JPH04346419A - 堆積膜の形成方法 - Google Patents

堆積膜の形成方法

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JPH04346419A
JPH04346419A JP3148130A JP14813091A JPH04346419A JP H04346419 A JPH04346419 A JP H04346419A JP 3148130 A JP3148130 A JP 3148130A JP 14813091 A JP14813091 A JP 14813091A JP H04346419 A JPH04346419 A JP H04346419A
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は堆積膜の形成方法に関し
、特に、大面積のアモルファスシリコンデバイスを製造
するための堆積膜の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アモルファスシリコン(以下a−
Siと略記)デバイスの堆積膜であるa−Si層の製造
方法としてはSiH4 又はSi2H6を成膜ガスとす
るRFプラズマCVD法(いわゆるGD法)やマイクロ
波プラズマCVD法、あるいは水素ガス存在下でSiタ
ーゲットによりArプラズマ中で行なう反応性スパッタ
リング法などが用いられて来た。実験的にはこの他にも
光CVD法、ECRCVD法、水素原子存在下でのSi
の真空蒸着法、などの報告があり、Si2H6などによ
る熱CVD法での成膜例もある。これらの方法により得
られるa−Si膜はほとんど水素を10%又はそれ以上
含むいわゆる水素化a−Siであり、a−Siデバイス
に利用出来る電子材料としての特性を示すものはすべて
10%又はそれ以上の水素を含む。このようなa−Si
の製法として最も普及しているのはプラズマCVD法で
、多くの場合SiH4 又はSi2H6 ガスを用い、
必要に応じて水素ガスで希釈して13.56MHz又は
2.54GHzの高周波でプラズマを発生させ、プラズ
マにより成膜ガスを分解して反応性のある活性種を作り
、基板上にa−Si膜を堆積させている。成膜ガス中に
PH3、B2H6、BF3などのドーピングガスを混ぜ
ればn型又はp型のa−Si膜が形成されるので、これ
を利用して様々なa−Siデバイスがつくられて来た。 a−Siの場合には単結晶Siと違って低温基板やガラ
ス基板の上にも成膜出来、大面積化も容易なだけでなく
光吸収が結晶よりも強い事、特性が等方的で方向性を持
たない事、多結晶の様な結晶粒界がない事などにより、
結晶とは異なる利用分野が開けた。さらにアモルファス
層の中に微小な結晶を含むものも含めてプラズマCVD
法でつくる事が出来るため、必要に応じて微小な結晶の
割合を選択して様々に利用されて来た。主なa−Siデ
バイスとしては太陽電池、ラインセンサーやエリアセン
サーなどのイメージセンサー、液晶ディスプレー駆動や
光センサーのスイッチングに使われるTFT又はTFT
アレイあるいはマトリックス、電子写真感光体などが上
げられる。単一の光センサーなどの例はあるが、a−S
iデバイスの中心はやはりその特性を生かした上記の大
面積デバイスである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来例に示され
るものでは、常に成膜プロセスの条件、特に基板温度が
膜質に重大な影響を与えていることが良く知られている
。従って大面積基板を用いる場合には基板温度を均一に
保つ事が極めて重要である。例えばプラズマCVDによ
りa−Siを成膜する場合、通常0.1〜1Torr程
度の圧力が用いられるが、この様な低圧で100〜10
00mmのオーダーの大きな基板の基板温度を均一に2
00〜300℃に保つ事は容易ではない。またくり返し
て成膜を行なう場合の基板温度の再現性を得る事もなか
なか困難であり、通常かなりの長さの時間が基板温度安
定化のために必要となる。この他にも放電の安定性その
他成膜プロセスの制御性が不充分なために、成膜したa
−Si膜の特性が変動し、なかなか高い歩留りが得られ
ないという問題点がある。例えば成膜バッチごとに光劣
化(いわゆるStabler−Wronski効果)の
程度に差が出たり1つのデバイスの中でムラが生じたり
する。これらは太陽電池の歩留りを低下させる。光劣化
が生じる事そのものが重大な問題となっている。太陽電
池程の強い光を通常は照射しないイメージセンサーにお
いてもこの種の光劣化の不均一性及びその程度は問題で
ある。電子写真感光体として用いた場合にもa−Si膜
の特性の不均一性は画像に大きな悪影響を及ぼし、種々
の濃度ムラや画像の劣化を引き起こす。a−SiをTF
Tに用いた場合にも個々のTFTの特性の変動や劣化は
重大な問題となる。液晶ディスプレーなどにa−Si 
TFTを用いる場合には大面積にTFT をマトリック
ス状に配列することになり、これ自体はa−Siの大面
積成膜に向いているが、やはり全体の特性の均一性を得
るために様々な工夫が必要となってしまう。光劣化が余
り問題にならない様な場合でも例えば光センサーの1画
素ごとの応答速度あるいは残像特性に不均一性があると
製造の歩留りは低下する。TFTアレイの場合でも同様
の問題が生ずる。
【0004】a−Si膜の特性を改良するために従来提
案されて来たH2プラズマ処理を繰返す方法(例えば応
用物理学関係連合講演会予稿集1990年春季31a−
2D−8、31a−2D−11、1988年秋季5p−
2f−1など) があるが、これらの方法ではH2プラ
ズマ処理を充分に行なうとa−Si膜の結晶化が進行し
てしまうためその適用には限界があった。結晶化はデバ
イスの用途によっては好都合な事もあるが光吸収が弱く
なる事、結晶粒界の影響により均一性が低下するなどの
欠点もあり、特に受光デバイスにとっては不都合な事が
多い。特に制御出来ない結晶化は問題である。
【0005】この様なa−Siデバイスの製造の不安定
さは大面積デバイスの場合には特に重大であり、これら
は製造コストにも大きな影響を与えるためa−Siデバ
イスの普及の妨げになる。
