JPH0143957Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自動車用シートベルトのシヨルダーア
ンカ装置に関する。

従来技術 自動車にあつては、例えば第１図に示すように
車体ルーフサイドレール７もしくはセンターピラ
ー８（本例ではルーフサイドレール７）にアンカ
ブラケツト３を取付け、このアンカブラケツト３
にシートベルト１を挿通したスルーリング２を連
結してシヨルダアンカ１０を構成し、シートベル
ト１をタング４とバツクル５との連結部と、前記
シヨルダーアンカ１０とにより乗員の胸元に上下
方向に斜状に掛架して乗員をシート９に拘束でき
るようにしてある。前述のスルーリング２はアン
カブラケツト３を用いずに直接センターピラー８
に取付ける場合もあるが、何れにしてもこのスル
ーリング２の取付位置は乗員の標準体形を基準と
して決定されている。第１図中６はリトラクタ、
１０ａはフロア側アンカを示す。

ところが、かかる従来の構成ではシート９に着
座する乗員が標準体形から外れていた場合、シヨ
ルダーアンカ１０の位置が高すぎたり、低すぎた
りしてシートベルト１を適正に着用できなくなつ
て乗員に不快感を与えたり、シートベルト着用の
効力を十分に活かしきれなくなつてしまう等の不
具合があつた。

考案の目的 本考案はかかる従来の実状に鑑み、シヨルダー
アンカ位置をシートベルト着用者の体形に合わせ
て任意に上下調節することができて、シートベル
トを適正に着用することができ、しかも、前述の
上下動調節を簡単な操作で行えて使用性に優れた
自動車用シートベルトのシヨルダーアンカ装置を
提供することを目的とするものである。

考案の構成 前記目的を達成するため、本考案シヨルダーア
ンカ装置は、側壁に複数個の位置決め孔を長さ方
向に列設し、車体側に装着される断面チヤンネル
形のアンカブラケツトと、シートベルトを挿通す
るスルーリングを挿通し、前記アンカブラケツト
に摺動自在に嵌装された断面略コ字形の可動アン
カブラケツトと、該可動アンカブラケツトに配設
されたロツク機構とからなり、該ロツク機構は、
可動アンカブラケツトを収容するアンダカバーに
配設されて、該アンダカバーおよび可動アンカブ
ラケツトの各側壁を貫通して前記位置決め孔と係
脱するロツクピンと、該ロツクピンを位置決め孔
に対して非係合方向に付勢するスプリングと、可
動アンカブラケツトに挿通配置された操作ノブシ
ヤフト端に形成され、該シヤフトの回動によりロ
ツクピンを位置決め孔と係脱させるカム片と、ア
ンダカバー底壁に形成されて前記カム片をロツク
ピンを押動するロツク位置で回動規制すると共
に、該カム片のロツクピンとの弾接状態を保つて
回動を許容する引上げ高さを規制し、かつ、該高
さ位置でロツクピンを後退させるロツク解除位置
で回動規制するストツパと、前記カム片に前記ロ
ツク位置への回転力とアンダカバー底壁側への軸
方向の押圧力とを付勢するロツク用スプリングと
を具備し、前記操作ノブシヤフトの操作によつて
スルーリングの位置を前記位置決め孔の列設範囲
で任意に調節できるようにしてある。

実施例 以下、本考案の実施例を図面と共に詳述する。

第２〜５図において、１１は断面チヤンネル形
に形成されたアンカブラケツトで、その両側壁１
１ａには複数個の位置決め孔１２を長さ方向に列
設してあり、このアンカブラケツト１１は図外の
ボルト・ナツトにより第１図に示すルーフサイド
レール７又はセンターピラー８に固定的にあるい
は回動自在に取付けられる。

１３は断面略コ字形、例えば前記アンカブラケ
ツト１１よりも小型のチヤンネル形に形成された
可動アンカブラケツトを示し、この可動アンカブ
ラケツト１３は後述するアツパスライダ１８およ
びスライダを兼ねたアンダカバー１７で包覆され
ていて、これらアツパスライダ１８、アンダカバ
ー１７を介して前記アンカブラケツト１１に摺動
自在に嵌装してある。この可動アンカブラケツト
１３の上壁１３ａの一端部にはスルーリング取付
孔１４を形成してあり、この取付孔１４およびア
ツパスライダ１８の取付孔２０を通して図外のボ
ルト・ナツトによりシートベルト１（第１図参
照）を挿通したスルーリング１５を固定的にもし
くは回動自在に取付けてある。１６はスルーリン
グ１５の取付基部を覆う樹脂カバーを示す。

