JP2004036908A - 塗装焼付乾燥炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図り得る塗装焼付乾燥炉を提供する。
【解決手段】塗装焼付乾燥炉10は、左右のオーブン11L、11Rを並設したオーブン群12を備え、左オーブンにおける塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に設定する第4加熱系80が新設されている。第4加熱系は、専用のバーナが設けられておらず、高温条件に設定する第2加熱手段61に至る経路83と、第2加熱手段を迂回する経路84とを備え、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第2加熱手段を通過する熱風流量と第2加熱手段を迂回する熱風流量との比率を調整することにより温度調整した後に、当該熱風を導入した左オーブンの熱風吹出ダクト31Lに供給している。
【選択図】 図1
【解決手段】塗装焼付乾燥炉10は、左右のオーブン11L、11Rを並設したオーブン群12を備え、左オーブンにおける塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に設定する第4加熱系80が新設されている。第4加熱系は、専用のバーナが設けられておらず、高温条件に設定する第2加熱手段61に至る経路83と、第2加熱手段を迂回する経路84とを備え、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第2加熱手段を通過する熱風流量と第2加熱手段を迂回する熱風流量との比率を調整することにより温度調整した後に、当該熱風を導入した左オーブンの熱風吹出ダクト31Lに供給している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送されるワークの塗膜を加熱乾燥させる塗装焼付乾燥炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の塗装ラインは、被塗物となるワークを搬送するコンベアラインに沿って、ワークの塗膜を加熱乾燥させる塗装焼付乾燥炉が配置されている。塗装焼付乾燥炉は、トンネル形に形成されたオーブンを備えている。当該オーブンは、一般的に、ワークを輻射熱により加熱する輻射加熱ゾーンと、ワークを熱風の対流により加熱する熱風対流ゾーンとを含んでいる。
【0003】
自動車の部品には、樹脂製バンパなどの樹脂部品や、車体パネルなどのメタル部品がある。樹脂部品はメタル部品に比べて熱による変形を受けやすいため、樹脂部品専用の塗装焼付乾燥炉と、メタル部品専用の塗装焼付乾燥炉とが別個独立して設けられている。樹脂部品専用の塗装焼付乾燥炉は、比較的低温、例えば、80℃〜130℃の温度で、樹脂部品の塗膜を加熱乾燥させている。一方、メタル部品専用の塗装焼付乾燥炉は、比較的高温、例えば、140℃〜150℃の温度で、メタル部品の塗膜を加熱乾燥させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
バンパやバックドアなどの外装部品のように塗装された樹脂部品は、メタル部品と異なり板金修理を行うことができないため、交換して取り付けられる保守部品としての需要が多い。このため、樹脂部品に対する生産要求量は、メタル部品に対する生産要求量よりも一般的に多い。
【0005】
したがって、樹脂部品およびメタル部品のそれぞれに対する生産要求量が同等であるとの条件の下で、樹脂部品専用およびメタル部品専用のそれぞれの塗装焼付乾燥炉を設計すると、メタル部品を塗装焼付する能力に余力が生じている場合であっても、樹脂部品を塗装焼付する能力に不足が生じる傾向にある。
【0006】
樹脂部品に対する塗装焼付能力を高めるに当たっては、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図ることが要請されている。
【0007】
そこで、本発明は、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図り得る塗装焼付乾燥炉を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0009】
本発明は、ワークを輻射熱により加熱する輻射加熱ゾーンと、前記ワークを熱風の対流により加熱する熱風対流ゾーンとを含むオーブンを備えてなる塗装焼付乾燥炉において、
前記オーブンを複数列に並設したオーブン群と、
各オーブンの輻射加熱ゾーンに設けられ、熱風が供給されて輻射熱を放射する暗赤パネルと、
各オーブンの熱風対流ゾーンに設けられ、熱風を吹き出す熱風吹出ダクトと、各オーブンの輻射加熱ゾーンに設けられ、ワークを補助加熱する熱風を吹き出す補助熱風吹出ダクトと、
前記補助熱風吹出ダクトと前記熱風吹出ダクトとを連通する接続経路と、
前記接続経路を開閉するとともに常時は前記接続経路を閉じている開閉手段と、
熱風対流ゾーンから導入した熱風を、第1加熱手段により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの熱風吹出ダクトに供給する第1加熱系と、
熱風対流ゾーンから導入した熱風を、第2加熱手段により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの暗赤パネルに供給する第2加熱系と、
輻射加熱ゾーンから導入した熱風を、第3加熱手段により温度調整した後に、前記第2加熱系からの熱風が暗赤パネルに供給されるオーブンの補助熱風吹出ダクトに供給する第3加熱系と、
前記第2加熱手段に至る経路と、前記第2加熱手段を迂回する経路とを備え、熱風対流ゾーンから導入した熱風を、前記第2加熱手段を通過する熱風流量と前記第2加熱手段を迂回する熱風流量との比率を調整することにより温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの熱風吹出ダクトに供給する第4加熱系と、を有し、
前記第4加熱系からの熱風の温度は、前記第1加熱系からの熱風の温度よりも低い温度に設定され、各列のオーブンの温度を調節可能にしたことを特徴とする塗装焼付乾燥炉である。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図り得る塗装焼付乾燥炉を提供できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る塗装焼付乾燥炉10の熱風フロー、特に、左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図、図2は、輻射加熱ゾーン20を示す図1の2−2線に沿う概略断面図、図3は、熱風対流ゾーン30を示す図1の3−3線に沿う概略断面図である。図4は、左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転を行った場合に、左右のオーブン11L、11Rの各ゾーン20、30における熱風の吹き出し風速および炉内温度を測定した結果の一例を示す図である。図5は、塗装焼付乾燥炉10の熱風フロー、特に、左右のオーブン11L、11Rの温度を同温度に設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図である。
【0013】
本実施形態の塗装焼付乾燥炉10は、通常、メタル部品の塗膜を加熱乾燥させるために用いられているが、樹脂部品専用の図示しない塗装焼付乾燥炉10における能力が不足した場合には、この能力不足を補う運転に移行可能に構成されている。
【0014】
図1〜図3に示すように、塗装焼付乾燥炉10は、トンネル形に形成されたオーブン11L、11Rを複数列(図示例では、2列)に並設したオーブン群12を備えている。それぞれのオーブン11L、11Rは、被塗物となるボディW1や樹脂製バンパW2(ワークに相当する)を輻射熱により加熱する輻射加熱ゾーン20と、ボディW1や樹脂製バンパW2を熱風の対流により加熱する熱風対流ゾーン30とを含んでいる。輻射加熱ゾーン20は暗赤ゾーンとも称される。ボディW1や樹脂製バンパW2は、コンベアラインによって搬送される。輻射加熱ゾーン20は、オーブン11L、11Rの入口側に設けられ、オーブン全長の1/5〜1/3の範囲を占めている。輻射加熱ゾーン20を過ぎると熱風対流ゾーン30となる。
【0015】
なお、説明の便宜上、以下の説明においては、複数列のオーブン11L、11Rのうち図中上側に示されるオーブン11Lはワーク搬送方向下流側に向かって左側に位置することから、当該オーブンを「左オーブン11L」と称する。同様に、図中下側に示されるオーブン11Rを「右オーブン11R」と称する。
【0016】
塗装焼付乾燥炉10は、左右の各オーブン11L、11Rの輻射加熱ゾーン20に設けられ熱風が供給されて輻射熱を放射する暗赤パネル21L、21Rと、各オーブン11L、11Rの熱風対流ゾーン30に設けられ熱風を吹き出す熱風吹出ダクト31L、31Rと、各オーブン11L、11Rの輻射加熱ゾーン20に設けられボディW1や樹脂製バンパW2を補助加熱する熱風を吹き出す補助熱風吹出ダクト22L、22Rと、補助熱風吹出ダクト22L、22Rと熱風吹出ダクト31L、31Rとを連通する接続ダクト40(接続経路に相当する)と、接続ダクト40を開閉するとともに常時は接続経路を閉じているダンパd5、d6(開閉手段に相当する)と、を有している。
【0017】
左右のオーブン11L、11Rは、分割パネル13を隔てて分離されている。分割パネル13により、中央の暗赤パネルが左右の暗赤パネル21L、21Rに分割され、中央の熱風吹出ダクトが左右の熱風吹出ダクト31L、31Rに分割され、中央の吸込ダクトが左右の吸込ダクト23L、23R、32L、32Rに分割されている。接続ダクト40は、図示例にあっては左オーブン11Lに対してのみ設けられており、熱風吹出ダクト31Lが補助熱風吹出ダクト22Lに接続されている。
【0018】
輻射加熱ゾーン20の吸込ダクト23L、23R(図2を参照)は、図1に示される吸込部Aの位置に、吸込口24L、24Rを有する。熱風対流ゾーン30の吸込ダクト32L、32R(図3を参照)は、図1に示される吸込部B、C、Dそれぞれに位置に、吸込口33L、33Rを有する。
【0019】
輻射加熱ゾーン20では2つの熱風フローが形成される。1つ目は、熱風対流ゾーン30の吸込ダクト32L、32Rの吸込部Bから約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、熱交換器HE→脱臭用バーナB2→炉内吸引ファンF2と流下させ、約700℃〜800℃に加温された熱風を暗赤パネル21L、21R内に供給するフローである。2つ目は、輻射加熱ゾーン20の吸込ダクト23L、23Rの吸込部Aから熱風を吸込み、補助フィルタ室FLT2→補助バーナB3→補助ファンF3と流下させ、補助熱風吹出ダクト22L、22Rに供給するフローである。補助熱風吹出ダクト22L、22Rから熱風を補助的に吹き出す理由は、暗赤パネル21L、21Rからの暗赤外線によっては放射加熱を行うことが困難であるボディW1や樹脂製バンパW2の下部の加熱を、熱風の吹き出しによって補助するためである。補助熱風吹出ダクト22L、22Rから吹き出される熱風の温度は、150℃〜170℃である。
