JPH0242215B2

JPH0242215B2 -

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Publication number: JPH0242215B2
Application number: JP59026044A
Authority: JP
Priority date: 1984-02-16
Filing date: 1984-02-16
Publication date: 1990-09-21
Also published as: US4610942A; JPS60170859A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は浸漬塗布法によつて電荷発生層および
電荷輸送層が形成される機能分離型の電子写真感
光体、および、その製造方法に関する。

塗布によつて基体上に樹脂層や感光層をもうけ
て電子写真感光体を製造することは、従来より広
く行われている。いくつかの塗布方法のうち、基
体を塗布溶液に浸漬させ、次いで基体を引き上げ
ることにより塗料を塗布するという浸漬塗布方法
は、任意の形状の基体にきれいに塗布できるた
め、特に好都合である。

この場合、塗膜の膜厚は、一つの塗料に対し
て、その濃度と引き上げ速度によつて定まるもの
で、濃度、および引き上げ速度が速いほど膜厚は
厚くなることが知られている。

ところが、引き上げ速度が遅い場合には、塗膜
が乾燥して固定されるまでに、だれを生じて、被
塗布体の上部の膜厚は薄く、下部の膜厚は厚くな
るという現象が生じる。特に、塗布液の濃度が低
くて、粘度が高いような場合には溶剤の量が多い
ので、だれ現象が非常に発生しやすい。

この傾向は、特に電荷発生層と電荷輸送層とを
有する機能分離型電子写真感光体における電荷輸
送層の塗布の場合には目立つものである。電荷輸
送層は、一般に電子供与性物質、または電子吸引
性物質を成膜性樹脂と共に溶剤に溶解されて塗布
されるが、電子供与性物質または電子吸引性物質
は溶解度が低いので溶剤を多量に使用しなければ
ならず、このため電荷輸送層の塗布液は濃度が低
く、またある程度の膜厚に塗布するため、粘度を
高めてある。このような塗布液を浸漬塗布方法で
被塗布体に塗布する場合、その引き上げ過程にお
いて、溶剤濃度が大きい場合には乾燥が遅いた
め、塗膜が固定化される前に下方にずり落ちるわ
けである。このような現象は、例えば第１図に示
すような膜厚むらとして現れる。横軸は塗膜上部
からの距離で、縦軸はその時の電荷輸送層の膜厚
を示し、図のように上部ほど膜厚が薄い。

このような膜厚むらがあると、電子写真感光体
の特性として受容電位にむらを生じる。すなわ
ち、膜厚が薄い部分は他と比べて電位が低くな
る。また、電位が低いために、露光した場合、電
位減少しやすくなるため、相対的に感度が速くな
る。

このような場合、受容電位が低いことは、トナ
ー現像のバイアス電圧などの印加方法などで、コ
ピー画像濃度を一定に保つことができるが、感度
が速くなることは補償することができない。その
ため、コピー画像においては、黒い部分の画像濃
度は一定にすることができても、膜厚が薄い部分
は、グラフ用紙、写真、カタログ、ポスター、鉛
筆文字などのコピー画像においては、濃度が低下
して不鮮明な画像になる。

本発明は、このように電荷輸送層に膜厚むらが
ある場合においても、画像むらを生じさせないよ
うな電子写真感光体およびその製造方法を提供す
ることを目的とする。本発明は、電荷発生層およ
び電荷輸送層とから成る感光層を有する電子写真
感光体において、電子写真感光体の端部から一定
の高さＨまで連続的に膜厚を増加させた電荷発生
層を設け、前記端部からその高さＨまで連続的に
膜厚を増加させた電荷輸送層を設けたことを特徴
とする電子写真感光体から構成される。さらに本
発明は、電荷発生層および電荷輸送層とから成る
感光層を有する電子写真感光体の製造において、
電荷発生層を浸漬塗布方法で塗布する際に、上部
から一定の高さＨまで連続的に引き上げ速度を増
加させることを特徴とする電子写真感光体の製造
方法から構成される。本発明では、電荷輸送層の
膜厚が薄い部分は感度が速くなることを補償する
ために、その部分の電荷発生層の膜厚を下げるこ
とに特徴がある。

すなわち、電子写真感光体の感度は、電荷発生
層の膜厚によつて変化するためであり、そのため
に、感度が速くなると予測される場合には、あら
かじめ電荷発生層の膜厚を薄くしておけばよいわ
けである。

感度として、一定露光量を与えた場合の電位の
値（V_L）で表現する場合、第２図に電荷発生層
の膜厚と感度の関係を示した。これは電荷輸送層
が一定の膜厚（第１図における15μ）のときであ
り、電荷発生層の膜厚は特開昭58−150806号公報
に開示されている方法で測定したものである。横
軸の膜厚が厚くなると共に、縦軸で示されるV_L
が低下しており、感度が速くなることが示されて
いる。

