JPH0335778Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、建物屋上のベランダの周囲壁、ある
いは塀を構成する立壁等の所謂堰壁上に立設する
手摺りの取付装置に関する。

従来汎用の手摺りは、屋上やベランダの周囲壁
を構成する堰壁よりも内側位置にコンクリートの
根巻き等を施して立設されていることから、手摺
りの外側にデツドスペースを生じてそれだけ屋上
やベランダの利用スペースが狭くなる欠点があ
り、また手摺りの立設表面には下地モルタル層、
防水処理層、仕上げモルタル層等の表面被覆層が
形成されているため、上記根巻きしたコンクリー
トの結着力が建屋躯体には直接に及んでおらず、
立設強度が不充分であつた。

本考案は、上記従来の欠点を解消するためにな
されたもので、手摺りを堰壁上に立設することに
より屋上やベランダにおける従来のデツドスペー
スを解消すると共に、充分な立設強度を保持さ
せ、且つ取付施工の容易化を図り得る手摺りの取
付装置を提供することを目的としている。

以下、本考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

第１図において、１は屋上やベランダ等の堰壁
であり、その頂部に冠着された堰壁笠木２上に四
角筒形支柱３，３…が所定間隔で立設され、これ
ら支柱３，３…の各上端が水平にわたされた手摺
り笠木４にＴ字型に結合され、更に支柱３，３間
に下部位置で橋架する横桟５，５…、ならびに手
摺り笠木４と横桟５とに上下両端を支持固定した
竪桟６，６…が配されている。７は各支柱３の根
元に嵌着した方形皿状の化粧キヤツプである。

第２図は堰壁１が軽量発泡コンクリート
（ALC）製である場合に上記手摺りの立設固定に
使用される取付用金具８ａを示す。この取付用金
具８ａは、鉄やステンレス鋼等からなり、頂壁を
構成する笠木受け部９ａと屋内外側壁部９ｂ，９
ｃとからなる略下向きコ字状の本体部９が一枚板
より折曲形成され、笠木受け部９ａの上面側中央
部に四角筒状の支柱嵌挿杆１０が溶接により垂直
に植設され、また笠木受け部９ａの下面側に屋内
外側壁部９ｂ，９ｃ間にわたつて平行２条のリブ
を溶接固定して堰壁当壁部１１，１１が形成され
ている。しかして両側壁部９ｂ，９ｃにはそれぞ
れの中央部に下端側から切り起こし形成されて斜
め外側へ張出した係合片１２を備えると共に、両
側下部にそれぞれ上下方向のボルト挿通用長孔１
３，１３が穿設され、また支柱嵌挿杆１０の屋内
外両側面にも水平方向対向位置に上下に長い長孔
１４，１４が穿設されている。尚、笠木受け部９
ａは屋内側が低くなるように緩傾斜している。ま
た、支柱嵌挿杆１０は支柱３の全長の約1/2以上、
通常は2/3程度の長さに設定してある。

一方、堰壁笠木２は、第３図で示す如くアルミ
ニウムまたはその合金の押出型材等で形成した断
面略下向きコ字状の長尺板材からなり、外側垂壁
部２ｃを内側垂壁部２ｂより高くして天板部２ａ
を屋内側が低くなるように緩傾斜させることによ
り水切り性を付与している。しかしてこの天板部
２ａの傾斜度合は取付用金具８ａの笠木受け部９
ａのそれと合致している。この天板部２ａには支
柱３に対応する位置に支柱３の断面より一回り大
きい方形穴１５が開設され、また両垂壁部２ｂ，
２ｃの下端部内側に下向きに曲折する略Ｌ字状リ
ブ２ｄ，２ｄが突設され、各リブ２ｄ，２ｄと垂
壁部２ｂ，２ｃの各下端との間で下向きに開放し
た溝１６が構成されている。