【0020】
熱風対流ゾーン30での熱風フローは、当該熱風対流ゾーン30の吸込部Cから約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、循環フィルタ室FLT1→対流用バーナB1→循環ファンF1と流下させ、熱風吹出ダクト31L、31Rに供給するフローである。このフローによる熱風循環によって、ボディW1や樹脂製バンパW2が対流加熱される。
【0021】
塗装焼付乾燥炉10はさらに、熱風を所定箇所に供給する第1、第2、第3および第4の4つの加熱系50、60、70、80を備えている。各加熱系50、60、70、80を概説すれば次のとおりである。
【0022】
第1加熱系50は、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第1加熱手段51により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブン11L、11Rの熱風吹出ダクト31L、31Rに供給する。
【0023】
第2加熱系60は、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第2加熱手段61により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブン11L、11Rの暗赤パネル21L、21Rに供給する。
【0024】
第3加熱系70は、輻射加熱ゾーン20から導入した熱風を、第3加熱手段71により温度調整した後に、第2加熱系60からの熱風が暗赤パネル21L、21Rに供給されるオーブン11L、11Rの補助熱風吹出ダクト22L、22Rに供給する。
【0025】
第4加熱系80は、図示例にあっては左オーブン11Lに対してのみ設けられ、樹脂製バンパW2の塗膜を加熱乾燥するときにのみ作動される。第4加熱系80は、第2加熱手段61に至る経路と、第2加熱手段61を迂回する経路とを備え、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第2加熱手段61を通過する熱風流量と第2加熱手段61を迂回する熱風流量との比率を調整することにより温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブン11L、11Rの熱風吹出ダクト31L、31Rに供給する。
【0026】
そして、第4加熱系80からの熱風の温度は、第1加熱系50からの熱風の温度よりも低い温度に設定され、この塗装焼付乾燥炉10は、左右のオーブン11L、11Rの温度を調節可能に構成されている。
【0027】
具体的には、第4加熱系80からの熱風を供給中であるオーブン11Lに対しては、第1、第2および第3の加熱系50、60、70からの熱風を供給せず、さらに、当該オーブン11Lに設けられたダンパd5、d6を開いて、第4加熱系80からの熱風を補助熱風吹出ダクト22Lから輻射加熱ゾーン20に吹き出す。これにより、第4加熱系80からの熱風が供給される左オーブン11Lを、第1、第2および第3の加熱系50、60、70からの熱風が供給される右オーブン11Rに比べて低温度用のオーブンに設定可能である。左オーブン11Lは樹脂製バンパW2を塗装焼付するのに適した低温度に設定され、右オーブン11RはボディW1を塗装焼付するのに適した高温度に設定される。
【0028】
さらに、第4加熱系80を作動させず、ダンパd5、d6を閉じ、左右のオーブン11L、11Rに対して第1、第2および第3の加熱系50、60、70からの熱風を供給することにより、すべてのオーブン11L、11Rをほぼ同温度に設定可能である。
【0029】
以下、各加熱系50、60、70、80を詳細に説明する。
【0030】
(第1加熱系50)
第1加熱系50は、左右のオーブン11L、11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Cにおいて、炉内の熱風をダクト52L、52Rに吸い込む。ダクト52L、52Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd16、d17が設けられている。ダクト52L、52Rは、ダクト53に合流する。ダクト53の下流側は、2つのダクト54L、54Rに分岐されている。ダクト54L、54Rのそれぞれは、熱風吹出ダクト31L、31Rに連通する。ダクト54L、54Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd14、d15が設けられている。ダクト53の途上には、吸込部Cの側から順に、循環フィルタ室FLT1、対流用バーナB1および循環ファンF1が配置されている。対流用バーナB1が第1加熱手段51に相当する。
【0031】
図1には、ダンパd17が「開」、ダンパd16が「閉」の状態が示される。この状態では、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、循環フィルタ室FLT1でゴミなどが除去され、対流用バーナB1により加熱されて温度調整され、その後に、当該熱風を導入した右オーブン11Rの熱風吹出ダクト31Rに供給される。
【0032】
(第2加熱系60)
第2加熱系60は、左右のオーブン11L、11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Bにおいて、炉内の熱風をダクト62L、62Rに吸い込む。ダクト62L、62Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd7、d8が設けられている。ダクト62L、62Rは、ダクト63に合流する。ダクト63の下流側は、2つのダクト64L、64Rに分岐されている。ダクト64L、64Rのそれぞれは、輻射加熱ゾーン20の暗赤パネル21L、21Rに連通する。ダクト64L、64Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd3、d4が設けられている。ダクト63の途上には、吸込部Bの側から順に、熱交換器HE、脱臭用バーナB2および炉内吸引ファンF2が配置されている。熱交換器HEおよび脱臭用バーナB2が第2加熱手段61に相当する。脱臭用バーナB2により加熱された熱風は、導入した熱風との間で熱交換器HEにおいて熱交換し、温度調整される。
【0033】
図1には、ダンパd4が「開」、ダンパd3が「閉」の状態が示される。この状態では、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、脱臭用バーナB2により加熱され、導入した熱風との間で熱交換器HEにおいて熱交換して温度調整され、その後に、当該熱風を導入した右オーブン11Rの暗赤パネル21Rに供給される。
【0034】
(第3加熱系70)
第3加熱系70は、左右のオーブン11L、11Rの輻射加熱ゾーン20の吸込部Aにおいて、炉内の熱風をダクト72L、72Rに吸い込む。ダクト72L、72Rは、ダクト73に合流する。ダクト73の下流側は、2つのダクト74L、74Rに分岐されている。ダクト74L、74Rのそれぞれは、補助熱風吹出ダクト22L、22Rに連通する。ダクト74L、74Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd1、d2が設けられている。ダクト73の途上には、吸込部Aの側から順に、補助フィルタ室FLT2、補助バーナB3および補助ファンF3が配置されている。補助バーナB3が第3加熱手段71に相当する。
【0035】
図1には、ダンパd2が「開」、ダンパd1が「閉」の状態が示される。この状態では、右オーブン11Rの輻射加熱ゾーン20から導入した熱風は、補助フィルタ室FLT2でゴミなどが除去され、補助バーナB3により加熱されて温度調整され、その後に、第2加熱系60からの熱風が暗赤パネル21Rに供給される右オーブン11Rの補助熱風吹出ダクト22Rに供給される。
【0036】
(第4加熱系80)
第4加熱系80は、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Dにおいて、炉内の熱風をダクト82に吸い込む。ダクト82には、開閉自在なダンパd9、樹脂部品用循環フィルタ室FLT3が設けられている。ダクト82は、加熱側ダクト83(第2加熱手段61に至る経路に相当する)と、バイパスダクト84(第2加熱手段61を迂回する経路に相当する)とに分岐する。バイパスダクト84には、開閉自在なダンパd10、樹脂部品用循環ファンF4が設けられている。樹脂部品用循環ファンF4の出口側のダクト85は、吹出部Eにおいて、左オーブン11Lの熱風吹出ダクト31Lに連通する。ダクト85には、開閉自在なダンパd13が設けられている。加熱側ダクト83には、ヒータファンF5が設けられている。ヒータファンF5の出口側のダクト86は、第2加熱系60のダクト63のうち熱交換器HEの入口側の位置において、当該ダクト63に合流する。ダクト86には、開閉自在なダンパd11が設けられている。樹脂部品用循環ファンF4の入口側のダクト87は、第2加熱系60のダクト63のうち熱交換器HEの出口側の位置において、当該ダクト63から分岐する。ダクト87には、開閉自在なダンパd12が設けられている。
【0037】
図1には、ダンパd9が「開」、ダンパd13が「開」の状態が示される。ダンパd10、d11、d12の開度は調節されている。この状態では、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、樹脂部品用循環フィルタ室FLT3でゴミなどが除去され、ダンパd10、d11、d12の開度に応じて、加熱側ダクト83とバイパスダクト84とに分岐して流下する。加熱側ダクト83に流下した熱風は、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風に混合され、熱交換器HEを流れる間に加熱される。熱交換器HEを通過した熱風は、ダンパd12の開度に応じて、脱臭用バーナB2とダクト87とに分岐して流下する。樹脂部品用循環ファンF4に流下した熱風は、バイパスダクト84に流下した熱風と混合される。このようにして、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、第2加熱手段61を通過する熱風流量と第2加熱手段61を迂回する熱風流量との比率が調整されて温度調整され、その後に、当該熱風を導入した左オーブン11Lの熱風吹出ダクト31Lに吹出部Eにおいて供給される。
