JPH0320506Y2

JPH0320506Y2 -

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Publication number: JPH0320506Y2
Application number: JP1984078446U
Authority: JP
Priority date: 1984-05-28
Filing date: 1984-05-28
Publication date: 1991-05-02
Also published as: JPS6117150U; US4589394A

Description

【考案の詳細な説明】（技術分野）本考案は分配型燃料噴射ポンプに関し、特にポ
ンプ室の内圧を制御して進角特性を変化させるよ
うにした分配型燃料噴射ポンプに関する。

（考案の技術的背景とその問題点）従来の分配型燃料噴射ポンプにおいては、ポン
プ室の燃料圧（以下内圧という）は内圧調整弁の
みにより制御されるために機関回転数（ポンプ回
転数）の増加に応じて一次的に増加し、従つて内
圧により作動して燃料噴射時間（進角特性）を制
御するタイマによつては直線的な進角特性しか得
ることが出来ない。

ところで、排気ガス対策として噴射時期を遅ら
せることによりNOx等の有害排出物の排出量を
減少させる手法がとられているが、従来の噴射ポ
ンプにおいては或る運転領域で噴射時間を遅角又
は進角を小さくすることが出来ないために、機関
の要求特性に対処し得ないという問題がある。

そこで、タイマピストン、内圧調整弁或はその
他のポンプ内圧により作動する部材に燃料の逃し
通路を設け、この逃し通路を内圧に応じて開閉制
御して内圧特性を変化させることにより、機関の
要求特性に対処するようにした燃料噴射ポンプが
提案されている（実公昭58−22994号）。類似のも
のとして特開昭55−151124号が提案されている。

しかるに上記燃料噴射ポンプにおいては進角性
を制御する逃し通路を単に開閉又は閉開させるた
めに進角特性のヒステリシスが大きく、実用性に
乏しいという問題がある。

（考案の目的）本考案は上述の点に鑑みてなされたもので、機
関の要求に応じて所定の回転域で進角特性を変化
させ且つヒステリシスの極めて小さいタイマを備
えた分配型燃料噴射ポンプを提供することにあ
る。

（考案の概要）上記目的を達成するために本考案においては、
機関回転数に応じた圧力の燃料油が充満するポン
プ室の内圧に応動するタイマピストンにより燃料
噴射時間を制御するタイマを備えた分配型燃料噴
射ポンプにおいて、前記ポンプ室と前記タイマと
の隔壁と、前記タイマピストンとに夫々当該タイ
マピストンの所定の移動位置において連通し前記
ポンプ室の燃料油を低圧側に逃がす逃がし通路を
形成すると共にこれらの逃がし通路を前記低圧側
に常に連通させる絞り部を有する連通溝を形成
し、常時前記逃し通路を僅かに連通させておくこ
とによりヒステリシスを極めて小さくし且つ所定
の回転域において進角特性を変化させるようにし
た分配型燃料噴射ポンプを提供するものである。

（考案の実施例）以下本考案の一実施例を添附図面に基づいて詳
述する。

第１図は本考案を適用した分配型燃料噴射ポン
プの縦断面を示し、燃料噴射ポンプ１のポンプハ
ウジング２の後部を貫通して設けられ図示しない
機関の出力軸に連結される駆動軸３にはベーンポ
ンプから成るフイードポンプ４が装着され、該フ
イードポンプ４は図示しない燃料タンクから燃料
油を吸入加圧してポンプ室５に供給する。このポ
ンプ室５の内圧（燃料圧）は前述したように機関
回転数の上昇に応じて増加する。

ポンプハウジング２に駆動軸３と整合して取り
付けられたプランジヤバレル６には、ポンプ兼分
配用のプランジヤ７が嵌挿され、このプランジヤ
７は後述する手段により往復動と同時に回転せし
められる。即ち、駆動軸３とプランジヤ７の端部
に固定したカムデイスク８とをドライビングデイ
スクを介して回転方向に連結し、機関の気筒数に
対応するカム面を有するカムデイスク８のカム面
をローラホルダ１０に保持されたローラ１１にプ
ランジヤスプリング１２により押付けることによ
り、プランジヤ７に燃料の吸入圧送のための往復
動と、分配のための回転とを同時に行わせてい
る。

