以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。なお、本開示で角度に言及した場合において、和が360度となる優角と劣角とがあるときには原則として劣角の角度を指すものとし、和が180度となる鋭角と鈍角とがある場合には原則として鋭角の角度を指すものとする。また、以下の実施の形態に示した構成は、本開示による技術的思想の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の複数の技術的思想を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略または変更することも可能である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による手乾燥装置1の斜視図である。以下の説明では、手乾燥装置1について、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向を、原則として図1中の矢印で示すように特定する。「前」は、手乾燥装置1に正対したユーザにとって手前の方向に相当する。「後」は、当該ユーザにとって奥の方向に相当する。「左」は、当該ユーザにとって左となる方向に相当する。「右」は、当該ユーザにとって右となる方向に相当する。「上」は、鉛直上方に相当する。「下」は、鉛直下方に相当する。本実施の形態において、「手前側」、「正面側」、「ユーザ側」、「ユーザに近い側」とは、前側のことである。「背面側」、「奥側」、「壁側」、「ユーザから遠い側」とは、後側のことである。また、左側と右側を併せて、「側面」と表現することもある。例えば、手乾燥装置1における正面側は、図1における手前側である。
また、以下の説明における用語を次のように定義する。正面視とは、前側から後方に向かって視た視点である。また、正面視とは、前側から、左右方向に対して垂直な方向の視線で視た視点である。また、側面視とは、左側から右側に向かって視た視点、または右側から左側に向かって視た視点である。また、側面視とは、左側または右側から、前後方向に対して垂直な方向の視線で視た視点である。また、下面視とは、下側から上側に向かって視た視点である。また、下面視とは、下側から、前後方向及び左右方向のいずれにも垂直な方向の視線で視た視点である。また、上面視とは、上側から下側に向かって視た視点である。また、上面視とは、上側から、前後方向及び左右方向のいずれにも垂直な方向の視線で視た視点である。
図2は、実施の形態1による手乾燥装置1の正面図である。図3は、実施の形態1による手乾燥装置1の側面図である。図4は、実施の形態1による手乾燥装置1の上面図である。図5は、実施の形態1による手乾燥装置1をユーザUが使用している状態を示す模式的な側面図である。図6は、実施の形態1による手乾燥装置1の断面側面図であり、図2中のA-A線に沿う断面図である。
図1から図6に示す手乾燥装置1は、外郭をなす本体筐体2と、本体筐体2に収容される収容部を備える。手乾燥装置1は、濡れた手を乾燥させる機能を備えている。本体筐体2は、手乾燥装置1の外観を形成する。なお、本体筐体2の一部は、本体筐体2の内側に配置されていてもよく、収容部の一部は外観に露出していてもよい。
本体筐体2は、カバー部と、手挿入部3と、表示部4と、操作部とを備える。カバー部は、外観に露出する意匠部分である。手挿入部3は、手挿入空間5を形成する。手挿入空間5は、手が挿入される空間である。本実施の形態における手挿入空間5は、1つの空間である。1つの空間である手挿入空間5に、ユーザUの両手を挿入することが可能である。手挿入空間5は、例えば、手挿入部3の上端から下端までである。手挿入空間5は、例えば、手挿入部3の前端から後端までである。手挿入空間5は、例えば、手挿入部3の左端から右端までである。表示部4は、例えば、報知すべき情報を表示するディスプレイを有していてもよいし、インジケーターランプを有していてもよい。操作部は、ユーザ、清掃者、または管理者が操作する部分である。
手挿入部3は、手挿入空間5に対して開口する通気孔6を有する。本実施の形態では、通気孔6から手挿入空間5へ空気を吹き出す例について説明する。本実施の形態であれば、通気孔6から吹き出される気流によって、手に付着した水を吹き飛ばすことができるので、手をより短時間で乾燥させることが可能となる。本開示による手乾燥装置は、このような例に限定されず、手挿入空間5から空気を通気孔6に吸い込むように構成されたものでもよい。この場合、空気が通気孔6に吸い込まれることによって手挿入空間5に気流が発生し、当該気流によって手を乾燥させることができる。
手挿入部3は、手乾燥装置1の上部に配置される。手挿入部3は、挿入周囲部と、挿入底部3aとを備えている。挿入周囲部は、挿入前部3bと、挿入後部3cと、挿入側部3dとを備えている。挿入周囲部は、挿入底部3aを除く手挿入部3である。手挿入部3において、挿入前部3bは前側に配置され、挿入後部3cは後側に配置され、挿入側部3dは左側と右側とに配置され、挿入底部3aは下側に手挿入部3の前側に配置される。
変形例として、手挿入部3は、挿入側部3dを備えていないものであってもよい。また、手挿入部3は、挿入前部3bを備えていないものであってもよい。また、手挿入部3は、上側に配置される挿入上部(図示省略)を備えていてもよい。また、これらの考えられる組み合わせであってもよい。例えば、挿入前部3bがなく、挿入上部がある手挿入部3であってもよい。また、手挿入部3において、挿入底部3aのみのものであってもよく、挿入上部だけのものであってもよい。つまり、挿入とは、一般的には中に差し入れることを意味するが、本実施の形態では一側または一面にしか構造物がないものに対しても挿入という言葉を使うことを含みうる。また、本実施の形態では、例えば、挿入底部3aと挿入前部3bがほぼ明確に区別できるが、手挿入部3の各壁面が明確に区別できなくてもよい。例えば、手挿入部3は、半球状に形成されていてもよい。
本実施の形態の手挿入部3は、挿入底部3aと、挿入前部3bと、挿入後部3cと、挿入側部3dとによって手挿入空間5を形成する。手挿入空間5には手を配置することができる。手挿入空間5の前後方向の長さ、及び、手挿入空間5の左右方向の長さは、手を配置できる程度の長さである。
挿入側部3dの上端部は、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部よりも低い位置に配置される。本体筐体2の上部または手挿入部3の上部に、手挿入開口7が形成されている。本体筐体2の上部であって、手挿入開口7の下方に、手挿入空間5が形成されている。手挿入空間5は、手挿入開口7から挿入されたユーザの手を覆う凹状の空間である。
手挿入部3は、図3の側面視、または、図2中のA-A線での断面における側面視(図6)にて、おおむねU字形状を呈することにより、凹状の手挿入空間5を形成する。図5に示すように、ユーザUは、手Hを、上方から下方に向けて、手挿入開口7から手挿入空間5に挿入可能である。
図3の側面視において、手挿入空間5に面する挿入前部3bの表面は、上部から下部に向かうに従って、前側から後側に向けて、若干傾斜している。また、手挿入空間5に面する挿入後部3cの表面は、上部から下部に向かうに従って、前側から後側に向けて、若干傾斜している。
図5に示すように、ユーザUは、例えば、手乾燥装置1の前側に立って、手Hを手挿入空間5に挿入する。手挿入部3は、成人男女の腰部の高さ程度の位置に設置される。上述した挿入前部3b及び挿入後部3cの傾斜が設けられていることにより、ユーザUが手挿入空間5に上方から手Hを挿入する際に、手Hを挿入しやすい。
なお、手の挿入方向が異なる手乾燥装置の場合、図5に示す例とは異なる高さに手乾燥装置が設置されることがある。例えば、前方から後方に向かって手を挿入するタイプの手乾燥装置の場合、手挿入部3は成人男女の肘あたりの高さに配置される。
挿入周囲部は、対向する面を有している。挿入前部3bは、挿入後部3cに対して、対向する位置に配置される。挿入底部3aの上方に手挿入開口7が設けられる。図4に示すように、挿入側部3dは、挿入左部3gと挿入右部3hを備える。挿入左部3gは、正面視にて挿入前部3bの左側に配置される。挿入右部3hは、正面視にて挿入前部3bの右側に配置される。挿入左部3gは、挿入右部3hに対して、対向する位置に配置される。
図3に示すように、挿入前部3bは前方突出部3eを備える。挿入後部3cは後方突出部3fを備える。前方突出部3eは、正面側、すなわちユーザに近い側、つまり挿入前部3bから、後側へ張り出した部位である。後方突出部3fは、背面側、すなわちユーザから遠い側、つまり挿入後部3cから、前側へ張り出した部位である。前方突出部3eは、挿入前部3bのうちの上側に設けられる。後方突出部3fは、挿入後部3cのうちの上側に設けられる。
挿入前部3bと挿入後部3cは、手挿入部3の最下部に設けられた挿入底部3aに繋がっている。このように、手挿入部3は、側面視またはA-A断面における側面視において、上部が開口した有底の断面U字状をなしている。挿入底部3aは水平面に対して、傾斜していてもよい。挿入前部3b及び挿入後部3cの、手挿入空間5に面する表面は、側面視にて折れ曲がる形状または湾曲した形状を呈していてもよい。
挿入側部3dの上端部は、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部よりも、挿入底部3aに近い位置に配置される。挿入側部3dの上端部は、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部よりも、挿入底部3aの最下部に近い位置に配置される。このように、挿入側部3dは低い位置に配置されているため、手挿入部3の左右方向における両側は開放されている。このような本実施の形態における手挿入部3であれば、上下方向または左右方向から、ユーザの手を自由に手挿入空間5に挿抜可能である。
ここで、実施の形態1による手乾燥装置1の変形例について説明する。図7は、実施の形態1による手乾燥装置1の第一変形例を示す斜視図である。図8は、実施の形態1による手乾燥装置1の第二変形例を示す斜視図である。これらの変形例に示すように、手挿入部3は、上面が開口した箱型の形状を呈していてもよい。図7、図8に示すように、挿入側部3dの上端部は、挿入底部3aの上端部または下端部よりも、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部に近い位置に配置された構造であってもよい。この場合、左右方向に水が飛散することを抑制することができる。また、図8に示すように、挿入側部3dの上端は、挿入前部3bの上端または挿入側部3dの上端と同等の高さに配置されていてもよい。また、挿入前部3bの上端の高さと、挿入後部3cの上端の高さが異なる場合には、挿入側部3dの上面は傾斜していてもよい。挿入前部3bと挿入側部3dは繋がっていることが望ましい。挿入側部3dと挿入後部3cは繋がっていることが望ましい。これにより、挿入前部3bと挿入側部3dの隙間から外部に水が漏れることがない。挿入前部3b、挿入後部3c、及び挿入側部3dの上部よりも低い位置において水平方向に手乾燥装置1を視た場合、手挿入空間5は手挿入部3に覆われる。このため、手挿入空間5を視認することができない。挿入側部3dの高さが高い場合、例えば、挿入側部3dが挿入前部3bあるいは挿入後部3cと同等の高さを有する場合には、水平方向のいずれの方向から視た場合でも、手挿入空間5を視認することができない。
なお、挿入後部3cの上端の高さよりも挿入前部3bの上端の高さの方が低くてもよい。挿入後部3cの上端の高さと挿入前部3bの上端の高さが同等高さの場合、手挿入開口7は、側面視にて水平面に対して平行である。一方、上述したように挿入後部3cの上端の高さよりも挿入前部3bの上端の高さの方が低い場合には、側面視にて手挿入開口7が水平面に対して傾斜することで、手挿入開口7がユーザの方向に向く。このため、ユーザが手をさらに容易に挿入することが可能となる。
また、手乾燥装置1は、挿入側部3dの上端の高さを調整可能な挿入側部調整手段を備えていてもよい。例えば、挿入側部調整手段として、挿入側部3dが鉛直方向にスライドするように、挿入側部3dを移動可能にする機構が設けられていてもよい。または、挿入側部調整手段として、挿入側部3dを取り外して、異なる高さの位置に、挿入側部3dを付け直すことが可能になっていてもよい。挿入側部3dを取り外して、挿入側部3dを付け直すことができるようにする構造は、例えば、ネジ固定を用いた構造でもよいし、ネジを使用しないスナップフィットを用いた構造でもよい。挿入側部調整手段は、挿入側部3dの上端の高さを、段階的に、調整できるものでもよい。例えば、挿入側部調整手段は、挿入側部3dの上端の高さを、「高」、「中」、「低」の、3段階に調整できるものでもよい。「高」が図8のような高さに相当し、「中」が図7のような高さに相当し、「低」が図1のような高さに相当してもよい。あるいは、挿入側部調整手段は、挿入側部3dの上端の高さを、無段階に調整できるものでもよい。挿入側部3dの上端の高さを低くすると、ユーザが手を手挿入部3の側方から手挿入空間5に入れやすいという利点がある。挿入側部3dの上端の高さを高くすると、手から吹き飛ばされた水滴が、手挿入部3の外へ、より飛散しにくいという利点がある。季節、あるいは感染症のリスクに応じて、挿入側部調整手段により、挿入側部3dの上端の高さを変えることで、安全性と利便性を両立する上で、より有利になる。
図9は、実施の形態1による手乾燥装置1の上部を、右側から左側に向かう視点で視た図である。図9においては、手乾燥装置1の構成の理解を容易にするために、一部の縮尺を変更して示している。図9は、遠近法を用いて表現されている。
図9に示すように、挿入底部3aの一部には、挿入底部3aの水を排水する排水口8が設けられている。排水口8は例えば、挿入底部3aのうち低い位置に設けられている。これにより、挿入底部3aに水が溜まりにくく、排水されやすい。つまり挿入底部3aは、排水口8に向かって傾斜していてもよい。排水口8は、例えば、複数設けられていてもよい。排水口8には、本体筐体2内において上下方向に延びる不図示の排水路の上端部が取り付けられている。排水路の下端部には、本体筐体2の底部に配置されたドレンタンク9が接続されている。ドレンタンク9は、排水路を通って排水された水を溜めるものである。ドレンタンク9は、本体筐体2の底部に対して、着脱自在に取り付けられている。例えば、本体筐体2の底部を前方に引き出すことで、ドレンタンク9を手乾燥装置1から取り外すことができる。すなわち、ドレンタンク9の一部は外観に露出している。排水口8は、水が流下するように勾配が付けられており、挿入底部3aに付着した水は排水路を流れて、ドレンタンク9へ溜められる。
