JP2639426B2 - 縫製ミシン用の調整自在な送り方向を有する生地送り機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、特許請求の範囲第１項の上位概念にしたが
う縫製ミシン用の調整自在な送り方向を有する生地送り
機構に関するものである。

調整自在な送り方向を有する生地送り機構は、たとえ
ばイタリヤ国特許第63 01 70号公報に示されている。こ
の生地送り機構は２個の針ステツチの間の直線的な縫製
品移動を各所望方向に無限に可能にするが、縫製品に対
し回転運動を付与するには適していない。しかしなが
ら、この種の回転運動は、たとえば並列配置された２個
の針を用いて操作する、いわゆる安全縫目を縫製品の湾
曲縁部に沿つて設ける際に必要となる。イタリヤ国特許
第63 01 70号においては、生地送りキヤリヤに対し２つ
の運動を互いに直角に大きさおよび方向につき制御自在
に重ね合わせて、得られる運動をそれぞれ所望方向に達
成しうるようにしたものである。したがつて、一定の送
り調節に際し、直線的送り運動が生ずる。さらに、生地
スライダ送りの持続的方向変化に際し、縫製品に対し回
転運動を及ぼさず、段階的にのみ異なる方向へ直線的に
送り運動する。

さらに他の方向制御された生地送り機構がドイツ広告
第1 485 403号に記載されている。この生地送り機構の
場合、互いに独立して送りの大きさを調整しうる２個の
生地スライダを並列配置する。この場合、縁部案内に隣
接した生地スライダは一方の送り運動よりも大きい他方
の送り運動をもたらし、縫製品を縁部案内に押圧する。
生地スライダの異なる送り運動により、縫製品自身が歪
められる。敏感な縫製品は、その表面が損傷される。何
故なら、より大きい送り運動を行なう生地スライダが相
対的に縫製品に対し摩擦を及ぼすからである。

本発明の目的は、縫製品を方向制御しながら弧状に移
動させると共に縫製品を歪めず或いは縫製品の表面を損
傷しないような、特許請求の範囲第１項記載の上意概念
にしたがう生地送り機構を提供するにある。

この目的は、本発明によれば、特許請求の範囲第１項
の特徴部分に記載された構成によつて達成される。

ステツチ形状のリズムで送り平面にしたがう方向制御
された生地スライダの旋回により、縫製品は正確に湾曲
して移動し、しかも損傷したり或いは歪んだりすること
がない。旋回運動は、それ自身で運動する縫製ミシン駆
動部材によつて直接に生ぜしめることができる。生地ス
ライダにおける旋回運動の変化は、制御指令装置により
制御された調整装置によつて行なわれる。

以下、添付図面を参照して本発明をその利点と共に実
施例につきさらに説明する。

生地送り機構は縫製ミシンハウジング１内に配置さ
れ、軸２によつて駆動される。軸２には偏心体３が配置
され、この偏心体は揚程偏心盤４と送り偏心盤５とを備
える。揚程偏心盤４は生地送りキヤリヤ７に支承された
スライドリンク６によつて包囲される。送り偏心盤５は
リンク８によつて包囲される。

生地送りキヤリヤ７には回転案内部10が存在し、この
案内部には生地スライダ12を中空ピン11によつて旋回自
在に支持する。生地スライダ12はステツチ板14を貫通突
出し、ステツチ板はネジ15とネジ16とにより縫製ミシン
ハウジング１に固定される。ステツチ板14はステツチ穴
19を備える。

生地スライダ12の目穴13には中空球体17をネジ18によ
つて固定する。リンク20は１端部にて中空球体17を包囲
すると共に他端部にて中空球体21を包囲し、この球体21
はネジ22によつて移動自在な揺動点29に対しクローレバ
ー23の揺動点位置29aに固定される。このクローレバー2
3は、調整装置25から突出する揺動軸24の上に位置す
る。揺動軸24は２個のブシユ26および27に支承され、こ
れらのブシユはスリツトブシユ28内に配置される。ブシ
ユ28は調整装置25のピン30に載置される。２本の導線31
および32は、この調整装置25を制御指令装置（図示せ
ず）に接続する。

リンク８は結合ボルト33とワツシヤ34とナツト35とに
よつて枠体36に対し連結される。枠体36はスリツト37を
備え、これに結合ボルト33を挿通する。スリツト37にお
ける結合ボルト33の位置変化により、送り運動の大きさ
が変化する。ハウジング固定された軸38は、枠体36を縫
製ミシンハウジング１に連結する。枠体36の自由端部に
は、生地送りキヤリヤ７が中空軸40によつて連結され
る。

生地スライダ12には支持体44を当接させ、この支持体
をハブ45と接続する。このハブ45はネジ46によつて押圧
ロツド47に固定され、この押圧ロツドは縫製ミシンハウ
ジング１内に弾撥的に支承される。縫製針48はその先端
を支持体44およびステツチ板14に指向させる。

時計方向での軸２の回転により、生地スライダ12は揚
程偏心盤４とスライドリング６と生地送りキヤリヤ７と
を介して揚程運動を行ない、この揚程運動は送り偏心盤
５とリンク８と枠体36と生地送りキヤリヤ７とを介して
長手運動を送り方向に重ねる。

