JP7737643B2 - 潜在捲縮性能を有する複合繊維およびそれからなる不織布 - Google Patents

潜在捲縮性能を有する複合繊維およびそれからなる不織布

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Description

寸法安定性に優れ、高伸張弾性率及び風合いが非常に良い繊維製品を提供するための潜在捲縮性能を有する複合繊維に関するものである。
従来から、ポリエステル繊維は、衣料用、産業資材用等種々の用途に使用されている。中でも、三次元的なコイル状のスパイラル捲縮等の立体捲縮を有するポリエステル繊維は、その伸縮性を生かし、貼付剤やサポーター等の医療衛生材の基布に適した不織布の構成繊維として広く用いられている。このような伸縮性に富んだ立体捲縮を有するポリエステル繊維として、熱収縮特性の異なる種々のポリマーを組合せてサイドバイサイドまたは偏心芯鞘構造に複合した潜在捲縮性能を有する複合繊維が数多く提案されている。
例えば、イソフタル酸による共重合率が7モル%以上15モル%以下の共重合ポリエステルとポリエチレンテレフタレートとから構成される複合繊維(特許文献1)、イソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BAEO)とを共重合したポリエステルとポリエチレンテレフタレートとから構成される複合繊維(特許文献2)が開示されている。
また、本件出願人は、より風合いが良い繊維製品を得ることを課題とし、ソフトセグメントにポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ハードセグメントにイソフタル酸(IPA)とビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BAEO)とを共重合したポリエステルとポリエチレンテレフタレートをから構成される複合繊維を提案している(特許文献3)。
しかしながら、特許文献1記載のイソフタル酸成分のみを共重合したポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの複合繊維では、延伸後の弾性回復率が不足しており伸縮性に乏しく、このような複合繊維では、高い伸縮性を付与するためには高温で熱処理することを要し、そうすると得られる不織布等の繊維製品の風合いが硬くなるという問題がある。
また、特許文献2記載のイソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BAEO)とを共重合したポリエステルとポリエチレンテレフタレートとの複合繊維は、延伸後の弾性回復率は十分有するが、その一方で繊維の熱収縮が大きく、寸法安定性に劣り、また、熱収縮によって繊維同士の引き締まりが発生し、得られる繊維製品の風合いが硬くなるという問題があった。
特許文献3記載の複合繊維は、ソフトセグメントを必須の構成要件としていることにより風合いが良好な繊維製品が得られる。しかしながら、弾性回復率を高めるために収縮成分としてBAEOおよびIPAの2成分を共重合することを必須としているため、結晶性やガラス転移温度が低く、繊維製造工程において経時変化が起きやすく、管理が難しい。また、繊維の熱収縮性が大きく、潜在捲縮性能が高いため、十分な弾性回復性能を発揮しうる繊維製品を得ることができるが、必須の構成要件としているソフトセグメントのゴム弾性を十分に活用できていない。
特開平3-161519号公報 特許第3028711号公報 特許第6591765号公報
本発明は、上記の問題点を解決するために、繊維の熱収縮を抑制しつつ、伸縮性に富み、非常にソフトな風合いでありながら、繊維製造工程並びに繊維製品の加工工程において工程通過性が良い潜在捲縮性能を有する複合繊維を提供することを技術的な課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討を行なった結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の(1)~()を要旨とするものである。
(1)ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)とがサイドバイサイドに配された複合繊維であり、
サイドバイサイドに複合された接合面においては、ポリエステル系エラストマー(A)がポリエステル(B)側に湾曲して膨らんで接合されてなり、
前記ポリエステル系エラストマー(A)は、ハードセグメントとソフトセグメントとから構成され、
ハードセグメントはエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルであり
該エチレンテレフタレート系共重合ポリエステルは、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸の3元共重合体であるか、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸の4元共重合体のいずれかであり、
該エチレンテレフタレート系共重合ポリエステルにおけるイソフタル酸の共重合割合は3~10モル%であり、
ポリエステル系エラストマー(A)の極限粘度は、ポリエステル(B)の極限粘度よりも高く、
無荷重下にて170℃×15分間熱処理した際の熱収縮率が30%以下であり、
無荷重下にて170℃×15分間熱処理を施すことによって発現する捲縮数と捲縮率が下式を満たす潜在捲縮性能を有する複合繊維。
