JP4363340B2 - 導電性銀ペースト及びそれを用いた電磁波シールド部材 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器等に用いられ、特に回路形成や電磁波シールド材料等に使用される導電性銀ペースト及びそれを用いた電磁波シールド部材に関する。

従来の導電性ペーストは、その用途によりカーボンブラックやグラファイト粉、貴金属粉、銅粉、ニッケル粉、アルミニウム粉等を樹脂と溶剤に混合してペースト状にし、これをフィルムや基板上に塗布、印刷等でパターン形成し、樹脂を固化することにより、回路形成する。特に、最近の電子部品のコンパクト化、軽量化に伴い、このような回路形成には、微小で且つ高導電性である導電性ペーストが要求されている。そのため、高導電性であり且つ微小な回路形成が可能な、導電性銀ペーストが注目されている。

導電性銀ペーストにおける組成には、銀粉の形状は制限がなく、粒状、鱗片状、板状、樹枝状、粟状、サイコロ状などを使用し、その大きさが0.1〜100μmのものを使用する開示がある(特許文献1参照)。そして、バインダーとして使用する樹脂には飽和共重合ポリエステル樹脂と硬化剤としてブロックイソシアネートを使用するとしている。
また、別の技術開示では、銀粉にはフレーク状(鱗片状)、球状、樹枝状(デンドライト状)などを用い、繊維素誘導体、有機樹脂で構成する開示もある(特許文献2参照)。

また、導電性ペーストは電磁波シールド材料としても使用されている(特許文献3参照)。特に、最近は情報の高速伝達のために、より高周波帯域の周波数を用いるようになってきており、今まで以上の電磁波シールド特性を持つ導電性ペーストが要求されている。
特開平1−159906号公報、(第2頁右上欄) 特開2002−260442号公報、(0009−0013) 特開2001−279102号公報

前記の特許文献におけるペーストを用いてなる回路の導電性は、粒子の充填性が不十分なため、銀固有の導電性に比べ不十分と言える。一部高導電性の例があるが、大きな粒子を使用しているため微小化する回路形成には不向きである。また、基材との密着性も十分とは言い難い。

本発明は、銀粉末、バインダー樹脂及び溶剤を含む導電性銀ペーストであって、前記銀粉末が平均粒径が0.5μm〜20μmの銀粒子(A)と、一次粒子の平均粒径が50nm以下の球状銀粒子(B)を主成分とし、混合比(重量比)が(A):(B)=99:1〜80:20の範囲にあることを特徴とする導電性銀ペーストである。本発明によれば、比較的安価に、且つ従来の鱗片状銀粉のみを用いた導電性銀ペーストより格段に高導電性の回路を作成できる。

本発明の特徴の一つは、従来用いられる鱗片状銀粒子のみでの導電性を、少量のナノサイズの球状銀粒子を添加することにより、大幅に導電性を改良できる点である。このメカニズムは、比較的粒径の大きい銀粒子(A)のみでは充填できないわずかな隙間を、ナノサイズの球状銀粒子(B)が充填し、焼結可能な温度を引き下げる効果(久保効果と称される)を有するため、導電性ペースト内での銀粒子同士の接触抵抗を大幅に改善出来るものである。

従って、銀粒子(A)と球状銀粒子(B)の大きさを適切な範囲の組み合わせとすることで、その効果をより発揮できる。前記久保効果を発揮するサイズは200nm程度以下であるが、焼結の温度をより引き下げるには、より微小な球状粒子を用いるのが好ましい。本発明では、球状粒子の一次粒子径が50nm以下としているが、50nm〜200nmの間においても前記久保効果による焼結温度を引き下げる現象はある。特に導体回路を形成する温度で焼結が進行するためには、球状粒子(B)の一次粒子径が50nm以下であると良い。さらに好ましくは、球状粒子(B)の一次粒子径が10nm〜30nmの範囲にあるとよい。なお、球状粒子(B)の一次粒子径が1nm以下では、取り扱いが困難となるため、使用上好ましくない。

