JPH0227905Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、炉内のヤニ成分を効果的に排出する
ようにした塗装乾燥炉に関する。

（従来技術） 従来、第３図に示す如く、自動車ボデー１の塗
装を乾燥する乾燥炉２内においては、塗膜の有機
溶剤の揮発分（ヤニ成分）が、特に炉内温度が低
くなる入口部３や出口部４で凝結し、天井部に付
着してヤニとなり、このヤニが落下してボデー１
を汚し、塗膜不良が発生する原因となつていた。

このため、同図に示す如く、炉２内の高温排気
ガスとブロア５で送風される空気とを熱交換器６
により熱交換して、この加熱された空気を入口部
３と出口部４に設けたダクト７，８から吹出すこ
とにより、入口部３と出口部４を暖めて、揮発分
の凝結を防止するようにしたものが提案されてい
るが（実開昭57−182095号公報参照）、入口部３
において特に多量に発生するヤニ成分が炉２内全
体に拡散するので、他部、すなわち炉の中央部側
でも部分的に温度が低い炉壁などにヤニ成分が付
着堆積し、この堆積が進むと、ヤニ成分が落下し
て塗膜に悪影響を及ぼす恐れがあつた。

（考案の目的） 本考案は、上記従来の問題を解決するためにな
されたもので、塗装乾燥炉の入口部で多量に発生
するヤニ成分を効果的に排出できる塗装乾燥炉を
提供することを目的とするものである。

（考案の構成） このため本考案は、被乾燥物の出入口部を備え
た塗装乾燥炉であつて、炉本体の天井部は略水平
に形成され、入口部付近の天井部には上方へ突出
する突出部が形成され、入口部から上記突出部の
間の天井部には漸変する上昇斜線部が形成される
一方、上記突出部には、有機成分を含む排気ガス
を排出する排気ダクトが接続され、該排気ダクト
の途中には熱交換器が介設されると共に、該熱交
換器で上記排気ガスと熱交換された空気をさらに
バーナで加熱して熱風とし、該熱風を上昇傾斜部
の下方の入口部に開放される吹出口からのみ炉内
に向けて吹出すダクトが設けられることを特徴と
するものである。

（考案の効果） 本考案によれば、炉の入口部付近の天井部を突
出させて突出部を形成すると共に、入口部から突
出部の間の天井部に漸変する上昇傾斜部を形成し
たものであるから、入口部で多量に発生する有機
（ヤニ）成分が上昇傾斜部に沿つて上昇し、この
突出部に集中するようになり、集中した有機成分
を排気ガスとともに排気ダクトから速やかに排出
できるので、有機成分が炉内全体に拡散すること
がなく、他部に悪影響を及ぼす恐れがなくなる。

また、排気ダクトの熱交換器で熱交換してバー
ナで加熱した熱風（高温空気）を入口部から炉内
に吹出すので、入口部の雰囲気中の有機成分濃度
が薄くなり、しかも高温空気で積極的に有機成分
を含む排気ガスを突出部に追い込むようになり、
入口部における有機成分の発生を未然に抑制でき
るようになる。

（実施例） 第１図に示すように、自動車ボデー１０用の山
型塗装乾燥炉１１は、トンネル状の炉本体１２を
備え、該炉本体１２内の上部に、入口部１３から
出口部１４に至るハンガーレール１５が吊設され
る一方、炉本体１２に対しては、ブロア１６、バ
ーナ１７、循環フアン１８が設けられ、ブロア１
６で送風される燃焼用空気をバーナ１７に供給し
て、燃焼ガスを循環フアン１８により炉本体１２
内に供給するとともに、炉本体１２内の燃焼ガス
をバーナ１７で再加熱して、循環フアン１８によ
り再び炉本体１２内に供給する乾燥用熱風の循環
通路１９が形成されている。

一方、上記炉本体１２の入口部１３において、
上昇傾斜部分と水平部分とが交わる天井部１２ａ
を、他の部分の天井部１２ａより上方へ突出させ
て突出部１２ｂを形成する。