捲縮数(個/25mm)/捲縮率(%)=1.3~0.7
(2)無荷重下にて170℃×15分間熱処理を施した繊維の25%伸張弾性率が30%以上である前記(1)記載の潜在捲縮性能を有する複合繊維。
)ポリエステル系エラストマー(A)の極限粘度が0.80~1.05であり、ポリエステル(B)の極限粘度が0.60~0.75である前記(1)記載の潜在捲縮性能を有する複合繊維。
)前記(1)記載の潜在捲縮性能を有する複合繊維によって構成される不織布。
本発明においては、ソフトセグメントとハードセグメントとから構成され、ハードセグメントがエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルであり、該エチレンテレフタレート系共重合ポリエステルは、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸の3元共重合体であるか、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸の4元共重合体のいずれかであり、該エチレンテレフタレート系共重合体におけるイソフタル酸の共重合割合は3~10モル%であるエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルを用いたポリエステル系エラストラマー(A)と、ポリエステル(B)とを特定の接合状態で複合した複合繊維とすることにより、熱収縮を抑制し、適度な潜在捲縮を発現させることができる。また、本発明の複合繊維は、伸張の初期段階は発現した潜在捲縮によって弾性回復性がみられるが、発現した捲縮が伸び切った後は、ポリエステル系エラストマー(A)を構成するソフトセグメントがゴム弾性を有することから、非常に低モジュラスでの伸長性を発揮する。
したがって、繊維の熱収縮が低いことにより、熱処理によって繊維同士が引き締まることがなく、ソフトセグメントの柔らかな感触も相まりことから、本発明によれば、寸法安定性が良好で、優れた風合いと良好な伸縮性を有し、また、非常に低モジュラスで伸長しうる柔らかな風合いの繊維製品を提供することができる。
本発明の複合繊維の横断面形状の一例を示す模式図である。 本発明の複合繊維の横断面形状の一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合繊維は、ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)とが、サイドバイサイドに配された潜在捲縮性能を有する複合繊維である。すなわち、繊維の横断面形状(繊維軸方向に沿って垂直に切断した断面の形状)において、2種のポリエステルが、サイドバイサイド型に接合して配されてなり、2種のポリエステルのいずれもが繊維表面に露出している。なお、潜在捲縮性能とは、加熱した際に、コイルバネ状の立体的な捲縮(スパイラル捲縮)を発現する捲縮能を有するものであり、この潜在的に有してなる捲縮性能は、複合繊維を構成する2種のポリエステルの熱収縮差によって発現することから、熱が付与されることによって立体的な捲縮が顕在化する。
本発明の複合繊維は、サイドバイサイドに複合された接合面においては、ポリエステル系エラストマー(A)がポリエステル(B)側に湾曲して膨らんだ状態で複合している。図1は、本発明の複合繊維の繊維軸方向に対して垂直に切断した断面形状(横断面形状)の模式図である。本発明の複合繊維の横断面形状は、図1に示すように、ポリエステル系エラストマー(A)がポリエステル(B)側に膨らんだ弧を描いて湾曲した状態で接合している。すなわち、横断面において、ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)との接合面(横断面においては接合線)は、ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)とにおける接合開始点(1)と接合終了点(2)を結ぶ直線(M:図1では破線で示す。)よりも、ポリエステル(B)側に膨らんだ弧を描いて突出している。したがって、接合開始点(1)と接合終了点(2)を結ぶ直線(M)の長さよりも、接合面を示す線分(接合線:L)の長さの方が長い。また、接合線の長さ(L)を直線(M)の長さで除した値が1.1より大きいことが好ましい。なお、この値の上限は1.5程度がよい。また、図2は、図1と同様に本発明の複合繊維の横断面形状を示す模式図であるが、接合面が湾曲している程度を示したものであり、ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)との接合面が湾曲することによりポリエステル系エラストマー(A)の断面形状がおおよそ楕円形に近い形状となっていることから、複合繊維の横断面における半径(r)よりも、略楕円形を呈するポリエステル系エラストマー(A)の楕円形状の短軸(r)が大きいことが好ましい。また、短軸(r)の長さを半径(r)の長さで除した値が1.1より大きいことが好ましい。
本発明の複合繊維は、上記したように2種類の複合成分がサイドバイサイド型に複合され、かつその接合面が、ポリエステル系エラストマー(A)がポリエステル(B)側に膨らんだ弧を描いて湾曲した状態で接合されていることによって、2種類のポリエステルの接合面が略直線であるものに比べて、発現する3次元クリンプ(スパイラルクリンプ)の形態が大きいものとなり、得られる繊維製品に優れたふくらみ感とストレッチ性を付与することができるのである。このように、2種類の複合成分がサイドバイサイド型に貼り合わされ、かつ接合面が特定の湾曲したものとするには、後述するように、両成分の極限粘度差、ポリエステル系エラストマー(A)を構成する成分およびその構成比を特定し、複合繊維の単繊維繊度を適宜設定し、かつ紡糸温度や冷却条件において適切な条件範囲とすることにより得ることができる。