【0006】従って本発明の目的は安定した製造安定性
を得られるa−Si デバイスの製造方法を提供するこ
とである。特に大面積化が容易になる程の製造安定性を
達成する方法を提供する事である。
【0007】本発明の他の目的は従来よりも光劣化が少
なく、光応答性や光起電力の高いa−Siデバイスの製
造方法を提供する事である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の目的はa−Si
デバイスの製造方法おいて、a−Si層を成膜する段階
で下記の方法を用いる事により達成される。
【0009】即ち、基体上にa−Si層を堆積する工程
と堆積したa−Si層にHe、Ne、Ar、Kr、Xe
等の希ガスより生起されるプラズマ照射をする工程とを
交互に繰り返しながら堆積を行なうa−Si膜の堆積方
法を用い、a−Si膜を堆積する各工程での堆積層厚が
10Å以上である事、及び水素プラズマ照射を行なう際
の基体温度を膜中水素濃度変化の移転温度Tt以上に保
つものである。
【0010】上記方法において、少なくとも希ガスプラ
ズマ照射時に基体側にバイアスを印加するとさらに効果
がある。
【0011】主にa−Siから成る太陽電池、ラインイ
メージセンサー、電子写真感光体あるいは液晶ディスプ
レー用TFTアレイなどの大面積a−Siデバイスの製
造方法は、大面積基板のクリーニングを始めとして電極
の成膜、p、i、あるいはn型のa−Si層の成膜ある
いはその積層、さらに透明電極の形成やそれらの各層の
フォトリソなどによるパターニングなどの多岐にわたり
、さらにその上にモジュール化やパッケージング等のた
め、各種の工程を含んでいる。これらの中でも最も製造
のメカニズムに不明な点が多く、又予測の難しい要因で
特性が変動してしまう工程はa−Si層の成膜の過程で
ある。従ってa−Si層成膜の工程を安定化させ、又a
−Si層の特性を向上させる事がa−Siデバイスの製
造安定性を高め、デバイス特性を向上させるための重要
なポイントである。
【0012】本発明でa−Si膜を堆積する手順は、そ
の一例を図1に示す様に、一定時間tD の間a−Si
層の堆積を行った後この堆積したa−Si層に対して別
の一定時間tA だけ希ガスプラズマ照射をするという
一組のスッテプを繰り返すことである。一例としてtD
の間の推積速度をvDとすると各スッテプをn回繰り返
した後の堆積膜厚Lとこれに要する堆積時間tTは単純
に計算すれば次の様になる。
【0013】 L = vD×tD×n              
               (1) tr= (tD+tA)×n            
        (2)従って平均的な堆積速度VDは
、 VD=L/tT=tD/(tD+ tA)×vD   
        (3) となる。実際に成膜するとLとVD は上式の値に一致
するか又は若干小さい値になる。
【0014】各スッテプのtD,vD,tA  は上記
の最も単純な例に限定されない。各スッテプ毎にtD 
,vD,tAが変化してもさしつかえない。さらにvD
は一定値でなく、時間の関数であっても良い。
【0015】tAの間、堆積膜表面は希ガスプラズマ照
射を受ける。この間に何が起きているかは必ずしも明ら
かではないが、希ガスプラズマ中の希ガスイオンあるい
は励起された希ガス原子が衝突し、堆積膜表面の格子振
動を活発にし、過剰のH原子の離脱やSiネットワーク
の組換え(構造緩和)が起きていると考えられる。tD
の間に堆積するa−Si層厚l(=vD×tD)は2原
子層程度以上であることが好ましく、実際上10Å以上
であることが望ましい。もし新しく堆積した層が1原子
層程度しかないとアモルファス構造を安定に保つことが
出来ず、希ガスプラズマ照射により限りなく結晶化して
行き、その程度を制御することが極めて困難になる。希
ガスプラズマ照射による過度のSiネットワークの組換
えを防ぎ、制御性良く構造緩和させるためには10Å以
上のa−Si層の堆積が必要である。tDの間に堆積す
るa−Si層は部分的にμc−Siを含んでいても良い
が、tDの間の堆積層厚が10Å以上あればμc−Si
を含む構造を保存したまま構造緩和していくと考えられ
、実際上、制御不能な過度の結晶化を防ぐことが出来る
。10Å以上の層厚があって初めて、希ガスプラズマ照
射を充分に行なっても制御不能な結晶化が起こらず、望
みの程度に微結晶を含んだアモルファス構造のまま構造
緩和する。
【0016】各ステップでのa−Si層の層厚が100
Å以上だと希ガスプラズマ照射をいくら行なっても構造
緩和が進まなくなる。このような構造緩和の程度は膜中
の水素濃度の減少及びラマンスペクトルの480cm−
1のピーク半減幅の減少により確かめることが出来る。 従ってtD の間に堆積する層厚は100Å以下、望ま
しくは50Å以下である必要がある。希ガスプラズマ照
射中に基体に負バイアスを印加するとこの層厚を1.5
〜2倍増化させることが出来る。負バイアスは基体をア
ースから浮かせてプラズマの自己バイアスにより印加し
ても良い。
【0017】本発明において重要なことは基体温度を膜
中水素濃度変化の転移温度Tt 以上に保つという事で
ある。
【0018】図2に本発明の方法で堆積したa−Si膜
の膜中水素濃度と基体温度との関係を示す。tAを充分
長く取ると、通常のGD法では現われない折れ曲り点が
現われる。ここで何らかの構造転移あるいは反応メカニ
ズムの変化が起きていると考えられるが今のところ詳細
なメカニズムは不明である。しかし重要なことは上記の
転移温度Tt 以上の領域では膜中水素濃度がかなり低
く、しかも水素濃度の基体温度依存性が小さいという事
である。Tt 以上の領域では膜中水素濃度は低いがス
ピン密度は1016cmー3程度以下であり、ダングリ
ングボンドは少ない。tAを充分に長く、例えば60s
ec程度にすると膜中の水素濃度をスピン密度を増加さ
せずに5%又はそれ以下にまで低下させることが出来る
。tA を制御すれば膜中水素濃度を制限することが出
来る。図2に示す様にtA を長くするとTt 以上で
の膜中水素濃度の温度変化が小さくなるので通常の方法
に較べて基体温度が変化しても膜質の変化が少ない。こ
のため基体各部の温度にムラが出易い大画面a−Siデ