プランジヤ７が吸入行程にある場合は、ポンプ
室５の燃料が供給通路１３を介し吸入ポート６ａ
からプランジヤ７の先端外周面に設けた複数の吸
入溝７ａの一つを経て加圧室１４に吸入される。
プランジヤ７が圧送行程に移動すると、吸入ポー
ト６ａと吸入溝７ａとが切離され、加圧室１４内
の燃料は圧縮され、プランジヤ７内の縦孔７ｂを
経て分配ポートから分配通路１５（円周方向に気
筒数に対応して設けられている）の一つへ供給さ
れて、送出弁１６を経て図示しない噴射ノズルか
ら気筒内に噴射される。

また、プランジヤ７のポンプ室５側に突出する
部分には、ガバナ機構１７に係合されたコントロ
ールスリーブ１８が摺動自在に嵌挿されており、
プランジヤ７の縦孔７ｂと連なるカツトオフポー
ト７ｃがコントロールスリーブ１８の端面から外
れてポンプ室５に開口すると、燃料がポンプ室５
に流出し、送出弁１６への送出は停止され、噴射
が終了する。

ポンプハウジング２の底部にはポンプ室５の下
方位置にタイマ２０が一体に設けられており、該
タイマ２０はピン１９を介してローラホルダ１０
に連結されている。尚、図中フイードポンプ４及
びタイマ２０は分り易くするために90゜回転させ
て図示してある。

タイマ２０は第２図に示すように、ポンプハウ
ジング２の底部に一体的に形成されたシリンダ２
１と、該シリンダ２１内に摺動可能に嵌挿された
タイマピストン２２と、該タイマピストン２２を
油圧室２５方向に偏倚するタイマスプリング２３
等から成り、タイマピストン２２の略中央には周
面に開口する穴２２ａが穿設され、該穴２２ａ内
には一端がローラホルダ１０の下部に固着された
ピン１９の他端が係合部材２４を介して回動可能
に係合されている。

タイマピストン２２には一端が穴２２ａに、他
端が端面２２ｂに開口する通路２２ｃが軸方向に
穿設され、端面２２ｄには穴２２ｅが同心的に穿
設され、端面２２ｂとシリンダ２１の対向対面２
１ａとの間に前記油圧室２５が、端面２２ｄ及び
穴２２ｅとシリンダ２１の対向端面２１ｂとの間
にばね室２６が画成され、該ばね室２６内には一
端がシリンダ端面２１ｂに、他端が穴２２ｅの端
面に圧接し、タイマピストン２２を油圧室２５方
向に偏倚する前記タイマスプリング２３が収納さ
れている。

更に、タイマピストン２２には、一端が穴２２
ｅの端面近傍に開口し、他端がポンプ室５とシリ
ンダ２１とを画成する隔壁２ａと周接する周面に
開口する孔２２ｆが半径方向に穿設され、該周面
には一端が孔２２ｆの当該周面側開口端に開口
し、端面２２ｄ側に軸方向に沿つて所定位置まで
延びるオリフイス（絞り部）をなす溝２２ｇが形
成されている。

一方、ポンプハウジング２の隔壁２ａには一端
がポンプ室５に開口し、他端が、タイマピストン
が図示のように進角０の位置にある状態において
当該タイマピストン２２の溝２２ｇの他端に開口
する孔２ｂが穿設されている。該孔２ｂ、タイマ
ピストン２２の孔２２ｆはポンプ室５の燃料油の
逃し通路を、溝２２ｇはこれらの逃し通路２ｂと
２２ｆとを常時連通するオリフイス状の連通溝を
形成する。