本発明の複合繊維の横断面形状は、円形断面であることが好ましいが、扁平型や、六葉等の多葉型、三角等の多角型であってもよい。
本発明の複合繊維を構成する成分であるポリエステル系エラストマー(A)は、ハードセグメントとソフトセグメントとから構成されるポリエステルエラストマーであり、潜在捲縮を顕在化させるための加熱処理において高収縮する役割を担っている。また、ハードセグメントとソフトセグメントとは、ブロック共重合しているものである。
ポリエステル系エラストマー(A)を構成するハードセグメントは、エチレンテレフタレートを繰り返し単位としてイソフタル酸(IPA)を共重合した共重合ポリエステルである。したがって、ハードセグメントは、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸の3元共重合体である。また、この3元共重合体に少量(多くとも5モル%程度)のジエチレングリコールが共重合してなる4元共重合体であ。ハードセグメントである共重合ポリエステルにおけるIPAの共重合割合は3~10モル%であり、4~7モル%がより好ましい。IPAの共重合割合を3モル%以上とすることにより、適度な捲縮を顕在化するための潜在捲縮能を付与でき、潜在捲縮が顕在化した際に大きく縮み過ぎることなく、ハードセグメントとブロック共重合するソフトセグメントのゴム弾性を良好に発揮するものとなる。すなわち、本発明の複合繊維を用いた繊維製品に優れた伸長弾性や伸長回復性を付与することができるのである。一方、IPAの共重合割合を10モル%以下とすることにより、融点が低くなり過ぎることなく、複合繊維の実用強度を保持することができる。
ポリエステル系エラストマー(A)を構成するソフトセグメントは、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールまたは非晶性ポリエステルである。より具体的には、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、およびポリヘキサメチレンエーテルグリコールなどが挙げられるが、なかでもポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)が好ましい。用いるPTMGの平均分子量は400~4000程度がよく、より好ましくは1000~2000である。
ポリエステル系エラストマー(A)において、ブロック共重合してなるハードセグメントとソフトセグメントの共重合比(質量比)は、ハードセグメント/ソフトセグメント=95/5~80/20がよい。特に、ソフトセグメントであるPTMGを5質量%以上共重合させることにより、優れた伸長弾性、伸長回復性を付与しうるとともに、非常に低モジュラスの繊維製品を得ることができる。すなわち、伸長時の応力が非常に小さい繊維製品であり、小さい力で伸長することが可能な、非常に柔らかく風合いの良い繊維製品を得ることができるのである。また、ソフトセグメントであるPTMGの共重合比の上限は20質量%がよく、共重合比を20質量%以下とすることによって、実用強度を有し、また繊維同士の摩擦が大きくならず、加工性や操業性を良好に維持できる。
ポリエステル系エラストマー(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合成分を少量含有させてもよい。例えば、テレフタル酸、IPA以外の多塩基酸成分としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、多価アルコール成分としては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエステル系エラストマー(A)には、本質的な特性を損なわない限り、ヒンダードフェノール系化合物のような抗酸化剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐候性改良剤、難燃剤、静電剤、抗菌剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、セラミック等種々の改質剤や添加剤を含有してもよい。
本発明の複合繊維を構成する2種の複合成分のうち他方のポリエステル(B)は、非エラストマーのポリエステルにより構成され、ポリエチレンテレフタレートであるとよい。ポリエステル(B)は、潜在捲縮を顕在化させるための加熱処理において、ポリエステル系エラストマー(A)よりも収縮しにくい低収縮のポリマーである。なお、ポリエステル(B)は、ポリエチレンテレフタレートを主体として、他の成分として、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族カルボン酸成分、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分等を少量共重合したものでもよいが、実用的な機械的強度を保持し、かつ熱安定性が良好であることから、ホモポリマーであるポリエチレンテレフタレートを用いるとよい。