バイスのa−Si膜堆積であっても広い範囲で膜質の均
一性が得られ、歩留りの向上に効果がある。
【0019】さらにTt以上で堆積した膜は通常のGD
法で堆積したものに較べても光照射下での電気伝導度が
大きく、又その光劣化(いわゆるStabler−Wr
onski効果)も少ないため、受光デバイスに適して
いる。
【0020】Tt の具体的な値は若干装置依存性及び
成膜条件依存性を持つ場合があるがtA を30sec
又はそれ以上に取ると図2に示す様な膜中水素濃度の転
移領域が現われるので、これによりTtを決めてTt以
上で成膜を行なうことは容易である。転移温度は、条件
によっては250℃程度の低温となることもあるが、通
常Tt は300℃程度となる。
【0021】tDの間の堆積膜厚を10Å以下にすると
急速に結晶化が進むようになる。tDを変化させたサン
プルでラマン分光分析による520cm−1付近の結晶
のピークと480cm−1付近のアモルファスのピーク
の強度比を測定すると図3の様になる。従って同一構造
のものを安定に成膜させようとすれば、tD の間に1
0Å以上の堆積が必要である。10Å以上であればTt
以上の基体温度においてtAを制御する事により図2に
示す様に膜中水素濃度を制御でき、tAを充分長く取れ
ば膜の結晶化を引き起こす事なく水素濃度が低く、スピ
ン密度が低く、キャリア輸送性が高く、光劣化のない良
質のa−Si膜の堆積が可能になる。膜質は基体温度に
強く依存しなくなり、製造安定性が増す。膜質のtA 
依存性そのものが小さくなる(図4a)。
【0022】tD の間の堆積層厚が100Å以上であ
れば図4bに示す様にtA を大きく取っても膜中水素
濃度は減少せず、希ガスプラズマ照射の効果はなくなっ
てしまい、通常のGD法と同様の膜質となる。図4bの
膜では光劣化が大きく、また膜中水素濃度の基体温度依
存性も大きい。従ってtD の間の堆積層厚は100Å
以下、望ましくは50Å以下である必要がある(図5a
)。
【0023】平均の成膜速度VD は第(3)式から分
かる様にtD×vDすなわち各ステップでの堆積層厚に
依存する。tD×vDが10〜50Åの間でのみ良質の
膜質が得られ、膜質の温度依存性が小さいとすると、膜
特性を劣化させずにVD を大きくするには困難がある
。tD の間の堆積層厚を、膜質を低下させずに大きく
することは少なくとも希ガスプラズマ照射時に基板側に
バイアスを印加することにより達成される。
【0024】図5bは、基板に−75Vを印加した場合
のl(=vD×tD)と膜中水素濃度との関係を示すも
のであるが、バイアスを印加することによりlが大きい
領域まで希ガスプラズマ照射の効果が現われている。バ
イアス印加は外部からの電圧印加でも達成できるし、基
体をアースから浮かせる事によりプラズマによる自己バ
イアスを利用してもよい。デバイスの生産性を向上させ
るためにはバイアス印加はきわめて有効である。
【0025】希ガスプラズマ照射の方法としては種々可
能である。希ガスプラズマ照射で重要な事は、希ガスイ
オンあるいは励起された希ガス原子をa−Siの堆積表
面へ送る事であり、プラズマ発光部がa−Si表面に触
れる必要はない。希ガスプラズマ照射の最も単純な方法
は、容量結合または誘導結合方式により100mTor
r付近の圧力の高周波グロー放電を行なう方法である。 13.56MHzのRFグロー放電はa−Siの成膜そ
のものにも良く使われる方法である。基板状に堆積した
a−Si膜を基体ごと希ガスのグロー放電プラズマ中に
置くか、プラズマの近傍に置くことにより希ガスイオン
あるいは励起された希ガス原子をa−Si膜に供給する
ことが可能となる。この他マイクロ波プラズマにより希
ガスプラズマを発生させてa−Siの表面へ拡散させる
方法やECRプラズマにより磁場を利用してa−Si 
表面へ希ガスプラズマ照射する方法も使用可能である。 a−Si 層を堆積する方法としてプラズマCVD法を
用いる場合には希ガスプラズマも同一の装置で発生させ
ることにより極めて容易にa−Si層の堆積と希ガスプ
ラズマ照射を行なう事が可能となる。すなわち、希ガス
プラズマ照射の工程だけでなくa−Si層を堆積する工
程においても希ガスを流すことにより、a−Si堆積の
際の成膜ガスであるSiH4 やSi2 H6 のみの
流れをON/OFF制御するだけでa−Si堆積と希ガ
スプラズマ照射の両方を容易に切り換える事が可能とな
る。SiH4 等の成膜ガスの希ガスに対する割合を下
げ過ぎると希ガスが膜中に残留し、膜の特性が悪くなる
。成膜ガス濃度は30%以上、出来れば50%以上が望
ましい。この場合a−Si層を堆積させる工程と希ガス
プラズマ照射をする工程の両方で切れ目なくプラズマを
立てて置くことも可能であり、この様にすればプラズマ
発生初期に生じる膜質の悪い膜の堆積を防止する効果が
ある。
【0026】また、a−Si層を堆積する工程時と希ガ
スプラズマ照射する工程の希ガスの濃度あるいは入力す
る高周波電力とを違えることにより、a−Si層を堆積
する工程と希ガスプラズマ照射する工程とを独立に制御
することができ、より好ましいアニール効果を得ること
が期待できる。
【0027】tD の間にa−Si層を堆積する方法と
してはRFグロー放電法の他にも種々の方法が可能であ
る。a−Si成膜の方法として知られている光CVD法
やECRプラズマCVD法、あるいはH2 ガスを含む
ガスを用いた反応性スパッター法も適用可能である。
【0028】希ガスプラズマ照射の際の放電条件は特に
限定されていないが、放電のための投入パワーが低すぎ
ると充分な水素原子が発生せず、tA をかなり長くし
ないと希ガスプラズマ照射の効果が現われない。この情
況は図2のデータを取る事により確かめることが出来る
。 重要なことは希ガスイオンあるいは励起された希ガス原
子が充分にa−Siの堆積表面に供給される事であるが
、通常広く用いられる放電条件の範囲でこれは容易に達
成可能である。
【0029】本発明の製造方法によって得られたa−S
iデバイスのa−Si膜はa−Si層の堆積の各ステッ
プで通常若干の極微量の不純物混入が避けられない。特
に各ステップで堆積するa−Siの層と層の界面は理想
的には全く識別不可能であるべきであるが、実際には層
