JPH022675Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、荷台と、該荷台に配置され、その使
用時には荷台より引き出され、非使用時には荷台
に収納される移動コンテナを備えた車両に関す
る。

〔従来の技術〕

建康診断、あるいは商品展示等の目的で、その
停車時に荷台のスペースを拡張して使用できるよ
うにした上記形式の車両は従来より公知である。

この車両は、荷台の有効スペースを拡大する目
的で、荷台に設けられた移動コンテナを荷台より
引き出せるよう構成されている。従来は移動コン
テナを駆動する目的で、流体圧シリンダ、たとえ
ば油圧シリンダを荷台に設け、そのシリンダチユ
ーブ内を摺動するピストンに取付けられたピスト
ンロツドを移動コンテナに固定連結し、油圧によ
るピストンロツドの繰り出しによつて移動コンテ
ナを荷台から押し出すように構成されていた。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところが上記従来の構成においては、移動コン
テナを引き出す際、又は引き出した後に、移動コ
ンテナにその自重や他の荷重が加わると、ピスト
ンロツドは移動コンテナに固定されているため、
該ロツドが移動コンテナと共に撓み、油圧シリン
ダのシリンダチユーブ端壁の孔とピストンロツド
との間に隙間が生じやすく、この部分から油漏れ
を起こす恐れがあつた。このため、移動コンテナ
に自重やその他の荷重が加わつたときも、これが
撓まないように該コンテナの強度を高める必要が
あるが、このようにすればコストの増大を招く不
都合を免れない。

また水平方向の回転軸線のまわりを回転するピ
ニオンを荷台側に設け、該ピニオンの上部に噛み
合うラツクを移動コンテナ側に固設し、ピニオン
を手動で回転駆動することによつて、移動コンテ
ナを引き出す車両も公知であるが、この構成にお
いても、移動コンテナを引き出すとき、その荷重
がラツクを介してピニオンに直に加わるため、移
動コンテナの引き出し、又はその収納時に大きな
操作力を必要とし、作業者に多大な負担をかける
恐れがある。しかも移動コンテナの荷重に耐え得
るようにラツクとピニオンを大型化する必要があ
り、そのコストの上昇を免れない。

本考案の目的は、上記従来の欠点を除去し、移
動コンテナの引き出し時、又は引き出した後に該
コンテナに荷重が加わつても、その撓みを抑制で
き、しかも移動コンテナが多少撓んでも流体圧シ
リンダの機能に影響を与えることがなく、その
上、移動コンテナ用の駆動装置の要素に過大な荷
重が加わることを阻止できる冒頭に記載した形式
の車両を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記目的を達成するため、荷台と、該
荷台に配置され、その使用時には荷台より引き出
され、非使用時には荷台に収納される移動コンテ
ナと、該移動コンテナの引き出し方向に移動可能
に荷台に支持された移動レールと、該移動レール
の引き出し方向先端側に折り畳み可能に付設さ
れ、移動レールを引き出したとき、その先端側を
支持する脚部と、移動コンテナの底板下面に回転
自在に設けられ、移動レールを引き出した状態
で、移動コンテナを引き出すとき、移動レール上
を転動するキヤスタと、前記荷台に設けられ、か
つ前記移動コンテナの引き出し方向、又はその逆
の方向に摺動するピストンロツドを備えた流体圧
シリンダと、該ピストンロツドに回転自在に支持
され、その回転軸線が上下方向を向いているピニ
オンと、該ピニオンと係合しかつ移動コンテナに
周設され、その歯が移動コンテナの引き出し方向
に配列されている移動ラツクと、前記ピニオンと
係合しかつ荷台に固設され、その歯が移動コンテ
ナの引き出し方向に配列されている固定ラツクと
を具備して成る車両を提案する。

〔実施例〕

以下、本考案をその実施例を示す図面に基いて
説明する。

第１図は、本考案に係る移動コンテナを有する
車両１の全体を示し、２は荷台、３が移動コンテ
ナである。この移動コンテナ３は荷台２に収納さ
れた非使用位置から、鎖線で示す使用位置へと引
き出すことができる。

第２図および第４図に示すように移動コンテナ
３の底板３ａの下面には、キヤスタ４ａ，４ｂが
回転可能に取付けられている。また第３図および
第４図に示す如く、アツパフロア２ｂとロアフロ
ア２ｃとからなる荷台床部２ａのアツパフロア２
ｂには、上記キヤスタ４ａ，４ｂと対応する位置
にガイドレール５ａが、車両の走行方向Ｘに対し
て横の方向Ｙに延びており、このガイドレール５
ａ上に、前記キヤスター４ａ，４ｂが走行自在に
載置されている（第２図）。