かかる構成において、機関の始動後駆動軸３即
ち、フイードポンプ４の回転数Npの上昇に伴な
いポンプ室５の内圧（燃料圧）Ptが第３図の直
線で示すように上昇する。このポンプ室５の燃
料油はその僅少量が逃し通路２ｂ、連通溝２２ｇ
及び逃し通路２２ｆを通してばね室２６内に流入
し、更に通路２ｃを通して低圧側に流れる。一
方、ポンプ室５の燃料油はタイマピストン２２の
穴２２ａ、通路２２ｃを通して油圧室２５に流入
し、ピストン２２の端面２２ｂをポンプ室５の内
圧Ptの上昇に応じてタイマスプリング２３のば
ね力に抗して押圧し、当該タイマピストン２２を
第２図中左方に徐々に押圧移動する。このタイマ
ピストン２２の左動に応じてローラホルダ１０が
駆動軸３（第１図）の回転方向と反対方向の第２
図の矢印Ｃで示す時計方向に回動し、第３図の直
線で示すようにタイマ進角される。

タイマピストン２２が左動し、所定回転数Np₁
において逃し通路２２ｆが２ｂに直接連通される
と、これらの逃し通路２ｂ，２２ｆを通してポン
プ室５から低圧側に流出する燃料油が増量し、こ
れに伴ないポンプ室５の内圧Ptの上昇する割合
が第３図の直線′で示すように小さくなる。こ
れに伴ないタイマピストン２２の端面２２ｃの押
圧力の増加の割合が小さくなり、当該タイマピス
トン２２の左動速度が遅くなり、この結果、タイ
マ進角T_Aが第３図の直線′に示すように変化す
る。

即ち、駆動軸３の回転数Npが所定の回転数
Np₁に達するまでの間はポンプ室５の内圧Ptの上
昇の変化の割合が大きく（第３図の直線）、こ
れに応じてタイマ２０のタイマ進角T_Aの変化の
割合も大きくなり（第３図の直線）、所定回転
数Np₁を超えるとポンプ室５の内圧Ptも上昇の変
化の割合が小さくなり（第３図の直線′）、これ
に伴ないタイマ進角T_Aの変化の割合も小さくな
る（第３図の直線′）。

ところで、タイマピストン２２が左動又は右動
しても逃し通路２２ｆは連通路２２ｇを介して常
時逃し通路２ｂに連通され、ポンプ室５の燃料油
が常時低圧側に流れているために、タイマピスト
ン２２の作動により逃し通路２２ｆを通る燃料油
の急激な流量変化が少なくなる。この結果、駆動
軸３の回転数即ち、ポンプ回転数Npの上昇時と
下降時とにおけるポンプ室５の内圧Ptの特性の
ヒステリシス幅が低減し、これに伴いタイマ２０
の進角特性のヒステリシスが実用上殆ど問題とな
らない程度に低減される。

第４図は本考案の他の実施例を示し、図中第２
図と同一部分には同一符号を付してその詳細は省
略する。

図において、タイマピストン２２の穴２２ｅ側
の周面にはポンプハウジング２の隔壁２ａと対向
する位置に凹部２２ｈが形成され、該凹部２２ｈ
は周面の軸方向に沿つて設けられ一端が穴２２ａ
に開口すると共にポンプ室５に臨んで開口するオ
リフイス（絞り部）をなす連通溝２２ｉの他端に
連通され、更に逃し通路２２ｋを介して穴２２ｅ
に連通されている。

また、この凹部２２ｈは図示のようにタイマピ
ストン２２の進角０の位置において隔壁２ａの一
端から所定の面積だけ開口してポンプ室５に臨ん
で形成され、この開口部２２ｍは逃し通路をなし
ている。

