JPH0157173B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本発明は、４枚の平板状のニードルベツドをそ
の頭部を対向して設けた横編機に関する。

〓従来の技術〓 横編機において、筒状の編地を編成するため
に、２枚の平板状ニードルベツドを、頭部が最も
高い位置にあるよう山形に対向して設けることは
従来普通に行なわれている。そして、更に、筒状
の編地を用いてセーター等の衣料を作る場合に、
着用時前面になる編地と背面になる編地とのそれ
ぞれに柄模様を発現するために、山形に対向した
前記下部ニードルベツドをの上位にそれぞれ上部
ニードルベツドを設け、下部ニードルベツドとそ
れに対向する上部ニードルベツドとで作られた一
組の編成装置の中心線と他の同様に作られた一組
の編成装置の中心線を交差させて４つのニードル
ベツドで編機を構成したものが特開昭51−38561
号公報に記載されている。

上記公報に記載された編機にあつては、下部ニ
ードルベツドの上部に設けた上部ニードルベツド
が、頭部を水平位置よりも下げており、そのため
に上部ニードルベツドの針を対向して設けられて
いる下部ニードルベツドの針に対し操作し進出す
る場合、対向して設けられている他方の上部ニー
ドルベツドが障害となる。そのために、一方の上
部ニードルベツドのニードルを操作するときは他
方の上部ニードルベツドを後退させなければなら
ない。そのために、上部ニードルベツドを進出、
後退させるための機構を必要とした。

〓発明が解決しようとする問題点〓 上記した如く、主ニードルベツドの上部に、上
部ニードルベツドがその頭部を下向きに対向させ
て設けられている装置にあつては、一方の上部ニ
ードルベツドのニードルを操作しようとする際に
他方の上部ニードルベツドが障害となつて一方の
上部ベツドのニードルを進出させることができな
い。そのために上部ニードルベツドの進退動装置
を設けなければならない。

この点に鑑みて、本発明は上部ニードルベツド
の進退動装置を必要とせず、４つのニードルベツ
ドの頭部を集中し、上部ニードルベツドのニード
ルを操作することができるようにすることを目的
とする。

〓問題点を解決するための手段〓 平板状の４枚のニードルベツドを用い、側面形
状において頭部をハ字状に対向させてなるフロン
ト側及びバツク側の、一対の下部ニードルベツド
の上位に、前記それぞれの下部ニードルベツドの
頭部に頭部を近接させて、フロント側及びバツク
側上部ニードルベツドを、その頭部が若干高くな
るよう水平より5゜乃至10゜傾斜させて設けた。

〓作用〓 頭部を集中して設けた、フロント側下部ニード
ルベツド、フロント側上部ニードルベツド、バツ
ク側下部ニードルベツド、バツク側上部ニードル
ベツドの内、フロント側ニードルベツドとバツク
側ニードルベツドの組み合せで編地を編成すると
き、上部ニードルベツドのニードルが進出して
も、該ニードルベツドとそれに対向する上部ニー
ドルベツドとが共に頭部が若干高くなるよう水平
より5゜乃至10゜傾斜させて設けてあるために、進
出したニードルは対向するニードルベツドのニー
ドルの上位に向つて進出することになり、対向す
るニードル及びニードルベツドが進出するニード
ルの障害にならない。

〓実施例〓 本発明装置の実施の一例を図面と共に次に説明
する。

本発明装置は、本体ベツド１により頭部を90゜
に突き合わせて支持された平板状をなしたフロン
ト側、バツク側の下部ニードルベツド２，３を設
け、下部ニードルベツド２，３の上部には、それ
ぞれ下部ニードルベツド２，３の頭部に先端を近
接させてフロント側、バツク側の上部ニードルベ
ツド４，５をハ字状に、後端が水平よりも5゜乃至
10゜傾斜して下がるように、本体ベツド１から岐
出した支持腕６，７により設けている。

各ニードルベツド２，３，４，５は、ニードル
８等をその針溝９に挿入しているが、各ベツド
２，３，４，５はその点では同一である。各ニー
ドルベツド２，３，４，５に挿入されているニー
ドル８を８FD，８BD，８FU，８BUとする。
ニードル８はコンパウンドニードルで、スライダ
ー１０を有し、スライダー１０にスライダージヤ
ツク１１が係止されている。スライダージヤツク
１１は、ニードル８のジヤツク１２に設けられた
押さえ腕１３とジヤツク１２のシヤンクとの間で
スライドできるように挟持されている。針溝９に
は更にセレクトジヤツク１５及びセレクター１６
が挿入されている。セレクトジヤツク１５の尾端
部は二股とし上部の脚には位置決め用の凹部１７
を複数設け、該凹部１７をニードルプレートワイ
ヤー１８に係止し、下部の脚はニードルプレート
ワイヤー１８と針溝底部１９に接しスプリングの
作用をしセレクトジヤツクバツト１４を突出する
方向に付勢している。