手挿入部3は、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、あるいは、ポリプロピレン等の材料を用いて構成されていてもよい。手挿入部3の大部分は、例えばABS樹脂あるいはポリプロピレン等の材料で構成されてもよい。手挿入部3の外観を形成する部位は、例えばABS樹脂あるいはポリプロピレン等の材料で構成されてもよい。
図1に示すように、本体筐体2のカバー部は、前カバー2aと、後カバー2bと、サイドカバー2cとを備える。前カバー2aは前方に配置される。後カバー2bは後方に配置される。サイドカバー2cは、前カバー2aよりも後側で、かつ後カバー2bよりも前側に、配置される。前カバー2aは、後カバー2bよりも前側に配置される。前カバー2aは、挿入前部3bよりも前側に配置される。後カバー2bは、挿入後部3cよりも後側に配置される。サイドカバー2cは、側方に配置される。サイドカバー2cは、前カバー2a及び後カバー2bの側方に配置される。本体筐体2のカバー部は、手挿入部3よりも外側に配置される。本実施の形態において、カバー部と手挿入部3の間には、収容部の少なくとも一部が配置されている。
図6に示すように、本体筐体2の内部において、手挿入部3の下方には、高速空気流を生成する送風機10が設置されている。送風機10は、電気により作動するモータ11と、モータ11によって回転するターボファン12を備えた高圧空気流発生装置により構成されている。送風機10は、吸気側を背面、排気側を前面として配設されている。また、送風機10は、吸気側を下面、排気側を上面として配設されていてもよい。モータ11は例えばブラシレスモータである。ブラシレスモータを使用することで出力の調整がしやすくなる。
手乾燥装置1は、吹出口部と、吹出風路と、吸気口16と、吸気風路18とを備える。吹出口部は、例えば、手挿入部3の通気孔6から空気を吹き出すものである。吹出口部は、例えば複数のノズルから構成される。本実施の形態における吹出口部は、第一吹出口部19と第二吹出口部20を備える。ノズルは中空の円筒形状または中空の角柱形状を呈している。ノズルは湾曲していてもよい。ノズルの先端は円形または矩形形状を呈している。第一吹出口部19は例えば挿入前部3bに配置される。例えば、第一吹出口部19からの吹出風は、手に当たらなければ挿入後部3cに到達するように、吹出される。第二吹出口部20は例えば挿入後部3cに配置される。例えば、第二吹出口部20からの吹出風は、手に当たらなければ挿入前部3bに到達するように、吹出される。第一吹出口部19は、第二吹出口部20よりも前側に配置される。本実施の形態では、吹出口部は、第一吹出口部19と第二吹出口部20のように、複数設けられるが、本開示の手乾燥装置は、1つのみの吹出口部を備えるものでもよい。例えば、第一吹出口部19が設けられずに、第二吹出口部20のみが設けられていてもよい。また、第一吹出口部19は、一つのみの通気孔6を有するものでもよいし、複数の通気孔6を含むものでもよい。また、第二吹出口部20は、一つのみの通気孔6を有するものでもよいし、複数の通気孔6を含むものでもよい。また、本開示の手乾燥装置は、3つ以上の吹出口部を備えていてもよく、例えば第三吹出口部を備えていてもよい。
吹出風路13は、送風機10の排気側に設けられる。吹出風路13は、送風機10から発生した空気流を吹出口部へ導く風路である。吹出口部と吹出風路13は、一つの風路を備えていてもよく、複数の風路を備えていてもよい。図6に示す例において、吹出風路13は、前側吹出風路14と後側吹出風路15を備える。前側吹出風路14は、後側吹出風路15よりも前側に配置される。吹出風路13の少なくとも一部は例えば、上下方向に沿って形成される。例えば、吹出風路13の大部分は、上下方向に沿って形成される。
吸気口16は、手乾燥装置1の外部の空気を内部に取り込むための開口である。吸気口16は、例えば、格子状またはスリット状に形成される。吸気口16は、例えば、本体筐体2の底部に設けられる。吸気口16にはフィルタ部17が設けられていてもよい。フィルタ部17は、例えば、本体筐体2の内部かつ吸気口16の近傍に配置される。これにより、フィルタ部17を通して吸気風路18に外気を取り入れることができ、異物の侵入を抑制することができる。吸気風路18は、送風機10の吸気側に設けられる。吸気風路18は、送風機10と吸気口16を流体的につなぐ風路である。
吸気風路18は、本体筐体2の内部において背面側に画成されて上下方向に形成されている。吸気風路18の上部は送風機10に流体的に連通している。吸気風路18の下部は吸気口16に流体的に連通している。吸気風路18の一部は、ドレンタンク9の後側に配置される。
送風機10の排気側は、本体筐体2の内部において上下方向に連なり、前面側と背面側に分岐されて画成された前側吹出風路14及び後側吹出風路15の下方に連絡している。送風機10で高圧化された高圧空気は、送風機10と接続して設けられた前側吹出風路14及び後側吹出風路15に排出される。前側吹出風路14及び後側吹出風路15には、前面側と背面側に分岐する手前の位置にヒータを組み込み、通過する高圧空気を昇温させる構成としてもよい。
前側吹出風路14の上部に第一吹出口部19が設けられている。後側吹出風路15の上部に第二吹出口部20が設けられている。第一吹出口部19は、挿入前部3bの上側の前方突出部3eに設けられる。第二吹出口部20は、挿入後部3cの上側の後方突出部3fに設けられる。第一吹出口部19と第二吹出口部20とは、手挿入空間5を挟んで互いに対向している。第一吹出口部19及び第二吹出口部20は、斜め下向きにやや波状に開口した複数の通気孔6を含んでもよい。各通気孔6は、手乾燥装置1の左右方向に沿って、一列に水平に配設されたものでもよい。
第一吹出口部19及び第二吹出口部20は、送風機10により生成された高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を通気孔6から手挿入空間5に向かって作動気流として噴射する。作動気流は、第一吹出口部19及び第二吹出口部20から、手挿入空間5の対面方向に、水平方向よりもやや下向きに傾斜した角度で噴射される。作動気流は、ユーザが手挿入空間5に挿入した手首、手のひら、または手の甲に付着した水を手挿入空間5の下方に吹き飛ばす。
図6及び図9に示すように、挿入前部3b及び挿入後部3cには、手検知部21が内蔵されている。手検知部21は、手検知手段の例である。好ましくは、手検知部21は、第一吹出口部19よりも下の位置と、第二吹出口部20よりも下の位置とに内蔵されている。ユーザが手挿入開口7から濡れた手を手挿入空間5の奥へ向かって進入させていくと、手検知部21は、挿入された手を検知する。このようにして手挿入空間5にユーザの手が挿入されたことを手検知部21が検知すると、ユーザの手を検知した旨の手検知信号を後述する制御部22に出力する。手検知部21の詳細については、後述する。
図6に示すように、本体筐体2内の下方には、手検知部21による手の検知に応じて送風機10の運転を制御する制御部22が設けられている。制御部22は、手検知部21から出力された手検知信号情報に基づいて、送風機10の運転を制御して、第一吹出口部19及び第二吹出口部20から、手挿入空間5に気流を噴出させる。
図10は、実施の形態1による手乾燥装置1の機能ブロック図である。図11は、実施の形態1による手乾燥装置1の処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部22の機能は、例えば、図11に示したハードウェア構成の処理回路により達成されてもよい。例えば、図11に示すプロセッサ101が、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部22の機能が達成されてもよい。また、複数のプロセッサ及び複数のメモリが連携して、制御部22の機能を達成してもよい。また、制御部22の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101及びメモリ102を用いて達成するようにしてもよい。
図12は、実施の形態1の変形例による手乾燥装置1の上部を、右側から左側に向かう視点で視た図である。図12は、遠近法を用いて表現されている。以下、図12に示す変形例について説明する。挿入底部3aの左端付近と、挿入底部3aの右端付近とにそれぞれ排水口8が設けられている。手挿入部3は、山部3iをさらに備える。山部3iは、挿入底部3aと挿入後部3cとの間に形成される。山部3iの表面は、左右方向の中央で最も高く、中央から左方向に行くにつれて低くなるように傾斜し、中央から右方向に行くにつれて低くなるように傾斜している。これにより、手から滴下した水を、山部3iの傾斜に沿って、左右の両側の排水口8に円滑に導くことができる。
次に、手検知部21について説明する。手検知部21には、相互容量方式の静電容量センサが使用される。なお、本開示における手検知部は他の方式の検知手段を用いるものでもよい。静電容量センサは、複数の電極と、各電極に接続されて電極間の静電容量の変化を検出する図示しない回路部とを有する。図9に示すように、挿入前部3bには、静電容量センサを構成する電極21a及び電極21bが内蔵されている。電極21bは、電極21aの下側に配置されている。挿入後部3cには、静電容量センサを構成する電極21c及び電極21dが内蔵されている。電極21dは、電極21cの下側に配置されている。電極21aと電極21cとは、対向配置されている。すなわち、電極21aと電極21cとは、手挿入空間5を挟んで主面同士が対向した状態に配置されている。電極21bと電極21dとは、対向配置されている。すなわち、電極21bと電極21dとは、手挿入空間5を挟んで主面同士が対向した状態に配置されている。ここで、「主面同士が対向した状態」とは、各電極における主面同士が対向している状態を意味する。ここで、主面は、各電極における面のうち、他の面よりも面積の大きい主なる面である。
電極21aと電極21bとは、主面同士が平面上において上下に位置する位置関係の状態に配置されている。電極21cと電極21dとは、主面同士が平面上において上下に位置する位置関係の状態に配置されている。すなわち、本実施の形態1では、2組の電極組が、各電極組の第1の電極と第2の電極とが本体筐体2の奥行き方向において手挿入空間5を挟んで対向した状態に配置され、各電極組において、一方の電極は、他の電極組における極性が異なる電極と平面上で上下方向において隣り合う状態に配置されている。
ここで、「主面同士が平面上に配置された」とは、例えば、電極21cと電極21dとの各々における主面同士が平行であり、側面同士が対向している状態を意味する。本実施の形態1においては、電極21a、電極21b、電極21c及び電極21dは、同一形状及び同一寸法の直方体形状を有する。ただし、各電極の形状及び寸法は適宜変更可能である。
図13は、実施の形態1による手乾燥装置1の手検知部21を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。相互容量方式の静電容量センサでは、電極間の静電容量の変化を検出する回路部を備え、回路部から送信電極に電圧を印加し、受信電極との間に電界を形成する。指先が近づくと、電界の一部が指先側に移り、受信電極で検知する電界が減少し、静電容量も減少する。回路部で電極間の静電容量の変化を検出することで、このときの静電容量の減少を捉えて、指先の接近を検出する。回路部は、指先が近づいていないときの電極間の静電容量を記憶している。
図13では、主面同士が対向した状態に配置された対となる2つの電極21aと電極21bとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近していないときの静電容量センサの状態を示している。図14は、実施の形態1による手乾燥装置1の手検知部21を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。図14では、主面同士が対向した状態に配置された対となる2つの電極21aと電極21cとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近したときの静電容量センサの状態を示している。
図13に示すように電極21aに電圧を印加し、電極21cとの間に電界を形成し、電極21aと電極21cとの間に形成される静電容量を測定する。このように電極21aと電極21cとを対向した状態に配置し、電極21aと電極21cとの間の静電容量を測定することにより、電極21aと電極21cとの間に挿入された手を検知するセンサとして使用できる。電極21aと電極21cとの間に電位差が生じると、電極21aと電極21cとの間に容量結合による電界が形成される。静電容量の大きさは電極21aと電極21cとの間の距離に反比例するため、ここに金属のような導体が挿入されると、静電容量は増加する。また、誘電体、または空気よりも誘電率が大きい水といったものが挿入された場合も、電極21aと電極21cとの間の静電容量は大きくなる。
そして、図14に示すように、手のような人体の一部である導体が電極21aと電極21cとの間に近接または挿入されると、電界の一部が人体に誘導され、電極21aと電極21cとの間の静電容量が減少する。すなわち、電極21aと電極21cとの間に近接または挿入された人体は接地しているとみなせるため、静電遮蔽の状態となって電極21aと電極21cとの間の静電容量は減少する。このため、電極21aと電極21cとの間の静電容量を定期的に測定して静電容量の変化を検出することにより、手を検知することができる。
図15は、実施の形態1による手乾燥装置1の手検知部21を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。図15では、主面同士が平面上に配置された対となる2つの電極21aと電極21bとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近していないときの静電容量センサの状態を示している。図16は、実施の形態1による手乾燥装置1の手検知部21を構成する相互容量方式の静電容量センサの原理を説明する模式図である。図16では、主面同士が平面上に配置された対となる2つの電極21aと電極21bとを有する相互容量方式の静電容量センサに手が接近したときの静電容量センサの状態を示している。ここで、「主面同士が平面上に配置された」とは、電極21aと電極21bとの各々における主面同士が平行であり、側面同士が対向している状態を意味する。