また、第４図から明らかなように、荷台２には
移動レール５ｂが移動コンテナ３の引き出し方向
（横方向Ｙ）に移動可能に支持されており、図示
した例では移動レール５ｂはコの字断面に形成さ
れ、床部２ａにおけるレール５ａの下方領域に摺
動自在に嵌合している。また、この移動レール５
ｂの端部には、車両の進行方向Ｘに長く延びる連
結部材６が固着されている（第２図および第３
図）。

一方、第３図および第４図に示すように、荷台
２の床部２ａには、流体圧シリンダ、本例ではピ
ストンロツド７ａを備えた油圧シリンダ７を有す
る駆動装置が設けられている。油圧シリンダ７の
シリンダチユーブ７ｂは、床部２ａに固着され、
該チユーブ７ｂには図示していない油圧ポンプが
導管を介して接続されている。またシリンダチユ
ーブ７ｂに嵌合したピストンロツド７ａは横方向
Ｙ、即ち移動コンテナ３の引き出し方向、又はそ
の逆の方向に摺動でき、かかるピストンロツド７
ａの先端にはピニオン８が軸７ｃを介して回転自
在に支持されている。軸７ｃは上下方向に立つた
状態で配置され、したがつてピニオン８は上下方
向に向いた回転軸線のまわりを回転する。

床部２ａのロアフロア２ｃには、横方向Ｙに延
びピニオン８と係合する固定ラツク９ａが固設さ
れ、移動コンテナ３の底板３ａには前記固定ラツ
ク９ａと平行に延びる移動ラツク９ｂが固設され
ている。この移動ラツク９ｂは、アツパフロア２
ｂに穿設された孔２ｄを貫通してアツパフロア２
ｂとロアフロア２ｃとの間の空間にまで突出し、
ここでピニオン８と係合している。両ラツク９
ａ，９ｂの歯は移動コンテナ３の引き出し方向、
即ち第３図に矢印Ａで示した方向に配列されてい
る。

上の説明ではキヤスタ４ａ，４ｂ、ガイドレー
ル５ａおよび移動レール５ｂから成る、移動コン
テナ用のガイド装置を１組だけ示したが、これと
全く同じ構成のガイド装置が複数組設けられ、図
の例では４組設けられている。第３図に、他の３
組のガイド装置におけるガイドレールだけを、符
号１５ａ，１１５ａ、２１５ａを付して示してお
く。またこれらガイド装置における移動レール
も、連結部材６に固着されている。

同様に、油圧シリンダ７、ピニオン８、ラツク
９ａ，９ｂから成る駆動装置も、１つに限らず複
数設けてもよい。

移動コンテナ３が、第１図および第２図に実線
で示した非使用位置に存するときは、移動コンテ
ナ３は荷台２に収納されているので、車両は、こ
のコンテナに邪魔されることなく通常の荷台付き
車両と全く同じく走行することができる。

一方、移動コンテナ３を非使用位置から使用位
置に引き出すには、先ず手操作により連結部材６
およびこれに固定連結されている移動レール５ｂ
を荷台２の側方へ引き出す（第２図）。この場合、
移動レール５ｂの先端側、図の例では連結部材６
に折り畳み自在な脚部１０ａ，１０ｂが付設され
ており、移動レール５ｂを引き出したとき、第１
図および第２図に示すように脚部１０ａ，１０ｂ
を矢印Ｚ方向に回動して下方に突出させ、これに
よつて連結部材６および移動レール５ｂの先端側
を支持する。このとき、脚部１０ａ，１０ｂはそ
れ自体公知の如く、その長さを調整できる構成と
なつているので、移動レール５ｂがほぼ水平とな
るよう脚部の長さを調節することができる。

次いで、油圧シリンダ７に作動油を供給し、ピ
ストンロツド７ａを横方向側方Ａ（第３図）に突
出させる。この場合第５図に示すように、ピスト
ンロツド７ａがＡ方向へ作動すると、ピニオン８
は固定ラツク９ａと係合しているため、軸７ｃを
中心として第５図における反時計方向に回転し、
これによつて移動ラツク９ｂが矢印Ａ方向に移動
する。よつて、この移動ラツク９ｂに連結された
移動コンテナ３も、そのキヤスタ４ａ，４ｂがレ
ール５ａおよび移動レール５ｂ上を転動し、同じ
方向Ａに移動する。キヤスタ４ａが連結部材６に
当接したところで、油圧シリンダ７の作動を停止
し、移動コンテナ３を停止させ、引き出し作業を
終了する。

