JP3693551B2 - 塗装乾燥炉の運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理対象の複数の塗装物を搬送方向に並べた列状態で搬送手段により炉内搬送して、その炉内通過過程で各塗装物の塗膜を乾燥処理する塗装乾燥炉の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の塗装乾燥炉において、単位時間当たりの塗装物処理数(すなわち、炉から搬出される処理済み塗装物の単位時間当たりの搬出数)を変更するのに、その処理数の減少側への変更では塗装物の搬送速度を遅くし、また、これに伴い、炉内で搬送方向に並ぶ複数の加熱ゾーンのうち後段側の加熱ゾーンの加熱装置を停止して、塗装乾燥炉の長さを実質的に短くし、これにより、焼き付け過多を回避しながら単位時間当たりの塗装物処理数を減少させる方式が提案されている(例えば、特開平6−246219号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来方式では、基本的に搬送速度の単なる増減で単位時間当たりの塗装物処理数を変更する為、処理数の多少によらず常時移動(連続移動)する塗装物を支障なく通過させる上で、炉の入口箇所や実質的炉長変更で実質的な炉出口となる箇所に熱風漏出防止用の扉を設けることができず、また仮に扉を設けたとしても、それら扉の開時間比率が大きくなり、この為、炉からの熱風漏出が大きくて熱損失が大きい、また、熱風漏出に伴う炉内への冷風流入も大きくて、それが原因で塗膜の仕上がり品質が低下する問題があった。
【0004】
一方、扉に代えて炉入口や実質的炉出口にエアーカーテンを形成する方式も提案されているが、エアーカーテンでは炉内外の数百℃に及ぶ大きな温度差による上記の熱風漏出や冷風流入を抑制する効果が低くて、やはり同様の問題が生じ、また却って、エアカーテンを形成する低温気流のために熱損失や塗膜の品質低下が助長される面もあった。
【0005】
そして特に、これらの問題は、実質的炉長を短くするほど、炉の実質的容積に対する熱風漏出量や冷風流入量の比率が益々大きくなることで相対的に顕著になる傾向があり、この為、搬送速度を低下させて単位時間当たりの塗装物処理数を減少させたとき、後段側加熱ゾーンの加熱装置を停止する割には消費エネルギの低減率が低くて省エネ面及び運転コスト面で不利になり、また、冷風流入に原因する塗膜の品質低下がより目立つようになる問題もあった。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、塗装物の搬送及び実質炉長の変更について合理的な形式を採ることにより、上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔1〕請求項1に係る発明では、処理対象の複数の塗装物を搬送方向に並べた列状態で搬送手段により炉内搬送して、その炉内通過過程で各塗装物の塗膜を乾燥処理する塗装乾燥炉の運転方法につき、
前記搬送手段を設定タクト時間ごとに送り作動させて、炉内で搬送方向に並ぶ複数の加熱ゾーンに各塗装物を順次に停止させる形態で塗装物列を間歇的に搬送し、
炉内を1つの区画エリア中に1つの前記加熱ゾーン又は連続する複数の前記加熱ゾーンが含まれる複数の区画エリアに区画して、これら区画エリア各々の塗装物搬入口及び搬出口に扉を設けた状態で、これら扉を前記搬送手段による塗装物列の間歇搬送に同期して開閉し、
単位時間当たりの塗装物処理数の計画値変更に応じて、前記区画エリアのうち塗装物塗膜に対する乾燥処理運転を実施する区画エリアのエリア数を、複数の区画エリアで運転実施する場合には塗装物搬送方向で連続する区画エリアを運転対象の区画エリアとする形態で変更し、
この運転実施エリア数の変更に対し、前記設定タクト時間を変更して炉内における各塗装物の塗膜乾燥処理時間を適正時間に調整する運転方法を採る塗装乾燥炉を小調整用の塗装乾燥炉として設けるとともに、
炉内加熱ゾーンに各塗装物を順次に停止させる形態で塗装物列を間歇的に炉内搬送して、その炉内通過過程で各塗装物の塗膜を乾燥処理する大調整用の塗装乾燥炉を、小調整用の塗装乾燥炉とは搬送手段を独立させた状態で設けておき、
この大調整用の塗装乾燥炉を運転するか否かの選択と、前記小調整用の塗装乾燥炉における前記運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更とを組み合わせて、単位時間当たりの塗装物処理数の多段階にわたる変更を行なうようにする。
【0008】
つまり、この方法によれば、小調整用の塗装乾燥炉について、各塗装物を炉内に並ぶ複数の加熱ゾーンに順次停止させる形態で塗装物列を間歇的に搬送するから、その間歇搬送において各加熱ゾーンで塗装物が停止している間を扉の閉じ期間とする形態で、上記扉を塗装物の間歇搬送に同期させて開閉することにより、塗装物の移動時には扉を開いて各塗装物を支障なく通過させるようにしながらも、扉の閉じ時間比率を大きく確保でき、これにより、炉からの熱風漏出及びそれに伴う炉内への冷風流入を効果的に抑止できて、熱風漏出による熱損失、及び、冷風流入に原因する塗膜仕上がり品質の低下を効果的に防止できる。
【0009】