本発明に用いる銀粒子(A)は、平均粒径が0.5μm〜20μmの範囲にある必要がある。平均粒径が0.5μm以下では、組み合わせて使用する球状粒子(B)の必要量が増加するため、コスト高になる。また平均粒径が20μmを超えると、微細な回路形成において粒度が粗いため回路の形成精度が低下する。また粒径分布においては、極端に大きな粒径のものを含まないものを使用することが好ましい。最大粒径が20μm〜50μmの範囲にあれば使用できる。更に好ましい銀粒子(A)の平均粒径の範囲は2μm〜10μmである。またこの範囲内で粒径の異なるものを組み合わせて使用しても良い。

本発明に使用する銀粒子(A)の形状は特に限定されないが、球状、鱗片状などのものが使用できる。導電性を考慮すると、鱗片状粒子を使用することが好ましい。

銀粉末における球状粒子(B)は一次粒子径が50nm以下の粒径であれば使用できるが、比表面積が大きいため、表面活性が大きい。それ故、表面保護及び2次凝集を抑えるために、球状粒子(B)の表面が有機物で被覆されているものを用いるのが好ましい。
これらの有機物には、塩素(Cl)、燐(P)、硫黄(S)のいずれの元素も実質的に含まないものを使用するのが好ましい。前記元素を含むと、この導電性ペーストを用いて回路形成した後に、腐食やマイグレーション等の問題を起こす可能性がある。更に不純物元素として塩素以外のハロゲン元素(F,Br等)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)を含まないとより好ましい。具体的には、有機物としてポリカルボン酸、ポリアクリル酸等を用いることができる。

球状銀粒子(B)は、一次粒子径が1μm以上のものを含有する場合、その量が個数換算で1%以下であるものを選択するのが良く、一次粒子径が1μm以上のものを個数換算で1%を超えて含有すると、鱗片状粒子との結合構成が不安定な部分を多く含むようになるため、導電性が低下の傾向になる。

ここで、粒子径とは、個々の粒子の最大径とし、その平均値を平均粒子径としている。計測には走査型電子顕微鏡(SEM)等を用いて計測する。また、個数換算含有率%については、前記SEM等の画面における全ての粒径と粒子数を計測し、該当直径を有する粒子数を全体の粒子数で割って百分率で表現するものである。

銀粒子(A)と球状銀粒子(B)の混合比(重量比)は、(A):(B)=99:1〜80:20の範囲にあると良い。混合比が(A):(B)=99:1を超えて(A)が増加すると、組み合わせ効果が減少し、導電性が銀粒子(A)単体のデータに近づく。(A):(B)=80:20を超えて(B)が増加すると、導電性には大きな変動は無いが、球状粒子(B)の増量により、コスト高となるため、好ましくない。更に好ましい混合比は(A):(B)=99:1〜90:10である。

なお、本発明に用いる銀粒子(A)は市販されているものを利用できる。一方の一次粒子径が50nm以下の球状銀粒子(B)は、例えば以下のようにして作製できる。
硝酸銀を水と低級アルコールの混合溶剤に溶解し、アンモニア水でpHを11以上に調整する。これに還元剤としてL−アスコルビン酸と分散剤としてポリアクリル酸を前記混合溶剤に溶解したものを加え、30℃以下の温度で撹拌することにより銀粒子が析出する。析出した銀粒子は、分散剤により2次凝集を抑えられた状態で濾過、洗浄、乾燥して得られる。銀粒子の平均粒子径は、pH、温度、各素材の濃度、混合の仕方等で変更できる。

上記の工程を経て作成される銀の球状粒子(B)は、特に反応工程で分散剤を用いることにより、生成された銀の粒子の表面が分散剤で被覆された状態で得られる。生成段階で分散剤が銀の粒子の表面を被覆した状態となるため、外気の影響を受けにくく、且つ銀の粒子同士が2次凝集しにくい状態となる。たとえ凝集しても、分散剤が介在するため、有機溶剤等で簡単に凝集を破壊できる。また、樹脂への分散性も好ましい。

