JPH0147785B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は耐刷性に優れた平版印刷用感光材料に
関するものであり、これにより多数の鮮明な印刷
ができる電子写真平版印刷用感光材料を提供する
ことを目的とする。

一般に紙、プラスチツクフイルム等の可撓性支
持体を用いた電子写真感光材料の構成としては、
支持体の少なくとも光導電性絶縁層に接する側の
層をかなり低抵抗性とするものが代表的である。
この低抵抗層は金属の薄膜（例えばアルミニウ
ム、銅、金、銀）、カーボンブラツクをふくむ層
あるいは抵抗の低いポリマー層等がえらばれる。
特にアルミニウム箔は低抵抗で均一性の高い層と
して使われている。また、この場合の光導電性絶
縁層は一般に親油性樹脂例えば、シリコーン樹
脂、アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリ酢
酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリブチルメタクリ
ル酸エステル、ポリビニルブチラールとそれらの
共重合体等に光導電粉体を分散させたものを基体
に塗布し、乾燥して得られたものである。また光
導電粉体は酸化亜鉛、硫化カドミウム、二酸化チ
タンその他の光導電性物質が用いられる。

感光層は光導電性微粉末／結着剤樹脂比は３／
１〜20／１の範囲で用いられ、感光層の乾燥時膜
厚は５〜30ミクロンで塗工される。

電子写真平版印刷用原版で印刷するには、印刷
すべき画像を電子写真方式の常法により、湿式現
像かあるいは乾式現像いずれかの方式により光導
電層上に形成する。次いで、光導電層に画像を形
成させたものを不感脂化液（エツチ液）で処理し
て非画像部を親水化させる。この場合、画像部は
下感化液に作用されず感脂性を保つている。この
ようにして不感脂化処理した平版印刷原版をオフ
セツト印刷機にかけると画像部のみ油性インキが
転写され多数枚の印刷物を得ることができる。

以上の如き平版印刷原版は不感脂化液（エツチ
液）で処理し、また印刷時には湿し水に浸漬され
るため、耐水性が要求され、また鮮明な印刷物を
多数枚印刷できるためには、良好な平滑性及び、
原版を構成する各層間で剥離を生じないように充
分な接着性が必要である。また該平版印刷用原版
の静電特性に悪影響を与えず、また保存中の経時
安定性の良いことが要求される。

特に、印刷時に、湿し水が感光層を通して、ベ
ースの紙に入り込むと、印刷機上で紙が伸びはじ
め、最終的には、紙のたるみから印刷原版が折れ
曲つたり、切れたりして十分な耐刷性を保持する
ことができない。印刷時に感光層を通してベース
紙中に湿し水が浸透しないようにすることは耐刷
力を上げるために必要不可決の条件であり、感光
層と紙ベースの中間に例えば0.1ミクロン以上の
厚さのアルミニウム箔層を形成することが望まし
い。アルミニウム箔は機械的強度は低いが、感光
層からの湿し水の浸透防止壁の効果と、支持体の
導電性を高くすることができる事から画質を改善
させ、更に耐刷力を改善させることができると思
われる。

しかしながら、このように感光層、アルミニウ
ム箔、紙ベースとから構成される感光材料は感光
層とアルミニウム箔との間の密着性が悪いため
に、この感光材料を平版印刷用感光材料として用
いると、少数枚の印刷を行なうのみで感光層とア
ルミニウム箔との間で剥離が起つてしまい、鮮明
な印刷物を多数枚印刷することができないことが
判つた。

本発明者らは、平版印刷に使用される電子写真
平版印刷用感光材料について上述諸欠点を改善す
るため研究した結果、 感光層と、アルミニウム箔と、ベース紙とが重
ねられて一体となる感光シートにおいて、感光層
とアルミニウム箔の中間に、コロイド状シリカお
よび／またはコロイド状アルミナを含有する層が
設けられていることを特徴とする平版印刷用感光
材料なる構成にすることにより耐刷力の優れた電
子写真平版印刷用感光材料をうることに成功し
た。

さらに本発明を詳細に説明すれば、光導電層は
従来のものがそのまま用いられる。紙ベースにア
ルミニウムをラミネートしたアルミニウム面上
に、コロイド状シリカおよび／またはコロイド状
アルミナを含有した層が中間層として設けられて
いる。場合によつては、さらに接着性を改善する
ために中間層の上側あるいは下側あるいは両側に
別の層を設けてもよい。

上述中間層は、予めコロイド状アルミナとシリ
カの結着剤としての樹脂を水系、場合によつては
溶媒に溶解した後、コロイド状アルミナとシリカ
を粉体あるいは分散液の状態から投入し、プロペ
ラ撹拌、超音波分散など常法の手段で混ぜ合わ
せ、さらに上述アルミニウム表面に常法により塗
布されて形成される。コロイド状シリカ及びコロ
イド状アルミナは、粒径が１〜100ｍμのものを
一般に示し水分散系の形で入手可能であり、使用
目的によつては有機溶剤と相容性のよい原材料と
しても入手が容易である。このため、中間層とし
て用いられる樹脂は特に限定する必要はなく、例
えば以下に示すような各種の樹脂を用いることが
できる。