そして、単位時間当たりの塗装物処理数の変更(いわゆる生産量調整)については、上記区画エリアの個別の運転停止により、乾燥処理運転を実施する区画エリアのエリア数を変更することで、また、その変更にあたり複数の区画エリアで運転実施する場合には塗装物搬送方向で連続する区画エリアを運転対象の区画エリアとすることで、炉の実質的炉長を変更することができ、しかも、この実質炉長の変更にかかわらず、乾燥処理運転を実施する1ないし連続する複数の区画エリア(すなわち、炉の実質的稼動部分)について、各区画エリアの塗装物搬入口及び搬出口に設けた扉により、熱風漏出及び冷風流入を上記の如く効果的に抑止することができる。
【0010】
また、この運転実施エリア数の変更に対し、搬送手段の上記設定タクト時間を変更(実質的には1つの加熱ゾーンでの塗装物停止時間を変更)することで、各塗装物の塗膜乾燥処理時間(すなわち、炉の実質的稼動部分における各塗装物の通過時間)を適正時間に調整でき、これにより、これら運転実施エリア数の変更とそれに応じた設定タクト時間の変更とをもって、塗膜乾燥処理時間の不適正化による焼き付け過多や焼き付け不足を回避しながら、また、熱風漏出及び冷風流入を効果的に抑止する機能を保ちながら、単位時間当たりの塗装物処理数を変更することができる。
【0011】
以上のことから、小調整用の塗装乾燥炉では、先述の如き従来の塗装乾燥炉に比べ、熱損失を低減して省エネ面及び運転コスト面で有利にすることができ、また、冷風流入に原因する品質低下をより効果的に防止できて塗膜の仕上がり品質を向上できる。
【0012】
そして特に、実質的炉長の変更にかかわらず炉の実質的稼動部分について熱風漏出及び冷風流入を効果的に抑止できることで、単位時間当たりの塗装物処理数の低減時には、運転実施する区画エリア数の減少に伴い消費エネルギも効果的に減少させることができ、また、実質的炉長の短縮を伴う塗装物処理数の低減に対しても高い塗膜仕上がり品質を安定的に維持することができ、これらの点で省エネ面、運転コスト面、塗膜の仕上がり品質面での有利性を一層高いものにすることができる。
【0013】
なお、塗装物列を上記の如く間歇的に移動させて搬送する形式を採れば、塗装物列を常時移動(連続移動)させる形式に比べ、単位時間当たりの塗装物処理数を同等にしながらも、その必要炉長を基本的に短くすることができて、炉壁からの放熱や運転立ち上げ時の加熱負荷を小さくすることができ、この点からも、省エネ面及び運転コスト面での有利性を高めることができる。
【0014】
また、扉については、炉の実質的稼動部分の入口及び出口(すなわち、実質的炉入口及び実質的炉出口)に位置するもののみを塗装物列の間歇搬送に同期させて開閉し、炉の実質的稼動部分の内部に位置する他の扉は塗装物の停止時間中も開いておく操作形態、あるいは、炉の実質的稼動部分の入口及び出口に位置するもののみならず炉の実質的稼動部分の内部に位置する他の扉も塗装物列の間歇搬送に同期させて開閉する操作形態のいずれを採用してもよいが、後者の操作形態を採れば、ともに運転実施する区画エリアの隣合うものどうしの間での炉内気移動も阻止できて、これら区画エリアのエリア内雰囲気を各々に要求される雰囲気状態に、より的確かつ安定的に調整でき、これにより、塗膜の仕上がり品質を一層高いものにすることができる。
【0015】
そしてまた、請求項1に係る発明では、上記の如き運転方法を採る小調整用の塗装乾燥炉を設けるとともに、炉内加熱ゾーンに各塗装物を順次に停止させる形態で塗装物列を間歇的に炉内搬送して、その炉内通過過程で各塗装物の塗膜を乾燥処理する大調整用の塗装乾燥炉を、小調整用の塗装乾燥炉とは搬送手段を独立させた状態で設けておき、この大調整用の塗装乾燥炉を運転するか否かの選択と、前記小調整用の塗装乾燥炉における前記運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更とを組み合わせて、単位時間当たりの塗装物処理数の多段階にわたる変更を行なうようにする。
【0016】
したがって、上記運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更を可能にした小調整用の塗装乾燥炉を並設して、これら小調整用の塗装乾燥炉の夫々で運転実施エリア数及び設定タクト時間を変更することにより、全体としての単位時間当たりの塗装物処理数を多段階にわたり変更するに比べ、それと同段数の処理数変更を可能にしながらも、大調整用の塗装乾燥炉については運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更を不要にして、その分、炉の構成を簡略化することができ、これにより、全体としての設備コストを低減することができる。
【0017】
また、小調整用の塗装乾燥炉における搬送手段と大調整用の塗装乾燥炉における搬送手段とを互いに独立させてあるから、全体としての単位時間当たりの塗装物処理数の変更において、小調整用の塗装乾燥炉と大調整用の塗装乾燥炉とのいずれか一方の運転が不要になったときには、その停止側の塗装乾燥炉の搬送手段も運転停止して、その分、必要動力を低減でき、これにより、省エネ面及び運転コスト面でより有利にすることができる。
【0018】
なお、大調整用の塗装乾燥炉の入口及び出口には、塗装物列の間歇搬送に同期して開閉する扉を設けるのが望ましい。
【0019】
また、大調整用の塗装乾燥炉の設置数は1炉に限られるものではない。
【0020】