図15に示すように、電極21aに電圧を印加し、電極21bとの間に電界を形成し、電極21aと電極21bとの間に形成される静電容量を測定する。このように電極21aと電極21bとを面方向を平行な状態に配置し、電極21aと電極21bとの間の静電容量を測定することにより、電極21aと電極21bとに近接した手を検知するセンサとして使用できる。電極21aと電極21bとの間に電位差が生じると、電極21aと電極21bとの間に容量結合による電界が形成される。静電容量の大きさは電極21aと電極21bとの間の距離に反比例するため、ここに金属のような導体が近接すると、静電容量は増加する。また、空気よりも誘電率が大きい水などの誘電体が近接した場合も、電極21aと電極21bとの間の静電容量は増加する。
ここで、図16に示すように、手のような人体の一部である導体が電極21aと電極21bとに近接すると、電界の一部が人体に誘導され、電極21aと電極21bとの間の静電容量が減少する。すなわち、電極21aと電極21bとの間に近接した人体は接地しているとみなせるため、静電遮蔽の状態となって電極21aと電極21bとの間の静電容量は減少する。このため、電極21aと電極21bとの間の静電容量を定期的に検出して静電容量の変化を検出することで手を検知することができる。すなわち、手検知部21は、異なる極性の2つの電極からなる電極組を異なる位置に複数組備え、各電極間の静電容量の変化から手挿入空間5に挿入された手を検知する。
前述のように、相互容量方式の静電容量センサは、誘電体、または空気よりも誘電率が大きい水といったものが2つの電極の少なくとも一方の表面に付着した場合には静電容量が増加する。一方、手などの人体の一部が2つの電極間に近接または挿入された場合には静電容量が減少する。これにより、相互容量方式の静電容量センサは、電極間に手が近接または挿入された状態と、2つの電極の少なくとも一方の表面に水などの誘電体が付着した状態との違いを区別して判断することができる。すなわち、相互容量方式の静電容量センサは、電極間に手が近接した場合または挿入された場合と、2つの電極の少なくとも一方の表面に水などの誘電体が付着した場合とを精度良く判別できる。
このような相互容量方式の静電容量センサを利用した手検知部21は、電極21a、電極21b、電極21c及び電極21dの中の2つの電極間の静電容量を検知することで手の検知を行う。すなわち、手検知部21は、静電容量の変化を検出する2つの電極の組み合わせを4つのパターンに順番に変更して切り替えることで、手挿入空間5における手の挿入及び挿入位置を判定する。手検知部21は、パターン1からパターン4の4つの検出パターンで、2つの電極間の静電容量の変化を検出する。
パターン1において、手検知部21は、図15及び図16のように、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極21aと電極21bとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極21aと電極21bとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入空間5における手前側への手の挿入の有無、すなわち手挿入空間5における前方突出部3e側への手の挿入の有無を検知する。
パターン2において、手検知部21は、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された電極21cと電極21dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極21cと電極21dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入空間5における奥側への手の挿入の有無、すなわち手挿入空間5における後方突出部3f側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極21c及び電極21dは、図15及び図16における電極21a及び電極21bと同様に機能する。
パターン3において、手検知部21は、図13及び図14のように、手挿入空間5を挟んで対向した状態に配置された電極21aと電極21cとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極21aと電極21cとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入空間5における上側への手の挿入の有無、すなわち手挿入空間5における手挿入開口7側への手の挿入の有無を検知する。
パターン4において、手検知部21は、手挿入空間5を挟んで対向した状態に配置された電極21bと電極21dとの間の静電容量を既定の周期で定期的に検出することにより電極21bと電極21dとの間の静電容量の変化を検出して、手挿入空間5における下側への手の挿入の有無、すなわち手挿入空間5における挿入底部3a側への手の挿入の有無を検知する。この場合、電極21b及び電極21dは、図13及び図14における電極21a及び電極21cと同様に機能する。
本実施の形態1では、パターン1からパターン4の4つの検出パターンにおいて、電極21aと電極21dとをプラス側の電極として使用し、電極21bと電極21cとをマイナス側の電極として使用する。そして、手検知部21は、上記の4つの検出パターンで電極間の静電容量の変化を検出する際に、静電容量の変化の検出を行う電極の組み合わせを切り替える。これにより、上述した4種類の電極の組み合わせで各電極間の静電容量を検知する際に、各電極の極性を変更する必要がなく、すなわち各電極の極性のプラス側への変更またはマイナス側への変更を行う必要がなく、手の検知時間を短縮することができる。
以上のように、手挿入空間5における手前側、奥側、上側、下側の4つのポイントで手挿入空間5における手の挿入の有無を検知することで、手挿入空間5における手の挿入位置を奥行き方向と上下方向との二次元方向で判定することが可能である。これにより、手挿入空間5における詳細な手の挿入位置を検知することが可能である。
相互容量方式の静電容量センサは対になる電極を必要とし、4つのポイントの静電容量を検知するためには4×2=8極の8つの電極が必要となる。本実施の形態1では、対となる電極の組み合わせを切り替えるため、4つの電極で4つのポイントの静電容量を検知することができ、電極数の増加を抑制する効果が得られる。
また、手検知部21は、相互容量方式の静電容量センサを用いるため、水などの誘電体が電極の表面に付着した場合には電極間の静電容量が増加し、手などの人体の一部が電極間に挿入された場合は静電容量が減少する。このため、手検知部21は、電極間に手が近接した場合または挿入された場合と、2つの電極の少なくとも一方の表面に水などの誘電体が付着した場合とを精度良く判別できる。
制御部22は、手検知部21から出力された手検知信号情報に基づいて送風機10の運転を制御する。制御部22は、手挿入空間5に手が挿入されたと手検知部21が検知した場合に、送風機10を運転させる。また、制御部22は、手挿入空間5の下側及び上側ともに手が挿入されていないと手検知部21において検知された場合は、送風機10を停止させる。
送風機10で生成された高圧空気流は、手挿入部3の正面側壁面に設けられた手乾燥用ノズルである第一吹出口部19と、手挿入部3の背面側壁面に設けられた手乾燥用ノズルである第二吹出口部20とに導かれ、高速空気流とされて第一吹出口部19及び第二吹出口部20から手挿入空間5内に噴射される。そして、手挿入空間5内に噴射された高圧空気流は、手挿入空間5に挿入された手に付着した水分を吹き飛ばすことにより、手を乾燥させる。吹き飛ばされた水は手挿入部3に付着する。例えば、挿入前部3b、挿入後部3c、挿入側部3dに付着した水は挿入底部3aに滴り落ちる。挿入底部3aの水は排水口8からドレンタンク9に流れる。
制御部22は、手挿入空間5において手が検知された2つの電極の組み合わせに基づいて、第一吹出口部19と第二吹出口部20とへの高圧空気流の供給の配分を制御する。制御部22は、手検知部21から出力された手検知信号情報を処理することで手が検知された2つの電極の組み合わせを判別し、手挿入空間5における手の挿入位置を判別する。送風機10の運転中に手挿入空間5における手前側への手の挿入が検知された場合、制御部22は第一吹出口部19への高圧空気流を弱め、第二吹出口部20への高圧空気流を強くする。逆に送風機10の運転中に手挿入空間5における奥側への手の挿入が検知された場合、制御部22は第一吹出口部19への高圧空気流を強め、第二吹出口部20への高圧空気流を弱くする。手の挿入位置によって、第一吹出口部19と第二吹出口部20への高圧空気流の供給量の配分を変えることで、手挿入空間5における奥行き方向のどの位置に手を挿入した場合でも、手の裏側と表側をムラ無く効率的に乾燥させることができる。
第一吹出口部19への高圧空気流を弱めるとともに第二吹出口部20への高圧空気流を強くする方法、または第一吹出口部19への高圧空気流を強めるとともに第二吹出口部20への高圧空気流を弱くする方法は特に限定されない。第一吹出口部19への高圧空気流を弱めるとともに第二吹出口部20への高圧空気流を強くするためには、前側吹出風路14への高圧空気流の供給量を減らし、後側吹出風路15への高圧空気流の供給量を増やせばよい。逆に、第一吹出口部19への高圧空気流を強め、第二吹出口部20への高圧空気流を弱くするためには、前側吹出風路14への高圧空気流の供給量を増やし、後側吹出風路15への高圧空気流の供給量を減らせばよい。
上記の制御は、例えば送風機10で生成された高圧空気流を誘導する可動式の誘導板を設け、制御部22が誘導板の向きを制御して、前側吹出風路14及び後側吹出風路15への高圧空気流の供給量を調節してもよい。また、制御部22が、前側吹出風路14の一部または後側吹出風路15の一部を閉鎖する制御を行って、前側吹出風路14及び後側吹出風路15への高圧空気流の供給量を調節してもよい。また、前側吹出風路14用の送風機10と後側吹出風路15用の送風機10とを個別に設け、制御部22が各送風機10における高圧空気流の生成量を制御してもよい。
上述したように、本実施の形態1による手乾燥装置1は、手挿入部3の正面側壁面において、正面側から見て上側に電極21aを備え、正面側から見て下側に電極21bを備える。また、手挿入部3の背面側壁面において、正面側から見て上側に電極21cを備え、正面側から見て下側に電極21dを備える。そして、手検知部21は、静電容量の変化を検出する2つの電極の組み合わせを切り替えて、手挿入空間5における手前側、奥側、上側、下側の4つのポイントで手挿入空間5における手の挿入の有無を検知する。
すなわち、手乾燥装置1は、手挿入空間5を挟んで主面同士が対向した状態に配置された2つの電極間の静電容量の変化と、平面上において上下方向に隣り合う状態に配置された2つの電極間の静電容量の変化とを検出して、手挿入空間5における手の挿入の有無を検知する。これにより、手乾燥装置1は、手挿入空間5における手の挿入位置を奥行き方向と上下方向との二次元方向で判定することが可能である。これにより、手挿入空間5における詳細な手の挿入位置を検知することが可能である。
そして、制御部22は、手検知部21で検知された手挿入空間5における手の位置に合わせて、送風機10の運転を制御する。すなわち、制御部22は、手挿入空間5における手の挿入位置によって、第一吹出口部19と第二吹出口部20への高圧空気流の供給量の配分を変えることで、手挿入空間5における奥行き方向のどの位置に手を挿入した場合でも、手の裏側と表側をムラ無く乾燥させることができる。
また、手乾燥装置1は、静電容量の変化を検出する対となる電極の組み合わせを切り替えるため、手挿入空間5における4つのポイントの静電容量を4つの電極で検知することができ、電極数の増加を抑制する効果が得られる。
したがって、本実施の形態1による手乾燥装置1は、電極数の増加を抑制し、装置の大型化及びコストの増大を回避しつつ、水の付着による誤動作が防止され、手の挿入位置に合わせた最適な運転の制御が可能な使い勝手の良い手乾燥装置を提供することができる。
手乾燥装置1は、UV照射装置23をさらに備える。UV照射装置23は、例えば、手挿入部3に配置される。UV照射装置23は、光を生成する光源24を備える。UV照射装置23は、光源24が生成した光を手挿入空間5に照射する。すなわち、UV照射装置23は、光源24が生成した光を、手挿入空間5に面する手挿入部3の表面に照射する。UV照射装置23から放射された光は、場合によっては手に照射されてもよい。
UV照射装置23は紫外線を照射する。UVとはUltraVioletの略である。すなわちUV照射装置23とは紫外線を照射する装置である。一般に紫外線は可視光線よりも波長が短い光の総称であり、およそ1nmから400nmの波長を持つ電磁波である。また、一般に100nmから280nmの波長域はUVCと称され、280nmから315nmの波長域はUVBと称され、315nmから400nmの波長域はUVAと称される。
本開示において、「微生物」とは、細菌とウイルスとの少なくとも一方を含む。微生物には、人体に有害なものがある。紫外線は微生物に作用する。本開示において、紫外線による殺菌とは、光エネルギーにより微生物のデオキシリボ核酸(deoxyribo nucleic acid、以下「DNA」と称す)そのものに作用することで、微生物をそれ以上増殖させない不活化な状態にすること、あるいは微生物の数を減らすことと定義される。また、本開示では、不活化≒殺菌として表現することがある。一般に、UVAよりもUVBの方が微生物を不活化させる能力が高く、UVBよりもUVCの方が微生物を不活化させる能力がさらに高いといわれている。特に、UVCの波長はDNAを直接破壊する能力が高く、これにより微生物を不活化する速度が速い。さらに、UVC領域の中で、特に200nm~285nmの波長が、殺菌力が高い。より具体的には222nm、260nmを中心とした波長の殺菌力が高いといわれている。
UV照射装置23の主波長は、紫外線である。換言するとUV照射装置23が照射する光線のうち、出力すなわち放射強度が最も高い波長は紫外線である。本実施の形態であれば、UV照射装置23から手挿入部3の表面に紫外線を照射することにより、手挿入部3の表面に付着している微生物を殺菌できる。このため、手を乾燥するときの気流によって、手挿入部3の外部へ水滴あるいはエアロゾルが飛散した場合でも、周囲への微生物の拡散を確実に防止できる。それゆえ、衛生性が向上する。
