JPH07124513A - 塗料の連続焼付け乾燥装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 炉内ガス中の高温の樹脂成分が低温の外気と
接触することによるヤニ化を防止し、より高品質の製品
を製造することができる塗料の連続焼付け乾燥装置を提
供すること。 【構成】 塗料を塗布した金属材を乾燥炉内へ連続的に
通過させ、乾燥炉内のガスを取り出して再び乾燥炉内に
供給する循環ダクトを通じて、前記乾燥炉の排ガスとの
熱交換により加熱した清浄空気の熱風を熱風供給ダクト
により前記乾燥炉へ供給するようにした連続焼付け乾燥
装置において、前記熱風供給ダクトの途中にダンパを介
して外気取入口を接続し、前記ダンパが、前記熱風の温
度と前記乾燥炉の設定温度との温度差に基づいて開閉さ
れるように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、塗料を塗布した金属
材を炉内へ連続的に通過させ、炉内に熱風を連続供給す
ることにより、前記塗料を金属材へ焼付け乾燥させる塗
料の連続焼付け乾燥装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図３を参照しながら従来の連続焼付け乾
燥装置を説明する。帯状の金属材１（この従来例ではア
ルミニウム合金）は、塗工ロ−ル１０により塗料が連続
的に塗布され、乾燥炉２内を連続的に通過させる過程
で、熱風により塗料が焼き付けられ乾燥される。乾燥炉
２は、金属材１の通過方向に沿って複数のゾ−ン２０，
２１，２２に区分されており、炉内温度は入口２ａ側の
ゾ−ン２０が最も低く、出口２ｂ側のゾ−ン２２が最も
高くなるように設定されている。塗料は有機溶剤をベ−
スにしており、装置の爆発を防ぐために排気ダクト３を
介してブロワ３０により乾燥炉２内のガスを一部排気
し、その排ガスは脱臭炉３１により燃焼無害化し、熱交
換器４に導いて熱回収を行った後煙突３２から大気中に
放出するようになっている。

【０００３】熱交換器４内のダクトにはブロワ７４によ
り外部の清浄空気を取り入れ、この清浄空気を加熱した
熱風を、熱風供給ダクト７により、各ゾ−ン２０，２
１，２２からガスを取り出して再び戻す各循環ダクト２
３，２４，２５を介して各ゾ−ン２０，２１，２２へ供
給して、乾燥炉２内を加熱するように構成されている。
熱風供給ダクト７は、本ダクト７０とこの本ダクト７０
から分岐された各枝ダクト７１，７２，７３とで構成さ
れ、各枝ダクト７１，７２，７３が各循環ダクト２３，
２４，２５へ接続されている。各循環ダクト２３，２
４，２５には、加熱手段（バ−ナ）５及びブロワ６を設
けるとともに、ゾ−ン２０，２１，２２からの吸込口寄
りに、ダンパを介して外気取入口８’を接続している。
そして、熱交換器４から供給される熱風の温度が当該ゾ
−ンの設定温度よりも低いときは、加熱手段５で加熱昇
温させることにより、また、前記熱風の温度が当該ゾ−
ンの設定温度より高いときは、外気取入口８’を開いて
外気を取り入れることにより、当該ゾ−ンの温度を調節
するように構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この種の連続焼付け乾
燥装置では、循環ダクトを循環する各ゾ−ンのガスは塗
料の樹脂成分を含んでおり、外気取入口８’を開けて当
該循環ダクト内に外気を取り入れたとき、ガス中の温度
の高い樹脂成分が低温の外気と接触することにより結露
してヤニ状になり、これが金属材１に付着して製品不良
を招く欠点があった。この発明の目的は、前述のような
欠点を改善し、より高品質の焼付け塗装金属材を製造す
ることができる連続焼付け乾燥装置を提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この出願に係る第１の発
明は前述の目的を達成するため、熱交換器から清浄な熱
風を循環ダクトを通じて乾燥炉に供給する熱風供給ダク
トの途中に、ダンパを介して外気取入口を接続し、前記
ダンパを、乾燥炉へ供給する熱風の温度と前記乾燥炉の
設定温度との温度差により開閉するように構成してい
る。すなわち、供給される熱風の温度が乾燥炉の設定温
度より高いとき、外気導入口のダンパを開いて外気を導
入することにより当該熱風の温度を下げる。前記従来の
装置のように、乾燥炉が金属材の通過方向に沿って複数
のゾ−ンに区分され、循環ダクトが各ゾ−ンごとに設置
され、かつ熱風供給ダクトの枝ダクトがいずれかの循環
ダクトに接続されている構成の場合には、外気取入口を
前記各枝ダクトの途中に接続する。この場合には、乾燥
炉へ供給される熱風の温度が当該ゾ−ンの設定温度より
高いときに当該枝ダクトの外気取入口を開いて外気を導
入する。

