JP7416905B2 - 銀粉及び銀粉の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、銀粉及び銀粉の製造方法に関する。
例えば導電性基板上に形成される導電パターンや基板の電極を形成するために、例えば導電性ペーストが用いられる。導電パターンなどは、導電性ペーストを所定のパターンや形状に塗布などした後、これを焼成して形成される。このような導電性ペーストは、例えば導電性微粒子として銀粉を用い、当該銀粉を分散媒と共にペースト状に分散して製造される(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、還元剤としてヒドロキノン等の多価フェノールを使用せず、平均粒子径が0.1μm以上、1μm未満であり、最大粒径Dmaxが、4μm以下である銀粉、及び当該銀粉の製造方法が記載されている。この銀粉の製造方法では、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えて銀粒子を還元析出させる。この銀粉の製造方法では、還元剤添加前の水性反応系に脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステルから選択される1種以上を添加し、かつ、還元剤添加後の水性反応系にキレート剤を添加する。この銀粉の製造方法では、銀イオンを含有する水性反応系において、液性に因らず水性反応系内に分散しやすいという理由により、キレート剤として、ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールのナトリウム塩、ベンゾトリアゾールのカリウム塩からなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましいとされている。
特許文献2には、銀アンミン錯体水溶液と還元剤とを混合する銀粉の製造方法が記載されている。この銀粉の製造方法は、銀アンミン錯体水溶液と還元剤との混合前に銀アンミン錯体水溶液にカルボキシル基を有する平均分子量1000以上の水溶性高分子を含む前添加剤を添加し、還元剤混合後のスラリーに脂肪酸およびその塩、アゾール類、界面活性剤、有機金属化合物、ならびにキレート剤から選ばれる表面処理剤を添加する。特許文献2には、この銀粉を樹脂及び溶剤(溶媒)と共に混合することで、導電性ペーストが得られることが記載されている。導電性ペーストを得る際の溶媒の一例として、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テキサノールが挙げられている。
特開2011-68932号公報 特開2017-206763号公報
例えば基板上での熱応力を緩和したり、耐熱性の低い樹脂基板などへの配線印刷を容易なものとすべく、低温で焼成可能な導電性ペーストのニーズが高まっている。焼成温度は、例えば200℃以下とすることが求められている。このようなニーズに対応すべく、低温焼成に適した銀粉及びその製造方法が求められている。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る銀粉の製造方法は、
銀アンミン錯体水溶液にアゾール類を添加して第一液を得るアゾール添加工程と、
前記第一液に還元剤を添加して第二液を得る還元剤添加工程と、
前記第二液に脂肪酸を添加して第三液を得る脂肪酸添加工程と、を含み、
前記脂肪酸は、二つ以上の二重結合を含む不飽和脂肪酸である。
本発明に係る銀粉の製造方法では、更に、
前記不飽和脂肪酸は、リノール酸又はリノレン酸を含んでもよい。
上記目的を達成するための本発明に係る銀粉は、
BET法に基づく比表面積が1.5m/g以上2.0m/g以下であり、
ブチルカルビトールアセテートを分散媒として用いてレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第一粒子径とし、イソプロピルアルコールを分散媒として用いて前記レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第二粒子径とした場合、
前記第一粒子径から前記第二粒子径を引いた差の値が負である。
上記目的を達成するための本発明に係る銀粉は、
BET法に基づく比表面積が2.5m/g以上3.0m/g以下であり、
ブチルカルビトールアセテートを分散媒として用いてレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第一粒子径とし、イソプロピルアルコールを分散媒として用いて前記レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第二粒子径とした場合、
