JPH025213B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はブレキヤストコンクリート部材の鉛直
接合部の接合方法に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

従来ブレキヤストコンクリート（以下単にPC
と称する）による門型フレームを、現場打ち鉄筋
コンクリートにより鉛直接合部を築造して水平方
向に連続接合し、壁式ラーメンを構成して建造物
を構築する場合、建造物が比較的低層の場合は１
ケ所の鉛直接合部に要する水平接合筋の数は少い
が、中高層構築物の場合は桁行方向壁柱を壁では
なく柱と考えるために水平接合筋がフープの構成
要素となり、従つて所要水平接合筋数が多くな
る。これらの接合筋は従来現場溶接により接合さ
れているが、この溶接作業は高所作業となり厳し
い作業環境で行われるので(イ)高度の溶接技術を必
要とすること、(ロ)溶接棒の管理、接合筋の錆よご
れ処理、溶接条件の管理、検査など品質管理に手
数を要し困難であること、(ハ)雨、風など天候に左
右されること、(ニ)鉄筋が溶接熱により変形し、
PC板が変形移動し、建造物に悪影響を及ぼす、
などの欠点があり、作業の困難さ、費用ならびに
品質上問題が多かつた。

〔発明の目的〕

本発明はかかる問題点を解消するためになされ
たもので、溶接によらずしてPC部材の接合を行
い作業の簡易化と費用低減ならびに品質の向上を
図る接合方法を提供する。

〔発明の構成〕

本発明は、１対のフレーム部材の接合端面に閉
鎖型水平接合筋を突設し、この接合筋の元部に両
端フツク付きの幅止め筋を取付け、また１対の耐
震壁部材の接合端面にＵ字型水平接合筋を突設
し、先ず一方のフレーム部材を閉鎖型水平接合筋
により所定の下部軸筋を抱囲して据付け、次に前
記１対の耐震壁部材を前記フレーム部材に直角に
相対して据付け、耐震壁部材のＵ字型接合筋にル
ープ型水平接合筋を跨いで添設し、次に他方のフ
レーム部材を前記一方のフレーム部材に対峙さ
せ、かつ閉鎖型水平接合筋により他の所定の下部
軸筋を抱囲して据付けたのち水平接合添筋をこの
添筋の両端フツクが前記幅止め筋の両端フツクに
重畳するように閉鎖型水平接合筋に添設し、次に
軸筋を閉鎖型水平接合筋に挿入して下部軸筋に重
ね接合し、フレーム側組立筋を前記閉鎖型水平接
合筋と幅止め筋により形成される枠内の隅部に配
設し、壁側組立筋を前記Ｕ字型水平接合筋とルー
プ型水平接合筋の重なり部の輪枠に挿通して鉄筋
組を完成させ、鉄筋組を封塞するように型枠を組
み、コンクリートを打設して鉛直接合部を築造す
るブレキヤスト・コンクリート部材の接合方法で
ある。

〔実施例〕

本発明の実施例を図面により説明する。

第１図はPCによるフレーム部材および耐震部
材による建造物の構築中の斜視図、第２図、第３
図および第４図は上記のフレーム部材接合端面の
正面図、接合端面部の部分側面図および平面図、
第５図、第６図および第７図は上記耐震壁部材接
合端面の正面図、接合端面部の部分側面図および
平面図である。

フレーム部材１は門型をなし、その両端面をフ
レーム接合端面２とし、このフレーム接合端面２
には所要数のコツタ溝３を穿ち、またフレーム接
合端面２の縦方向に所定間隔にて水平に突出させ
た方形状の閉鎖型水平接合筋４を設け、この接合
筋４の元部には両端にフツクを有する幅止め筋５
を取付ける。

耐震壁部材６は板状をなし、その両端面を壁接
合端面７とし、この壁接合端面７には所要数のコ
ツタ溝８を穿ち、また先端を半円状としたＵ字型
水平接合筋９を壁接合端面７の縦方向に前記閉鎖
型水平接合筋と衝合しない所定間隔にて水平に設
ける。

第８図ないし第１１図は、鉛直接合部２０の鉄
筋組の工程を説明する１部断面とした斜視図、第
１２図ないし第１６図は鉄筋組の工程を説明する
略平面図、第１７図は完成した鉛直接合部２０の
模式的平面図であり、以下図面により接合方法を
説明する。

