JPH0243727Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はオフセツト印刷機の版掛装置に関する
ものである。

〔従来の技術及びその問題点〕

従来のオフセツト印刷機においては機体フレー
ムに回転可能に軸承された版胴の外周部を軸線方
向に切欠開口して形成した段部にテールクランプ
装置と対向させて版掛装置を設け、版掛装置によ
り版胴外周に巻着される版の版頭を挾持し、テー
ルクランプ装置により版尻を挾持するようにして
いる。

しかし従来の版掛装置は、段部上に固定された
クランクベースに対して蝶番により開閉可能にク
ランプ板を支承し、これらの間に版頭を差し込み
挾持するようにクランプ板にスプリングの弾撥力
を常時閉成方向に付勢し、レバー等の任意手段に
よりクランプ板を開成できるように構成され、前
記スプリングは印刷中に挾持している版が外れな
いようにある程度強い弾撥力のものが使われてい
たため、版頭を差し込んだ後にクランプ板を閉成
するとき急速に閉成されるので版がねじれた状態
で挾持される問題があつた。

従つて本出願人は実公昭52−10403号において
クランプ板を固定し、かつ版胴に回転可能に挿通
した回転軸の軸端に作動プレートを固着すると共
にこの作動プレートと係合可能な位置及び非係合
位置との間を揺動可能なハンドルレバーを機体フ
レームに軸支せしめ、ハンドルバーを作動プレー
トと係合可能な位置にロツクした上で版胴を正逆
回転させることによりクランプ板を緩やかな速度
で開閉しうるようにした版掛装置を提案した。

しかし乍ら、この構成のものにおいてはクラン
プ板を回転軸上に直接固定したものであるため、
版掛装置に版頭を挾持した後に版胴上の版の巻着
位置を横方向あるいは斜め方向に微調整する場
合、その都度ハンドルレバーと版胴とを操作して
挾持しなおさなければならないという問題があつ
た。

〔考案が解決しようとする課題〕

従つて本考案は上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、クランプ板を緩やかな速度で開閉して
版挾持時のねじれを防止できるのみならず版を挾
持後クランプ板を開閉することなく版胴へ横方向
あるいは斜め方向の巻着位置を簡単に調整できる
版掛装置の提供を目的としたものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る版掛装置は印刷機の機体フレーム
４に回転可能に軸承された版胴１の外周部を軸線
方向に切欠開口して形成した段部１１に配設され
た版掛装置２において、蝶番２２により開閉可能
に、かつスプリング２６により常時閉成方向に弾
撥付勢されたクランプ板２１を支承するクランク
ベース２０を前記段部の支点ピン１１ａに対して
長孔２０ａを介して揺動回転及び横摺動可能に装
着すると共に、前記版胴の側面に回転可能に挿通
した回転軸６０の前記版胴の側面の内・外側に作
動プレート６２，６１を夫々固定し、前記内側の
作動プレートは前記クランク板を前記スプリング
の弾撥力に抗して開成しうるように連杆機構６に
より前記クランク板と連結し、また前記外側の作
動プレートは前記機体フレームに揺動かつ係合・
非係合位置に位置決め可能に軸支したハンドルレ
バー５の自由端と係合可能に設け、係合位置に揺
動した前記ハンドルレバーと前記外側の作動プレ
ートとを前記版胴を逆転させて係合させることに
より前記クランプ板を開成し、版を差し込んだ後
に前記版胴を略一回転正転させることにより前記
クランプ板で版を挾持すると共に前記版胴に版を
巻着し、しかる後前記ハンドルレバーが前記外側
の作動プレートに係合することにより前記ハンド
ルレバーを非係合位置に揺動復帰するようにした
ものである。

〔実施例〕

本考案の一実施例を図面により説明すると図示
のオフセツト印刷機では、機体フレーム４に支軸
１０，１０で版胴１が回転可能に取付けられてい
る。この版胴１外周部には、その側面を一定幅切
欠開口した段部１１，１２が設けられている。こ
れら各段部に、相対向して版掛装置２とテールク
ランプ装置３とが夫々設けられている。