第一粒子径から前記第二粒子径を引いた差の値が0.3μm未満である。
本発明に係る銀粉は、更に、
粒子表面にアゾール類及びリノール酸を含んでもよい。また、粒子表面にアゾール類及びリノレン酸を含んでもよい。
低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉及びその製造方法を提供することができる。
実施例1および比較例1の銀粉の粒度分布を示すグラフである。 実施例2および比較例2の銀粉の粒度分布を示すグラフである。 実施例3の銀粉の粒度分布を示すグラフである。 実施例4の銀粉の粒度分布を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る銀粉及びその製造方法について説明する。
以下で説明する銀粉及びその製造方法は、低温焼成が可能な、すなわち、低温焼成を行うことを前提に使用される導電性ペースト用の導電性フィラーとしての用途に適した銀粉及びその製造方法に係るものである。
まず、本実施形態に係る銀粉の製造方法の概要を説明する。特許文献2にも記載されているように、導電性ペーストには、ブチルカルビトールアセテート(以下、BCAと記載する場合がある)が溶剤(溶媒)として用いられることが多い。低温焼成は、例えば、導電性ペースト中の銀微粒子の小粒子径化や分散性向上により実現される。そこで、本実施形態に係る銀粉の製造方法は、一例としてBCAとの馴染みが良く、BCAに対して分散性の良い銀粉を提供することにより、低温焼成を実現することに着目したものである。
本実施形態に係る銀粉の製造方法は、銀アンミン錯体水溶液にアゾール類を添加して第一液を得るアゾール添加工程と、第一液に還元剤を添加して第二液を得る還元剤添加工程と、第二液に脂肪酸を添加して第三液を得る脂肪酸添加工程と、を含む。
脂肪酸添加工程において添加される脂肪酸は、二つ以上の二重結合を含む不飽和脂肪酸である。
不飽和脂肪酸は、リノール酸又はリノレン酸を含むことが好ましい。
本実施形態に係る銀粉の製造方法によれば、低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉及びその製造方法を提供することができる。また、特にブチルカルビトールアセテートとの馴染みが良く、導電性ペースト用の導電性フィラーとして用いるに適した、分散性の良い銀粉を提供することができる。
以下、本実施形態に係る銀粉の製造方法について詳述する。
銀アンミン錯体水溶液は、硝酸銀水溶液または酸化銀懸濁液などの原料液にアンモニア水又はアンモニウム塩を添加して生成したものを用いてよい。原料液又は銀アンミン錯体水溶液にはpH調整剤を添加してもよい。pH調整剤としては、一般的な酸や塩基を用いてよい。pH調整剤の一例は、硝酸や水酸化ナトリウムである。
アゾール添加工程は、銀アンミン錯体水溶液にアゾール類を添加して第一液を得る工程である。アゾール類の一例は、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、4H-1,2,4-トリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1H-1,2,3,4-テトラゾール、1,2,3,4-オキサトリアゾール、1,2,3,4-チアトリアゾール、2H-1,2,3,4-テトラゾール、1,2,3,5-オキサトリアゾール、1,2,3,5-チアトリアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール及びベンゾトリアゾール並びにこれらの塩である。これらを用いれば、導電性ペースト用の導電性フィラーとして好適な銀粉を得ることができる。以下では、本実施形態に係る銀粉の製造方法の一例として、アゾール類の塩であるベンゾトリアゾールナトリウム(以下、BTAと記載する場合がある)を用いる場合を例示して説明する。
アゾール添加工程におけるアゾール類の添加量は、銀に対して0.05wt%から3.0wt%とすることが好ましく、0.1wt%から1.0wt%とすることがより好ましい。アゾール類を還元剤添加前に添加する場合、アゾール類を添加する銀アンミン錯体水溶液のpHによって銀粉の比表面積が変化するため、上記のpH調整剤によるpH変化によって得られる銀粉の比表面積の値を制御することができる。例えばpH調整剤として銀アンミン錯体水溶液への硝酸の添加量を増やしてpHが低下すると、アゾール類の溶解度が低下して還元剤添加時における核発生が多くなり、結果として銀粉の比表面積が増加する。
還元剤添加工程は、第一液に還元剤を添加して第二液を得る工程である。還元剤の一例は、ヒドラジン、ヒドラジン化合物及びホルマリンである。これらを用いれば、導電性ペースト用の導電性フィラーとして好適な銀粉を得ることができる。
