JPH0210262B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本発明は、横編機において編地を編成する際に
目移しも行なうことのできるトランスフアーカム
を備えたニツトランカムに関する。

〓従来の技術〓 頂部を対向して設けた２枚のニードルベツドに
挿入されたニードルを操作し、編地を編成するた
めに、ニードル或はニードルに係合しているジヤ
ツク等を上下するためのライジングカム、ニツテ
イングカム等よりなるニツテイングロツクに加
え、トランスフアーロツクを設け、対向するニー
ドルベツドのニードルに互に編目を移す目移しを
行なうことは普通である。上記トランスフアーロ
ツクは、編地編成のためのニツテイングロツクと
は別に設けられたものがあつたが、トランスフア
ーロツクによる操針とニツテイングロツクによる
操針とを同一位相内において行なうことができる
横編機が知られている（特開昭60−81356号）。

前記横編機は、第７図に示す如くニツテイング
ロツクのライジングカム１の内部中央に編目受け
側針を操作するトランスフアーカム２を設け、該
トランスフアーカム２の中央に設けた三角カムの
上昇斜面３と三角カムの両側に設けた凸状斜面４
とにより上昇した編目受取り針を下降させるため
に、該トランスフアーカム２の上位に位置させて
ライジングカム１の前記トランスフアーカム２よ
り上位の部分をセンターカム５とし、該センター
カム５のトランスフアーカム２に対向する面に、
前記凸状斜面４と等間隔を保つて案内面６を設け
てある。上記案内面６は、前述の通り、トランス
フアーカム２の上昇斜面４に対向して、タツク位
置にあるバツトがライジングカムを通過するライ
ジングカム１の肩の位置付近のライジングカム１
内に設けられているため、そのキヤリツジ進行方
向の長さは、トランスフアーカム２の同方向の長
さに応じた長さとしなければならず、最少の巾は
自ら限度があり、それを越えて小さくすることは
できなかつた。そのため肩の位置（タツクバツト
位置）付近内部に前記案内面６を持つライジング
カム１は、前記肩の、キヤリツジ進行方向長さが
トランスフアーカム２の同方向長さによつて決定
されてしまい、同様に長さを縮少することができ
ず、その結果ロツクの同方向長さも大となり、キ
ヤリツジ長も大となる欠点が生じた。キヤリツジ
は複数のカムを設けた場合、針床の巾に比較して
キヤリツジの長さが大き過ぎるということにな
る。

〓発明が解決しようとする問題点〓 本発明は上記の点に鑑みて、ニツテイングロツ
クのライジングカム内に設けられたトランスフア
ーカム、及びそれに対向する案内面設置の影響を
受け、ニツテイングロツクの巾が大となり、ひい
てはキヤリツジの進行方向長さが大きくなるのを
防止することを目的としている。

〓問題点を解決するための手段〓 中央に編目受け側トランスフアーカムを有する
ライジングカムの上部にライジングカムと同一中
心線を保つて山形の編目渡し受け両用トランスフ
アーカムを設け、同カムの上縁を編目渡し側針又
はそのジヤツクのバツトを案内する斜面とし、同
カムの下縁を編目受け側針又はそのジヤツクのバ
ツト（以下単に針のバツトという）を案内する斜
面とした。

〓作用〓 ライジングカム内のトランスフアーカムに設け
た上昇斜面によつて、編目受け側針のバツトを案
内するが、それを下降する斜面をライジングカム
には設けず、ライジングカム上位に設けた、渡
し、受け両用トランスフアーカムの下縁に設けた
斜面により下降する。これにより編目受け側針の
バツトは下降時にライジングカム内では案内せ
ず、ライジングカム外で案内することになり、そ
のためのスペースをライジングカムから取り除け
る。

