JPH0342912B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、上下動可能で横方向に移動可能な針
棒と、該針棒の運動に同期して上下動駆動され針
棒の横運動の際に中心位置より横の位置で布地の
上に降下される布地押さえを有する布地押さえ装
置とを備えるミシンに関する。

従来技術及び解決すべき問題点 ジグザグ縫いミシンにおいては一般に布地押さ
えも針板も１つのスリツト状の針穴を有し、布地
送りの方向に対して横方向の針穴の寸法は、針の
最大の移動幅によつて定められている。この様な
大きな針穴は欠点を持つている。何故ならば布地
が縫目形成位置で、針が作用する力に対して十分
に押さえられないからである。

上記した様な種類のミシンにおいて針穴の大き
さを実施する縫目に適合させることが公知になつ
ている。西ドイツ国特許公開2903030号によつて
公知になつているミシンの針板はスリツト状の針
穴を有し、布地押さえの送りの方向に対して横方
向の針穴の寸法は、直線縫いに切り換えられる
と、比較的高価な移動機構によつて縮小されるこ
とが可能になつている。この際針穴の大きさを
個々に、より少ない針の移動幅に適合させる様に
は成つていないしまたそのことは不可能である。

その都度取り付けられている布地押さえの針穴
は前述した移動機構によつては変化させられない
から、直線縫いを形成するためにもジグザグ縫い
のために設けられた布地押さえを使用するか又は
布地押さえを縫目を変える際に交換しなければな
らない。このことによつて、ジグザグ縫いの機構
を間違つて使用することによつて縫目形成装置及
び針板の針穴がジグザグ縫いに切り換えられる
が、直線縫いのために設けられた布地押さえの交
換が忘れられているという危険が存在する。この
ことにより布地押さえ並びに縫目形成装置の一部
の破壊が起こる可能性がある。

西ドイツ国特許2924206号公報には上記した様
な種類のさらに発展した装置が記載されており、
この装置ではその都度の縫目に対応する布地押さ
えばかりでなくジグザグ機構及び針板の移動機構
が対応して作動させられている。この発展した装
置においても縫目の種類を変える場合には、時間
を浪費する布地押さえの交換をしなければならな
い。

特公昭49−9491号公報によれば、布地押さえ装
置を収容するこめの１つの保持体を針棒に固定す
ることが公知になつている。布地押さえ装置は同
様に針棒に固定された１つの軸承台内に収容さ
れ、その際この軸承台は同時に布地押さえばねの
支えともなつている。この様な配置によつて布地
押さえ装置全体が針棒の横方向の運動に加わるの
でこれらの慣性モーメントは非常に大きなものに
なつている。

上記した装置においては布地押さえ棒は針棒と
一緒にいつも持ち上げられそして針棒の運動は布
地押さえ装置のばねの力に逆らつて行われるか
ら、針棒を駆動するためには比較的大なる力が必
要である。さらに針が引き抜かれる瞬間に布地押
さえによる布地の押さえが完全でない。何故なら
ば布地押さえ装置のばねは針棒が持ち上げられる
ことによつてその力の少なくとも一部分が減少し
ているからである。

目 的 本発明は、できるだけ小さな針穴を有し、どの
位置でも布地を底面のほぼ全面で押さえることが
できる布地押さえを有し、小さな慣性モーメント
で横移動の可能な布地押さえ装置をすることを課
題とする。

構 成 本発明は、上記の課題を、上下動可能で横方向
に移動可能な針棒と、該針棒の運動に同期して上
下動駆動され針棒の横運動の際に中心位置より横
の位置で布地の上に降下される布地押さえを有す
る布地押さえ装置とを備えるミシンにおいて、布
地押さえは布地押さえ装置の残りの部分に対して
その上下運動方向にも横方向にも相対可動であ
り、そしてガイド手段により布地表面に対して並
行に案内され、針棒の横運動に対して同期する前
記布地押さえの横運動は駆動結合部材により前記
針棒の横運動から伝達され、前記駆動結合部材は
前記針棒と連結される駆動手段と該駆動手段と係
合し前記布地押さえと連結される連行体とを有す
ることを特徴とするミシンにより達成する。