本実施の形態におけるUV照射装置23の光源24は、発光ダイオード(LED)である。換言すると、光源24は、紫外線を生成するLEDであり、以下UV-LEDと称される。UV-LEDは水銀を含有していない。一般に、水銀は毒性があり、また、環境に悪い一面がある。UV-LEDは水銀を含有していないため、安全性が高く、環境へ悪影響を与えるリスクが小さい。UV-LEDは、例えば、単一波長のみの出力が高いものである。光源24が生成する光のうち、放射強度が最も高い波長を以下「主波長」という。光源24が生成する光の主波長は、UVA、UVB、UVCのいずれの帯域にあってもよい。特に、光源24が生成する光の主波長は、殺菌力の高いUVC領域にあることが望ましい。
光源24が生成する光の主波長は、220nmから280nmの間にあることが好ましい。より好ましくは、光源24が生成する光の主波長は、220nmから225nmの範囲、または、250nmから285nmの範囲にあることが望ましい。さらに好ましくは、光源24が生成する光の主波長は、255nmから280nmの範囲にあることが望ましい。上記のような波長の範囲であれば、殺菌力が特に高いので、比較的短時間、または比較的低出力、または比較的少数の光源24で、効率良く殺菌することができる。なお、好ましい波長の範囲については、後述するUV-ランプについても同様である。
UV照射装置23の光源24は、LEDではなくランプであってもよい。また、光源24は水銀を有していてもよく、水銀を有していないもの(水銀フリー)であってもよい。水銀を有しているものは、効率・出力が高いため、殺菌力が高い。また、水銀フリーランプは、安全性が高く、環境へ悪影響を与えるリスクが小さい。
一般に紫外線は目に見えない波長である。本実施の形態の光源24が生成する光の主波長は紫外線領域の波長であるが、光源24が生成する光は、可視光領域の波長を含んでいてもよい。例えば、光源24は、青色あるいは紫色の可視光を紫外線とともに生成してもよい。可視光は目に見える光である。例えば、光源24からの光線が照射された際、ユーザは照射された光が何色かを識別することができる。例えば、光源24を視た際、または、光線を視た際、または光線が物体に照射された際、ユーザは、照射された光が何色かを識別することができる。ユーザは、例えば、照射された光が赤色か青色か紫色かといった識別をすることができる。これにより、光源24が点灯しているか消灯しているかを判断することができる。例えば、光源24が本来点灯すべきときに点灯していないことがわかれば、故障が疑われる。つまり、故障を早期に発見することができる。また、UV照射装置23は仕様によっては人体に有害であるため、手乾燥中に光源24が点灯していることが本来の仕様ではない場合がある。そのような仕様において、手乾燥中に光源24が点灯していた場合には、使用を中止する判断に至ることができる。光源24が点灯しているときの手挿入部3の色またはUV照射装置23から照射される光の色と、光源24が消灯しているときの手挿入部3の色またはUV照射装置23から照射される光の色とが異なるようにすることで、上述した効果を達成できる。
手乾燥装置1は、1つ以上のUV照射装置23を備える。手乾燥装置1は、複数のUV照射装置23を備えていてもよい。また、1つのUV照射装置23が光源24を1つだけ備えていてもよく、1つのUV照射装置23が複数の光源24を備えていてもよい。また、複数のUV照射装置23が複数の光源24を備えていてもよい。手乾燥装置1が複数の光源24を備えている場合には、それぞれの光源24が同じ主波長を有していてもよいし、それぞれの光源24が互いに異なる主波長を有していてもよい。主波長が同じ複数の光源24、例えば、同一仕様の複数の光源24を使用する場合には、単価を安くできる可能性がある。また、主波長が異なる複数の光源24を使用する場合には、殺菌速度がより速くなる可能性がある。例えば、主波長がそれぞれ260nm、265nm、275nmの3つの光源24を用いた場合には、主波長が265nmの光源24を3つ用いた場合よりも、殺菌速度が速くなるといわれている。これにより、さらに効率的に殺菌ができる。
手乾燥装置1が複数のUV照射装置23を備える場合、手挿入部3の互いに対向する部位のそれぞれにUV照射装置23が配置されてもよい。例えば、挿入前部3bと、挿入前部3bに対向する挿入後部3cとのそれぞれにUV照射装置23が配置されてもよい。また、挿入右部3hと、挿入右部3hに対向する挿入左部3gとのそれぞれにUV照射装置23が配置されてもよい。1つのUV照射装置23から照射される範囲は限られてしまう。例えば、UV照射装置23から照射される光の大部分は、UV照射装置23に向かい合う面に向かって照射される。例えば、UV照射装置23から照射される光の少なくとも一部は、UV照射装置23に向かい合う面に向かって照射される。例えば、挿入前部3bから挿入後部3cに向かってUV照射装置23から光が照射された場合、挿入後部3cの反射率が低い場合には、挿入前部3bの照度は挿入後部3cに比べ、低くなってしまう。これに対し、挿入後部3cにもUV照射装置23を備えていれば、挿入前部3bの照度が高くなる。このように、手挿入部3の互いに対向する部位のそれぞれにUV照射装置23を配置することで、手挿入部3全体の照度を高くすることができる。
UV照射装置23の少なくとも一部は、手挿入空間5に対して露出する。例えば、光源24は、手挿入部3のうち、手挿入空間5を形成する位置に近い位置に配置される。光源24は前カバー2aより後方に配置される。光源24は前カバー2aの四隅より内側に配置される。光源24は正面視にて前カバー2aにより覆われた位置に配置される。
光源24より下方にはドレンタンク9などの各種収容部及び挿入底部3aが配置される。光源24は側面視にて挿入側部3dに覆われた位置に配置されていてもよい。また、側面視にて光源24が挿入前部3bあるいは挿入後部3cに覆われるように、挿入前部3bあるいは挿入後部3cの形状が折れ曲がった構造の外観または湾曲した構造の外観を有していてもよい。
挿入前部3bは、光源24よりも上方において、一部が後方に突出していてもよい。例えば、光源24が挿入前部3bに配置されている場合、前方突出部3eは、光源24よりも後方に突出していてもよい。
挿入後部3cは、光源24よりも上方において、一部が前方に突出していてもよい。例えば、光源24が挿入後部3cに配置されている場合、後方突出部3fは、光源24よりも前方に突出していてもよい。
挿入側部3dは、光源24よりも上方において、一部が中心側に突出していてもよい。例えば、光源24が挿入側部3dに配置されている場合、挿入側部3dは、光源24よりも上方において、一部が中心側に突出していてもよい。
光源24から照射された紫外線を含む光線を透過させるための部材は、窓部26と呼ばれる。窓部26の詳細については後述する。光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方は、手乾燥装置1の外観の正面視にて視認できない位置に配置される。光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方は、手乾燥装置1の外観の側面視にて視認できない位置に配置される。光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方は、手乾燥装置1の外観の上面視にて視認できない位置に配置される。光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方は、手乾燥装置1の外観の下面視にて視認できない位置に配置される。本開示において、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方が視認できないとは、換言すると、本体筐体2に覆われた位置に、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方が配置されたという意味である。本実施の形態であれば、手乾燥装置1の外観において、前面視と、後面視と、側面視と、上面視と、下面視とのいずれにおいても、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方が、本体筐体2に覆われることで、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方が視認できない。これにより、ユーザが光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方を直視する可能性を減らすことができ、また、光線が眼に入るリスクを低減することができ、安全性が高い。
光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方は、水平方向から視て、視認できない位置に配置されてもよい。また、例えば図7または図8のように、手挿入部3の上面が開口した、箱型の形状を手挿入部3が呈している場合には、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方は、水平方向の0度~360度のいずれの方向から視ても視認できない位置に配置されていても良い。すなわち、鉛直線に垂直ないずれの方向から手乾燥装置1を視たときにも、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方が、本体筐体2に覆われるようにしてもよい。これにより、ユーザが、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方を直視する可能性を減らすことができ、また、光線が眼に入るリスクを低減することができ、安全性が高い。
また、本実施の形態の手乾燥装置1は、本体筐体2の外から、三次元空間内のあらゆる方向の視線によって手乾燥装置1を視たときにも、光源24及びUV照射装置23が視認されないように、光源24及びUV照射装置23が本体筐体2により覆われている。換言すれば、光源24あるいはUV照射装置23から、三次元空間内のあらゆる方向に光線が発せられたと仮定した場合に、光源24から本体筐体2の外へ直接出る光線が存在しないように、光源24及びUV照射装置23が本体筐体2により覆われている。これにより、光源24からの光線が眼に入るリスクをより確実に低減することができ、さらに安全性が高い。
また、本実施の形態の手乾燥装置1は、本体筐体2の外から、三次元空間内のあらゆる方向の視線によって手乾燥装置1を視たときにも、光源24が視認されないように、光源24が本体筐体2により覆われている。換言すれば、光源24から、三次元空間内のあらゆる方向に光線が発せられたと仮定した場合に、光源24から本体筐体2の外へ直接出る光線が存在しないように、光源24が本体筐体2により覆われている。これにより、光源24からの光線が眼に入るリスクをより確実に低減することができ、さらに安全性が高い。
なお、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方は、必ずしも、上述したすべての方向から視認できない位置に配置されていなくてもよい。しかしながら、可能な限り、視認しにくい位置に、光源24及び窓部26の両方、または、光源24及び窓部26のいずれか一方が配置されることが望ましい。
本実施の形態では、光源24は、例えば、直方体形状を呈している。本開示における光源24の形状は、特に限定されず、例えば、円柱形状でもよいし、砲弾型の形状でもよい。砲弾型の形状とは、例えば、半球形状と円柱形状をくっつけたような形状である。
手挿入部3は、ABS樹脂あるいはポリプロピレン等の材料で構成されている。すなわち、手挿入部3は、紫外線の透過率が低い材料で構成されることがある。透過率が低い場合、光線は主に反射または吸収される。光源24は、手挿入部3とカバー部との間に配置される。例えば、光源24が挿入前部3b側の面に配置される場合、光源24は挿入前部3bより前側かつ、前カバー2aの後側に配置される。すなわち光源24は、手挿入部3より手挿入空間5に対して遠い位置に配置される。このため、光源24より手挿入空間5側に近い位置に、透過性の低い材料で構成された手挿入部3がある場合、光源24から照射された光線の大部分は手挿入空間5側に近い手挿入部3に反射または吸収される。具体的には、光源24が挿入前部3b側の面に配置されている場合、光源24から照射された光線の大部分は挿入前部3bに反射または吸収される。この場合、例えば、光源24がある側と対向する側には光源24からの光線はほとんど照射されない。このため、光源24が配置される側の手挿入部3かつ、光源24から照射される光線が、照射される領域については、材料を設けないこと、すなわち開口を設けること、もしくは光透過性がなるべく高い部材を配置することが望ましい。このように光源24から照射された紫外線を含む光線を透過させるための部材は窓部26と呼ばれる。本実施の形態では、手挿入部3に開口を設け、開口に窓部26をはめ込むか、もしくは開口に窓部26を近接させて配置している。
光源24は光軸を中心に放射状に無数の光線を発する。光軸とは、例えば、光源が直方体の場合、直方体の厚み方向に平行な方向である。厚み方向とは、直方体が幅方向、奥行き方向、厚み方向の3方向からなる場合、最も寸法が小さい方向である。光源24のビーム角は、例えば、30度~150度でもよいし、360度でもよい。光源24のビーム角は、好ましくは50度~140度である。ビーム角が30度とは、例えば、光軸に垂直な方向から視た際に、光軸から片側に15度ずつ傾いた向きを示している。ビーム角とは、例えば、光軸の方向への放射強度を100%としたときの放射強度が50%となる角度のことである。例えばビーム角が30度とは、光軸に垂直な方向から視た際に、光軸から片側に15度傾いた位置での放射強度が、光軸方向への放射強度の50%であることを示す。ビーム角が小さすぎると、手挿入部3の一部しか照射できない可能性がある。ビーム角が広すぎると、手挿入空間5外への照射量が多くなってしまう可能性がある。したがって、ビーム角は、小さすぎず、大きすぎないことが望まれる。
光源24の光軸、または、当該光軸の仮想延長線は、手挿入空間5に面する手挿入部3の表面と交わる。光源24が生成した光線の多くは、手挿入空間5に面する手挿入部3の表面に照射される。光源24の光軸の仮想延長線は、光源24に向かい合う面を通る。光源24は、その厚み方向または中心軸が、水平方向に平行となるよう配置されていてもよい。また、光源24は、その厚み方向または中心軸が、水平方向に平行でないように配置されてもよい。この場合、光源24の上側の部分が、光源24の下側の部分よりも、手挿入空間5側に位置するように、光源24が傾く姿勢で配置されることが望ましい。例えば、挿入前部3bの面に近い位置に光源24が配置された場合、光源24の上側の部分が、光源24の下側の部分よりも、後方側に位置するように、光源24が傾いた姿勢が望ましい。そのような姿勢であれば、手挿入部3のやや下側へ向けて紫外線を照射できるので、上方への光線の漏れをより確実に抑制できる。また、水滴の付着量が多い挿入底部3aに紫外線を照射でき、挿入底部3aから飛散した水滴に含まれる微生物の量を減らすことができ、衛生性が高まる。