手摺りを取付けるには、第３図の如く、堰壁１
の頂部に取付用金具８ａを、その屋外側壁部９ｃ
が堰壁１の屋外側面に当接して且つ堰壁当接部１
１，１１の下端面が堰壁１の頂面に当接するよう
に跨嵌すると共に、屋内側壁部９ｂと堰壁１の屋
内側面との間にその間隙の度合に対応したスペー
サ１７を介挿し、両側壁部９ｂ，９ｃ間にアンカ
ーボルト１８ａを堰壁１を貫通して挿通させ、両
側よりナツト１８ｂ，１８ｂを締め付け固定す
る。この時、長孔１３の範囲でアンカーボルト１
８ａの取付位置の誤差が許容される。次いで支柱
３の内部に取付用金具８ａの支柱嵌挿杆１０を下
方側から嵌入させ、笠木受け部９ａ上面に支柱３
の下端を当接させる一方、堰壁笠木２を取付用金
具８ａ上に載せ、該取付用金具８ａの係合片１２
の先端を堰壁笠木２のリブ２ｄ，２ｄの基部に材
料弾性を利用して圧嵌し、天板部２ａを笠木受け
部９ａ上に重合させる。しかして、第４図で示す
ように、支柱３とこれに嵌入した支柱嵌挿杆１０
とを、長孔１４，１４および支柱３に穿設した円
孔３ａ，３ａを通して結合用ボルト１９ａを屋外
側から屋内側へ挿通し、ナツト１９ｂを螺着して
締め付け固定する。この時、長孔１４の範囲で支
柱３と支柱嵌挿杆１０の上下方向相対誤差が吸収
される。

尚、上述とは逆に取付用金具８ａを支柱３に先
に連結しておいてもよく、また堰壁笠木２の堰壁
１頂部への冠着は支柱３の立設前後いずれであつ
てもよい。

次に支柱３の下端外周面と堰壁笠木２の方形穴
１５内周囲と取付用金具８ａの天板部９ａとの間
で構成される環状溝２０にコーキング材２１を充
填し、この上に化粧キヤツプ７を嵌着して支柱３
の根元を水密封止する。一方、堰壁笠木２の両垂
壁部２ｂ，２ｃの下端には断面略Ｌ字状の水密材
保持具２２を溝１６にビス２３をねじ込んで固定
し、該保持具２２先端の断面略コ字状枠部２２ａ
に嵌着したゴム等からなる水密材２４によつて両
垂壁部２ｂ，２ｃと堰壁１両側面との間を水密封
止する。１ａは堰壁１の頂面から屋内側面にわた
つて貼着した防水シート、２５は堰壁１の屋内側
に設けた仕上げモルタル層である。また手摺り笠
木４と支柱３との連結は、支柱３の上端部と手摺
り笠木４の底板４ａとを第５図で示す支柱３のビ
スポケツト３ａ，３ｂ…にビス２６，２６…を螺
入して固着し、更に底板４ａに断面略逆Ｕ字状の
上板４ｂを係嵌して行われる。

第６図は堰壁１が鉄筋コンクリート（RC）製
である場合に手摺りの立設固定に使用される取付
用金具８ｂを示す。この取付用金具８ｂは鉄やス
テンレス鋼等からなる一枚板を曲折形成して中央
部に上方凸状の笠木受け部２７ａを設けると共に
その両側に堰壁当接部２７ｂを設けた略伏皿状の
本体２７と、笠木受け部２７ａの上面中央に下端
を溶接して垂直に立設した前述同様の支柱嵌挿杆
１０とからなり、笠木受け部２７ａは屋内側が低
くなるように緩傾斜し、また各堰壁当接部２７ｂ
には屋内外方向の長孔２８，２８が穿設されてい
る。

上記取付用金具８ｂを用いて手摺りを取付ける
には、第７図で示すように、堰壁１にホールイン
アンカーやドライピツトの如き基礎植込杆２９を
取付用金具８ｂの長孔２８，２８…を通して打込
んで取付用金具８ｂを堰壁１頂部に固着し、以降
は前述した第４図示のALC製堰壁における場合
と同様に支柱３と支柱嵌挿杆１０との嵌合固着、
堰壁笠木２の冠着、コーキング材２１の充填、化
粧キヤツプ７の嵌着、水密材保持具２２のビス止
めを行えばよい。