可動アンカブラケツト１３は適宜の樹脂材から
なるスライダを兼ねたボツクス形状のアンダカバ
ー１７に収容されていると共逐に、上面を同様の
樹脂材からなるアツパスライダ１８で覆つてこれ
ら３者を一体にビス１９固定してブロツク状に構
成し、前述のようにアンカブラケツト１１に摺動
自在に嵌装してある。

２１は前記可動アンカブラケツト１３に配設し
たロツク機構を示し、該ロツク機構２１はアンダ
カバー１７および可動アンカブラケツト１３の各
両側壁１７ｂ，１３ｂに形成した孔１７ｃ，１３
ｃを通して前記位置決め孔１２と係脱する一対の
ロツクピン２２、該ロツクピン２２を付勢するス
プリング２３、カム片２４、該カム片２４を付勢
するロツク用スプリング２５およびカム片２４の
ストツパ２６とで大略構成されている。

ロツクピン２２は後端にフランジ状のカムフオ
ロワ２２ａを有し、このカムフオロワ２２ａとア
ンダカバー側壁１７ｂとの間に弾装した前記スプ
リング２３によつて位置決め孔１２に対して非係
合方向に付勢されている。

カム片２４は、上端に操作ノブ３２を固定し、
アツパスライダ１８および可動アンカブラケツト
上壁１３ａに設けた取付孔２９，３０に挿通した
操作ノブシヤフト２７の下端に一体成形されてい
る。カム片２４の下面中央には支軸２８が突設さ
れ、該支軸２８はアンダカバー底壁１７ａに軸受
孔３１に挿入してある。

ストツパ２６はアンダカバー底壁１７ａにロツ
クピン２２配設部を囲んで側面略門形状に形成さ
れている。このストツパ２６はカム片２４の両側
面に係合し、カム片２４をカム面２４ａでロツク
ピン２２を押動するロツク位置Ｌで回動規制する
縦リブ２６ａ，２６ｃと、一方の縦リブ２６ａ端
に一体成形され、カム片２４をその周面とロツク
ピン２４との弾接状態を保てる高さ位置で該カム
片２４と係合して引上げ高さを規制する横リブ２
６ｂとから構成されている。前記他方の縦リブ２
６ｃは一方の縦リブ２６ａよりも低く、具体的に
は横リブ２６ｂの下面からカム片２４の厚みより
若干大きな寸法の間隔を形成し得るように低く形
成されていて、カム片２４を横リブ２６ｂに当接
するまで引上げた時に、該カム片２４の第２，４
図時計方向の回動を許容するようにしてある。ま
た、この縦リブ２６ｃはカム片２４をロツクピン
２２と直交する方向のロツク解除位置Ｕ・Ｌに回
動した時に、カム片２４の下方に若干突出する長
さに形成してある。

一方の縦リブ２６ａはカム片２４が前述のロツ
ク解除位置Ｕ・Ｌに回動された時に、リブ２６ａ
端面がカム片２４の側面に係合してこのロツク解
除位置Ｕ・Ｌでカム片２４の回動を規制する。

ロツク用スプリング２５は、その一端を可動ア
ンカブラケツト上壁１３ａに形成した小孔２３に
係合すると共に、他端を回転、圧縮した状態でノ
ブシヤフト２７の大径部２７ａに形成した小孔３
４に係合して、該シヤフト２７、即ちカム片２４
に前記ロツク位置Ｌへの回転力と、アンダカバー
底壁１７ａ側への軸方向の押圧力とを付勢してい
る。

次に以上の構成よりなる実施例装置の作動につ
いて説明する。

常態にあつてはロツク用スプリング２５力によ
り、カム片２４はストツパ２６の縦リブ２６ａ，
２６ｃ間に回動規制されて収容され、以つて、ロ
ツクピン２２をカム面２４ａで押動して位置決め
孔１２に係合させてロツク位置Ｌを保持する。従
つて、可動アンカブラケツト１３はアンカブラケ
ツト１１に固定的に連結され、操作ノブ３２をス
プリング２５力に抗して牽引してもカム片２４が
横リブ２６ｂに係止し、カム面２４ａによるロツ
クピン２２の押圧状態を保持しているため、可動
アンカブラケツト１３とアンカブラケツト１１と
のロツクは解除されない。

