JPH0335784Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、建物の屋上やベランダの周囲壁、あ
るいは塀を構成する立壁等の所謂堰壁上に立設す
る手摺りの取付装置に関する。

従来汎用の手摺りは、屋上やベランダの周囲壁
を構成する堰壁よりも内側位置にコンクリートの
根巻き等を施して立設されていることから、手摺
りの外側にデツドスペースを生じてそれだけ屋上
やベランダの利用スペースが狭くなる欠点があ
り、また手摺りの立設表面には下地モルタル層、
防水処理層、仕上げモルタル層等の表面被覆層が
形成されているため、上記根巻きしたコンクリー
トの結着力が建屋躯体には直接に及んでおらず、
立設強度が不充分であつた。

本考案は、上記従来の欠点を解消するためにな
されたもので、手摺りを堰壁上に立設することに
より屋上やベランダにおける従来のデツドスペー
スを解消すると共に、充分な立設強度を保持さ
せ、且つ取付施工の容易化を図り得る手摺りの取
付装置を提供することを目的としている。

以下、本考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

第１図において、１は屋上やベランダ等の堰壁
であり、その頂部に冠着された堰壁笠木２上に四
角筒形支柱３，３…が所定間隔で立設され、これ
ら支柱３，３…の各上端が水平にわたされた手摺
り笠木４にＴ字型に結合され、更に支柱３，３間
に下部位置で橋架する横桟５，５…、ならびに手
摺り笠木４と横桟５とに上下両端を支持固定した
竪桟６，６…が配されている。７は各支柱３の根
元に嵌着した方形皿状の化粧キヤツプである。

第２図は上記手摺りの取付けに使用される接続
用金具８を示す。この接続用金具８は、各部が鉄
やステンレス鋼等からなり、略方形の平板８ａの
中央部に四角筒形の支柱嵌挿杆９が溶接により垂
直に植設され、且つ該支柱嵌挿杆９の下部全周に
わたつてフランジ状の笠木受け板１０が溶接にて
固着されている。しかして笠木受け板１０は、屋
内側が低くなるように緩傾斜している。また支柱
嵌挿杆９は、屋内外両側面の水平方向対向位置に
上下に長い固定用ボルト挿通孔１１，１１が穿設
されており、笠木受け板１１より上位の長さが支
柱３の全長1/2以上、通常は2/3程度に設定されて
いる。

第３図は堰壁１が軽量発泡コンクリート
（ALC）製である場合に好適に使用されるアンカ
ー金具１２を示す。このアンカー金具１２は、鉄
やステンレス鋼等からなる一枚板を天板部１２ａ
と屋内外両側壁部１２ｂ，１２ｂとで構成される
略下向きコ字状に曲折形成したもので、各側壁部
１２ｂにはそれぞれの中央部に下端側から切り起
こし形成されて斜め外側へ張出した係合片１３を
備えると共に、両側下部にそれぞれ上下に長いア
ンカーボルト挿通孔１４，１４が穿設されてい
る。

一方、堰壁笠木２は、第４図で示す如くアルミ
ニウムまたはその合金の押出型材等で形成した断
面略下向きコ字状の長尺板材からなり、外側垂壁
部２ｃを内側垂壁部２ｂより高くして天板部２ａ
を屋内側が低くなるように緩傾斜させることによ
り水切り性を付与している。しかしてこの天板部
２ａの傾斜度合は接続用金具８の笠木受け板１０
のそれと合致している。この天板部２ａには支柱
３に対応する位置に支柱３の断面より一回り大き
い方形穴１５が開設され、また両垂壁部２ｂ，２
ｃの下端部内側に下向きに曲折する略Ｌ字状リブ
２ｄ，２ｄが突設され、各リブ２ｄ，２ｄと両垂
壁部２ｂ，２ｃの各下端との間で下向きに開放し
た溝１６が構成されている。