【０００６】この出願に係る第２の発明は前述の目的を
達成するため、前述の従来の装置のように、乾燥炉が金
属材の通過方向に沿って複数のゾ−ンに区分され、循環
ダクトが各ゾ−ンごとに設置され、かつ熱風供給ダクト
の枝ダクトがいずれかの循環ダクトに接続されている構
成において、前記ゾ−ンと同数の熱交換器を、前記乾燥
炉から取り出して燃焼処理した排ガスがその流れ方向に
沿って順々に導入される状態に設置し、前記排ガスの流
れ方向のより上側に位置する熱交換器からの熱風供給ダ
クトが、前記金属材の通過方向のより下側に位置するゾ
−ンの循環ダクトへ接続されるように構成している。

【０００７】

【作用】前述の第１の発明によれば、熱交換器から乾燥
炉へ供給される熱風の温度が当該乾燥炉の設定温度より
も高いときは、熱風の熱風供給ダクトの途中に接続され
た外気取入口を開くことにより、当該熱風の温度が設定
温度に下がるまで外気を取り入れる。この外気の導入に
より、熱風と冷たい外気とが予め混合されるので、前記
設定温度とほぼ等しい温度の熱風が循環ダクトを通じて
乾燥炉へ供給される。循環ダクトを流れている高温ガス
中の樹脂成分は冷たい外気と接触しないので、結露して
ヤニ状になることはない。

【０００８】前述の第２の発明によれば、乾燥炉から取
り出して燃焼処理された高温の排ガスは、当該ガスの流
れ方向に沿って設置されている複数の熱交換器で順次熱
交換される。この順々の熱交換により、排ガスの流れ方
向の最も上側に設置されている熱交換器から出る清浄空
気の熱風は最も温度が高く、排ガスの流れ方向のより下
側の熱交換器から出る熱風ほど温度は低くなる。そし
て、温度の高い熱風は金属材の通過方向の下側のゾ−ン
に供給され、より温度の低い熱風になるほど金属材の流
れ方向のより上側のゾ−ンに供給される。このように、
各熱交換器と各ゾ−ンとが対応していて熱風が独立の熱
風供給ダクトによりそれぞれのゾ−ンに供給され、か
つ、温度の高い熱風ほど金属材の流れ方向のより下側の
ゾ−ンに供給されるので、熱風を当該ゾ−ンの設定温度
に調節してそれぞれのゾ−ンに供給するのが非常に容易
になり、外気導入による熱風温度の調節の必要性は小さ
くなる。循環ダクトを流れる高温ガス中の樹脂成分は外
気と接触しないので、結露してヤニ状になることはない
し、燃焼処理された排ガスの排熱もより有効に活用され
て省エネルギ−効果が発揮される。

【０００９】

【実施例】図１及び図２により、この発明の好ましい実
施例を説明する。図１はこの発明による連続焼付け乾燥
装置の実施例を示す概略系統図、図２はこの発明による
他の連続焼付け乾燥装置の実施例を示す概略系統図であ
る。なお、以下の説明において、図３の従来の装置と同
一構成部分は同じ符号を付してそれらの説明は省略す
る。

【００１０】図１の実施例において、乾燥炉２から排出
され脱臭炉３１で燃焼処理された排ガスは、熱交換器４
に導かれる。ブロワ７４で熱交換器４に送り込まれた清
浄空気は加熱されて熱風になり、熱風供給ダクト７の本
ダクト７０、枝ダクト７１，７２，７３、及び各循環ダ
クト２３，２４，２５を介して、乾燥炉２のぞれぞれの
ゾ−ン２０，２１，２２へ供給される。このように供給
される熱風により、金属材１に塗布された塗料は当該金
属材１が乾燥炉２内を通過する過程で当該金属材１へ焼
付けられ、乾燥する。