第８図および第１２図において、下階側鉛直接
合部の天端には所要数例えば８本の下部軸筋１１
ａ，１１ｂを予め軸筋の重ね継手に必要な長さだ
け突出させておき、先ず１対のフレーム部材１
ａ，１ｂの一方のフレーム部材１ａをその閉鎖型
水平接合筋４ａにより所定の４本の下部軸筋１１
ａを抱囲して据付ける。次に第１３図の如く１対
の耐震壁部材６ａ，６ｂをフレーム部材１ａに直
角にかつ壁接合端面７ａ，７ｂを対峙させて据付
け、第１４図の如く相対峙するＵ字型水平接合筋
９ａ，９ｂを跨ぎ長円形状のループ型水平結合筋
１２を添設する。次に第１５図の如く他方のフレ
ーム部材１ｂを前記一方のフレーム部材１ａとフ
レーム接合端面２ａ，２ｂを対峙させ、かつ所定
の４本の下部軸筋１１ｂを閉鎖型水平接合筋４ｂ
にて抱囲して据付けたのち第９図および第１６図
の如く両端にフツクを有する水平接合添筋１３
を、その両端フツクを夫々幅止め筋５ａ，５ｂの
フツクに重畳させて閉鎖型水平接合筋４ａ，４ｂ
に添設する。次に第１０図および第１７図の如く
軸筋１４ａ，１４ｂを閉鎖型水平接合筋４ａ，４
ｂの枠内に挿入し、軸筋１４ａ，１４ｂの下部は
下部軸筋１１ａ，１１ｂと重ね接合し、上部は重
ね継手に必要な長さだけフレーム部材１ａ，１ｂ
の天端１８の高さより突出させ、第１１図の如く
フレーム側組立筋１５ａ，１５ｂを閉鎖型水平接
合筋４ａ，４ｂの枠内隅部に配設し、またＵ字型
水平接合筋９ａ，９ｂとループ型水平接合筋１２
の重なり部により形成する輪枠の中央部に壁側組
立筋１６を挿通して鉛直接合部２０の鉄筋組を完
成し、引続き鉄筋組を封塞するように型枠１７を
組み、コンクリートを打設してフレーム部材１
ａ，１ｂと耐震壁部材６ａ，６ｂを接合し、鉛直
接合部２０を築造する。

なおこの接合方法において、壁側組立筋１６は
ループ型水平結合筋１２をＵ字型水平接合筋９
ａ，９ｂに跨設した後であれば、何れの時点で取
付けても接合は可能である。

〔発明の効果〕

本接合方法では閉鎖型水平接合筋と水平接合添
筋がフレーム部材のループの構成要素となるとと
もにＵ字型水平接合筋とループ型水平接合筋が耐
震壁部材水平せん断補強筋の構成要素となり、ま
た軸筋は柱筋、桁行および張間方向における水平
接合部の接合筋の作用を行うものであり、鉛直接
合部の上下および水平方向に対して強固に接合さ
れ、更に本接合方法では水平接合筋に現場溶接を
用いていないので溶接技倆、品質管理の困難さ、
天候の影響、溶接による部材の変形移動の問題点
は解決され、作業の簡易化と費用低減ならびに接
合部の品質向上に効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はPCによるフレーム部材および耐震壁
部材による建造物の構築中を示す斜視図、第２
図、第３図および第４図はフレーム部材接合端面
の正面図、接合端面部の部分側面図および平面
図、第５図、第６図および第７図は耐震壁部材接
合端面の正面図、接合端面部の部分側面図および
平面図、第８図ないし第１１図は鉛直接合部鉄筋
組の工程を説明する１部断面とした斜視図、第１
２図ないし第１６図は鉄筋組の工程を説明する略
平面図、第１７図は完成した鉛直接合部の模式的
平面図である。 １，１ａ，１ｂ……プレキヤスト・コンクリー
トのフレーム部材、２，２ａ，２ｂ……フレーム
接合端面、４，４ａ，４ｂ……閉鎖型水平接合
筋、５，５ａ，５ｂ……幅止め筋、６，６ａ，６
ｂ……プレキヤスト・コンクリートの耐震壁部
材、７，７ａ，７ｂ……壁接合端面、９，９ａ，
９ｂ……Ｕ字型水平接合筋、１１ａ，１１ｂ……
下部軸筋、１２……ループ型水平接合筋、１３…
…水平接合添筋、１４ａ，１４ｂ……軸筋、１５
ａ，１５ｂ……フレーム側組立筋、１６……壁側
組立筋、１７……型枠、２０……鉛直接合部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ １対のフレーム部材の接合端面に閉鎖型水平
   接合筋を突設し、この接合筋の元部に両端フツク
   付きの幅止め筋を取付け、また１対の耐震壁部材
   の接合端面にＵ字型水平接合筋を突設し、先ず一
   方のフレーム部材を閉鎖型水平接合筋により所定
   の下部軸筋を抱囲して据付け、次に前記１対の耐
   震壁部材を前記フレーム部材に直角に相対して据
   付け、耐震壁部材のＵ字型接合筋にループ型水平
   接合筋を跨いで添設し、次に他方のフレーム部材
   を前記一方のフレーム部材に対峙させ、かつ閉鎖
   型水平接合筋により他の所定の下部軸筋を抱囲し
   て据付けたのち水平接合添筋をこの添筋の両端フ
   ツクが前記幅止め筋の両端フツクに重畳するよう
   に閉鎖型水平接合筋に添設し、次に軸筋を閉鎖型
   水平接合筋に挿入して下部軸筋に重ね接合し、フ
   レーム側組立筋を前記閉鎖型水平接合筋と幅止め
   筋により形成される枠内の隅部に配設し、壁側組
   立筋を前記Ｕ字型水平接合筋とループ型水平接合
   筋の重なり部の輪枠に挿通して鉄筋組を完成さ
   せ、鉄筋組を封塞するように型枠を組み、コンク
   リートを打設して鉛直接合部を築造するプレキヤ
   スト・コンクリート部材の接合方法。