なお、第二液は、還元によって析出した銀微粒子を含むスラリー状である。還元剤添加工程では、銀微粒子の沈降を防止すべく、撹拌状態を維持することが好ましい。還元剤添加工程では、析出過程におけるスラリー状態の安定化のために、還元剤以外の添加剤、例えば界面活性剤が添加されることを排除しない。
還元剤添加工程においては、析出した銀微粒子にアゾール類が付着する。これにより、第二液中における銀微粒子の安定分散が実現されるものと考えられる。
脂肪酸添加工程は、第二液に脂肪酸を添加して第三液を得る工程である。なお、本実施形態における脂肪酸は、二つ以上の二重結合を含む不飽和脂肪酸である。不飽和脂肪酸は、直鎖脂肪酸であることが好ましい。不飽和脂肪酸は、直鎖で二重結合を二つ含むリノール酸又は直鎖で二重結合を三つ含むリノレン酸を含むことが特に好ましい。脂肪酸としてこのような脂肪酸を用いれば、本実施形態に係る銀粉の製造方法により得た銀粉を用いて製造した導電性ペーストの粘度が低下し、導電パターンや基板の電極を形成するための塗布や印刷に適したものとなる。また、導電性ペーストが低温焼成に適したものとなる。
脂肪酸添加工程における脂肪酸の添加量は、銀に対して0.05wt%から3.0wt%とすることが好ましく、0.1wt%から1.0wt%とすることがより好ましい。
脂肪酸添加工程では、添加された不飽和脂肪酸が銀微粒子の表面に吸着される。なお、脂肪酸添加工程では、不飽和脂肪酸の銀微粒子表面への吸着が終了するまでの過程におけるスラリー状態の安定化のために、不飽和脂肪酸以外の添加剤、例えば界面活性剤が添加されることを排除しない。
脂肪酸添加工程では、還元剤添加工程から継続される銀微粒子の安定分散により、不飽和脂肪酸が分散状態の銀微粒子の表面に対してむらなく吸着する。これにより、導電性ペースト化時において高分散、且つ、低粘度化を実現できる銀粉が得られる。
脂肪酸添加工程の終了後、第三液から銀粉のケーキを回収する洗浄回収工程を行う。洗浄回収工程では、スラリーを脱水し、また、銀粉のケーキを洗浄する。洗浄回収工程における洗浄は、例えば純水を用いて行ってよい。洗浄回収工程における脱水は、例えばデカンテーションやフィルタープレスにより行える。洗浄の終点は洗浄水の電気伝導度を用いて判定してよい。具体的には、洗浄水の電気伝導度が所定の値以下となった場合に洗浄終了を判定してよい。
洗浄回収工程の終了後、回収した銀粉のケーキを乾燥させる乾燥工程を行う。乾燥工程は、真空乾燥や、気流式の乾燥機を用いてよい。乾燥工程においては、ケーキや乾燥過程の銀粉に高圧空気流を吹き付けたり、ケーキや乾燥過程の銀粉を、撹拌ロータを有する撹拌機や粉砕ロータを有する粉砕機に投入して撹拌したりすることによって、ケーキや乾燥過程の銀粉に分散力を与えて、分散や乾燥を促す操作が行われてもよい。
なお、乾燥工程においては、銀粉の温度は100℃以下にするとよい。銀粉の温度が100℃を超えると、銀粉中の銀微粒子同士が焼結してしまう場合がある。
乾燥工程と同時に、又は、乾燥工程後には、銀粉の粒度分布を整えるための解砕、粉砕又は分級操作が行われてもよい。粉砕操作は、気流式や機械式の粉砕機で行ってよい。分級操作は、分級ロータや旋回流を用いた風力分級により行ってもよいし、慣性力分級や、篩操作によって行ってもよい。
本実施形態における銀粉の製造方法によって製造された銀粉は、少なくとも比表面積(以下では、SSAと記載する場合がある)と、湿式状態における粒度分布とが測定される。必要に応じて、強熱減量値(以下では、Ig-lossと記載する場合がある)を測定し、銀粉中の有機物量を評価する。また、必要に応じて、銀粉中のアゾール類の残留量、すなわち、銀微粒子への付着量を測定する。
銀粉の比表面積は、BET法で測定した比表面積を用いてよい。BET法による比表面積の測定は、これを実現する比表面積測定装置を用いてよい。本実施形態では、BET法による比表面積の測定装置として、株式会社マウンテック製のMacsorb HM-model 1210を用いて測定した値を用いた場合を例示して以下説明する。本実施形態では、比表面積の測定は、測定装置内に60℃で10分間He-N混合ガス(窒素30%)を通流して脱気した後、BET1点法により測定した値を用いる。
銀粉の粒度分布は、所定の分散媒に分散して、すなわち、湿式で、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布装置)を用いて測定した値を用いてよい。本実施形態では、レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置として、マイクロトラック・ベル株式会社製のマイクロトラック粒度分布測定装置MT-3300EXII(以下、単に粒度分布測定装置と記載する)を用いた場合を例示して以下説明する。
