JPH0226652Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は発泡合成樹脂の成形型に関する。

従来の発泡合成樹脂の成形型は上型と下型とか
ら構成され、下型に発泡合成樹脂の原液を注入
し、下型に上型を載電して所定の発泡条件下にお
いて発泡合成樹脂成形品を発泡成形し得るように
構成されている。然し乍ら、従来の成形型を用い
て種々異なる硬度及び密度の発泡合成樹脂成形品
を得る場合に、主原料の品種の選択と、他の主原
料である水の配合比率の増減及び発泡助剤である
フレオン等の配合比率の増減等の手段により行な
われている。このように主原料の配合を変化させ
るとキユア温度，キユア時間が夫々変化し、また
配合の変化によつて目的とする成形品の物性が変
化し、所望の硬度及び密度の発泡合成樹脂成形品
を複数種類形成する場合に、各々の配合や発泡条
件は全て異なり、発泡合成樹脂の主原料の単一の
配合に基づき簡易迅速に複数種類の発泡合成樹脂
成形品を得る事が出来ない欠点を有していた。

本考案者は成形型内に発泡合成樹脂の原液を注
入し、この発泡合成樹脂の原液を発泡させる際
に、前記成形型を気圧を調節し得る雰囲気中に配
置し、発泡合成樹脂の原液を種々の気圧のもとで
発泡，キユアさせる事により、種々の気圧に対応
する夫々一定の硬度及び密度を有する発泡合成樹
脂成形品が得られる事を見い出した（第１図参
照）。

本考案の目的は発泡合成樹脂の主原料の配合に
変化を与えることなく、成形型を気圧を調節し得
る雰囲気中に配置して発泡成形したと同様の硬度
及び密度を有する種々の発泡合成樹脂成形品を簡
易迅速に得る事が出来る発泡合成樹脂の成形型を
提供するもので、以下図面を参照して詳述する所
より明らかとなるであろう。

第２図には本考案に係る発泡合成樹脂の成形型
の第１実施例の概略が示されており、この成形型
１は、座席等のクツシヨンパツドを成形する場合
として示されているが、座席等のクツシヨンパツ
ドの成形に限定されるものではない。

成形型１は下型２と中型３とにより成形すべき
発泡合成樹脂成形品の外形に対応する成形室４が
形成されており、下型２の上端縁にはクランク状
に外方に延設された固定部５が形成され、この固
定部５の下部側の一部にゴム材等より形成された
シール材６が設けられ、このシール材６上部に中
型３が開閉自在に載置されている。中型３には小
孔３ａが穿設されている。

前記中型３の上部には適宜の空間を保つて上型
７が開閉自在に載置され、この上型７と中型３と
により気圧調整室９が形成されるようになされて
いる。上型７の下部には外方に延設された固定部
１０が形成され、固定部１０の内側部がゴム材等
により形成されたシール材１１を介して前記中型
３の端部に載置され、また固定部１０の外側部が
前記下型２の固定部５の外側部と共に固着部材１
３により開閉自在に取付けられている。

気圧調整室９の容量を、下型２と中型３とで形
成される成形室４の容量に、発泡合成樹脂の発泡
キユアの際に発生するガス量を加えた容量に形成
すれば、成形室１のエアと、発泡キユアの際に発
生するガスが気圧調整室９内に中型３の透孔３ａ
より押し出される。また気圧調整室９の容量を小
さく形成した場合には、前記エア及びガスにより
気圧調整室９内の圧力が高くなり、発泡合成樹脂
の発泡倍率を低くおさえる事となり、硬度及び密
度の高い発泡合成樹脂成形品が得られる。尚、成
形型１は気圧調整室９の容量が小さくなればなる
程耐圧性能を向上させて形成し、必要に応じて圧
力調整弁，安全弁等を設ける。

