JPH0353889Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 この考案は、リボンを用いて印字を行う。熱転
写プリンタ・インパクトプリンタ・タイプライタ
等の印字装置において、リボンを収納し、キヤリ
ツジに取り付けて使用するリボンカセツトに関
し、特にそのうち送り出し側および巻き取り側で
パンケーキ状に巻き付けて収納する熱転写リボ
ン・ワンタイムリボン・マルイテスライクリボン
等のリボンカセツトに関する。

従来技術 従来、たとえば第１図に示すように、渦巻状に
巻き付けた送り出し側のパンケーキ状リボン１０
ａからリボン１０を繰り出し、そのリボンをいつ
たん外部に引き出して後、再びそれを内部に引き
込んで同様に渦巻状に巻き付けて巻き取り側のパ
ンケーキ状リボン１０ｂを設ける印字装置のリボ
ンカセツトにあつては、外部より振動・衝撃等が
加わると、送り出し側のパンケーキ状リボン１０
ａが回転し、あるいは該リボン１０ａの巻きがく
ずれて、リボンにたるみやねじれ等を生じ、リボ
ン１０の正常な送りが妨げられることとなつた。
このため、この種のリボンカセツトでは、従来パ
ンケーキ状リボン１０ａの外周にたとえばばねに
より付勢されるローラを押し当てるなどして該リ
ボン１０ａの回転に負荷を与えるとともに、図示
するように別途設けたばね１２でそのパンケーキ
状リボン１０ａを上から押さえるなどによりリボ
ン１０ａの巻きがくずれることを防止していた。

したがつて、従来のリボンカセツトでは、送り
出し側のパンケーキ状リボン１０ａを押さえるの
に多くの部品が必要となり、組立てにも手数がか
かつて、制作費用が嵩む欠点があつた。

目 的 そこで、この考案の目的は、送り出し側および
巻き取り側でリボンをパンケーキ状に巻き付けて
収納するリボンカセツトにおいて、たとえ振動や
衝撃が加わつたとしても、送り出し側のパンケー
キ状リボンがほどけ、あるいはリボンの巻きが乱
れることを防ぎ、リボンにたるみやねじれの生ず
ることを阻止して、リボンの正常な送りを確保す
ることにあり、本願考案はそれを構成簡単にして
部品点数を多くすることなく、組立容易に行うこ
とにある。

構 成 以下、図面に示すこの考案の一実施例に基づ
き、この考案について詳細に説明する。

第２図は、この考案によるリボンカセツトであ
り、インパクトプリンタに使用する例を示す。図
示リボンカセツト２０は、公知の如く底板２２上
に実際には上板を被せてなるが、図面ではその上
板を取り外して示す。

底板２２は、まわりを周壁２４で囲み、内部に
リボン収納空間２６を形成する。そのリボン収納
空間２６内には、付勢ばね２８が取り付けられ
る。

付勢ばね２８は、底板２２に立てた固定ダボ３
０を支点として、基端を周壁２４に押し当てて立
ち上がり片３２で押さえ、先端を第２図中一点鎖
線で示すように係止片３４に掛ける。立ち上がり
片３２は第３図に示すとおり底板２２から上向き
に直角に立ち上がり、周壁２４と対向させてな
り、係止片３４は第４図に示すとおり底板２２か
ら引き起こされ鉤型に折り曲げられてなる。

底板２２のリボン収納空間２６内には、また固
定軸３６が立てられる。その固定軸３６には揺動
板３８が取り付けられ、その固定軸３６を中心と
して回動可能とされる。

揺動板３８は、図示実施例では、三角アーム形
状をなし、表側の各頂点位置にそれぞれ円筒状の
突起４０と２つの軸状の突起４２，４４を有す
る。

そして、円筒状の突起４０が前述した固定軸３
６に嵌め合わされ、揺動板３８がリボン収納空間
２６内に回動可能に収納され、第５図から判るよ
うに底板２２上に裏面を接して直接載置される。
このため、第６図に示すとおり揺動板３８の裏面
にはザグリ溝４６，４６を設け、底板２２との間
の接触摩擦抵抗を軽減する。ザグリ溝４６，４６
に代え、たとえば各頂点位置裏面に球面突起を形
成し、揺動板３８が回転するとき底板２２との間
の摩擦抵抗が小さくなるようにしてもよい。