以上の金属粒子を組み合わせることにより、微小な回路形成を印刷等で形成し、溶剤を除去し、樹脂を硬化させる際に銀粒子(A)の間に存在する球状粒子(B)の一部が焼結し、銀粒子(A)と結合するため、導電性の良い回路形成が可能となる。

上記銀粉末とバインダー樹脂の配合比率は、銀粉末:ポリエステル樹脂=85:15〜95:5の範囲であると、基材との接着性も良く、導電性に支障無く使用できる。より好ましくは銀粉末:樹脂=90:10〜93:7の範囲が良い。銀粉末が95部を超えると導電性ペーストの流動性が低下し、また樹脂と銀粉末の密着力(凝集力)が弱くなり、塗工後の導電性ペースト中に空隙が入ることで、印刷性や接着性の低下に影響する。銀粉末が85部未満の場合は、銀粉末同士の接触が減少し、焼結硬化が得られにくく成る傾向にある。更に導電性ペースト中に銀粉末、バインダー樹脂以外の固形添加物(例えばカーボンやシリカフィラー等)を加えることも可能であるが、この場合は、銀粉末の配合量は体積比で全固形成分中の50%〜70%とするのが好ましい。

バインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等を使用することができる。導電性ペーストの耐熱性を考慮すると熱硬化性樹脂を使用することが好ましく、またフレキシブルプリント配線板やフィルム材料等の柔軟な材料に塗布し、屈曲性が必要とされる用途に使用する場合は耐熱性と柔軟性を両立できるポリエステル樹脂を使用することが好ましい。

上記ポリエステル樹脂としては、市販のポリエステル樹脂が利用できる。好ましくは、熱可塑性飽和型共重合ポリエステル樹脂を用いるとよい。その中でも、平均分子量が2000〜40000の範囲に有るものが好ましく使用できる。これは、導電性ペーストとして使用する際、印刷されるシートにポリエステル樹脂シートを用いることが多く、回路形成後、シートに対する接着性や、シートの屈曲等に追随しやすいためである。もちろん、2種以上のポリエステル樹脂を組み合わせて用いることも可能であり、硬化剤を加えることにより、熱硬化型樹脂として用いると、回路形成後の耐熱性が向上するため好ましい。

バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、更に硬化剤を使用してポリエステル樹脂を硬化架橋することが好ましい。このような硬化剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等が好ましく使用できる。そして導電性ペーストとしての貯蔵安定性、硬化時の反応性等からブロック化されたブロックイソシアネートを用いるのがより好ましい。ブロック剤には、アルコール類、フェノール類、酸アミド類、オキシム類、活性メチレン類の中から選択すると良い。さらに、有機スズ化合物等の硬化触媒を併用することも可能である。

本発明に用いる溶剤は、前記バインダー樹脂を溶解可能であるもので有れば問題はないが、好ましくは、エステル系、エーテル系、ケトン系、エーテルエステル系、アルコール系、炭化水素系、アミン系の有機溶剤を使用するのがよい。そして、導電性ペーストを印刷による回路形成に用いるため、印刷性の良い高沸点溶剤が好ましく、具体的にはカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどが特に好ましい。またこれらの溶剤を数種類組み合わせて使用することも可能である。

また、本発明の導電性銀ペーストには、印刷作業性向上のため、増粘剤、レベリング剤等の添加物を加えることもできる。更に本発明の性能を損なわない範囲で、カーボンやシリカ等の無機フィラーを添加することも可能である。これらの材料を3本ロール、回転撹拌脱泡機などにより混合、分散して均一な状態とし、導電性銀ペーストを作製する。

さらに本発明は、これらの導電性銀ペーストを塗布したことを特徴とする電磁波シールド部材を提供する。その一態様として、導電性銀ペーストを塗布した電磁波シールドフィルム(請求項10)、導電性銀ペーストをフレキシブルプリント配線板の片面もしくは両面に塗布したことを特徴とする電磁波シールドフレキシブルプリント配線板、及び導電性銀ペーストを塗布した電磁波シールド筐体が挙げられる。導電性ペースト中の金属粉末を最適な組み合わせとすることで電磁波シールド特性に優れた電磁波シールド材料を提供することが可能となる。