本発明の複合繊維において、ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)の複合比率(体積比)は、ポリエステル系エラストマー(A)/ポリエステル(B)=30/70~60/40の範囲がよい。ポリエステル系エラストマー(A)/ポリエステル(B)の比が30/70より小さくなると、十分な潜在捲縮能を発揮しにくくなり、一方、60/40よりも大きくなると、繊維強度が低下する傾向となり、また製糸性や操業性に劣る傾向となる。
本発明の複合繊維において、本発明が所望する潜在捲縮性能を有するためには、ポリエステル系エラストマー(A)の極限粘度は、ポリエステル(B)の極限粘度よりも高い必要があり、極限粘度差は0.15以上が好ましく、0.20以上がより好ましい。なお、粘度差の上限は、紡糸安定性を考慮して、0.45とする。極限粘度差が0.45を超えると、紡糸時の口金直下の糸条の曲がりが大きくなり、紡糸が不安定になりやすい。また、それぞれの極限粘度の範囲は、ポリエステル系エラストマー(A)は0.80~1.05、ポリエステル(B)は0.60~0.75とし、この範囲において、極限粘度差を設けるとよい。ポリエステル系エラストマー(A)の極限粘度が1.05を超えると、紡糸工程での紡糸張力がより大きくかかるため、糸切れが発生しやすく、また未延伸糸が得られても伸度が小さく、延伸工程で一定以上の延伸倍率をかけにくく、また伸度が小さいことから切糸が発生しやすくなる。さらに一定以上の延伸倍率がかけられないことから、品質の良好な繊維が得られにくくなる。一方、ポリエステル系エラストマー(A)の極限粘度が0.80未満となると、粘度が低いことから、実用的な強度を有する繊維が得られにくく、紡糸工程や延伸工程でのガイド摩耗や、短繊維の場合は捲縮付与工程での擦過が発生し、欠点が発生しやすく、本発明の課題のひとつである工程通過性が良好となる繊維を提供しようという課題を達成しにくい。また、ポリエステル(B)の極限粘度について、上記範囲を選択する理由は、ポリエステル系エラストマー(A)について特定の極限粘度を選択する場合と同様で、ポリエステル(B)の極限粘度が0.75を超えると、繊維製造工程において問題が発生しやすく良好な品質の繊維が得られにくく、一方、ポリエステル(B)の極限粘度が0.60未満であると、実用的な強度を有する繊維が得にくく、また繊維製造工程において工程通過性が劣る。
本発明においては、上記した特定のポリエステル系エラストマー(A)を用いることにより、熱収縮率を抑えつつ、細かな小さい捲縮ではなく適度な大きさのある捲縮を発現させ、顕在化の際に大きく縮み過ぎることなく、ポリエステル系エラストマー(A)のゴム弾性の効果を十分に活用できる。この理由は以下にあると考える。まず、ポリエステル系エラストマー(A)を高粘度としたことから、繊維製造工程における紡糸張力がポリエステル系エラストマー(A)にかかりやすくすることで、得られた複合繊維に熱処理を施した際に、縮みが発生する側をポリエステル系エラストマー(A)としたことにある。一般の潜在捲縮性能を有する複合繊維においては、捲縮発現のために、一方の側に大きく縮みを発生させて多数の捲縮を発現させるが、このときに大きく縮む側は縮みにより硬くなってしまう。しかし、本発明においては、コイル状の立体捲縮が発現する際に、発現した捲縮の内側(捲縮発現時に縮む側)が、特定のポリエステル系エラストマー(A)側としているため大きく縮み過ぎることがないため硬くなりにくく、また、立体捲縮が発現した複合繊維において、その縮んだ内側部分はポリエステル系エラストマー(A)であることから、縮んだ内側部分が、そのエラストマー性によっても硬くならず、伸びも発現することで柔らかなゴム弾性の効果を発揮できる。その結果、熱収縮が低く、潜在捲縮性能が高くなくとも、ゴム弾性の効果を十分に活用可能な形態とすることで、本発明の複合繊維を用いた繊維製品は風合いと寸法安定に優れ、低モジュラスで良好な伸縮性能が得られるのである。
本発明の複合繊維は、170℃×15分における無荷重下の熱処理した際の熱収縮が30%以下であることが必要である。熱処理によって顕在化する捲縮性能を考慮すると、より好ましくは10~25%である。上記した特定条件での乾熱処理において熱収縮が30%を超えると、繊維の熱収縮の度合いが大きいことから、得られる繊維製品の寸法安定性に劣り、また、顕在化する捲縮数も多く、細かく小さい捲縮が多数発現し、さらに収縮によって繊維同士が縮み合って引き締まった状態となり、風合いが硬いものとなる。
本発明における熱収縮率は、JIS L1015 8.15b 乾熱寸法変化率に基づいて、以下のようにして測定する。すなわち、空間距離25mmとして、繊維の両端を接着剤(両面テープおよび接着剤)で滑艶紙に1本ずつ貼り付けて固定した試料を作成し(両面テープの上から紙を貼り付けてさらに固定)、この試料を単繊維弾性試験機につかみ間隔25mmで取り付け、滑艶紙を切断した後、所定の初荷重(初荷重= 45mg×繊度(dtex)の値)をかけた時の初期試料長(N)を測定する。初期試料長測定後の繊維を熱処理用台に取り付け、170℃に設定した熱風乾燥機中に吊り下げて15分間放置後、取り出し、室温まで冷却後、再び単繊維弾性試験機に取り付け、初荷重をかけたときのつかみ間の距離(熱処理後試料長(N))を読み、下式にて熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=〔1-(N/N)〕×100
なお、無荷重下の熱処理とは、オーブン等の熱処理機の中に、1本1本の繊維が、収縮しても緊張しないように十分に弛ませた状態(弛緩状態)でセットし、170℃で15分間加熱処理することをいう。また、繊維30本について測定し、その平均値を熱収縮率(%)とする。複合繊維が、連続繊維の場合は、連続繊維を長さ30mmに切断し、その繊維30本について測定し、その平均値を熱収縮率(%)とした。
