JPH035704Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案はクランク軸方向端ががマウント部材を
介して車体に連結される横置きエンジンに於ける
補機類駆動用ベルト張力の調節構造に関する。

〈従来の技術〉 車輌用空気調和装置の冷媒ガス圧縮用コンプレ
ツサなどの補機類は、エンジンのクランクプーリ
と当該補機類の軸端に設けられた被動プーリとの
間に巻回された無端Ｖベルトを介して駆動される
ことが一般的である。

このようなベルト伝動機構に於ては、伝動効率
の面から適正なベルト張力を付与することが不可
欠であり、従来、ベルト中間部の適所に配設され
たテンシヨンプーリの位置を調節することによ
り、ベルト張力を適正なものにし得るようにされ
ている。

ところで、前記したコンプレツサなどは、組付
作業性を考慮して、エンジンの車輌前方側に取付
けるようにされており、一般的にテンシヨンプー
リなどのベルト張力調節装置は、コンプレツサを
エンジンに取り付けるためのブラケツトに設けら
れている。そしてこのような調節装置としては、
テンシヨンプーリの枢軸を、軸線と直交する方向
にアジヤストボルトにより移動させる機構が知ら
れている。

〈考案が解決しようとする問題点〉 しかるに、この機構によると、張力調節に際し
ては、まず枢軸をブラケツトに固定しているナツ
トなどを緩め、その後にアジヤストボルトの捩込
み量にて張力を調節するという手順をとらねばな
らず、特に横置きエンジンの場合には、エンジン
を車体に搭載するためのマウント部材と干渉し
て、車体下面からの作業を余儀なくされたり、或
いは工具を差込むための空間がデツドスペースと
なるなどの問題があつた。作業性を考慮した上
で、テンシヨンプーリのみを適切な位置に配設す
ることも考えられるが、部品点数や製造工数の増
大を招き好ましくない。

一方、自動的に張力が調節される装置として、
例えば実公昭47−17775号公報に於て、テンシヨ
ンプーリを支持するアームの回動軸にトーシヨン
ラバーを設け、このトーシヨンラバーの捩り弾性
により、自動的にベルト張力を付与する向きにテ
ンシヨンプーリを付勢する技術が開示されている
が、十分な捩り付勢力を得るためには、トーシヨ
ンラバー部分の小形化が困難であり、小型車輌に
は必ずしも好適とは言い難い。

このような従来技術の問題点に鑑み、本考案の
主な目的は、コンパクトに構成することができ、
しかも調節作業性を向上させることのできるベル
ト張力の調節構造を提供することにある。

〈問題点を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、クランク
軸方向端がマウント部材を介して車体に連結され
る横置きエンジンに於ける補機類駆動用ベルト張
力の調節構造であつて、遊端部にテンシヨンプー
リを備えると共に揺動自在なように枢支されるア
ーム部材と、前記アーム部材に係合し該アーム部
材の揺動角度を調節すべく螺進螺退可能になよう
に螺着されるねじ部材とを有し、前記アーム部材
の枢支部と、前記ねじ部材を螺着する内ねじと
が、前記マウント部材を当該エンジンに固着する
ブラケツトに一体的に形成されていることを特徴
とする補機類駆動用ベルト張力の調節構造を提供
することにより達成される。

〈作用〉 このようにすれば、アーム部材の揺動動作と、
ねじ部材の螺進、螺退動作とにより、テンシヨン
プーリの位置を変えることができる。

そしてアーム部材及びねじ部材を、共にエンジ
ンを車体に連結するためのマウントブラケツトに
一体的に取付けるることにより、マウント部材と
の干渉を避け得る位置からの作業を行なえるよう
にすることができる。

〈実施例〉 以下に添附の図面を参照して本考案を特定の実
施例について詳細に説明する。

第１図及び第２図は、本考案に基づくベルト張
力の調節構造が適用されたエンジンの要部を示し
ている。このエンジン本体１は、クランク軸１ａ
が車軸にほぼ平行するように、車体に対して横置
きに搭載される。

エンジン本体１のシリンダブロツク部分１ｂの
前面には、空気調和装置の冷媒を圧縮液化するた
めのコンプレツサ２が剛固に固着されている。こ
のコンプレツサ２は、ロータ軸端に固設された被
動プーリ３と、クランク軸端に固設されたクラン
クプーリ４との間に巻回されたＶベルト５によ
り、クランク軸１ａから駆動される。