スルーリング１５の位置を調節する場合は、操
作ノブ３２をスプリング２５の付勢力に抗して牽
引すると、カム片２４が前述のようにロツクピン
２２を押圧した状態のまま横リブ２６ｂに係止す
る。従つて、該ノブ３２を第２，４図時計方向に
回動すると、ロツクピン２２の弾接位置が次第に
カム面２４ａからカム片２４の側面に移行し、該
カム片２４の一側面が一方の縦リブ２６ａに係止
して回動が規制されるロツク解除位置Ｕ・Ｌまで
回動すると、ロツクピン２２はスプリング２３力
により位置決め孔１２から抜け出てロツク解除が
行われる。従つて、可動アンカブラケツト１３を
アンカブラケツト１１に対して摺動させ、スルー
リング１５を着座乗員の体格に最適となる位置に
調節して操作ノブ３２を離すと、カム片２４は他
方の縦リブ２６ｃ上面に弾接した状態でスプリン
グ２５力により第２，４図反時計方向に回動し、
該カム片２４の一側面が一方の縦リブ２６ａ側面
に係止して回動規制されるロツク位置Ｌで、該ス
プリング２５力により縦リブ２６ａ，２６ｃ間に
落ち込み、カム面２４ａによりロツクピン２２を
押圧して、該ロツクピン２２を対応する位置決め
孔１２に係合して所謂自動ロツクが行われる。

考案の効果 以上のように本考案によれば、シートベルトの
シヨルダーアンカ位置を着座者の体格に合わせて
任意に上下動調節できるため、乗員に不快感を与
えることなくシートベルトを適正に着用すること
ができて乗員保護を確実に行える利点があり、し
かも、この上下移動調節の際のロツク解除は操作
ノブシヤフトの引き回しによつて非常に簡単に行
えると共に、調節後は自動的にロツクすることが
できるため操作性に優れる利点がある。また、操
作ノブシヤフトを引いただけではロツク解除が行
われないため、衝突時の衝撃等によつても誤作動
するようなことがなく、安全性も十分に確保でき
るという実用上多大な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のシヨルダーアンカ装置を備えた
シートベルトの配設状態を示す斜視図、第２図は
本考案の一実施例を示す分解斜視図、第３図は同
組立状態のロツク機構配設部分の断面図、第４図
はカム片とストツパとの関係を示す平面図、第５
図は同側面図である。 １……シートベルト、１１……アンカブラケツ
ト、１２……位置決め孔、１３……可動アンカブ
ラケツト、１５……スルーリング、１７……アン
ダカバー、１８……アツパスライダ、２１……ロ
ツク機構、２２……ロツクピン、２３……スプリ
ング、２４……カム片、２５……ロツク用スプリ
ング、２６……ストツパ、２７……操作ノブシヤ
フト、３２……操作ノブ、Ｌ……ロツク位置、
Ｕ・Ｌ……ロツク解除位置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側壁に複数個の位置決め孔を長さ方向に列設
   し、車体側に装着される断面チヤンネル形のアン
   カブラケツトと、シートベルトを挿通するスルー
   リングを軸支し、前記アンカブラケツトに摺動自
   在に嵌装された断面略コ字形の可動アンカブラケ
   ツトと、該可動アンカブラケツトに配設されたロ
   ツク機構とからなり、該ロツク機構は、可動アン
   カブラケツトを収容するアンダカバーに配設され
   て、該アンダカバーおよび可動アンカブラケツト
   の各側壁を貫通して前記位置決め孔と係脱するロ
   ツクピンと、該ロツクピンを位置決め孔に対して
   非係合方向に付勢するスプリングと、可動アンカ
   ブラケツトに挿通配置された操作ノブシヤフト端
   に形成され、該シヤフトの回動によりロツクピン
   を位置決め孔と係脱させるカム片と、アンダガバ
   ー底壁に形成されて前記カム片をロツクピンを押
   動するロツク位置で回動規制すると共に、該カム
   片のロツクピンとの弾接状態を保つて回動を許容
   する引上げ高さを規制し、かつ、該高さ位置でロ
   ツクピンを後退させるロツク解除位置で回動規制
   するストツパと、前記カム片に前記ロツク位置へ
   の回転力とアンダカバー底壁側への軸方向の押圧
   力とを付勢するロツク用スプリングとを具備して
   なる自動車用シートベルトのシヨルダーアンカ装
   置。