〓実施例〓 本発明装置の実施の一例を図面と共に次に説明
する。

本発明ニツトランカム７０は、キヤリツジの地
板１１にライジングカム１２、ニツテイングカム
１３，１４よりなるニツテイングロツク１５、及
び編目受け用トランスフアーカム１６、移し、受
け両用トランスフアーカム１７よりなるトランス
フアーロツク１８を設けてなる。

第１図において、ライジングカム１２は、下部
の固定部分１９と上部の可動部分２０とよりな
り、可動部分（第４図で斜線部分）は図示しない
機構により地板面に対し直角方向に出没できるよ
うに支持され、固定部分両側の斜面２１，２２に
続くバツト案内溝２３を有している。バツト案内
溝２３は中央部分を最も高くした山形に屈曲し、
その両側の水平部分２４を経て下部の固定部分１
９の斜面２１，２２に連らなつている。

また、固定部分１９の上部中央には、編目受け
用トランスフアーカム１６が出没自在に嵌合され
ている。同トランスフアーカム１６は作用対溝形
で、その両側端は、中央に近い部分が深くなる傾
斜面２５ａ，２５ｂとなし、中央部分には三角形
状のカム２７を斜面２７ａ，２７ｂで構成してい
る。編目受け用トランスフアーカム１６の両端の
傾斜部分２５ａ，２５ｂの上縁は凸形のバツト案
内面２９ａ，２９ｂとなり、その間はトランスフ
アーカム１６で最も低い面３０となつている。３
１，３２はライジングカム１２の固定部分に設け
た編目受け用トランスフアーカム１６に向け傾斜
した凹面部分である。

ライジングカム１２の上位には、移し、受け両
用トランスフアーカム１７が設けられている。同
カム１７は大略山形の三角形をなし、編目移し側
針のバツトを案内する斜面３３，３４を両側に有
し、底部に編目受け側針のバツトを案内する斜面
３５，３６を、左右２つの凹陥部として有してい
る。

上記斜面３５，３６は、編目受け用トランスフ
アーカム１６の凸形のバツト案内面の上位に位置
している。３７，３８，３９，４０，４１はガイ
ドカム、４２，４３，４４，４５，４６，４７は
セレクトジヤツクプレツサーカムである。同カム
４２，４３，４４を不作動にするときは、図示し
ないノレイイド等を作動させて図面鎖線位置に揺
動する。また、同カム４５，４６，４７は位置不
動としてある。

本発明カムで操作するニードル５１等は、第２
図に示す形状をなしている。ニードル５１に係合
するジヤツク５２は所定間隔Ｌを置いて２本の上
部及び下部バツト５３，５４を有している。上記
間隔Ｌは両用トランスフアーカム１７の斜面３
５，３６と編目受け用トランスフアーカム１６の
バツト案内面２９ａ，２９ｂとの間隔Ｌに等し
い。セレクトジヤツク５５、セレクター５６クは
従来のものと同一である。

本発明ニツトランカム７０で、タツク、ニツ
ト、ミスの編成を行なう場合、通常一般の編機と
同様に、図示しないアクチユエーターによりセレ
クター５６を選択し、セレクトジヤツク５５のバ
ツト５７を、第３図に示すＡ，Ｈ，Ｂの位置に位
置させ、図示の軌跡のように移行させることによ
り、ジヤツクバツト５３，５４をタツクの場合点
線位置を、ニツトの場合実線位置を、ミスの場合
一点鎖線位置をそれぞれ移行させジヤツク５２を
介してニードル５１を上下動する。ニードル５１
はトランスフアー用ニードルで側部に板ばね５９
を有している。

本発明カムで目移しを行なう例を次に第４図に
基ずき説明する。

目移しを行なう場合、目移し側と受け取り側と
の双方のニツテイングロツク１５のライジングカ
ム１２の可動部分２０は退没させ使用しない。第
４図では、従つて、可動部分２０は斜線を引いて
ある。