移動コンテナ３を使用位置に引き出せば、荷台
とコンテナ３を含めた床の面積はほぼ２倍とな
り、この空間を生かして商品展示や建康診断など
を行うことができる。

従来は、移動コンテナを駆動する油圧シリンダ
のピストンロツドと移動コンテナが直接固定連結
されていたため、移動コンテナの撓みによりピス
トンロツドが撓み、油漏れを生ずる恐れがあつた
が、本考案に係る構成では、移動レール５ｂを引
き出したとき、その先端側を脚部１０ａ，１０ｂ
で支え、移動コンテナ３を引き出すとき、そのキ
ヤスタを移動レール５ｂ上にて転動させるので、
移動コンテナ３の引き出し時も、また引き出した
後にも、移動コンテナ３が移動レール５ｂによつ
て強固に支持され、該コンテナ３はその自重等に
よつてほとんど撓むことはない。しかも移動コン
テナ３とピストンロツド７ａとを直接連結するこ
とを排し、移動コンテナ３の引き出し方向に配列
された歯を有するラツク９ａ，９ｂと上下方向に
回転軸線を有するピニオン８とを用いて、ピスト
ンロツド７ａの動きを移動コンテナ３に伝達する
よう構成したため、移動コンテナ３がその自重や
これに加えられた荷重等によつて多少上下方向に
撓んだとしても、これに固定された移動ラツク９
ｂが、ピニオン８に対して上下方向Ｗ（第４図）
に動くだけで、ピニオン８を支持しているピスト
ンロツド７ａには力がほとんど伝わらない。よつ
て、ピストンロツド７ａとシリンダチユーブ端壁
の孔との間に、油漏れを起こすような隙間ができ
る程、ピストンロツド７ａが撓むことはなく、油
圧シリンダ７の機能が損われることはない。また
ピニオン８に移動コンテナ３からの荷重が直に作
用することがないため、ラツク９ａ，９ｂとピニ
オン８を円滑に係合させつつ、小なる力で滑らか
に移動コンテナ３を引き出すことができる。

移動コンテナ３を荷台２に収容するには、移動
コンテナ３を引き出すときと逆の動作により、移
動コンテナ３を荷台２に円滑に納めることができ
る。このとき、脚部は折り畳まれるので、これが
邪魔となることはない。

上述した実施例では移動コンテナ３を荷台２か
ら引き出す方向を進行方向に対して左側方向とし
たが、進行方向に対して右側、あるいは後方へ引
き出すように構成してもよいことは当然である。

〔考案の効果〕

本考案によれば、移動コンテナを引き出すと
き、又は引き出した後も、移動コンテナを移動レ
ールによつて支えるので、該コンテナの撓みを抑
制でき、しかも移動コンテナを駆動する要素とし
て上下方向の回転軸線まわりを回転するピニオ
ン、および移動コンテナの引き出し方向に配列さ
れた歯を有するラツクを用いているので、移動コ
ンテナからの荷重がピニオンや流体圧シリンダに
直に伝わることはない。よつて流体圧シリンダの
機能を損なうことなく、移動コンテナを円滑に作
動させることが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車両の全体斜視図、第２
図は第１図における−線断面図、第３図は第
２図における−線断面図であつて、移動コン
テナの一部を破断して示した図、第４図は第３図
の−線断面図、第５図は駆動装置の部分拡大
平面図である。 ２……荷台、３ａ……底板、４ａ，４ｂ……キ
ヤスタ、５ｂ……移動レール、７ａ……ピストン
ロツド、８……ピニオン、９ａ……固定ラツク、
９ｂ……移動ラツク、１０ａ，１０ｂ……脚部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 荷台と、該荷台に配置され、その使用時には荷
   台より引き出され、非使用時には荷台に収納され
   る移動コンテナと、該移動コンテナの引き出し方
   向に移動可能に荷台に支持された移動レールと、
   該移動レールの引き出し方向先端側に折り畳み可
   能に付設され、移動レールを引き出したとき、そ
   の先端側を支持する脚部と、移動コンテナの底板
   下面に回転自在に設けられ、移動レールを引き出
   した状態で、移動コンテナを引き出すとき、移動
   レール上を転動するキヤスタと、前記荷台に設け
   られ、かつ前記移動コンテナの引き出し方向、又
   はその逆の方向に摺動するピストンロツドを備え
   た流体圧シリンダと、該ピストンロツドに回転自
   在に支持され、その回転軸線が上下方向を向いて
   いるピニオンと、該ピニオンと係合しかつ移動コ
   ンテナに固設され、その歯が移動コンテナの引き
   出し方向に配列されている移動ラツクと、前記ピ
   ニオンと係合しかつ荷台に固設され、その歯が移
   動コンテナの引き出し方向に配列されている固定
   ラツクとを具備して成る車両。