本発明の複合繊維は、170℃×15分における無荷重下の熱処理を施した際に、40~100個/25mmの三次元的な立体捲縮を発現する。上記条件において発現する捲縮数が40個/25mm以上であることから、該複合繊維から得られる繊維は適度な潜在捲縮性能をもつことで、ポリエステル系エラストマーのゴム弾性をも利用でき、良好な伸縮性能と良好な風合いとを兼ね備えたものとなる。一方、複合繊維の潜在捲縮数が100個/25mm以下であることにより、繊維の高度なる収縮性を抑制し、ポリエステル系エラストマー側が縮み過ぎることなく、エラストマーのゴム弾性を効果的に利用でき、得られる不織布の風合いが良好で、かつ寸法安定性にも優れたものとなる。なお、無荷重下の熱処理とは、オーブン等の熱処理機の中に、1本1本の繊維が、収縮しても緊張しないように十分に弛ませた状態(弛緩状態)でセットし、170℃で15分間加熱処理することをいう。そして、捲縮数は、JIS L1015 8.12.1の方法によりを測定した。後述する捲縮率についてはJIS L1015 8.12.2の方法に基づき、荷重を以下のように変更して測定した。すなわち、熱処理後の繊維に所定の初荷重(初荷重= 2mg×繊度(dtex)の値)をかけた時の初期試料長(a)を測定する。次に所定の荷重(荷重= 270mg×繊度(dtex)の値)をかけ、30秒間放置した後に試料長(b)を測定する。 測定した試料長から下記式にて捲縮率を算出した。
捲縮率(%)=〔1-(a/b)〕×100
本発明の複合繊維は、170℃×15分における無荷重下の熱処理を施した際に発現する捲縮について、下記の式を満たす。すなわち、捲縮数と捲縮率のバランスが下記範囲であることにより、本発明の複合繊維は熱処理にて発現する捲縮の数が多過ぎることなく、かつ捲縮の山と谷の深さが大きくなる。そして、下記式を満たすものは、個々の捲縮と捲縮の間隔が広くなり、捲縮の山谷の深さが大きいため、へたりの少ない捲縮形態となる。したがって、下式を満たす複合繊維を用いた繊維製品は非常に伸張弾性率が良好なものとなる。なお、ソフトセグメントを有さない潜在捲縮性能を有する繊維において、下記式を満たす捲縮状態である場合には、捲縮と捲縮の間隔が広いため、伸縮性能が乏しくなり、引っ張った際のモジュラスが大きくなるが、本発明の複合繊維は、ソフトセグメントを有するポリエステル系エラストマーからなることを必須とし、かつそれが特定の断面形状を呈していることから、ヤング率が小さく、低いモジュラスで伸張することが可能となる。
A=捲縮数/捲縮率=1.3~0.7
本発明の複合繊維は、170℃×15分における無荷重下の熱処理をした後の25%伸張弾性率は30%以上がよい。本発明の複合繊維は、前記のポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)とが特定の接合状態とし、前述した粘度差、2成分の複合比率とし、かつエラストマー中のソフトセグメントとハードセグメントとを前述した比率とすることで、潜在捲縮性能が高くないにも関わらず、30%伸張の回復率が優れるものとなる。これは発現した捲縮の内側となる部分がポリエステル系エラストマー(A)側となり、その縮んだ内側部分が伸びることで柔らかなゴム弾性の効果をより良く発揮するためである。伸張回復率が30%以下であると、得られる繊維製品の伸張回復性が乏しくなる。なお、繊維製品の性能と寸法安定性を両立するためには、25%伸張弾性率は30~50%であることがより好ましい。
本発明の複合繊維の単繊維繊度は、特に限定されず、例えば、0.6~25デシテックス程度の範囲において、繊維の用途に応じて適宜選択すればよい。例えば、肌に直接触れる用途であり、柔軟性や繊細な肌触り性を求められるフェイスマスクや、貼付剤の基布等の衛生材料の場合は、0.6~3デシテックス程度が好ましく用いられる。一方、クッション材、縫い包み、寝具用等の詰め綿、衣料用の中綿等の肌触りの柔軟さや適度なクッション性が求められる場合は、2~10デシテックス程度が好ましく用いられる。さらには、敷き布団用の固綿やマットレス等の適度に厚みがあり、柔軟性と反発性が求められる用途等の場合は、8~25デシテックス程度が好ましく用いられる。
本発明の複合繊維の形態は、連続した繊維であるフィラメントであっても、短繊維であるステープル繊維やショートカット繊維であってもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。ステープル繊維の場合は繊維のカット長は20~100mm程度とし、カード通過性等を考慮して、クリンパー等を用いて機械捲縮を付与するとよい。ショートカット繊維は、主として抄造シートに用いる材料であり、水中での分散性を要することから機械捲縮によるクリンプを有さず(ノークリンプ)、繊維長は20mm未満であって、好ましくは2~15mm程度である。
本発明の複合繊維を製造するにあたっては、複合繊維を構成する2種のポリエステルにおいて、それぞれの極限粘度および極限粘度差、複合する際の比率を前述した範囲内のものを選択し、また、紡糸速度、延伸倍率および熱処理温度等を適切に選定することによって、得られる複合繊維の潜在捲縮性能を調整することができる。例えば、複合比(体積比)50/50のサイドバイサイド型複合繊維とする場合は、通常の複合紡糸装置を用いて、紡糸温度280~300℃、吹付装置の冷却温度20~35℃、引取速度900~1200m/分で溶融紡糸し、集束して糸条束とした後、延伸温度40~90℃、延伸倍率2~5倍で延伸した後、熱処理温度120~170℃で熱セットを行い、その後、短繊維の場合は、所望の長さに切断する。乾式不織布用繊維や紡績糸用繊維として使用する場合は、熱セット後に、押し込み式スタッフィングボックスや加熱ギヤなどで捲縮を付与すればよい。湿式不織布用繊維として使用する場合は、捲縮を付与することなく所定の繊維長に切断するとよい。連続繊維として用いる場合は、熱セット後に巻き取ることにより得られる。
