JPH0232971B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は座席等に用いられるパツドの成形方法
に関し、更に詳細に説明すると、発泡合成樹脂を
発泡成形し、パツドの一部に異硬度部を形成する
異硬度パツドの成形方法に関する。

従来より自動車等の座席のパツドに異硬度部を
形成し、座席のホールド感を向上させ、或いは感
触の優れた座席を得るようになされている。この
パツドに異硬度部を形成する方法としては、基本
配合の異なる２種類以上の発泡合成樹脂の原液を
用い、この異なる発泡合成樹脂の原液を発泡成形
型に別々注入する事により部分的に硬度の異なる
異硬度パツドを形成するもの、或いは別途形成さ
れたインサート材を発泡成形型に挿入し、この状
態で発泡合成樹脂の原液を注入し、発泡成形する
事により異硬度パツドを形成するもの等が存在す
る。

然し乍ら、従来の異硬度パツドの成形方法にお
いて、前者は基本配合の異なる少なくとも２種類
の発泡合成樹脂を用いるので、これらの保管設備
や制御設備等を必要とし、作業能率の向上及び作
業環境の改善を阻害しており、後者はインサート
材を別途形成する必要があり、またインサート材
をパツド材の所定の位置に配置する作業が煩雑で
作業能率を向上させる事が出来ない欠点を有して
いた。

本発明の目的は同一基本配合の１種類の発泡合
成樹脂を用い、且つインサート材を用いる事なく
２種類以上の硬度を有する異硬度パツドを簡単な
装置により簡易迅速に得る事が出来、作業能率の
向上及び作業環境を改良する事が出来る経済性に
優れた異硬度パツドの成形方法を提供するもの
で、以下図面を参照して詳述する所より明らかと
なるであろう。

第１図には本発明に係る異硬度パツドの成形方
法を実施するための発泡成形型の１実施例の概略
が示されており、この成形型１は座席のクツシヨ
ンパツドを成形する場合として示されているが、
座席等のクツシヨンパツドの成形に限定されるも
のではない。

成形型１は下型２と中型３とにより成形すべき
異硬度パツドの外形に対応する成形室４が形成さ
れており、下型２の上端縁はクランク状に外方に
延設された固定部５が形成され、下型２の左右に
は一対の凹部２ａが形成されている。前記固定部
５の下部側の一部にゴム材等より形成されたシー
ル材６が設けられ、このシール材６上部に中型３
が開閉自在に載置されている。中型３には小孔３
ａが穿設されている。

前記中型３の上部には適宜の空間を保つて上型
７が開閉自在に載置され、この上型７と中型３と
により気圧調整室９が形成されるようになされて
いる。上型７の下部には外方に延設された固定部
１０が形成され、固定部１０の内側部がゴム材等
により形成されたシール材１１を介して前記中型
３の端部に載置され、また固定部１０の外側部が
前記下型２の固定部５の外側部と共に固着部材１
３により開閉自在に取付けられている。

前記上型７には気圧調整室９内の気圧を減圧及
びまたは増圧調整し得る気圧調整装置２１が連結
パイプ２３を介して連結されている。気圧調整装
置２１は真空ポンプまたは圧縮ポンプ等により形
成され、気圧調整室９内の気圧を減圧したい場合
には真空ポンプを作動させて気圧調整室９内のエ
アを排出し、増圧したい場合には圧縮ポンプを作
動させて気圧調整室９内にエアその他のガスを注
入して夫々気圧調整が行なわれる。尚、符号２２
は圧力調整弁であり、２４は電磁弁である。

尚、上記実施例においては中型３と上型７とを
別個形成し、シール材１１を介して着脱状態とし
たものが示されているが、中型３を上型７に溶接
その他の手段により固着させたものであつてもよ
い。

次に本発明の成形方法を第２図乃至第６図に基
づき説明する。

第２図に示す如く、成形型１の上型７及び中型
３を開いた状態で所定の基本配合からなる発泡合
成樹脂の原液３１′を下型２の凹部２ａに夫々注
入する。この発泡合成樹脂の原液３１′の注入量
は成形すべきパツド部の一部分を構成する量であ
り、本実施例においてはパツド部の両サイド部分
にのみ異硬度部を形成する場合として示されてい
る。

次に第３図に示す如く、下型２に中型３及び上
型７を載置し、下型２と上型７の固定部５及び１
０を夫々固着部材１３により固着し、成形型１を
閉じ、気圧調整装置２１を作動させ、気圧調整室
９の気圧を設定した第１の気圧下に保持し、前記
発泡合成樹脂の原液３１′を発泡キユアさせ、第
１の硬度を有する第１のパツド部３１Ａを下型２
の凹部２ａに形成する。