【００１１】各枝ダクト７１，７２，７３には、途中に
ダンパ７５を設けるとともに、ダンパ７５の後方位置へ
それぞれダンパ８０を介して外気取入口８が接続され、
必要な際には、ブロワ８２により外気がそれぞれの枝ダ
クト７１，７２，７３へ導入されるように構成されてい
る。枝ダクト７１，７２，７３のダンパ７５より後方位
置には温度センサ８１，８１，８１が設置され、この温
度センサ８１の検出値により、各ダンパ７５及び８０が
それぞれ制御されるように構成している。また、各循環
ダクト２３，２４，２５にも図示されていない温度セン
サがそれぞれ設置されており、この温度センサの検出値
により、各加熱手段５が制御されるように構成してい
る。

【００１２】この実施例の連続焼付け乾燥装置は、ゾ−
ン２０，２１，２２の炉内温度が例えばそれぞれ１００
℃，２００℃，３００℃になるように設定されており、
それぞれの循環ダクト２３，２４，２５を経てゾ−ン２
０，２１，２２へ供給される熱風が、前述の設定温度以
下である場合には加熱手段５によりそれぞれの設定温度
まで加熱昇温させる。他方、熱交換器４から各循環ダク
ト２３〜２５へ供給される熱風の温度は各温度センサ８
１によって検出しており、その熱風の温度が当該ゾ−ン
の設定温度より高いときは、ダンパ８０を開いて低温の
外気を当該枝ダクト７１〜７３へ導入し、高温の熱風と
低温の外気を予め混合することによって、ほぼ設定温度
に調節した熱風を当該循環ダクトへ供給する。このと
き、ダンパ７５をしぼることにより高温の熱風と低温の
外気との混合比率を調節し、熱風の温度調節が行われる
ようになっている。

【００１３】前述の実施例の装置によれば、循環ダクト
２３〜２５内を流れる高温ガス中の樹脂成分は、外気導
入による熱風の温度調節時に低温の外気と接触しないの
で結露せず、ヤニ状にならない。したがって、製品不良
のない高品質の焼付け塗装金属材を製造することができ
る。

【００１４】図２の連続焼付け乾燥装置は、脱臭炉３１
で燃焼処理した排ガスの流れ方向に沿って、乾燥炉２の
ゾ−ン２０，２１，２２に対応した数の熱交換器４０，
４１，４２を順に設け、脱臭炉３１からの高温の排ガス
をこれらの熱交換器４０，４１，４２へ順々に導入する
とともに、各ブロワ７４で内部のダクトに取り入れた清
浄空気をそれぞれの熱交換器４０〜４２で加熱するよう
に構成している。そして、排ガスの流れ方向の最も上側
に位置する熱交換器４０で加熱された熱風の供給ダクト
７６を、金属材１の通過方向の最も下側に位置するゾ−
ン２２の循環ダクト２５へ、次の熱交換器４１からの熱
風供給ダクト７７をゾ−ン２２の下側のゾ−ン２１の循
環ダクト２４へ、最も下側の熱交換器４２からの熱風供
給ダクト７８を最も上側のゾ−ン２０の循環ダクト２３
ヘそれぞれ接続することにより、より高い温度の熱風が
金属材１の通過方向のより下側のゾ−ンへ供給されるよ
うにしている。

【００１５】この実施例の装置においては、より高温の
熱風がより高い設定温度のゾ−ンへ供給されるので、供
給される熱風の温度を当該ゾ−ンの設定温度以下に制御
するのが容易になり、外気導入の必要性が非常に少なく
なるとともに、燃焼処理された高温排ガスの熱が繰り返
し回収されるので、高い省エネルギ−効果が発揮され
る。また、熱交換器４０，４１，４２から供給されるそ
れぞれの熱風の温度が、それらに対応する各ゾ−ン２
２，２１，２０の設定温度以下になるように、各熱交換
器４０〜４２で調節させるべく構成することによって、
循環ダクト中で高温ガス中の樹脂成分が低温の外気と接
触することがなくなるので、ヤニが付着しない高品質の
焼付け塗装金属材を製造することができる。