本発明の複合繊維は、それのみを用いて繊維製品としてもよく、また、用途や目的に応じて他の繊維を混合したり併用したりして繊維製品としてもよい。
本発明の複合繊維を用いた繊維製品としては、例えば、マルチフィラメント糸、紡績糸、合撚糸、織編物、また、不織布や湿式抄造シート、固綿等が挙げられる。用途としては、伸縮性が必要とされる貼付剤の基布や、フェイスマスク等の衛材材料や、柔らかさが必要とされるクッション材、詰綿、固綿、布団、マット等が挙げられる。
なお、不織布の形態としては、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、湿式不織布(抄紙)などが挙げられる。なかでも、本発明の複合繊維は潜在捲縮性を有することから、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、湿式不織布(抄紙)が好適なものである。不織布の目付は、用途に応じて適宜選択すればよく特に限定するものではないが、優れた伸縮性と風合いを両立するためには100g/m以下が好ましい。なお、目付が小さくなりすぎると、繊維の絡みが弱くなる傾向となり、衣服等の他のものが触れる際の摩擦によって不織布表面が毛羽立ちやすくなるため、より好ましい目付は、40~100g/mである。
さらに、より風合いが良く、伸縮性が良い不織布を得るには、高圧液体流を噴射する水流交絡処理によって構成繊維同士を交絡させることにより得られるスパンレース不織布が好ましい。本発明の複合繊維からなるスパンレース不織布は以下のように得ることができる。本発明の複合繊維を、カード機等を用いてカーディングして乾式ウエブを作製し、得られた乾式ウエブに高圧液体流処理を施して構成繊維同士を交絡させて一体化し、不織布を得る。複合繊維の潜在捲縮を顕在化して捲縮を発現させるには、高圧液体流処理により不織布に含まれる液体を除去するための乾燥工程において、160℃×1分間の条件で乾燥熱処理を施し、液体除去と同時に潜在捲縮性能を発現させて立体捲縮を顕在化させるとよい。
本発明の複合繊維からなるスパンレース不織布は、目付40~100g/mにおいて、50%伸長後の回復率(伸張弾性率)が50%以上、モジュラスが13N以下となり優れた伸縮性を有する。また、160℃×1分間の条件で乾燥熱処理した際の不織布の面収縮率が30%以下であり、優れた寸法安定性を有する。これは、本発明の複合性繊維が、適度な潜在捲縮を発現し、ポリエステル系エラストマーのゴム弾性を十分に利用できる設計となっているからである。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。各測定や評価は以下に記載の方法により行った。
(1)極限粘度([η])の測定
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、原料となる樹脂を溶媒に0.5質量%融解させ、常法に基づき温度20℃にて測定した相対粘度[ηr]の値を用いて、下記の換算式より算出した。
(2)ポリエステル樹脂の組成
重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて1H-NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合成分の種類と含有量を求めた。
(3)繊度(dtex)
JIS L1015 8.5.1A法により測定した。
(4)熱収縮率
前記した方法にて測定した。
(5)潜在捲縮発現数、捲縮率
前記した方法により測定した。なお、測定する繊維の繊維長が25mmに満たない場合は、25mmに換算した個数として算出した。
(6)繊維の伸張弾性率
得られたポリエステル複合繊維(44mm)を170℃×15分の条件で無荷重下の熱処理をした後、繊維の両端を接着剤で滑艶紙に1本ずつ貼り付け(空間距離20mm)、さらに両端を両面テープがついた紙を貼り付けて固定し、測定サンプルを作成した。得られた測定サンプルを用い、JIS L1015 8.10 B法に準じ、25%伸張時の弾性率を測定した。測定においては、つかみ間隔は20mmとし、引張速度20mm/分の条件でつかみ間隔の25%まで引き延ばし、1分間放置し、次いで、同じ速度で徐重し3分間放置後同じ速度で一定伸びまで引き伸ばした。記録した荷重-伸長曲線から残留伸びを測り、次の式によって伸長弾性率(%)を算出し、5回の平均値を求めた。
E=(L-L1)/L ×100
上式において、E:伸長弾性率(%)、L:25%伸長時の伸び(mm)、L1:残留伸び(mm)である。
(7)不織布の伸長弾性率(%)、モジュラス(N)
JIS L1015 8.10 B法に準じ、50%伸長時の弾性率及びモジュラスを測定した。すなわち、幅2.5cm、試料長15cm(不織布のMD方向を試料長とした)の試料を作成し、つかみ間隔10cm、引張り速度10cm/分の条件でつかみ間隔の50%まで引き伸ばし、1分間放置する。次に、同じ速度で徐重し3分間放置後同じ速度で一定伸びまで引き伸ばす。記録した荷重-伸長曲線から残留伸びを測り、次の式によって伸長弾性率(%)を算出し、5回の平均値を求めた。
