JPH0214027B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、塩分処理が施された生の水産動物
の摺り身材料或は畜肉の練物材料又はこれらの混
合材料を絶縁性フイルムによりのり巻き状に巻回
したものであつても、単なる通電作用で速かに熟
熱殺菌せしめて、食味良好な通電加工食品を量産
することができる通電加工食品の製造方法に関す
る。

従来技術 従来、安価に得られる生の水産動物の摺り身材
料或は畜肉の練物材料を通電加工して各種包装食
品例えばハム、ソーセージ、蒲鉾等を製造する時
には、一般に一定形状の絶縁性保形筒の両端開放
部に、平面部分に多数の通電孔を開孔した通電用
保形枠を摺動自在に対向して嵌合せしめると共に
上記それぞれの通電用保形枠の内外両面に平面状
の含塩水接電体を貼着して構成した包装容器内に
摺り身材料或は練物材料を充填収容した後、両側
より一対の電極板を含塩水接電体に密接するよう
押圧して、一対の電極板間に亘り通電を施すこと
で包装食品を製造していたものであることは本出
願前例えば特開昭56−5042号公報に記載されてい
て公知である。

発明が解決しようとする問題点 ところで、上述公知の製造方法によれば、包装
食品の製造に際しては、最初に塩分処理を施した
材料をいちいち定型化された絶縁性保形包装容器
筒内に充填収容せしめた後その両側を通電用保形
枠で閉塞せしめる面倒な充填工程が必要となる許
りか、通電加工時には、必ず一対の電極板を包装
容器の両端側に設けた含塩水接電体に圧接する作
業が必要となる関係で、形状の異なる多数の包装
品を一度に通電加工により熟熱殺菌処理すること
ができず、そのため包装食品の量産化が困難とな
る問題が生じた。

そこで本発明は、従来公知の方法の如く、定型
化された包装容器への材料の充填作業、或は一対
の電極板をいちいち包装容器の両端側に設けた含
塩水接電体に圧接させる作業を行わなくても、単
に塩分処理を施した材料を一枚の絶縁性フイルム
で任意形状に巻回被包して、両側端部に通電用露
出面が形成された被包品を簡単に得さしめると共
に、得られた任意形状からなる被包品を、絶縁性
容器内に収容され、しかも材料の塩分濃度よりも
薄い塩分濃度の稀塩液中に収納せしめた後、通電
作用を施すことで、電流が稀塩液を常に通電媒体
として塩分濃度の濃い材料中を均一かつ正確に通
電できるようにして、少ない消費電力のもとで、
任意形状からなる多数の被包品を短時間内に熟熱
殺菌処理し、もつて食味良好な通電加工食品を短
時間内に量産することができる通電加工食品の製
造方法を提供したことで、上記問題を解決したも
のである。

問題を解決するための手段 それ故、本発明方法の技術的課題は、塩分処理
を施した摺り身材料或は練物材料又はこれらの混
合材料を一枚の絶縁性フイルムで任意形状となる
ように巻回被包せしめた多数の被包品を単なる通
電加工作業により短時間内に熟熱殺菌して、食味
良好な通電加工食品を安価に量産することができ
るようにすることにある。

この技術的課題を解決するため、本発明方法
は、塩分を均等に混入した水産動物の摺り身材料
或は畜肉の練物材料又はこれらの混合材料を、両
側端部に通電用露出面が形成されるように絶縁性
フイルムで巻回被包して被包品を得さしめると共
に、前記被包品は絶縁性容器内に収容され、しか
も材料の含塩濃度よりも塩分の薄い稀塩液中に冠
水状態のもとに収納して通電作用により材料を熟
熱殺菌処理したことを特徴とする通電加工食品の
製造方法としたものである。

作 用 上記技術的手段は次のように作用する（第１図
ないし第４図参照）。すなわち、通電が良好に営
まれるように塩分を均等に混入した生の水産動物
の摺り身材料或は畜肉の練物材料又はこれらの混
合材料等からなる材料Ａを一枚状の絶縁性フイル
ム２により、両側端部に通電用露出面３，３が形
成せられる如く巻回被包して多数の被包品１を作
製する。

次いで、得られたこれら多数の被包品１を、絶
縁性容器４内に収容され、しかも上記材料Ａの含
塩濃度よりも薄い塩分濃度の稀塩液Ｂ中に冠水状
態のもとに順次投入する。

さすれば投入された多数の被包品１は、各被包
品１間の隙間が稀塩液Ｂで満たされるので被包品
１は互いに密着することなく収納される。以上の
ようにして任意形状からなる多数の被包品１が冠
水状態のもとに収納されたら、絶縁性容器４の対
向側に亘り通電作用を施せば、電流は稀塩液Ｂお
よび通電用露出面３，３を通電媒体として塩分濃
度の濃い塩分を含んだ材料Ａ中を均一に流通して
発生したジユール熱で熟熱殺菌処理せしめ、食味
良好な通電加工食品を安価に、しかも一度に量産
することができる。

実施例 次に本発明方法を実施させるための装置を添附
図面に示された実施例に基づき説明する。

図面において、１は安価に得られる生の水産動
物例えばイワシ、アジ、サンマ、サバ等の摺り身
材料或は畜肉例えば牛、豚、鶏等の練物材料又は
これらの混合材料からなる材料Ａに塩分濃度が例
えば1.5％〜３％の塩分を均等に混合した該材料
Ａを一枚の絶縁性フイルム２により両側端部が開
放されて通電用露出面３，３となるようにのり巻
状又は渦巻状に巻回被包して作成した任意形状の
被包品である。

