JP3664611B2 - 木造建築物の耐震構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、施工が容易で、プランの自由度を損なうことなく、木造建築物の耐震性能を向上させることができる木造建築物の耐震構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、木造建築物においては、筋交いの座屈長さを短縮して、筋交いの耐力を向上させるために、筋交いの中間部を間柱等に固定することが行われている。しかし、掛かる従来の方法では、筋交いの座屈前に、間柱等に、折れや割れが生じ、あるいは固定用の釘が抜けたりすることによって、間柱等が筋交いの座屈防止材として機能しない恐れがある。
また、特開平9−21200号公報には、補強板を、外壁面に沿うように一対の柱間に掛け渡して固定し、該補強板に筋交いの側面部を固定する技術が提案されている。しかし、該公報に記載の技術においても同様に、筋交いと補強板との固定部や該補強板と柱との固定部に、割れや釘の抜け等が生じる恐れがあり、充分な耐震性能が得られない。
【0003】
また、近年、エネルギー吸収型のダンパーを用いた制震ビルでの制震化工事が提案されている。しかし、これを木造建築物に導入するには、耐力壁とは別に、制震装置を設置するための耐震パネル等の無開口壁が必要となり、住宅等のプランの自由度が大きく制限されることになる。また、従来工法の延長線上での実施が困難であり、施工が容易ではないという問題がある。
【0004】
従って、本発明の目的は、施工が容易で、プランの自由度を損なうことなく、木造建築物の耐震性能を向上させることができる木造建築物の耐震構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対向配置され、他の一対の構造材と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材間に、筋交い及び耐震補強具が配設されてなる木造建築物の耐震構造であって、前記耐震補強具は、一対の前記構造材間に亘って配される棒状の座屈防止部材と、該座屈防止部材の両端部それぞれを、一対の該構造材それぞれに連結する一対の連結部材と、振動エネルギーを吸収する制震装置とからなり、前記連結部材は、前記構造材に固定され、前記座屈防止部材は、その中間部において前記筋交いに固定されると共にその両端部において前記連結部材に前記制震装置を介して連結されていることを特徴とする木造建築物の耐震構造を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、この発明を第1発明という)。
【0006】
また、本発明は、相対向配置され、他の一対の構造材と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材間に、筋交い及び耐震補強具が配設されてなる木造建築物の耐震構造であって、前記耐震補強具は、一対の前記構造材間に亘って配される棒状の座屈防止部材と、該座屈防止部材の両端部それぞれを、一対の該構造材それぞれに連結する一対の連結部材と、振動エネルギーを吸収する少なくとも一つの制震装置とからなり、前記連結部材は、前記構造材に固定され、前記座屈防止部材は、その中間部において前記筋交いに固定されると共にその両端部において前記連結部材に連結され、前記制震装置は、該座屈防止部材と該連結部材との間に掛け渡されていることを特徴とする木造建築物の耐震構造を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、この発明を第2発明という)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
第1実施形態の木造建築物の耐震構造は、第1発明の一実施形態であり、木造住宅の耐震構造であって、相対向配置され、他の一対の構造材2,2と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材1,1間に、筋交い3,3及び耐震補強具5が配設されてなる。
一対の前記構造材1,1は、一対の鉛直材であり、他の一対の構造材としての横架材2,2間に互いに平行に配されて、該横架材2,2と共に耐力壁形成用の矩形状の枠体(周囲を四本の構造材に囲まれた枠状の構造)を形成している。
【0008】
両鉛直材1,1間には、一対の筋交い3,3が、X字状に配設されている。各筋交い3,3は、各々の中央部において交叉されており、その交叉部における両筋交い3,3間には、耐震補強具5介装用の所定の隙間が形成されている。各筋交い3,3の両端部は、鉛直材1と横架材2との接合部に、それぞれ筋交い固定用の金具4,4・を用いて固定されている。尚、筋交い固定用の金具4,4としては、従来公知の各種の金具を特に制限なく用いることができる。
【0009】