次に第４図に示す如く、気圧調整装置２１を停
止し、成形型１の上型７及び中型３を再び開状態
とし、下型２の前記第１の硬度を有する第１のパ
ツド部３１Ａの上部に前記と同一の基本配合から
なる発泡合成樹脂の原液３１′を注入する。この
発泡合成樹脂の原液３１′の注入量は、前記第１
のパツド部３１Ａを除いた成形量に対応する量で
ある。

発泡合成樹脂の原液３１を必要量注入した後、
第５図に示す如く、成形型１を閉じ、気圧調整装
置２１を再び作動させ、気圧調整室９の気圧を前
記設定した第１の気圧とは異なる第２の気圧下に
保持し、前記発泡合成樹脂の原液３１′を発泡キ
ユアさせ、前記第１の硬度を有する第１のパツド
部３１Ａとは異なる第２の硬度を有する第２のパ
ツド部３１Ｂを前記第１のパツド部３１Ａと一体
的に成形し、気圧調整装置２１を停止させ、成形
型１より異硬度パツド３１を取り出す（第６図参
照）。

尚、上記実施例において第１及び第２の気圧の
うち何れか一方を大気圧として実施すれば、異硬
度パツド３１の成形能率を著しく向上させる事が
出来、また、本実施例においては第１及び第２の
硬度を有する第１及び第２のパツド部３１Ａ及び
３１Ｂを有する異硬度パツド３１の成形方法を示
したが、発泡合成樹脂の原液３１′の注入工程を
１工程増加し、各注入工程における発泡合成樹脂
の原液３１′の注入量を変更すれば、第７図に示
す如く、上部に第１の硬度を有する第１のパツド
部３１Ａが、中部に第２の硬度を有する第２のパ
ツド部３１Ｂが、下部に第３の硬度を有する第３
のパツド部３１Ｃが夫々形成された異硬度パツド
３１を得る事が出来、前記注入工程毎に気圧調整
装置を作動させ、或いは大気圧と減圧，大気圧と
増圧，増圧と大気圧と減圧の如く気圧調整室の気
圧を調整する事により、種々のパターンの異硬度
パツド３１を得る事が出来る。

以上が本発明に係る異硬度パツドの成形方法の
一実施例の概略であるが、斯る方法に依れば、同
一基本配合の１種類の発泡合成樹脂を用い、且つ
インサート材を用いる事なく２種類以上の硬度を
有する異硬度パツドを簡易な装置及び作業により
極めて容易に得る事が出来、小ロツトで多品種の
異硬度パツドが得られ、著しく経済性に優れ、作
業が簡易であるので作業能率を向上させ、また１
種類の基本配合からなる発泡合成樹脂を用いるだ
けであるので作業環境を改善する事が出来る等
種々の効果を有する異硬度パツドの成形方法を得
る事が出来る。

尚、上述においては本発明の一実施例を示した
に留まり、成形型１は上述の形状のものに限ら
ず、気圧を調整し得る雰囲気中で発泡合成樹脂の
原液を発泡成形し得るものであれば、通常の下型
と上型とからなる成形型であつてもよく、その他
本発明の精神を脱する事なしに種々の変形変更を
なし得る事明らかであろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る異硬度パツドの成形方法
の実施に用いられる成形型の一実施例の概略を示
す断面説明図、第２図乃至第６図は本発明に依る
成形方法の各工程を夫々示すもので、第２図及び
第３図は夫々第１のパツド部を形成する状態を示
す断面説明図、第４図及び第５図は夫々第２のパ
ツド部を形成する状態を示す断面説明図、第６図
は第２図乃至第５図に示す成形工程により成形さ
れた異硬度パツドの概略的断面説明図、第７図は
本発明の異なる実施例により成形された異硬度パ
ツドの概略的断面説明図である。 図中、１…成形型、２…下型、３…中型、４…
成形室、７…上型、９…気圧調整室、２１…気圧
調整装置、３１′…発泡合成樹脂の原液、３１Ａ
…第１のパツド部、３１Ｂ…第２のパツド部、３
１Ｃ…第３のパツド部、３１…異硬度パツド。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 型内の気圧を調整し得る成形型の下型に成形
   すべきパツドの一部分を構成する発泡合成樹脂の
   原液を注入し、前記成形型の下型に上型を載置し
   て型内を設定した第１の気圧下に保持し、前記発
   泡合成樹脂の原液を発泡キユアさせ、第１の硬度
   を有する第１のパツド部を成形し、次に成形型を
   開いて成形型内の第１のパツド部の上部に前記と
   同一の発泡合成樹脂の原液を注入し、成形型を閉
   じて型内を設定した第２の気圧下に保持し、前記
   発泡合成樹脂の原液を発泡キユアさせ、前記第１
   の硬度を有する第１のパツド部と一体的に第２の
   硬度を有する第２のパツド部を成形する事を特徴
   とする異硬度パツドの成形方法。