例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイ
ミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポ
リメチルメタクリレート、ポリビニルフルオライ
ド、ポリビニルクロライド、ポリビニルアセテー
ト、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合
体、ポリメタクリレート、シリコン樹脂、塩化ゴ
ム、エポキシ樹脂、純および変性アルキツド樹
脂、ポリエチルメタクリレート、ポリ−ｎ−ブチ
ルメタクリレート、酢酸セルロース、ケトン樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリ
ロニトリル、ロジン誘導体、ポリ塩化ビニリデ
ン、ニトロセルロース、フエノール−ホルムアル
デヒド樹脂、メタクレゾールホルムアルデヒド樹
脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリア
クリル酸−ポリアクリル酸アミド共重合体、フマ
ル酸エチレングリコール共重合体、メチルビニル
エーテル−無水マレイン酸共重合体、アクリロイ
ルグリシン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、
ハロゲン化スチレンなどが用いられ、その層の厚
さは0.01〜10μの範囲で用いられる。

更に必要に応じて、支持体紙のアルミ箔が設け
られる面と反対の面上に耐水性導電層を設けても
よい。耐水性導電層としては、カーボンブラツ
ク、導電性酸化亜鉛、酸化スズ等の導電性粉末と
上述した中間層の結着用に用いられる樹脂等に分
散した層、高電導性電荷移動錯体から成る層、金
属蒸着膜あるいは箔などが任意に使用できる。

以上の如く、本発明は、コロイド状アルミナお
よび／またはシリカとを含有する中間層を設けた
電子写真平版印刷用原版であるが、本発明の利点
を要約すると次のようである。

(1) 接着性が良好なので、光感度、画質、耐刷力
などが安定して得られる。

(2) 溶媒を蒸発させるだけで、経時変化の少ない
中間層が形成できるので品質の安定性に優れ
る。

(3) 印刷時に、湿し水が感光層を通してベースの
紙に達しないことから、平版印刷用原版として
の耐刷性が優れる。

(4) 印刷時の版の伸びが低減するので印刷物の品
質が優れる。

実施例 １ 103ｇ／m²の紙に、10μのアルミニウム箔をラ
ミネートした支持体の上に下記処方の中間層を
4μの厚さになるように常法によつて塗布した。

コロイド状アルミナ（“アルミナゾル200”；（日産
化学）） 50部 ポリ酢酸ビニル（分子量Mw＝80000） 100部 メタノール 100部 ついでその表面に次の組成の感光層を乾燥塗工
量25ｇ／m²になるように塗工した。

光導電性酸化亜鉛（堺化学サゼツクス2000）
100部 シリコン樹脂（KR−211；信越化学製） 35部 ローズベンガル 0.1部 フルオレセイン 0.2部 メタノール 10部 トルエン 150部 つぎにこれを40％RH、25℃の暗所で12時間放
置したのち、アイテツク135型電子写真製版機で
製版したところ、良好な画像を得た。これをエツ
チ液（アドレソグラフ・マルチグラフ社品）で不
感脂化処理し、オフセツト印刷機（ハマダースタ
ー700）で印刷したところ、5000枚印刷してもシ
ワ、感光層の剥離、版伸びが認められなかつた。

実施例 ２ 実施例１と同じ支持体上に下記処方の中間層を
6μの厚さになるように常法によつて塗布した。

コロイダルシリカ（スノーテツクス−Ｏ；日産化
学） 20部 コロイダルアルミナ（アルミナゾル；（15％水分
散液；日産化学）） 50部 セビアンＡ（ポリ酢酸ビニルエマルジヨン；ダイ
セル） 150部 水 100部 界面活性剤アミゾールCDC（川研フアインケミカ
ル品） 0.1部 ついでその表面に、実施例１と同じ感光層を乾
燥工量20ｇ／m²になるように塗工した。

実施例１と同じ処理によつて製版し、印刷した
ところ、8000枚印刷しても版のシワ、感光層の剥
離、版の伸びが認めらなかつた。

実施例 ３ 実施例２で作成したと同じ平版印刷用感光材料
をアイテツク135型電子写真製版機に、ポリ酢酸
ビニル粒子、アルカリブルー顔料、ラウリルメタ
クリレート／ジアセトンアクリルアミド共重合体
およびジイソブチレン／マレイン酸共重合体の半
アルキルアマイド化物（“ホモゲノールＬ−18”
（商品名）、花王アトラス(株)製）を主成分とする湿
式現像液を満たし製版した。

実施例１と同じ方法で印刷したところ、１万枚
印刷しても版のシワ、感光層の剥離、版の伸びは
認められず、高品質の印刷物が得られた。

実施例 ４ 実施例１の支持体の紙側にポリエチレンに対し
て15wt％のカーボンブラツクを混練した粉体を
熱融解させる常法により20ミクロンの厚さに塗工
した。

実施例３と同じ方法で製版した。印刷前のエツ
チング処理（リコーエツチングマシン使用）によ
つて版のカールなどの変化はまつたく認められな
かつた。

この版を用いて印刷したところ、１万枚印刷し
ても版のシワ、感光層の剥離、版の伸びは認めら
れず、高品質の印刷物が得られた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 光導電性絶縁層と、アルミニウム箔と、ベー
   ス紙とが重ねられて一体となる感光シートにおい
   て、親油性樹脂と光導電性粉体とからなる光導電
   性絶縁層とアルミニウム箔の中間に、コロイド状
   シリカおよび／またはコロイド状アルミナを含有
   する層が設けられていることを特徴とする電子写
   真平版印刷用感光材料。 ２ ベース紙のアルミ箔が設けられていない面に
   樹脂中に導電性粉末を分散した層を設けたことを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の電子写真
   平版印刷用感光材料。 ３ ベース紙のアルミ箔が設けられていない面に
   高電導性電荷移動錯体から成る層又は金属蒸着膜
   あるいは箔を設けたことを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の電子写真平版印刷用感光材料。