作用及び効果 本発明により、針棒のジグザグ運動に伴う横運
動は駆動結合部材により、つまり駆動手段と連行
体により、布地押えに伝達され、布地押えは針棒
に駆動される形で横運動をする。その際、布地押
えはガイド手段により布地の表面に並行に移動す
るようにガイドされる。布地押えは針棒の横運動
に追随して移動するので、布地押えの針穴と針棒
に設けた針との間には相対ずれが少ない。従つて
針穴は針板の針穴よりは非常に小さくすることが
出来る。然も、布地押えは布地の表面に対し並行
に移動するので、布地押えの底面はいつも全面で
布地に接することができる。これにより、布地に
対する針の抜き刺しのときに布地押えは布地を確
実に押えることが出来る。更に、横運動は布地押
え装置全体ではなく、布地押えに関連する一部の
部品を動かすだけでよいので、慣性モーメントを
非常に小さくすることが可能になつた。

駆動手段及び連行体によつて１つの駆動結合部
材が形成され、この駆動結合部材は針棒担持体の
横方向の運動を布地押さえ棒に伝達するのに用い
られている。この際布地押さえは直線状に連行さ
れ、斯くして針は、調節可能な移動幅に調節され
た場合に、いつも布地押さえに形成された針穴の
ほとんど等しい位置に突き刺さる。このことによ
り針の移動幅が大きい場合でも、直線縫いの場合
の針穴の大きさに対応する針穴が必要となるのみ
である。布地は針穴の大きさが小さくて済むた
め、ジグザグ縫目を形成する場合でも、布地押さ
えによつて十分に押さえられており、そのことに
より縫目形成位置における布地の負荷は減少させ
られる。

針棒担持体と布地押さえ棒との間の強制的な駆
動結合によつて、そうでない場合には、針棒担持
体の駆動装置と同期的に制御されることが必要に
なる布地押さえ棒の駆動装置が省略される。布地
押さえ棒は針棒担持体によつて直接駆動されてい
るから、布地押さえ棒は、針が布地の上方に位置
する時にのみ布地に対して相対的に動く。何故な
らば針棒担持体は針が布地の中に差し込まれてい
る時には横方向に動かないからである。このこと
によつて布地は縫目形成の間には布地押さえによ
つて最良の状態に押さえられている。

負荷的に針板が布地送りの方向に対し横に動く
様に支承されそしてこの方向に針棒担持体または
布地押さえに同期的に駆動されるならば、針板の
針穴も直線縫いに必要な針穴の大きさに減少する
ことが可能てある。このことにより布地は、針が
突き刺される場合にも、その際作用する力に対し
て十分によく押さえられ、そのことにより布地の
負荷は減少させられる。

実施例 本発明の詳細を添付図に示された実施例を用い
て説明する。

第１図には１つのミシンが示されており、この
ミシンのケーシングは基板１、１つの支柱２、１
つのアーム３及びアーム３に旋回可能に収容され
ている１つの頭部４から形成されている。頭部４
には針６を有する１つの針棒５及び１つの布地押
さえ装置７が支承されている。基板１には１つの
針板８が収容され、この針板は１つの針穴９を有
している（第２図）。

頭部４は第２図に拡大図によつて示されてい
る。頭部４のケーシング１０に１つのモーター１
１がフランジで取り付けられ、このモーターは１
つのモーター軸１２を有し、このモーター軸はケ
ーシング１０の中に導かれている。モーター軸１
２上には１つのクランク１３が固定され、このク
ランクは１つの歯付きベルト車１４を担持しそし
て１つのピン１５を介して歯付きベルト車と結合
している。クランク１３よりも突出しているピン
１５の端は１つの偏心棒１６によつて取り囲まれ
ている。針棒５には１つのクランプ１９が固定さ
れ、このクランプは１つのピン２０と一体に形成
されており、このピンに偏心棒１６の他の端が連
結されている。

