JPS6244018Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、ベランダやビルおよび多層階住宅
の屋上等の周囲壁、あるいは塀を構成する立壁等
の謂る堰壁が軽量発泡コンクリートからなるもの
において、該堰壁上に手摺りを立設するのに好適
な手摺りの立設装置に関する。

（従来技術） 一般にベランダ、ビルおよび多層階住宅の屋上
では、その周縁部に水返し用の堰壁を形成してそ
の頂部に防水用の笠木を冠着すると共に、この堰
壁より一定の距離を置いた内側に手摺りを立設す
るのが普通である。しかしながらこのような構成
では手摺りと堰壁との間にかなりのデツトスペー
スが生じてベランダや屋上の利用空間が狭くなる
という欠点がある。また上記従来構成では手摺り
をその支柱根本にコンクリート等の根巻きを施し
て立設しているが、躯体床面には防水層やモルタ
ル層が存在するので上記根巻き部分は躯体材料に
直接固着されておらず、このため不安定となつて
いる。

そこで、この考案者は既に堰壁上に直接手摺り
を立設してデツドスペースの解消と立設の安定性
向上を図る立設装置を種々提案している。ところ
が、堰壁が強化コンクリート（RC）や鉄骨構造
からなるものでは問題はないが、軽量発泡コンク
リート（ALC）からなるものでは材質的に脆弱
であることから手摺りを屋外側へ倒す方向の押圧
力に対して支持強度が弱いという欠点があつた。

（考案の目的） この考案はALCにて形成された堰壁上に立設
する手摺りの支持強度、特に屋外側方向への押圧
力に対する支持強度を著しく増大させる手摺りの
立設装置を提供することを目的とするものであ
る。

（考案の構成） この考案は、ALCからなる堰壁の屋内側面か
ら床面に沿つて連続する補強材を取付けると共
に、手摺りの支柱根本に堰壁用笠木と該笠木の裏
面に接当する取付金枠とを一体的に連結し、該取
付金枠を堰壁頂部に跨嵌して固定することにより
手摺りを堰壁上に立設することを特徴とする手摺
りの立設装置に係る。

（実施例） 以下、この考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

１はALCからなる堰壁で、頂面１ａより屋内
側面１ｂにかけて多層状の防水シート２が被着さ
れている。３は堰壁１の屋内側面１ｂに所要間隔
毎に当接された鋼板で、これを貫通して堰壁１に
水平に打ち込まれた上部２本、下部１本のスリム
アンカーボルト４…にて固定されている。５は鋼
板３の取付位置において２本一組として堰壁１の
屋内側面から躯体床面６に沿うように配されたＬ
字状の補強用鉄筋で、直立部５ａで鋼板３に溶接
固定され、また水平部５ｂの両側位置には上部に
連結用鉄筋７，７が溶接されている。この連結用
鉄筋７，７は堰壁１の延出方向に平行に配設さ
れ、使用された多数の補強用鉄筋５…の各々の同
位置に溶接され、これら多数の補強用鉄筋５…を
一体的に連結している。８はモルタル層で、これ
ら鉄筋５，７の配設部を覆つている。

９は鋼板５の各取付部分において堰壁１の頂部
に跨嵌するよううに配された取付金枠で、第５図
で示す如く、屋内側に低くなるように緩傾斜した
天板部１０ａと両側板部１０ｂ，１０ｃとからな
る略下向きコ字状の鋼板等で形成された基枠材１
０と、基枠材１０の天板部１０ａ上に下端を溶接
して垂直に植設されたステンレス製等の補強杆１
１と、基枠材１０の裏面両側板部１０ｂ，１０ｃ
に溶接固着された屋内外方向の力骨１２，１２と
から構成されている。この取付金枠９の基枠材１
０の天板部１０ａには補強杆１１の植設周囲にビ
ス孔１３…が穿設され、また同側板部１０ｂ，１
０ｃの各両側部にはボルト挿通用の上下方向の長
孔１４，１４が開設されている。しかして取付金
枠９は、堰壁１および鋼板５を水平に貫通する通
しボルト１５ａを両側板部１０ｂ、１０ｃの長孔
１４，１４に連通してナツト１５ｂで締め付ける
ことにより、堰壁１に固定れている。１６は取付
金枠９の屋内側側板部１０ｂと鋼板５との間に介
挿したスペーサ材である。