E=(L-L1)/L ×100
上式において、E:伸長弾性率(%)、L:50%伸長時の伸び(mm)、L1:残留伸び(mm)である。
また、不織布のモジュラスについては、上記方法で50%伸張させたときの応力(N)について、5回の平均値より算出した。
(8)不織布の風合い評価
作製した不織布を10名のパネラーが触り、官能評価にて判定した。
○:不織布の地合いが均一で風合いが良好であり、手触りが良いと感じる人数が8~10名である。
△:不織布の地合いが均一で風合いが良好であり、手触りが良いと感じる人数が3~7名である。
×:不織布の地合いが均一で風合いが良好であり、手触りが良いと感じる人数が0~2名である。
実施例1
ポリエステル系エラストマー(A)としては、ハードセグメントはエチレンテレフタレート単位にイソフタル酸(IPA)4.5モル%を共重合した共重合ポリエステル、ソフトセグメントは平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)として、ハードセグメント:ソフトセグメントの質量比が90:10でブロック共重合した極限粘度0.88のポリエステル系エラストマーを用いた。
ポリエステル(B)としては、極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレートを用いた。
前記したポリエステル系エラストマー(A)およびポリエステル(B)を、複合溶融紡糸装置を用いて、円形紡糸孔を1038個有する紡糸口金(口径0.30φ)を用い、質量比率50/50のサイドバイサイド型として、紡糸温度290℃、吹き付け装置の冷却温度27℃、引取速度914m/分、吐出量360g/分で、複合紡糸し、未延伸の糸条を得た。得られた糸条を集束して糸条束とし、延伸倍率3.6倍、延伸温度75℃で延伸し、140℃で緊張熱処理を行い、スタッフィングボックスで機械捲縮(捲縮数14個/25mm)を付与した後、仕上げ油剤を付与し、繊維長44mmに切断し、単糸繊度1.3dtexの実施例1の複合繊維を得た。得られた複合繊維の横断面形状は、図1に示すごとく、ポリエステル系エラストマー(A)がポリエステル(B)側に湾曲して膨らんで接合されており、r2/r1の値が1.2であり(繊維断面50個における平均値)、ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)との体積比は50/50であった。
得られた複合繊維を、カード機等を用いてカーディングして乾式ウエブを作製し、得られた乾式ウエブに高圧液体流処理を施して構成繊維同士を交絡させて一体化した。その後に160℃×1分間の条件で乾燥熱処理を施し、目付80g/mのスパンレース不織布を得た。
実施例2
ポリエステル系エラストマー(A)IPAの共重合量を表1に示すものにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の複合繊維および不織布を得た。
実施例3
ポリエステル系エラストマー(A)IPAの共重合量を表1に示すものにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の複合繊維および不織布を得た。
実施例4
ポリエステル系エラストマー(A)のハードセグメント:ソフトセグメントの質量比を80:20にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の複合繊維および不織布を得た。
実施例5
ポリエステル系エラストマー(A)のハードセグメント:ソフトセグメントの質量比を95:5にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の複合繊維および不織布を得た。
実施例6
ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)の質量比を表1に示すものにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の複合繊維および不織布を得た。
実施例7
ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)の質量比を表1に示すものにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の複合繊維および不織布を得た。
実施例8
ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)の極限粘度差を表1に示すものにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8の複合繊維および不織布を得た。
実施例9
ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)の極限粘度差を表1に示すものにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9の複合繊維および不織布を得た。
比較例1
ポリエステル(A)としてエチレンテレフタレート単位にイソフタル酸(IPA)4.5mol%、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BAEO)6.0mol%を共重合した極限粘度0.88のポリエステルを用いた。
ポリエステル(B)として、極限粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを用いた。