図17は、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23の斜視図である。図18は、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23の分解斜視図である。図19は、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23の正面図である。図20は、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23の背面図である。図21は、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23を、図19中のB-B線で切断した断面図である。
図18に示すように、UV照射装置23は、光源24の他に、ケース25と、窓部26と、基板27と、ヒートシンク28と、スペーサー29と、シール部材30と、固定部材31と、配線32とを備える。なお、UV照射装置23の構成部品は、これらに限定されるものではなく、適宜省略、追加、代替されるものであってもよい。
ケース25は、UV照射装置23の外観をなす部品である。ケース25は、窓部26が取り付けられる位置に開口を有する。基板27に光源24が設置されている。基板27から光源24に給電されることで、光源24が発光する。窓部26は、光源24を保護する。窓部26は、基板27と反対側から光源24を覆う。光源24により生成された光は、窓部26を透過した後、手挿入空間5と、手挿入空間5に面する手挿入部3の表面とに照射される。
ヒートシンク28は、発光により加熱された光源24及び基板27の熱を散逸させるためのものである。図示の例のヒートシンク28は、表面積を拡大するためのフィンを有している。スペーサー29は、窓部26と光源24の間の距離を保つためのものである。基板27と窓部26との間にスペーサー29が配置される。
シール部材30は、例えば、ケース25と窓部26との隙間を封止することにより、気密性及び液密性を保つ部材である。固定部材31は、複数の部材の位置または位置関係を固定するためのものである。固定部材31は、UV照射装置23あるいは手挿入部3に対して、着脱自在であることが好ましい。固定部材31は、UV照射装置23を、手乾燥装置1または手挿入部3に固定するためのものでもよい。固定部材31は、手乾燥装置1または手挿入部3に対して、ケース25、ヒートシンク28、基板27のうちの少なくとも1つを固定するためのものでもよい。固定部材31は、ケース25と基板27とヒートシンク28とを締結することによりこれらの位置を固定するためのものでもよい。固定部材31は、ケース25とヒートシンク28とを締結することによりこれらの位置を固定するためのものでもよい。固定部材31は、例えば、図示の例のようなネジでもよい。配線32は、基板27を電源部につなぐためのものである。
UV照射装置23は、ヒートシンク28に代えて、またはヒートシンク28に加えて、冷却部を備えていてもよい。冷却部とは、例えば、ファンなどの送風装置である。
図21に示すように、窓部26は、光源24に対して隙間を空けて配置される。当該隙間は、例えば、0.1mm~50mm程度の距離でもよい。窓部26により光源24が保護される。
図示の例の窓部26は、円盤状または円形の板状を呈する。変形例として、窓部26は、例えば、直方体形状を呈するものでもよいし、レンズ状の形状を呈するものでもよい。レンズ状の形状を呈する窓部26によれば、光源24から放射された光を集光することができ、比較的小さいビーム角を達成できる。
窓部26の厚みは、薄く構成される。ただし、手乾燥装置1をユーザが使用する際、あるいは手乾燥装置1の清掃または保守の際に、生じる可能性のある衝撃に耐えうる厚みを窓部26が有することが好ましい。一般に、窓部26の厚みが増すと、その透過率が低下する傾向にある。このため、窓部26の厚みは、例えば、0.5mm~3mm程度である。好ましくは、窓部26の厚みは、1mm~2mm程度である。
窓部26は、入射面と出射面と周面とを備える。入射面は、光源24からの光線が入射する面である。出射面は、入射面とは反対側の面である。出射面は、入射面から入射した光を、対向する手挿入部3の表面へ向けて、または手挿入空間5へ向けて、出射させる面である。周面は、入射面の側方に位置する面である。周面は、出射面の側方に位置する面である。入射面は、出射面に対して、平行でもよい。周面は、入射面と出射面に対して、垂直でもよい。入射面から出射面に至る方向は、厚み方向である。厚み方向についての窓部26の寸法は、例えば、上述した範囲(0.5mm~3mm、または、1mm~2mm)にあることが好ましい。
窓部26がレンズ状の形状を呈している場合には、レンズ状の曲面を呈している面が、入射面及び出射面である。また、窓部26がレンズ状の形状の場合、その凸部を通る中心軸を窓部26が有する。窓部26の中心軸、または中心軸の仮想延長線は、光源24と交差する。つまり、レンズ状の窓部26と、光源24とは、一直線上に配置される。窓部26の中心軸、または、中心軸の仮想延長線は、別の窓部を通過してもよい。つまり、レンズ状の窓部26と、別の窓部とは、一直線上に配置されていてもよい。
光源24の発光面は、窓部26の入射面に対して平行であることが望ましい。光源24の発光面が窓部26の入射面に対して平行でない場合には、透過率が低下する可能性があり、窓部26の出射面からの光が手挿入部3または手挿入空間5に照射される照度が低下する可能性がある。光源24の発光面が窓部26の入射面に対して平行であれば、透過率の低下を確実に抑制できる。
光源24の発光面は、窓部26の入射面に近接した位置に設けられる。光源24からの光線は放射状に進むため、光源24と窓部26の入射面との距離が遠くなると、窓部26に入射しない光線が増える可能性がある。その結果、照射される手挿入部3または手挿入空間5の照度が低下する可能性がある。光源24からの光線のすべてを窓部26に入射させるには、光源24と窓部26との距離が遠くなるほど、窓部26のサイズを大きくする必要がある。光源24と窓部26の距離が近ければ、窓部26のサイズが小さくても、光源24からの光線の全部または大部分を窓部26に入射させることができるので、手挿入部3または手挿入空間5の照度を高くできる。
窓部26は、光源24が生成する紫外線のうち、少なくとも一部の波長の紫外線を透過する材料で作られている。窓部26は、紫外線の透過率が高い材料で作られていることが望ましい。透過率とは、特定の波長の入射光が窓部26を通過する割合である。透過しなかった入射光は、反射するか、窓部26により吸収される。透過率と、反射率と、吸収率との和は、100%になる。例えば、UVAまたはUVBの波長に対する窓部26の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。例えば、UVA及びUVBの波長のうちの大部分に対する窓部26の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、例えば、UVCのうち、200nm以上の波長に対する窓部26の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、UVCのうち、200nm以上の波長の大部分に対する窓部26の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、250nm~285nmの波長に対する窓部26の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、250nm~285nmの波長の大部分に対する窓部26の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、光源24の主波長に対する窓部26の透過率は、80%以上が好ましく、90%以上であることがより好ましい。
図22は、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23の断面図である。手乾燥装置1または手挿入部3またはUV照射装置23は、ネジ33を備える。ネジ33はUV照射装置23を手挿入部3に固定するための固定手段に相当する。UV照射装置23は、手挿入部3に対して、ネジ33等の着脱自在な固定手段により、着脱自在に固定される。なお、着脱自在な固定手段であれば、ネジ33以外の固定手段によって、UV照射装置23を手挿入部3に対して固定してもよい。図22に示す例では、手挿入部3に形成された開口3jから、窓部26と、窓部26の窓枠に相当する部分のケース25とが、手挿入空間5に対して露出するように、UV照射装置23が設置されている。手挿入部3は、手挿入空間5に面する表面とは反対側の裏面から突出するボス3kを有する。ネジ33がケース25をボス3kに締結することによって、UV照射装置23が手挿入部3に対して固定されている。
1つのUV照射装置23が複数の窓部26を備えてもよい。複数の窓部26は、互いに平行に配置されてもよいし、互いにほぼ平行に配置されてもよい。図23は、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23の変形例を示す断面図である。図23に示すUV照射装置23は、第一窓部26aと第二窓部26bを備える。第一窓部26aと第二窓部26bは、複数の窓部26に相当する。第一窓部26aは、光源24を覆う。第二窓部26bは、第一窓部26aを覆う。
光源24と第一窓部26aと第二窓部26bは、一直線上に配置される。好ましくは、第二窓部26bは第一窓部26aに対して平行に配置される。好ましくは、第一窓部26aの入射面は、光源24の発光面に対して平行に配置される。例えば、第一窓部26aと第二窓部26bは、光源24の光軸、または光軸の仮想延長線と、交差する位置に配置される。1つのUV照射装置23が備える複数の窓部26のうちの少なくとも1つが、レンズ状の形状を呈していてもよい。第一窓部26aは、第二窓部26bよりも光源24に近い位置に配置される。第二窓部26bは、第一窓部26aよりも光源24から遠い位置に配置される。第二窓部26bは、シール部材30と協働することで、UV照射装置23の内部、及び、本体筐体2の内部に、水あるいは異物が侵入することを防ぐ。また、第二窓部26bは、光源24に人の手などが接触することを防ぐ機能を有する。第一窓部26aは、光源24に、水、異物、あるいは人の手などが接触することを防ぐ機能を有する。また、第一窓部26aは、光源24を保護する機能を有する。
上述したようなシール性が保たれていれば、1つのUV照射装置23が窓部26を1つだけ備える構成がより好ましい。窓部26により、光線の一部が、反射または吸収される。このため、窓部26の数が少ない方が、手挿入部3または手挿入空間5に対して、より効率的に紫外線を照射できる。特に、窓部26が1つであれば、手挿入部3または手挿入空間5に対して、さらに効率的に紫外線を照射できる。
窓部26は、短波長の紫外線を透過しない性質を有していてもよい。また、窓部26は、フィルタあるいはバンドパスにより、短波長の紫外線を透過しない性質を有していてもよい。窓部26は、例えば180nm以下の波長を透過しない性質を有していてもよい。また、窓部26は、150nm以下の波長を透過しない性質を有していてもよい。短波長の紫外線は人体へ悪影響を及ぼす可能性がある。短波長の紫外線を透過しない性質の窓部26を用いることで、安全性がより高くなる。
窓部26は、UV透過性が高い材料で作られていることが好ましい。窓部26は、例えば石英ガラス製でもよい。窓部26は、例えば合成石英ガラスでもよい。窓部26は、例えば、一部のUVをカットするUVカットガラス製でもよい。窓部26は、例えば、UV透過性の高い樹脂材料で作られていてもよい。窓部26は、例えば、フッ素樹脂製であってもよい。フッ素樹脂とは、例えば、PFA、FEP、ETFE、PCTFEなどである。
窓部26の入射面と出射面の少なくとも1面に、反射防止膜が形成されていてもよい。反射防止膜とは、光源から入射面に入射した光が反射することを防ぐものであり、一般にARコート(Anti Reflection Coating)と呼ばれている。反射防止膜は、公知技術のため、その仕組みの説明は割愛する。反射されなかった光は、透過するか吸収される。例えば、反射されなかった光の大部分は透過し、一部は吸収される。例えばUVB領域に対する石英ガラスの透過率が90%であったとき、反射防止膜による処理を片面に施すと、透過率は94%になり、反射防止膜による処理を両面に施すと、透過率は98%程度になる。このため、反射防止膜を窓部26に設けることで、より効率的に、手挿入部3または手挿入空間5に紫外線を照射できる。石英ガラスに限らず、窓部26として使用する材料に反射防止膜による処理を施してよい。例えば、一般材料に比べ、透過率が高いものの、石英ガラスよりも透過率の劣るフッ素樹脂に反射防止膜による処理を施してもよい。これにより、コストを抑えつつ、透過率を高めることも可能である。
窓部26は、例えば、透明材料、半透明の材料、または透明性の高い材料で作られている。窓部26は、例えば、手挿入部3の大部分よりもUV透過率が高い材料で作られている。窓部26は、例えば、手挿入部3のうち、手挿入空間5に面する部分の大部分よりも、UV透過率が高い材料で作られている。
また、窓部26は、特定の波長の放射強度を低減するフィルタ処理を施されたものであってもよい。フィルタとは例えば、バンドパスフィルタである。例えば、人体に有害な波長を低減するために、窓部26に対してフィルタ処理を適用してもよい。
