
h 凹み部6eの深さ、
l U字湾曲部6aの湾曲端の離間距離、
L 傾斜部6fの管軸方向の長さ、
s 凹部6dの半径方向幅、
t U字湾曲部6aにおける管板厚、
θ 傾斜部6fの傾斜角度。

Claims (9)

  1. 流体が通流される管材の管端部相互を接続する外観がU字形状の管継手であって、円弧状の湾曲部分であるU字湾曲部における内周側の管壁に、加熱によって生じる変形を抑制し得る凹部を設けたことを特徴とする管継手。
  2. 前記管材は扁平管からなり、前記管継手は前記U字湾曲部が断面円形状で前記管材の管端部との接続部が断面扁平な扁平形状部であることを特徴とする請求項1記載の管継手。
  3. 前記扁平形状部は、管端方向がスカート状に広げられていることを特徴とする請求項2記載の管継手。
  4. 前記凹部は、前記U字形状を正面に見たときに該凹部の底が切通し状に見えるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の管継手。
  5. 前記凹部は、前記U字形状を正面に見たときに該凹部の底が見えない有底穴状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の管継手。
  6. 前記U字湾曲部における外周側の管壁に、前記凹部と協働して加熱によって生じる変形を抑制し得る凹み部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5までの何れかに記載の管継手。
  7. 前記請求項1から請求項6までの何れかに記載の管継手を用いたことを特徴とする熱交換器。
  8. 前記管継手、前記管材、該管材の外周面に設置された放熱フィン、及び前記管材に連通するように設置された配管の全てがアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成されていることを特徴とする請求項7記載の熱交換器。
  9. 前記請求項7または請求項8記載の熱交換器における前記管継手と前記管材との接合の際に、炉中ろう付手法を用いたことを特徴とする熱交換器の製造方法。
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