耐震補強具5は、一対の鉛直材1,1間に亘って配される棒状の座屈防止部材6と、該座屈防止部材6の両端部それぞれを、一対の該鉛直材1,1それぞれに連結する一対の連結部材7,7と、振動エネルギーを吸収する一対の制震装置8,8とからなる。
【0010】
前記座屈防止部材6は、棒状の剛性部材であり、その長手方向の中間部、好ましくは中央部に筋交い3,3を固定する筋交い固定部を有し且つその両端部それぞれに制震装置8,8に結合される結合部を有する。
具体的には、座屈防止部材6は、図2に示すように、断面矩形の鋼製の棒状体61と、該棒状体61の両端に一体的に結合された断面T字型の鋼製の連結体62とからなり、該棒状体61の長手方向の中央部に、筋交い固定用のボルト孔63を有し、各連結体62に、制震装置結合用のボルト孔(図示せず)を有している。尚、座屈防止部材6の長手方向の中間部とは、長手方向の両端部間に位置する任意の部分をいい、長手方向の中央部とは、長手方向の両端部間を二分する位置及びその近傍をいう。
【0011】
前記連結部材7は、鉛直材1の側面部にボルトを介して当接固定される縦長矩形状の固定板部71と、該固定板部71に直角をなす板状の制震装置固定部72とからなる。制震装置固定部72は、制震装置の一端部を固定するためのボルト孔(図示せず)を一対有している。
【0012】
前記制震装置8は、弾性体又は粘弾性体を介して振動エネルギーを吸収する装置である。具体的には、相対向配置され互いに相対変位可能に連結された、それぞれ鋼板からなる一対の板状部81,81と、両板状部81,81間に介在され、両板状部81,81間の相対変位によりひずみ変形する弾性体又は粘弾性体82とからなる。本実施形態においては、ゴム状弾性体が用いられ、具体的には、高減衰ゴムが好ましい。
両板状部81,81は、弾性体又は粘弾性体82を介して互いに重ね合わされた重合部と、座屈防止部材6の端部又は連結部材7に結合固定される結合部とからなり、両板状部81,81の重合部それぞれに形成されたルーズホール81a,81aを貫通するボルト91及び該ボルト91に螺合されたナット98により、互いに相対変位可能に連結されている。
【0013】
ここで、粘弾性体とは、弾性及び粘性を示す物質をいい、固体でありながら測定にかかる粘性を示すものや液体でありながら弾性を示すものである。又、変形ひずみに対しては、急には戻らず弾性余効を示し、有限時間の緩和現象が見られる。
前記粘弾性体82は、その両側に位置する両板状部81,81間に生じる相対変位によりひずみ変形し、そのひずみ変形によって、地震時における運動エネルギーを吸収する。粘弾性体82としては、シリコン系、ゴム系、ジエン系、アクリル系、エポキシ系等の高分子材料からなるものが好ましい。
制震装置8における一対の前記板状部81,81は、図4に示すように、互いの連結状態を維持しながら、互いに逆方向(図4の左右方向)にスライド移動可能である。また、ボルト91を回転軸として、該ボルト91の回りを逆方向に回転するような変位も可能である。
【0014】
次に、第1実施形態の木造建築物の耐震構造の構築方法について一例を示して説明する。
先ず、木造住宅における一対の鉛直材1,1間に、一対の筋交い3,3をX字状に交叉させて配設する。そして、各筋交い3の端部を、それぞれ筋交い固定用の金具4を用いて固定する。各筋交い3,3としては、三つ割の筋交いを用い、両筋交い3,3間に、座屈防止部材6を介在させる所定の隙間を形成しておく。
【0015】
次いで、両鉛直材1,1それぞれにおける両筋交い3,3の交叉部と同じ高さ位置に、各々連結部材7を、一対のボルト92,92を用いて固定する。
各連結部材7の鉛直材1への固定に際しては、予め制震装置8を、ボルト93,93を介して制震装置固定部72に固定しておく。
【0016】
次いで、一対の筋交い3,3間に、座屈防止部材6を挿入し、棒状体61に形成されたボルト孔63及び両筋交い3,3に形成したボルト挿通孔31,31にボルト94を挿通する。そして、該ボルト94に反対側よりナット95を螺合して共締めする。また、座屈防止部材6の両端部をそれぞれ、鉛直材1に固定された制震装置8に、一対のボルト96を介して固定する。
【0017】
このようにして、第1実施形態の木造建築物の耐震構造は容易に完成させることができる。
第1実施形態の耐震構造の構築の順序は、上述した順序に制限されず、例えば、一方の筋交い3を固定した後、耐震補強具5の両端部を構造材1,1に固定し、次いで、他方の筋交い3を固定し、最後に、耐震補強具5及び両筋交い3,3間を相互に固定しても良い。また、一対の構造材1,1間に耐震補強具5を最初に固定し、その後、該耐震補強具5の両側に一対の筋交い3,3を配設して、最後に耐震補強具5及び両筋交い3,3間を相互に固定しても良い。尚、本発明の木造建築物の耐震構造は、木造建築物の耐力壁部分に形成される構造であり、木造建築物における総ての耐力壁部分に形成しても、一部の耐力壁部分にのみ形成しても良い。
【0018】
第1実施形態の木造建築物の耐震構造によれば、木造建築物に優れた耐震性能を付与することができる。即ち、前記耐震補強具5が一対の筋交い3,3それぞれに固定されているため、両筋交い3,3の座屈長さが短縮され、地震時に筋交い3に圧縮力が加わった際における該筋交い3の座屈折れが効果的に防止される。
