JPH034580Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は自動車用機関の支持装置に係り、特
に狭い機関室内において弾性支持機構近傍のエン
ジン補機の着脱を容易に行わせ得る自動車用機関
の支持装置に関する。

〔従来の技術〕

自動車においては、エンジンを車体側の部材で
あるフレーム等に搭載している。このエンジン
は、複数のマウントゴム等を有する弾性支持機構
によつて弾性的に支持されている。

マウントゴムは、エンジンの無負荷運転時や、
自動車の発進時等の負荷トルク発生時に生じる振
動を充分に吸収できることが望ましい。即ち、第
２図に示す如く、従来の弾性支持機構６は、エン
ジン２側に固設したエンジン側マウントストツパ
である内側マウントストツパ８と、車体側フレー
ム４に固設した車体側マウントストツパである外
側マウントストツパ１０と、内側マウントストツ
パ８と外側マウントストツパ１０との間に介設さ
れたマウントゴム１６とから一体的に構成されて
いる。そして、エンジン２の振動はマウントゴム
１６により吸収されるとともに、エンジン２の大
なる振れは内側マウントストツパ８の周壁部８−
ｂと外側マウントストツパ１０の周壁部１０−ｂ
とが当接することにより抑制される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところで、狭い機関室内においては、エンジン
２の他に、種々エンジン補機を設けている。例え
ば、第２図に示す如く、エンジン２下方の壁部２
４は、エンジン補機としてオイルフイルタ２６が
エンジン２に付設されている。

しかし、弾性支持機構６はオイルフイルタ２６
近傍に配設され、弾性支持機構６の外側マウント
ストツパ１０の周壁部１０−ｂとオイルフイルタ
２６間の間隙は非常に狭くなつている（第２図に
示す関隙Ｌ）。

このため、オイルフイルタ２６の交換作業時
に、外側マウントストツパ１０の周壁部１０−ｂ
にオイルフイルタ２６を取外すためのレンチある
いはオイルフイルタ２６が当接し、その取外しが
できなくなる場合があつた。この場合、弾性支持
機構６全体を取外してからオイルフイルタ２６の
交換作業を行い、オイルフイルタ２６を交換した
後、更に、弾性支持機構６の取付作業を行わなけ
ればならなかつた。この結果、オイルフイルタ２
６の交換作業の能率が低下する不都合があつた。

また、弾性支持機構６の着脱頻度が多いため
に、弾性支持機構６の取付け状態に誤差が生じ、
その防振機能を損なうおそれがあり改善が望まれ
ていた。

〔考案の目的〕

そこでこの考案の目的は、上述の不都合を除去
すべく、エンジン補機近傍に設けた弾性支持機構
の車体側マウントストツパのエンジン補機に対向
する一部周壁を分割して分割周壁とし、分割周壁
を車体側フレームに着脱可能に設けることによ
り、弾性支持機構近傍のエンジン補機の着脱を容
易に行わせ、その点検及び交換作業簡便に果せし
めて整備性を向上し、しかも弾性支持部材の機能
を良好に維持し得る自動車用機関の支持装置を実
現するにある。

〔考案の構成〕

この目的を達成するためにこの考案は、エンジ
ン側マウントストツパと車体側マウントストツパ
間にマウントゴムを挾着して弾性支持機構を構成
し、前記エンジン側マウントストツパのエンジン
側固設部の裏面をエンジン側ストツパ取付部に接
して固設するとともに前記車体側マウントストツ
パの車体側固設部の裏面を車体側フレームのフレ
ーム側ストツパ取付部全体に接して固設し、前記
弾性支持機構をエンジン補機近傍に配設した自動
車用機関の支持装置において、前記車体側マウン
トストツパの前記エンジン補機に対向する一部周
壁を分割して分割周壁とし、この分割周壁を前記
車体側フレームに着脱可能に設けたことを特徴と
する。

〔作用〕

この考案の構成によれば、エンジン補機の交換
時においては、先ず、車体側フレームに固定して
いる分割周壁を取外して分割周壁のみを取外すの
で、エンジン補機を取外すための充分な空間が形
成され、エンジン補機の交換作業に邪魔になる箇
所はなく、スムーズにその交換作業を行わせるこ
とができる。