本実施形態において、銀粉の粒度分布は、体積基準で測定した値を用いる。メジアン径(累積50%粒子径、いわゆるD50)については、体積基準による値を採用する。
本実施形態における粒度分布の測定は、分散に用いる溶媒(以下、単に分散媒と記載する)として、イソプロピルアルコール(IPA)を用いた場合と、ブチルカルビトールアセテート(CAS No.124-17-4)を用いた場合と、の二つの場合について行う。
粒度分布の測定に際しては、まず、銀粉を解砕する。銀粉の解砕は、協立理工株式会社製のサンプルミルSK-M10を用いて行う。そして、解砕済みの銀粉0.1gを計量し、計量した銀粉を分散媒40mL中に分散させる。分散は、日本精機製作所製の超音波ホモジナイザー(型式:US-150T)で2分間撹拌して行う。その後、銀粉の分散液を粒度分布測定装置に投入して粒度分布を測定する。粒度分布の測定は、上述の通り、分散媒がイソプロピルアルコールの場合と、ブチルカルビトールアセテートの場合とについて行う。
銀粉の強熱減量値の測定は、銀粉試料を加熱した後の試料の質量の減少量に基づいて行う。本実施形態では、まず、銀粉試料を精密に秤量(秤量値:w1)して磁性るつぼに入れ、800℃まで加熱する。そして、恒量になるのに十分な時間として800℃で30分間加熱する。その後、冷却し、再度秤量(秤量値:w2)する。そして秤量値w1、w2を次式(式1)に代入し、強熱減量値を求める。本実施形態では、秤量値w1は2gである場合を例示して以下説明する。
強熱減量値(質量%)=(w1-w2)/w1×100・・・(式1)
銀粉中のアゾール類(本実施形態ではBTA)の残留量、すなわち、アゾール類の銀微粒子の表面への付着量は、銀粉を塩酸水溶液で洗浄し、洗浄液について吸光光度法による定量分析を行うことにより求めてよい。本実施形態では、銀粉を0.2g秤量し、以下の手順により塩酸水溶液で洗浄及び吸光光度法による定量分析を行って求めた値を用いる。まず、濃塩酸(関東化学株式会社製、特級)を純水で希釈して、18質量%の塩酸水溶液を調製する。次に、銀粉0.2gと塩酸水溶液20mLを100mLガラス製ビーカーに入れ、加熱し沸騰させる。沸騰開始後、15分間加熱を継続して沸騰状態を維持する。加熱中は溶液が蒸発乾固しないように、加熱前の液量を超えない範囲内で18質量%の塩酸水溶液を添加する。加熱終了後、溶液を25℃まで冷却後、濾過し、その濾液の液量が20mLになるように、18質量%の塩酸水溶液を添加して定容化し、吸光光度法による測定試料溶液を調製する。
更に、測定試料溶液の吸光度を分光光度計(日立製作所製、U-3210)で測定し、272.8nm±0.5nmにピーク波長のあるピークの吸光度を測定する。アゾール類の濃度と吸光度との関係についてはあらかじめ検量線を求めておき、この検量線と、測定試料溶液の吸光度の値とから、濾液中のアゾール類の濃度を求め、この濃度、濾液の液量及び銀粉の秤量値に基づいて、銀粉表面に付着するアゾール類の量(質量%)を求める。
銀粉に付着する脂肪酸の種類を確認する定性分析は、銀粉を加熱して銀粉表面から有機物を蒸発などにより脱離させ、脱離した有機物を含む気体に対してガスクロマトグラフ質量分析計(いわゆるGC-MS)を用いることでの定性分析により求めることができる。銀粉に付着する脂肪酸の付着量は、上記の強熱減量値から銀粉中のアゾール類(本実施形態ではBTA)の残留量を差し引いた分を、脂肪酸の付着量であるとみなしても良い。もしくは、銀粉中の有機物(本実施形態では特に脂肪酸)の残留量、すなわち、有機物の銀微粒子の表面への付着量は、銀粉を加熱して銀粉表面から有機物を蒸発などにより脱離させ、脱離した有機物を含む気体をガスクロマトグラフ質量分析計(いわゆるGC-MS)で定量分析を行うことにより求めてよい。脂肪酸の付着量は、銀に対して0.1wt%~1.0wt%の範囲内であれば良い。本実施形態では、銀粉中の(銀微粒子表面の)有機物の定性分析と付着量の分析は、パイロライザー(EGA/Py-3030D、Frontier Lab社製)を用いて銀粉を300℃に加熱し、銀微粒子表面より脱離した有機物をGC-MS(7890A/5975C、Agilent Technologies社製)を用いて同定した値を用いることができる。
本実施形態における銀粉は、導電性ペースト用の導電性フィラーの用途に適している。本実施形態における銀粉を用いた導電性ペーストの製造は、この銀粉を、基材とする樹脂及び溶剤に分散することにより行う。
分散に用いる樹脂の一例は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、エチルセルロースである。樹脂は、2種以上を同時に用いてもよい。