すなわち、大調整用の塗装乾燥炉を複数設置して、これら大調整用の塗装乾燥炉の各々を運転するか否かの選択と、小調整用の塗装乾燥炉における前記運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更とを組み合わせて、単位時間当たりの塗装物処理数の多段階にわたる変更を行なうようにしてもよい。
【0021】
〔2〕請求項2に係る発明では、前記小調整用の塗装乾燥炉において連続する複数の区画エリアで乾燥処理運転を実施する場合、それら連続する複数の区画エリアが炉の実質的稼動部分となることに対し、その実質的稼動部分の内部に位置する前記扉は塗装物列の間歇搬送における塗装物列の停止中も開いたままの状態で、その実質的稼動部分の入口及び出口に位置する前記扉を塗装物列の間歇搬送に同期して開閉するようにする。
【0022】
〔3〕請求項3に係る発明では、前記小調整用の塗装乾燥炉において一部の区画エリアで乾燥処理運転を実施する場合、その一部の区画エリアが炉の実質的稼動部分となることに対し、その実質的稼動部分の入口及び出口に位置する前記扉とともに、その実質的稼動部分から離れた炉端部に位置する前記扉を、塗装物列の間歇搬送に同期して開閉するようにする。
【0023】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図1ないし図4に基づいて、本発明による塗装乾燥炉の運転方法の第1実施形態を採る塗装乾燥設備を説明する。
塗装乾燥設備には、小調整用の塗装乾燥炉L1及び大調整用の塗装乾燥炉L2を、搬送手段としてのコンベアTを夫々独立させた状態で設け、並びに、塗装乾燥設備の各種制御を司る制御装置1、及び、その制御装置1に各種制御情報を指令する操作盤2を設けてある。
【0024】
各塗装乾燥炉L1,L2は、炉本体Fと、炉本体Fで搬送方向に並ぶ複数の加熱ゾーン5に塗装物w(本実施形態では自動車ボディー)を順次に停止させる形態で、設定タクト時間ごとに送り作動して塗装物列を間歇的に搬送する搬送手段としての床設置型タクト式のコンベアTを備えて構成してある。尚、炉内を加熱するための熱源としての加熱空気を生成する燃焼式加熱装置11、及び、炉内を排気するための排気ファン21は、両方の炉本体Fで供用するように構成してある。
【0025】
図1及び図2に基づいて、炉本体Fについて説明を加える。尚、各塗装乾燥炉L1,L2の炉本体Fは、略同様に構成してあり、以下の説明では、小調整用と大調整用とで異なる構成については、区別して説明するが、同様の構成については、特に区別せずに説明する。
トンネル状の炉体3内を、塗装物の搬送方向に沿って並ぶ、入口側エアシールゾーン4と、4つの加熱ゾーン5と、出口側エアシールゾーン6とに区分してある。尚、4つの加熱ゾーン5は、夫々、塗装物搬送方向の上手側から下手側に向かって、1番目、2番目、3番目、4番目と称する。
入口側エアシールゾーン4、4つの加熱ゾーン5及び出口側エアシールゾーン6は、互いに塗装物搬送方向における長さを同一にしてある。
【0026】
そして、入口側エアシールゾーン4の塗装物搬入口、入口側エアシールゾーン4と1番目の加熱ゾーン5との間、4番目の加熱ゾーン5と出口側エアシールゾーン6との間、及び、出口側エアシールゾーン6の搬出口の夫々には、開閉操作自在な扉7を設けてある。更に、小調整用塗装乾燥炉L1の炉体3においては、2番目の加熱ゾーン5と3番目の加熱ゾーン5同士の間にも、扉7を設けてある。
即ち、小調整用塗装乾燥炉L1の炉体3は、1番目と2番目の加熱ゾーン5から成る区画エリアEと、3番目と4番目の加熱ゾーン5からなる区画エリアEとの2つの区画エリアEに区画すると共に、これら区画エリアE各々の搬入口及び搬出口を開閉する扉7を設けてある。
【0027】
各加熱ゾーン5について、床上には、熱風吹出し口8aを形成した一対の給気チャンバ8を塗装物搬送方向に向かって左右両側に振り分けて設け、天井下部には、域内気体を循環させるための吸込み口9aを形成した吸込みチャンバ9を設けてある。更に、1番目の加熱ゾーン5と2番目の加熱ゾーン5との境界部分の天井部、及び、3番目の加熱ゾーン5と4番目の加熱ゾーン5との境界部分の天井部には、加熱ゾーン5内の気体を排出するための排気口10を設けてある。
【0028】
炉内を加熱するための熱源としての加熱空気生成用として、両方の炉体3に対して、共通の1台の燃焼式加熱装置11を設けてあり、その燃焼式加熱装置11は、バーナ11bの燃焼運転により通過新鮮空気を加熱するように構成してある。インバータ制御部INVにより送風量を調節自在な新鮮空気供給ファン12を介装した加熱空気循環路13を、燃焼式加熱装置11の新鮮空気供給口と新鮮空気送出口とに接続すると共に、新鮮空気供給路14を加熱空気循環路13に接続し、更に、加熱空気循環路13の通流空気の温度を検出する温度センサ24を設けてある。
そして、温度センサ24の検出温度が予め設定された設定加熱空気温度になるように、燃焼式加熱装置11の燃焼量を調節しながら、新鮮空気供給ファン12の通風作用によって、新鮮空気供給路14から供給される新鮮空気、及び、加熱空気循環路13を循環する循環空気を、燃焼式加熱装置11にて加熱することにより、設定加熱空気温度になるように加熱調節された加熱空気が加熱空気循環路13を循環するように構成してある。
【0029】
各加熱ゾーン5において、給気チャンバ8と吸込みチャンバ9とを域内気循環路15にて接続すると共に、加熱空気循環路13から各加熱ゾーン5に夫々対応する加熱空気供給路16を各別に分岐させ、各加熱ゾーン5の域内気循環路15に対して、各加熱ゾーン5に対応する加熱空気供給路16を接続してある。