フロント側下部ニードルベツド２とバツク側下
部ニードルベツド３にはそれぞれラツキング装置
２０が設けられている。ラツキング装置２０はフ
ロント側バツク側共に同一構成であるのでフロン
ト側につき説明する。本体ベツド１にステツピン
グモーター２１及びボールネジ２２を支持する。
ボールネジ２２に固定した従動プーリー２３とス
テツピングモーター２１の駆動プーリー２４との
間にベルト２５を架け渡す。ボールネジ２２には
ボールネジフランジ２７を螺合しており、ボール
ネジフランジ２７にはラツキング摺動板２８を固
定する。ラツキング摺動板２８は本体ベツド１の
下部ニードルベツド受面に設けた長孔２９内に位
置し、ベツド長手方向に延び、螺子３０によりフ
ロント側下部ニードルベツド２を固定している。
従つて、ステツピングモーター２１の回転は駆動
プーリー２４、ベルト２５、従動プーリー２３、
ボールネジ２２、ボールネジフランジ２７、ラツ
キング摺動板２８を経てフロント側下部ニードル
ベツド２に伝えられ、下部フロント側ニードルベ
ツド２を所要ピツチラツキングする。前記フロン
ト側下部ニードルベツド２、バツク側下部ニード
ルベツド３、フロント側上部ニードルベツド４、
バツク側上部ニードルベツド５の各ニードルベツ
ドのニードル８等を操作するためのフロント側下
部ニードルベツド用カム群３５、フロント側上部
ニードルベツド用カム群３６、バツク側下部ニー
ドルベツド用カム群３７、バツク側上部ニードル
ベツド用カム群３８を有有し、それらをゲート３
９、コネクテイングアーム４０で連結してなるキ
ヤリツジ４１を前記ニードルベツド２，３，４，
５に沿つて走行できるようガイドレール４２によ
り支持する。４３，４３はガイドレール４２を把
持するベアリングローラである。コネクテイング
アーム４０の中間にも対のベアリングローラ４
４，４４を設け、両ベアリングローラ４４，４４
によつてフロント側及びバツク側上部ニードルベ
ツド４，５の端部を挟持し、フロント側及びバツ
ク側上部ニードルベツド４，５を、支持腕６，７
と共にベツドの頭部尾部両端で支えるようにして
いる。もし上部ニードルベツド４，５をその長手
方向の両端部でのみ本体ベツドに支持した場合、
中央部分の尾部端部は重量により下がり尾部端部
は全体として円弧状を呈する事態が生ずる恐れが
ある。このとき頭部は支持腕６，７により固定さ
れているので変化はないが、尾部が下がるためニ
ードルの進出方向が通常より上向くことが考えら
れる。そこでキヤリツジ４１のベアリングローラ
ー４４，４４によりニードルベツド尾部端縁を支
えれば、実際に操針されるニードルが挿入されて
いる位置付近でニードルベツドが支えられること
になり、前記重量による変位の心配は全くなくな
る。

５０は、ヤーンフイーダー５１を有するキヤリ
ヤ５２のガイドレールで、一部キヤリヤとヤーン
フイーダーとを省略してなる。

前記４枚のニードルベツドの内、フロント側及
びバツク側下部ニードルベツド２，３の先端頭部
には、第３図に示す如く針ピツチに等しい間隙に
シンカープレート溝５３を、また、頭部長手方向
には鉤部５４を設ける。シンカープレート５５
は、板状の頂部５６を長くし、板状頂部５６の下
部に段部５７を、また、下端には係合突出部５８
を有してなるもので、段部５７をニードルベツド
の鉤部５４に係合し、下端の係合突出部５８をニ
ードルベツド下面に設けた凹陥部５９に係止し、
係合突出部５８にシンカー固定ワイヤー６０を挿
し通すことにより、シンカープレート５５とフロ
ント側下部ニードルベツド２とを一体化してい
る。６１は歯口ワイヤーである。上記のようにし
て下部ニードルベツド２，３に設けられたシンカ
ープレート５５は、その板状頂部５６が、上部ニ
ードルベツド４，５の前面に位置し、上部ニード
ルベツド４，５のニードル８FU，８BUによる
編地編成に際して編地を捌く作用する。従つて、
フロント側、バツク側の上部ニードルベツド４，
５にはシンカープレートは設けられていない。そ
のため４ベツドの頭部が集中している歯口部付近
において、少なくとも上部ニードルベツドの頭部
にはシンカーをもうけるための手段を必要としな
いから、その頭部を挟い部分に集中することが出
来る。これは編成された編地の度目にも影響す
る。