針棒５はケーシング１０の内部で旋回可能に支
承されている１つの針棒担持体２１の中でそれの
縦軸方向に上下に運動可能になつている。旋回可
能に支承されるため針棒担持体２１は１つの枠２
２を有し、これに１つの支承ピン２３が固定され
ている。支承ピン２３はケーシング１０の支承肋
材２４に旋回可能に収容されている。

針棒担持体２１の下端には別の１つの弓状の枠
２５が形成され（第５図）、この弓状の枠は１つ
のピン２６を有している。弓状の枠２５は１つの
案内先端２７と結合しており、この案内先端はケ
ーシング１０に取り付けられた１つの案内板２８
の溝の中で案内されている。

針棒担持体２１の下端には、布地押さえ装置７
の方を向いた針棒担持体の側面に１つの板２９が
固定され、この板は１つのスリツト３０を有して
いる。

ケーシング１０の中には布地押さえ装置７のた
めの垂直方向に動くことが出来る担持体３１が収
容されている。この担持体３１は垂直方向に動く
ために支承肋材２４の溝３２の中に突出してい
る。担持体３１は垂直方向に延長しているスリー
ブ３３を収容し、このスリーブの上端には１つの
クランプ３４が取り付けられている。ケーシング
１０の内壁の一方には圧力流体で作動する１つの
シリンダー３５が取り付けられ（第３図）、この
シリンダーのピストンロツド３６には１つのクラ
ンプ３４が固定されている。

スリーブ３３の下端は１つのブツシユ３７を収
容するのに役立つている（第６図）。ブツシユ３
７の中には１つの布地押さえ棒３８が縦軸方向に
移動可能で且つこの軸の回りに旋回可能に収容さ
れている。布地押さえ棒３８は１つの針穴４０を
有する１つの布地押さえ３９を担持している（第
２図）。布地押さえ棒３８がブツシユ３７の回り
を旋回することにより布地押さえ３９の横移動を
行う。従つて、布地押さえ棒３８とブツシユ３７
は布地押さえ３９の横移動のガイド手段として作
用する。部材３１及び３３から３９により布地押
さえ装置７が形成されている。

布地押さえ棒３８の針棒担持体２１の方を向い
た側面に１つのピン４１が固定されており、この
ピンの自由端部４２はボール状に形成されてい
る。ピン４１が貫通するためブツシユ３７は１つ
のスリツト４３を有している。このスリツト４３
を通つて突出するボール状の自由端部４２は板２
９に設けられ案内として役立つているスリツト３
０にはまつている。

布地押さえ棒３８はそれの上端から出発する１
つの穿孔４４を有している。布地押さえ棒３８の
この端はスリーブ３３の中に収容された１つの布
地押さえばね４５による力を受け、このばねはそ
の力を上下に位置するボール４６及び４７を介し
て布地押さえ棒３８に伝達している。ボール４６
はこれに緊着している布地押さえばねの巻線によ
つて導かれ、一方ボール４７は布地押さえ棒３８
の穿孔４４の中に一部分が収容されている。

歯付きベルト車１４（第２図）から取り出され
た運動は歯付きベルト４８によつて歯付きベルト
車４９に伝達され、この歯付ベルト車はケーシン
グ１０の中で回転可能に支承されている１つの軸
５０に固定されている。軸５０の回転運動はこの
軸上に固定されている歯付きベルト車５１から歯
付きベルト５２によつて歯付きベルト車５３に伝
達され、この歯付きベルト車はケーシング１０の
中で回転可能に支承されている１つの駆動軸５４
上に固定されている。

駆動軸５４の一端は駆動軸の回転軸に対して偏
心的に形成された１つのピン５５を有している。
このピン５５は１つの偏心棒５６によつて掴まれ
ており、この偏心棒はさらに、１つの縫目設定装
置５８の１つのピン５７に連結している。ピン５
７には付加的に１つの揺れレバー５９が取り付け
られており、この揺れレバーの他の端は針棒担持
体２１のピン２６と枢着されている。