受け渡し側のセレクトジヤツクバツト５７はＡ
位置に位置させる。セレクトジヤツクプレツサー
カム４２〜４７は、同バツト５７の進行経路から
外す。これにより下部ジヤツクバツト５４はキヤ
リツジの進行と共に点線で画くようにニツテイン
グカム１２の斜面２１に当接し、それを上昇す
る。斜面２１を上昇し終つたとき、同じジヤツク
５２の上部ジヤツクバツト５３がガイドカム３７
から両用トランスフアーカム１７の斜面３３に当
接し、ガイドカム３７との間にバツト５３を挟ん
で、当該針５１を最上昇させ、上部ジヤツクバツ
ト５３は２つの頂部４８，４９を経てガイドカム
３７により引き下げられる。前記において、針５
１を最上昇させてから一旦下降させ再上昇するの
は、一旦下降させることにより針５１のフツク５
８に掛つているループを緩め、次の上昇時、対向
する受け取り側針５１のフツク５８がループに入
り易くするためで、前記バツト５３の進行に対
し、後位の頂部４９にジヤツクバツト５３が位置
するとき、後述する受け取り側針５１が最上昇す
る。頂部４９を過ぎた上部バツト５３はガイドカ
ム３７により引き下げられ、バツト５３がガイド
カム３７を通過したとき、下部バツト５４がニツ
テイングカム１４と当接し、バツト５４を更に最
下降位置まで引き下げる。このとき、ニツテイン
グカム１４はその上縁と下縁をジヤツクバツト５
３と５４とにより挟持される状態でジヤツクバツ
ト５３，５４を案内するのでニツテイングカム１
４の最下位において針のジヤンプ現象は生じな
い。

編目受け側にあつては、セレクトジヤツクバツ
ト５７をＨ位置に位置させ、セレクトジヤツクバ
ツトプレツサ４４，４２を揺動し、Ｈ位置に突出
させる。そして、キヤリツジの矢印Ｃ方向の移動
によるセレクトジヤツクバツト５７の軌跡は実線
に示す如くで、セレクトジヤツクバツトプレツサ
ー４４によりセレクトジヤツクバツト５７が押し
込まれ、下部ジヤツクバツト５４がライジングカ
ム１２の斜面２２に当接することなくし直進し、
セレクトジヤツクバツトプレツサー４４によるセ
レクトジヤツクバツト５７の押し込みが解かれた
ときに、ジヤツクバツト５４は突出してライジン
グカム１２の凹面部分３２に入る。次いで、ジヤ
ツクバツト５４は編目受け用トランスフアーカム
１６の三角状カム２７の斜面２７ｂに当接し、そ
の斜面２７ｂを上昇し、その斜面２７ｂの頂部で
該斜面２７ｂから外れ、編目受け用トランスフア
ーカム１６の最も深い部分３０に入り、更に斜面
２９ａに当接し、上部ジヤツクバツト５４は上昇
（第４図では下方向への移動）する。この斜面２
９ａの上昇により受け取り側ニードル５１のフツ
ク５８は、編目渡し側のニードル５１の針幹と板
ばね５９の間に入り込み、板ばね５９に係止して
いる渡し側の受け取るべき編目のループ内に入
る。下部ジヤツクバツト５４が上記斜面２９ａの
頂部に達したとき、上部ジヤツクバツト５３は、
両用トランスフアーカム１７の下部に位置する斜
面３５に接近し、キヤリツジの移行と共に、同斜
面３５に接し、下降（第４図では上方向への移
動）される。このとき前述の如く、編目渡し側の
ニードル５１もガイドカム３７により引き下げら
れつつある。同斜面３５と上部ジヤツクバツト５
３との接触が終了すると、上部ジヤツクバツト５
３は水平に移行し、ガイドカム３８に当接し、若
干引き下げられ、そのまま水平に移行する。この
間、下部ガイドジヤツク５４は、セレクトジヤツ
クバツト５７がセレクトジヤツクプレツサー４２
により押し下げられていることにより突出してい
ないからニツテイングカム１３に当接することな
く、上部セレクトジヤツクバツト５３と平行する
軌跡を以て移行する。