また、制震装置8における一対の板状部81,81間が相対変位可能に連結されているため、鉛直材1,1が左右に大きく揺れても、耐震補強具5の両端部が鉛直材1,1から外れたりすることがなく、筋交い3,3の座屈防止機能が、従来の間柱等のように損なわれることがない。
【0019】
更に、制震装置8の一対の板状部81,81間に、弾性体又は粘弾性体82が、両板状部81,81の相対変位に伴ってひずみ変形するように介在しているため、地震時の振動エネルギー81が該弾性体又は粘弾性体82のひずみ変形により熱エネルギーに変換される。これによって、地震時の揺れが効果的に減衰される。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態の木造建築物の耐震構造について説明する。
第2実施形態の木造建築物の耐震構造は、第2発明の一実施形態であり、両鉛直材1,1間に配設されている耐震補強具5’の構成が第1実施形態におけるのと相違する点を除き、他の基本的な構成は第1実施形態におけるのと同様である。従って、以下、第1実施形態と異なる点について特に説明し、同様の構成については説明を省略する。尚、特に説明しない第1実施形態と同様の点については、第1実施形態に関し上述した各説明が適宜適用される。
【0021】
図5に示す第2実施形態においては、耐震補強具5’は、一対の鉛直材1,1間に亘って配される棒状の座屈防止部材6’と、該座屈防止部材6’の両端部それぞれを、一対の該構造材1,1それぞれに連結する一対の連結部材7’(一方のみ図示)と、振動エネルギーを吸収する二対の制震装置8’,8’(一対のみ図示)とからなる。
【0022】
座屈防止部材6’は、棒状の剛性部材であり、その長手方向の中間部、好ましくは中央部に筋交い3,3を固定する筋交い固定部を有し且つその両端部それぞれに連結部材7’(一方のみ図示)との連結部を有する。
具体的には、座屈防止部材6’は、図5に示すように、断面矩形の鋼製の棒状体61’と、該棒状体61’の両端に一体的に結合された断面T字型の鋼製の連結体62’とからなり、該棒状体61’の長手方向の中央部に、筋交い固定用のボルト孔を有し、各連結体62’に、連結部材7’に連結するためのボルト孔(図示せず)を有している。
【0023】
前記連結部材7’は、構造材1の側面部にボルト92,92を介して当接固定される縦長矩形状の固定板部71’と、該固定板部71’の長手方向に亘って形成され、該固定板部71’に直角をなす板状の突出固定部72’とからなる。突出固定部72’は、その中央部に座屈防止部材6’の端部を連結するための貫通孔(図示せず)を有し、該貫通孔が形成された部位の両側に、制震装置8’の端部を固定するためのボルト孔(図示せず)を有している。尚、座屈防止部材6’の端部は、該座屈防止部材6’と連結部材7’との角度が容易に変わり得るように該連結部材7’に結合されている。
【0024】
前記制震装置8’は、液状の粘弾性体が円筒体等の内部に封入され、軸長方向に伸縮し、伸縮の際の流体抵抗によって減衰力を生じる粘弾性ダンパーであり、各制震装置8’は、伸長及び圧縮の何れの際においても、エネルギーを吸収し得るように構成されている。
各制震装置8’は、座屈防止部材6’と連結部材7’との双方に掛け渡されて三角形を形成するように固定されている。より具体的には、座屈防止部材6’の各端部毎に一対配されており、該各端部の一対の制震装置8’,8’は、連結部材7’における、座屈防止部材6’が連結される連結部Pの離れた両側と、該座屈防止部材6’における、該連結部材7’が連結される連結部Pよりも中央寄り位置Qとの間に、掛け渡されて固定されている。尚、座屈防止部材6’の前記中央寄り位置Qには、制震装置8’,8’の端部を固定するためのボルト孔を備えた板状の突出部63が両側に一対形成されている。
【0025】
第2実施形態の木造建築物の耐震構造は、第1実施形態の耐震構造の構築方法と同様にして構築することができる。尚、座屈防止部材6’、連結部材7’及び制震装置8’の取付の順序は特に制限されるものではない。
【0026】
第2実施形態の木造建築物の耐震構造によれば、第1実施形態と同様に木造建築物に優れた耐震性能を付与することができる。即ち、前記耐震補強具5’が一対の筋交い3,3それぞれに固定されているため、両筋交い3,3の座屈長さが短縮され、地震時に筋交い3に圧縮力が加わった際における該筋交い3の座屈折れが効果的に防止される。また、座屈防止部材6’の端部が、該座屈防止部材6’と連結部材7’との角度が容易に変わり得るように該連結部材7’に結合されているので、鉛直材1,1が左右に大きく揺れても、耐震補強具の両端部が鉛直材1,1から外れたりすることがなく、筋交い3,3の座屈防止機能が、従来の間柱等のように損なわれることがない。
【0027】