第７図及び第８図に示された縫目設定装置５８
は次の様に形成されている。即ちケーシング１０
の外側に固定された１つのステツプモーター６０
が、ケーシング１０の中に差し込まれた１つモー
ター軸６１を有し、この軸上に１つの偏心輪６２
が固定されている。偏心輪６２は１つの軸受６３
の中に収容されている１つのフオーク６４を動か
し、このフオークの先端はケーシングに固定され
た案内６５の中に突出している。フオーク６４に
固定された案内６６の中で１つの調節部材６７が
案内されており、この部材はフオーク６４に固定
された１つのピン６８の回りに旋回可能になつて
いる。調節部材６７には歯車セグメント６９が固
定されそして１つの取り付けピン７０によつてそ
れの中心位置が定められている。歯車セグメント
６９は１つの小歯車７１と噛み合い、この小歯車
は、同様にケーシング１０の外側に固定された１
つのステツプモーター７３のケーシング１０の中
に挿入された１つのモーター軸７２と固く結合さ
れている。

調節部材６７には１つのピン７４が収容され、
このピン上には１つの揺れレバー７５が関節的に
取り付けられている。この揺れレバー７５の他の
端には既に上述したピン５７が固定され、このピ
ンに揺れレバー５６及び５９が公知の態様で取り
付けられている。

軸５０（第２及び３図）上には１つの偏心輪７
６が固定されており、この偏心輪を１つの偏心棒
７７が取り巻いている。ケーシングの１つの開口
７８を貫通して偏心棒７７がケーシング１０から
突出して１つ揺れレバー７９（第３図）を駆動
し、この揺れレバーはケーシング１０に固定され
た板８１の１つの旋回可能なピン８０に固定され
ている。揺れレバー７９は１つの長穴８２を有
し、この長穴の中で偏心棒７７の連結点が１つの
ねじ８３によつて設定される。ピン８０上にはも
う１つ別の揺れレバー８４が固定され、この揺れ
レバーの自由端は１つのリンク８５に関節的に連
結されている。リンク８５は１つの揺れレバー８
６と旋回可能に連結され、この揺れレバーは板８
１に旋回可能に支承されている１つのピン８７と
固く係合している。さらにピン８７には１つの旋
回レバー８８が固定され、この旋回レバーは１つ
のリンク８９を介して１つのアングルレバー９０
に連結している。アングルレバー９０は布地押さ
え棒３８の１つの突出部９１上に支承されそして
ボール状に形成された１つの自由腕９２を有し、
この腕は布地押さえ棒３８の１つの突き当て面９
３を下から支えている。部材７７及び７８から９
１までの構成によつて１つのレバー機構９４が形
成されている。

上記した装置は次の様に作動する。

モーター１１のモーター軸１２の回転運動によ
りクランク１３及びこのクランクによりピン１５
を介して歯付きベルト車１４が駆動される。歯付
きベルト車１４の回転運動は歯付きベルト４８及
び歯付きベルト車４９を介して軸５０に伝達され
そして斯くして歯付きベルト車５１並びに偏心輪
７６に伝達される。

歯付きベルト車５１の回転運動は歯付きベルト
５２を介して歯付きベルト車５３に伝えられそし
て斯くして駆動軸５４に伝えられる。偏心して配
置されたピン５５により偏心棒５６に振動運動が
伝えられる。この振動運動はピン５７に伝達さ
れ、このピンは、機能態様が後述にて詳細に説明
される縫目設定装置５８の一部分になつている。

直線状の縫目を形成するため縫目設定装置５８
は偏心棒５６によつて伝達される振動運動が針棒
担持体２１に伝達されない様に設定される。斯く
して振動運動は針棒５にのみ伝達され、この運動
はクランク１３からピン１５と偏心棒１６を介し
てクランプ１９に伝達され、斯くして針棒５は上
下にのみ駆動される。