本発明装置において通常使用するニードルはコ
ンパウンドニードルである。ラツチニードルでは
編目形成時にラツチの返えりがあるため少なくと
もラツチの先端が画かく円弧状軌跡の範囲相当の
空間がニードル上面に必要であるが、本発明編機
の場合、下部ニードルベツドは、その頭部が水平
より5゜乃至10゜の角度で高くなるように傾斜させ
下部ニードルベツドの上位に上部ニードルを位置
させているために、上記ラツチの返えりのための
空間を作るのが好ましくなく、また、前記したニ
ードルベツドの頭部を集中する目的のため、更に
は操針スピードを向上するため、本発明装置で
は、コンパウンドニードルを使用している。

本発明装置により編地を編成する場合、フロン
ト側、バツク側の両下部ニードルベツド２，３に
よる、バツク側下部ニードルベツド３とフロント
側上部ニードルベツド４による。フロント側下部
ニードルベツド２とバツク側上部ニードルベツド
５による、の種々の組み合わせがあるが、何れの
組み合わせによるとしても、編地に組織によりそ
の組み合わせは決定される。

今、最も簡単な編組織の一つの例として１×１
ゴム編組織による筒状編地の編成の順序について
説明する。

上記編成に際しての針の上下動、スライダーの
摺動操作等は、何れもカム群３５，３６，３７，
３８の操作によりキヤリツジ４１の移行に伴ない
行なわれるものであることは従来装置と同様であ
る。

本発明装置による筒状編地の編成では、筒状編
地の一面、例えば編地の表側（編機のフロント
側）の組織を編成する際にはフロント側下部ニー
ドルベツド２と、バツク側上部ニードルベツド５
を使用し、筒状編地の裏側（編機のバツク側）の
組織を編成する際にはバツク側下部ニードルベツ
ド３とフロント側上部ニードルベツド４とを用い
て編成する。従つて、一方側の組織を編成し終つ
てキヤリツジが反転し他方側の組織を編成すると
きは、即編成の編地を一方側に目移ししておかな
ければならない。

そのために、例えば、４ロツクのキヤリツジを
用いた場合、左右のロツクで目移しを、中央の２
ロツクで編成を行なうようにし、キヤリツジ１行
程で筒状編地の一面を２コース編成し、キヤリツ
ジが反転移行した次の行程で筒状編地の他面を２
コース編成をする例が考えられる。

その例を第４図乃至第１１図に示す。キヤリツ
ジの右方向への移行によつて、筒状編地のバツク
側の編地を編成するが、４ロツクキヤリツジの先
行ロツクによつて、先ずバツク側下部ニードルベ
ツド３のニードル８BDに係止されているバツク
側編地のループをニードル８BDから１本おきに
フロント側上部ニードルベツド４のニードル８
FUに目移しが行なわれる（第４図）。第４図に於
いて、上段に示す黒丸と縦線は、バツク側上部及
び下部ニードル８BU，８BDを示し（位置的に
は両者が重なつている）、下段に示す黒丸と縦線
はフロント側上部及び下部ニードル８FU，８FD
を示す（位置的には両者が重なつている）もので
ある。従つて、下段最左端の二重のループは、外
の大径ループがニードル８BDからニードル８
FUに移された目で、内の小径ループがニードル
８FDに係止されているフロント側の編地ループ
を示す。キヤリツジの２番目のロツクは、フロン
ト側上部ニードルベツド４のニードル８FUとバ
ツク側下部ニードルベツド３のニードル８BDと
によりキヤリツジ右行の第１コース目を編成する
（第５図）。続く第３字目のロツクも前コースと同
様にニードル８FUとニードル８BDとによつて
キヤリツジ右行の第２コース目を編成する（第６
図）。これにより筒状編地のバツク側の編成が行
なはれる。続く第４番目のロツクでは編成はせず
目移しが行われ、先にバツク側下部ニードルベツ
ド３のニードル８BDからフロント側上部ニード
ルベツド４のニードル８FUに移されたウエール
のループが、フロント側上部ニードルベツド４の
ニードル８FUからバツク側下部ニードルベツド
３のニードル８BDに目移しされる。この目移し
は先に第１番目のロツクでバツク側下部ニードル
８BDからフロント側上部ニードルに目移しされ
たループが元のバツク側下部ニードル８BDに返
されたもので、これにより、バツク側下部ニード
ル８BDには筒状編地のバツク側が、フロント側
下部ニードル８FDには筒状編地のフロント側が
それぞれ係止され編み下げられていることにな
る。