一方、電荷発生層の膜厚を65mμの一定値のと
き、電荷輸送層の膜厚と感度の関係を第３図に示
した。横軸に示される膜厚が厚くなるに従い、縦
軸で示されるV_Lが上昇するしている。

したがつて、例えば電荷発生層の最適膜厚が
65mμである場合、電荷輸送層の膜厚が15μより薄
い部分では、それに対応して、感度が一定となる
ように電荷発生層の膜厚を薄くするようにしなけ
ればならない。このようにそれぞれの膜厚を変え
た場合の電子写真感光体の膜厚分布を模式的に第
４図に示した。１は基体、２は電荷発生層、３は
電荷輸送層である。本発明の電子写真感光体は、
このように構成されている。

一方、電荷輸送層は前述したように、塗布上部
にだれを発生しやすいが、電荷発生層は膜厚が極
めて薄く、その塗料の粘度も低いのでだれを生ず
ることはほとんどない。そのため、電荷発生層の
上部の膜厚を任意に変えるには、塗布条件を制御
しなくてはならない。本発明の電子写真感光体の
製造方法は、これを解決したものであつて、電荷
発生層の塗布の際に、膜厚を薄くしたい部分の引
き上げ速度を下げておき、連続的に増加させるこ
とに特徴がある。

まず、電荷発生層の塗料の濃度がある一定値の
ときの引き上げ速度と膜厚の関係を第５図に示し
た。横軸は引き上げ速度で、縦軸はその速度で塗
布される電荷発生層の膜厚である。したがつてこ
の図から、所望の膜厚を得るための引き上げ速度
を求めることができる。第６図には、第４図に示
すような膜厚分布となるような、電荷発生層の塗
布の引き上げ速度の変化を示した。横軸は基体の
塗布上部からの距離で、縦軸はその距離における
引き上げ速度を示す。このようにある高さまで連
続的に引き上げ速度を増加させるには、電子回路
等によつて引き上げ用モーターを制御することに
よつて行わせることができる。

このように、上部から一定の高さまで連続的に
膜厚を増加させた電荷発生層の上に、その高さま
で連続的に膜厚が増加した電荷輸送層を形成した
本発明の電子写真感光体は、感度を一様に保つこ
とができるので、むらのないコピー画像を得るこ
とができる。

本発明の電子写真感光体について更に詳しく説
明すると、まず基体は、アルミニウム、黄銅、ス
テンレスなどの金属、またはポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、フエノ
ール樹脂、ポリプロピレン、ナイロン、ポリスチ
レンなどの高分子材料、硬質紙等の材料を円筒状
に成型して用いられる。絶縁体の場合には、導電
処理をする必要があるが、それには導電性物質の
含浸、金属箔のラミネート、金属の蒸着などの方
法がある。さらに、基体の表面粗度が大きい場合
には表面の平滑化のために導電性の塗料を塗布す
ることもある。導電性の塗料としては、アルミニ
ウム、銅、銀、金、ニツケル等の金属粉体、酸化
スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化チ
タン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉体、カーボン粉
体等の粉体の単独、もしくは複数をポリウレタン
樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、ポリエステ
ル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、シリコン
樹脂、フエノール樹脂等の結着剤樹脂に分散した
ものが用いられる。導電性の塗料を塗布した導電
層の厚さは基体の表面粗度の２乗倍以上が好まし
い。

この上に必要に応じて下引き層が形成される。
下引き層は基体もしくは導電層と電荷発生層の接
着性改良、電荷発生層の塗工性向上、塗工欠陥の
防止、電気的破壊に対する保護、電荷注入性改良
などのためにもうけられる。この材料としては、
ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、カゼイン、ゼラチン、ポリアミド
（共重合ナイロン、タイプ８ナイロンなどのよう
な可溶性ナイロン）等が用いられる。

電荷発生層は、スーダンレツド、ダイアンプル
ー、ジエナスグリーンＢなどのアゾ顔料、ジスア
ゾ顔料、アルゴールイエロー、ピレンキノン等の
キノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、
インジゴ、チオインジゴ等のインジゴ顔料、イン
ドフアーストオレンジトナー等のビスベンゾイミ
ダゾール顔料、銅フタロシアニン等のフタロシア
ニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム系染料
等の電荷発生物質を、ポリエステル、ポリ酢酸ビ
ニル、アクリル、ポリビニルブチラール、ポリビ
ニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、セルロースエステル
類等の結着剤樹脂に分散して形成される。電荷発
生層の厚さは0.04〜0.2μ程度である。第２図に示
されるように、厚い場合には感度が速く、薄い場
合には感度が遅くなる。