軸５０が１回転する度毎に、そして斯くして偏
心輪７６が１回転する度毎にアングルレバー９０
の腕９２がレバー機構９４を介して振り動かされ
そしてその際腕はそれの上方の位置から下方に向
かつて動かされる。針６が針穴９中に差し込まれ
る直前に、腕９２は突当て面９３から離れ、その
ことにより布地押さえ３９は布地押さえばね４５
の作用によつて布地の表面に押し付けられる。縫
目形成が終了しそして針６が針穴９から抜け出し
た時、アーム９２は前述したレバー機構９４を介
して再び上方の突当て面９３に向かつて動かされ
そしてその際布地押さえ３９を布地から持ち上げ
る。

針棒５と布地押さえ棒３８との上記した様な相
対的な運動の間ピン４１の自由端４２はもつぱら
垂直方向に板２９のスリツト３０の中で移動して
いる。

ジグザグ縫目を実施するため必要な移動幅が縫
目設定装置５８に設定される。偏心棒５６から伝
達される振動運動はこの場合ピン５７から揺れレ
バー５９及びピン２６を介して針棒担持体２１の
枠２５に伝達される。そのことにより針棒担持体
２１は支承軸２３の回りの横方向に動き、一方針
棒５はそれと同時に公知の態様で上下に駆動され
ている。

針棒担持体２１が横方向に運動することにより
板２９のスリツト３０の中に収容されているピン
４１の端部が板２９に連行される。つまり、板２
９は駆動手段を形成し、ピン４１は連行体を形成
し、この駆動手段と連行体により針棒担持体２１
と布地押え棒３８との間を駆動的に結合する駆動
結合部材を形成する。ピン４１の反対側の端部は
布地押さえ棒３８の縦軸の回りの旋回運動を実現
し、斯くして布地押さえ棒は針棒担持体２１が横
方向に運動する時同期的に追従しそして針６はい
つも布地押さえ３９の針穴４０の中に突き刺され
る。

布地押さえ棒３８の質量を減少させるため、こ
の棒は比較的短く形成されそして穿孔４４を有し
ている。旋回運動の際に発生する摩擦抵抗を減少
させるためボール４６及び４７が布地押さえばね
４５と布地押さえ棒３８との間に設けられてお
り、斯くしてボール４６，４７は布地押さえ棒３
８が垂直及び水平方向の運動をする場合に重なり
合つて転がりながら運動する。

縫目形成が終了した時、シリンダー３５が図示
されていない態様で操作され、ピストンロード３
６が動かされそしてクランプ３４を介して担持体
３１を、従つて又スリーブ３３をも、ブツシユ３
７、布地押さえ棒３８及び布地押さえ３９と一緒
に持ち上げる。それから布地は問題なく取り外さ
れ、そして針棒５が図示されていない位置決め装
置の作用で布地の上部に位置する１つの位置に移
動させられている時、新しい布地が挿入されるこ
とが可能である。

ミシンの縫目設定装置５８は次の様に作動す
る。フオーク６４が第７図に示した位置にあると
き縫目の状態は針棒担持体２１がそれの中央の位
置にあるように設定されている。縫目の状態を変
化させるためにはステツプモーター６０が図示さ
れていない態様で制御され、斯くしてモーター軸
６１が一定の角度だけ右または左に旋回する様に
駆動される。このことにより偏心輪６２はそれの
中央位置から一方に偏りそしてこれを取り囲んで
いるフオーク６４の端部に力を加える。例えば偏
心輪６２の右回転によつてフオーク６４は軸受６
３の回りに左旋回する。フオーク６４の新しい位
置は揺れレバー７５を介してピン５７に伝達さ
れ、このピンのその都度の位置は、揺れレバー７
５と偏心棒５６の位置によつて定められる。従つ
てピン５７は上記した設定位置では第８図におい
て右の方に移動しそして揺れレバー５９を介して
針棒担持体２１を右の方に傾ける。偏心輪６２を
反対の方向に回転すれば針棒担持体２１は左の方
向に傾く。