分散に用いる溶剤、すなわち分散媒の一例は、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テキサノールである。溶剤は、2種以上を同時に用いてもよい。なお、本実施形態における銀粉は、特に、ブチルカルビトールアセテートを含む分散媒による分散に適している。
導電性ペーストの製造、すなわち、分散や混錬には、超音波分散、ディスパー、三本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、二軸ニーダー、自公転式攪拌機などを用いてよい。
本実施形態の銀粉を用いた導電性ペーストは、基板上への導電パターンの形成や、電極の形成に適している。本実施形態の銀粉を用いた導電性ペーストは、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、フォトリソグラフィ法などにより基板上に印刷することで、導電パターンや電極(以下、包括して導電パターン等と記載する場合がある)を形成できる。
上述のごとく、導電性ペーストは、近年、低温焼成に適したものが要請される。低温焼成は、導電性ペースト中の銀微粒子の小粒子径化や分散性向上により実現される。銀微粒子の分散性向上は、例えば銀微粒子の小粒子径化と共に、銀微粒子の粒子の表面物性のコントロールにより実現される。銀微粒子の粒子の表面物性のコントロールは、銀微粒子の粒子表面に付着させる添加剤の種類や量の調整、付着状態の制御などにより行える。これらの調整や制御は、銀微粒子の析出過程における、各種の添加剤(本実施形態では、アゾール類、還元剤及び脂肪酸)の添加の順序や添加量、濃度や温度の調整や制御により行える。
銀微粒子の粒子径が小さくなると、導電性ペーストの粘度が上昇する場合がある。しかし、電子部品の小型化、導体パターン等の高密度化、ファインライン化等に対応するため、塗布性の観点からは、導電性ペーストの低粘度化が要請されている。導電性ペーストの粘度は、例えば回転式粘度計によって測定する。
焼成後の導電ペースト、つまり、導電パターン等は、比抵抗(体積抵抗率)の小さいものであることが前提として要請される。すなわち、低温焼成可能とは、低温焼成によって導電パターン等が適切に形成可能であると共に、当該導電パターン等の比抵抗を適切に小さくできることを意味する。抵抗の小さい導電性ペーストは、導電性ペースト中において分散性の高い銀粉を導電性フィラーとして用いた場合に実現できると考えられる。このような銀粉は、塗布などした際に銀微粒子同士が緻密に配列し、粒子間に空隙が生じにくく、焼結後においても緻密な導電パターンを形成可能であるためである。なお、導電性ペーストの粘度の測定と比抵抗の測定とは、以下のようにして行える。
導電性ペーストの粘度は、回転式の粘度計によって測定した値を用いることができる。本実施形態では、粘度計としてブルックフィールド製DV-IIIを用い、以下の条件で粘度を測定する。本実施形態におけるブルックフィールド製DV-IIIを用いた粘度の測定においては、回転ロータにはCP-52コーンを用いる。測定温度は25℃とし、ロータの回転数は1rpmとする。粘度の値は、ロータを5分間回転させた時点の値を採用する。
比抵抗は、所定形状の導電性ペーストの膜を形成し、更にこれを焼成して導電パターンとしての導電膜を得て、当該導電膜の抵抗値に基づいて求めた値を採用してよい。本実施形態において比抵抗は、以下の手順で測定した値を用いる。まず、評価対象の銀粉を用いて導電性ペーストを製造する。そして、この導電性ペーストを用い、スクリーン印刷機(マイクロテック社製MT-320T)で、スキージ圧0.18MPaとして、幅500μmで長さ37.5mmのラインパターンをアルミナ基板上に印刷して導電性ペーストの膜を形成する。そして、この膜を、大気循環式乾燥機を用い、200℃で10分間又は120℃で30分間加熱硬化(焼成)して導電膜を形成する。この導電膜について、表面粗さ計(東京精密株式会社製サーフコム480B-12)を用い、アルミナ基板上で膜を印刷していない部分と導電膜の部分との段差を測定して導電膜の平均厚みを測定する。加えて、デジタルマルチメーター(株式会社エーディーシー製 7451A)を用い、導電膜の抵抗値を測定する。そして、導電膜のサイズ(膜厚、幅、長さ)に基づいて導電膜の体積を求め、この体積と測定した抵抗値から、比抵抗を求める。本実施形態では、比抵抗は、次式2を用いて求める。
比抵抗(Ω・cm)=抵抗値(Ω)×膜厚(cm)×幅(cm)/長さ(cm)・・・(式2)
以下では、本実施形態における銀粉の実施例について説明する。
(実施例1)
まず、銀を45.3g含有する硝酸銀水溶液3375gに、60質量%硝酸水溶液を3.3g添加し、更に、濃度28質量%の工業用アンモニア水76.5g(銀1モルに対しアンモニア1.5モル当量に相当する)を加えて、銀アンミン錯体水溶液を得た。