版掛装置２は、第１図及び第２図に示すように
段部１１上に載置したクランプベース２０とクラ
ンプ板２１とを持ち、そのクランプ板を後端側に
装着した蝶番で２２でクランプベース２０に開閉
可能に取付けることにより構成されている。クラ
ンプベース２０には前端側にガイド板２３と版抜
け防止板２４とが備え付えつけられ、版抜け防止
板２４には第３図示の如く頂面に尖端を有する爪
２４ａ…が所定間隔毎に複数設けられている。こ
れら爪は、クランプベース２０とクランプ板２１
との間に挿置した版Ａの版頭に喰い込んで版Ａの
抜出しを阻止するものである。クランプ板２１
は、その平面に固定した逆Ｌ字状のアーム２５を
持ち、このアームの自由端と版胴１のスタツド１
３との間に張設したスプリング２６により常時閉
成方向に弾撥付勢されており、クランプベース２
０に偏倚押圧されている。

このクランプ板２１の開閉操作は、印刷機の機
体フレーム４に装着したハンドルレバー５と、ハ
ンドルレバー５の動作をクランプ板２１に連繋す
る連杆機構６とにより行われるようになつてい
る。ハンドルレバー５は、支軸５０で機体フレー
ム４に軸支され、ハンドル操作で時計方向乃至反
時計方向に回転し得るよう装着されている。その
回転範囲は気体フレーム４に植立したピン４０，
４１で規制され、またレバー５は側面に突出した
ピン４２と機体フレーム４に装着したピン４２と
の間のねじりコイルバネ５２により回転方向に附
勢位置決めできるようにされている。このハンド
ルレバー５ではその自由端側に係合部が形成さ
れ、実施例においてはローラ５３が軸承装置さ
せ、そのローラ５３が後述する作動プレート６１
に当接係合可能にされている。連杆機構６は版胴
１の側面に挿通配置した回転軸６０を持ち、その
回転軸の版胴側面の内外側に作動プレート６１，
６２を夫々固定するようにして構成されている。
版胴側面の外側に位置する作動プレート６１はハ
ンドルレバー５のローラ５３と係合可能に突出配
置され、一方版胴側面の内側に位置する作動プレ
ート６２にはリングバー６３を介してクランプ板
２１により突出したブラケツト２７が連結されて
いる。

クランプ装置２には、第５及び第６図示の如く
版胴に挾着配置した版Ａの斜め方向及び横方向位
置を修正する微調整機構７，８が設けられてい
る。この微調整機構７，８は、クランプベース２
０に形成した長孔２０ａ内に段部１１に螺着され
た支点ピン１１ａを嵌挿配置し、その支点ピン１
１ａで段部１１上の版掛装置２を該長孔２０に沿
つて左右摺動または該支点ピン１１ａを回転中心
として揺動回転可能に設置してあり、左右及び揺
動回転するための各微調整装置７，８は夫々クラ
ンプベース２０又は版胴１に固着したプラケツト
７０，８０の長孔７３，８３に遊嵌挿通した調節
ねじ７１，８１を持ち、その各調節ねじ７１，８
１を版胴１またはクランプベース２０に固着した
ナツト７２，８２に螺入或いはねじ戻すことによ
り、支点ピン１１ａと長孔２０ａとで左右摺動及
び揺動回転可能にした版掛装置３を段部１１上で
位置調整するものである。なお、横摺動微調整機
構７で版掛装置２を横送り可能にするため、揺動
回転微調整機構８側のブラケツト８０には調節ね
じ８１の軸線部を遊嵌する長孔８３が横方向に設
けられ、また逆に揺動回転微調整機構８で版掛装
置２を支点ピン１１ａを中心として揺動回転可能
にするために横摺動微調整機構７側のブラケツト
７０には調節ねじ７１を遊嵌する長孔７３が設け
られている。

テープクランプ装置３としては、第５図示の如
く版胴１に突設したピン１４でテールクランプ板
３０を長孔３１を介してスライド可能に支持した
ものを用いることができる。テールクランプ板３
０は、スプリング３２により後退偏倚されている
と共に、締付けねじ３３によりテールクランプ板
３０の先端による版銅１の段部１２に固定したテ
ールクランプース３４への圧接位置を調整可能に
している。