【0038】
さらに、図1には、左オーブン11Lの接続ダクト40に設けられたダンパd5、d6が開かれた状態が示される。補助熱風吹出ダクト22Lと熱風吹出ダクト31Lとが連通し、第4加熱系80からの熱風は、補助熱風吹出ダクト22Lから輻射加熱ゾーン20に吹き出される。このようにダンパd5、d6が開かれると、補助熱風吹出ダクト22Lの機能は、熱風対流ゾーンに配置されるような熱風吹出ダクトとしての機能に変えられる。
【0039】
上述したように、第1、第2、第3および第4の加熱系50、60、70、80は、熱風の供給または熱風の供給停止を切り替えるダンパd1〜d17を含んでいる。
【0040】
これらのダンパd1〜d17は、ソレノイドなどの電気的手段や、作動圧により駆動されるスプールなどの油空圧手段などにより駆動され、これら電気的手段や油空圧手段の作動は、遠隔切り替えスイッチやコントローラなどにより制御される。これにより、各ダンパd1〜d17は、遠隔操作可能に構成されている。コントローラは、左右のオーブン11L、11Rのそれぞれの設定温度に基づき、バーナ燃焼量、ファン回転数、ダンパd1〜d17の開閉や開度調整などをも制御する。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
(左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転について)
図1を参照して、左オーブン11Lを樹脂製バンパW2の塗装焼付用オーブンに設定し、右オーブン11RをボディW1の塗装焼付用オーブンに設定する運転について説明する。
【0043】
輻射加熱ゾーン20における暗赤パネル21L、21Rおよび補助熱風吹出ダクト22L、22Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の加熱乾燥は次のように行われる。
【0044】
右オーブン11Rでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd8が「開」とされ、暗赤パネル21Rへの熱風供給部のダンパd4も「開」とされている。このようなダンパd8、d4の作動により、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Bにおいて、約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、熱交換器HE→脱臭用バーナB2→炉内吸引ファンF2と流下し、約700℃〜800℃に加温した熱風を暗赤パネル21R内に供給する。右オーブン11Rでは、暗赤パネル21Rは、供給された熱風により輻射熱を放射し、輻射加熱ゾーン20の温度を昇温する。このような熱風の供給によって、ボディW1を輻射加熱する。
【0045】
右オーブン11Rでは、補助熱風吹出ダクト22Rへの熱風供給部のダンパd2が「開」とされている。このようなダンパd2の作動により、右オーブン11Rの輻射加熱ゾーン20の吸込部Aにおいて、熱風を吸込み、補助フィルタ室FLT2→補助バーナB3→補助ファンF3と流下し、約150℃〜170℃に加温した熱風を補助熱風吹出ダクト22Rに供給する。右オーブン11Rでは、補助熱風吹出ダクト22Rから熱風を補助的に吹き出し、ボディW1の下部の加熱を補助する。
【0046】
一方、左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd7が「閉」とされ、暗赤パネル21Lへの熱風供給部のダンパd3も「閉」とされている。このようなダンパd7、d3の作動により、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Bにおいて熱風を吸い込まず、暗赤パネル21Lには熱風を供給しない。左オーブン11Lでは、暗赤パネル21Lは、輻射熱を放射せず、輻射加熱ゾーン20の温度は、輻射熱によっては昇温しない。
【0047】
左オーブン11Lでは、補助熱風吹出ダクト22Lへの熱風供給部のダンパd1が「閉」とされている。このようなダンパd1の作動により、左オーブン11Lの補助熱風吹出ダクト22Lには熱風(150℃〜170℃)を供給しない。これは樹脂部品の塗膜を加熱乾燥させるために行う加熱は80℃〜130℃の温度範囲でよく、補助熱風吹出ダクト22Lから150℃以上の熱風を吹き出すと、樹脂部品に熱変形が生じる虞があるからである。
【0048】
左オーブン11Lではさらに、接続ダクト40に設けたダンパd5、d6を開き、補助熱風吹出ダクト22Lを、熱風吹出ダクト31Lに連通する。第4加熱系80から熱風吹出ダクト31Lに供給された熱風は、当該熱風吹出ダクト31Lおよび補助熱風吹出ダクト22Lを介して、輻射加熱ゾーン20にも循環する。左オーブン11Lでは、このような熱風の循環によって、樹脂製バンパW2を対流加熱する。
【0049】
熱風対流ゾーン30における熱風吹出ダクト31L、31Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の加熱乾燥は次のように行われる。
【0050】
右オーブン11Rでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd17が「開」とされ、熱風吹出ダクト31Rへの熱風供給部のダンパd15も「開」とされている。このようなダンパd17、d15の作動により、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Cにおいて、約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、循環フィルタ室FLT1→対流用バーナB1→循環ファンF1と流下し、約140℃〜160℃に加温した熱風を熱風吹出ダクト31R内に供給する。右オーブン11Rでは、このような熱風の循環によって、ボディW1を対流加熱する。
【0051】
一方、左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd16が「閉」とされ、熱風吹出ダクト31Lへの熱風供給部のダンパd14も「閉」とされている。このようなダンパd16、d14の作動により、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Cにおいて熱風を吸い込まず、熱風吹出ダクト31Lには熱風を供給しない。左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の温度は、第1加熱系50からの熱風によっては昇温しない。これは、前述したように、樹脂部品の塗膜を加熱乾燥させるために行う加熱は80℃〜130℃の温度範囲でよく、熱風吹出ダクト31Lから140℃以上の熱風を吹き出すと、樹脂部品に熱変形が生じる虞があるからである。
【0052】
左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd9が「開」とされ、熱風吹出ダクト31Lへの熱風供給部のダンパd13も「開」とされている。このようなダンパd9、d13の作動により、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Dにおいて、約80℃〜130℃の熱風を吸い込む。樹脂部品用循環フィルタ室FLT3を通過した熱風は、加熱側ダクト83とバイパスダクト84とに分岐して流下する。加熱側ダクト83に流下した熱風は、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風に混合され、熱交換器HEを流れる間に加熱される。熱交換器HEを通過した熱風の一部は、ダクト87を通って樹脂部品用循環ファンF4に流下し、バイパスダクト84にそのまま流下した熱風と混合される。このとき、ヒータファンF5の風量を調整するとともにダンパd10、d11、d12の開度を調整することにより、第2加熱手段61を通過する熱風流量と第2加熱手段61を迂回する熱風流量との比率を調整して、吹出部Eにおける熱風の吹出温度をコントロールすることができる。温度調整されて樹脂部品用循環ファンF4から吹き出された熱風(約80℃〜130℃)は、吹出部Eにおいて熱風吹出ダクト31L内に供給される。
【0053】
左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風を加熱する形態は、導入した熱風の一部をヒータファンF5により熱交換器HEに案内し、当該熱交換器HEで加熱する形態となっている。脱臭用バーナB2により熱風を直接加熱しないことから、右オーブン11Rにおける熱風対流ゾーン30の温度に比べて、吹出部Eにおける熱風の吹出温度を低くすることが可能となる。
【0054】
左オーブン11Lでは、前述したように、補助熱風吹出ダクト22Lと熱風吹出ダクト31Lとが連通している。したがって、第4加熱系80からの熱風は、吹出部Eにおいて熱風吹出ダクト31L内に供給された後、補助熱風吹出ダクト22Lから輻射加熱ゾーン20にも吹き出される。すなわち、左オーブン11Lの輻射加熱ゾーン20から熱風対流ゾーン30までの全長にわたって、樹脂部品に向けての吹き出し→熱風対流ゾーン30からの吸い込み→加熱・温度調整→輻射加熱ゾーン20および熱風対流ゾーン30への吹き出し、という循環系が形成される。このような熱風の循環によって、樹脂製バンパW2を対流加熱する。
【0055】
図4に、左右のオーブン11L、11Rの各ゾーン20、30における熱風の吹き出し風速および炉内温度を測定した結果の一例が示される。
【0056】
測定は、左オーブン11Lの温度設定を120℃とし、右オーブン11Rの温度設定を140℃として行った。輻射加熱ゾーン20における補助熱風吹出ダクト22L、22Rから吹き出される熱風の風速設定を、左オーブン11Lでは1.0m/sとし、右オーブン11Rでは0.8m/sとした。また、熱風対流ゾーン30における熱風吹出ダクト31L、31Rから吹き出される熱風の風速設定を、左右のオーブン11L、11Rともに1.8m/sとした。図に付した丸数字は、炉内温度測定部位を示している。L1〜L6は炉内温度測定部位間などの距離を示している。L1=2,500mm、L2=6,500mm、L3=5,500mm、L4=7,500mm、L5=6,500mm、L6=7,900mmであった。
【0057】
同図における測定結果から明らかなように、熱風の吹出温度を左右のオーブン11L、11Rで異ならせることができた。
【0058】
(左右のオーブン11L、11Rの温度を同温度に設定する運転について)
図5を参照して、左右のオーブン11L、11RをともにボディW1の塗装焼付用オーブンに設定する運転について説明する。