次に、銀アンミン錯体水溶液の液温を35℃に調整した。その後、撹拌しながら、アゾール類として、1.1質量%のベンゾトリアゾールナトリウム水溶液を20.57g添加(ベンゾトリアゾールナトリウムを銀に対して0.5質量%添加)して第一液を得た。その後、第一液に還元剤として、濃度80質量%の含水ヒドラジン12.5gを純水130.2gで希釈した水溶液加え、銀微粒子を含むスラリーを第二液として得た。
更に、第二液に対し、リノール酸(富士フイルム和光純薬製、純度88質量%)をAg量に対して外割で0.6重量%添加して撹拌し、第三液を得た。なお、リノール酸は、純度88質量%のものを所定量秤量し、これをエタノールで10倍に希釈した溶液を添加に用いた。
その後、第三液の撹拌を止めて銀微粒子を沈降させ、この銀微粒子が沈殿した第三液を濾過及び通水洗浄した。通水洗浄は、洗浄液の電気電導度が0.5mS/m以下になるまで行った。濾過後のケーキは73℃で真空乾燥させ、更に協立理工株式会社製のサンプルミルSK-M10を用いて解砕した。これにより、乾燥状態の銀粉を得た。
(実施例2)
実施例2では、銀アンミン錯体水溶液を得るに際して添加する60質量%硝酸水溶液の添加量を17.6gに変更した点と、銀アンミン錯体水溶液に、アゾール類として0.55質量%のベンゾトリアゾールナトリウム水溶液を20.57g添加(ベンゾトリアゾールナトリウムを銀に対して0.25質量%添加)した以外は実施例1と同様にして銀粉を得た。
(実施例3)
実施例3では、銀アンミン錯体水溶液を得るに際に使用する60質量%硝酸水溶液を添加しない点と実施例1で用いたリノール酸をリノレン酸(富士フイルム和光純薬製、純度60質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして銀粉を得た。なお、リノレン酸は、純度60質量%のものを所定量秤量し、これをエタノールで10倍に希釈した溶液を添加に用いた。
(実施例4)
実施例4では、銀アンミン錯体水溶液を得る際に使用する60質量%硝酸水溶液の添加量を23.5gに変更した点のみ実施例3と異なり、その他は実施例3と同様にして銀粉を得た。
(比較例1)
比較例1は、実施例1で用いたリノール酸をステアリン酸エマルション(純度12質量%)に変更した以外は実施例1と同様にして銀粉を得た。なお、ステアリン酸エマルションは、銀に対してステアリン酸量が0.6重量%となるように、水で10倍に希釈した溶液を添加に用いた。
(比較例2)
比較例2では、銀アンミン錯体水溶液を得るに際し添加する60質量%硝酸水溶液の添加量を23.5gに変更した点のみ比較例1と異なり、その他は比較例1と同様にして銀粉を得た。
実施例1から4及び比較例1,2の銀粉について、SSA、Ig-loss、BTAの残留量及び粒度分布を測定した。これらの測定結果を表1に示す。なお、表1中、D50BCAは、ブチルカルビトールアセテートを粒度分布測定時の分散媒として用いた場合のメジアン径(第一粒子径の一例)である。また、D50IPAは、イソプロピルアルコールを粒度分布測定時の分散媒として用いた場合のメジアン径(第二粒子径の一例)である。また、BCA-IPAは、D50BCAの値からD50IPAを引いた、差の値である。更に、図1から図4に、実施例1から4及び比較例1,2の銀粉の粒度分布のグラフを示す。なお、図1から図4中、実施例1(IPA)などの表記は、イソプロピルアルコールを粒度分布測定時の分散媒として用いた場合の粒度分布を意味し、実施例1(BCA)などの表記は、ブチルカルビトールアセテートを粒度分布測定時の分散媒として用いた場合の粒度分布を意味する。
Figure 0007416905000001
更に、実施例1から4及び比較例1,2の銀粉を用い、後述するペースト条件1で導電性ペーストを調製し、ペーストの粘度を測定した。
また、実施例1から4及び比較例1,2の銀粉を用い、後述するペースト条件2で導電性ペーストを調製し、比抵抗を測定した。
(ペースト条件1)
まず、評価対象の銀粉と、評価対象の銀粉と共にフィラーとして用いる銀のフレーク粉(DOWAハイテック株式会社製 FA-S-20)とを、重量比で3:7となるように混合し、混合銀粉を得る。そして、混合銀銀粉を91.04重量部、第一のエポキシ樹脂(ADEKA製EP4901E)を3.83質量部、第二のエポキシ樹脂(三菱ケミカル製JER1009)を0.96質量部、硬化剤(和光純薬製 三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体)を0.24質量部及び溶剤(BCA:ブチルカルビトールアセテート)を3.93質量部取り分けて、これらをプロペラレス自公転式撹拌脱泡装置(株式会社EME製のVMX-N360)に投入し、1200rpmで30秒撹拌し混合した後、混合物を3本ロール(EXAKT社製の80S)を用いて、ロールギャップを100μmから20μmまで通過させて混練し、導電性ペーストを得る。