また、第2実施形態においては、該座屈防止部材6’と連結部材7’との角度が容易に変わり得るように該連結部材7’に結合されているので、地震時の揺れに伴って、図5に示した鉛直材1が図中左方向に傾斜する際、上側に配された制震装置8’は軸長方向に圧縮され、下側に配された制震装置8’は軸長方向に伸長される。逆に、図5に示した鉛直材1が図中右方向に傾斜する際、上側に配された制震装置8’は軸長方向に伸長され、下側に配された制震装置8’は軸長方向に圧縮される。
【0028】
そして、各制震装置8’が、伸長及び圧縮の何れの変位の際においても、エネルギーを吸収するようになっているため、第2実施形態の耐震構造においては、地震時における振動エネルギーを効率的に制震装置8’に吸収させることができ、優れた揺れの減衰効果が得られる。
【0029】
以上、本発明(第1発明及び第2発明)の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。
例えば、耐震補強具5は、一対の横架材2,2間に掛け渡しても良い。即ち、本発明における一対の構造材は、土台と梁、梁と梁等の一対の横架材2,2であっても良い。また、一対の構造材間に、筋交いを一本のみ配設し、該筋交いに耐震補強具を固定しても良い。また、耐震補強具と筋交いとの固定は、ボルトに代えて、図6に示すような固定用のプレート97を用いて行っても良い。また、制震装置は、座屈防止部材又は連結部材と一体的に形成されているものであっても良い。
【0030】
また、第2実施形態における制震装置8’は、座屈防止部材6’の各端部毎に一対設けることが好ましいが、一方の端部のみに一対設けても良く、両方の端部にそれぞれ一つずつ設けても良い。また、制震装置8’は、座屈防止部材6’と構造材1との間に掛け渡して固定しても良い。
【0031】
また、本発明における制震装置として、公知のオイルダンパーや、弾性体を用いずに、摩擦材の滑りによる摩擦減衰でエネルギー吸収を行う摩擦ダンパー、図7に示すような、長手方向に伸縮し、その伸縮に伴い粘弾性体82が2層にわたってひずみ変形する固体状の粘弾性ダンパー8”等を用いることもできる。
更に、耐震補強具の各部の寸法、形状及び材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜に変更することができる。例えば、座屈防止部材6は、木製であっても良いし、プレート状のものであっても良い。また、制震装置8に形成されたルーズホール81a及びそれに挿通螺合されたボルトナットはなくても良い。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、施工が容易で、プランの自由度を損なうことなく、木造建築物の耐震性能を効率的に向上させることができる木造建築物の耐震構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る木造建築物の耐震構造を示す斜視図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す拡大斜視図である。
【図3】一対の筋交い及び耐震補強具の筋交いの交叉部における断面を示す断面図である。
【図4】図2に示される構造の、ボルト91を通る水平面による横断面を示す断面図であり、制震装置8における一対の板状部81,81間に相対変位が生じている状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る木造建築物の耐震構造を示す図で、耐震補強具と構造材との結合部を示す拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態における要部を示す正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態における制震装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 構造材(鉛直材, 柱)
3 筋交い
5,5’ 耐震補強具
6,6’ 座屈防止部材
7,7’ 連結部材
8,8’ 制震装置
82 弾性体又は粘弾性体
【発明の属する技術分野】
本発明は、施工が容易で、プランの自由度を損なうことなく、木造建築物の耐震性能を向上させることができる木造建築物の耐震構造に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、木造建築物においては、筋交いの座屈長さを短縮して、筋交いの耐力を向上させるために、筋交いの中間部を間柱等に固定することが行われている。しかし、掛かる従来の方法では、筋交いの座屈前に、間柱等に、折れや割れが生じ、あるいは固定用の釘が抜けたりすることによって、間柱等が筋交いの座屈防止材として機能しない恐れがある。
また、特開平9−21200号公報には、補強板を、外壁面に沿うように一対の柱間に掛け渡して固定し、該補強板に筋交いの側面部を固定する技術が提案されている。しかし、該公報に記載の技術においても同様に、筋交いと補強板との固定部や該補強板と柱との固定部に、割れや釘の抜け等が生じる恐れがあり、充分な耐震性能が得られない。