【0059】
左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転から、左右のオーブン11L、11Rの温度を同温度に設定する運転に切り替える場合には、「閉」にしていたダンパd1、d3、d7、d14、d16を「開」とし、「開」にしていたダンパd5、d6、d9、d10、d11、d12、d13のダンパdを「閉」とするだけでよい。
【0060】
輻射加熱ゾーン20における暗赤パネル21L、21Rおよび補助熱風吹出ダクト22L、22Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の輻射加熱は、前述した右オーブン11Rにおける動作と同じであるため説明は省略する。また、熱風対流ゾーン30における熱風吹出ダクト31L、31Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の対流加熱も、前述した右オーブン11Rにおける動作と同じであるため説明は省略する。
【0061】
左オーブン11Lにおける熱風のフローおよび右オーブン11Rにおける熱風のフローは、対称的でバランスがとれており、さらに、左右のオーブン11L、11RはバーナB1、B2、B3を共用する形態となっている。したがって、上記のようにダンパd1〜d17を作動すれば、左右のオーブン11L、11Rは、自動的に同一温度に設定されることになる。
【0062】
前述したように、樹脂部品を塗装焼付する能力に不足が生じる傾向にあるが、このような能力不足を解消するために、樹脂部品用のオーブンを単に増設したのでは、設備投資が非常に大きくなる。
【0063】
また、単体のオーブンに樹脂部品およびメタル部品を混流させる手法(単体オーブンでの混流化)も考えられるが、段取りに長時間を要し、生産効率が低下する。具体的に説明すれば、樹脂部品とメタル部品とでは焼付条件が異なり、例えば、ボディの場合の焼付条件は140℃〜150℃の下で20分間キープとされ、樹脂製バンパの場合の焼付条件は80℃〜130℃の下で20分間キープとされている。能力に余裕のあるメタル部品用のオーブンで、ボディおよび樹脂製バンパの混流を行う場合には、まず、ボディをある時間帯集中的に投入し、オーブン内からすべてのボディが通過した後に、オーブンの設定温度を下げる。次いで、オーブンの温度が安定した後、樹脂製バンパを集中的に投入する。ボディを再度投入する場合には、オーブン内からすべての樹脂製バンパが通過した後に、オーブンの設定温度を上げる。そして、オーブンの温度が安定した後、ボディを集中的に再び投入しなければならない。このようなロット的な生産形態となるため、樹脂製バンパ、ボディともに、投入待ち時間が1時間以上発生することがある。したがって、樹脂製バンパを塗装焼付する能力の補填に対しては貢献が少ないだけでなく、かえって、ボディの生産能力が低下する虞がある。
【0064】
塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えるために、低温条件に合致した専用の加熱手段(バーナや熱交換器など)を追加することも考えられるが、設備投資が非常に大きくなってしまう。バーナを追加するためには、1基当たり2000万円程の設備投資が必要となってしまう。
【0065】
これに対して、本実施形態の塗装焼付乾燥炉10にあっては、現行用いられている対流用バーナB1、脱臭用バーナB2および補助バーナB3はそのままで、低温条件に合致した専用のバーナを追加することなく、ダクトの切り回しや追加、ファンF4、F5、フィルタボックスFLT3、ダンパの追加だけで、左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定することが可能な熱風フローを実現している。例えば、右オーブン11Rにおいては、ボディW1の焼付条件として必要な、140℃〜150℃の下で20分間キープを実現でき、左オーブン11Lにおいては、樹脂製バンパW2の焼付条件として必要な、80℃〜130℃の下で20分間キープを実現できる。これにより、ボディW1および樹脂製バンパW2のそれぞれを任意に投入することができ、樹脂製バンパW2を塗装焼付する能力の補填に対して、大きく貢献できる。また、バーナを新設しないため、大きな追加投資を削減できる。したがって、本実施形態の塗装焼付乾燥炉10によれば、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図ることが可能となる。
【0066】
また、ダンパd1〜d17の簡単な開閉操作によって、左右のオーブン11L、11Rを同温度に設定することも可能であり、ボディW1を集中的に生産する場合にも容易かつ迅速に対応することができる。
【0067】
ダンパd1〜d17を遠隔操作可能に構成したので、「独立温度設定型のオーブン」または「同温度設定型のオーブン」への切り替えや左右のオーブン11L、11Rの温度設定を秒単位で迅速に操作できる。塗装焼付時の温度条件の切り替えを効率的かつ迅速に行うことができる結果、ボディW1や樹脂製バンパW2の生産効率が一層向上する。
【0068】
温度条件を切り替え可能な左オーブン11Lからの熱風の吸込を制御する手段(ダンパd7、d16)や、吸い込んだ熱風をそのまま熱風吹出ダクト31Lに供給する手段(吸込部D、ダンパd9、d10)を設けている。これにより、加熱手段(第1、第2の加熱系50、60)の負担を軽減でき、低温熱風の温度を設定する精度ないし自由度も向上する。
【0069】
温度条件を切り替え可能な左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風の一部を、高温側の加熱手段である第2加熱系60に合流させる手段(ファンF5、ダンパd11など)を設けている。これにより、低温熱風の温度を設定する精度ないし自由度がさらに向上する。
【0070】
塗装焼付時の温度を低温条件に設定するにあたり、接続ダクト40、ダンパd5、d6を設けることにより、低温熱風を輻射加熱ゾーン20に案内するための手段として、補助熱風吹出ダクト22Lを流用している。低温熱風を輻射加熱ゾーン20に案内する専用のダクトを設けていないので、左オーブン11L内の輻射加熱ゾーン20を有効利用できる。
【0071】
なお、第4加熱系80を左オーブン11Lにのみ設置した実施形態について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、第4加熱系80を右オーブン11Rにもさらに設置してもよい。この場合には、左右のオーブン11L、11Rを同温度の低温条件に設定することにより、樹脂製バンパW2を集中的に生産することができる。また、左右のオーブン11L、11Rの温度条件を上述した実施形態とは逆に、つまり、左オーブン11Lを高温条件に設定し、右オーブン11Rを低温条件に設定することができる。このように、塗装焼付時の温度条件を切り替えるための手段(第4加熱系80など)を複数列のオーブンに設けることにより、運転形態を切り替える自由度が向上する点も、本発明に係る塗装焼付乾燥炉10の利点の一つである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗装焼付乾燥炉の熱風フロー、特に、左右のオーブンの温度を独立して設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図である。
【図2】輻射加熱ゾーンを示す図1の2−2線に沿う概略断面図である。
【図3】熱風対流ゾーンを示す図1の3−3線に沿う概略断面図である。
【図4】左右のオーブンの温度を独立して設定する運転を行った場合に、左右のオーブンの各ゾーンにおける熱風の吹き出し風速および炉内温度を測定した結果の一例を示す図である。
【図5】塗装焼付乾燥炉の熱風フロー、特に、左右のオーブンの温度を同温度に設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図である。
【符号の説明】
10…塗装焼付乾燥炉
11L、11R…左右のオーブン(オーブン)
12…オーブン群
20…輻射加熱ゾーン
21L、21R…暗赤パネル
22L、22R…補助熱風吹出ダクト
30…熱風対流ゾーン
31L、31R…熱風吹出ダクト
40…接続ダクト(接続経路)
50…第1加熱系
51…第1加熱手段(B1…対流用バーナ)
60…第2加熱系
61…第2加熱手段(HE…熱交換器、B2…脱臭用バーナ)
70…第3加熱系
71…第3加熱手段(B3…補助バーナ)
80…第4加熱系
83…加熱側ダクト(第2加熱手段に至る経路)
84…バイパスダクト(第2加熱手段を迂回する経路)
d1〜d17…ダンパ(d5、d6…開閉手段)
W1…ボディ(ワーク)
W2…樹脂製バンパ(ワーク)
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送されるワークの塗膜を加熱乾燥させる塗装焼付乾燥炉に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の塗装ラインは、被塗物となるワークを搬送するコンベアラインに沿って、ワークの塗膜を加熱乾燥させる塗装焼付乾燥炉が配置されている。塗装焼付乾燥炉は、トンネル形に形成されたオーブンを備えている。当該オーブンは、一般的に、ワークを輻射熱により加熱する輻射加熱ゾーンと、ワークを熱風の対流により加熱する熱風対流ゾーンとを含んでいる。
【0003】
自動車の部品には、樹脂製バンパなどの樹脂部品や、車体パネルなどのメタル部品がある。樹脂部品はメタル部品に比べて熱による変形を受けやすいため、樹脂部品専用の塗装焼付乾燥炉と、メタル部品専用の塗装焼付乾燥炉とが別個独立して設けられている。樹脂部品専用の塗装焼付乾燥炉は、比較的低温、例えば、80℃〜130℃の温度で、樹脂部品の塗膜を加熱乾燥させている。一方、メタル部品専用の塗装焼付乾燥炉は、比較的高温、例えば、140℃〜150℃の温度で、メタル部品の塗膜を加熱乾燥させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
バンパやバックドアなどの外装部品のように塗装された樹脂部品は、メタル部品と異なり板金修理を行うことができないため、交換して取り付けられる保守部品としての需要が多い。このため、樹脂部品に対する生産要求量は、メタル部品に対する生産要求量よりも一般的に多い。
【0005】
したがって、樹脂部品およびメタル部品のそれぞれに対する生産要求量が同等であるとの条件の下で、樹脂部品専用およびメタル部品専用のそれぞれの塗装焼付乾燥炉を設計すると、メタル部品を塗装焼付する能力に余力が生じている場合であっても、樹脂部品を塗装焼付する能力に不足が生じる傾向にある。
【0006】