機関の始動後ポンプ室５の燃料油は逃し通路２
２ｍ，２２ｋを通して低圧側に流出すると共に通
路２２ｃを通して油圧室２５内に供給されポンプ
室５の内圧Ptの上昇に応じてタイマスプリング
２３のばね力に抗してタイマピストン２２を左方
に押動する。このタイマピストン２２の左動に伴
ない逃し通路２２ｍの開口面積が小さくなり、ポ
ンプ室５から低圧側に流出する燃料油が少なくな
り、ポンプ室５の内圧Ptは第５図の直線で示
すように上昇する。この内圧Ptの上昇に応じて
タイマ進角T_Aが同図の直線で示すように進角
する。

ポンプ回転数Npが所定回転数Np₁に達し、逃
し通路２２ｍが隔壁２ａにより閉塞されると、ポ
ンプ室５は連通溝２２ｉを介して逃し通路２２ｋ
に連通される。この結果、ポンプ室５から連通溝
２２ｉを通して低圧側に流出する燃料油が漸減
し、これに応じてポンプ室５の内圧Ptが徐々に
増加し、当該内圧Ptは第５図の直線′に示すよ
うに変化する。

この直線′で示す内圧Ptの増加の割合は直線
で示す増加の割合よりも小さくなる。この内圧
Ptの上昇に応じてタイマ進角T_Aが第５図の直線
′に示すように進角する。この直線′で示す進
角T_Aの変化の割合は直線で示す進角の変化の
割合よりも小さい。

斯くして、機関回転数の所望の回転域において
タイマ進角T_Aの特性を変化させることが可能と
なる。

（考案の効果）以上説明したように本考案によれば、機関回転
数に応じた圧力の燃料油が充満するポンプ室の内
圧に応動するタイマピストンにより燃料噴射時期
を制御するタイマを備えた分配型燃料噴射ポンプ
において、前記ポンプ室と前記タイマとの隔壁
と、前記タイマピストンとに夫々当該タイマピス
トンの所定の移動位置において連通し前記ポンプ
室の燃料油を低圧側に逃がす逃し通路を形成した
ので、所望のポンプ回転域においてタイマ進角特
性を変化させることが可能となり、しかも、前記
各逃し通路を前記低圧側に常に連通させる絞り部
を有する連通溝を形成し、当該連通溝を介して前
記ポンプ室の燃料油を前記低圧側に常時逃すよう
にしたので、前記逃し通路が開口又は閉塞される
際における前記タイマピストンの応答性を良好に
することができ、タイマ進角特性のヒステリシス
を極めて小くすることが可能となり、機関の要求
に対処することができる。更に、特殊なスプリン
グ機構等を用いることなく、従来の噴射ポンプに
僅かな加工を施すだけでよいために製造コストの
上昇を抑えることができる等の優れた効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る分配型燃料噴射ポンプの
一実施例を示す縦断面図、第２図は第１図の矢線
−におけるローラホルダ及びタイマ部の断面
図、第３図は第１図に示すポンプ室の内圧及び第
２図に示すタイマの進角の各特性を示すグラフ、
第４図は本考案の他の実施例を示すローラホルダ
及びタイマの断面図、第５図は第４図に示すタイ
マを適用した場合のポンプ室の内圧及びタイマ進
角の各特性を示すグラフである。２……ポンプハウジング、３……駆動軸、４…
…フイードポンプ、１０……ローラホルダ、２０
……タイマ、２１……シリンダ、２２……タイマ
ピストン、２３……タイマスプリング、２ｂ，２
２ｆ，２２ｋ……逃し通路、２２ｇ，２２ｉ……
連通溝。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

機関回転数に応じた圧力の燃料油が充満するポ
ンプ室の内圧に応動するタイマピストンにより燃
料噴射時期を制御するタイマを備えた分配型燃料
噴射ポンプにおいて、前記ポンプ室と前記タイマ
との隔壁と、前記タイマピストンとに夫々当該タ
イマピストンの所定の移動位置において連通し前
記ポンプ室の燃料油を低圧側に逃がす通路を形成
すると共にこれらの逃がし通路を前記低圧側に常
に連通させる絞り部を有する連通溝を形成したこ
とを特徴とする分配型燃料噴射ポンプ。