【0003】
また、近年、エネルギー吸収型のダンパーを用いた制震ビルでの制震化工事が提案されている。しかし、これを木造建築物に導入するには、耐力壁とは別に、制震装置を設置するための耐震パネル等の無開口壁が必要となり、住宅等のプランの自由度が大きく制限されることになる。また、従来工法の延長線上での実施が困難であり、施工が容易ではないという問題がある。
【0004】
従って、本発明の目的は、施工が容易で、プランの自由度を損なうことなく、木造建築物の耐震性能を向上させることができる木造建築物の耐震構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、相対向配置され、他の一対の構造材と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材間に、筋交い及び耐震補強具が配設されてなる木造建築物の耐震構造であって、前記耐震補強具は、一対の前記構造材間に亘って配される棒状の座屈防止部材と、該座屈防止部材の両端部それぞれを、一対の該構造材それぞれに連結する一対の連結部材と、振動エネルギーを吸収する制震装置とからなり、前記連結部材は、前記構造材に固定され、前記座屈防止部材は、その中間部において前記筋交いに固定されると共にその両端部において前記連結部材に前記制震装置を介して連結されていることを特徴とする木造建築物の耐震構造を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、この発明を第1発明という)。
【0006】
また、本発明は、相対向配置され、他の一対の構造材と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材間に、筋交い及び耐震補強具が配設されてなる木造建築物の耐震構造であって、前記耐震補強具は、一対の前記構造材間に亘って配される棒状の座屈防止部材と、該座屈防止部材の両端部それぞれを、一対の該構造材それぞれに連結する一対の連結部材と、振動エネルギーを吸収する少なくとも一つの制震装置とからなり、前記連結部材は、前記構造材に固定され、前記座屈防止部材は、その中間部において前記筋交いに固定されると共にその両端部において前記連結部材に連結され、前記制震装置は、該座屈防止部材と該連結部材との間に掛け渡されていることを特徴とする木造建築物の耐震構造を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、この発明を第2発明という)。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
第1実施形態の木造建築物の耐震構造は、第1発明の一実施形態であり、木造住宅の耐震構造であって、相対向配置され、他の一対の構造材2,2と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材1,1間に、筋交い3,3及び耐震補強具5が配設されてなる。
一対の前記構造材1,1は、一対の鉛直材であり、他の一対の構造材としての横架材2,2間に互いに平行に配されて、該横架材2,2と共に耐力壁形成用の矩形状の枠体(周囲を四本の構造材に囲まれた枠状の構造)を形成している。
【0008】
両鉛直材1,1間には、一対の筋交い3,3が、X字状に配設されている。各筋交い3,3は、各々の中央部において交叉されており、その交叉部における両筋交い3,3間には、耐震補強具5介装用の所定の隙間が形成されている。各筋交い3,3の両端部は、鉛直材1と横架材2との接合部に、それぞれ筋交い固定用の金具4,4・を用いて固定されている。尚、筋交い固定用の金具4,4としては、従来公知の各種の金具を特に制限なく用いることができる。
【0009】
耐震補強具5は、一対の鉛直材1,1間に亘って配される棒状の座屈防止部材6と、該座屈防止部材6の両端部それぞれを、一対の該鉛直材1,1それぞれに連結する一対の連結部材7,7と、振動エネルギーを吸収する一対の制震装置8,8とからなる。
【0010】
前記座屈防止部材6は、棒状の剛性部材であり、その長手方向の中間部、好ましくは中央部に筋交い3,3を固定する筋交い固定部を有し且つその両端部それぞれに制震装置8,8に結合される結合部を有する。
具体的には、座屈防止部材6は、図2に示すように、断面矩形の鋼製の棒状体61と、該棒状体61の両端に一体的に結合された断面T字型の鋼製の連結体62とからなり、該棒状体61の長手方向の中央部に、筋交い固定用のボルト孔63を有し、各連結体62に、制震装置結合用のボルト孔(図示せず)を有している。尚、座屈防止部材6の長手方向の中間部とは、長手方向の両端部間に位置する任意の部分をいい、長手方向の中央部とは、長手方向の両端部間を二分する位置及びその近傍をいう。
【0011】
前記連結部材7は、鉛直材1の側面部にボルトを介して当接固定される縦長矩形状の固定板部71と、該固定板部71に直角をなす板状の制震装置固定部72とからなる。制震装置固定部72は、制震装置の一端部を固定するためのボルト孔(図示せず)を一対有している。
