JPH0366473B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は建造物の地震時における振動制御装置
に係るものである。

（従来の技術） 地震時における建造物の振動が過大にならない
ように制御するために、建造物に入力した振動の
エネルギを大きく消費するダンパを建造物の構格
に配設することが提案されている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら従来のこの種の振動制御装置は構
成が複雑で、コストが嵩むという問題点があつ
た。

（問題点を解決するための手段） 本発明はこのような問題点を解決するために提
案されたものであつて、一双の対角線に沿つて各
一双の筋違材を対設し、相隣る同各筋違材の自由
端部の表裏面間に亘つて、ピンを介して剛強な連
結材を連結して表裏一双の四角形枠を構成すると
ともに、同両四角形枠の中間に前記ピンを介して
孔明き板を挟着してなり、大きな地震力が加つた
とき、同孔明き板に塑性変形を生起するように構
成されたこと特徴とする建造物の振動制御装置に
係るものである。

（作用） 本発明は前述したように構成されているので、
地震等によつて建造物が振動した際、架構の上下
層間に水平方向相対変位が生起し、前記両対角線
のうち一方の対角線に沿う筋違材を引張ることと
なる。

このように引張力を受えた筋違材は、前記両対
角線に沿う４本の筋違材の自由端部間に連結材を
ピンを介して連結して構成した表裏各四角形枠を
対角線方向に引張り、この結果、同四角形枠に前
記ピンを介して連結された孔明き板が引張側の筋
違材の方向に引張力を受けると同時に、他方の筋
違材の方向に圧縮力を受け、従つて同方向の筋違
材には圧縮力が作用しない。

而して前記筋違材及び連結材を十分に剛強に構
成しておくことによつて、筋違材に非常に大きな
力が生起した場合、前記孔明き板の一部が曲げ降
伏して塑性変形を生起する。

架構の激しい振動時には、前記した孔明き板の
塑性変形が繰返して生起することになるが、この
孔明き板の曲げ降伏による塑性変形の覆歴特性は
安定し紡錐形となり、塑性変形により消費される
エネルギは非常に大きいものとなる。

（発明の効果） このように本発明によれば、地震等によつて建
造物に入力された振動エネルギのかなりの部分
が、前記孔明き板の曲げ降伏による塑性変形によ
つて消費されるので、激震時でも建造物の他の部
分に対する破損が少なくなり、また損傷後の修復
も非常に簡単になる。

更にまた本発明によれば前記したように、筋違
材には圧縮力が作用せず、筋違材は引張力にのみ
抵抗すればよいので、筋違材の構成が簡単にな
る。

また本発明に係る振動制御装置は地震時に建造
物い加わる水平力に対して最も強く抵抗する部材
である筋違部分に配設されているので、地震水平
力に対して抵抗力が大きく、消費エネルギの大き
い振動制御装置を取付けることができる。

また建造物には通常、筋違材を配置できる構面
が数多くあり、従つて多数の振動制御装置を取付
けることができる。しかも筋違部分は建造物の
柱、梁等の架構の中では最も補修工事の容易な部
分であり、地震を受けて前記振動制御装置が塑性
変形しても、簡単に修理できる。

（実施例） 以下本発明を図示の実施例について説明する。

Ａは柱、Ｂは梁で同各柱梁によつて構成された
架構における一双の対角線に沿つて、夫々一双の
筋違材１，１，１′，１′が対設されている。

なお前記各筋違材の基端ねじ部は、柱Ａ梁Ｂよ
り突設された取付桿２に嵌装され且つナツト３に
よつて固定された取付座４に貫挿され、ナツト
５，６で緊締されている。なお取付壁４側のナツ
ト６には、同取付座４に対する半円筒部６ａが設
けられている。（第５図及び第６図参照） 相隣る前記各筋違材１，１，１′，１′の筋違い
交又部側自由端部の表裏両面に亘つて連結材７が
ピン８を介して連結され、同各連結材７によつて
表裏一双の四角形枠が構成されている。更に同両
四角形枠の中間に孔明き板９が挟着されるととも
に、同孔明き板９が連結材７とともに前記ピン８
を介して筋違材１，１′に結合される。

図示の実施例は前記したように構成されている
ので、地震等によつて建造物が振動した際、架構
の上下層に水平方向の相対変位が生じ、筋違材
１，１に同筋違材の配設された対角線方向に引張
力Ｐが働く。

このように引張力Ｐを受ける筋違材１，１は第
３図に示すように、四角形枠を構成する連結材７
を筋違材１，１の配設された対角線方向に引張
り、その結果、同各連結材７にピン８を介して連
結されている孔明き板９は前記筋違材１，１の方
向に引張力を受け、同時に、連結材７の作用によ
つて他方の筋違材１′，１′の方向に圧縮力を受け
る。この結果、同筋違材１′，１′には圧縮力が作
用しない。

この際、前記各筋違材１，１′及び連結材７の
断面積を十分大きくとつておけば、筋違材に非常
に大きな引張力が生じた場合、孔明き板の一部が
曲げ降伏し、塑性変形を生起する。

架構の激しい振動時にはこのような塑性変形が
繰返して生起することになるが、前記孔明き板９
の曲げ降伏による塑性変形の覆歴特性は第７図に
示すように安定した紡錐型となり、塑性変形によ
つて消費されるエネルギは非常に大きなものとな
る。

このように前記実施例によれば地震等によつて
建造物に入力された振動エネルギの相当部分が消
費されるので、激震時でも建造物の他の部分に対
する損傷が少なくなり、また損傷後の修理も非常
に簡単になる。

また前記筋違材１，１′には圧縮力が作用せず、
同筋違材は引張力にのみ抵抗すればよいので、筋
違材１，１′の構成が簡単になる。

以上本発明を実施例について説明したが、本発
明は勿論このような実施例にだけ極限されるもの
ではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内で
種々の設計の改変を施しうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る建造物の振動制御装置の
一実施例を示す右半部縦断正面図で、第２図の矢
視−図、第２図はその横断平面図で第１図の
矢視−図、第３図はその作動状態を示す縦断
面図、第４図は本発明の装置を具えた正面図、第
５図は筋違材取付部の正面図、第６図は第５図の
矢視−図、第７図は孔明き板の塑性変形の履
歴特性曲線を示すものである。 １，１′……筋違材、７……連結材、８……ピ
ン、９……孔明き板。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 一双の対角線に沿つて各一双の筋違材を対設
   し、相隣る同各筋違材の自由端部の表裏両面間に
   亘つて、ピンを介して剛強な連結材を連結して表
   裏一双の四角形枠を構成するとともに、同両四角
   形枠の中間に前記ピンを介して孔明き板を挟着し
   てなり、大きな地震力が加つたとき、同孔明き板
   に塑性変形を生起するように構成されたことを特
   徴とする建造物の振動制御装置。