複合繊維の製造法および不織布の作成方法は、実施例1と同様にして、比較例1の複合繊維および不織布を得た。
比較例2
ポリエステル系エラストマー(A)として、ハードセグメントはエチレンテレフタレート単位にイソフタル酸(IPA)4.5mol%、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加体(BAEO)6.0mol%を共重合した共重合ポリエステルとし、ソフトセグメントは平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)として、ハードセグメント:ソフトセグメントの質量比が90:10でブロック共重合した極限粘度0.88のポリエステル系エラストマーを用いた。
ポリエステル(B)として、極限粘度0.62のポリエチレンテレフタレートを用いた。
製造法や不織布の作成方法は実施例1と同様にして、比較例2の複合繊維および不織布を得た。
比較例3
実施例1で用いたものを同様のポリエステル系エラストマー(A)であって極限粘度が0.62のものを準備し、また、実施例1で用いたものと同様のポリエステル(B)であって極限粘度が0.88のものを準備したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の複合繊維および不織布を得た。比較例3の複合繊維の横断面を確認したところ、ポリエステル(B)がポリエステル系エラストマー(A)側に湾曲して膨らんで接合されていた。
実施例1~9及び比較例1~3で得られた複合繊維および不織布の物性を表1に示す。
表1で示す通り、実施例1~9の複合繊維は、熱収縮率は大きくなく、また熱処理後の捲縮数も高い値ではないものであるが、25%伸張弾性率が高い値となった。そして、実施例で得られた複合繊維からなるスパンレース不織布は、熱収縮が低いため、寸法安定性に優れ、熱処理による繊維の引き締まりがないため非常に風合いが良いものとなった。また、ポリエステル系エラストマー(A)のゴム弾性の効果により、低モジュラスで伸張性能が非常に良いスパンレース不織布が得られた。
比較例1は、収縮成分としてBAEOを共重合しているため、潜在捲縮性能は非常に高く、それにともない熱収縮率も高く、得られた不織布の風合いが硬いものとなった。また、ソフトセグメントを有しないことから、不織布の伸張性能も劣るものとなった。
比較例2は、収縮成分としてBAEOを共重合しているため、潜在捲縮性能は非常に高く、それにともない熱収縮率も高く、得られた不織布の風合いが非常に硬いものとなった。また、ソフトセグメントを共重合しているが、細かいコイル状の捲縮が多数発現したものであり、熱による収縮が大きいことがその理由であると推定する。
比較例3は、ポリエステル系エラストマー(A)の粘度が、ポリエステル(B)よりも低いものを用いたことから、潜在捲縮性能に劣り、伸縮性能が劣るものとなった。これは、潜在捲縮を発現する際に、ポリエステル系エラストマー(A)の収縮が弱く、発現した捲縮(クリンプ)の外側となるためである。ゴム弾性を十分に活用するためには、実施例のごとく、ゴム弾性を有するポリエステル系エラストマー(A)を高収縮とし、捲縮が発現した際の内側部分となる必要があることを示している。
A:ポリエステル系エラストマー(A)
B:ポリエステル(B)
1:接合開始点
2:接合終了点

Claims (4)

  1. ポリエステル系エラストマー(A)とポリエステル(B)とがサイドバイサイドに配された複合繊維であり、
    サイドバイサイドに複合された接合面においては、ポリエステル系エラストマー(A)がポリエステル(B)側に湾曲して膨らんで接合されてなり、
    前記ポリエステル系エラストマー(A)は、ハードセグメントとソフトセグメントとから構成され、
    ハードセグメントはエチレンテレフタレート系共重合ポリエステルであり
    該エチレンテレフタレート系共重合ポリエステルは、エチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸の3元共重合体であるか、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テレフタル酸、イソフタル酸の4元共重合体のいずれかであり、
    該エチレンテレフタレート系共重合ポリエステルにおけるイソフタル酸の共重合割合は3~10モル%であり、
    ポリエステル系エラストマー(A)の極限粘度は、ポリエステル(B)の極限粘度よりも高く、
    無荷重下にて170℃×15分間熱処理した際の熱収縮率が30%以下であり、
    無荷重下にて170℃×15分間熱処理を施すことによって発現する捲縮数と捲縮率が下式を満たすことを特徴とする潜在捲縮性能を有する複合繊維。
    捲縮数(個/25mm)/捲縮率(%)=1.3~0.7
  2. 無荷重下にて170℃×15分間熱処理を施した繊維の25%伸張弾性率が30%以上であることを特徴とする請求項1記載の潜在捲縮性能を有する複合繊維。
  3. ポリエステル系エラストマー(A)の極限粘度が0.80~1.05であり、ポリエステル(B)の極限粘度が0.60~0.75であることを特徴とする請求項1または2記載の潜在捲縮性能を有する複合繊維。
  4. 請求項1からのいずれかに記載の潜在捲縮性能を有する複合繊維によって構成されることを特徴とする不織布。
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