と層との界面に薄い酸化膜その他が存在する。この層は
TEMその他でかろうじて分析可能なものから、SIM
Sで膜全体としての不純物濃度が高い事が確認出来るレ
ベルまで種々ある。またtDの間での1ステップのa−
Si層が厚いと水素濃度も多層状に変化する。しかしそ
の分析は困難で、一般的に容易に分析可能とは言えない
ため、その効果は現時点では確認し切れない。
【0030】本発明の方法はa−Siデバイスのi層部
分だけでなくp層やn層に適用しても効果がある。
【0031】
【実施例】実施例1 図6の装置をa−Si層の成膜に用いる事により、図7
に示すようなショットキーバリア型の画素構造を持つラ
インイメージセンサーをつくった。画素密度は16lp
/mmで長さは300mmである。1画素の構造は図7
の通りであり1画素の電極の大きさは50μ×40μで
ある。
【0032】図6において、600,601,602,
603,604はそれぞれ真空チャンバーで排気ポンプ
611,612,613,614,615が付いている
。603は基板の挿入室で600,601,602はそ
れぞれCr,a−Si、及びITOの成膜室、604は
成膜後のサンプル取り出し室である。603及び604
により成膜室600,601,602を大気リークする
事なく基板を出し入れする事が出来る。605,606
,607,608は各チャンバーを仕切るゲートバルブ
で、図には明記していない基板搬送機構により基板の搬
送を行ない、成膜順に従って基板を各真空チャンバーへ
移動する。609,655,656,657,610は
基板支持台で、610以外は電極をかねており、又それ
ぞれに基板加熱ヒーター616,617,618及び6
19が設定してある。603と604にはN2ボンベ6
31,632 がつなげてあり、チャンバーの大気リー
クの際にN2 ガスを供給する。622,658,62
3は高周波電極で622にはCrターゲット620が、
623にはITOターゲット621が取り付けてある。 624,625,626はマッチングボックス、628
,629,630は13.56MHzの高周波電源、6
27,636,637,638,639,640,64
1,642,643,644,652,653,658
,659,660,661はガス配管のバルブ、634
はガス流量を安定にON/OFFするためのガスライン
排気ポンプ635への系統とチャンバー601への系統
を切りかえる三方弁である。645,646,647,
654はマスフローコントローラー、648はArボン
ベ、649はH2 ボンベ、650はSiH4 ボンベ
、651はO2ボンベである。成膜する際は基本的には
実施例と同様の手順で行うが、まず充分クリーニングし
たコーテング705のガラスを基板挿入室603に入れ
て真空に引いた後、基板ヒータ616で基板を150℃
に加熱してからCrスパッター室600に搬入する。C
rスパッター室ではArボンベ648からのArをバル
ブ638,641,642を開いて流し、所定の圧力で
スパッタリングにより705の基板上にCrを成膜する
。次にこの基板をa−Si4 の成膜室601へ搬入し
て成膜を行う。図2と同様のデータを本装置でとったと
ころ転移温度Ttは300℃だったので基板温度を35
0℃に設定した。圧力は0.1Torr、放電パワーは
20W、SiH4 ガスはボンベ650より、Arガス
は648から供給する。TD は10sec、TA は
30sec であり、SiH4とArの流量はそれぞれ
20sccm及び10sccmである。各ステップを2
00回繰り返して約6000Åのa−Si膜がCr上に
堆積した。各ステップの平均の堆積膜圧は30Åであっ
た。a−Si膜の堆積が終了した後基板を成膜室602
にうつし、Arをボンベ648から、O2をボンベ65
1から所定の流量で流しながらa−Si膜上にITOの
成膜を行った。基板温度は150℃である。すべての成
膜が終了した基板をサンプル取り出し室604へ移し、
ゲートバルブ608を閉じた後基板温度が下がってから
大気中に取り出した。これを所定のフォトリソプロセス
によりパターニングし、あらかじめ用意した駆動回路と
ボンディングにより結線してラインセンサーとし特性を
評価した。あらかじめチェックしたところでは基板の中
央と端でのチャンバー601の中での温度差は58℃で
あったが中央と端での画素の特性、特に感度、暗電流、
及び残像にはほとんど差がなかった。光照射による感度
低下もほとんど認められなかった。これに対し基板温度
250℃で連続してa−Si膜を付けた(tA=0)サ
ンプルでは中央と端での温度差が30℃程度であったに
もかかわらず変動し、感度で10%、暗電流で15%、
残像で23%の変動があった。 また強い光によって露光するとかなり大きな光劣化(感
度低下)が認められた。
【0033】上記のような作製方法を用い、図7に示す
ようにガラス基板701上に、Cr電極702、a−S
i層703、ITO層704、パッシベーション膜70
5を順に形成させ、さらにAl配線706を取り付けた
イメージセンサーを作製した。
【0034】実施例2 本発明のa−Si:H膜をi層に用いpin構成の光起
電力素子を作製した。図8は、本実施例で作成したpi
n型光起電力素子を模試的に表したものである。光が図
の上部から入射する構造の光起電力素子であり、図に於
て800は光起電力素子本体、801は基板、802は
下部電極、803はn型半導体層、804はi型半導体
層、805はp型半導体層、806は上部電極、807
は集電電極を表わす。
【0035】また図9は本発明のa−Si:H膜をi層
に用いたpin構成の光起電力素子を作製するのに好適
な成膜装置である。
【0036】本発明に使用可能な装置としては特に特別
なものは必要ではなく、通常用いられるプラズマCVD
 装置などが使用可能であることが、本発明の利点の一
つである。図9に一例を示す。a−Si堆積にもプラズ
マCVDやスパッター法などのようにガスによる放電プ
ラズマを用いる場合には、ガスの精密な制御が必要であ
る。このため例えば成膜室へのガスの供給ラインの他に
、ガス供給バルブが閉じた時に供給元でのガスの流れを
乱さないために供給ラインから分かれてガス流の不用部