【0012】
前記制震装置8は、弾性体又は粘弾性体を介して振動エネルギーを吸収する装置である。具体的には、相対向配置され互いに相対変位可能に連結された、それぞれ鋼板からなる一対の板状部81,81と、両板状部81,81間に介在され、両板状部81,81間の相対変位によりひずみ変形する弾性体又は粘弾性体82とからなる。本実施形態においては、ゴム状弾性体が用いられ、具体的には、高減衰ゴムが好ましい。
両板状部81,81は、弾性体又は粘弾性体82を介して互いに重ね合わされた重合部と、座屈防止部材6の端部又は連結部材7に結合固定される結合部とからなり、両板状部81,81の重合部それぞれに形成されたルーズホール81a,81aを貫通するボルト91及び該ボルト91に螺合されたナット98により、互いに相対変位可能に連結されている。
【0013】
ここで、粘弾性体とは、弾性及び粘性を示す物質をいい、固体でありながら測定にかかる粘性を示すものや液体でありながら弾性を示すものである。又、変形ひずみに対しては、急には戻らず弾性余効を示し、有限時間の緩和現象が見られる。
前記粘弾性体82は、その両側に位置する両板状部81,81間に生じる相対変位によりひずみ変形し、そのひずみ変形によって、地震時における運動エネルギーを吸収する。粘弾性体82としては、シリコン系、ゴム系、ジエン系、アクリル系、エポキシ系等の高分子材料からなるものが好ましい。
制震装置8における一対の前記板状部81,81は、図4に示すように、互いの連結状態を維持しながら、互いに逆方向(図4の左右方向)にスライド移動可能である。また、ボルト91を回転軸として、該ボルト91の回りを逆方向に回転するような変位も可能である。
【0014】
次に、第1実施形態の木造建築物の耐震構造の構築方法について一例を示して説明する。
先ず、木造住宅における一対の鉛直材1,1間に、一対の筋交い3,3をX字状に交叉させて配設する。そして、各筋交い3の端部を、それぞれ筋交い固定用の金具4を用いて固定する。各筋交い3,3としては、三つ割の筋交いを用い、両筋交い3,3間に、座屈防止部材6を介在させる所定の隙間を形成しておく。
【0015】
次いで、両鉛直材1,1それぞれにおける両筋交い3,3の交叉部と同じ高さ位置に、各々連結部材7を、一対のボルト92,92を用いて固定する。
各連結部材7の鉛直材1への固定に際しては、予め制震装置8を、ボルト93,93を介して制震装置固定部72に固定しておく。
【0016】
次いで、一対の筋交い3,3間に、座屈防止部材6を挿入し、棒状体61に形成されたボルト孔63及び両筋交い3,3に形成したボルト挿通孔31,31にボルト94を挿通する。そして、該ボルト94に反対側よりナット95を螺合して共締めする。また、座屈防止部材6の両端部をそれぞれ、鉛直材1に固定された制震装置8に、一対のボルト96を介して固定する。
【0017】
このようにして、第1実施形態の木造建築物の耐震構造は容易に完成させることができる。
第1実施形態の耐震構造の構築の順序は、上述した順序に制限されず、例えば、一方の筋交い3を固定した後、耐震補強具5の両端部を構造材1,1に固定し、次いで、他方の筋交い3を固定し、最後に、耐震補強具5及び両筋交い3,3間を相互に固定しても良い。また、一対の構造材1,1間に耐震補強具5を最初に固定し、その後、該耐震補強具5の両側に一対の筋交い3,3を配設して、最後に耐震補強具5及び両筋交い3,3間を相互に固定しても良い。尚、本発明の木造建築物の耐震構造は、木造建築物の耐力壁部分に形成される構造であり、木造建築物における総ての耐力壁部分に形成しても、一部の耐力壁部分にのみ形成しても良い。
【0018】
第1実施形態の木造建築物の耐震構造によれば、木造建築物に優れた耐震性能を付与することができる。即ち、前記耐震補強具5が一対の筋交い3,3それぞれに固定されているため、両筋交い3,3の座屈長さが短縮され、地震時に筋交い3に圧縮力が加わった際における該筋交い3の座屈折れが効果的に防止される。
また、制震装置8における一対の板状部81,81間が相対変位可能に連結されているため、鉛直材1,1が左右に大きく揺れても、耐震補強具5の両端部が鉛直材1,1から外れたりすることがなく、筋交い3,3の座屈防止機能が、従来の間柱等のように損なわれることがない。
【0019】
更に、制震装置8の一対の板状部81,81間に、弾性体又は粘弾性体82が、両板状部81,81の相対変位に伴ってひずみ変形するように介在しているため、地震時の振動エネルギー81が該弾性体又は粘弾性体82のひずみ変形により熱エネルギーに変換される。これによって、地震時の揺れが効果的に減衰される。
【0020】
次に、本発明の第2実施形態の木造建築物の耐震構造について説明する。