導電性ペーストの塗布厚みは特に制限されないが、10μm〜50μmの範囲とすることが好ましい。厚みが10μm以下であると望ましい電磁波シールド特性が得られない反面、厚みを50μm以上とすると、シールド層の柔軟性が悪くなり、屈曲特性が低下したり、コスト高となるからである。

導電性ペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷、凹版印刷、平板印刷、ディスペンサー等が例示される。形成される配線の精細性、膜厚、また生産性の点から、スクリーン印刷が最も好適に用いられる。これらの方法でフィルム、フレキシブルプリント配線板、筐体等の基材上に導電性ペーストを印刷・塗布した後、加熱硬化して電磁波シールド層を形成する。

本発明による導電性ペーストは、比較的粒径の大きい銀粒子(A)とナノサイズの球状銀粒子(B)を組み合わせることにより、大幅に回路形成後の導電性を良くする。また、従来の回路ピッチからよりファインピッチに進む回路形成においても、信頼性のある回路を形成できる導電性ペーストであり、更に優れた電磁波シールド特性を示す。

次に発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。ただし本発明の範囲は実施例にのみ限定されるものではない。

分子量30000のポリエステル樹脂1をブチルカルビトールアセテートに溶解し、樹脂分濃度33%の溶液を作成した。この中に球状粒子(B)に相当する一次粒子の平均径が30nmのナノサイズ球状銀粒子を加え回転撹拌脱泡機を用いて均一に混合した。ナノサイズ球状銀粒子は、最大径が0.4μmで、1μmを超える粒子は無かった。また、粒子の表面には粒子作成時に使用した分散剤が有機物として約3重量%付着していると判断される。

均一に混合した後、銀の鱗片状粒子(A)として平均粒径3.8μmの鱗片銀1及び平均粒径7.1μmの鱗片銀2と硬化剤としてブロックイソシアネート1(ヘキサメチレンジイソシアネート)を加えさらに混合し、均一と判断した後、溶液を三本ロールに通し、導電性ペーストを作成した。なお、最終配合比率は表1に示す。

得られた導電性ペーストを用いて、ポリエステルフィルム上に仕上げ厚み100μmとなるように塗布し、恒温槽で150℃、30分加熱乾燥し、樹脂を硬化させたサンプルを作成した。このサンプルでJIS K 7194に準拠する低抵抗率計(三菱化学製、商品名;ロレスタGP)を用いて4探針法による抵抗評価をした。結果を表1に付記する。また、このサンプルは基材との密着性には問題はなかった。さらに、50μmピッチの回路パターンを印刷した模擬回路を作成しても、折り曲げ等に対しても特に問題は起こらなかった。
別途、前記模擬回路を作成し、85℃85%の恒温高湿槽中に1000時間放置し、抵抗変化率を調べたところ、−15%であり、外観上の異常は見あたらなかった。

分子量34000のポリエステル樹脂2及び分子量22000のポリエステル樹脂3をブチルカルビトールアセテートに溶解し、樹脂分濃度36%の溶液を作成した。この中に球状粒子(B)に相当する一次粒子の平均径が30nmのナノサイズ球状銀粒子を加え回転撹拌脱泡機を用いて均一に混合した。ナノサイズ球状銀粒子は、最大径が0.4μmで、1μmを超える粒子は無かった。また、粒子の表面には粒子作成時に使用した分散剤が有機物として約3重量%付着していると判断される。