分を捨てるガスラインを持つことはtD及びtAにおけ
るガスの安定供給のために効果がある。図9の914は
その一例である。この様な方法はMOCVDその他の関
連分野でよく知られている。
【0037】図9に於て900は反応チャンバー、90
1は基板、902はカソード電極、903はアノード電
極、904は基板加熱用ヒーター、905は接地用端子
、906はマッチングボックス、907は13.56M
HzのRF電源、908および914は排気管、909
および915は排気ポンプ、910,912および91
5は成膜ガス導入管、916は三方バルブ、920,9
30,940,950960,970,922,932
,942,952,962および972はバルブ、92
1,931,941,951,961および971はマ
スフローコントローラーを示す。
【0038】成膜ガス導入管912には三方バルブ91
6が取り付けられており、三方バルブ916を切り換え
ることにより、成膜ガス導入管913あるいは排気管9
14に接続される。成膜ガス導入管912が、三方バル
ブ916により成膜ガス導入管913に接続された時は
、成膜ガス導入管912より導入された成膜ガスはチャ
ンバー900内に導入される。成膜ガス導入管912が
三方バルブ916により排気管914に接続された時は
、成膜ガス導入管912より導入された成膜ガスは、排
気管914を通して、排気ポンプ915より系外に排出
される。
【0039】本装置において、三方バブル914を成膜
ガス導入管913あるいは排気管914のいずれの方向
に接続しても成膜ガス導入管912の圧力は、大気圧よ
り低いため、マスフローは正常に動作する。また三方バ
ルブ916の切り換えによって成膜ガス導入管912内
に、ガスの付加的な滞留が生じることがないため三方バ
ルブ916を成膜ガス導入管913に接続したときに常
に一定流量のガスがチャンバー内に導入される。
【0040】次に、本発明のa−Si:H膜をi層に用
いた図8に示すpin構成の光起電力素子の作製手順を
説明する。
【0041】まず、表面を鏡面研磨し0.05μmRm
axとした5cm角の大きさのステンレス製(SUS 
 304)基板801を不図示のスパッタ装置に入れ、
該装置内を10−7Torr以下に真空排気した後、A
rガスを導入し、内圧を5mTorrとして200Wの
パワーでDCプラズマ放電を生起しAgのターゲットに
よりスパッタを行い、約5000ÅのAgを堆積した。 その後ターゲットをZn0に変えて内圧、パワーともに
同じ条件でDCプラズマ放電を生起しスパッタを行い、
約5000ÅのZn0を堆積した。以上の工程で下部電
極802を作製した後、基板801を取り出し反応チャ
ンバー900の中のカソードに取り付け排気ポンプ90
9により充分排気し、不図示のイオンゲージで反応チャ
ンバー900の中の真空度が10−6Torrと成るよ
うにした。 次に基板加熱用ヒーター904で基板901を350℃
に加熱した。基板温度が一定になった後、バルブ920
,922を開け、マスフローコントローラー921の流
量を制御して不図示のSiH4 ガスボンベからSiH
4 ガス30sccmをガス導入管910を介して反応
チャンバー900の中に導入した。同様にしてバルブ9
40,942を開けマスフローコントローラー941の
流量を制御してH2 ガスを30sccm供給し、バル
ブ950,952を開け、マスフローコントローラー9
51の流量を制御してH2ガスで5%に希釈されたPH
3ガスを10sccm導入した。反応チャンバー900
の内圧が1.5Torrに成るように調整した後、マッ
チングボックス906を介してRF電源907から10
Wのパワーを投入し、プラズマ放電を3分間行いn型非
晶質シリコン層603を400Å堆積した。ガス供給を
やめた後、反応チャンバー900を再び真空に引き、反
応チャンバー900の中の真空度が10−6Torr以
下に排気した後、バルブ970,972を開けてHeガ
ス20scmmを反応チャンバー900に導入した。
【0042】三方バルブ916を成膜ガス導入管912
と排気管914とを接続した状態にした後、バルブ96
0および962を開けて、SiH4 ガス30sccm
を成膜ガス導入管912に流した。
【0043】この状態でRF電源907から20Wの高
周波電力を投入し、Heガスによるプラズマ放電を電極
902と903との間に起こした。プラズマ放電が生起
した後、三方バルブ916を切り換え、成膜ガス導入管
912と913とを接続した状態にし、チャンバー90
0にSiH4 ガス30sccmを10秒間導入した。 10秒後、三方バルブ916を再び切り換え、成膜ガス
導入管912と排気管914とを接続した状態にし、チ
ャンバー900には、SiH4 ガスの導入を中止した
【0044】この状態を40秒間保った。
【0045】40秒後再びSiH4ガス30sccmを
チャンバー900に10秒間導入し、10秒後、SiH
4ガスの導入を中止した。すなわち10秒間SiH4ガ
ス30sccmをチャンバー900に導入、40秒間S
iH4ガスの導入中止という繰り返しを200回行なっ
た。その結果n型a−Si:H層上に約6000Åのi
型a−Si:H層上604が堆積された。
【0046】i型a−Si:H層上804の堆積後、R
F電源907のパワーを0Wにしてプラズマ放電を止め
てガス供給をやめた後、反応チャンバー900の中の真
空度を10−6Torr以下に排気し、基板温度を20
0℃に変えた後、バルブ920,930,932,94
0,942を開けてSiH4ガス1sccmとH2ガス
で5%に希釈したB2H6 ガス10sccmとH2ガ
ス300sccmを反応チャンバー900に導入した。 続いてRF電源906から200Wのパワーを投入し、
プラズマ放電を生起し5分間成膜を行いp層605を1
00Å堆積した。尚、この条件でp層をガラス基板上に
堆積した資料により粒径20Åから100Åの微結晶で
あることを反射型高速電子線回析(RHEED)により
確認した。次に、基板801を反応チャンバー900か
ら取り出し、不図示の抵抗加熱の蒸着装置に入れて、該
装置内を10−7Torr以下に真空排気し、基板温度
を160℃に保った後、酸素ガスを導入し、内圧を0.
