JPH0441212B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は地山の補強や地滑りの抑止等を目的と
したアースアンカーの防錆構造に関するものであ
り、詳細にはアンカーヘツドの首下部の防錆構造
に関するものである。

＜従来技術＞ 地山に定着させたPC鋼線等の引張材が破断す
る発生率が最も高い箇所は、雨水や気温変化によ
る外界の影響を受け易いアンカーヘツドの首下部
であることが、各種の統計からも明らかである。

現在採用されているアンカーヘツド付近の防錆
処理は、第４図に示すようにアンカーヘツド５の
首下部に筒体のインナースリーブ７を装着し、イ
ンナースリーブ７の自由端は引張材１を被覆する
シース材２に環装させる。

そして、インナースリーブ７とシース材２の間
にモルタル等のシール材８をコーキングして密封
体を形成し、この密封体内に防錆材を封入するこ
とにより外部からの浸水や防錆材の漏出を押さえ
て防錆する構造である。

また、その他の防錆方法として、VSL工法等
に採用されているが、トランペツトシースと呼ば
れるスパイラル状のガイド管をアンカーヘツドの
首下部に配置し、ガイド管の内部にグラウトして
行う防錆技術も存在する。

＜本発明が解決しようとする問題点＞ 上記した防錆技術には次のような問題点が存在
する。

＜イ＞ 前者の防錆技術の場合、インナースリー
ブ７とシース材２との周面間にシール材８を充
填するには、支圧板４に開設された引張材貫通
用の穴と、この穴に貫通する引張材１の小さな
隙間から充填しなければならない。

しかし、この隙間は実際には１本の指が辛う
じて通る程度の狭い空間であるため、十分なコ
ーキング作業ができず、密封体を形成すること
が困難である。

そのため、外部からインナースリーブ７内に
地中水やグラウト材等が進入したり、封入した
防錆材が漏出する等、防錆に対する信頼性が低
いものであつた。

＜ロ＞ 後者の防錆技術の場合、長期に渡つて引
張材へ入するテンシヨンの調整が不可能となる
ので、永久アンカーとしては望ましい防錆技術
とは言い難い。

＜本発明の目的＞ 本発明は、以上のような問題点を解決するため
になされたもので、外部から雨水等の進入や防錆
材の漏出を確実に防止して防錆効果の高いアース
アンカーの防錆構造を提供することを目的とす
る。

＜実施例＞ 以下、図面を参照しながら本発明の防錆技術に
ついて説明する。

＜イ＞ アンカー自由長部端の構造 第１図において、１はPC鋼線等の引張材であ
り、２は引張材１を被覆する合成樹脂製のシース
材である。

４は支圧板、５はアンカーヘツド、６は螺合ガ
イド管である。

引張材１は、樹脂製のシース材２が被覆されて
いる範囲に自由長部が形成され、アンカー孔Ａ内
に充填されたグラウト材Ｇとの直接の接触が回避
されている。

シース材２の端部周面にはネジ山２１を刻設す
る場合もある。

＜ロ＞ 螺合ガイド管（第２図） 螺合ガイド管６は、両端開放形の筒体であり、
鋼製もしくは合成樹脂等で形成する。

螺合ガイド管６の一端には、外方へ曲折してフ
ランジ６１を形成する。

螺合ガイド管６の他端側は、シース材２の外径
とほぼ等しい口径に形成し、内周面にネジ山６２
を刻設する。

螺合ガイド管６のネジ山６２を形成した端部は
図示するように端部に近付くほど口径を広げて導
入部６３を形成する。

螺合ガイド管６に導入部６３を設けたことによ
り、螺合ガイド管６の一端をシース材２に接合す
る際にシース材２の導入が容易であるだけでな
く、多少のシース材２の径の変動に対処できる。

また、螺合ガイド管６のネジ山６２が例えば金
属製である場合には、ネジ山６２にダイスの機能
を期待できるため、樹脂製のシース材２にあらか
じめネジ山をを刻設する必要はない。