各域内気循環路15において、加熱空気供給路16との接続部分から給気チャンバ8に至る部分には、インバータ制御部INVにより送風量を調節自在な域内気循環ファン17を介装し、各域内気循環路15において、吸込みチャンバ9から加熱空気供給路16との接続部分に至る部分には、通流気体の温度をゾーン温度として検出する温度センサ18を設けてある。
又、各加熱空気供給路16には、加熱空気循環路13から域内気循環路15に対する加熱空気の供給を断続すると共に、その供給量を調節する調整ダンパ19を介装してある。
【0030】
各排気口10には、夫々に対応する個別の排気路20を接続すると共に、各排気路20を排気集合路21に接続し、各排気路20には、排気量を調節する調整ダンパ22を介装し、排気集合路21には、インバータ制御部INVにより排風量を調節自在な排気ファン23を介装してある。
【0031】
そして、域内気循環ファン17の通風作用により、吸込みチャンバ9の吸込み口9aから吸込んだ域内気体を域内気循環路15に通流させて、給気チャンバ8の熱風吹出し口8aから加熱ゾーン5内に吹き出すことにより、加熱ゾーン5内の気体を循環させ、それと並行して、加熱空気供給路16から域内気循環路15に新鮮加熱空気を供給することにより、加熱ゾーン5内を対流式で加熱する。又、排気ファン23の通風作用により、各排気路20を通じて加熱ゾーン5内の気体を排出して、加熱ゾーン5内を換気すると共に、各排気路20を通流する域内気体を排気集合路21に集合させて、図示しない排気処理装置に送るように構成してある。
【0032】
小調整用塗装乾燥炉L1の炉本体Fに関しては、区画エリアE夫々について、夫々に属する加熱ゾーン5の域内気循環ファン17を運転させると共に加熱空気供給量調節用の調整ダンパ19を開き、並びに、夫々に対応する排気量調節用の調整ダンパ22を開くことにより、運転実施状態とし、夫々に属する加熱ゾーン5の域内気循環ファン17を停止させると共に加熱空気供給量調節用の調整ダンパ19を閉じ、並びに、夫々に対応する排気量調節用の調整ダンパ22を閉じることにより、運転停止状態とすることができる。つまり、二つの区画エリアEの各々を塗装物塗膜に対する乾燥処理運転の個別停止が可能なように構成してある。
【0033】
一方、大調整用の炉本体Fについては、4つの加熱ゾーン5の全てを一括して運転実施状態にするか、一括して停止状態にするかに切り換えるように構成してある。
【0034】
次に、図1及び図2に基づいて、コンベアTについて説明を加える。
各塗装乾燥炉L1,L2のコンベアTは同様の構成であり、個別に運転停止が可能なように構成してある。又、小調整用塗装乾燥炉L1のコンベアTは、設定タクト時間の変更が可能なように構成してある。
以下、一方のコンベアTを対象にして構成を説明する。塗装物載置用の台車31の被係合部32に対する係合部33を所定ピッチで取り付けたエンドレスチェーン34を、炉体3の入口部と出口部とに振り分け配置した駆動スプロケット(図示省略)と従動スプロケット(図示省略)とに掛け渡し、このエンドレスチェーン34を一方向へ間歇的に回動することにより、往動側チェーン部分の係合部33を各台車31の被係合部32に係合させた状態で、一列状に並べた複数の塗装物wを間歇的に搬送する。図2中、35は、台車31の車輪36を案内するガイドレールである。
【0035】
塗装物wが列状に並ぶ並びピッチは、加熱ゾーン5の並びピッチと同一とし、コンベアTの送りピッチも加熱ゾーン5の並びピッチと同一としてある。
そして、コンベアTを設定タクト時間ごとに送り作動させることにより、4つの加熱ゾーン5に各塗装物wを順次に停止させる状態で、塗装物列を間歇的に搬送するように構成してある。
【0036】
操作盤2には、塗装乾燥設備の始動並びに停止を指令する運転スイッチ(図示せず)等の他に、異なる操業度での運転を指令する操業度選択スイッチ2sを備えてある。操業度は、塗装乾燥設備において、塗装物wを単位時間当たりに乾燥処理できる最大処理可能数に対する、単位時間当たりの塗装物処理数の計画値の割合を示し、操業度の変更を指令することは、単位時間当たりの塗装物処理数の計画値の変更を指令することに相当する。ちなみに、この実施形態では、操業度として、100%、75%、50%、25%の4段階の操業度を指令するようになっている。
【0037】
次に、制御装置1の制御構成について説明する。
制御装置1は、基本的には、操作盤2から指令される操業度に応じて、小調整用塗装乾燥炉L1に関しては、区画エリアEのうち塗装物塗膜に対する乾燥処理運転を実施する区画エリアEのエリア数を、複数の区画エリアEで運転実施する場合には塗装物搬送方向で連続する区画エリアEを運転対象の区画エリアEとする形態で変更し、並びに、この運転実施エリア数の変更に対し、設定タクト時間を変更して炉内における各塗装物wの塗膜乾燥処理時間を設定塗膜乾燥処理時間tに調整することと、大調整用塗装乾燥炉L2に関しては運転するか否かを選択することとを組み合わせることによって、単位時間当たりの塗装物処理数の多段階にわたる変更を行なう。
【0038】