このように構成する版掛装置では、クランプ板
２１を開成する場合、ハンドルレバー５を第２図
示状態から第４図示状態にすべくＸ方向に押圧
し、しかる後に版胴１をＹ方向に回動する。かか
る操作によりローラ５３に作動プレート６１が係
合押圧され、回転軸６０、内側作動プレート６
２、及びリンクプレート６３を介してクランプ板
２１の開成作動が行なわれる。このクランプ板２
１とクランプベース２０との間に版Ａを差し込ん
だ後、版胴１をＹ方向と逆方向に回動させること
により、版Ａはクランプ板２１に挾着支持され
る。さらに版胴１を回動して判Ａを版胴に巻回配
置して行くと、第７図に示す如く作動プレート６
１の斜面にローラ５３が当接押圧され、レバー５
は第７図の状態から第２図の状態に自動的に復帰
し、さらに版尻をテールランプ３に挾持する操作
を行う。

以上の操作により版胴１に版が巻装されるので
ある。なお、ネジリコイルバネ５２はレバー５を
第２図の状態又は第４図の状態に附勢位置決めす
る為のクリツク作用を行うバネである。

而して、版Ａを版胴１に巻装後に版Ａの斜め位
置調整あるいは横方向の位置調整が必要となつた
場合には、各微調整装置７，８によりクランプベ
ース２０とクランプ板２１との間に版Ａを挾持し
たままこれ等を一体的に揺動回転乃至横摺動させ
て微調整することが出来る。このとき、クランプ
板２１から突出したプラケツト２７と外側作動プ
レート６１と連結した内側作動プレート６２との
間に微小な位置ズレが生ずるが、その各々とリン
クプレート６３との枢着部の遊びにより吸収可能
なものである。尚、リンクプレート６３との枢着
部の遊びを多少大きくしても、リンクプレート６
３による運動伝達機能には何らの支障も生じな
い。

〔考案の効果〕

以上説明した如く、本考案に係る版掛装置に依
れば、ハンドルレバー５と版胴１とを回転するこ
とにより相対的にクランプ板２１を緩い速度で開
閉動作可能としたため、クランプ板の版挾圧力を
強く構成しても版装着後に緩やかにクランプ動作
することができるため、版のずれ込み挾持を生ず
ることがない。又、クランプ板と作動プレートと
を連杆機構により連結したためクランプ開閉操作
を行うことなく、版の横方向及び斜め方向位置を
微調整し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る版掛装置を装備した版胴
正面図、第２図は第１図−線側断面図、第３
図は同版掛装置における抜外れ防止板の拡大正面
図、第４図は同版掛装置の動作説明図、第５図は
第１図−線側断面図、第６図は第１図−
線側断面図、第７図は同版掛装置の動作説明図で
ある。 １……版胴、５……ハンドルレバー、１１，１
２……段部、２１……クランプ板、２２……蝶
番、２６……スプリング、６０……回転軸、６
１，６２……作動プレート、６３……リンクプレ
ート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 印刷機の機体フレーム４に回転可能に軸承され
   た版胴１の外周部を軸線方向に切欠開口して形成
   した段部１１に配設された版掛装置２において、
   蝶番２２により開閉可能に、かつスプリング２６
   により常時閉成方向に弾撥付勢されたクランプ板
   ２１を支承するクランクベース２０を前記段部の
   支点ピン１１ａに対して長孔２０ａを介して揺動
   回転及び横摺動可能に装着すると共に、前記版胴
   の側面に回転可能に挿通した回転軸６０の前記版
   胴の側面の内・外側に作動プレート６２，６１を
   夫々固定し、前記内側の作動プレートは前記クラ
   ンク板を前記スプリングの弾撥力に抗して開成し
   うるように連杆機構６により前記クランク板と連
   結し、また前記外側の作動プレートは前記機体フ
   レームに揺動かつ係合・非係合位置に位置決め可
   能に軸支したハンドルレバー５の自由端と係合可
   能に設け、係合位置に揺動した前記ハンドルレバ
   ーと前記外側の作動プレートとを前記版胴を逆転
   させて係合させることにより前記クランプ板を開
   成し、版を差し込んだ後に前記版胴を略一回転正
   転させることにより前記クランプ板で版を挾持す
   ると共に前記版胴に版を巻着し、しかる後前記ハ
   ンドルレバーが前記外側の作動プレートに係合す
   ることにより前記ハンドルレバーを非係合位置に
   揺動復帰するようにしたことを特徴とするオフセ
   ツト印刷機の版掛装置。