ところで、円筒状の突起４０の外周には、押え
ばね４８が巻き付けられる。押えばね４８の下方
先端４８ａは、第７図から判るように底板２２に
向けて折り曲げられ、揺動板３８の切欠き５０に
掛けられる。切欠き５０は、図示する如く揺動板
３８の突起４０のあるコーナーに形成されてい
る。他方、押えばね４８の上方先端４８ｂも、第
８図および第９図から判るように同じく底板２２
に向けて折り曲げられ、後述する送り出し側のパ
ンケーキ状リボン５２ａ外周に掛けられる。

次に、一方の軸状の突起４２には、たとえばワ
ンタイムリボン５２をパンケーキ状に巻き付けた
送り出しコア５４が回転自在に嵌め合わされる。
そして、揺動板３８のこの突起４２のあるコーナ
ーには、たとえば第６図に示すように下方外周縁
に沿つて係止段５６が形成される。しかして、揺
動板３８の取り付け後、その係止段５６に係止片
３４に掛けられていた前述した付勢ばね２８の先
端が掛け替えられ（第２図および第９図参照）、
揺動板３８に固定軸３６を中心として常に第２図
中時計方向の回動習性を与える。

パンケーキ状に巻かれたリボン５２ａからはリ
ボン５２ｂが繰り出され、底板２２に軸支される
複数のローラ５８，６０に案内されて、送り出し
口６２を通していつたん外部に引き出される。外
部に引き出されたリボン５２ｃは、印字のため使
用されて後再び回収口６４を通して内部に引き込
まれる。引き込まれたリボン５２ｄは、同じく底
板２２に軸支される複数のローラ６６，６８に案
内されて、巻き取りコア７０に巻き付けられる。
巻き取りコア７０には、使用後のリボンが同じく
パンケーキ状に巻き付けられることとなる。

巻き取りコア７０は、他方の軸状の突起４４に
回転自在に嵌め合わされる。そして、パンケーキ
状のリボン５２ｅ外周が、前述した付勢ばね２８
の付勢力によりフイードギヤ７２に押し当てられ
る。

しかして、フイードギヤ７２は、すでに公知の
手段により、リボンカセツト２０をプリンタ本体
のキヤリツジ上に取り付けたとき、歯車列を介し
てリボン送りモータに接続され、該モータの回転
が伝達され、第２図中矢示方向に回転し、リボン
送りを行う構成となつている。

そこで、第２図に示すリボンカセツト２０をプ
リンタのキヤリツジ上に取り付け、印字を行う
と、リボン５２は順次送られ、巻き取り側のパン
ケーキ状リボン５２ｅが次第に大きくなる。する
と、揺動板３８は、付勢ばね２８に抗して固定軸
３６を中心として第２図中反時計方向に回動し、
巻き取りコア７０がリボンカセツト２０の中心側
に寄せられ、送り出しコア５４が中心から周壁２
４に向けて寄せられる。したがつて、リボン５２
が巻き取られてその外径寸法が大きくなつても、
そのパンケーキ状リボン５２ｅは、リボンカセツ
ト２０内の十分に広い収納空間に収まる。他方、
送り出しコア５４に残りリボンが巻かれるパンケ
ーキ状リボン５２ａは、次第にその外径が小さく
なるから、周壁２４に接近しても周壁近くの収納
空間に十分に収まることとなる。このように、こ
の考案によるリボンカセツト２０では、リボン５
２の繰り出し状況に合わせてリボン収納空間２６
内で揺動板３８が回動し、徐々に送り出し側のリ
ボン収納空間を減じ、巻き取り側のリボン収納空
間を増大することとなる。そして、やがてはリボ
ン５２がすべて巻き取りコア７０に巻き取られ
て、第２図中二点鎖線で示す状態となる。