尚、上述においては堰壁１がALC製およびRC
製である場合について各１種の取付用金具８ａ，
８ｂを例示したが、取付用金具の構造および堰壁
１に対する固着手段は例示以外に種々変更可能で
あり、また堰壁１が鉄骨製、木製、ブロツク製等
の他の材質である場合にも本考案を適用可能であ
り、更に支柱嵌挿杆１０および支柱３は四角筒状
以外に円筒形等の他の形状としてもよい。

一方、上述実施例では支柱３と支柱嵌挿杆１０
とを結合用ボルト１９ａとナツト１９ｂとを用い
て固着しているが、手摺りの横桟５と支柱３との
連結部を利用して支柱嵌挿杆１０を支柱３に固定
することも可能である。第８図および第９図はそ
の例を示し、アルミニウムまたはその合金の押出
型材等より形成された断面略下向きコ字状の横桟
５の内面両側上下にリブ５ａ，５ｂを形成し、こ
の上部リブ５ａ，５ａに切り起こし部５ｃを設け
てＬ字状取付片３０を上下リブ５ａ，５ｂ間に係
嵌し、且つビス３１，３１にて抜け止めを施した
上で、支柱嵌挿杆１０と支柱３と取付片３０を貫
通して連結用ボルト３２ａを取付け、ナツト３２
ｂを螺合締着して上記３者を引き付け固定してい
る。このような連結構造では、支柱嵌挿杆１０の
固着に用いたボルトの頭部やナツトが外部に露呈
しないため、手摺りの外観がすつきりして見映え
が良好となる。

以上のように本考案に係る手摺りの取付装置は
手摺りを堰壁上に直接に立設するものであるか
ら、従来の如く手摺りの外周部にデツドスペース
を生じることがなく、屋上やベランダの利用スペ
ースを最大限に広くとることが可能となり、また
堰壁笠木の取付けと手摺りの立設とを同時に行う
ので作業手数が従来に比較して大きく低減され
る。しかも手摺りの立設に使用する取付用金具は
堰壁当接部と笠木受け部とを備えて該笠木受け部
上に支柱嵌挿杆を植設したものであり、堰壁頂部
に固着した取付用金具の支柱嵌挿杆を筒形支柱内
に嵌合固着する構造であるから、支柱の立設状態
が極めて強固に保持され、手摺りを屋内外方向に
倒そうとする外力に対する強度が大きく、安全性
に優れる。更に取付用金具は構造簡単な一体物で
あるため、手摺りの取付に要する工数が少なくて
済み、取付作業が簡略化される利点もある。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
手摺りの取付状態を示す外観斜視図、第２図は第
１実施例に使用する取付用金具の斜視図、第３図
は同実施例の手摺りの取付操作を示す縦断面図、
第４図は同手摺りの取付後の縦断面図、第５図は
第４図の−線の断面図、第６図は第２実施例
に使用する取付用金具の斜視図、第７図は同実施
例の手摺りの取付後の要部縦断面図、第８図は支
柱と横桟と支柱嵌挿杆との連結例を示す要部破断
正面図、第９図は第８図の−線の断面斜視図
である。 １…堰壁、２…堰壁笠木、３…支柱、４…手摺
り笠木、８ａ，８ｂ…取付用金具、９ａ…笠木受
け部、１０…支柱嵌挿杆、１１…堰壁当接部、２
７ａ…笠木受け部、２７ｂ…堰壁当接部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 手摺り笠木と筒形支柱とをＴ字型に連結した手
   摺りを堰壁上に立設する取付け装置において、コ
   の字型断面で上頂辺と側辺とを有し側辺には堰壁
   当接部を上頂辺には笠木受け部を備えた取付用金
   具の該笠木受け部上に支柱全長の1/2以上の長さ
   を有する支柱嵌挿杆を植設し、この取付用金具の
   両側辺を堰壁頂部に固着すると共に、その支柱嵌
   挿杆を上記支柱内に嵌合固着して手摺りを立設す
   る一方、支柱を通す穴を有する堰壁笠木を取付用
   金具の笠木受け部上に重合して堰壁頂部に冠着し
   たことを特徴とする手摺りの取付装置。