１７はアルミニウムまたはその合金の押出型材
からなる堰壁用笠木で、屋内側へ低く緩傾斜した
天板部１７ａと両側板部１７ｂ，１７ｃとから断
面略下向きコ字状に形成され、天板部１７ａの裏
面側で取付金枠９の天板部１０ａに接合してい
る。この笠木１７の両側板部１７ｂ，１７ｃの下
端にはそれぞれ断面略下向きコ字状の係合溝部１
８が構成され、この係合溝部１８にゴム等からな
る水密材１９を保持する水密材保持具２０が嵌着
されている。

２１は手摺りで、共にアルミニウムまたはその
合金の押出型材からなる断面略下向きコ字状の周
枠材２２ａおよび底板２２ｂにて箱筒状に構成し
た手摺り笠木２２と、同様押出型材からなり手摺
り笠木２２にＴ字形に連結した四角筒状の支柱２
３，２３…と、支柱２３，２３間に横架された同
様押出型材製の下桟２４，２４…と、該下桟２４
と手摺り笠木２２とに上下端を連結して縦型に平
行配列した同様押出型材製の筒状立子２５，２５
…とから格子型に形成されている。この支柱２３
は、第３図で示す如く根本に堰壁用笠木１７を貫
通した取付金枠９の補強杆１１を嵌入させ、且つ
ビスホール２３ａ…にビス２６…を螺入させるこ
とにより、取付金枠９と堰壁用笠木１７とに一体
連結している。尚、手摺り笠木２２と支柱２３と
の連結も各ビスホール２３ａにビス２６を螺入し
てなされている。２７はコーキング材である。

上記構成において、手摺り２１を堰壁１の頂部
に立設するには、第６図で示すように堰壁１に鋼
板３と鉄筋５，７を取付けておくと共に、手摺り
２１と笠木１７と取付金枠９とを連結して一体物
とし、この一体物を堰壁１の頂部に取付金枠９が
跨嵌するように載置し、通しボルト１５ａとナツ
ト１５ｂにて取付金枠９を堰壁１に固着して手摺
り２１を立設固定し、モルタル層８の施工および
水密材保持具２０の取付けを行う。このような立
設状態において手摺り２１を屋外側へ倒す方向の
押圧力が加わつた場合、この押圧力の大部分は堰
壁１に直接作用せずに鋼板３を介して鉄筋５，７
に作用する。従つて上記押圧力に対する支持強度
は殆ど鉄筋５の直立部５ａにて担われ、堰壁１の
負担は極めて僅かとなる。

尚、上記実施例では堰壁１の屋内側面１ｂから
躯体床面６に沿わせる補強材として鋼板３と鉄筋
５とを用いているが、鉄筋５の直立部５ａを直接
に堰壁１に固定する適当な固定部材の使用や、鉄
筋５に代わるＬ字状鋼板の使用等、他の補強材を
用いてもよい。また手摺り２１と堰壁１との固着
構造、手摺り２１および笠木１７の形状や構造等
は、実施例以外に種々変更可能である。

（考案の特有の効果） この考案に係る手摺りの立設装置では、手摺り
を屋外側へ倒す方向の押圧力が加わつた場合、こ
の押圧力の大部分が補強材にかかり、堰壁の負担
は僅かとなる。従つて脆弱な軽量発泡コンクリー
トからなる堰壁に直接手摺りを立設しているにも
かかわらず、支持強度が充分であり、安全面での
信頼性に富むものとなる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案に係る手摺りの立設装置の一実
施例を示すもので、第１図は全体の斜視図、第２
図は同縦断面図、第３図は第２図の−線にお
ける断面図、第４図は同部分破断背面図、第５図
は取付金枠の斜視図、第６図は立設手順を示す縦
断面図である。 １……堰壁、１ｂ……屋内側面、３……鋼板
（補強材）、５……補強用鉄筋（補強材）、６……
躯体床面、９……取付金枠、１７……堰壁用笠
木、２１……手摺り、２３……支柱。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軽量発泡コンクリートからなる堰壁の屋内側面
   から床面に沿つて連続する補強材を取付けると共
   に、手摺りのの支柱根本に堰壁用笠木と該笠木の
   裏面に接当する取付金枠とを一体的に連結し、該
   取付金枠を堰壁頂部に跨嵌して固定することによ
   り手摺りを堰壁上に立設することを特徴とする手
   摺りの立設装置。