窓部26は、手挿入部3のうち、手挿入空間5に面する表面に近い位置に配置される。窓部26は、固定部材31あるいはケース25との協働により、手挿入部3との気密性を高めるものであってもよい。窓部26は、その厚み方向または中心軸が、水平方向に平行となるよう配置されていてもよい。また、窓部26は、その厚み方向または中心軸が、水平方向に平行でないように配置されてもよい。この場合、窓部26の上側が、窓部26の下側よりも、手挿入空間5側に位置するように、窓部26が傾く姿勢で配置されることが望ましい。例えば、挿入前部3bの面に近い位置に窓部26が配置された場合、窓部26の上側が、窓部26の下側よりも、後方側に位置するように傾いた姿勢が望ましい。また、窓部26を傾けた際は、窓部26の中心軸が、光源24の光軸に平行に配置されることが望ましい。すなわち、光源24の光軸も傾いていることが望ましい。この場合、光源24の光軸は、水平より下向きに傾斜する。このため、手挿入部3のやや下側へ紫外線を照射でき、上方への光線の漏れを抑制できる。また、水滴の付着量が多い挿入底部3aに紫外線を照射でき、挿入底部3aから飛散した水滴に含まれる微生物の量を減らすことができ、衛生性が高まる。
窓部26は、手挿入部3に設けられた開口に、はめ込むようにして固定されてもよい。窓部26が配置されている手挿入部3の面と、窓部26とが、ほぼ同一面上に配置されてもよい。窓部26は、窓部26の周囲の手挿入部3よりも、カバー部に近い位置、つまり手挿入空間5から遠い位置、に配置されてもよい。つまり、窓部26は、窓部26の周囲の手挿入部3よりも窪んだ位置、または一段窪んだ位置、に配置されてもよい。
例えば、挿入前部3bの面に窓部26が配置される場合、窓部26は、窓部26の周囲の挿入前部3bよりも、前カバー2aに近い位置つまり前方に配置される。このように、窓部26が、その周囲の手挿入部3よりも、手挿入空間5から遠い位置、または窪んだ位置に配置されることで、手を挿入する時に窓部26に手が触れにくく、窓部26が傷つきにくい。これにより、窓部26の傷つきなどによって窓部26の透過率が低下することを防止しやすい。また、窓部26の周囲の手挿入部3の開口の縁は、一段、手挿入空間5側に突出した形状を呈していてもよい。これにより、手を挿入する時に窓部26に手が触れにくく、窓部26の傷つきを防止しやすい。
窓部26と、窓部26が配置される手挿入部3は、密着性を高めるため、距離が一定に保たれている。例えば、シール部材30の厚み分の距離だけ、窓部26が手挿入部3から離れている。例えば、窓部26の厚み方向または中心軸が水平方向に平行な場合、すなわち、窓部26が鉛直方向に沿って延びる場合、窓部26の周囲の手挿入部3も、鉛直方向に沿って延びる。一方、前述したように窓部26の上側が窓部26の下側よりも手挿入空間5側に近い場合、窓部26の周囲の手挿入部3においても、窓部26の上側に近い位置の手挿入部3が、窓部26の下側に近い位置の手挿入部3よりも、手挿入空間5に近い位置に配置される。すなわち、手挿入部3は、部分的に、手挿入空間5側に出っ張った形状を呈していていもよい。これにより、窓部26と、窓部26が配置される手挿入部3の周囲との間の密着性をより高度に保つことができる。手挿入部3の出っ張った位置と、出っ張った位置の周囲との間は、滑らかに形成されていることが望ましい。これにより、出っ張った位置に水がたまりにくい。
窓部26の周辺かつ上方の手挿入部3は、手挿入空間5側へ突出する突出部を有していてもよい。これにより、光源24から照射された光線が直接上方へ照射されることを防ぐ。これにより、上方への光線の漏れ量を軽減することができる。
ケース25は、UV照射装置23の外観をなすものである。ケース25とヒートシンク28との間には、シール部材30、窓部26、光源24、スペーサー29、及び基板27が配置される。ケース25は、手挿入部3と接触するようにして配置される。ケース25は、固定部材31を介して手挿入部3に接するように固定されてもよい。ケース25は、固定部材31を介さずに手挿入部3に固定されてもよい。例えば、圧入またはスナップフィットの技術を用いて、ケース25が手挿入部3に固定されてもよい。あるいは、ケース25の外周に設けられた雄ネジが、手挿入部3に形成された開口の内周に設けられた雌ネジに対して螺合することによって、ケース25が手挿入部3に固定されてもよい。
UV照射装置23は、ケース25を必ずしも備えていなくてもよい。ケース25の以外のUV照射装置23の部品が手挿入部3に固定されてもよい。ケース25は、手挿入部3の表面と同等の位置に配置されるか、手挿入部3の表面よりも奥まった位置に配置される。例えば、ケース25は、ケース25周辺の手挿入部3と比べて、手挿入空間5から同等の距離の位置、または手挿入空間5からの距離がわずかに遠い位置に配置される。これにより、ユーザが手挿入空間5に手を入れたときにケース25に手を触れる可能性が少なく、衛生的である。ケース25は、その中心付近に開口を有する。当該開口は、光源24から照射された光を通すためのものである。ケース25は、シール部材30を固定するための溝を有していてもよい。シール部材30を溝にはめ込むことで、シール部材30の周方向への位置決めがされる。
UV照射装置23が有する固定部材31は、例えばネジである。固定部材31にネジ以外のその他のものが用いられてもよい。固定部材31は、例えば、UV照射装置23を手挿入部3に固定するためのものである。
本開示では、手挿入部3とUV照射装置23との隙間を埋めるためシール部材が設けられてもよい。当該シール部材と、前述したシール部材30とを総称して以下「シール部材30」と呼ぶ。シール部材30は、例えば、手挿入部3よりも柔らかい材料で構成される。シール部材30は、例えば、手挿入部3の大部分よりも柔らかい材料で構成される。シール部材30とは、一般にパッキン、オーリング、ガスケット等と呼ばれる部品であってもよい。シール部材30とは、例えば、ゴム、シリコン、エラストマ等の軟質材である。シール部材30は、手挿入部3に対して、インサート成型された一体型の部品であってもよい。UV照射装置23は、固定部材31等を介して、手挿入部3に固定される。シール部材30は、複数設けられていてもよい。シール部材30は、例えば、手挿入部3とケース25の間に介在し、手挿入部3とケース25をシールするためのものである。シール部材30は、例えば、手挿入部3と窓部26の間に介在し、手挿入部3と窓部26をシールするためのものである。シール部材30は、例えば、ケース25と窓部26の間に介在し、ケース25と窓部26をシールするためのものである。シール部材30は、固定部材31によりUV照射装置23が固定されたときに断面がややつぶされる。例えば、シール部材30の断面積は、例えば10%-20%程度、圧縮によって減少する。このようにシール部材30が変形することで、シール性が高められる。手挿入部3には、濡れた手から飛散した水が付着する。シール部材30が無い場合には、手挿入部3とUV照射装置23のわずかな隙間から、本体筐体2の内側、あるいはUV照射装置23の内部に、水が浸入する可能性がある。シール部材30が無い場合には、ケース25と窓部26とのわずかな隙間から、本体筐体2の内側、あるいはUV照射装置23の内部に、水が浸入する可能性がある。UV照射装置23に水が付着した場合には、故障する可能性がある。上述したシール部材30を用いることで、水の浸入を抑制することができる。
ヒートシンク28は、基板27及び光源24の熱を散逸させることで、それらを冷却し、それらの温度上昇を抑制するためのものである。ヒートシンク28は、基板27に対して光源24とは反対側の面または当該面の近傍に取り付けられる。ヒートシンク28は基板27に直接または間接的に接するように固定される。基板27の少なくとも一部、またはヒートシンク28の少なくとも一部は、吹出風路または排気風路にさらされるよう位置していてもよい。これにより、手乾燥装置1の作動時の気流により、基板27またはヒートシンク28を冷却することができる。その結果、通常時の自然対流によるヒートシンク28の放熱に加え、ユーザが手乾燥装置1を使用する際に、強制対流により放熱効率をさらに高めることができる。また、手が挿入されていないときは、送風機10を微風運転することで、基板27またはヒートシンク28を冷却してもよい。微風運転とは、手乾燥装置1が手に乾燥風を送ることで手を乾燥させるために設定している最低風量あるいは最低風速と同等の風量あるいは風速をもたらす運転でもよいし、その最低風量あるいは最低風速よりもさらに低い風量あるいは風速をもたらす運転でもよい。または、微風運転とは、手乾燥装置1が手に乾燥風を送ることで手を乾燥させるために設定している運転のうちで運転音が最も静かな運転と同等の運転音をもたらす運転でもよいし、当該最も静かな運転よりもさらに静かな運転音をもたらす運転でもよい。微風運転によれば、手が挿入されていないときも基板27またはヒートシンク28を冷却することができる。風量を調整する手段として、送風機10のモータがブラシレスモータであると、風量を制御しやすいため望ましい。
基板27は光源24を発光させるためのものである。基板27は、光源24に対して、電気的に接続される。基板27は、電源部に対して、電気的に接続される。基板27は、板状の形状を呈していてもよい。例えば、光源24の光軸は、基板27に対して、垂直に配置される。基板27には、他の各種の電子部品あるいは電気部品が接続されていてもよい。基板27は、外力を加えた場合、例えば片手で力を加えた場合に、変形しない程度の固さを有してもよい。あるいは、基板27は、片手で力を加えた際に変形する程度の剛性を有してもよい。また、基板27は、自重により湾曲する程度の剛性を有してもよい。例えば、基板27の一部が1mm以下の厚みであれば、その部分の剛性が低くなる。例えば、基板27の一部が0.1mm以下の厚みであれば、その部分の剛性はさらに低くなる。また、切れ込みが入った形状を基板27が有していれば、剛性は低くなる。基板27の一部は、フィルム状の薄い部分があってもよい。このような構成であれば、基板27が容易に変形でき、かつ、曲がった状態を維持することができる。
例えば、平板状の1つの基板27に2つの光源24を配置する場合、光源24の光軸は、平行に配置されることになる。しかし、手挿入部3の全体に紫外線を照射するには、2つの光源24の光軸が互いに非平行になるようにして照射する方が効率的である。この場合、1つの基板27に1つの光源24を搭載し、2つの基板27を異なる角度に配置することで、2つの光源24の光軸が非平行状態となるように配置される。例えば、上述したような基板27の剛性が低い場合には、基板27を曲げたままの状態で、UV照射装置23の一部品として使用することができる。これにより、1つの基板27に複数の光源24を配置した上で、それら複数の光源24の光軸を異なる向きに配置することができる。これにより、基板27の数を少なくでき、省スペース化につながる。
スペーサー29は、基板27と窓部26の間の距離を一定に保つ機能を有する。スペーサー29は、例えば、樹脂材料または金属材料からなる。スペーサー29の形状は、中空の円筒形状でもよいし、中空の角筒形状でもよい。スペーサー29は、窓部26と同等の外形を有していてもよい。例えば、窓部26の外形が円形であれば、スペーサー29の形状は、中空の円筒形状であってもよい。また、窓部26の外形が直方体形状であれば、スペーサー29の形状は、中空の角筒形状であってもよい。スペーサー29の一端側には基板27が接する。スペーサー29の他端側には窓部26が接する。
スペーサー29は、厚み方向、幅方向、及び、長さ方向を有する。スペーサー29が中空の円筒形状の場合、幅方向についてのスペーサー29の長さは、長さ方向についてのスペーサー29の長さに等しい。厚み方向についてのスペーサー29の長さは、幅方向についてのスペーサー29の長さより短く、かつ、長さ方向についてのスペーサー29の長さより短い。例えば、互いに直交するx方向、y方向、及びz方向の3軸のうち、最も長さが短い方向についての寸法が、スペーサー29の厚み方向の寸法に相当する。スペーサー29は、厚み方向において、対向する面を有する。厚み方向についてのスペーサー29の長さは、厚み方向についての光源24の長さより長い。スペーサー29は、厚み方向に沿った軸を有する。スペーサー29の軸は、光源24の光軸と平行であることが望ましい。スペーサー29の軸は、中心軸であってもよい。また、光源24の光軸の仮想延長線、及び、スペーサー29の厚み方向の軸の仮想延長線が、挿入底部3aまたは対向する面を通るように、光源24及びスペーサー29が配置されることが好ましい。スペーサー29が中空形状を有し、スペーサー29の内側、つまりスペーサー29の中空部分に、光源24が配置されてもよい。スペーサー29の厚み方向が、光源24の厚み方向と、一致するか、ほぼ一致するように、光源24及びスペーサー29が配置されることが好ましい。スペーサー29の厚み方向における一側の面は、手挿入空間5に近い面に相当し、当該一側の面に対向する面は、手挿入空間5から遠い面に相当する。スペーサー29及び光源24は、基板27に接する。スペーサー29の厚み方向における手挿入空間5から遠い面と、光源24の厚み方向における手挿入空間5から遠い面とは、基板27に接する。つまり、スペーサー29の厚み方向における手挿入空間5から遠い面と、光源24の厚み方向における手挿入空間5から遠い面とは、同一平面上に配置されるか、ほぼ同一の平面上に配置される。このことと、厚み方向についてのスペーサー29の長さが、厚み方向についての光源24の長さよりも長いこととの結び付きにより、スペーサー29の厚み方向における手挿入空間5に近い面は、光源24の厚み方向における手挿入空間5に近い面よりも、手挿入空間5に近い位置に配置される。これにより、光源24から照射された光線は、光源24の厚み方向における手挿入空間5に近い面よりも前側で、スペーサー29に当たって反射する。
基板27の表面には光源24が実装される。光源24は、基板27、窓部26、及びスペーサー29に囲まれるようにして、配置される。このようにすることで、光源24の外部からの衝撃による光源24の破損をより確実に防止することができる。スペーサー29は、紫外線反射率が高い材料で構成されていてもよい。スペーサー29は、光源24が生成する光のうち、少なくとも、主波長の光を反射するように構成されていてもよい。例えば、スペーサー29が高い吸収率を有する場合のように、スペーサー29の反射率が低い場合には、スペーサー29に一部の光線が吸収されてしまい、手挿入部3に届く光線の照度が低下してしまう。また、例えば、スペーサー29が高い透過率を有する場合のように、スペーサー29の反射率が低い場合には、光源24から広範囲に照射された光線を手挿入部3に照射させるために、サイズの大きい窓部26が必要となる。窓部26が大きい場合、その強度を確保するため、その厚みを厚くする必要がある。窓部26の厚みが増すと、透過率が低下してしまう。使用する光源24が生成する紫外線の波長に対する反射率が高いスペーサー29を用いることで、広角に照射された光線を反射させることができ、窓部26のサイズを抑え、薄肉化でき、照度の低下を抑制することができる。反射率が高い材料とは、例えば、樹脂としてはフッ素樹脂が挙げられ、金属としては、アルミニウム、アルマイト加工、蒸着等の表面処理を施した部材などが挙げられる。反射率が高いとは、例えば、光源24の主波長に対する反射率が80%以上、好ましくは90%以上のものである。あるいは、反射率が高いとは、手挿入部3に使用されるその他の材料と比較したときに相対的に反射率が高いことであってもよい。
