JPH029149B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は建物開口部の補強構造に関する。

第１図は建物の一部を示す説明図であり、基礎
１の上部に土台２を固定し、土台２の上部に柱
３、梁４、壁体５を設けている。このような建物
の増改築時には、両側の既設柱３と既設梁４とに
囲まれる既設壁体５（および上記両側の既設柱３
に挟まれる既設柱３）を除去することにより、第
２図および第３図に示すような新たな開口部６を
形成することがある。

上記のようにして、建物に新たな開口部６を形
成する場合には、鉛直荷重、水平荷重に対し、開
口部６の周囲を補強する必要がある。従来、上記
補強は、既設壁体５を除去した後、既設柱３の開
口部６を画成する面３ａ内に補強柱７を結合する
とともに、既設梁４の開口部６を画成する面４
aa内に補強梁８を結合している。なお、上記補
強柱７、補強梁８の設置時には、第２図に示すよ
うに、既設壁体５が除去された部分にサポート９
を介在させている。なお、サポート９は補強梁８
の設置後に除去される。

しかしながら、上記従来の補強構造にあつて
は、既設柱３および既設梁４の開口部６を画成す
る面３ａ，４ａ内に補強柱７および補強梁８を結
合していることから、開口部６の開口面積が挟小
化する。また、補強柱７および補強梁８は、既設
壁体５を除去した後に、既設柱３および既設梁４
に結合されるものであり、サポート９を用いるも
のとしても、作業の安全性を損なう恐れがある。

本発明は、開口面積を挟小化させることなく、
新たな開口部を安全にかつ確実に補強可能とする
ことを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明に係る建物
開口部の補強構造は、既設柱の開口部を画成する
面と直交する外側の面に補強柱を結合し、既設梁
の開口部を画成する面と直交する外側の面に既設
梁のせいよりも大なるせいを有する補強梁を結合
するとともに、補強梁に支持部材を固定し、支持
部材の支持部上に既設梁の開口部を画成する面を
当接状態で配置し、補強梁は補強柱に結合されて
支持されるようにしたものである。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。

第４図および第５図は、本発明の概略実施例を
示す説明図である。この例は、既設柱３の開口部
を画成する面３ａと直交する外側の面３ｂに補強
柱１１を結合し、既設梁４の開口部を画成する面
４ａと直交する外側の面４ｂに補強梁１２を結合
するとともに、補強梁２に支持部材１３の取着部
１４を固定し、支持部材１３の支持部１５に既設
梁４の開口部を画成する面４ａを当接状態で配置
している。補強梁２は補強柱１１に結合されて支
持されている。なお、この例においては、補強柱
１１と増築用の基礎１６との間に、大引１７を介
在させている。即ち、補強柱１１、補強梁１２、
大引１７は開口部１８の周囲における剛性の低下
を補強するとともに、開口部１８の上部に作用す
る鉛直荷重を既設梁４、支持部材１３を介して確
実に補強梁１２に分配し、その分配荷重をさらに
補強柱１１、大引１７を介して基礎１６に伝達可
能としている。

上記第４図、第５図の例によれば、補強柱１１
および補強梁１２は、既設柱３および既設梁４の
開口部１８を画成する面３ａ，４ａ内に配置され
ることなく、開口部１８の開口面積を狭小化する
ことがない。また、補強柱１１、補強梁１２、大
引１７を設置した後に、既設柱３および既設梁４
に囲まれる壁体を除去することが可能となり、作
業の安全性を向上することが可能となる。また、
開口部１８の上部に作用する鉛直荷重は、支持部
材１３の存在により、既設梁４から確実に補強梁
１２に分配され、補強柱１１および補強梁１２に
よる補強の確実化を図ることが可能となる。

第６図および第７図は、本発明の他の概略実施
例を示す説明図である。この例が前記第４図およ
び第５図の例と異なる点は、大引１７を用いず、
補強柱１１Ａを基礎１６上にまで延設したことに
ある。この場合にも、開口部１８の開口面積を狭
小化させることなく、開口部１８を安全にかつ確
実に補強することが可能である。