樹脂部品に対する塗装焼付能力を高めるに当たっては、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図ることが要請されている。
【0007】
そこで、本発明は、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図り得る塗装焼付乾燥炉を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0009】
本発明は、ワークを輻射熱により加熱する輻射加熱ゾーンと、前記ワークを熱風の対流により加熱する熱風対流ゾーンとを含むオーブンを備えてなる塗装焼付乾燥炉において、
前記オーブンを複数列に並設したオーブン群と、
各オーブンの輻射加熱ゾーンに設けられ、熱風が供給されて輻射熱を放射する暗赤パネルと、
各オーブンの熱風対流ゾーンに設けられ、熱風を吹き出す熱風吹出ダクトと、各オーブンの輻射加熱ゾーンに設けられ、ワークを補助加熱する熱風を吹き出す補助熱風吹出ダクトと、
前記補助熱風吹出ダクトと前記熱風吹出ダクトとを連通する接続経路と、
前記接続経路を開閉するとともに常時は前記接続経路を閉じている開閉手段と、
熱風対流ゾーンから導入した熱風を、第1加熱手段により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの熱風吹出ダクトに供給する第1加熱系と、
熱風対流ゾーンから導入した熱風を、第2加熱手段により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの暗赤パネルに供給する第2加熱系と、
輻射加熱ゾーンから導入した熱風を、第3加熱手段により温度調整した後に、前記第2加熱系からの熱風が暗赤パネルに供給されるオーブンの補助熱風吹出ダクトに供給する第3加熱系と、
前記第2加熱手段に至る経路と、前記第2加熱手段を迂回する経路とを備え、熱風対流ゾーンから導入した熱風を、前記第2加熱手段を通過する熱風流量と前記第2加熱手段を迂回する熱風流量との比率を調整することにより温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの熱風吹出ダクトに供給する第4加熱系と、を有し、
前記第4加熱系からの熱風の温度は、前記第1加熱系からの熱風の温度よりも低い温度に設定され、各列のオーブンの温度を調節可能にしたことを特徴とする塗装焼付乾燥炉である。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図り得る塗装焼付乾燥炉を提供できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る塗装焼付乾燥炉10の熱風フロー、特に、左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図、図2は、輻射加熱ゾーン20を示す図1の2−2線に沿う概略断面図、図3は、熱風対流ゾーン30を示す図1の3−3線に沿う概略断面図である。図4は、左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転を行った場合に、左右のオーブン11L、11Rの各ゾーン20、30における熱風の吹き出し風速および炉内温度を測定した結果の一例を示す図である。図5は、塗装焼付乾燥炉10の熱風フロー、特に、左右のオーブン11L、11Rの温度を同温度に設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図である。
【0013】
本実施形態の塗装焼付乾燥炉10は、通常、メタル部品の塗膜を加熱乾燥させるために用いられているが、樹脂部品専用の図示しない塗装焼付乾燥炉10における能力が不足した場合には、この能力不足を補う運転に移行可能に構成されている。
【0014】
図1〜図3に示すように、塗装焼付乾燥炉10は、トンネル形に形成されたオーブン11L、11Rを複数列(図示例では、2列)に並設したオーブン群12を備えている。それぞれのオーブン11L、11Rは、被塗物となるボディW1や樹脂製バンパW2(ワークに相当する)を輻射熱により加熱する輻射加熱ゾーン20と、ボディW1や樹脂製バンパW2を熱風の対流により加熱する熱風対流ゾーン30とを含んでいる。輻射加熱ゾーン20は暗赤ゾーンとも称される。ボディW1や樹脂製バンパW2は、コンベアラインによって搬送される。輻射加熱ゾーン20は、オーブン11L、11Rの入口側に設けられ、オーブン全長の1/5〜1/3の範囲を占めている。輻射加熱ゾーン20を過ぎると熱風対流ゾーン30となる。
【0015】
なお、説明の便宜上、以下の説明においては、複数列のオーブン11L、11Rのうち図中上側に示されるオーブン11Lはワーク搬送方向下流側に向かって左側に位置することから、当該オーブンを「左オーブン11L」と称する。同様に、図中下側に示されるオーブン11Rを「右オーブン11R」と称する。
【0016】
塗装焼付乾燥炉10は、左右の各オーブン11L、11Rの輻射加熱ゾーン20に設けられ熱風が供給されて輻射熱を放射する暗赤パネル21L、21Rと、各オーブン11L、11Rの熱風対流ゾーン30に設けられ熱風を吹き出す熱風吹出ダクト31L、31Rと、各オーブン11L、11Rの輻射加熱ゾーン20に設けられボディW1や樹脂製バンパW2を補助加熱する熱風を吹き出す補助熱風吹出ダクト22L、22Rと、補助熱風吹出ダクト22L、22Rと熱風吹出ダクト31L、31Rとを連通する接続ダクト40(接続経路に相当する)と、接続ダクト40を開閉するとともに常時は接続経路を閉じているダンパd5、d6(開閉手段に相当する)と、を有している。
【0017】
左右のオーブン11L、11Rは、分割パネル13を隔てて分離されている。分割パネル13により、中央の暗赤パネルが左右の暗赤パネル21L、21Rに分割され、中央の熱風吹出ダクトが左右の熱風吹出ダクト31L、31Rに分割され、中央の吸込ダクトが左右の吸込ダクト23L、23R、32L、32Rに分割されている。接続ダクト40は、図示例にあっては左オーブン11Lに対してのみ設けられており、熱風吹出ダクト31Lが補助熱風吹出ダクト22Lに接続されている。
【0018】
輻射加熱ゾーン20の吸込ダクト23L、23R(図2を参照)は、図1に示される吸込部Aの位置に、吸込口24L、24Rを有する。熱風対流ゾーン30の吸込ダクト32L、32R(図3を参照)は、図1に示される吸込部B、C、Dそれぞれに位置に、吸込口33L、33Rを有する。
【0019】
輻射加熱ゾーン20では2つの熱風フローが形成される。1つ目は、熱風対流ゾーン30の吸込ダクト32L、32Rの吸込部Bから約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、熱交換器HE→脱臭用バーナB2→炉内吸引ファンF2と流下させ、約700℃〜800℃に加温された熱風を暗赤パネル21L、21R内に供給するフローである。2つ目は、輻射加熱ゾーン20の吸込ダクト23L、23Rの吸込部Aから熱風を吸込み、補助フィルタ室FLT2→補助バーナB3→補助ファンF3と流下させ、補助熱風吹出ダクト22L、22Rに供給するフローである。補助熱風吹出ダクト22L、22Rから熱風を補助的に吹き出す理由は、暗赤パネル21L、21Rからの暗赤外線によっては放射加熱を行うことが困難であるボディW1や樹脂製バンパW2の下部の加熱を、熱風の吹き出しによって補助するためである。補助熱風吹出ダクト22L、22Rから吹き出される熱風の温度は、150℃〜170℃である。
【0020】
熱風対流ゾーン30での熱風フローは、当該熱風対流ゾーン30の吸込部Cから約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、循環フィルタ室FLT1→対流用バーナB1→循環ファンF1と流下させ、熱風吹出ダクト31L、31Rに供給するフローである。このフローによる熱風循環によって、ボディW1や樹脂製バンパW2が対流加熱される。
【0021】
塗装焼付乾燥炉10はさらに、熱風を所定箇所に供給する第1、第2、第3および第4の4つの加熱系50、60、70、80を備えている。各加熱系50、60、70、80を概説すれば次のとおりである。
【0022】
第1加熱系50は、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第1加熱手段51により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブン11L、11Rの熱風吹出ダクト31L、31Rに供給する。
【0023】
第2加熱系60は、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第2加熱手段61により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブン11L、11Rの暗赤パネル21L、21Rに供給する。
【0024】
第3加熱系70は、輻射加熱ゾーン20から導入した熱風を、第3加熱手段71により温度調整した後に、第2加熱系60からの熱風が暗赤パネル21L、21Rに供給されるオーブン11L、11Rの補助熱風吹出ダクト22L、22Rに供給する。
【0025】
第4加熱系80は、図示例にあっては左オーブン11Lに対してのみ設けられ、樹脂製バンパW2の塗膜を加熱乾燥するときにのみ作動される。第4加熱系80は、第2加熱手段61に至る経路と、第2加熱手段61を迂回する経路とを備え、熱風対流ゾーン30から導入した熱風を、第2加熱手段61を通過する熱風流量と第2加熱手段61を迂回する熱風流量との比率を調整することにより温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブン11L、11Rの熱風吹出ダクト31L、31Rに供給する。
【0026】
そして、第4加熱系80からの熱風の温度は、第1加熱系50からの熱風の温度よりも低い温度に設定され、この塗装焼付乾燥炉10は、左右のオーブン11L、11Rの温度を調節可能に構成されている。
【0027】
具体的には、第4加熱系80からの熱風を供給中であるオーブン11Lに対しては、第1、第2および第3の加熱系50、60、70からの熱風を供給せず、さらに、当該オーブン11Lに設けられたダンパd5、d6を開いて、第4加熱系80からの熱風を補助熱風吹出ダクト22Lから輻射加熱ゾーン20に吹き出す。これにより、第4加熱系80からの熱風が供給される左オーブン11Lを、第1、第2および第3の加熱系50、60、70からの熱風が供給される右オーブン11Rに比べて低温度用のオーブンに設定可能である。左オーブン11Lは樹脂製バンパW2を塗装焼付するのに適した低温度に設定され、右オーブン11RはボディW1を塗装焼付するのに適した高温度に設定される。
【0028】
