JPH0481789B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、電子写真感光体の製造方法、詳しく
言えば電子写真感光体の電荷注入阻止層の形成法
に関するものである。

〔従来の技術〕

帯電、露光、現像、クリーニング等のプロセス
を有する電子写真方式において、材料選択の幅を
広げられる事から層ごとに機能をもたせ、それぞ
れの層を積層した積層型の感光体が広く用いられ
る様になつてきた。しかしこれまでの積層型感光
体にあつては、例えばマイナス帯電の場合、コロ
ナ放電により帯電を行なつている時、又帯電を停
止した時などに基板側から正電荷が注入し暗減衰
が増加し、帯電電位の低下をまねく場合があつ
た。このような問題を防止する為、支持体と電荷
発生層間に電荷注入阻止層を設ける事が広く行わ
れている。支持体として金属を用いる場合、接着
性の良さからシランカツプリング剤が注入阻止層
としてよく用いられる。しかしシランカツプリン
グ剤をロールコーター等で塗布する際、塗液が均
一に広がらず塗膜の均一性が低下し、塗膜の欠陥
から電荷の注入をまねき、低帯電性又は、画質上
に注入に起因するスポツトが発生するという問題
があつた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明の目的は、帯電性の低下及び電荷注入に
起因するスポツトの生じない、均一性の優れたシ
ランカツプリング剤を含有する電荷注入阻止層を
有する電子写真感光体の製造方法を提供する事に
ある。

〔問題点を解決するための手段及び作用〕

金属支持体上にシランカツプリング剤を含有す
る電荷注入阻止層を作成する方法においては、従
来シランカツプリング剤を含有する液を塗布する
際の溶剤組成として、加水分解に必要なエチルア
ルコール及び水をベースにし、場合によつてトル
エン、メチルエチルケトン等の有機溶剤を添加し
たものが多く用いられている。このような溶剤組
成の場合、塗液が均一に広がらず塗膜の均一性が
低下する事がある。本発明者等は種々の実験をし
た結果、エタノール／水に炭素原子数４以上の脂
肪族アルコールを加える事により上記の問題を防
止出きる事を見い出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は金属支持体２にシランカツ
プリング剤を含有する電荷注入阻止層、電荷発生
層、電荷輸送層、必要に応じて保護層を順次積層
してなる電子写真感光体の製造方法において、シ
ランカツプリング剤をエタノール、水及び炭素原
子数が４以上の脂肪族アルコールからなる混合溶
剤に溶解した溶液を塗布、乾燥して電荷注入阻止
層を形成することを特徴とする。

炭素原子数４以上の脂肪族アルコールとして
は、具体的にはＮ−ブチルアルコール、アミルア
ルコール、ネオペンチルアルコール等が挙げられ
る。

本発明の電子写真感光体の製造方法で使用する
金属支持体としては、体積抵抗10¹⁰Ωcm以下の導
電性を有するもの、例えばAl、Cu、Ni等の金属
板又は、プラスチツク表面に前記金属を蒸着又は
スパツタリングによつて被覆した材料が挙げられ
る。

シランカツプリング剤としては、一般に使用さ
れているものが使用でき、具体的にはビニルトリ
クロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリス（β−メトキシエトキシ）シラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
Ｎ−β−（アミノエチル）−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、Ｎ−β（アミノエチル）−γ−
アミノプロピルメチルシメトキシシラン、γ−ク
ロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン等が挙げられる。注入阻
止層の膜厚は5μ以下、好ましくは1μ以下である。
電荷発生層としては、光を吸収し、極めて高い効
率で電荷担体を発生するセレン、セレン−テル
ル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルフア
スシリコンなどの無機物質、ピリリウム系染料、
チオピリリウム系染料、トリアリ−ルメタン染
料、チアジン染料、シアニン染料又は顔料、フタ
ロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、インジゴ系
顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔
料、アゾ系顔料、多環キノン系顔料などの有機物
質からなる種々の電荷発生材料から選ばれる電荷
発生材料とバインダー樹脂からなる層、あるいは
樹脂を含まない染料又は顔料からなる層などを用
いる事ができ、特定の材料との組み合せに限定さ
れるものでない。電荷発生層の膜厚は5μ以下、
好ましくは、0.01〜1μが望ましい。