上記編目渡し側のニードルと編目受け取り側ニ
ードルとの上昇下降により編目は受け渡しされる
が、タイミング的には編目渡し側ニードルが最上
昇し、一旦若干下降して再上昇するとき、編目受
け取り側も上昇し、受け取り側ニードルが受け取
る編目ループ内にフツクを挿入して後、編目渡し
側ニードルは下降し、ループからフツクを脱出し
た後、受け取り側のニードルを下降させる。

本発明カムは、上記した如く、編目受け取りの
ために上昇したニードルを引き下げる編目受け側
針のバツトを案内する斜面を、ライジングカムと
中心線を同じくしてライジングカム上位に設け
た、渡し受け両用トランスフアーの下縁に設けて
いるから、従来、前記斜面をライジングカム内に
設けていたものに比較して、ロツク巾を小とする
ことができ、従つて、１つのキヤリツジ内に多数
ロツクを載置できる。その３カムロツクの例を第
５図に、５カムロツクの例を第６図にそれぞれ示
す。第５図に示す例は、トランスフアー機能を持
つロツクを左右に置いた例で、第６図に示す例
は、５カムロツクの例で、トランスフアー機能を
持つロツクを左右及び中央に有する。

上記５カムロツクを使用した編成例を示せば、
次の如き例がある。

キヤリツジの右行時、ロツク先行１番を目移
し、２番をニツト、３番を目移し、４番をニツト
に使用し、左行時、ロツク先行１番を目移し、２
番をニツト、３番を目移し、４番をニツトに使用
し編成を行なえば、シングルリンクス柄の編成が
出来る。

また、キヤリツジの右行時、ロツク先行１番２
番をニツト、３番を目移し、４番をニツトに使用
し、左行時、ロツク先行１番をニツト、３番を目
移し、４番をニツト、５番をニツトに使用し編成
を行なえば、ダブルリンクス柄の編成が出来る。

〓発明の効果〓 本発明装置にあつては、編目受け用トランスフ
アーカムにより上昇したニードルのジヤツクバツ
トを引き下げるため、ライジングカムの上部に、
ライジングカムと同一中心線を保つて設けられた
山形のトランスフアーカムの下縁を、ジヤツク下
げ用斜面としたために、従来ライジングカムのセ
ンターカムの中心線近くに中心線を挟んでその両
側に対称に設けたジヤツク下げ用斜面をライジン
グカムに設ける必要がなくなつた。そのため、ラ
イジングカムの巾を小さくすることができるよう
になり、より多数のカムを並設したキヤリツジを
作ることが可能となつた。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明カムの平面図、第２図は本発
明カムに使用するニードル、ジヤツク、セレクト
ジヤツク、セレクターの側面図、第３図は、ニツ
ト、タツク、ミスの場合のバツトの軌跡を示す
図、第４図は、トランスフアーを行なう場合のバ
ツトの軌跡を示す図、第５図、第６図はそれぞれ
３カム、５カムの実施例の概略平面図、第７図は
従来タイプのカムの平面図である。 １２……ライジングカム、１６……編目受け用
トランスフアーカム、１７……渡し受け両用トラ
ンスフアーカム、３３，３４……編目渡し側針の
バツトを案内する斜面、３５……編目受け側針の
バツトを案内する斜面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 中央に編目受け側トランスフアーカムを有す
   るライジングカムの上部に、同一中心線を保つて
   山形の編目渡し受け両用トランスフアーカムを設
   け、同カムの上縁を編目渡し側針又はそのジヤツ
   クのバツトを案内する斜面とし、同カムの下縁を
   編目受け側針又はそのジヤツクのバツトを案内す
   る斜面としたことを特徴とするニツトランカム。