そして、エンジン補機の交換後、再び分割周壁
を車体側フレームに固定する。

このように、エンジン補機の交換作業は、弾性
支持機構の全体を取外すことがないので、簡便で
迅速に行うことができる。

また、エンジン補機の着脱を容易にすべく、外
側マウントストツパの一部を構成する分割周壁を
車体側フレームに着脱可能に設けたので、弾性支
持部材の防振機能を良好に維持することができ、
また、エンジン補機の取付け位置設計の自由度を
大とすることができる。

〔実施例〕

以下図面に基づいてこの考案の実施例を詳細且
つ具体的に説明する。

第１図は、この考案の実施例を示すものであ
る。図において、２は自動車のエンジン、４は車
体側フレームである。エンジン２は、弾性支持機
構６を介して車体側フレーム４に弾性支持され
る。

この弾性支持機構６は、エンジン側マウントス
トツパである内側マウントストツパ８と、車体側
マウントストツパである外側マウントストツパ１
０を構成する断面Ｌ字形のストツパ本体１２と、
内側マウントストツパ８とストツパ本体１２間に
介設されるマウントゴム１６とからなる。

エンジン２のエンジン側ストツパ取付部２４ａ
には、断面Ｃ字形の内側マウントストツパ８のエ
ンジン側固設部８−ａが装着される。

また、車体側フレーム４のフレーム側ストツパ
取付部４ａには、断面Ｌ字形のストツパ本体１２
の車体側固設部１２−ａが装着される。

内側マウントストツパ８のエンジン側固設部８
−ａとストツパ本体１２の車体側固設部１２−ａ
との間には、マウントゴム１６が介設される。こ
れ等固設部８−ａ、１２−ａには、固定軸１８が
設けられる。この固定軸１８の両端部にはナツト
２０が螺着され、これにより、エンジン２及び車
体側フレーム４間に弾性支持機構６が取付けられ
る。

また、内側マウントストツパ８の周壁部８−ｂ
とストツパ本体１２の周壁部１２−ｂとが対向し
て配置され、この周壁部１２−ｂの内壁面には緩
衝作用及び防振を果す第１ストツパゴム２２が固
着される。

エンジン２のエンジン壁部２４には、弾性支持
機構６近傍に位置するエンジン補機であるオイル
フタ２６が着脱可能に設けられている。そこで、
外側マウントストツパ１０のオイルフイルタ２６
に対向する一部周壁を、分割して分割周壁１４と
する。即ち、従来の外側マウントストツパが一個
体として構成されていたのに対し、この実施例の
外側マウントストツパ１０にはストツパ本体１２
とともに外側マウントストツパ１０の一部を構成
する分割周壁１４を設けたものである。

この分割周壁１４は、固設部１４−ａと周壁部
１４−ｂとからなり、この分割周壁１４の周壁部
１４−ｂを内側マウントストツパ８の周壁部８−
ｂと係合すべく配置する。

分割周壁１４の周壁部１４−ｂの内壁面には、
内側マウントストツパ８の周壁部８−ｂに対向さ
せて第２ストツパゴム２８が固着される。

更に、分割周壁１４の固設部１４−ａと車体側
フレーム４とに孔を穿設し、この孔にボルト・ナ
ツト等の取付具３０を挿通し、分割周壁１４全体
を車体側フレーム４に対して着脱可能で且つ堅固
に支持させる。

次に、この実施例の作用を説明する。

エンジン２の振動は弾性支持機構６のマウント
ゴム１６により吸収されるので、その振動が車体
側フレーム４に伝達することがない。

また、自動車の走行中に、路面、タイヤにより
生じた車体側の振動もマウントゴム１６により遮
断され、エンジン側の振動と車体側の振動とが干
渉して大きな振動を生じるのが防止される。

更に、負荷トルク発生時等によりエンジン２が
大きく振れた場合、その大なる振れは内側マウン
トストツパ８の周壁部８−ｂにストツパ本体１２
の周壁部１２−ｂあるいは分割周壁１４の周壁１
４−ｂとが当接するので、大なる振れは所定範囲
内で抑制される。