以下、図3及び図4に基づいて、操作盤2から指令される操業度に応じて、大調整用塗装乾燥炉L2を運転するか否かを選択し、並びに、小調整用塗装乾燥炉L1における運転実施エリア数及び設定タクト時間を変更する方法について、具体的に説明する。尚、図3は、各操業度における各加熱ゾーン5の運転状態を示し、ハッチングを付した加熱ゾーン5は、運転実施状態を示し、ハッチング無しの加熱ゾーン5は運転停止状態を示す。又、図4は、小調整用塗装乾燥炉L1において、塗装物wが運転実施中の区画エリアEの加熱ゾーン5を設定塗膜乾燥処理時間tかかって通過するのに伴って、塗装物塗膜温度が変化する経時変化パターンを示す。又、図4において、運転実施対象の加熱ゾーン5を、塗装物搬送方向の並び順位(1)、(2)…(4)にて示す。
【0039】
100%操業度が指令されると、大調整用塗装乾燥炉L2を運転し、小調整用塗装乾燥炉L1に関しては、炉本体Fを、2つの区画エリアEの両方を運転実施状態にする全ゾーン運転状態にて運転すると共に、コンベアTは設定タクト時間t/4にて運転する。
【0040】
75%操業度が指令されると、大調整用塗装乾燥炉L2を運転し、小調整用塗装乾燥炉L1に関しては、炉本体Fを、塗装物搬送方向上手側の区画エリアEを運転実施状態にし、塗装物搬送方向下手側の区画エリアEを停止状態にする部分ゾーン運転状態にて運転すると共に、コンベアTは設定タクト時間t/2にて運転する。
【0041】
50%操業度が指令されると、大調整用塗装乾燥炉L2を運転し、小調整用塗装乾燥炉L1に関しては、2つの区画エリアE共、停止状態にして炉本体Fを停止させると共に、コンベアTも停止させる。
【0042】
25%操業度が指令されると、大調整用塗装乾燥炉L2を停止させ(炉本体Fと共にコンベアTも停止させる)、小調整用塗装乾燥炉L1に関しては、炉本体Fは部分ゾーン運転状態にて運転すると共に、コンベアTは設定タクト時間t/2にて運転する。
【0043】
従って、小調整用塗装乾燥炉L1では、全ゾーン運転状態及び部分ゾーン運転状態のいずれにおいても、設定塗膜乾燥処理時間tにて乾燥処理され、大調整用塗装乾燥炉L2でも、設定塗膜乾燥処理時間tにて乾燥処理されることになる。
【0044】
又、制御装置1は、小調整用塗装乾燥炉L1の炉本体Fを全ゾーン運転状態にて運転しているときは、2番目と3番目の加熱ゾーン5同士の間の扉7は開き状態に維持し、他の全扉7を、コンベアTの搬送タイミングに合わせて、塗装物wが加熱ゾーン5に停止している間は閉じ状態に維持する状態で、塗装物wが加熱ゾーン5に搬入されたり、加熱ゾーン5から搬出されたりするのを許容するように、開閉操作する。
小調整用塗装乾燥炉L1の炉本体Fを部分ゾーン運転状態にて運転しているときは、2番目と3番目の加熱ゾーン5同士の間の扉7も含めた全扉7を、コンベアTの搬送タイミングに合わせて、塗装物wが加熱ゾーン5に停止している間は、閉じ状態に維持する状態で、塗装物wが加熱ゾーン5に搬入されたり、加熱ゾーン5から搬出されたりするのを許容するように、開閉操作する。
又、大調整用塗装乾燥炉L2を運転しているときは、全扉7を、コンベアTの搬送タイミングに合わせて、塗装物wが加熱ゾーン5に停止している間は、閉じ状態に維持する状態で、塗装物wが加熱ゾーン5に搬入されたり、加熱ゾーン5から搬出されたりするのを許容するように、開閉操作する。
【0045】
各炉本体Fの4つの加熱ゾーン5の夫々について、予め、設定ゾーン温度を設定してある。尚、設定ゾーン温度は、例えば、各加熱ゾーン5で同じになるように設定してある。
【0046】
そして、制御装置1は、小調整用塗装乾燥炉L1の炉本体Fについては、運転実施対象の区画エリアEにおける各加熱ゾーン5の温度センサ18の検出温度が設定ゾーン温度になるように、調整ダンパ19を調節して、加熱空気の供給量を調節し、並びに、排気量調節用の各調整ダンパ22を、夫々が対応する2つの加熱ゾーン5に対する加熱空気の供給量に見合った排気量となるように、調節して、各加熱ゾーン5のエアバランスを保つ。
又、大調整用塗装乾燥炉L2の炉本体Fについては、各加熱ゾーン5における温度センサ18の検出温度が設定ゾーン温度になるように、調整ダンパ19を調節し、並びに、排気量調節用の各調整ダンパ22を、夫々が対応する2つの加熱ゾーン5に対する加熱空気の供給量に見合った排気量となるように、調節する。
又、各排気口10からの排気量が、夫々の対応する2つの加熱ゾーン5に対する加熱空気の供給量に見合った排気量になるように、インバータ制御部INVにより排気ファン23の排風量を調節する。
【0047】
そして、塗装物wが炉内を通過すると、塗装物搬送方向の上手側に位置する加熱ゾーン5ほど、搬入されてくる塗装物wの温度が低いため、熱負荷が大きいので、加熱空気の供給量及び域内気体の排気量が多くなる。
又、塗装物搬送方向の上手側に位置する加熱ゾーン5ほど、塗装物wの塗膜からの溶剤蒸発量が多いが、先述のように、塗装物搬送方向の上手側に位置する加熱ゾーン5ほど換気量が多いので、必要換気量が確保されることになる。ちなみに、加熱ゾーン5に供給される加熱空気の温度が低いほど、ゾーン温度を設定ゾーン温度に調節するために供給する加熱空気の供給量が多くなって、それに応じて排気量が多くなるので、各加熱ゾーン5の必要換気量が確保できるように、設定加熱空気温度が設定されている。
【0048】
そして、小調整用塗装乾燥炉L1においては、全ゾーン運転状態及び部分ゾーン運転状態のいずれにおいても、運転実施中の加熱ゾーン5を、塗装物wが順次に通過すると、塗膜温度が、図4に示すように、乾燥処理の開始時点から時間経過に伴って徐々に高くなり、所定の温度に達するとその所定の温度に維持されるような経時変化パターンで変化し、それによって、塗膜温度を徐々に昇温させて塗料溶剤を蒸発させる昇温工程、及び、塗膜温度を所定温度に保持して塗膜を反応硬化させる保温工程を順次に実行できるのである。