手摺りを取付けるには、第４図の如く、堰壁１
の頂部にアンカー金具１２を跨嵌し、且つ屋内側
の側壁部１２ｂと堰壁１の屋内側面との間にその
間隙の度合に応じてスペーサ１７を介挿し、両側
壁部１２ｂ，１２ｂ間にアンカーボルト１８ａを
堰壁１を貫通して挿通させ、両側よりナツト１８
ｂ，１８ｂを締め付け固定する。この時、アンカ
ーボルト１８ａの取付位置の高低誤差はアンカー
ボルト挿通孔１４の長さの範囲で吸収される。次
いでアンカー金具１２上に接続用金具８を位置決
め載置し、平板８ａの端部において溶接１９にて
両金具を固着する。次に手摺りの支柱３をその下
部に下方側から支柱嵌挿杆９を嵌入させて立設す
る一方、堰壁笠木２のリブ２ｄ，２ｄの基部にア
ンカー金具１２の係合片１３，１３の先端を材料
弾性を利用して圧嵌し、天板部２ａを接続用金具
８の笠木受け板１０上に重合することにより堰壁
１に冠着する。しかして第５図で示すように、支
柱３とこれに嵌入した支柱嵌挿杆９とを、固定用
ボルト挿通孔１１，１１ならびに支柱３，３に穿
設した円孔３ａ，３ａを通して屋外側から屋内側
へ固定用ボルト２０ａを貫通し、袋ナツト２０ｂ
を螺着して締め付け固定する。この時、支柱３と
支柱嵌挿杆９との上下方向相対誤差は固定用ボル
ト挿通孔１１の長さの範囲で吸収される。

尚、上述とは逆に支柱３と支柱嵌挿杆９すなわ
ち接続用金具８とを先に連結しておいて、後に接
続用金具８とアンカー金具１２とを溶接固定する
施工順序が採用可能であり、また堰壁笠木２の冠
着は支柱３の立設前後いずれであつてもよい。

次に支柱３の外周囲と堰壁笠木２の方形穴１５
内周囲と接続用金具８の笠木受け板１０との間で
構成される環状溝２１にコーキング材２２を充填
し、この上に化粧キヤツプ７を装着して支柱３の
根元を水密封止する。一方、堰壁笠木２の両垂壁
部２ｂ，２ｃの各下端には断面略Ｌ字状の水密材
保持具２３を溝１６にビス２４をねじ込んで固定
し、該保持具２３先端の断面略コ字状枠部２３ａ
に嵌着したゴム等からなる水密材２５によつて両
垂壁部２ｂ，２ｃと堰壁１両側面との間を水密封
止する。１ａは堰壁１の頂面から屋内側面にわた
つて貼着した防水シート、２６は堰壁１の屋内側
に設けられた仕上げモルタル層である。また手摺
り笠木４と支柱３との連結は、支柱３の上端部と
手摺り笠木４の底板４ａとを第６図で示す支柱３
のビスポケツト３ｂ，３ｂにビス２７，２７…を
螺入して固着し、更に底板４ａに断面略Ｕ字状の
上板４ｂを係嵌して行われる。

以上は堰壁１がALC製である場合について説
明したが、堰壁１が鉄筋コンクリート（RC）製
である場合、例えば第７図で示すように、前記ア
ンカー金具１２の代わりに鉄やステンレス鋼等か
らなる平板状のアンカー金具２８を使用し、他の
各部品は前記第５図示のものと同様にして、堰壁
１にホールインアンカーやドライピツト等の基礎
植込杆２９をアンカー金具２８を貫通して打込む
ことにより、アンカー金具２８を堰壁１頂部に固
着し、以降は前述したALC製堰壁における場合
と同様に支柱３と支柱嵌挿杆９との嵌合固着、接
続用金具８とアンカー金具２８との溶接、堰壁笠
木２の冠着、コーキング材２２の充填、化粧キヤ
ツプ７の嵌着、水密材保持具２３のビス止めを行
えばよい。

尚、以上においてALC用およびRC用の各１種
のアンカー金具１２，２８と１種の接続用金具８
を例示したが、これらの構造ならびにアンカー金
具の堰壁１に対する固着方式は例示以外に種々変
更可能であり、また堰壁１が鉄骨製、木製、ブロ
ツク製等の他の材質である場合にも本考案を適用
でき、更に支柱３および支柱嵌挿杆９は四角筒形
以外に円筒形等の他の形状としてもよい。