Ｂは材料Ａ中に含有された塩分濃度よりも薄い
塩分濃度例えば0.25％以下の稀塩液であつて、該
稀塩液Ｂは適宜形状からなる絶縁性容器４内に適
当量収容される。

上記の絶縁性容器４は、上面を開放した有底筐
状に形成され、しかも絶縁性容器４の対向壁５，
５側には、抜き差し自在に挿入位置せしめた一対
の電極板６，６と通液性絶縁材料からなる隔離板
７を順次配設して、絶縁性フイルム２により巻回
被包された多数の被包品１を、稀塩液Ｂ中へ冠水
状態のもとに収容した後、一対の電極板６，６間
に亘り通電を施せば、電流は稀塩液Ｂを通電媒体
として通電用露出面３，３より材料Ａ中を円滑か
つ均一に流れ発生したジユール熱例えば、95℃で
速かに材料Ａを熟熱殺菌処理し、食味良好な任意
形状の通電加工食品を簡単に量産することができ
る。

なお上記の被包品１を絶縁性容器４内に冠水状
態のもとに収納せしめる際には、前記被包品１は
両端の通電用露出面３，３が一対の電極板６，６
と対向するように収納すれば、より円滑なる通電
が達成できる許りか、絶縁性フイルム２全面に微
細な通電孔３′を穿孔しておけば被包品１を如何
なる状態のもとに収容しても、材料Ａを通電加工
により熟熱殺菌処理することができる。

従つて、被包品１は、単に一枚の絶縁性フイル
ム２により材料Ａを巻回被包した簡単な操作で得
られるため、従来方法の如く、定型化された絶縁
性保形筒内に材料をいちいち充填収納し、その
後、両側を通電用保形枠で閉塞したり、或は一対
の電極板を通電用保形枠にいちいち押圧して通電
を施す操作を完全に無くして製造工程の簡略化を
図り、その量産化を容易に達成させ食味良好な通
電加工食品を得ることができる。

８は、絶縁性容器４内に冠水状態のもとに収容
された被包品１の材料熟熱温度を自動的に検出す
るための温度検知器であつて、該温度検知器８の
先端側は材料Ａの中程迄挿通して材料Ａが所定の
熟熱温度に達したら、これを速かに検知して電極
板６，６への通電を断つように作動せしめるもの
である。

上記のように被包された材料Ａには必要に応じ
て適宜の調味料或は香辛料を混入して食味の向上
を図ることができる。

なお、材料Ａには塩分濃度の濃い塩分を含有さ
せ、又稀塩液Ｂは材料Ａの塩分濃度よりも薄い塩
分濃度としたことで、熟熱殺菌加工時において
は、材料温度が稀塩液Ｂの温度よりも略20℃温度
が高くなつていて、この略20℃高温の状態で、材
料Ａが平均に熟熱殺菌されていることと、電流が
材料Ａ中を均等に流通して消費電力の節約を図つ
ていることが分かる。

その上、材料Ａが水産動物の場合にあつては、
稀塩液Ｂ中に少量の酢を混入せしめれば、材料Ａ
の通電促進と、材料Ａの締り度合をさらに良好な
らしめる許りか、水産動物独特の臭いをより減臭
させることができる。

発明の効果 要するに本発明は、前述のような方法としたの
で、従来方法の如く、材料をいちいち絶縁性保形
筒内に充填収納せしめた後、その両側を通電用保
形枠で閉塞させる充填作業或は、一対の電極板を
両側に位置された通電用保形枠に圧接しながら通
電する面倒な工程を必要とせず、単に塩分処理さ
れた材料Ａを一枚の絶縁性フイルム２により、両
側端部に通電用露出面３，３が形成せられるよう
に任意形状に巻回被包して被包品１を得さしめ、
これが多数の被包品１を、絶縁性容器４内に収納
され、しかも材料Ａの塩分濃度よりも薄い塩分濃
度の稀塩液Ｂ中に冠水状態のもとに収容して通電
作用を施すことで、多数の、しかも不定型に巻回
された被包品１を短時間内に熟熱殺菌し、もつて
安価で、かつ食味良好な通電加工食品を一度に量
産することができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明方法を実施させるための装置の実
施例であつて、第１図は絶縁性フイルムにより材
料を巻回被包して得られた被包品の斜視図、第２
図は材料を絶縁性フイルムにより渦巻き状に巻回
被包した場合における被包品の他例を示す斜視
図、第３図は全面に多数の微細な通電孔を穿孔し
た絶縁性フイルムにより材料を巻回被包した場合
における被包品のさらに他例を示す斜視図、第４
図は被包品を熟熱殺菌処理するための絶縁性容器
の縦断正面図である。 Ａ……材料、Ｂ……稀塩液、１……被包品、２
……絶縁性フイルム、３……通電用露出面、４…
…絶縁性容器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 塩分を均等に混入した水産動物の摺り身材料
   或は畜肉の練物材料又はこれらの混合材料を、両
   側端部に通電用露出面が形成されるように絶縁性
   フイルムで巻回被包して被包品を得さしめると共
   に、前記被包品は絶縁性容器内に収容され、しか
   も材料の含塩濃度よりも塩分の薄い稀塩液中に冠
   水状態のもとに収納して通電作用により材料を熟
   熱殺菌処理したことを特徴とする通電加工食品の
   製造方法。