第2実施形態の木造建築物の耐震構造は、第2発明の一実施形態であり、両鉛直材1,1間に配設されている耐震補強具5’の構成が第1実施形態におけるのと相違する点を除き、他の基本的な構成は第1実施形態におけるのと同様である。従って、以下、第1実施形態と異なる点について特に説明し、同様の構成については説明を省略する。尚、特に説明しない第1実施形態と同様の点については、第1実施形態に関し上述した各説明が適宜適用される。
【0021】
図5に示す第2実施形態においては、耐震補強具5’は、一対の鉛直材1,1間に亘って配される棒状の座屈防止部材6’と、該座屈防止部材6’の両端部それぞれを、一対の該構造材1,1それぞれに連結する一対の連結部材7’(一方のみ図示)と、振動エネルギーを吸収する二対の制震装置8’,8’(一対のみ図示)とからなる。
【0022】
座屈防止部材6’は、棒状の剛性部材であり、その長手方向の中間部、好ましくは中央部に筋交い3,3を固定する筋交い固定部を有し且つその両端部それぞれに連結部材7’(一方のみ図示)との連結部を有する。
具体的には、座屈防止部材6’は、図5に示すように、断面矩形の鋼製の棒状体61’と、該棒状体61’の両端に一体的に結合された断面T字型の鋼製の連結体62’とからなり、該棒状体61’の長手方向の中央部に、筋交い固定用のボルト孔を有し、各連結体62’に、連結部材7’に連結するためのボルト孔(図示せず)を有している。
【0023】
前記連結部材7’は、構造材1の側面部にボルト92,92を介して当接固定される縦長矩形状の固定板部71’と、該固定板部71’の長手方向に亘って形成され、該固定板部71’に直角をなす板状の突出固定部72’とからなる。突出固定部72’は、その中央部に座屈防止部材6’の端部を連結するための貫通孔(図示せず)を有し、該貫通孔が形成された部位の両側に、制震装置8’の端部を固定するためのボルト孔(図示せず)を有している。尚、座屈防止部材6’の端部は、該座屈防止部材6’と連結部材7’との角度が容易に変わり得るように該連結部材7’に結合されている。
【0024】
前記制震装置8’は、液状の粘弾性体が円筒体等の内部に封入され、軸長方向に伸縮し、伸縮の際の流体抵抗によって減衰力を生じる粘弾性ダンパーであり、各制震装置8’は、伸長及び圧縮の何れの際においても、エネルギーを吸収し得るように構成されている。
各制震装置8’は、座屈防止部材6’と連結部材7’との双方に掛け渡されて三角形を形成するように固定されている。より具体的には、座屈防止部材6’の各端部毎に一対配されており、該各端部の一対の制震装置8’,8’は、連結部材7’における、座屈防止部材6’が連結される連結部Pの離れた両側と、該座屈防止部材6’における、該連結部材7’が連結される連結部Pよりも中央寄り位置Qとの間に、掛け渡されて固定されている。尚、座屈防止部材6’の前記中央寄り位置Qには、制震装置8’,8’の端部を固定するためのボルト孔を備えた板状の突出部63が両側に一対形成されている。
【0025】
第2実施形態の木造建築物の耐震構造は、第1実施形態の耐震構造の構築方法と同様にして構築することができる。尚、座屈防止部材6’、連結部材7’及び制震装置8’の取付の順序は特に制限されるものではない。
【0026】
第2実施形態の木造建築物の耐震構造によれば、第1実施形態と同様に木造建築物に優れた耐震性能を付与することができる。即ち、前記耐震補強具5’が一対の筋交い3,3それぞれに固定されているため、両筋交い3,3の座屈長さが短縮され、地震時に筋交い3に圧縮力が加わった際における該筋交い3の座屈折れが効果的に防止される。また、座屈防止部材6’の端部が、該座屈防止部材6’と連結部材7’との角度が容易に変わり得るように該連結部材7’に結合されているので、鉛直材1,1が左右に大きく揺れても、耐震補強具の両端部が鉛直材1,1から外れたりすることがなく、筋交い3,3の座屈防止機能が、従来の間柱等のように損なわれることがない。
【0027】
また、第2実施形態においては、該座屈防止部材6’と連結部材7’との角度が容易に変わり得るように該連結部材7’に結合されているので、地震時の揺れに伴って、図5に示した鉛直材1が図中左方向に傾斜する際、上側に配された制震装置8’は軸長方向に圧縮され、下側に配された制震装置8’は軸長方向に伸長される。逆に、図5に示した鉛直材1が図中右方向に傾斜する際、上側に配された制震装置8’は軸長方向に伸長され、下側に配された制震装置8’は軸長方向に圧縮される。
【0028】
そして、各制震装置8’が、伸長及び圧縮の何れの変位の際においても、エネルギーを吸収するようになっているため、第2実施形態の耐震構造においては、地震時における振動エネルギーを効率的に制震装置8’に吸収させることができ、優れた揺れの減衰効果が得られる。
【0029】
以上、本発明(第1発明及び第2発明)の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。
例えば、耐震補強具5は、一対の横架材2,2間に掛け渡しても良い。即ち、本発明における一対の構造材は、土台と梁、梁と梁等の一対の横架材2,2であっても良い。また、一対の構造材間に、筋交いを一本のみ配設し、該筋交いに耐震補強具を固定しても良い。また、耐震補強具と筋交いとの固定は、ボルトに代えて、図6に示すような固定用のプレート97を用いて行っても良い。また、制震装置は、座屈防止部材又は連結部材と一体的に形成されているものであっても良い。