【００１６】図２の実施例の装置では、熱交換器４０〜
４２から供給される熱風の温度を、それらに対応する各
ゾ−ン２２，２１，２０の設定温度以下に制御すること
に代えて、図１の実施例の温度センサ８１と同様な温度
センサを熱風供給ダクト７６〜７８の途中に設置し、ブ
ロワ７４の回転数を制御してそれぞれのゾーン２０〜２
２への送風量を変化させるように構成することもでき
る。

【００１７】前記実施例では、金属材１はアルミニウム
合金であるが、他の金属でも同様に実施することができ
る。

【００１８】

【発明の効果】この発明の連続焼付け乾燥装置によれ
ば、循環ダクト中を流れるガス中の高温の樹脂成分は、
低温の外気と接触しないためヤニ化することはなく、し
たがって、製品不良が生じないより高品質の焼付け塗装
金属材を製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明による連続焼付け乾燥装置の実施例を
示す概略系統図である。

【図２】この発明による他の連続焼付け乾燥装置の実施
例を示す概略系統図である。

【図３】従来の塗料の連続焼付け乾燥装置の概略系統図
である。

【符号の説明】

１ 金属材 １０ 塗工ロ−ル ２ 乾燥炉 ２ａ 入口 ２ｂ 出口 ２０，２１，２２ ゾ−ン ２３，２４，２５ 循環ダクト ３ 排気ダクト ３０，６，７４，８２ ブロワ ３２ 煙突 ４，４０，４１，４２ 熱交換器 ５ 加熱手段 ７，７６，７７，７８ 熱風供給ダクト ７０ 本ダクト ７１，７２，７３ 枝ダクト ８，８’ 外気取入口 ７５，８０ ダンパ ８１ 温度センサ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 塗料を塗布した金属材を連続的に通過さ
   せ、前記塗料を前記金属材に焼付け乾燥する乾燥炉と、 前記乾燥炉から取り出して燃焼処理した排ガスにより清
   浄空気を加熱する熱交換器と、 前記乾燥炉内のガスを取り出して再び当該乾燥炉に戻す
   ように構成され、途中に加熱手段を有する循環ダクト
   と、 前記熱交換器で加熱された清浄空気の熱風を前記循環ダ
   クトを通じて前記乾燥炉に供給する熱風供給ダクトとを
   備え、 前記熱風供給ダクトの途中にダンパを介して外気取入口
   を接続し、前記ダンパは、前記熱風の温度と前記乾燥炉
   の設定温度との温度差に基づいて開閉されることを特徴
   とする、塗料の連続焼付け乾燥装置。
2. 【請求項２】 前記乾燥炉は前記金属材の通過方向に沿
   って複数のゾ−ンに区分され、 前記循環ダクトは各ゾ−ンごとに設置され、 前記熱風供給ダクトは前記熱交換器に通ずる本ダクト
   と、この本ダクトから分岐されかつ前記いずれかの循環
   ダクトへ通ずる枝ダクトとから構成され、 前記外気取入口が前記各枝ダクトの途中に接続されてい
   る、請求項１に記載の塗料の連続焼付け乾燥装置。
3. 【請求項３】 複数のゾ−ンに区分され、塗料を塗布し
   た金属材を前記各ゾ−ンへ順次連続的に通過させること
   により、前記塗料を前記金属材に焼付け乾燥する乾燥炉
   と、 前記ゾ−ンの数と同数であって、前記乾燥炉から取り出
   して燃焼処理した排ガスがその流れ方向に沿って順々に
   導入される状態に設置された熱交換器と、 前記各ゾ−ン内のガスを取り出して再び当該ゾ−ンに戻
   すように構成され、途中に加熱手段を有する循環ダクト
   と、 前記各熱交換器で加熱された清浄空気の熱風を、前記い
   ずれかの循環ダクトを通じて前記乾燥炉へ供給するそれ
   ぞれの熱風供給ダクトとを備え、 前記各熱風供給ダクトと各ゾ−ンの循環ダクトとは、前
   記排ガスの流れ方向のより上側に位置する熱交換器から
   の熱風供給ダクトが、前記金属材の通過方向のより下側
   に位置するゾ−ンの循環ダクトへ接続される状態に構成
   されていることを特徴とする、塗料の連続焼付け乾燥装
   置。