JPH0522029B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は建築物等の骨組み構造物において、耐
震性向上のため骨組みに装着される制振壁の改良
に関するものである。

［従来の技術］ 建築物の耐震性を向上させる目的で従来色々な
工夫が試みられているが、第７図〜第１０図はそ
の従来の制振工法の幾つかを示すものである。第
７図はブレースの取付けを工夫したもので、柱１
と梁２とにブレース３を装着する際、塑性変形し
やすい鋼部材４を介在させるものである。第８図
に示すものは、壁６の柱１や梁２への装着方法を
工夫したもので、塑性変形しやすい鋼製のボルト
５等を利用して装着している。第９図はメカニカ
ルダンパーの減衰効果を利用した制振工法を示す
もので、粘性体７を収納した容器８内に梁２に固
着した部材９を挿入し、粘性体７の粘性により構
造物の振動を吸収しようとするものである。また
第１０図は建築構造物１０と基礎１１との間に、
弾性材料１２を介在させ、この弾性材料１２によ
り建築物への入力振動を低減せしめようとするも
のである。

［発明が解決しようとする問題点］ ところで上記各種の制振工法については、種々
の問題点が呈示されている。すなわち第７図、第
８図に示すブレースあるいは壁構造による耐震性
向上策は、構造自体の一部に変形、損傷を与えな
がら、なお建築物全体の崩壊を防止しようとする
ものである。そのため一部とはいえ構造に損傷を
与える点で問題を残しており、理想的なものとは
言い難い。その点地震エネルギーを別途に逃がす
メカニカルダンパーを利用する第９図の工法や入
力自体を減少させる第１０図の工法の方が望まし
い工法ではある。しかし前者は、装置コストが増
高する割に、構造体の変位は実際上小さく、その
効果を余り期待できないだけでなく、メカニカル
ダンパーはそれ自体剛性を有しないため、別途に
ブレース等を取付けねばならない。また後者につ
いては、建築物全体を支持するための弾性材料の
選択が限定されるばかりでなく、その工事費は膨
大なものになる。

本発明は従来技術の上記問題点を解消するため
になされたもので、建築物の構造に損傷を与えず
かつコストの低廉な制振工法を提供しようとする
ものである。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本発明は、建築物の
壁構造を、柱及び梁で形成する枠部材に、２枚の
鋼板の間に粘弾性体を介在させてなる制振鋼板を
波型に成型して形成したパネルを、パネルの山の
稜線を上記柱に平行に、かつパネルの谷を支持部
材を介して装着して構成した。

［作用］ 建築物の壁構造を、上述したように、柱及び梁
よりなる枠部材と、制振鋼板により成型したパネ
ルとより構成したので、地震時建築物が揺れて壁
構造がせん断力を受けた場合、波形に成型されて
いる制振鋼板は大きく変形し、鋼板の間に介在す
る粘弾性体が地震のエネルギーを吸収するため、
地震の揺れは低減する。地震の揺れが止まると、
パネルの変形は元に戻り、建築物の構造は何の損
傷も受けない。

［発明の実施例］ 第１図は本発明の一実施例である建築物の壁構
造のａは正面図、ｂはその一部拡大断面図、第２
図はパネルの取付けを示すａは正面図、ｂは断面
図、第３図ａは常時のパネルの断面図と正面図、
ｂは常時の制振鋼板の断面図、第４図ａは地震時
のパネルの断面図と正面図、ｂは地震時の制振鋼
板の断面図である。図において、１は柱、２は
梁、２０はパネル、２０ａはその山、２０ｂはそ
の谷、２１は鋼板、２２は粘弾性体、２３はガセ
ツトプレート、２４はボルトである。

第１図ｂにみるように、本発明に係るパネル２
０は、２枚の鋼板２１の間に粘弾性体２２を介在
させてなる制振鋼板を波形に成型したもので形成
されている。このパネル２０の谷２０ｂを、建築
物の柱１や梁２または柱１と梁２に固着されたガ
セツトプレート２３にボルト２４によつて装着す
る。第２図は梁２に固着されたガセツトプレート
２３に装着されたパネル２０を示すものである。

建築物の壁構造をこのように構成した結果、常
時は第３図に示す壁が、地震時に第４図のように
揺れてせん断力Ｑが作用しても、波形の鋼板２１
および粘弾性体２２は第４図ｂのように変形して
この揺れ即ち地震のエネルギーを吸収する。地震
が去ればパネルは第３図に示す状態に戻る。

なお本実施例においては、壁構造としてパネル
は１枚だけ装着しているが、第５図にみるよう
に、２枚のパネルを対向させて装着してもよい。
また第６図に示すように、必要に応じ壁面に開口
部２５を設けてもよい。

［発明の効果］ 本発明は建築物の壁構造に、２枚の鋼板の間に
粘弾性体を介在させてなる制振鋼板を波形に形成
したパネルを使用したので、次に述べるような勝
れた効果を上げることができた。

(1) 制振鋼板のエネルギー吸収効果を、波板の変
形を介してパネルの広い領域で発揮し得る。

(2) 鋼板及び粘弾性体の厚さ、波板の形状、パネ
ル配置等を変えることにより、制振効果や剛性
の調節が容易である。

(3) 取付けが簡単である。

(4) パネル自体で壁を構成しているので、仕上げ
材を貼るのみで壁が完成する。又壁厚を薄くで
きる。

(5) 壁に遮音効果を持たせることができる。

(6) 開口部があつても施工できる。

(7) 施工費が低廉である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例である制振壁構造の
ａは正面図、ｂは一部拡大断面図、第２図はパネ
ルの取付けを示すａは正面図、ｂは平面図、第３
図は常時の壁構造のａは断面図と正面図、ｂは制
振鋼板の断面図、第４図は地震時の壁構造のａは
断面図と正面図、ｂは制振鋼板の断面図、第５図
および第６図は他の実施例の正面図、第７図〜第
１０図は従来の制振工法の正面図である。 図中１は柱、２は梁、２０はパネル、２１は鋼
板、２２は粘弾性体、２３はガセツトプレート、
２４はボルト、２５は開口部である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 柱及び梁で形成する枠部材に、 ２枚の鋼板の間に粘弾性体を介在させてなる制
   振鋼板を波型に成型して形成したパネルを、 パネルの山の稜線を上記柱に平行にし、 かつパネルの谷を支持部材を介して上記枠部材
   に装着して構成した ことを特徴とする建築物の制振壁構造。