使用される粘着樹脂としては、ポリビニルブチ
ラール、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、フエノキシ樹脂、アクリル系樹脂、
ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリビニルピ
リジン樹脂、アルキツド樹脂、ウレタン、エポキ
シ、セルローズ系、カゼイン、ポリビニルアルコ
ールなどの各種樹脂類が用いられる。又電荷発生
層で発生した正孔を輸送する層に用いる正孔輸送
性物質としては、ピレン、Ｎ−エチルカルバゾー
ル、Ｎ−イソプロピルカルバゾール、ｐ−ジエチ
ルアミノベンズアルデヒド−Ｎ，Ｎ−ジフエニル
ヒドラゾン、Ｎ，Ｎ−ジフエニルヒドラジノ−３
−メチリデン−９−エチルカルバゾールなどのヒ
ドラゾン類、２，５−ビス（ｐ−ジエチルアミノ
フエニル）−１，３，４−オキサズアゾール、１
−フエニル−３−（ｐ−ジエチルアミノフエニル）
−５−（ｐ−ジエチルアミノフエニル）ピラリゾ
ンなどのピラゾリン類、２−（ｐ−ジエチルアミ
ノスチリル）−６−ジエチルアミノベンズオキサ
ゾール、２−（ｐ−ジエチルアミノフエニル）−４
−（ｐ−ジメチルアミノフエニル）−５−（２−ク
ロルフエニル）オキサゾールなどのオキサゾール
系化合物、２−（ｐ−ジエチルアミノスチリル）−
６−ジエチルアミノベンゾチアゾールなどのチア
ゾール系化合物、ビス（４−ジエチルアミノ−２
−メチルフエニル）−フエニルメタンなどのトリ
アリールメタン系化合物、トリフエニルアミン、
ポリ−Ｎ−ビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリ
−Ｎ−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、
ポリビニルアンスラセン、ポリビニルアクリジ
ン、ポリ−９−ビニルフエニルアンスラセン、ピ
レン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾー
ルホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。

電荷移動層に使用される結着剤は、電荷発生層
に使用されるものが使用出来る。なおこの感光体
には、耐厚耗性、耐湿度性向上等の目的の為に電
荷移動層にさらに保護層を積層する事もできる。

〔実施例〕

以下実施例および比較例を挙げて本発明の電子
写真感光体の製造方法に説明する。

実施例 １ アミノプロピルトリエトキシシラン １ｇ エタノール 90ｇ 水 ５ｇ Ｎ−ブタノール ５ｇ 上記処方の塗布液をマグネチツクスターラーで
30分攪拌し、アルミシート上へバーコーターを用
い0.01μの膜厚の塗膜を作成し、120℃で３分間熱
風乾燥して、注入阻止層とした。上記注入阻止層
上へ下記のＡ液をバーコーターで2μの厚さに塗
布し、120℃で５分間乾燥し電荷発生層とした。
さらにその上へ下記のＢ液を用いブレードコータ
ーで25μ厚の塗膜を作成し120℃で５分間乾燥し
電荷移動層とした。得られた感光体をマイナス
800Vに帯電させ、ベタ黒コピーを取り評価した
ところ注入による白点のない均一なコピーが得ら
れた。

Ａ液： β型銅フタロシアニン 10ｇ 硬化型アルキツド樹脂 40ｇ トルエン 50ｇ 塩化メチレン 50ｇ 上記処方のものを、ボールミルを用い２時間分
散しＡ液とした。

Ｂ液： ポリビニールカルバゾール 100ｇ ポリカーボネート樹脂 20ｇ テトラヒドロフラン 100ｇ 比較例 １ アミノプロピルトリエトキシシラン １ｇ エタノール 80ｇ 水 ５ｇ トルエン 15ｇ 上記処方の塗布液をマグネチツクスターラーで
30分攪拌し、アルミシート上へバーコーターを用
い0.01μｍの塗膜を作成し、140℃にて３分間熱風
乾燥して、注入阻止層とした。上記注入阻止層上
へ実施例１と同一の電荷発生層及び電荷移動層を
積層し感光体を作成した。得られた感光体をマイ
ナス800Vに帯電させベタ黒コピーを取り評価し
た結果、注入ムラと見られる白点が多数観察され
た。

実施例 ２ γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン ５ｇ エタノール 90ｇ 水 ５ｇ ブタノール ５ｇ なる塗液をマグネチツクスターラーで30分攪拌
し、Al蒸着ポリエチレンテレフタレートフイル
ム上へ0.3μｍの膜厚の塗液をバーコーターで作成
し、120℃にて５分間熱風乾燥して注入阻止層と
した。得られた塗膜をルーペ（×50倍）で観察し
た結果塗布ムラのない均一な塗膜が形成されてい
た。

比較例 ２ γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン ５ｇ エタノール 90ｇ 水 10ｇ なる塗液を用いて実施例２と同一の方法で0.3μｍ
の塗膜を作成、得られた塗膜をルーペ（×50倍）
で観察したところ塗液が均一に広がつてなく、縞
状に付着している事が観察された。

〔発明の効果〕

本発明によればシランカツプリング剤を含有す
る電荷注入阻止層を均一に塗布できるため、本発
明で製造される感光体は帯電性の低下がみられ
ず、画質上に電荷注入に起因するスポツトを生ず
ることがない。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属支持体上にシランカツプリング剤を含有
   する電荷注入阻止層、電荷発生層、電荷輸送層、
   必要に応じて保護層を順次積層してなる電子写真
   感光体の製造方法において、シランカツプリング
   剤をエタノール、水及び炭素原子数が４以上の脂
   肪族アルコールからなる混合溶剤に溶解した溶液
   を塗布、乾燥して電荷注入阻止層を形成すること
   を特徴とする電子写真感光体の製造方法。