シリンダブロツク部分１ｂのクランクプーリ側
の端面と、前側の端面とにより形成される角の部
分には、エンジン本体１を車体（図示せず）に連
結するための強度部材であるマウントブラケツト
６が剛固に固着されている。

このマウントブラケツト６は、第２図に示され
るように、側部６ａと前部６ｂとをボルト６ｃに
て連結してなり、上方から見て概ねＬ字形をなし
ており、エンジン本体１の側方と前方とからそれ
ぞれ差込まれた複数のボルト７により、シリンダ
ブロツク部分１ｂに固着されている。そして側方
部分６ａの上面に形成された平坦部８に、防振ゴ
ムを備えたマウント部材９の脚部１０が、ボルト
１１により固着されている。

マウント部材９は、ほぼ円筒形をなすスリーブ
９ａ内に防振ゴムを介装してなり、車体側に突設
されたブラケツト１２に半浮動的に連結されてお
り、これにより、エンジン振動が車体に伝達され
ることを緩和している。

シリンダブロツク部分１ｂに固着されたマウン
トブラケツト６には、前方に向けて突出部１３が
形成されており、該突出部１３には、アーム部材
１４がボルト止めされている。

このアーム部材１４は、ボルト止め部分を支点
１５として所定のレバー比をもつて寸法設定され
た両遊端部がシーソー式に揺動し得るようにされ
ており、一方の遊端部にテンシヨンプーリ１６が
枢着されており、他方の遊端部にねじ部材として
の押ボルトが当接すべく当接面１７が形成されて
いる。

支点１５の上方であつて当接面１７に対向する
位置には、内ねじが螺設された突部１８が形成さ
れており、当接面１７に先端を向けた押ボルト１
９が螺着されている。

このようなベルト伝動装置にあつては、ベルト
張力の適正な設定が不可欠である。本実施例の張
力付与要領について説明すると、先ず、支点15部
分のボルトを緩め、押ボルト１９を適宜に螺進、
螺退させる。すると支点15を中心として、アーム
部材１４が揺動することから、テンシヨンプーリ
１６の位置が上下方向に変位する。

押ボルト１９を捩込むと、テンシヨンプーリ１
６が上方に変位してベルト張力を増大させ、押ボ
ルト１９を緩めるとベルト張力が減少する。この
ようにして適正なベルト張力が得られたところで
支点部分15のボルトを締込むことにより、テンシ
ヨンプーリ１６の位置が固定される。

〈考案の効果〉 このように本考案によれば、エンジンと車体と
を連結するための強度部材としてのマウントブラ
ケツトに張力調節装置を設けることにより、部品
点数を増大させることなく剛固な調節装置を形成
することが可能となる。しかもマウント部材と干
渉することなく上方からの調節作業を行なうこと
をが可能となることから、構造の簡略化と作業性
の向上に極めて大きな効果を奏することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に基づくベルト張力の調節構造
が適用されたエンジンをクランクプーリ側から見
た側面図である。第２図は第１図に示すエンジン
の部分的な上面図である。 １…エンジン本体、１ａ…クランク軸、１ｂ…
シリンダブロツク部分、２…コンプレツサ、３…
被動プーリ、４…クランクプーリ、５…Ｖベル
ト、６…マウントブラケツト、６ａ…側部、６ｂ
…前部、６ｃ…ボルト、７…ボルト、８…平坦
部、９…マウント部材、９ａ…スリーブ、１０…
脚部、１１…ボルト、１２…ブラケツト、１３…
突出部、１４…アーム部材、１５…支点、１６…
テンシヨンプーリ、１７…当接面、１８…突部、
１９…押ボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 クランク軸方向端がマウント部材を介して車体
   に連結される横置きエンジンに於ける補機類駆動
   用ベルト張力の調節構造であつて、 遊端部にテンシヨンプーリを備えると共に揺動
   自在なように枢支されるアーム部材と、 前記アーム部材に係合し該アーム部材の揺動角
   度を調節すべく螺進螺退可能なるように螺着され
   るねじ部材とを有し、 前記アーム部材の枢支部と、前記ねじ部材を螺
   着する内ねじとが、前記マウント部材を当該エン
   ジンに固着するブラケツトに一体的に形成されて
   いることを特徴とする補機類駆動用ベルト張力の
   調節構造。