均一に混合した後、銀の鱗片状粒子(A)として平均粒径2.6μmの鱗片銀3と硬化剤としてブロックイソシアネート1(ヘキサメチレンジイソシアネート)を加えさらに混合し、均一と判断した後、溶液を三本ロールミルに通し、導電性ペーストを作成した。なお、最終配合比率は表1に示す。
できた導電性ペーストを実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム上にサンプルを作製し、抵抗評価をした結果を配合に併せて表1に示す。基材との密着性も問題は無い。また、50μmピッチの回路パターンを印刷した模擬回路を作成しても、折り曲げ等に対して特に問題は起こらなかった。
別途、前記模擬回路を作成し、85℃85%の恒温高湿槽中に1000時間放置し、抵抗変化率を調べたところ、−15%であり、外観上の異常は見あたらなかった。

ポリエステル樹脂2及び3をポリエステル樹脂1に等量変換した他は実施例2と同様にして導電性ペーストを作製した。
できた導電性ペーストを実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム上にサンプルを作製し、抵抗評価をした結果を配合に併せて表1に示す。基材との密着性も問題は無い。また、50μmピッチの回路パターンを印刷した模擬回路を作成しても、折り曲げ等に対して特に問題は起こらなかった。
別途、前記模擬回路を作成し、85℃85%の恒温高湿槽中に1000時間放置し、抵抗変化率を調べたところ、−10%であり、外観上の異常は見あたらなかった。

〔比較例1〕
実施例1の配合のうち、球状粒子(B)に相当するナノサイズの銀粒子を用いず、その減量分を鱗片状粒子(A)に置き換えて導電性ペーストを作製した。その他の配合組成及び工程は実施例1と同じ方法とした。できた導電性ペーストを実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム上にサンプルを作製し、抵抗評価をした結果を配合に併せて表1に示す。基材との密着性は特に問題はなかったが、50μmの模擬回路パターンでは、一部剥離が見られた。

〔比較例2〕
実施例3の配合のうち、球状粒子(B)に相当するナノサイズの銀粒子を用いず、その減量分を鱗片状粒子(A)に置き換えて導電性ペーストを作製した。また、ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂2及び3に等量変換し、その他の配合組成及び工程は実施例3と同じ方法とした。できた導電性ペーストを実施例1と同様にして、ポリエステルフィルム上にサンプルを作製し、抵抗評価をした結果を配合に併せて表1に示す。基材との密着性は特に問題はなかったが、50μmの模擬回路パターンでは、一部剥離が見られた。

〔比較例3〕
実施例3の配合のうち、球状粒子(B)の代わりに、Sを含む有機物であるドデカンチオール(C1225SH)が表面を被覆する、一次粒子の平均粒径が30nmであるナノサイズ球状銀粒子(球状銀粒子(C))を使用して導電性ペーストを作製した。その他の配合組成及び工程は実施例3と同じ方法とした。この導電性ペーストをポリエステルフィルム上に50μm模擬回路パターンを作製し、抵抗評価を行ったところ、表1の結果になった。また、85℃85%恒温高湿槽中に1000時間放置した後、抵抗変化率を調べたところ、回路の腐食により抵抗値が上昇していた。

表1から、鱗片状粒子(A)と球状粒子(B)を組み合わせて用いた本発明になる導電性銀ペーストは、体積抵抗も小さく、即ち導電性が良く、基材との密着性も問題なく使用できることがわかる。ところが鱗片状粒子(A)のみを用いた比較例1では体積抵抗が40μΩ・cmであり、微細化する回路においては導電性は十分とは言えない。また、密着性も微細化する回路パターンでは十分でない。比較例2においても全く同様の傾向にある。また、球状粒子(B)の表面にSの元素を含む有機物を用いると、回路の腐食による抵抗値の増加等がおこり、信頼性が低下する傾向がある。

分子量30000のポリエステル樹脂1をブチルカルビトールアセテートに溶解し、樹脂分濃度36%の溶液を作成した。この中に球状粒子(B)に相当する一次粒子の平均径が30nmのナノサイズ球状銀粒子を加え回転撹拌脱泡機を用いて均一に混合した。ナノサイズ球状銀粒子は、最大径が0.4μmで、1μmを超える粒子は無かった。また、粒子の表面には粒子作成時に使用した分散剤が有機物として約3重量%付着していると判断される。