針の振動幅は調節部材６７によつて調節可能で
ある。第２図には縫目設定装置５８が最大の振動
幅に、第７図及び第８図では振動幅零に設定され
ている。

第７図に示されている調節部材６７の位置では
この部材は揺れレバー７５と同様に偏心棒５６に
直角になつている。偏心棒５６の振動運動は、駆
動軸５４に対するピン５５の偏心量の２倍に等し
い行程で実施されるから、ピン５７は揺れレバー
７５の長さに等しい半径でピン７４の回りに描か
れた円形の運動路の一部分上を導かれる。揺れレ
バー７５の長さは偏心棒５６の行程の何倍もある
から、この際揺れレバー７５の最小の振子運動を
実施し、この運動の水平方向の運動の成分は、揺
れレバー７５と偏心棒５６とが直角に配置されて
いるため、無視出来る程僅かなものである。ピン
５７を針棒担持体２１に連結し、この位置におい
ては揺れレバー７５に対して平行になつている揺
れレバー５９はこのことにより、針棒担持体２１
のピン２６の回りで振子運動を実施するが、この
振子運動により針棒担持体の水平方向の動きは無
視できる程僅かなものである。

針の移動幅を変えるためステツプモーター７３
が図示されていない態様で制御される。モーター
軸７２の回転は小歯車７１によつて歯車セグメン
ト６９に、そして斯くして調節部材６７に伝達さ
れる。調節部材６７はそのことによりピン６８の
回りに旋回して斯くして調節部材６７又は揺れレ
バー７５と偏心棒５６との間に直角とは異なる角
度が形成される。ピン５７は揺れレバー７５によ
り、偏心棒５６から伝達された旋回運動によつて
新たにピン７４の回りの円形の運動路上を動く。
この運動路の新しい位置のためピン５７の水平方
向の運動成分が大きくなり斯くして揺れレバー５
９のピン２６の回りの振子運動に付加的にこのピ
ンに垂直方向に作用し、針棒担持体２１を水平方
向に傾ける力が伝達可能になる。

第９図及び第１０図には布地押さえ棒３８を針
棒担持体２１で駆動するための別の構造の実施例
が示されている。布地押さえ棒３８に向き合つて
いる針棒担持体２１の側面に板９５が固定されて
おり、この板は１つのラツク９６を担持してい
る。このラツク９６は１つの歯車セグメント９７
と噛み合い、この歯車セグメントは布地押さえ棒
３８と固く結合している。ラツク９６は駆動手段
を歯車セグメント９７は連行体を形成する。

針棒担持体２１がジグザグ縫いを実施するため
に傾けられると、この運動はラツク９６から歯車
セグメント９７を介して布地押さえ棒３８に伝達
される。そのことにより布地押さえ棒３８はそれ
の縦軸の回りの旋回運動を実施する。ラツク９６
の歯の幅は歯車セグメント９７の歯の幅の何倍も
大きく、斯くしてラツクの歯及び歯車セグメント
９７の歯は、針棒５及び布地押さえ棒３８が相対
的に上下に動いても噛み合い状態にある。

本発明の実施態様は以下の如くすることができ
る。

(1) 布地押さえ３９が布地押さえ装置の一部３３
に布地押さえ棒３８縦軸線の回りに旋回可能に
支持されていることを特徴とする請求項１に記
載のミシン。

(2) 布地押さえ装置の一部３３に配置された布地
押さえばね４５と布地押さえ棒３８の上端との
間少なくとも１つのボール４６，４７が配置さ
れていることを特徴とする前記第１項に記載の
ミシン。

(3) 駆動手段２９が針棒５の担持体２１に固定さ
れた板により形成され、該板が針棒５の縦軸線
の方向に延びるスリツト状の案内３０を連行体
４１を収容するために有していることを特徴と
する請求項１に記載のミシン。