さらに、第4加熱系80を作動させず、ダンパd5、d6を閉じ、左右のオーブン11L、11Rに対して第1、第2および第3の加熱系50、60、70からの熱風を供給することにより、すべてのオーブン11L、11Rをほぼ同温度に設定可能である。
【0029】
以下、各加熱系50、60、70、80を詳細に説明する。
【0030】
(第1加熱系50)
第1加熱系50は、左右のオーブン11L、11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Cにおいて、炉内の熱風をダクト52L、52Rに吸い込む。ダクト52L、52Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd16、d17が設けられている。ダクト52L、52Rは、ダクト53に合流する。ダクト53の下流側は、2つのダクト54L、54Rに分岐されている。ダクト54L、54Rのそれぞれは、熱風吹出ダクト31L、31Rに連通する。ダクト54L、54Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd14、d15が設けられている。ダクト53の途上には、吸込部Cの側から順に、循環フィルタ室FLT1、対流用バーナB1および循環ファンF1が配置されている。対流用バーナB1が第1加熱手段51に相当する。
【0031】
図1には、ダンパd17が「開」、ダンパd16が「閉」の状態が示される。この状態では、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、循環フィルタ室FLT1でゴミなどが除去され、対流用バーナB1により加熱されて温度調整され、その後に、当該熱風を導入した右オーブン11Rの熱風吹出ダクト31Rに供給される。
【0032】
(第2加熱系60)
第2加熱系60は、左右のオーブン11L、11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Bにおいて、炉内の熱風をダクト62L、62Rに吸い込む。ダクト62L、62Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd7、d8が設けられている。ダクト62L、62Rは、ダクト63に合流する。ダクト63の下流側は、2つのダクト64L、64Rに分岐されている。ダクト64L、64Rのそれぞれは、輻射加熱ゾーン20の暗赤パネル21L、21Rに連通する。ダクト64L、64Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd3、d4が設けられている。ダクト63の途上には、吸込部Bの側から順に、熱交換器HE、脱臭用バーナB2および炉内吸引ファンF2が配置されている。熱交換器HEおよび脱臭用バーナB2が第2加熱手段61に相当する。脱臭用バーナB2により加熱された熱風は、導入した熱風との間で熱交換器HEにおいて熱交換し、温度調整される。
【0033】
図1には、ダンパd4が「開」、ダンパd3が「閉」の状態が示される。この状態では、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、脱臭用バーナB2により加熱され、導入した熱風との間で熱交換器HEにおいて熱交換して温度調整され、その後に、当該熱風を導入した右オーブン11Rの暗赤パネル21Rに供給される。
【0034】
(第3加熱系70)
第3加熱系70は、左右のオーブン11L、11Rの輻射加熱ゾーン20の吸込部Aにおいて、炉内の熱風をダクト72L、72Rに吸い込む。ダクト72L、72Rは、ダクト73に合流する。ダクト73の下流側は、2つのダクト74L、74Rに分岐されている。ダクト74L、74Rのそれぞれは、補助熱風吹出ダクト22L、22Rに連通する。ダクト74L、74Rのそれぞれには、開閉自在なダンパd1、d2が設けられている。ダクト73の途上には、吸込部Aの側から順に、補助フィルタ室FLT2、補助バーナB3および補助ファンF3が配置されている。補助バーナB3が第3加熱手段71に相当する。
【0035】
図1には、ダンパd2が「開」、ダンパd1が「閉」の状態が示される。この状態では、右オーブン11Rの輻射加熱ゾーン20から導入した熱風は、補助フィルタ室FLT2でゴミなどが除去され、補助バーナB3により加熱されて温度調整され、その後に、第2加熱系60からの熱風が暗赤パネル21Rに供給される右オーブン11Rの補助熱風吹出ダクト22Rに供給される。
【0036】
(第4加熱系80)
第4加熱系80は、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Dにおいて、炉内の熱風をダクト82に吸い込む。ダクト82には、開閉自在なダンパd9、樹脂部品用循環フィルタ室FLT3が設けられている。ダクト82は、加熱側ダクト83(第2加熱手段61に至る経路に相当する)と、バイパスダクト84(第2加熱手段61を迂回する経路に相当する)とに分岐する。バイパスダクト84には、開閉自在なダンパd10、樹脂部品用循環ファンF4が設けられている。樹脂部品用循環ファンF4の出口側のダクト85は、吹出部Eにおいて、左オーブン11Lの熱風吹出ダクト31Lに連通する。ダクト85には、開閉自在なダンパd13が設けられている。加熱側ダクト83には、ヒータファンF5が設けられている。ヒータファンF5の出口側のダクト86は、第2加熱系60のダクト63のうち熱交換器HEの入口側の位置において、当該ダクト63に合流する。ダクト86には、開閉自在なダンパd11が設けられている。樹脂部品用循環ファンF4の入口側のダクト87は、第2加熱系60のダクト63のうち熱交換器HEの出口側の位置において、当該ダクト63から分岐する。ダクト87には、開閉自在なダンパd12が設けられている。
【0037】
図1には、ダンパd9が「開」、ダンパd13が「開」の状態が示される。ダンパd10、d11、d12の開度は調節されている。この状態では、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、樹脂部品用循環フィルタ室FLT3でゴミなどが除去され、ダンパd10、d11、d12の開度に応じて、加熱側ダクト83とバイパスダクト84とに分岐して流下する。加熱側ダクト83に流下した熱風は、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風に混合され、熱交換器HEを流れる間に加熱される。熱交換器HEを通過した熱風は、ダンパd12の開度に応じて、脱臭用バーナB2とダクト87とに分岐して流下する。樹脂部品用循環ファンF4に流下した熱風は、バイパスダクト84に流下した熱風と混合される。このようにして、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風は、第2加熱手段61を通過する熱風流量と第2加熱手段61を迂回する熱風流量との比率が調整されて温度調整され、その後に、当該熱風を導入した左オーブン11Lの熱風吹出ダクト31Lに吹出部Eにおいて供給される。
【0038】
さらに、図1には、左オーブン11Lの接続ダクト40に設けられたダンパd5、d6が開かれた状態が示される。補助熱風吹出ダクト22Lと熱風吹出ダクト31Lとが連通し、第4加熱系80からの熱風は、補助熱風吹出ダクト22Lから輻射加熱ゾーン20に吹き出される。このようにダンパd5、d6が開かれると、補助熱風吹出ダクト22Lの機能は、熱風対流ゾーンに配置されるような熱風吹出ダクトとしての機能に変えられる。
【0039】
上述したように、第1、第2、第3および第4の加熱系50、60、70、80は、熱風の供給または熱風の供給停止を切り替えるダンパd1〜d17を含んでいる。
【0040】
これらのダンパd1〜d17は、ソレノイドなどの電気的手段や、作動圧により駆動されるスプールなどの油空圧手段などにより駆動され、これら電気的手段や油空圧手段の作動は、遠隔切り替えスイッチやコントローラなどにより制御される。これにより、各ダンパd1〜d17は、遠隔操作可能に構成されている。コントローラは、左右のオーブン11L、11Rのそれぞれの設定温度に基づき、バーナ燃焼量、ファン回転数、ダンパd1〜d17の開閉や開度調整などをも制御する。
【0041】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0042】
(左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転について)
図1を参照して、左オーブン11Lを樹脂製バンパW2の塗装焼付用オーブンに設定し、右オーブン11RをボディW1の塗装焼付用オーブンに設定する運転について説明する。
【0043】
輻射加熱ゾーン20における暗赤パネル21L、21Rおよび補助熱風吹出ダクト22L、22Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の加熱乾燥は次のように行われる。
【0044】
右オーブン11Rでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd8が「開」とされ、暗赤パネル21Rへの熱風供給部のダンパd4も「開」とされている。このようなダンパd8、d4の作動により、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Bにおいて、約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、熱交換器HE→脱臭用バーナB2→炉内吸引ファンF2と流下し、約700℃〜800℃に加温した熱風を暗赤パネル21R内に供給する。右オーブン11Rでは、暗赤パネル21Rは、供給された熱風により輻射熱を放射し、輻射加熱ゾーン20の温度を昇温する。このような熱風の供給によって、ボディW1を輻射加熱する。
【0045】
右オーブン11Rでは、補助熱風吹出ダクト22Rへの熱風供給部のダンパd2が「開」とされている。このようなダンパd2の作動により、右オーブン11Rの輻射加熱ゾーン20の吸込部Aにおいて、熱風を吸込み、補助フィルタ室FLT2→補助バーナB3→補助ファンF3と流下し、約150℃〜170℃に加温した熱風を補助熱風吹出ダクト22Rに供給する。右オーブン11Rでは、補助熱風吹出ダクト22Rから熱風を補助的に吹き出し、ボディW1の下部の加熱を補助する。
【0046】
一方、左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd7が「閉」とされ、暗赤パネル21Lへの熱風供給部のダンパd3も「閉」とされている。このようなダンパd7、d3の作動により、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Bにおいて熱風を吸い込まず、暗赤パネル21Lには熱風を供給しない。左オーブン11Lでは、暗赤パネル21Lは、輻射熱を放射せず、輻射加熱ゾーン20の温度は、輻射熱によっては昇温しない。