一方、上述実施例では支柱３と支柱嵌挿杆９と
を固定用ボルト２０ａとナツト２０ｂとを用いて
固着しているが、手摺りの横桟５と支柱３との連
結部を利用して支柱嵌挿杆９の固定を行うことも
可能である。第８図および第９図はその例を示
し、アルミニウムまたはその合金の押出型材等よ
り形成された断面略下向きコ字状の横桟５の内面
両側上下にリブ５ａ，５ｂを形成し、この上部リ
ブ５ａ，５ａに切り起こし部３０を設けてＬ字状
取付片３１を上下部リブ５ａ，５ｂ間に係嵌し、
且つビス３２，３２にて抜け止めを施した上で、
支柱嵌挿杆９と支柱３と取付片３１を貫通して連
結用ボルト３３ａを取付け、ナツト３３ｂを螺合
締着して上記３者を引き付け固定している。この
ような連結構造では、支柱嵌挿杆９の固着に要す
るボルトやナツト等が外部に露呈しないため、手
摺りの外観がすつきりして見映えが良好となる。

以上のように本考案に係る手摺りの取付装置に
よれば、手摺りが堰壁上に直接に立設されるか
ら、従来の如く手摺りの外周部にデツドスペース
を生じることがなく、屋上やベランダの利用スペ
ースを最大限に広くとることが可能となり、また
堰壁笠木の取付けと手摺りの立設とを同時に行う
ので作業手数が従来に比較して大きく低減され
る。しかも堰壁頂部に固着されるアンカー金具と
堰壁笠木との間に介在させる接続用金具に支柱嵌
挿杆を垂直に植設し、手摺りの筒形支柱内に該支
柱嵌挿杆を嵌合し両者を横方向のボルトによつて
固着する構造であるから、部材コスト、組立コス
トが安価であるにも拘わらず、支柱が強固に保持
されて立設状態が安定し、手摺りを屋内外方向に
倒そうとする外力に対する強度が大きく、安全性
に優れる。また接続用金具とアンカー金具とは溶
接によつて固着するから、両金具の結合強度が大
きく、手摺りの立設強度がより向上すると共に、
接続用金具の水平方向位置調整を全方位にわたつ
て行える。更に支柱嵌挿杆の下部に笠木受け板を
固着しているから、堰壁に冠着させる堰壁笠木が
一定位置に安定して保持されると共に、該笠木受
け板が支柱根元の水密封止に使用されるコーキン
グ材等の受け部としても機能し、防水処理が容易
となる。しかして接続用金具およびアンカー金具
は構造簡単で安価に製作できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
手摺りの取付状態の外観斜視図、第２図は接続用
金具の斜視図、第３図は第１実施例に使用するア
ンカー金具の斜視図、第４図は同実施例の手摺り
の取付操作を示す縦断面図、第５図は同手摺りの
取付後の縦断面図、第６図は第５図の−線の
断面図、第７図は第２実施例の手摺りの取付状態
の要部縦断面図、第８図は支柱と横桟と支柱嵌挿
杆との連結例を示す要部破断正面図、第９図は第
８図の−線の断面矢視図である。 １…堰壁、２…堰壁笠木、３…支柱、４…手摺
り笠木、８…接続用金具、９…支柱嵌挿杆、１０
…笠木受け板、１２…アンカー金具、１８…溶
接、２８…アンカー金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 手摺り笠木と筒形支柱とをＴ字型に連結した手
   摺りを堰壁上に立設する取付装置において、堰壁
   頂部に固着されるアンカー金具と堰壁笠木との間
   に介在させる接続用金具に、固定用ボルト挿通穴
   を側面に有する支柱嵌挿杆を垂直に植設すると共
   に、該支柱嵌挿杆の途中に支柱嵌挿杆を通す穴を
   有する笠木受け板を固着し、堰壁頂部に固着した
   アンカー金具に接続用金具を溶接固着する一方、
   上記支柱嵌挿杆を側面に孔を穿つた支柱間に嵌合
   しボルト支柱の孔と支柱嵌挿杆の固定用ボルト嵌
   挿穴に通すことにより固着して手摺りを立設する
   共に、支柱を通す穴を有する堰壁笠木を接続用金
   具の笠木受け板上に重合して堰壁頂部に冠着し堰
   壁笠木の穴と支柱及び笠木受け板で囲まれる空隙
   をコーキング材で充填したことを特徴とする手摺
   りの取付装置。