(4) 連行体４１が布地押さえ棒３８に連結されて
いるピンにより形成され、該ピンの前記駆動手
段２９に係合する端部４２がボール状の形を有
することを特徴とする請求項１に記載のミシ
ン。

(5) 駆動手段が針棒担持体２１に固定された１つ
のラツク９６により形成されることを特徴とす
る請求項１に記載のミシン。

(6) 連行体９７は布地押さえ棒３８に固定される
歯車セグメントにより形成されることを特徴と
する請求項１に記載のミシン。

上記実施態様の第１項に係る、布地押さえ棒が
旋回可能に支承されていることによつて、この布
地押さえ棒は駆動する針棒担持体に対して特に僅
かな慣性モーメントを要求することになり、その
ため布地押さえ棒の質量の大きな部材、例えば布
地押さえはそれの縦軸から僅かな距離に位置する
様に配置されている。

実施態様の第２項に係る処置により、布地押さ
え棒の垂直と水平の運動の際に球体が重なりあつ
て転がり落ち、斯くして布地押さえばねと布地押
さえ棒との間に摩擦抵抗が最小に減少可能になつ
ている。

実施態様の第３項及び第４項は、構造的に非常
に簡単で且つ質量が少ない駆動手段と連行体につ
いて記載されている。板に加工されたスリツト状
の案内部の形成によつて連行体及びそれと同時に
布地押さえ棒も針棒担持体に対して相対的に案内
スリツトが延長している方向に動くことが可能で
ある。従つて案内スリツトの延長している方向
は、布地押さえの上下動を針棒担持体に伝えるこ
となく、布地面に降ろしまたは布地面から持ち上
げることが出来るため、垂直方向になつているの
が有利である。

ピン状に形成された連行体の自由端はボール状
に形成され、ピンはこの自由端で最小の摩擦を受
けながら駆動手段の案内スリツトの中でそれの自
由端の回りに旋回可能になつている。

実施態様の第５項及び第６項には駆動手段と連
行体との別の有利な形態が示されている。この形
態も構造的に簡単で且つ質量が少ないものとして
形成されている。

【図面の簡単な説明】

第１図は１つのミシンの側面図、第２図はミシ
ンの頭部の断面図、第３図はミシンの頭部の−
線による断面図、第４図は頭部の中で支承され
ている針棒担持体の図、第５図は針棒担持体の
−線に沿つた断面図、第６図は頭部の中で支承
されている布地押さえ棒の拡大された部分破断面
図、第７図は頭部の中に収容された縫目設定装置
を第２図の_a−_a線及び第８図の_b−_b線に
沿つた断面で示した平面断面図、第８図は第７図
の−線に沿つた断面図、第９図は別の実施例
の針棒担持体、針棒及び布地押さえ装置の側面図
の一部を示す図、第１０図は第９図に示した配置
の平面図である。 ２１……針棒担持体、２９……板、３０……ス
リツト、３３……スリーブ、３８……布地押さえ
棒、３９……布地押さえ、４１……連行体、４２
……端部、４５……布地押さえばね、４６，４７
……ボール、９６……駆動手段、９７……連行
体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 上下動可能で横方向に移動可能な針棒と、該
   針棒の運動に同期して上下動駆動され針棒の横運
   動の際に中心位置より横の位置で布地の上に降下
   される布地押さえを有する布地押さえ装置とを備
   えるミシンにおいて、布地押さえ３９は布地押さ
   え装置７の残りの部分に対してその上下運動方向
   にも横方向にも相対可動であり、そしてガイド手
   段３７，３８により布地表面に対して並行に案内
   され、針棒５の横運動に対して同期する前記布地
   押さえ３９の横運動は駆動結合部材により前記針
   棒５の横運動から伝達され、前記駆動結合部材は
   前記針棒５と連結される駆動手段２９；９６と該
   駆動手段と係合し前記布地押さえ３９と連結され
   る連行体４１；９７とを有することを特徴とする
   ミシン。