なお、このリボンの巻き取り過程にあつて、巻
き取り側のパンケーキ状リボン５２ｅの外径寸法
と送り出しコア５４に残りリボン５２が巻かれる
パンケーキ状リボン５２ａの外径寸法とが等しく
なつたときに、それぞれの外径寸法の和が最大と
なつて、両パンケーキ状リボン５２ａ，５２ｅが
最も接近する。そこで、この実施例では、軸状の
突起４２，４２の中心間距離を、前記送り出し側
のパンケーキ状リボン５２ａおよび巻き取り側の
パンケーキ状リボン５２ｅのそれぞれの半径寸法
が等しくなつたとき、それらの和より若干大きく
形成してなり、これによつて、両パンケーキ状リ
ボン５２ａ，５２ｅが接触することがないように
してある。

そして、リボン巻き取り前に送り出し側のパン
ケーキ状リボン５２ａの外径が第２図中実線で示
す如く最大であるとき、パンケーキ状リボン５２
ａと周壁２４との間に若干の間隙ｍが形成され、
またリボン巻き取り終了時に巻き取り側のパンケ
ーキ状リボン５２ｅの外径が図中二点鎖線で示す
如く最大となるとき、パンケーキ状リボン５２ｅ
と周壁２４との間に同じく若干の間隙ｎ（もちろ
んｎ＝ｍでもよい）が形成されるように、リボン
カセツト２０の幅寸法Ｌを決定する。

ところで、上述した実施例において使用した押
えばね４８は、上方端が送り出し側のパンケーキ
状リボン５２ａを横切り、リボン５２ａの浮き上
がりを防ぐとともに、先端４８ｂが前述した如く
その外周に掛けられ、そのパンケーキ状リボン５
２ａの回転に負荷を与え、該リボンカセツト２０
に振動、衝撃等が加わつたときにもリボン５２ａ
がほどけ、リボ５２にたるみの生ずることを阻止
する。このため、押えばね４８にあつて、底板２
２に向けて折り曲げた先端４８ｂ部分を含まない
上方端の長さは、固定軸３６と突起４２の中心間
距離よりも長く、その中心間距離に送り出しコア
５４の半径を加えた距離よりも短くして、送り出
しコア５４に巻かれるリボン５２ａの量が少なく
なつた場合にも、押えばね４８の上方先端４８ｂ
がパンケーキ状リボン５２ａから外れることのな
いように形成される。なお、上述した実施例で
は、押えばね４８を揺動板３８で支持した。した
がつて、送り出し側のパンケーキ状リボン５２ａ
の外径が変化しても、同時に揺動板３８が回動す
るから、常に一定の力でリボンを押さえることが
でき、リボン送りの安定性を高めることができる
とともに、他方また押えばねの調整等を不要とす
ることができる。しかし、そのような利点は期待
できないものの、押えばねを底板で支持し、その
押えばね４８で送り出し側のパンケーキ状リボン
を押さえるように構成しても、リボンのたるみを
防止することはできる。

以上述べたこの考案の実施例では、ワンタイム
リボンを用いるインパクトプリンタに適用する例
に沿つて説明した。しかし、この考案は、リボン
をパンケーキ状に巻きつけて収納するリボンカセ
ツトを用いる印字装置であれば、インパクトプリ
ンタに限らず、熱転写プリンタやタイプライタ等
の他の各種印字装置にも同様に適用することがで
き、またワンタイムリボンに限らず、重ね打ちの
できるマルチストライクリボンや熱転写リボン等
を用いるリボンカセツトにも同様に適用すること
ができる。