5mTorrとした後InとSnの合金を抵抗加熱によ
り蒸着し、反射防止効果を兼ねた機能を有する透明導電
膜(ITO膜)を700Å堆積し上部電極106とした
。蒸着終了後試料を取り出し不図示のドライエッチング
装置により1cm×1cmの大きさのサブセルに分離し
た後、別の蒸着装置に移し、電子ビーム蒸着法によりア
ルミの集電電極807を形成した。得られた光起電力素
子をNo.1とした。
【0047】比較例1 実施例2において、i層の成膜をSiH4 ガスへ断続
的に導入せずに、常に三方バルブ916を成膜ガス導入
管912と913とが接続される状態に保ったまま、チ
ャンバー900にSiH4 ガスを30sccm導入し
、RFグロー放電を200秒間行い、n型a−Si膜上
に約6000Åのi型a−Si膜を堆積した。その他の
操作は、実施例2と同じに行ってpin構造のa−Si
:H光起電力素子を作製した。得られた光起電力素子を
No.2とした。
【0048】比較例2 実施例2において、i層の形成時の基板温度のみを、2
50℃に設定した条件で、他の作製条件および手順は実
施例2と同じに光起電力素子を作製した。得られた光起
電力素子をNo.3とする。
【0049】比較例3 比較例1においてi層の成膜時の基板温度のみを、25
0℃に設定して条件で他の作製条件、および手順は比較
例1と同じに光起電力素子を作製した。本作製条件は、
従来のa−Si:H光起電力素子の作製条件に準処した
条件である。得られた光起電力素子をNo.4とする。
【0050】光起電力素子の評価 これらの試料をソーラーシミュレータを用いてAM−1
.5の大陽光スペクトルの光を100mW/cm2の強
度で照射し、電圧電流曲線を求めることにより、光起電
力素子の初期光電変換効率η(0)を測定した。
【0051】次に、電圧電流曲線を求めることによって
得られた開放電圧Voc及び短絡電流Iscから、最適
負荷を算出し、負荷抵抗を各々の試料に接続した。
【0052】次に負荷抵抗が接続された試料を25℃一
定に保たれた試料台上に配置し、前述と同じAM1.5
光(100mV/cm−2)を500hr連続照射した
後、再び前述と同様に試料の上部電極106側よりAM
1.5光(100mV/cm−2)を照射したときの光
電変換効率η(500)を求めた。この様にして得られ
たη(500)とη(0)とから劣化率{1−η(50
0)/η(0)}を求めた。
【0053】また光起電力素子No.1〜4の膜中の水
素原子含有量を二次イオン質量分析計(SIMS)によ
り分析した。
【0054】表1に光起電力素子No.4の初期光電変
換効率を1とした時の光起電力素子No.1〜4の初期
光電変換効率η(0)の相対値、光起電力素子No.4
の劣化率を1とした時の光起電力素子No.1〜4の劣
化率の相対値、及びSIMSで分析したi層中の水素原
子含有量を示す。
【0055】
【表1】表1  各光起電力素子の初期変換効率,劣化
率及びi層膜中の水素原子含有量の比較 表1より本発明のa−Si:H膜をi層に用いたpin
構成の光起電力素子は比較例1〜3の方法に比べ、初期
変換効率が高く、劣化率が小さいことがわかる。特に劣
化率の低下は著しい。
【0056】また実施例2及び比較例1〜3と同じ条件
で、ただしi層の膜厚が2μm以上になるように、i層
の成膜までの行程を行ない、ラマン分光測定用の試料を
作製した。
【0057】各試料のラマン分光測定の結果は、いずれ
も480cm−1付近にブロードのピークがある非晶質
シリコン膜の特徴が見られた。
【0058】実施例3 本発明のa−Si:H膜を用い、図9の成膜装置を用い
、図10の構成の電界効果型薄膜トランジスタを作製し
た。
【0059】図10は、本発明によるa−Si:H膜を
用いた電界効果型薄膜トランジスタの概略的構成図であ
る。
【0060】同図において、絶縁性基板1001上にゲ
ート電極1002が所望のパターンで形成され、更にそ
の上に絶縁板1003と半導体層1004が積層形成さ
れている。半導体層1004上にはオーミックコンタク
ト層1005’および1005”を介して主電極100
6’および1006”が各々形成され、ゲート電極10
02 に印加される電圧によって主電極1006’およ
び1006”間に流れる電流が制御される電界効果型ト
ランジスタが構成される。
【0061】次に、図10に示す構成の電界効果型薄膜
トランジスタの作製方法を記す。
【0062】まず、ガラス基板1001(コーニング社
製#7059)上にA1ゲート電極1002を形成した
後、チャンバー900内のアノード電極904上に固定
した。そして、チャンバー900内の圧力を1×10−
6Torr以下にして、ヒーター904により、基板の
温度を350℃に保持する。次に成膜ガス導入管910
よりアンモニア(NH3 )を150sccm、H2 
ガスを10sccm、Arガスを10sccm、チャン
バー900内に導入した。チャンバー900内の圧力が
0.4Torrになるように、排気ポンプ909の排気
量を調整した。
【0063】この状態でアノード電極903とカソード
電極902との間に高周波電源907よりマッチングボ
ックス906を介して10Wの高周波電力を導入した。 その結果、アノード電極903とカソード電極902と
の間にNH3ガス,H2ガスとArガスとによるプラズ
マが生起した。
【0064】この状態で、三方バルブ916を周期的に
切り変えることにより、成膜ガス導入管913よりSi
2H6ガス20sccmを周期的に断続導入した。一周
期のSi2H6ガスの導入時間は20秒で、導入しない
時間は40秒でる。
【0065】この繰り返しを100周期繰り返すことに
より、SiN:Hの絶縁層1003を厚さ約1500Å