またこのとき、内側マウントストツパ８には、
緩衝作用を果す第１あるいは第２ストツパゴム２
２，２８が当接するので、衝接を防止するととも
に、その振動の伝達をも防止することができる。

一方、エンジン補機であるオイルフイルタ２６
の交換時においては、従来オイルフイルタ２６
と、突出して設置されている外側マウントストツ
パ１０とは非常に近くに位置していたので、オイ
ルフイルタ２６の交換作業はその都度弾性支持機
構６全体を取外してから行わなければならなかつ
た。

ところが、この実施例によれば、先ず、分割周
壁１４を固定している取付具３０を取外して分割
周壁１４のみを取外す。これにより、オイルフイ
ルタ２６を取外すための充分な空間が形成され、
オイルフイルタ２６の交換作業に邪魔になる箇所
はなく、スムーズにその交換作業を行うことがで
きる。

そして、オイルフイルタ２６の交換後、再び分
割周壁１４を取付具３０により固定する。

このように、オイルフイルタ２６の交換作業
は、弾性支持機構６全体を取外すことがないの
で、簡便で迅速に行うことができる。

また、弾性支持機構６は、防振機能の向上のた
めに適正に調整して固設されている。これによ
り、弾性支持機構６をオイルフイルタ２６の交換
作業のために何度も取外したりすると、その取付
け状態に誤差が生じ、防振機能が損なわれ易い。

しかし、この実施例によれば、オイルフイルタ
２６等のエンジン補機の着脱を容易にすべく、外
側マウントストツパ１０の一部を構成する分割周
壁１４を車体側フレーム４に着脱可能に設けたの
で、弾性支持機構６の防振機能を良好に維持する
ことができ、また、エンジン補機の取付け位置設
計の自由度を大とすることができる。

なお、この実施例においては、エンジン２の壁
部２４に付設したオイルフイルタ２６の交換につ
いて述べたが、弾性支持機構６近傍に他のエンジ
ン補機が配置された場合においても、エンジン補
機の着脱作業を容易にすべく弾性支持機構６の他
の箇所を分割して構成することも可能である。

〔考案の効果〕

以上詳細な説明から明らかなようにこの考案に
よれば、エンジン補機近傍に弾性支持機構を配設
した自動車用機関の支持装置において車体側マウ
ントストツパのエンジン補機に対向する一部周壁
を分割して分割周壁とし、分割周壁を車体側フレ
ームに着脱可能に設けたことにより、狭い機関室
においても分割周壁を取外すだけで、弾性支持機
構近傍のエンジン補機の着脱を容易で且つ迅速に
行わせることができ、作業能率を向上し得る。

また、エンジン補機の保守点検や交換時に弾性
支持機構全体を取外す必要がないので、弾性支持
機構の防振機能を低下させるおそれがなく、その
機能を良好に維持し得て、しかも、エンジン補機
の取付け位置設計の自由度を大とし得る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示し、自動車用機
関の支持装置の要部拡大断面図である。第２図は
従来における支持装置の要部拡大断面図である。 図において、２はエンジン、４は車体側フレー
ム、６は弾性支持機構、８は内側マウントストツ
パ、１０は外側マウントストツパ、１２はストツ
パ本体、１４は分割周壁、１６はマウントゴム、
２６はオイルフイルタ、そして３０は取付具であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン側マウントストツパと車体側マウント
   ストツパ間にマウントゴムを挾着して弾性支持機
   構を構成し、前記エンジン側マウントストツパの
   エンジン側固設部の裏面をエンジン側ストツパ取
   付部に接して固設するとともに前記車体側マウン
   トストツパの車体側固設部の裏面を車体側フレー
   ムのフレーム側ストツパ取付部全体に接して固設
   し、前記弾性支持機構をエンジン補機近傍に配設
   した自動車用機関の支持装置において、前記車体
   側マウントストツパの前記エンジン補機に対向す
   る一部周壁を分割して分割周壁とし、この分割周
   壁を前記車体側フレームに着脱可能に設けたこと
   を特徴とする自動車用機関の支持装置。