＜ハ＞ アンカーヘツドの首下部の防錆処理（第
１，３図） 〔引張材の定着〕 引張材１の自由部長の範囲にシース材２を被覆
した引張材１をアンカー孔Ａに挿入した後、アン
カー孔Ａ内にモルタル等のグラウト材Ｇを注入し
て引張材１をアンカー孔Ａに定着する。

その結果、アンカー孔Ａ内にはグラウト材Ｇの
表面からシース材２の自由端と引張材１が露出す
ることとなる。

〔螺合ガイド管の接合〕

次にアンカー孔Ａ内に露出するシース材２の自
由端に、前記構造の螺合ガイド管６を回しながら
接合する。

シース材２は大部分をグラウト材Ｇにより拘束
されているので、螺合の際に共回りが防止され容
易に螺合ガイド管６を接合できる。

螺合ガイド管６とシース材２の接合箇所に、ネ
ジ山を噛合した螺合構造を採用したことにより高
い止水性を確保できる。

また、螺合ガイド管６とシース材材２の接合箇
所にアスフアルト等の止水材３を充填すると、よ
り高い止水性を得ることができる。

〔防錆材の封入〕

次に、従来工法と同様に支圧板４、アンカーヘ
ツド５を設置して螺合ガイド管６内を密封化した
後、螺合ガイド管６内に防錆油等の防錆材９を充
填して、アンカーヘツド５の首下部の防錆処理を
終了する。

なお、アンカーヘツド５から突出する引張材１
の防錆処理は、オイルキヤツプ等を被せ、内部に
防錆材を封入する等従前の防錆方法による。

＜効果＞ 本発明は以上説明したようになるから次のよう
な効果を期待することができる。

(イ) シース材の自由端と、アンカー自由長部の露
出箇所を保護する目的の螺合ガイド管の一端の
接合を螺合構造とした。

従つて、接合箇所に高い止水性が得られ、
雨水の進入や、螺合ガイド管内に封入された防
錆材の漏出を確実に防止でき、アンカーヘツド
の首下部の防錆効果が高くなる。

(ロ) 螺合ガイド管をシース材に接合するには、螺
合ガイド管を回してシース材の自由端にねじ込
むだけの簡単な作業であり、止水作業に手数が
かからない。

(ハ) 本発明は、螺合ガイド管がダイス機能を有
し、シース材の外周面にねじ山を切りながら螺
合ガイド管をシース材に螺着するものである。

そのため、シース材の外周面に螺合ガイド
管のねじ山と密着したおねじを刻設でき、両面
間の密着性が非常に高くなり、きわめて高いシ
ール効果が期待できる。

(ニ) 螺合ガイド管を装着する際にシース材の外周
面にねじ山を刻設できるから、事前にシース材
にねじ山を刻設しておく必要がなくなり、工程
数を少なくできる。

(ホ) 螺合ガイド管の先端部に、シース材より大径
の誘導部が形成してある。

一般にアンカー孔内は暗く内部の様子が見え
難い。

しかし、本発明では螺合ガイド管を適当に装
着しても誘導部の一部がシース材の端部に当接
して、螺合ガイド管とシース材の位置合わせが
簡単に行える。

【図面の簡単な説明】

第１図：本発明に係るアースアンカーの縦断面
図、第２図：螺合ガイド管の斜視図、第３図：シ
ース材と螺合ガイド管との接合部分の縦断面図、
第４図：従来技術の説明図。 １…引張材、２…シース材、３…止水材、４…
支圧板、５…アンカーヘツド、６…螺合ガイド
管、Ａ…アンカー孔、Ｇ…グラウト材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 地中に定着された引張材を被覆するシース材
   の自由端に筒体を被せ、筒内に防錆材を封入する
   アースアンカーの防錆構造において、 前記筒体はその内径がシース材の外形とほぼ等
   しく、シース材の接合側の端部がシース材より大
   径の導入部が形成してあると共に、筒体の内周に
   ねじ切り用のねじ山が刻設して有り、 シース材と筒体の接合が筒体をシース材にねじ
   切りしながら螺着する螺合構造とすることを特長
   とする。 アースアンカーの防錆構造。