【0047】
左オーブン11Lでは、補助熱風吹出ダクト22Lへの熱風供給部のダンパd1が「閉」とされている。このようなダンパd1の作動により、左オーブン11Lの補助熱風吹出ダクト22Lには熱風(150℃〜170℃)を供給しない。これは樹脂部品の塗膜を加熱乾燥させるために行う加熱は80℃〜130℃の温度範囲でよく、補助熱風吹出ダクト22Lから150℃以上の熱風を吹き出すと、樹脂部品に熱変形が生じる虞があるからである。
【0048】
左オーブン11Lではさらに、接続ダクト40に設けたダンパd5、d6を開き、補助熱風吹出ダクト22Lを、熱風吹出ダクト31Lに連通する。第4加熱系80から熱風吹出ダクト31Lに供給された熱風は、当該熱風吹出ダクト31Lおよび補助熱風吹出ダクト22Lを介して、輻射加熱ゾーン20にも循環する。左オーブン11Lでは、このような熱風の循環によって、樹脂製バンパW2を対流加熱する。
【0049】
熱風対流ゾーン30における熱風吹出ダクト31L、31Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の加熱乾燥は次のように行われる。
【0050】
右オーブン11Rでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd17が「開」とされ、熱風吹出ダクト31Rへの熱風供給部のダンパd15も「開」とされている。このようなダンパd17、d15の作動により、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30の吸込部Cにおいて、約130℃〜160℃の熱風を吸い込み、循環フィルタ室FLT1→対流用バーナB1→循環ファンF1と流下し、約140℃〜160℃に加温した熱風を熱風吹出ダクト31R内に供給する。右オーブン11Rでは、このような熱風の循環によって、ボディW1を対流加熱する。
【0051】
一方、左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd16が「閉」とされ、熱風吹出ダクト31Lへの熱風供給部のダンパd14も「閉」とされている。このようなダンパd16、d14の作動により、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Cにおいて熱風を吸い込まず、熱風吹出ダクト31Lには熱風を供給しない。左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の温度は、第1加熱系50からの熱風によっては昇温しない。これは、前述したように、樹脂部品の塗膜を加熱乾燥させるために行う加熱は80℃〜130℃の温度範囲でよく、熱風吹出ダクト31Lから140℃以上の熱風を吹き出すと、樹脂部品に熱変形が生じる虞があるからである。
【0052】
左オーブン11Lでは、熱風対流ゾーン30の熱風を吸い込むダンパd9が「開」とされ、熱風吹出ダクト31Lへの熱風供給部のダンパd13も「開」とされている。このようなダンパd9、d13の作動により、左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30の吸込部Dにおいて、約80℃〜130℃の熱風を吸い込む。樹脂部品用循環フィルタ室FLT3を通過した熱風は、加熱側ダクト83とバイパスダクト84とに分岐して流下する。加熱側ダクト83に流下した熱風は、右オーブン11Rの熱風対流ゾーン30から導入した熱風に混合され、熱交換器HEを流れる間に加熱される。熱交換器HEを通過した熱風の一部は、ダクト87を通って樹脂部品用循環ファンF4に流下し、バイパスダクト84にそのまま流下した熱風と混合される。このとき、ヒータファンF5の風量を調整するとともにダンパd10、d11、d12の開度を調整することにより、第2加熱手段61を通過する熱風流量と第2加熱手段61を迂回する熱風流量との比率を調整して、吹出部Eにおける熱風の吹出温度をコントロールすることができる。温度調整されて樹脂部品用循環ファンF4から吹き出された熱風(約80℃〜130℃)は、吹出部Eにおいて熱風吹出ダクト31L内に供給される。
【0053】
左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風を加熱する形態は、導入した熱風の一部をヒータファンF5により熱交換器HEに案内し、当該熱交換器HEで加熱する形態となっている。脱臭用バーナB2により熱風を直接加熱しないことから、右オーブン11Rにおける熱風対流ゾーン30の温度に比べて、吹出部Eにおける熱風の吹出温度を低くすることが可能となる。
【0054】
左オーブン11Lでは、前述したように、補助熱風吹出ダクト22Lと熱風吹出ダクト31Lとが連通している。したがって、第4加熱系80からの熱風は、吹出部Eにおいて熱風吹出ダクト31L内に供給された後、補助熱風吹出ダクト22Lから輻射加熱ゾーン20にも吹き出される。すなわち、左オーブン11Lの輻射加熱ゾーン20から熱風対流ゾーン30までの全長にわたって、樹脂部品に向けての吹き出し→熱風対流ゾーン30からの吸い込み→加熱・温度調整→輻射加熱ゾーン20および熱風対流ゾーン30への吹き出し、という循環系が形成される。このような熱風の循環によって、樹脂製バンパW2を対流加熱する。
【0055】
図4に、左右のオーブン11L、11Rの各ゾーン20、30における熱風の吹き出し風速および炉内温度を測定した結果の一例が示される。
【0056】
測定は、左オーブン11Lの温度設定を120℃とし、右オーブン11Rの温度設定を140℃として行った。輻射加熱ゾーン20における補助熱風吹出ダクト22L、22Rから吹き出される熱風の風速設定を、左オーブン11Lでは1.0m/sとし、右オーブン11Rでは0.8m/sとした。また、熱風対流ゾーン30における熱風吹出ダクト31L、31Rから吹き出される熱風の風速設定を、左右のオーブン11L、11Rともに1.8m/sとした。図に付した丸数字は、炉内温度測定部位を示している。L1〜L6は炉内温度測定部位間などの距離を示している。L1=2,500mm、L2=6,500mm、L3=5,500mm、L4=7,500mm、L5=6,500mm、L6=7,900mmであった。
【0057】
同図における測定結果から明らかなように、熱風の吹出温度を左右のオーブン11L、11Rで異ならせることができた。
【0058】
(左右のオーブン11L、11Rの温度を同温度に設定する運転について)
図5を参照して、左右のオーブン11L、11RをともにボディW1の塗装焼付用オーブンに設定する運転について説明する。
【0059】
左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定する運転から、左右のオーブン11L、11Rの温度を同温度に設定する運転に切り替える場合には、「閉」にしていたダンパd1、d3、d7、d14、d16を「開」とし、「開」にしていたダンパd5、d6、d9、d10、d11、d12、d13のダンパdを「閉」とするだけでよい。
【0060】
輻射加熱ゾーン20における暗赤パネル21L、21Rおよび補助熱風吹出ダクト22L、22Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の輻射加熱は、前述した右オーブン11Rにおける動作と同じであるため説明は省略する。また、熱風対流ゾーン30における熱風吹出ダクト31L、31Rへの熱風の供給、ボディW1や樹脂製バンパW2の対流加熱も、前述した右オーブン11Rにおける動作と同じであるため説明は省略する。
【0061】
左オーブン11Lにおける熱風のフローおよび右オーブン11Rにおける熱風のフローは、対称的でバランスがとれており、さらに、左右のオーブン11L、11RはバーナB1、B2、B3を共用する形態となっている。したがって、上記のようにダンパd1〜d17を作動すれば、左右のオーブン11L、11Rは、自動的に同一温度に設定されることになる。
【0062】
前述したように、樹脂部品を塗装焼付する能力に不足が生じる傾向にあるが、このような能力不足を解消するために、樹脂部品用のオーブンを単に増設したのでは、設備投資が非常に大きくなる。
【0063】
また、単体のオーブンに樹脂部品およびメタル部品を混流させる手法(単体オーブンでの混流化)も考えられるが、段取りに長時間を要し、生産効率が低下する。具体的に説明すれば、樹脂部品とメタル部品とでは焼付条件が異なり、例えば、ボディの場合の焼付条件は140℃〜150℃の下で20分間キープとされ、樹脂製バンパの場合の焼付条件は80℃〜130℃の下で20分間キープとされている。能力に余裕のあるメタル部品用のオーブンで、ボディおよび樹脂製バンパの混流を行う場合には、まず、ボディをある時間帯集中的に投入し、オーブン内からすべてのボディが通過した後に、オーブンの設定温度を下げる。次いで、オーブンの温度が安定した後、樹脂製バンパを集中的に投入する。ボディを再度投入する場合には、オーブン内からすべての樹脂製バンパが通過した後に、オーブンの設定温度を上げる。そして、オーブンの温度が安定した後、ボディを集中的に再び投入しなければならない。このようなロット的な生産形態となるため、樹脂製バンパ、ボディともに、投入待ち時間が1時間以上発生することがある。したがって、樹脂製バンパを塗装焼付する能力の補填に対しては貢献が少ないだけでなく、かえって、ボディの生産能力が低下する虞がある。
【0064】
塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えるために、低温条件に合致した専用の加熱手段(バーナや熱交換器など)を追加することも考えられるが、設備投資が非常に大きくなってしまう。バーナを追加するためには、1基当たり2000万円程の設備投資が必要となってしまう。
【0065】
これに対して、本実施形態の塗装焼付乾燥炉10にあっては、現行用いられている対流用バーナB1、脱臭用バーナB2および補助バーナB3はそのままで、低温条件に合致した専用のバーナを追加することなく、ダクトの切り回しや追加、ファンF4、F5、フィルタボックスFLT3、ダンパの追加だけで、左右のオーブン11L、11Rの温度を独立して設定することが可能な熱風フローを実現している。例えば、右オーブン11Rにおいては、ボディW1の焼付条件として必要な、140℃〜150℃の下で20分間キープを実現でき、左オーブン11Lにおいては、樹脂製バンパW2の焼付条件として必要な、80℃〜130℃の下で20分間キープを実現できる。これにより、ボディW1および樹脂製バンパW2のそれぞれを任意に投入することができ、樹脂製バンパW2を塗装焼付する能力の補填に対して、大きく貢献できる。また、バーナを新設しないため、大きな追加投資を削減できる。したがって、本実施形態の塗装焼付乾燥炉10によれば、設備投資の増加を可及的に抑えつつ、塗装焼付時の温度を高温条件から低温条件に迅速に切り替えて、生産効率の向上を図ることが可能となる。