均一に混合した後、銀の鱗片状粒子(A)として平均粒径4.0μmの鱗片銀4と、硬化剤としてブロックイソシアネート1(ヘキサメチレンジイソシアネート)を加えさらに混合し、均一と判断した後、溶液を三本ロールに通し、導電性ペーストを作成した。なお、最終配合比率は表2に示す。

得られた導電性ペーストを用いて、ポリイミドフィルム上に仕上げ厚み20μmとなるように塗布し、恒温槽で150℃、30分加熱乾燥し、樹脂を硬化させたサンプルを作成した。このサンプルでJIS K 7194に準拠する低抵抗率計(三菱化学製、商品名;ロレスタGP)を用いて4探針法による抵抗評価をした。結果を表2に付記する。また、このサンプルは基材との密着性には問題はなかった。さらに、50μmピッチの回路パターンを印刷した模擬回路を作成しても、折り曲げ等に対しても特に問題は起こらなかった。

ポリイミドフィルムに塗布した導電性ペーストの電磁波シールド特性を評価した。測定はKEC法により行い、0.1MHz〜1GHzにおける電磁波強度の減衰率を測定し、次式によりシールド効果を求めた。
(シールド効果)=−10×log10(Pt/Pi)
Pt:透過電力
Pi:入射電力
500MHzでのシールド性能を表2に付記する。また測定結果を図1に示す。

〔比較例4〕
実施例4の配合のうち、球状粒子(B)に相当するナノサイズの銀粒子を用いず、その減量分を鱗片状粒子(A)に置き換えて導電性ペーストを作製し、実施例4と同様に導電性、密着性、電磁波シールド特性の評価を行った。測定結果を図3及び表2に示す。

鱗片状粒子(A)と球状粒子(B)を組み合わせて用いた実施例4の導電性ペーストは、体積抵抗値が17μΩ・cmと低く、非常に良好な導電性を示している。また基材との密着性も問題なく使用できることがわかる。更に電磁波シールド特性にも優れていることがわかった。鱗片状粒子(A)のみを用いた比較例4では体積抵抗が34μΩ・cmであり、導電性は十分とは言えない。また電磁波シールド特性も実施例4に比べると低下する結果となった。

以上より、本発明になる導電性銀ペーストは、導電性が良く、かつ基材との密着性も優れ、更に優れた電磁波シールド性能を有する。

実施例4の導電性銀ペーストの電磁波シールド特性を示す。 実施例5の導電性銀ペーストの電磁波シールド特性を示す。

Claims (8)

  1. 銀粉末、バインダー樹脂及び溶剤を含む導電性銀ペーストであって、前記銀粉末は、平均粒径が2μm〜10μmの鱗片状粒子(A)と、1次粒子の平均粒径が50nm以下である球状銀粒子(B)とを主成分とし、その混合比(重量比)が(A):(B)=99:1〜90:10の範囲にあり、
    銀粉末とバインダー樹脂の配合比率(重量比)が、銀粉末:バインダー樹脂=85:15〜95:5の範囲であり、
    前記球状銀粒子(B)は、塩素(Cl)、燐(P)、硫黄(S)のいずれの元素も実質的に含まれていない有機物の存在下で銀イオンを還元して得られたものであり、表面が該有機物で被覆されていることを特徴とする導電性銀ペースト。
  2. 前記有機物がポリアクリル酸であることを特徴とする、請求項1に記載の導電性銀ペースト。
  3. 前記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であり、更に硬化剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の導電性銀ペースト。
  4. 前記硬化剤がイソシアネート、エポキシ樹脂及びメラミン樹脂のいずれかである、請求項に記載の導電性銀ペースト。
  5. 前記イソシアネートがブロックイソシアネートである請求項に記載の導電性銀ペースト。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載の導電性銀ペーストを塗布したことを特徴とする電磁波シールドフィルム。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の導電性ペーストをフレキシブルプリント配線板の片面もしくは両面に塗布したことを特徴とする電磁波シールドフレキシブルプリント配線板。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の導電性銀ペーストを塗布したことを特徴とする電磁波シールド筐体。
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