【0049】
大調整用塗装乾燥炉L2においては、小調整用塗装乾燥炉L1の全ゾーン運転状態におけるのと同様の形態で乾燥処理が実行される。
【0050】
又、昇温工程及び保温工程の夫々について、夫々に応じた設定域内気循環量を設定してあり、運転実施中の加熱ゾーン5夫々について、夫々が受け持つ工程(昇温工程又は保温工程)に対応する設定域内気循環量になるように、インバータ制御部INVにより域内気循環ファン17の送風量を調節する。
【0051】
〔第2実施形態〕
図5及び図6は、運転を実施する区画エリアEのエリア数の変更と、設定タクト時間の変更により操業度を変更する塗装乾燥炉(すなわち、前述した小調整用の塗装乾燥炉)の変形例を示し、各種制御を司る制御装置1と、その制御装置1に各種制御情報を指令する操作盤2とを備えている。尚、図5では、コンベアTの図示を省略している。
【0052】
図5に基づいて、炉本体Fについて説明を加える。
トンネル状の炉体3内を、塗装物搬送方向に沿って並ぶ、入口側エアシール域4と、8つの加熱ゾーン5と、出口側エアシール域6とに区分し、炉体3の搬入口及び搬出口、並びに、各ゾーン同士の間は、夫々、開閉操作自在な扉7にて仕切ってある。8つの加熱ゾーン5は、全て、塗装物搬送方向における長さを同一にしてある。
そして、区画エリアEを1つの加熱ゾーン5にて構成して、炉内を8つの区画エリアEに区画するとともに、これら区画エリアE各々の塗装物搬入口及び搬出口を開閉する扉7を設けてある。
【0053】
第1実施形態と同様の燃焼式加熱装置11を設け、インバータ制御部INVにより送風量を調節自在な新鮮空気供給ファン12を介装した加熱空気循環路13を、燃焼式加熱装置11の新鮮空気供給口と加熱空気送出口とに接続すると共に、新鮮空気供給路14を加熱空気循環路13に接続し、更に、加熱空気循環路13の通流空気の温度を検出する温度センサ24を設けてある。
【0054】
各加熱ゾーン5には、第1実施形態におけるのと同様に、熱風吹出し口8aを形成した一対の給気チャンバ8、吸込み口9aを形成した吸込みチャンバ9を設け、更に、各加熱ゾーン5には排気口10を設けてある。
そして、第1実施形態と同様に、給気チャンバ8と吸込みチャンバ9とを域内気循環路15にて接続すると共に、加熱空気循環路13から各加熱ゾーン5に夫々対応する加熱空気供給路16を各別に分岐させ、各加熱ゾーン5の域内気循環路15に対して、各加熱ゾーン5に対応する加熱空気供給路16を接続してある。
各域内気循環路15には、第1実施形態と同様に、インバータ制御部INVにより送風量を調節自在な域内気循環ファン17を介装すると共に、温度センサ18を設けてある。又、各加熱空気供給路16には、第1実施形態と同様に、調整ダンパ19を介装してある。
各加熱ゾーン5の排気口10には、夫々に対応する個別の排気路20を接続すると共に、各排気路20を排気集合路21に接続し、各排気路20には、調整ダンパ22を介装し、排気集合路21には、インバータ制御部INVにより送風量を調節自在な排気ファン23を介装してある。
【0055】
各区画エリアEは、夫々に対応する域内気循環ファン17を運転させると共に加熱空気供給量調節用の調整ダンパ19を開き、並びに、夫々に対応する排気量調節用の調整ダンパ22を開くことにより、運転実施状態とし、夫々に対応する域内気循環ファン17を停止させると共に加熱空気供給量調節用の調整ダンパ19を閉じ、並びに、夫々に対応する排気量調節用の調整ダンパ22を閉じることにより、運転停止状態とすることができる。つまり、8つの区画エリアEの各々を塗装物塗膜に対する乾燥処理運転の個別停止が可能なように構成してある。
【0056】
コンベアTは、第1実施形態と同様の構成とし、塗装物wが列状に並ぶ並びピッチは、加熱ゾーン5の並びピッチと同一とし、コンベアTの送りピッチも加熱ゾーン5の並びピッチと同一としてある。
そして、コンベアTを設定タクト時間ごとに送り作動させることにより、8つの加熱ゾーン5に各塗装物wを順次に停止させる状態で、塗装物列を間歇的に搬送するように構成してある。
【0057】
操作盤2には、100%、87.5%、75%、62.5%、50%、37.5%、25%及び12.5%の8段階の操業度(小調整用塗装乾燥炉の操業度)での運転を指令する操業度選択スイッチ2sを備えてある。
【0058】
次に、制御装置1の制御構成について説明する。
制御装置1は、基本的には、操作盤2から指令される操業度に応じて、8つの区画エリアEのうち塗装物塗膜に対する乾燥処理運転を実施する区画エリアEのエリア数を、複数の区画エリアEで運転実施する場合には塗装物搬送方向で連続する区画エリアEを運転対象の区画エリアEとする形態で変更し、並びに、この運転実施エリア数の変更に対し、設定タクト時間を変更して炉内における各塗装物wの塗膜乾燥処理時間を設定塗膜乾燥処理時間tに調整する。
【0059】
以下、図6に基づいて、操作盤2から指令される操業度に応じて、運転実施エリア数及び設定タクト時間を変更する方法について、具体的に説明する。尚、図6は、塗装物wが運転実施中の区画エリアEの加熱ゾーン5を設定塗膜乾燥処理時間tかかって通過するのに伴って、塗装物塗膜温度が変化する経時変化パターンを示し、運転実施対象の加熱ゾーン5を、塗装物搬送方向の並び順位(1)、(2)…(8)にて示す。