(ペースト条件2)
まず、評価対象の銀粉と、評価対象の銀粉と共にフィラーとして用いる銀のフレーク粉とを、重量比で4:6となるように混合し、混合銀粉を得る。そして、混合銀粉を92.60重量部、第一のエポキシ樹脂(ADEKA製EP4901E)を3.90重量部、第二のエポキシ樹脂(三菱ケミカル製JER1009)を0.98重量部、硬化剤(和光純薬製 三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体)を0.24質量部、及び溶剤(BCA:ブチルカルビトールアセテート)を2.28重量部取り分けて、これらをプロペラレス自公転式撹拌脱泡装置(株式会社EME製のVMX-N360)に投入し、1200rpmで30秒撹拌し混合した後、混合物を3本ロール(EXAKT社製の80S)を用いて、ロールギャップを100μmから20μmまで通過させて混練し、粘度調整前の導電性ペーストを得る。更に、粘度調整前の導電性ペーストにBCAを必要量添加し、粘度が300Pa・sに調整された粘度調整後の導電性ペーストを得る。導電性ペーストの粘度調整は、粘度調整前の導電性ペーストにBCAを少量ずつ加えながら、逐次粘度を測定することにより行う。
ペースト条件1で調製した導電性ペーストの粘度の測定値と、ペースト条件2で調製した導電性ペーストを用いて形成した導電膜の比抵抗の値とを、表2に示す。比抵抗の値については、加熱硬化、すなわち焼成の条件が200℃で10分間の場合と、120℃で30分の場合とを示す。
Figure 0007416905000002
表2に示される通り、実施例1、3に係る導電膜の比抵抗は、比較例1に係る導電膜の比抵抗に比べて有意に低く、実施例2、4に係る導電膜の比抵抗は、比較例2に係る導電膜の比抵抗に比べて有意に低い。特に、低温焼成の条件下(120℃で30分)の場合において、実施例1から4に係る導電膜の比抵抗は、比較例1のそれに比してきわめて小さな値となっている。この結果から、実施例1から4に係る銀粉は、低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉であることがわかる。
実施例1および3の導電性ペーストの粘度は、比較例1の導電性ペーストの粘度よりも粘度が低い。粘度は比表面積の大きさに影響を受けるため比表面積の値が同程度のもので比較する必要があり、実施例2および4の導電性ペーストの粘度は比較例2の導電性ペーストの粘度よりも粘度が低い。この結果より、実施例1から4の導電性ペーストは、電極などの導電膜形成時における塗布性に優れていると判断できる。具体的には、塗布装置のノズルからペーストを吐出する際のノズル詰まりが生じにくく、導電膜のパターン(電極パターン)を細線化した場合にも断線を引き起こしにくいと考えられる。
このように、実施例の銀粉が比較例の銀粉に比して低温焼成可能な導電性ペースト用の導電性フィラーとして適したものとなるのは、実施例に係る銀粉がBCAとの馴染みが良く分散性の良いものであるためと考えらえる。
表1及び図1、3によれば、SSAが1.5m/g以上2.0m/g以下である場合(実施例1,3及び比較例1)、比較例1のD50BCA及びD50IPAはそれぞれ大差ない値であり、BCA-IPAは正の値となっている。これに対し、実施例1,3のD50BCAはD50IPAに比べて有意に小さい値となっており、BCA-IPAが負の値となっている。これはすなわち、実施例1および3の銀粉は、BCAとの馴染みが良く、BCAに対して分散性の良い銀粉であることを示していると考えられる。
また表1及び図2、4によれば、SSAが2.5m/g以上3.0m/g以下である場合(実施例2,4及び比較例2)、比較例2のD50IPAは十分に小さい値であるにも関わらず、D50BCAは逆に大きな値となっており、BCA-IPAは0.3μmを超えている。これに対し、実施例2,4のD50BCAはD50IPAよりもやや大きな値となるものの、BCA-IPAは0.3μm未満に過ぎないものとなっている。これはすなわち、実施例2,4の銀粉は、BCAとの馴染みが良く、BCAに対して分散性の良い銀粉であることを示していると考えられる。
このように本実施形態に係る銀粉(実施例1から4の銀粉)は、SSAの大小にかかわらずBCAにより馴染みやすく分散性の高いものとなっている。
以上の結果から、本実施形態に係る銀粉の製造方法により製造された銀粉は、低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉であることがわかった。
また、以上の結果から、本実施形態に係る銀粉の製造方法により製造された銀粉は特にBCAとの馴染みが良く、BCAを溶剤として用いた導電性ペースト用の導電性フィラーとしての用途に特に適していると考えられる。例えば、本実施形態に係る銀粉の製造方法により製造された銀粉を導電性フィラーとして用いれば、特に導電性ペーストの溶剤をBCAとする場合に導電性ペーストの低粘度化が可能となり、導電性ペーストの基材とする樹脂や添加剤の選択の自由度が高くなるメリットも得られると考えられる。
また、以上の結果から、BET法に基づく比表面積が1.5m以上2.0m以下であり、ブチルカルビトールアセテートを分散媒として用いてレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第一粒子径とし、イソプロピルアルコールを分散媒として用いてレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第二粒子径とした場合、第一粒子径から第二粒子径を引いた差の値が負である銀粉は、低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉であることが分かった。
同様に、以上の結果から、BET法に基づく比表面積が2.5m以上3.0m以下であり、ブチルカルビトールアセテートを分散媒として用いてレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第一粒子径とし、イソプロピルアルコールを分散媒として用いてレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第二粒子径とした場合、第一粒子径から第二粒子径を引いた差の値が0.3μm未満である銀粉は、低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉であることが分かった。
なお、実施例、比較例の銀粉中の銀微粒子表面にある有機物を、GC-MSを用いて分析したところ、本実施形態に係る銀粉(実施例1から4の銀粉)においてはBTAと共に脂肪酸として実施例1、2はリノール酸が付着しており、実施例3、4はリノレン酸が付着していることが分かった。脂肪酸の付着量については定量していないが、実施例1から4の銀粉においては、BTAの添加量に対してBTAの残留量が0.03wt%から0.09wt%と少ないことから、強熱減量値からBTAの残留量を差し引いた分の大部分は、脂肪酸の付着量であると考えることができる。脂肪酸は、本実施例・比較例においては、銀に対して0.5wt%から0.7wt%付着していると考えられる。
このように、本実施形態に係る銀粉は、粒子表面にアゾール類及びリノール酸またはリノレン酸が付着し、粒子表面にアゾール類及びリノール酸またはリノレン酸を含むものとなっている。本実施形態に係る銀粉は、これにより、BCAとの馴染みが良く、BCAに対して分散性の良いものとなっていると考えられる。
なお、銀微粒子表面にある有機物のGC-MSによる定性分析は、以下の手順で行った。まず、パイロライザー(EGA/Py-3030D、Frontier Lab社製)を用い銀粉を300℃に加熱した。そして、銀微粒子表面より脱離した有機物をGC-MS(7890A/5975C、Agilent Technologies社製)を用い分析した。
以上のようにして、低温焼成が可能な導電性ペーストの導電性フィラーに適した銀粉及びその製造方法を提供することができる。
なお、上記実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、銀粉及びその製造方法に適用できる。

Claims (2)

  1. BET法に基づく比表面積が2.5m/g以上3.0m/g以下であり、
    ブチルカルビトールアセテートを分散媒として用いてレーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第一粒子径とし、イソプロピルアルコールを分散媒として用いて前記レーザ回折・散乱式粒子径分布測定装置により計測した体積基準のメジアン径を第二粒子径とした場合、
    第一粒子径から前記第二粒子径を引いた差の値が0.3μm未満であり、
    粒子表面にアゾール類及び、リノール酸又はリノレン酸を含む銀粉。
  2. 請求項1に記載の銀粉の製造方法であって、
    銀アンミン錯体水溶液にアゾール類を添加して第一液を得るアゾール添加工程と、
    前記第一液に還元剤を添加して第二液を得る還元剤添加工程と、
    前記第二液に脂肪酸を添加して第三液を得る脂肪酸添加工程と、を含み、
    前記脂肪酸は、二つ以上の二重結合を含む不飽和脂肪酸であり、
    前記不飽和脂肪酸は、リノール酸又はリノレン酸を含む銀粉の製造方法。
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