第８図〜第１１図は本発明の具体的実施例を示
す説明図である。この実施例は、建物２０に増築
ユニツト２１を増築する場合の例である。

建物２０は、基礎２２の上部に土台２３をアン
カーボルトで固定し、土台２３の上部に既設柱２
４、既設梁２５を立設している。また、土台２３
には、根太２６が釘打ちされ、根太２６には床板
２７が釘打ちされている。また、既設柱２４およ
び既設梁２５には壁板２８が釘打ちされている。

増築ユニツト２１は、増築用の基礎２９の上部
に土台３０をアンカーボルトで固定し、土台３０
の上部に根太３１を釘打ちし、根太３１の上部に
床板３２を釘打ちすることによつて床パネルとし
ている。さらに、増築ユニツト２１は、床パネル
の上部に壁パネルを立設している。壁パネルは、
下枠３３、縦枠３４および上枠３５が組まれた壁
枠組の内外両面に壁板３６を釘打ちされてなり、
下枠３３を床パネルの床板３２、根太３１に釘打
ちされている。さらに、増築ユニツト２１は、壁
パネルの上部に屋根パネルを固定している。屋根
パネルは、垂木掛３７、垂木３８、頭つなぎ３９
が組まれた屋根枠組の上面に野地板４０を釘打ち
されてなり、頭つなぎ３９を壁パネルの上枠３５
にボルト結合されている。

しかして、上記建物２０における増築ユニツト
２１が増設される部分には、既設柱２４と既設梁
２５とに囲まれる壁板２８が除去されてなる開口
部４１が形成されている。この開口部４１の周囲
には、上記壁板２８の除去作業前に、以下に述べ
るような補強構造が形成されている。

即ち、増築用の基礎２９の建物２０寄りには、
大引４２がアンカーボルト４３によつて固定さ
れ、大引４２の両端上部には補強柱４４が立設さ
れている。補強柱４４の下端両側部には、アンカ
ーボルト４３によつて大引４２に固定されている
連結金具４５が釘打ちされている。ここで、補強
柱４４は、壁板２８を介して、既設柱２４の開口
部４１を画成する面２４ａと直交する外側の面２
４ｂに、コーチねじ４６によつて結合されてい
る。

また、両補強柱４４の上部には補強梁４７が架
設されている。両補強柱４４と補強梁４７の両端
部とは、それらに釘打ちされる連結金具４８，４
９によつて結合されている。ここで、補強梁４７
は、壁板２８を介して、既設梁２５の開口部４１
を画成する面２５ａと直交する外側の面２５ｂに
ボルト５０によつて結合されている。

また、補強梁４７のせいは既設梁２５のせいよ
り大とされ、建物２０の室内側を臨む補強梁４７
の内面には支持部材５１の取着部５２が２本のボ
ルト５３Ａ，５３Ｂによつて固定されている。支
持部材５１は、取着部５２に対して直交する支持
部５４を備え、支持部５４の上面には、既設梁２
５の開口部４１を画成する面２５ａが当接状態で
配置され、支持部５４と既設梁２５とは釘５５に
よつて結合されている。ここで、支持部材５１に
備えるボルト５３Ａ，５３Ｂの挿通孔５６Ａ，５
６Ｂは、第１２図に示すような千鳥状とされ、ボ
ルト５３Ａ，５３Ｂを補強梁４７の同一繊維方向
に配置することによる割れの発生を回避するとと
もに、ボルト５３Ａ，５３Ｂの配設ピツチを比較
的に大として支持部材５１と補強梁４７との緊結
状態を高めることを可能としている。