なお、スペーサー29は、中空の形状でなくてもよい。光源24がスペーサー29に、360度または全周、囲まれていることが望ましいが、そのような構成に限定されない。例えば、光源24は複数のスペーサー29によって囲まれていてもよい。例えば、光源24は間隔を空けて設けられた複数のスペーサー29によって囲まれていてもよい。例えば、光源24の中心及び光軸を中心として、180度以上の範囲にわたって、光源24がスペーサー29に囲まれていてもよいし、270度以上の範囲にわたって、光源24がスペーサー29に囲まれていてもよい。スペーサー29の形状は、円形あるいは角形ではなく、例えば、C字状、U字状、またはアーチ状のように、一部が欠けているような柱形状であってもよい。ただし、スペーサー29の形状は、四方がふさがれた中空の円形または中空の角形が好ましい。スペーサー29が窓部26あるいはシール部材30と協働して、光源24に水あるいは塵埃が入りにくい構造となるからである。同じ理由から、一部が欠けている形状をスペーサー29が有する場合には、その欠けた範囲がなるべく少ない形状であることが好ましい。また、スペーサー29の欠けた部分の位置は、鉛直方向の下側の位置であることが好ましい。例えば、光源24の中心よりも鉛直方向の下側における範囲内に、スペーサー29の欠けた部分があってもよい。例えば、鉛直方向の位置に関して光源24の下端よりも下側における範囲で、スペーサー29が欠けていてもよい。例えば、スペーサー29の形状は、中空の角柱の、底辺つまり下側の部分が欠けた、C字状またはU字状の形状であってもよい。中空の円筒形状または中空の角柱形状を有するスペーサー29の内側すなわち中空部分に配置された光源24から照射された光線の一部は、スペーサー29に当たって反射する。スペーサー29に一度だけ当たって反射した光線は、手挿入部3側へ進む。このとき、スペーサー29のうち、鉛直方向の下側の部分に一度だけ当たって反射し、その後スペーサー29に当たらずに手挿入部3側へ進んだ光線は、鉛直方向の上方へ進む。このような光線は、手挿入部3に当たらず、手乾燥装置1が設置されている空間に照射されることになる。これに対し、鉛直方向の下側の部分が欠けたスペーサー29であれば、スペーサー29に当たって反射して手乾燥装置1が設置されている空間に照射される光線を少なくすることができる。これにより、周辺にいる人に被ばくするリスクを低減できる。
UV照射装置23の固定は、固定部材31に限定されない。例えば、固定部材31は、手乾燥装置1の一部でもよいし、手挿入部3の一部であってもよい。固定部材31は、ケース25の一部でもよいし、ヒートシンク28の一部であってもよい。また、UV照射装置23を固定できれば、固定部材31は備えていなくてもよい。
図24から図27のそれぞれは、実施の形態1による手乾燥装置1が備えるUV照射装置23の他の変形例を示す断面図である。図24から図27のそれぞれが示すUV照射装置23の変形例は、ケース25を有しない例である。図24から図27のそれぞれの変形例では、ネジ33がヒートシンク28を手挿入部3のボス3kに締結することによって、UV照射装置23が手挿入部3に対して固定されている。
図24が示す変形例及び図25が示す変形例では、窓部26と手挿入部3との隙間をシール部材30が封止している。
図25から図27のそれぞれが示す変形例は、スペーサー29を有しない例である。これらの変形例では、窓部26が手挿入部3によって保持されている。
図25が示す変形例では、ボス3kから内周側へ突出する突出部3mによって、窓部26が支持されている。
図26及び図27のそれぞれが示す変形例は、シール部材30を有しない例である。
図26が示す変形例では、ブッシュ34を用いて窓部26が手挿入部3に取り付けられている。ブッシュ34の外周部は、手挿入部3に形成された開口の内周部に嵌合する。窓部26の外周部は、ブッシュ34の内周部に嵌合する。ブッシュ34は、例えば、ケーブルブッシュに似た構造を有する。ブッシュ34は、窓部26と手挿入部3との隙間を封止する機能を兼ね備えてもよい。この場合、窓部26を手挿入空間5側から光源24に向かって押し込むことで窓部26が取り付けられる。
手乾燥装置1は、UV照射装置23が取り外し可能となるように構成されていてもよい。換言すると、UV照射装置23は、手乾燥装置1の手挿入部3から、取り外し可能となるように構成されていてもよい。また、手乾燥装置1のうち、UV照射装置23を除いた本体部分と、UV照射装置23とが分離可能であり、当該本体部分からUV照射装置23を取り外すことができるように、手乾燥装置1が構成されていてもよい。手乾燥装置1は、UV照射装置23を取り外して、新しいUV照射装置23に取り換えることができるように構成されていてもよい。そのようにすることで、光源24が寿命に達して性能が低下した場合に、新しいUV照射装置23に取り換えることで、性能を回復させることができる。また、新しいUV照射装置23に取り換えることで、窓部26あるいはシール部材30などの性能も回復することができる。また、固定部材31を取り外すことにより、ケース25あるいはシール部材30を手乾燥装置1に取り付けたままで、光源24あるいは窓部26を交換することもできる。つまり、取り外す部位に応じて、また必要に応じて、UV照射装置23の全体を交換したり、UV照射装置23の一部を選択的に交換したりすることを、容易に行うことができる。また、固定手段としてのネジ33、あるいは固定部材31を取り外すことで、光源24を含む光源部を取り外すことができる。つまり、複数の方法または複数の部位の取り外しにより、当該光源部を取り外すことができる。既に述べた通り、光源24あるいは窓部26の上側の部分が、光源24あるいは窓部26の下側の部分よりも、手挿入空間5側に位置することが好ましい。つまり、UV照射装置23全体として、上側の部分が、下側の部分よりも、手挿入空間5側に位置していてもよい。この場合、固定部材31を取り外して、光源24あるいは窓部26を交換する際に、シール部材30が落下しにくくなるので、着脱と交換の作業が容易となる。
図27が示す変形例では、両面粘着テープ35を用いて窓部26が手挿入部3に取り付けられている。窓部26の周縁部が、手挿入部3に形成された開口の縁部に対して、両面粘着テープ35により接着されている。窓部26と手挿入部3との隙間を両面粘着テープ35が封止している。
固定手段としてのネジ33あるいは固定部材31を取り外すことで、窓部26あるいはUV照射装置23を取り外すことができる。このように、手乾燥装置1は、窓部26が取り外し可能となるように構成されていてもよい。手乾燥装置1は、窓部26を取り外して、新しい窓部26に取り換えることができるように構成されていてもよい。そのようにすることで、窓部26が劣化して透過率が低下した場合に、新しい窓部26に取り換えることで、透過率を回復させることができる。なお、窓部26がUV照射装置23とは別体の場合には、UV照射装置23を取り外すことなく窓部26を取り外せるように構成されていてもよい。また、窓部26がUV照射装置23と一体の場合には、UV照射装置23ごと新しいものに取り換えることで、窓部26を新しいものに取り換えてもよい。
手挿入空間5に面する手挿入部3の表面は、白色を呈していてもよい。あるいは、手挿入空間5に面する手挿入部3の表面は、黒色または黄色を呈していてもよい。また、挿入底部3aの表面は、挿入周囲部の表面と異なる色を呈していていもよい。また、挿入底部3aの表面が黒色または黄色を呈し、挿入周囲部の表面が、挿入底部3aとは異なる色、例えば白色を呈してもよい。UV照射装置23からの紫外線照射により、手挿入部3が長時間紫外線にさらされると、手挿入部3の色が変化する可能性がある。特に、手挿入部3が白色であると、色の変化にユーザが気づきやすく、悪い印象をユーザに与える可能性がある。挿入底部3aには、紫外線を重点的に照射させることが好ましい。このため、特に、挿入底部3aの色は、紫外線照射による色の変化にユーザが気づきにくい色、あるいは変色しにくい色であることが好ましい。
手乾燥装置1は、手検知部21による検知に応じて、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成された出力変更手段をさらに備えてもよい。紫外線は、人体に当たると有害な場合がある。手検知部21が手を検知したことに応じて、出力変更手段が、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするようにすれば、人体に紫外線が当たることをより確実に防止できる。出力変更手段は、光源24の電流を調整することで、光源24の出力を調整できる。本実施の形態における出力変更手段は、例えば、制御部22により達成されてもよいし、制御部22とは別の制御部(図示省略)により達成されてもよい。
ここで、手検知部21は、手挿入部3の手挿入空間5に挿入された手、または、手挿入部3に配置された手、の有無を検知できる。手乾燥装置1の制御部22は、手が無いことを手検知部21が検知している場合に、UV照射装置23が紫外線を照射するように構成されていてもよい。手挿入部3に手が無いときにUV照射装置23が紫外線を照射することで、安全性と衛生性をより確実に両立できる。
図10に示すように、手乾燥装置1は、人検知部39をさらに備えてもよい。人検知部39は、手乾燥装置1に近づいた人体を検出する人検知手段の例である。人検知部39は、例えば、本体筐体2に設置された人感センサを有していてもよい。なお、本開示による手乾燥装置は、人検知手段を備えていないものでもよい。例えば、人検知部39は、手乾燥装置1に対して、所定の距離よりも近い位置にいる人体を検知する。例えば、人検知部39は、手乾燥装置1に対して、所定の距離よりも近い位置にいる人体が動いたことを検知する。例えば、人検知部39は、手乾燥装置1に対して、所定の領域に立っている人を検知する。例えば、人検知部39は、人体の姿勢を検知する。例えば、人検知部39は、ユーザが手挿入部3の手挿入空間5に手を入れる直前の姿勢を検知する。例えば、人検知部39は、片手もしくは片腕、または、両手もしくは両腕が、人が通常の姿勢で直立しているときに比べて、前方もしくは上方に位置していることを検知する。例えば、人検知部39は、ユーザが手挿入部3の手挿入空間5に手を入れる際に、手検知部21が手を検知するよりも早く、ユーザの存在を検知するものである。例えば、人検知部39は、手を検知するものであってもよい。
手乾燥装置1は、人検知部39による検知に応じて、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成された出力変更手段をさらに備えてもよい。人検知部39が人を検知したことに応じて、出力変更手段が、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするようにすれば、人体に紫外線が当たることをより確実に防止できる。
紫外線照射量は、照度と、照射時間との積に比例する。照度が一定であるとすれば、手挿入部3内を十分に殺菌するために必要な紫外線照射量に対応した照射時間を算出できる。
UV照射装置23は、その通算の照射時間が長くなると、光源24が寿命に近づいて劣化したり、窓部26の劣化によって透過率が低下したりして、出力及び照度が低下する可能性がある。また、手挿入部3の構成材料が、紫外線照射を受けることで、劣化する可能性がある。これらの事象をなるべく回避するために、UV照射装置23の1回の照射時間が、手挿入部3内を十分に殺菌するために必要な時間に達した場合には、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにすることが望ましいと言える。手挿入部3内を十分に殺菌するために必要な1回の照射時間を、以下、「必要殺菌時間」と称する。
出力変更手段は、手検知部21が手を検知しない状態が続いた時間、または、人検知部39が人を検知しない状態が続いた時間が、基準を超えると、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成されていてもよい。手検知部21が手を検知しない状態が続いた時間、または、人検知部39が人を検知しない状態が続いた時間が、基準を超えたときには、UV照射装置23の1回の照射時間が必要殺菌時間に達したとみなせる。このときに、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにすることで、照射時間が必要以上に長くなることを防止できる。それゆえ、光源24の寿命を延ばしたり、窓部26の透過率低下を防止したり、手挿入部3の構成材料の劣化を防止したりする上で、有利になる。
手乾燥装置1が手検知部21及び人検知部39の両方を備える場合には、出力変更手段は、手検知部21が手を検知せず、かつ、人検知部39が人を検知しない状態が続いた時間が、基準を超えると、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成されていてもよい。手検知部21が手を検知せず、かつ、人検知部39が人を検知しない状態が続いた時間が、基準を超えたときには、UV照射装置23の1回の照射時間が必要殺菌時間に達したとみなせる。このときに、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにすることで、照射時間が必要以上に長くなることを防止できる。それゆえ、光源24の寿命を延ばしたり、窓部26の透過率低下を防止したり、手挿入部3の構成材料の劣化を防止したりする上で、有利になる。
出力変更手段あるいは制御部22は、UV照射装置23による紫外線の照射が続いている時間が基準を超えると、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成されていてもよい。これにより、1回の照射時間が必要以上に長くなることを防止できる。それゆえ、光源24の寿命を延ばしたり、窓部26の透過率低下を防止したり、手挿入部3の構成材料の劣化を防止したりする上で、有利になる。
手乾燥装置1は、UV照射装置23が紫外線を照射しているときに、その旨を報知する照射報知手段をさらに備えていてもよい。例えば、表示部4が照射報知手段として用いられてもよい。例えば、UV照射装置23が紫外線を照射しているときに、制御部22は、紫外線照射の実行中であることを、表示部4によりユーザに報知してもよい。紫外線は目に見えないので、照射報知手段がないと、UV照射装置23による紫外線照射が実行中であるかどうかをユーザが知覚できない可能性ある。これに対し、照射報知手段によれば、UV照射装置23による紫外線照射が実行中であるかどうかをユーザがより確実に知覚することができる。