上述した実施例では、また揺動板３８は、三角
アーム形状に形成した。しかし、揺動板は、送り
出し側のリボンと巻き取り側のリボンとをそれぞ
れパンケーキ状に巻き付けて取り付け、リボンの
送り出し状況に応じて送り出し側のリボン収納空
間が減じ、巻き取り側のリボン収納空間が増大す
るように、リボンカセツト内で回動可能に設けら
れれば、三角アーム形状に限らず、四角形状等の
その他の各種形状に形成することもできる。

さらに、その揺動板３８に回動習性を与える付
勢ばね２８を、固定ダボ３０を支点とし基端を周
壁２４に押し当て、先端を係止片３４に掛けて配
する。しかし、この付勢ばねは、揺動板に回動習
性を与えるべく設置すればよく、上記例に限ら
ず、たとえば固定軸３６等を支点として配置して
もい。第３図に示す立ち上がり片３２および第４
図に示す係止片３４は、設けると便利であるとい
うことであつて、勿論この考案において必須不可
欠のものではない。

効 果 この考案によれば、送り出し側および巻き取り
側でリボンをパンケーキ状に巻き付けて収納する
リボンカセツトにおいて、そのリボン収納空間内
に一端が送り出し側のパンケーキ状リボンを横切
るように押えばねを設けるから、その押えばねで
リボンの浮き上がりを防止し、リボンの巻きが乱
れることを防ぐことができ、また先端をそのパン
ケーキ状リボンの外周に掛け止めるから、その押
えばねでリボンを押さえてリボンのたるみを防ぐ
ことができ、リボンカセツトに仮に振動・衝撃等
が加わつたとしても、リボンにたるみやねじり等
が生ずることを阻止し、リボンの正常な送りを確
保して印字品質を良好に保つことができる。しか
も、この考案にあつては、一本の押えばねで送り
出し側のパンケーキ状リボンを確実に押さえるこ
とができるから、構成が簡単で部品点数を多くす
ることなく組立容易に行うことができる利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のリボンカセツトの平面図であ
り、上板を取り外して示す。第２図は、この考案
の一実施例であり、この考案によるリボンカセツ
トの平面図を同じく上板を取り外して示す。第３
図はそのリボンカセツトの立ち上がり片の斜視
図、第４図は係止片の斜視図である。第５図は、
第２図に示すリボンカセツトの部分側面図であ
る。第６図は揺動板の裏面図、第７図はその円筒
状突起部分の拡大斜視図である。第８図は、第２
図に示すリボンカセツトの揺動板部分の斜視図で
ある。第９図は、第２図に示すリボンカセツトの
揺動板部分を他角度から見た斜視図であり、両パ
ンケーキ状リボンを二点鎖線で示す。 ２０……リボンカセツト、２６……リボン収納
空間、３８……揺動板、４８……押えばね、５２
……リボン、５２ａ，５２ｅ……パンケーキ状リ
ボン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. パンケーキ状に巻き付けた送り出し側のリボン
   から繰り出して該リボンをいつたん外部に引き出
   し、再び内部に引き込んで同様に巻き取り側でパ
   ンケーキ状に巻き付ける一方、それら送り出し側
   および巻き取り側のパンケーキ状リボンを互いに
   若干の間隔を隔ててともに同一揺動板上に回転自
   在に取り付け、リボンの繰り出し状況に合わせて
   送り出し側のリボン収納空間を減じ、巻き取り側
   のリボン収納空間を増大する方向にその揺動板を
   該リボン収納空間内で一支点を中心として回動可
   能とするとともに、その揺動板を付勢ばねで付勢
   して前記巻き取り側のパンケーキ状リボンの外周
   をフイートギヤに押し当てる印字装置のリボンカ
   セツトにおいて、前記揺動板で支持して押えばね
   を設け、その押えばねの一端を前記揺動板に掛け
   止め、他端を前記送り出し側のパンケーキ状リボ
   ンを横切り先端を該リボンの外周に掛け止めてそ
   のパンケーキ状リボンを押さえてなる印字装置の
   リボンカセツト。