堆積した。
【0066】次に放電を止め、ガスの導入を止め、排気
ポンプ909で十分に排気を行ない、チャンバー900
内圧力を1×10−6Torr以下にした後、チャンバ
ー900内に成膜ガス導入管910を介してArガスを
10scmm導入した。排気ポンプ909の排気量を調
整することによりチャンバー内の圧力を0.3Torr
にした。
【0067】高周波電力10Wを印加し、アノード電極
903とカソード電極902との間にArガスによるプ
ラズマを生起した。
【0068】この状態で三方バルブ916を周期的に切
り換えることにより、成膜ガス導入管913よりSi2
H6ガス20sccmを周期的に断続導入した。一周期
のSi2H6ガスの導入時間は5秒で、導入しない時間
は40秒である。なお高周波電力はSi2H6ガスを導
入した時は3W、導入を中断した時は10Wになるよう
に周期的に変えた。
【0069】この繰り返しを25周期繰り返すことによ
り、ノンドーブのa−Si:H層1004を厚さ約50
Å堆積した。次に放電を止め、ガスの導入を止め、排気
ポンプ909で十分に排気を行ない、チャンバー900
内圧力を1×10−6Torr以下にした後、チャンバ
ー900内に成膜ガス導入管910を介してArガスを
30sccm導入した。排気ポンプ909の排気量を調
整することにより、チャンバー内の圧力を0.3Tor
rにした。
【0070】高周波電力10Wを印加し、アノード電極
902との間にArガスによるプラズマを生起した。
【0071】この状態で三方バルブ916を周期的に切
り換えることにより、成膜ガス導入管913より100
0ppmPH3を混合したSi2H6ガス20sccm
を周期的に断続導入した。一周期のSi2H6ガスの導
入時間は5秒で、導入しない時間は40秒である。n層
成膜時は高周波電力は10Wに固定したままで、Si2
H6ガスの導入周期で変化させなかった。
【0072】この繰り返しを17周期繰り返すことによ
り、導電率0.1s/cmのn+シリコンを500Å堆
積させ、オーミックコンタクト層1005を形成した。 次に蒸着法によってAl層1006を堆積させ、チャン
ネル部分のオーミックコンタクト層1005及びAl層
1006をホトリソグラフィーによってバターニングし
、チャンネル部分を除去して、オーミックコンタクト層
1005’層および1005”を介した主電極1006
’および1006”を形成した。
【0073】その結果、ガラス基板上に電界効果型薄膜
トランジスタが形成された。チャンネル幅Wとチャンネ
ル長LはW/L=100にした。
【0074】また、比較のために、Si2H6ガスを断
続的に導入したのでなく、連続的に導入し、他の条件は
、本実施例と同じにし、各層の成膜時間は、本実施例の
Si2H6 ガスを流さない時間をのぞいた時間になる
ようにして、電界効果型薄膜トランジスタを作製した。 上記2種の電界効果型薄膜トランジスタの特性を比較し
たところ、本発明による電界効果型薄膜トランジスタは
、比較のための薄膜トランジスタに比べ移動層に於て1
ケタ向上しており、またバイアス印加時のVthのシフ
トも1/10以下になっており、良好な特性を示した。
【0075】実施例4 a−Si膜成膜安定性を独立に調べるため、特にデバイ
スにはせず300mm×20mmのコーニング社製#7
059基板上に本発明の方法により実施例1と同様の条
件でa−Si膜のみの成膜を行なった。条件は実施例1
のa−Si膜の成膜条件とほぼ同一であるが、基板温度
を320℃と370℃の2段階に変えてそれぞれ成膜を
行なった。圧力は0.1Torr  RFパワー20W
、tD は10sec、tA は40sec、SiH4
20sccm、Ar10sccmである。転移温度はT
tは300℃であった。各ステップを300回繰り返し
て約9000Åのa−Siが堆積した。この膜の中央部
と端部とにギャップ幅250μmのAlのくし型電極を
EB蒸着し、光電気伝導度を測定したところ両者でほと
んど差がなく、しかも全体に光電気伝導度が10−4〜
10−5s/cmと大きく良質な膜と判断できる。また
光劣化もほとんどない。ラマンスペクトルには520c
m−1付近のピークは現れず480cm−1付近のピー
クのみがある。さらに基板を1インチφのSiウェハー
に取り換えただけで他の成膜条件が全く等しいサンプル
をつくり膜中の水素濃度赤外吸収スペクトルから測定し
た。この際先のコーニング社製#7059基板の中央に
相当する位置と端に相当する位置にSiウェハーを置い
て比較した。従って基板温度の変化を含め4種のサンプ
ルがある事になる。その結果コーニング社製#7059
基板の中央に相当する位置のサンプルと端に相当する位
置のサンプルとで水素濃度はともに約5at%で大きな
差がなかった。
【0076】これに対しtA =0として成膜した膜で
は基板温度が320℃のとき11at%、320℃の時
7at%であり、光電気伝導度は上記サンプルに較べて
一桁以上低かった。
【0077】また、tD=2secとして成膜した膜と
ではどちらの基板温度でもラマンスペクトルには520
cm−1付近のピーク強度が強く、480cm−1のピ
ークはよく見えないので大部分が結晶化してしまったと
考えられる。
【0078】実施例5 実施例4と同様の方法でSiウェハー上及びコーニング
社製#7059ガラス上にa−Si膜を形成した。実施
例4と同様に基板の表面温度がSiウェハーとコーニン
グ社製#7059とで一致するようにして成膜を行なっ
た。成膜条件は圧力0.1Torr、RFパワー20W
、tD 20sec、tA40sec、SiH4 20
sccm、Ar10sccmである。基板温度は350
℃で転移温度より高く設定した。さらに基板に−60V