生地スライダ12の図示した偏心機構の代りに、生地ス
ライダの駆動をカツプリング機構（図示せず）を介して
行なうこともできる。

生地スライダ12は回転案内部10に中空ピン11を介して
回転自在に支承され、かつリンク20により調整自在な揺
動点29に接続されているので、これは第２図に示した揺
動点位置29aにてステツチ板表面の上方で反時計方向に
旋回運動を行なう。

点線で示した揺動点位置29bにおいて、生地スライダ1
2はステツチ板表面の上方にて時計方向に旋回運動を行
なう。

両揺動点位置29aと29との間の中間位置（図示せず）
において、生地スライダ12は最小の旋回変位のみを行な
い、この変位は揺動点29の中間位置を中心とするリンク
円弧の弓高さにほぼ一致し、すなわちこの旋回運動は殆
んど無作用であり、かつ縫製品は直線的送り運動を受け
る。

揺動点位置29aおよび16の位置変化により、縫製方向
に対し横方向の旋回変位が影響を受ける。縫製品はした
がつて左右方向に弧状に回転することができ、さらに送
り方向へ直線的に移動することもできる。

第１図，第２図および第３図には生地送り機構が示さ
れ、この場合生地スライダの旋回運動は生地スライダの
送り運動から誘導される。これは揺動機構の簡単な構造
を可能にする。短いステツチ長さは、生地スライダの僅
かな旋回運動を与える。

さらに、生地スライダの送り運動とは別途に作用する
駆動機構を設けて、旋回運動を行なうことも可能である
が、これは部品上無駄である。しかしながら、これは生
地スライダの送り運動とは独立して旋回運動を可能にす
る。別途の駆動機構は、送り駆動機構に対応して縫製ミ
シンの主軸によつて駆動することができ、かつ駆動にお
いて送り機構と同じ構造を有する。短いステツチ長さの
場合、この駆動機構は縫製品の回転をその場で可能に
し、旋回運動を連結クランクを介して誘導することがで
きる。

第４図，第５図および第６図において、方向制御しう
る生地送り機構を他の生地送り機構に付設すると共に、
いわゆる差動移送機構を形成し、この差動移送機構は通
常の差動移送機構とは異なり付加的な旋回運動を縫製品
に与える。第１図，第２図および第３図に匹敵しうる部
材はそれぞれ参照符号に100を加えて示す。他方の生地
送り機構は、ネジ42に生地送りキヤリヤ43に固定されて
いる生地スライダ41によつて示されている。この生地ス
ライダ41の送り駆動および揚程駆動（図示せず）は公知
方法で行なわれる。さらに、他の旋回駆動をこの駆動に
重ねることもできる。

さらに、他の図示しない実施形態も、両生地スライダ
を回転案内部に共通に駆動機構を介して旋回自在に支承
するが独立して互いに主軸によつてその送り方向へ駆動
しうるよう連結することにより得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は正面から見た生地送り機構のＣ−Ｄ線断面図、 第２図は上部から見た生地送り機構の略図、 第３図は側面から見た生地送り機構のＡ−Ｂ線断面図、 第４図は正面から見た他の生地送り機構のＥ−Ｆ線断面
図、 第５図は上部から見た他の生地送り機構の略図、 第６図は側面から見た他の生地送り機構のＧ−Ｈ線断面
図である。 12……生地スライダ、25……調整装置、44……支持体。

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】縫製ミシン用の調整自在な送り方向を有す
   る生地送り機構であって、 送り運動と揚程運動を行うための少なくとも一つの生地
   スライダ（12）、 ステッチ板（14）、及び 生地支持体（44） を有し、 生地スライダは、ホルダーに回転自在に取り付けられて
   ステッチ形成と同期して旋回でき、 生地スライダは、生地支持体に抗して移動でき、 生地スライダは、送り運動と揚程運動に加えて揺動運動
   を行い、よってその合成運動を行い、 生地スライダの揺動運動は、制御指令装置により制御さ
   れ、 制御指令装置は、縫製品の縁部を検知するセンサー装置
   を含む 上記生地送り機構。
2. 【請求項２】生地スライダが、ステッチ板面の上方及び
   下方にて両方向に揺動可能である特許請求の範囲第１項
   に記載の生地送り機構。
3. 【請求項３】生地スライダの揺動運動の大きさが、該生
   地スライダと駆動連結している調整装置（25）により調
   整可能である特許請求の範囲第１項に記載の生地送り機
   構。
4. 【請求項４】上記ホルダーが、回転案内部（10）を有す
   る生地送りキャリヤ（７）であり、少なくとも一つの生
   地スライダが該回転案内部に旋回自在に取り付けられて
   いる特許請求の範囲第１項に記載の生地送り機構。
5. 【請求項５】生地スライダが、リンク（20）により揺動
   点（29）に連結されている特許請求の範囲第１項に記載
   の生地送り機構。
6. 【請求項６】リンク（20）の一端部の揺動点（29）が、
   調整装置（25）により第１揺動点位置（29a）から中間
   位置を介して第２揺動点位置（29b）に移動可能である
   特許請求の範囲第５項に記載の生地送り機構。
7. 【請求項７】制御指令装置が、所定の縫い目パターン用
   にプログラミングされたメモリを含む特許請求の範囲第
   １項に記載の生地送り機構。
8. 【請求項８】送り方向において第１生地スライダと関連
   した第２生地スライダ（41）を含み、 第２生地スライダを回転自在に装着し、且つ縫製面にお
   いてステッチ形成に同期して第２生地スライダを揺動す
   るための手段を含む 特許請求の範囲第１項に記載の生地送り機構。