【0066】
また、ダンパd1〜d17の簡単な開閉操作によって、左右のオーブン11L、11Rを同温度に設定することも可能であり、ボディW1を集中的に生産する場合にも容易かつ迅速に対応することができる。
【0067】
ダンパd1〜d17を遠隔操作可能に構成したので、「独立温度設定型のオーブン」または「同温度設定型のオーブン」への切り替えや左右のオーブン11L、11Rの温度設定を秒単位で迅速に操作できる。塗装焼付時の温度条件の切り替えを効率的かつ迅速に行うことができる結果、ボディW1や樹脂製バンパW2の生産効率が一層向上する。
【0068】
温度条件を切り替え可能な左オーブン11Lからの熱風の吸込を制御する手段(ダンパd7、d16)や、吸い込んだ熱風をそのまま熱風吹出ダクト31Lに供給する手段(吸込部D、ダンパd9、d10)を設けている。これにより、加熱手段(第1、第2の加熱系50、60)の負担を軽減でき、低温熱風の温度を設定する精度ないし自由度も向上する。
【0069】
温度条件を切り替え可能な左オーブン11Lの熱風対流ゾーン30から導入した熱風の一部を、高温側の加熱手段である第2加熱系60に合流させる手段(ファンF5、ダンパd11など)を設けている。これにより、低温熱風の温度を設定する精度ないし自由度がさらに向上する。
【0070】
塗装焼付時の温度を低温条件に設定するにあたり、接続ダクト40、ダンパd5、d6を設けることにより、低温熱風を輻射加熱ゾーン20に案内するための手段として、補助熱風吹出ダクト22Lを流用している。低温熱風を輻射加熱ゾーン20に案内する専用のダクトを設けていないので、左オーブン11L内の輻射加熱ゾーン20を有効利用できる。
【0071】
なお、第4加熱系80を左オーブン11Lにのみ設置した実施形態について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではなく、第4加熱系80を右オーブン11Rにもさらに設置してもよい。この場合には、左右のオーブン11L、11Rを同温度の低温条件に設定することにより、樹脂製バンパW2を集中的に生産することができる。また、左右のオーブン11L、11Rの温度条件を上述した実施形態とは逆に、つまり、左オーブン11Lを高温条件に設定し、右オーブン11Rを低温条件に設定することができる。このように、塗装焼付時の温度条件を切り替えるための手段(第4加熱系80など)を複数列のオーブンに設けることにより、運転形態を切り替える自由度が向上する点も、本発明に係る塗装焼付乾燥炉10の利点の一つである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗装焼付乾燥炉の熱風フロー、特に、左右のオーブンの温度を独立して設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図である。
【図2】輻射加熱ゾーンを示す図1の2−2線に沿う概略断面図である。
【図3】熱風対流ゾーンを示す図1の3−3線に沿う概略断面図である。
【図4】左右のオーブンの温度を独立して設定する運転を行った場合に、左右のオーブンの各ゾーンにおける熱風の吹き出し風速および炉内温度を測定した結果の一例を示す図である。
【図5】塗装焼付乾燥炉の熱風フロー、特に、左右のオーブンの温度を同温度に設定する運転を行っている場合の熱風フローを示す概略構成図である。
【符号の説明】
10…塗装焼付乾燥炉
11L、11R…左右のオーブン(オーブン)
12…オーブン群
20…輻射加熱ゾーン
21L、21R…暗赤パネル
22L、22R…補助熱風吹出ダクト
30…熱風対流ゾーン
31L、31R…熱風吹出ダクト
40…接続ダクト(接続経路)
50…第1加熱系
51…第1加熱手段(B1…対流用バーナ)
60…第2加熱系
61…第2加熱手段(HE…熱交換器、B2…脱臭用バーナ)
70…第3加熱系
71…第3加熱手段(B3…補助バーナ)
80…第4加熱系
83…加熱側ダクト(第2加熱手段に至る経路)
84…バイパスダクト(第2加熱手段を迂回する経路)
d1〜d17…ダンパ(d5、d6…開閉手段)
W1…ボディ(ワーク)
W2…樹脂製バンパ(ワーク)
Claims (5)
- ワークを輻射熱により加熱する輻射加熱ゾーンと、前記ワークを熱風の対流により加熱する熱風対流ゾーンとを含むオーブンを備えてなる塗装焼付乾燥炉において、
前記オーブンを複数列に並設したオーブン群と、
各オーブンの輻射加熱ゾーンに設けられ、熱風が供給されて輻射熱を放射する暗赤パネルと、
各オーブンの熱風対流ゾーンに設けられ、熱風を吹き出す熱風吹出ダクトと、
各オーブンの輻射加熱ゾーンに設けられ、ワークを補助加熱する熱風を吹き出す補助熱風吹出ダクトと、
前記補助熱風吹出ダクトと前記熱風吹出ダクトとを連通する接続経路と、
前記接続経路を開閉するとともに常時は前記接続経路を閉じている開閉手段と、
熱風対流ゾーンから導入した熱風を、第1加熱手段により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの熱風吹出ダクトに供給する第1加熱系と、
熱風対流ゾーンから導入した熱風を、第2加熱手段により温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの暗赤パネルに供給する第2加熱系と、
輻射加熱ゾーンから導入した熱風を、第3加熱手段により温度調整した後に、前記第2加熱系からの熱風が暗赤パネルに供給されるオーブンの補助熱風吹出ダクトに供給する第3加熱系と、
前記第2加熱手段に至る経路と、前記第2加熱手段を迂回する経路とを備え、熱風対流ゾーンから導入した熱風を、前記第2加熱手段を通過する熱風流量と前記第2加熱手段を迂回する熱風流量との比率を調整することにより温度調整した後に、当該熱風を導入したオーブンの熱風吹出ダクトに供給する第4加熱系と、を有し、
前記第4加熱系からの熱風の温度は、前記第1加熱系からの熱風の温度よりも低い温度に設定され、各列のオーブンの温度を調節可能にしたことを特徴とする塗装焼付乾燥炉。 - 前記第4加熱系からの熱風を供給中であるオーブンに対しては、前記第1、第2および第3の加熱系からの熱風を供給せず、さらに、当該オーブンに設けられた前記開閉手段を開いて、前記第4加熱系からの熱風を補助熱風吹出ダクトから輻射加熱ゾーンに吹き出すことにより、前記第4加熱系からの熱風が供給されるオーブンを、前記第1、第2および第3の加熱系からの熱風が供給されるオーブンに比べて低温度用のオーブンに設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の塗装焼付乾燥炉。
- 前記第4加熱系を作動させず、前記開閉手段を閉じ、すべてのオーブンに対して前記第1、第2および第3の加熱系からの熱風を供給することにより、すべてのオーブンをほぼ同温度に設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の塗装焼付乾燥炉。
- 前記第1、第2、第3および第4の加熱系は、熱風の供給または熱風の供給停止を切り替えるダンパを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の塗装焼付乾燥炉。
- 前記ダンパは、遠隔操作可能であることを特徴とする請求項4に記載の塗装焼付乾燥炉。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002190337A JP2004036908A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 塗装焼付乾燥炉 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002190337A JP2004036908A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 塗装焼付乾燥炉 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004036908A true JP2004036908A (ja) | 2004-02-05 |
Family
ID=31700281
Family Applications (1)
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JP2002190337A Withdrawn JP2004036908A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 塗装焼付乾燥炉 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004036908A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007268393A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Jfe Mechanical Co Ltd | 塗装室用除湿及び有機溶剤処理システム |
JP2007326092A (ja) * | 2006-08-03 | 2007-12-20 | Athlete Fa Kk | 樹脂塗布システム |
JP2008229468A (ja) * | 2007-03-20 | 2008-10-02 | Daifuku Co Ltd | 塗装ライン上の熱処理設備 |
JP2012179602A (ja) * | 2012-05-24 | 2012-09-20 | Jfe Mechanical Co Ltd | 塗装室用除湿及び有機溶剤処理システム |
CN115265165A (zh) * | 2022-08-11 | 2022-11-01 | 上海寰宇物流科技有限公司 | 一种集装箱烘房干燥系统 |
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2002
- 2002-06-28 JP JP2002190337A patent/JP2004036908A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115265165B (zh) * | 2022-08-11 | 2023-09-05 | 上海寰宇物流科技有限公司 | 一种集装箱烘房干燥系统 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050906 |