のバイアスを印加して各ステップを200回繰り返し1
.1μmのa−Si膜を得た。またバイアス印加しない
で成膜したサンプルも用意し、特性の比較を行なった。 バイアス0Vで成膜したものは水素濃度が8%で光電気
伝導度がバイアス−60Vのものより一桁低くまた光劣
化は通常のGD法と同レベルであったが−60Vのバイ
アス印加したものは水素濃度が5.5%で光電導度も高
く光劣化はバイアス0Vのものの1/3以下であった。 従ってバイアス印加は膜質を落さずに成膜速度を上げる
有効な方法といえる。
【0079】比較例4 実施例4とほぼ同様の方法でSiウェハー及びコーニン
グ社製#7059ガラスにa−Siを堆積する際、基板
温度を転移温度より低く設定して成膜を行なった。基板
温度は250℃。こうして出来た膜は水素濃度が高いだ
けでなく、中央と端での水素濃度差が8%と13%であ
り差が大きかった。また光電気伝導度は10−6〜10
−7s/cm程度であり、大きくはない。さらに通常の
GD法と同程度の光劣化を示す。このように基板温度が
転移温度Tt より低い場合には希ガスプラズマ照射の
効果が現れにくい。実施例6 実施例4において、ArガスのかわりにHeガス、Ne
ガス、Krガス、あるいはXeガスを10sccm流し
、同様の成膜を行ない、得られた膜の光電気伝導度を測
定したところ、いずれの希ガスを用いても10−5〜1
0−4s/cmの範囲内の秀れた光導電特性を示した。
【0080】また、AM1.5光100mW/cm2 
の光を130h照射しても、ほとんど光電気伝導度の変
化がみられなかった。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように本発明によればa−
Si成膜の際の膜質の基板温度依存性が少なくなるため
、a−Siデバイスの製造安定性が向上するだけでなく
大面積均一性が向上するので、特に大面積デバイスにお
いて歩留まりが向上する。また従来の方法に較べて光導
電性、キャリア輸送性などが向上し、光劣化も少なくな
るのでデバイス性能の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の手順を示す図である。
【図2】本発明に特徴的な転移温度を示す図である。
【図3】ラマンスベクトルの結晶のピークとアモルファ
スのピークの比とt Dの間に推積するa−Si膜厚と
の関係を示す図である。
【図4】tA と膜中水素濃度との関係を示す図である
【図5】tD の間に推積する膜の水素濃度と各ステッ
プでの成膜膜厚との関係を示す図である。
【図6】本発明を実施するための装置の一例を示す図で
ある。
【図7】ショトキーバリア型イメジセンサーの1画素の
構造を示す図である。
【図8】本発明のa−Si:H膜をi層に用いたpin
構成の光起電力素子を模式的に示す図である。
【図9】本発明のa−Si:H膜をi層に用いたpin
構成の光起電力素子を作成するのに好適な成膜装置を示
す模式図である。
【図10】本発明のa−Si:H膜を半導体層に用いた
電界効果型薄膜トランジスタを模式的に示す図である。
【符号の説明】
600,601,602,603    真空チャンバ
ー658    RF電極 611,612,613,614,615,635  
  真空排気ポンプ 631,632,648,649,650,651  
  ガスボンベ 634    3方弁 635    成膜ガス用排気ポンプ 624,625,626    マッチングボックス6
28,629,630    高周波電源616,61
7,618,619    基板ヒーター701   
 ガラス基板 702    Cr電極 703    a−Si層 704    ITO層 705    パッシベーション膜 706    Al配線 801    基板 802    下部電極 803    n型半導体層 804    i型半導体層 805    p半導体層 806    透明電極 807    集電電極 900    反応チャンバー 901    基板 902    カソード電極 903    アノード電極 904    基板加熱用ヒーター 905    接地用端子 906    マッチングボックス 907    RF電源 908,914    排気管 909,915    排気ポンプ 910,912,913    成膜ガス導入管920
,930,940,950,960,970,922,
932,942 ,962,962,972    バルブ921,93
1,941,951,961,945,946,947
    マス フローコントローラー 1001    絶縁性基板 1002    ゲート電極 1003    絶縁層 1004    半導体層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  基体上にa−Si層を堆積する工程と
    堆積したa−Si層に、He、Ne、Ar、Kr、Xe
    等の希ガスより生成されるプラズマを照射する工程とを
    交互に繰り返しながら堆積を行なうことを特徴とする堆
    積膜の形成方法。
  2. 【請求項2】  a−Si層を堆積する工程での一周期
    の堆積層厚が10Å以上1000Å以下であることを特
    徴とする請求項1に記載の堆積膜の形成方法。
  3. 【請求項3】  少なくとも希ガスより生成されるプラ
    ズマ照射時に基体側にバイアスを印加することを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の堆積膜の形成方法
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