次にキヤリツジが反転して左行すると、右行時
の最後尾の即ち右行時の４番目のロツクが先行の
第１番目のロツクとなり、フロント側下部ニード
ルベツド２のニードル８FDからバツク側上部ニ
ードルベツド５のニードル８BUに目移しされ
（第８図）る。この目移しは先のキヤリツジの右
行時に最初に目移しが行なはれたウエールの隣接
ウエールのニードルで行なはれる。、続く第２番
目のロツク、第３番目のロツクによつてフロント
側下部ニードル８FD及びバツク側上部ニードル
８BUとによつて筒状編地のフロント側の編成が
行なわれ（第９図）（第１０図）、引き続く第４番
目のロツクによつて左行開始時に目移しされたウ
エールのループがバツク側上部ニードル８BUか
らフロント側下部ニードル８FDに目移しされキ
ヤリツジの一往復が終了し、この間筒状編地のフ
ロント側とバツク側それぞれ２コースずつ編成さ
れる。

〓発明の効果〓 フロント側及びバツク側の上部ニードルベツド
のニードルが、対向するバツク及びフロント側の
下部ニードルベツドのニードルと編地を編成する
場合、上部ニードルが進出しても、対位している
上部ニードルベツドが頭部を最も高くし水平より
5゜乃至10゜尾部を低く傾斜しているために、進出
した上部ニードルは対向する上部ニードルベツド
及び上部ニードルの上位に向かい進出することに
なりそれらと接触することがなく、従つて、対向
する上部ニードルベツドのニードルが進出すると
き反対のニードルベツドを後退させ退避させる必
要もない。

従つて、そのための上部ニードルベツド進退動
装置を設ける必要がなくなつた。

また、４つのニードルベツドの頭部を接近して
集中することが出来るために、編地のループの大
きさに影響を与え、度目の小さい編地を作ること
が出来るようになつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明横編機の縦断側面図、第２図は
フロント側下部ニードルベツドの縦断側面図、第
３図は４ベツドの歯口部分の拡大縦断側面図、第
４図乃至第１１図は編地編成順序を示し、各図共
にＡは歯口部分の平面図、Ｂは目移し方向及びキ
ヤリツジ移行方向を示す説明図、Ｃは各Ａ図にお
けるＣ−Ｃ線断面図である。 ２……フロント側下部ニードルベツド、３……
バツク側下部ニードルベツド、４……フロント側
上部ニードルベツド、５……バツク側上部ニード
ルベツド。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 側面形状において頭部をハ字状に対向させて
   なるフロント側及びバツク側の、平板状の一対の
   下部ニードルベツドの上位に、前記それぞれの下
   部ニードルベツドの頭部に頭部を近接させて、平
   板状のフロント側及びバツク側上部ニードルベツ
   ドを、その頭部が若干高くなるよう水平より5゜乃
   至10゜傾斜させて設けてなる４枚ベツドよりなる
   横編機。 ２ 下部ニードルベツドは、上部ニードルベツド
   の頭部前面にまで板状の頂部が延びているシンカ
   ーを設けているものである特許請求の範囲第１項
   に記載の横編機。 ３ 下部ニードルベツドはラツキング装置を有す
   るものである特許請求の範囲第１項に記載の横編
   機。 ４ 各ニードルベツドには目移し羽根付複合針が
   挿入されている特許請求の範囲第１項に記載の横
   編機。 ５ 上部ニードルベツドは、キヤリツジに設けら
   れたベアリングローラーにより尾部端縁を挟持さ
   れ、本体ベツドに支持腕により固定された頭部端
   縁と共に頭部尾部両端縁で支持されている特許請
   求の範囲第１項に記載の横編機。