【0060】
運転実施エリア数は、複数の区画エリアEで運転実施する場合には、塗装物搬送方向の最上手から塗装物搬送方向下手側に連続する区画エリアEを運転対象の区画エリアEとする形態で、操業度が100%のときは8つ、87.5%のときは7つ、75%のときは6つ、以降、指令される操業度が1段ずつ低くなるに伴って、1つずつ減少させて、12.5%のときは1つに夫々変更する。尚、操業度12.5%のときに運転実施する1つの加熱ゾーン5は、塗装物搬送方向の最上手のものとする。
【0061】
次に、コンベアTの設定タクト時間は、乾燥処理時間tを運転実施エリア数で割った時間に調節する。即ち、操業度が100%のときは、運転実施エリア数は8であるので、設定タクト時間はt/8となり、、操業度が87.5%のときは、運転実施エリアエリア数は7つであるので、設定タクト時間はt/7となり、操業度が12.5%のときは、運転実施エリア数は1つであるので、設定タクト時間はtとなる。
【0062】
従って、いずれの操業度での運転においても、設定塗膜乾燥処理時間tにて乾燥処理されることになる。
【0063】
又、各扉7を、コンベアTの搬送タイミングに合わせて、塗装物wが加熱ゾーン5に停止している間は、閉じ状態に維持する状態で、塗装物wが加熱ゾーン5に搬入されたり加熱ゾーン5から搬出されたりするのを許容するように、開閉操作する。
【0064】
第1実施形態と同様に、各加熱ゾーン5について、予め、設定ゾーン温度を設定してある。尚、設定ゾーン温度は、例えば、各加熱ゾーン5で同じになるように設定してある。
そして、制御装置1は、運転実施対象の各区画エリアEについて、加熱ゾーン5の温度センサ18の検出温度が設定ゾーン温度になるように、調整ダンパ19を調節すると共に、排気量調節用の各調整ダンパ22を夫々が対応する加熱ゾーン5に対する加熱空気の供給量に見合った排気量となるように調節し、並びに、各排気口10からの排気量が、夫々の対応する加熱ゾーン5に対する加熱空気の供給量に見合った排気量になるように、インバータ制御部INVにより排気ファン23の排風量を調節する。
従って、運転実施中の加熱ゾーン5を、塗装物wが通過すると、塗膜温度が、図6に示すように、乾燥処理の開始時点から時間経過に伴って徐々に高くなり、所定の温度に達するとその所定の温度に維持されるような経時変化パターンで変化し、それによって、昇温工程及び保温工程を順次に行う乾燥処理を実行できるのである。
【0065】
ちなみに、操業度が低くて運転実施エリア数が少ないときや、操業度が12.5%のときのように運転実施エリア数が1つの場合、塗装物wが加熱ゾーン5に停止している間において、初期は、搬入されて来た塗装物wの温度が低いため熱負荷が大きく、以降、塗装物wの温度が徐々に高くなって熱負荷が徐々に小さくなるので、塗膜温度は、図6に示すような経時変化パターンで変化し、換気量は、乾燥処理の初期に多くなって必要換気量が確保でき、以降、徐々に減少することになる。
【0066】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 上記の第1実施形態においては、小調整用塗装乾燥炉L1の区画エリアEを構成する加熱ゾーン5の数を、2つに設定する場合について例示したが、これに代えて、1つに設定すると、操業度の変更幅を第2実施形態と同様に12.5%にすることができる。この場合は、各加熱ゾーン5に個別の排気口10を設け、各排気口10に夫々に対応する個別の排気路20を接続すると共に、各排気路20に通風量を調節自在な調整ダンパ22を介装する。
【0067】
あるいは、小調整用塗装乾燥炉L1における加熱ゾーン5の設置数を増加させて、区画エリアEを構成する加熱ゾーン5の数を3個以上に設定しても良い。
【0068】
複数の大調整用塗装乾燥炉L2を、個別に運転停止操作できる状態で設けて、これら大調整用塗装乾燥炉L2の各々を運転するか否かの選択と、小調整用塗装乾燥炉L1における運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更とを組み合わせて、操業度を変更するように構成しても良い。
【0069】
小調整用塗装乾燥炉L1及び大調整用塗装乾燥炉L2夫々に設ける加熱ゾーン5の数は、要求される操業度の調節幅に応じて、適宜変更することができ、この場合、小調整用塗装乾燥炉L1と大調整用塗装乾燥炉L2とで、加熱ゾーン5の数が異なるようにしても良い。
【0070】
(ロ) 上記の第2実施形態においては、区画エリアEを構成する加熱ゾーン5の数を1つに設定する場合について例示したが、複数に設定しても良い。
又、塗装乾燥炉に設ける加熱ゾーン5の数は、要求される操業度の調節幅に応じて、適宜変更することができる。
【0071】
(ハ) 塗装乾燥炉における複数の区画エリアEの並置列において、運転実施する区画エリアEの位置を設定する形態は、上記の各実施形態において例示した如き、塗装物搬送方向の上手側端部に偏らせて設定する形態に限定されるものではなく、例えば、塗装物搬送方向の下手側端部に偏らせた形態や、塗装物搬送方向の中間部に設定する形態でも良い
【0072】