【0030】
また、第2実施形態における制震装置8’は、座屈防止部材6’の各端部毎に一対設けることが好ましいが、一方の端部のみに一対設けても良く、両方の端部にそれぞれ一つずつ設けても良い。また、制震装置8’は、座屈防止部材6’と構造材1との間に掛け渡して固定しても良い。
【0031】
また、本発明における制震装置として、公知のオイルダンパーや、弾性体を用いずに、摩擦材の滑りによる摩擦減衰でエネルギー吸収を行う摩擦ダンパー、図7に示すような、長手方向に伸縮し、その伸縮に伴い粘弾性体82が2層にわたってひずみ変形する固体状の粘弾性ダンパー8”等を用いることもできる。
更に、耐震補強具の各部の寸法、形状及び材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜に変更することができる。例えば、座屈防止部材6は、木製であっても良いし、プレート状のものであっても良い。また、制震装置8に形成されたルーズホール81a及びそれに挿通螺合されたボルトナットはなくても良い。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、施工が容易で、プランの自由度を損なうことなく、木造建築物の耐震性能を効率的に向上させることができる木造建築物の耐震構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る木造建築物の耐震構造を示す斜視図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す拡大斜視図である。
【図3】一対の筋交い及び耐震補強具の筋交いの交叉部における断面を示す断面図である。
【図4】図2に示される構造の、ボルト91を通る水平面による横断面を示す断面図であり、制震装置8における一対の板状部81,81間に相対変位が生じている状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る木造建築物の耐震構造を示す図で、耐震補強具と構造材との結合部を示す拡大図である。
【図6】本発明の他の実施形態における要部を示す正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態における制震装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 構造材(鉛直材, 柱)
3 筋交い
5,5’ 耐震補強具
6,6’ 座屈防止部材
7,7’ 連結部材
8,8’ 制震装置
82 弾性体又は粘弾性体
Claims (4)
- 相対向配置され、他の一対の構造材と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材間に、筋交い及び耐震補強具が配設されてなる木造建築物の耐震構造であって、
前記耐震補強具は、一対の前記構造材間に亘って配される棒状の座屈防止部材と、該座屈防止部材の両端部それぞれを、一対の該構造材それぞれに連結する一対の連結部材と、振動エネルギーを吸収する制震装置とからなり、
前記連結部材は、前記構造材に固定され、前記座屈防止部材は、その中間部において前記筋交いに固定されると共にその両端部において前記連結部材に前記制震装置を介して連結されていることを特徴とする木造建築物の耐震構造。 - 相対向配置され、他の一対の構造材と組み合わされて矩形状の枠体を形成する一対の構造材間に、筋交い及び耐震補強具が配設されてなる木造建築物の耐震構造であって、
前記耐震補強具は、一対の前記構造材間に亘って配される棒状の座屈防止部材と、該座屈防止部材の両端部それぞれを、一対の該構造材それぞれに連結する一対の連結部材と、振動エネルギーを吸収する少なくとも一つの制震装置とからなり、
前記連結部材は、前記構造材に固定され、前記座屈防止部材は、その中間部において前記筋交いに固定されると共にその両端部において前記連結部材に連結され、前記制震装置は、該座屈防止部材と該連結部材との間に掛け渡されていることを特徴とする木造建築物の耐震構造。 - 前記制震装置は、前記座屈防止部材の端部毎に一対配されており、各端部の一対の制震装置は、前記連結部材における、前記座屈防止部材が連結される連結部から両側に離れた部位のそれぞれと、該座屈防止部材における、該連結部材が連結される連結部よりも中央寄りに位置する部位との間に、各々掛け渡されている請求項2記載の木造建築物の耐震構造。
- 前記制震装置は、相対向配置され相対変位可能に互いに連結された一対の板状部と、両板状部間に介在され、両板状部間の相対変位によりひずみ変形する弾性体又は粘弾性体とからなる請求項1〜3の何れかに記載の木造建築物の耐震構造。
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