以上が本考案に係る発泡合成樹脂の成形型の第
１実施例の概略であるが、発泡合成樹脂の主原料
と、発泡助剤等の添加剤の基本配合を決定し、成
形型１の下型２に発泡合成樹脂の原液を注入し、
中型３を閉じて上型７を載置し、下型２と上型７
の固定部５及び１０を夫々固着部材１３により固
着し、発泡合成樹脂の原液を発泡キユアさせて発
泡合成樹脂成形品を得る事が出来る。次に気圧調
整室９の容量を変化させて、即ち異なる容量の形
状の異なる上型７を用いる事により、気圧調整室
９及び成形室４の気圧を変化させる事が出来、同
一配合の発泡合成樹脂の原液を用いた場合にも硬
度及び密度の異なる発泡合成樹脂成形品を極めて
容易に得る事が出来る。更に下型２に注入される
発泡合成樹脂の原液の基本配合が同一であるので
異なる硬度及び密度の成形品を得る場合に、種々
の配合の発泡合成樹脂原液の保管設備や制御設備
等が不要で、作業環境を改善する事が出来る。
尚、上型７の容量の異なるものを種々用いるもの
に替えて、一つの上型で容量を種々変更し得る構
成の上型を用いる事も出来る。

第３図には本考案に係る発泡合成樹脂の成形型
の第２実施例が示されており、第１実施例と対応
する部分には同一符号を付してこれ以上の詳細説
明はこれを省略するも、前記成形型１の上型７に
気圧調整室９内の気圧を減圧及びまたは増圧調整
し得る気圧調整装置２１が連結されている事を除
いては第１実施例と同様の構成を有するものであ
る。気圧調整装置２１は真空ポンプまたは圧縮ポ
ンプ等により形成され、気圧調整室９内の気圧を
減圧したい場合には真空ポンプを作動させて気圧
調整室９内のエアを排出し、増圧したい場合には
圧縮ポンプを作動させて気圧調整室９内にエアそ
の他のガスを注入して夫々気圧調整が行なわれ
る。尚、符号２２は圧力調整弁である。

斯る第２実施例においては、第１実施例と同様
に気圧調整室９内の気圧を増減調整し得ると共
に、気圧調整装置２１としての真空ポンプを作動
させれば、気圧調整室９内の気圧を大気圧より低
い減圧状態とする事が出来、また一定の減圧状態
を保つもののほか、発泡開始時と発泡終了時とで
異なる気圧にしてもよく、減圧，増圧を種々変化
させる事が出来、そのために上型７を交換する必
要もなく、個々の圧力調整を簡易迅速に行なう事
が出来る。

本考案は依れば、発泡合成樹脂の基本配合を変
える事なく、気圧調整室内の気圧に対応して成形
室の気圧が調整され、大型なプラント全体の圧力
調整が不必要であり、個々の成形型を独立して圧
力調整が出来、然も気圧調整室の気圧の調整は上
型のみの変更或いは気圧調整装置により極めて容
易に行なえ、異なる硬度及び密度を有する種々の
発泡合成樹脂成形品を極めて容易に得る事が出来
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は気圧の変化に対する発泡合成樹脂の密
度及び25％圧縮硬度の一実施例を示す線図、第２
図は本考案に係る発泡合成樹脂の成形型の第１実
施例を示す概略的断面説明図、第３図は成形型の
第２実施例を示す概略的断面説明図である。 図中、１……成形型、２……下型、３……中
型、３ａ……透孔、４……成形室、７……上型、
９……気圧調整室、２１……気圧調整装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 下型と中型とにより成形すべき発泡合成樹脂
   成形品の外形に対応する成形室を形成し、前記
   中型の上部に上型を配設して中型と上型とによ
   り気圧調整室を形成し、前記成形室と気圧調整
   室とは中型に形成した透孔を介して連通させ、
   前記成形室に発泡合成樹脂の原液を注入して発
   泡成形する際に気圧調整室内の気圧に対応して
   成形室の気圧が調整されるように構成されてい
   る事を特徴とする発泡合成樹脂の成形型。 (2) 前記上型には気圧調整室内の気圧を減圧また
   は増圧調整し得る気圧調整装置が連結されてい
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の発泡合成樹脂の成形型。