(ニ) 上記の第1実施形態においては、操業度を指令する操作盤2を設け、制御装置1により、操作盤2から指令される操業度に応じて、小調整用塗装乾燥炉L1に関する運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更、並びに、大調整用塗装乾燥炉L2を運転するか否かの選択を自動的に実行するように構成する場合について例示した。これに代えて、小調整用塗装乾燥炉L1の区画エリアEの夫々に対応して、運転実施状態と運転停止状態とに切り換えるスイッチ、及び、設定タクト時間を変更するスイッチを設け、並びに、大調整用塗装乾燥炉L2を運転実施状態と運転停止状態とに切り換えるスイッチを設け、それらのスイッチにより、人為的に、運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更、並びに、大調整用塗装乾燥炉L2を運転するか否かの選択を行うように構成しても良い。
同様に、第2実施形態において、制御装置1により運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更を自動的に行う構成に代えて、区画エリアEの夫々に対応して、運転実施状態と運転停止状態とに切り換えるスイッチ、及び、設定タクト時間を変更するスイッチを設け、それらのスイッチにより、人為的に、運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更を行うように構成しても良い。
【0073】
(ホ) 加熱ゾーン5を加熱する加熱方式として、上記の実施形態においては、対流式を採用したが、これ以外に、輻射式を採用しても良く、あるいは、対流式と輻射式とを併用する方式を採用しても良い。
【0074】
(ヘ) 塗装物wは自動車ボディーに限定されるものではなく、家電製品のケーシング等でも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態にかかる塗装乾燥炉の運転方法を採る塗装乾燥設備のブロック図
【図2】 実施形態にかかる塗装乾燥炉における塗装物搬送方向に直交する方向での縦断面図
【図3】 第1実施形態にかかる塗装乾燥炉の運転方法における運転実施エリア数の変更方法を説明する図
【図4】 第1実施形態にかかる塗装乾燥炉の運転方法における運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更方法を説明する図
【図5】 第2実施形態にかかる塗装乾燥炉の運転方法を採る塗装乾燥設備のブロック図
【図6】 第2実施形態にかかる塗装乾燥炉の運転方法における運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更方法を説明する図
【符号の説明】
5 加熱ゾーン
7 扉
w 塗装物
E 区画エリア
L1 小調整用の塗装乾燥炉
L2 大調整用の塗装乾燥炉
T 搬送手段
Claims (3)
- 処理対象の複数の塗装物を搬送方向に並べた列状態で搬送手段により炉内搬送して、その炉内通過過程で各塗装物の塗膜を乾燥処理する塗装乾燥炉の運転方法であって、
前記搬送手段を設定タクト時間ごとに送り作動させて、炉内で搬送方向に並ぶ複数の加熱ゾーンに各塗装物を順次に停止させる形態で塗装物列を間歇的に搬送し、
炉内を1つの区画エリア中に1つの前記加熱ゾーン又は連続する複数の前記加熱ゾーンが含まれる複数の区画エリアに区画して、これら区画エリア各々の塗装物搬入口及び搬出口に扉を設けた状態で、これら扉を前記搬送手段による塗装物列の間歇搬送に同期して開閉し、
単位時間当たりの塗装物処理数の計画値変更に応じて、前記区画エリアのうち塗装物塗膜に対する乾燥処理運転を実施する区画エリアのエリア数を、複数の区画エリアで運転実施する場合には塗装物搬送方向で連続する区画エリアを運転対象の区画エリアとする形態で変更し、
この運転実施エリア数の変更に対し、前記設定タクト時間を変更して炉内における各塗装物の塗膜乾燥処理時間を適正時間に調整する運転方法を採る塗装乾燥炉を小調整用の塗装乾燥炉として設けるとともに、
炉内加熱ゾーンに各塗装物を順次に停止させる形態で塗装物列を間歇的に炉内搬送して、その炉内通過過程で各塗装物の塗膜を乾燥処理する大調整用の塗装乾燥炉を、小調整用の塗装乾燥炉とは搬送手段を独立させた状態で設けておき、
この大調整用の塗装乾燥炉を運転するか否かの選択と、前記小調整用の塗装乾燥炉における前記運転実施エリア数及び設定タクト時間の変更とを組み合わせて、単位時間当たりの塗装物処理数の多段階にわたる変更を行なう塗装乾燥炉の運転方法。 - 前記小調整用の塗装乾燥炉において連続する複数の区画エリアで乾燥処理運転を実施する場合、それら連続する複数の区画エリアが炉の実質的稼動部分となることに対し、その実質的稼動部分の内部に位置する前記扉は塗装物列の間歇搬送における塗装物列の停止中も開いたままの状態で、その実質的稼動部分の入口及び出口に位置する前記扉を塗装物列の間歇搬送に同期して開閉する請求項1記載の塗装乾燥炉の運転方法。
- 前記小調整用の塗装乾燥炉において一部の区画エリアで乾燥処理運転を実施する場合、その一部の区画エリアが炉の実質的稼動部分となることに対し、その実質的稼動部分の入口及び出口に位置する前記扉とともに、その実質的稼動部分から離れた炉端部に位置する前記扉を、塗装物列の間歇搬送に同期して開閉する請求項1又は2記載の塗装乾燥炉の運転方法。
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