なお、増築ユニツト２１は、以下のようにして
上記補強柱４４、補強梁４７に結合されている。
即ち、増築ユニツト２１の壁パネルを構成してい
る縦枠３４は補強柱４４に釘打ちされ、増築ユニ
ツト２１の屋根パネルを構成している垂木掛３７
は前記ボルト５３Ａ，５３Ｂによつて補強梁４７
に結合されている。また、増築ユニツト２１の床
パネルを構成している根太３１は、大引４２に釘
打ちされている根太掛５７に支持可能とされてい
る。

次に、上記具体的実施例の作用について説明す
る。

建物２０は、開口部４１の周囲における剛性の
低下を大引４２、補強柱４４、補強梁４７によつ
て補強されるとともに、開口部４２の上部に作用
する鉛直荷重を支持部材５１を介して確実に補強
梁４７に分配し、その分配荷重をさらに補強柱４
４、大引４２を介して増築用の基礎２９に伝達
し、上記鉛直荷重を確実に支持可能とする。

従つて、上記具体的実施例によれば、補強柱４
４および補強梁４７は、既設柱２４および既設梁
２５の開口部４１を画成する面２４ａ，２５ａ内
に配置されることなく、開口部４１の開口面積を
狭小化することがない。

また、大引４２、補強柱４４、補強梁４７を設
置した後に、既設柱２４および既設梁２５に囲ま
れる壁体を除去することが可能となり、作業の安
全性を向上することが可能となる。

また、開口部４１の上部に作用する鉛直荷重
は、支持部材５１の存在により、既設梁２５から
確実に補強梁４７に分配され、補強柱４４および
補強梁４７による補強の確実化を図ることが可能
となる。

以上のように、本発明に係る建物開口部の補強
構造は、既設柱の開口部を画成する面と直交する
外側の面に補強柱を結合し、既設梁の開口部を画
成する面と直交する外側の面に既設梁のせいより
も大なるせいを有する補強梁を結合するととも
に、補強梁に支持部材を固定し、支持部材の支持
部上に既設梁の開口部を画成する面を当接状態で
配置し、補強梁は補強柱に結合されて支持されて
いるようにしたものである。従つて、開口面積を
狭小化させることなく、新たな開口部を安全に補
強することが可能となり、外側に結合された補強
柱及び補強梁に他の部材を取りつけることにより
建物の増改築を行うことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は建物の一部を示す斜視図、第２図は従
来例に係る建物開口部の補強方法を示す断面図、
第３図には従来例に係る建物開口部の補強構造を
示す正面図、第４図は本発明に概略実施例を示す
正面図、第５図は第４図の−線に沿う断面
図、第６図は本発明の他の概略実施例を示す正面
図、第７図は第６図の−線に沿う断面図、第
８図は本発明の具体的実施例を示す断面図、第９
図は第８図の−線に沿う断面図、第１０図は
同具体的実施例の要部を拡大して示す断面図、第
１１図は同具体的実施例の要部を拡大して示す正
面図、第１２図は同具体的実施例に用いられてな
る支持部材を取出して示す正面図である。 ３，２４……既設柱、３ａ，３ｂ，４ａ，４
ｂ，２４ａ，２４ｂ，２５ａ，２５ｂ……面、
４，２５……既設梁、５……壁体、１１，１１
Ａ，４４……補強柱、１２，４７……補強梁、１
５，４１……開口部、２８……壁板、１３，５１
……支持部材、１５，５４……支持部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 既設柱と既設梁とに囲まれる既設壁体を除去
   することによつて形成されてなる建物開口部の補
   強構造であつて、既設柱の開口部を画成する面と
   直交する外側の面に補強柱を結合し、既設梁の開
   口部を画成する面と直交する外側の面に既設梁の
   せいよりも大なるせいを有する補強梁を結合する
   とともに、補強梁に支持部材を固定し、支持部材
   の支持部上に既設梁の開口部を画成する面を当接
   状態で配置し、補強梁は補強柱に結合されて支持
   されていることを特徴とする建物開口部の補強構
   造。