また、電荷輸送層は主鎖又は側鎖にアントラセ
ン、ピレン、フエナントレン、コロネンなどの多
環芳香族構造又はインドール、カルバゾール、オ
キサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イ
ミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピ
ラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等の含
窒素環式構造を有する化合物、ヒドラゾン化合物
等の正孔輸送性物質を成膜性のある樹脂に溶解さ
せて形成される。そのような樹脂としては、ポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、
ポリメタクリル酸エステル類、スチレン−メタク
リル酸メチルコポリマー、ポリエステル、スチレ
ン−アクリロニトリルコポリマー、ポリサルホン
等が挙げられる。電荷輸送層の厚さは５〜20μ程
度である。

実施例基体として、上部が閉じて下部が開いている
60φ×260mmの円筒状のアルミニウムシリンダー
を用意した。

まず、共重合ナイロン（商品名：CM8000、東
レ(株)製）３部（重量部、以下同様）、およびタイ
プ８ナイロン（商品名：EF30、帝国化学(株)製）
３部メタノール60部、１−プタノール40部に溶解
し、基体上に浸漬塗布した。

次にこの上に電荷発生層を形成する。

下記構造式のジスアゾ顔料を10部酢酸酪酸セルロース樹脂（商品名：CAB−381、
イーストマン化学(株)製）６部およびシクロヘキサ
ノン60部を1φガラスビーズを用いたサンドミル
装置で20時間分散した。この分散液にメチルエチ
ルケトン100部を加えて塗料とした。塗料を塗布
槽に入れそこに下引き層を塗布した基体を浸漬し
た後、第６図に示すような漸次増加する引き上げ
速度で引き上げた。この膜厚は塗布上部から８cm
のところまで連続的に膜厚が増えそれ以下は
65mμの一定であつた。50℃で10分間乾燥して電
荷発生層とした。

次に、下記構造式のヒドラゾン化合物を10部およびスチレン−メタクリル酸メチル共重合体
（商品名：MS200、新日鉄化学(株)製）15部をトル
エン80部に溶解して塗料とした。塗料を塗布槽に
入れ、そこに電荷発生層を塗布した基体を浸漬し
た後、10cm／分の速度で引き上げた。100℃１時
間の加熱乾燥後、膜厚を測定すると第１図のよう
であつた。

こうして製造した電子写真感光体を、−6KVコ
ロナ帯電、画像露光、−150Vバイアス付きジヤン
ピング式現像、普通紙へのトナー転写、ウレタン
ゴムブレード（硬度70゜、圧力10gw／cm、感光体
に対する角度20゜）によるクリーニング工程等を
有する電子写真複写機に取り付けて電子写真特性
を評価した。

暗部電位（V_D）は感光体の中央付近で−700V
であり、塗布上部から約８cmから下はほぼ一様で
あつた。それより上はなだらかに減少していた。
感度としてV_Lを測定すると、感光体全面にわた
つてほぼ一様であつた。なお感光体における画像
部分は塗布上部から1.5cmのところである。

これに対して、電荷発生層を６cm／分の一定速
度で引き上げて製造した場合は、V_Lも感光体上
部で減少していた。コピー画像を見ると、全面黒
色の原稿では両者とも差異はなかつたが、グラフ
用紙のコピー像を比較すると、本発明のものは濃
度が一様であつたが、電荷発生層を一定速度で引
き上げたものは、塗布上部に相当する部分の画像
濃度が低かつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、電荷輸送層の膜厚分布、第２図は、
電荷発生層の膜厚と感度の関係、第３図は、電荷
輸送層の膜厚と感度の関係、第５図は、電荷発生
層の引き上げ速度と膜厚の関係、第６図は、電荷
発生層の塗布速度をそれぞれ示すグラフである。
第４図は本発明の電子写真感光体の概略である。１は基体、２は電荷発生層、３は電荷輸送層を
示す。

Claims

【特許請求の範囲】１電荷発生層および電荷輸送層とから成る感光
層を有する電子写真感光体において、電子写真感
光体の端部から一定の高さＨまで連続的に膜厚を
増加させた電荷発生層を設け、前記端部からその
高さＨまで連続的に膜厚を増加させた電荷輸送層
を設けたことを特徴とする電子写真感光体。２電荷発生層および電荷輸送層とから成る感光
層を有する電子写真感光体の製造方法において、
電荷発生層を浸漬塗布方法で塗布する際に、上部
から一定の高さＨまで連続的に引き上げ速度を増
加させることを特徴とする電子写真感光体の製造
方法。