そして、該突出部１２ｂの頂部には排気ダクト
２０を接続し、該排気ダクト２０の途中には、フ
アン２１と熱交換器２２と排気ガス処理装置２３
とを設ける。

上記熱交換器２２に対しては、ブロア２４が設
けられ、該ブロア２４で送風される空気を熱交換
器２２により熱交換して、この加熱された空気
を、さらにバーナ２５で加熱した後に、入口部１
３に設けたダクト２６から炉１２内に吹出すよう
になつている。

上記排気ガス処理装置２３は、排気ガス燃焼
炉、または排気ガス中のヤニ成分を吸着するフイ
ルターで構成される。

上記のように塗装乾燥炉１１を構成すれば、自
動車ボデー１０を吊支持したハンガー２７が、ハ
ンガーレール１５によつて搬送され、入口部１３
から炉本体１２内に入り、出口部１４から炉本体
１２外に出る過程で、自動車ボデー１０の塗膜が
熱風等により乾燥されるようになる。

そして、入口部１３で多量に発生したヤニ成分
は天井部１２ａの突出部１２ｂに集中し、このヤ
ニ成分はフアン２１により排気ガスとともに排気
ダクト２０から熱交換器２２を介して排気ガス処
理装置２３に送られ、該排気ガス処理装置２３で
ヤニ成分が除去された後に外部へ排出されるよう
になる。

これにより、入口部１３で多量に発生したヤニ
成分は速やかに炉１２外へ排出されるので、炉１
２内全体に拡散しなくなり、他部に悪影響が及ば
なくなる。

一方、ブロア２４で送風される空気は、熱交換
器２２で排気ガスと熱交換され、バーナ２５で加
熱された後に、ダクト２６から炉１２内に吹出さ
れる。

これにより、加熱空気が入口部１３に吹出され
るので、入口部１３の雰囲気中のヤニ成分濃度が
薄くなり、しかも高温空気で積極的にヤニ成分を
含む排気ガスを突出部１２ｂに追い込むようにな
り、入口部１３におけるヤニ発生が未然に抑制さ
れる。

上記実施例は、山型塗装乾燥炉１１を例にとつ
たが、第２図に示すように、平型塗装乾燥炉３０
にも適用できる。なお、第１図の実施例と同一構
成・作用の箇所は同一番号を付して説明は省略す
る。

平型塗装乾燥炉３０は、該炉本体１２内の下部
に、入口部１３から出口部１４に至る台車レール
２８が敷設されていて、自動車ボデー１０を搭載
した台車２９が、台車レール２８上を走行して、
入口部１３から炉本体１２内に入り、出口部１４
から炉本体１２外に出る過程で、自動車ボデー１
０の塗膜が熱風等により乾燥されるのである。

なお、上記各実施例の排気ガス処理装置２３と
しての排気ガス燃焼炉を熱交換器２２の部分に配
設して、燃焼ガスによる空気の加熱を促進させる
ようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る山型塗装乾燥炉の横断面
図、第２図は本考案に係る平型塗装乾燥炉の横断
面図、第３図は従来の塗装乾燥炉の側面図であ
る。 １０……自動車ボデー、１１，３０……塗装乾
燥炉、１２……炉本体、１２ａ……天井部、１２
ｂ……突出部、１３……入口部、１４……出口
部、２０……排気ダクト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 被乾燥物の出入口部を備えた塗装乾燥炉であつ
   て、 炉本体の天井部は略水平に形成され、入口部付
   近の天井部には上方へ突出する突出部が形成さ
   れ、入口部から上記突出部の間の天井部には漸変
   する上昇傾斜部が形成される一方、上記突出部に
   は有機成分を含む排気ガスを排出する排気ダクト
   が接続され、該排気ダクトの途中には熱交換器が
   介設されると共に、該熱交換器で上記排気ガスと
   熱交換された空気をさらにバーナで加熱して熱風
   とし、該熱風を上昇傾斜部の下方の入口部に開放
   される吹出口からのみ炉内に向けて吹出すダクト
   が設けられていることを特徴とする塗装乾燥炉。