手乾燥装置1は、手挿入部3の衛生状態を報知する衛生状態報知手段をさらに備えていてもよい。例えば、表示部4が衛生状態報知手段として用いられてもよい。制御部22は、手挿入部3の衛生状態を、複数段階に分類して、評価してもよい。例えば、制御部22は、前回の手の乾燥が終了した後のUV照射装置23の照射時間が必要殺菌時間に達している場合には、手挿入部3の衛生状態が最良と評価し、前回の手の乾燥が終了した後のUV照射装置23の照射時間が、必要殺菌時間よりも短い第一基準時間を超え、かつ必要殺菌時間に達していない場合には、手挿入部3の衛生状態が良好であると評価し、前回の手の乾燥が終了した後のUV照射装置23の照射時間が第一基準時間に達していない場合には、手挿入部3の衛生状態が不良と評価してもよい。制御部22は、例えば、そのようにして評価された手挿入部3の衛生状態を、表示部4によりユーザに報知してもよい。手挿入部3の衛生状態が最良であることが衛生状態報知手段により報知されている場合、あるいは手挿入部3の衛生状態が良好であることが衛生状態報知手段により報知されている場合には、ユーザは、より安心して、手乾燥装置1を使用できる。その一方で、手挿入部3の衛生状態が不良であることが衛生状態報知手段により報知されている場合には、ユーザは、例えば、手乾燥装置1の使用を控えるなどの対策をとることで、リスクを回避できる。
図28は、反射部36の断面図である。手乾燥装置1は、1または複数の反射部36をさらに備えていてもよい。より具体的には、手挿入部3は、UV照射装置23から照射された紫外線を反射する反射部36をさらに備えていてもよい。反射部36は、手挿入空間5に面するように配置される。反射部36は、紫外線の反射率が高い部材である。本開示において、「紫外線の反射率が高い」とは、特定の紫外線波長、反射部36に照射される波長、あるいは光源24の主波長の光線に対する反射率が、50%以上であることに相当し、好ましくは80%以上であることに相当し、さらに好ましくは90%以上であることに相当する。例えば、10mWの光線が反射部36に入射した場合に、反射部36は、5mW以上を反射し、好ましくは8mW以上を反射し、さらに好ましくは9mW以上を反射する。
反射部36の反射の性質は、鏡面反射または拡散反射のいずれであってもよい。鏡面反射は鏡のように反射するものであり、反射面に対して入射角と反射角が等しく反射するものである。例えば、鏡面反射は反射部36を正面から視たときに顔が鏡のようにはっきり映るものであり、反射部36を視た際に像がはっきり映るものは鏡面反射であると簡易的に確認できる。対し、拡散反射は入射した光が反射面で様々な方向へ乱反射するものであり、光沢または艶がないもの、表面の粗いもの等である。反射部36は鏡面反射と拡散反射の両方の反射の性質を持つ部材であってもよい。
例えば、鏡面反射の反射部36を用いた場合、特定の領域へ向けて光を反射させることができる。例えば、手挿入部3にUV照射装置23を1つのみ配置した場合、反射を用いないと、UV照射装置23が配置された部分の手挿入部3には、紫外線が照射されにくい可能性がある。これに対し、UV照射装置23が配置された部分の手挿入部3と向かい合う部分の手挿入部3に反射部36を配置することで、反射部36にて反射した紫外線を、UV照射装置23が配置された部分の手挿入部3に照射することが可能となる。例えば、挿入前部3bにUV照射装置23を配置し、挿入後部3cに反射部36を配置した場合には、反射部36にて反射した紫外線が挿入前部3bに照射されることで、挿入前部3bの照度を高めることができる。拡散反射は様々な方向へ乱反射する性質を有する。このため、拡散反射の反射部36を用いた場合には、例えば、手挿入部3全体の照度を高めることができる。以上のように、反射部36を設けることで、殺菌力をさらに高めることができる。なお、鏡面反射と拡散反射の使い方の一例を説明したが、使い方はこれに限定されない。
反射部36は、反射率の高い材料として、例えば、金属またはフッ素樹脂を用いて作られたものであることが望ましい。金属とは、例えば、アルミニウムである。フッ素樹脂とは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。また、反射部36は、反射率を高める処理として、例えば、アルマイト処理、コーティング表面処理、塗装、フィルム貼り付け、蒸着、等の処理が施されたものであってもよく、複数の処理が施されたものであってもよい。また、上述したような反射率を高める処理が施される場合には、反射部36の生地または母材は、反射率が低い材料であってもよい。
反射部36は、例えば、板状の部材でもよい。反射部36は、反射面36aと、裏面36bと、反射側壁部36cとを備えてもよい。反射面36aは、例えば、実質的に長方形の形状でもよい。反射部36は、例えば、実質的に直方体の形状でもよい。本開示において、「実質的に長方形」または「実質的に直方体」には、角が面取り処理されたもの、及び、辺が丸みを帯びているものが含まれる。また、手挿入部3へ固定するために、開口、切れ込み、切り欠き、凹み、または窪みが、反射部36に設けられていてもよい。なお、反射部36の形状は、手挿入部3の複数の面にわたって配置されるような形状であってもよい。
反射部36の厚みは、例えば、0.2mm~5mm程度であり、好ましくは0.5mm~3mm程度である。反射部36の厚みと、例えば、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向の3軸のうち、最も長さが短い方向についての反射部36の寸法に相当する。
反射部36の裏面36bは、反射面36aの反対側の面である。裏面36bは、反射面36aよりも手挿入部3に近い位置に配置される。裏面36bは、手挿入部3に直接または間接的に接する。間接的に接するとは、例えば、両面粘着テープまたは接着剤等の接着部材を介して接することである。裏面36bは大部分が平坦な面である。裏面36bは反射面36aに対して実質的に平行な面である。
反射側壁部36cは、反射部36の側壁である。反射側壁部36cは、複数の側壁からなる。例えば直方体の反射部36であれば、反射面36aと裏面36bを除く4面が反射側壁部36cである。反射側壁部36cは、反射面36a及び裏面36bに対する側壁である。反射側壁部36cは、反射面36a及び裏面36bに対して、垂直に形成されていてもよいし、傾斜していてもよい。
手挿入部3の挿入周囲部の、手挿入空間5に面する表面のうち、半分以上の面積を占める領域に、反射部36が設けられていてもよい。反射部36の形状は、平板に限定されない。例えば、反射部36は、手挿入部3の少なくとも一部に沿って曲がった形状をしていてもよい。例えば、反射部36は、手挿入部3の少なくとも一部の形状に沿って貼り付けて使用されるものでもよい。この場合、反射部36は、例えば、シート状またはフィルム状のものである。このような反射部36であれば、手挿入部3の形状に合わせた複雑な形状の反射部36を容易に形成することができる。これにより、反射部36を任意の形状にすることができる。
反射部36を手挿入部3に固定する方法としては、例えば、粘着テープまたは接着剤等による接着、ネジなどによる締結、はめ込み、はめ殺し、嵌合などが挙げられる。
また、反射部36を手挿入部3に取り付けることに代えて、手挿入部3自体が、反射率の高い材料で作られたものであってもよい。すなわち、反射部36を手挿入部3と一体にしてもよい。換言すると、手挿入部3の、手挿入空間5に面しない裏面側も、反射率の高い材料で形成されていてもよい。例えば、反射率の高い材料である、金属あるいはフッ素樹脂で、手挿入部3が作られていてもよい。反射部36を手挿入部3と一体にした場合には、使用時に加わる外力、あるいは経年劣化の影響を受けても、反射部36が手挿入部3から剥がれたり外れたりすることがないという利点がある。
反射部36の反射面36aは、反射部36の周辺の手挿入部3の表面の位置に比べて、突出した位置にあってもよいし、同一面上の位置にあってもよいし、窪んだ位置にあってもよい。反射部36の反射面36aは、反射部36の周辺の手挿入部3の表面と同一面上に位置することが好ましく、反射部36の周辺の手挿入部3の表面に対して窪まった位置に配置されることがより好ましい。反射部36または反射面36aが、その周辺の手挿入部3の表面よりも突出した位置に配置される場合、ユーザが手を手挿入空間5に挿入する際、反射部36に手が触れる可能性がある。この場合、ユーザがけがをしたり、反射面36aに汚れまたは傷がついたり、手挿入部3から反射部36が剥がれやすくなったりする可能性がある。なお、反射面36aが汚れると、反射率が低下する可能性がある。これに対し、反射部36の反射面36aが、反射部36の周辺の手挿入部3の表面と同一面上に位置するか、反射部36の周辺の手挿入部3の表面に対して窪まった位置に配置されることで、反射部36に手が触れる可能性が低くなるため、安全性、反射率、及び殺菌性能が向上する。さらに、反射部36の手挿入部3への固定状態をより確実に保つことができる。例えば、反射部36の剥がれにくさが向上する。
挿入底部3aに反射部36を配置した場合には、反射部36にて反射した光線が、上方へ向かい、手挿入部3の外側へ出て、人の顔等に照射される可能性がある。そのような事態を防止するため、挿入底部3aには反射部36を配置せず、挿入周囲部に反射部36を配置することが望ましい。反射部36は、UV照射装置23が配置された部分の手挿入部3と向かい合う部分の手挿入部3の面に配置されることが望ましい。これにより、UV照射装置23から照射された光線を、より効率的に、反射部36にて反射させることができる。反射部36の位置の高さは、限定されないが、UV照射装置23よりも下の位置に配置されることが望ましい。これにより、手挿入部3のうち、下側の部分に対して、紫外線をより多く照射できる。手挿入部3のうちの下側は、上方から水滴が垂れてくるため、水滴が多い。吹出口部が斜め下方向に向いている場合には、風向きも斜め下方向に吹かれるため、手挿入部3のうちの下側に、水滴がより多く付着しやすい。水滴の塊が大きい箇所は、高速気流により、水滴がエアロゾルとなり空気中に飛散しやすい。これらのことに鑑み、UV照射装置23より下の位置に反射部36を配置することで、手挿入部3のうちの下側に紫外線をより多く照射でき、衛生性がさらに向上する。
手挿入部3に反射部36を配置する場合、手挿入部3は、反射部36を配置するための配置部3nを有していてもよい。配置部3nは、反射部36が配置される部分の手挿入部3に形成されてもよい。配置部3nは、例えば、反射部36が配置されている手挿入部3の一部分である。配置部3nは、例えば、反射部36が配置されている手挿入部3と一体成型されたものである。配置部3nは、例えば、反射部36が配置されている手挿入部3と同一部材である。
配置部3nは、例えば、配置面3pと配置側壁部3qを備える。配置面3pは例えば平らな面である。配置面3pは、例えば、反射部36の裏面36bに近接する。配置面3pは、例えば、裏面36bに直接または間接的に接する。配置面3pは、例えば、裏面36bに平行な面である。配置面3pが平らな面であれば、反射部36を固定しやすい。配置面3pは、反射部36が配置される手挿入部3において、凹んだ位置に配置される。
配置側壁部3qは、配置部3nの側壁をなす。実質的に直方体形状の反射部36を配置部3nに配置する場合、配置側壁部3qは、例えば、反射面36aを除き、4面形成される。配置側壁部3qは、互いに向かい合う面を有する。配置側壁部3qは、配置面3pに対して、垂直でもよいし、傾斜していてもよいし、わずかに傾斜していてもよい。配置側壁部3qが傾斜する方向は、配置面3pから離れるにつれて、互いに向かい合う配置側壁部3qの間の距離が増加するような方向である。「わずかに傾斜する」とは、例えば、配置面3pに対する配置側壁部3qの角度が、例えば、90.2度~100度程度であり、より好ましくは90.5度~95度程度である。このような角度であれば、金型で成型しやすいとともに、反射側壁部36cが反射面36a及び裏面36bに対して垂直な面の場合であっても、配置側壁部3qと反射側壁部36cとの間に隙間が生じにくい。隙間が生じにくいことで、ゴミあるいは水が侵入しにくく、清潔であるとともに、配置部3nに対する反射部36の固定状態をより確実に維持できる。また、配置側壁部3qが反射側壁部36cに対して平行であれば、ゴミあるいは水が浸入しにくく、清潔であるとともに、配置部3nに対する反射部36の固定状態をより確実に維持できる。
配置側壁部3qは、配置面3pよりも、反射部36が配置される周辺の手挿入部3の表面に近い位置に配置される。配置部3nに反射部36が配置された場合、配置側壁部3qは、反射側壁部36cに近接または接触する。配置側壁部3qの各面は、近接または接触する反射側壁部36cの各面に対して、実質的に平行に配置されてもよい。
反射側壁部36cにおける反射部36の厚み、例えば、反射面36aに対して垂直な方向の厚みは、当該方向と同方向についての配置側壁部3qの長さすなわち深さと比べて、短くなっていてもよい。反射部36の裏面36bと配置面3pとの間に接着部材が設けられている場合には、当該接着部材の厚みと反射部36の厚みとの和が、配置側壁部3qの上記深さと比べて、短くなっていてもよい。また、配置側壁部3qの配置面3pから離れた位置にある端部は、反射面36aよりも、手挿入空間5に近い位置に配置されてもよい。このようにして、反射面36aは、反射部36が配置される近傍の手挿入部3の表面よりも、窪んだ位置に配置されてもよい。これにより、反射部36に手が触れる可能性が低くなるため、安全性、反射率、及び殺菌性能が向上する。さらに、反射部36の手挿入部3への固定状態をより確実に保つことができる。例えば、反射部36の剥がれにくさが向上する。
手乾燥装置1は、上述した反射部36の別の形態として、シートを立体に組み立てることで形成された組立体37を備えていてもよい。図29は、反射部36の別の形態に相当する組立体37の一例を示す斜視図である。図30は、図29に示す組立体37を立体に組み立てる前のシートを示す展開図である。
組立体37は、手挿入部3に設置可能である。組立体37は反射部36の別の形態を示す一例である。換言すると組立体37は反射率の高い部材であり、主に反射率を高めるために設置する。組立体37は、樹脂部材でも良いが、アルミニウム等の金属部材で構成されることが望ましい。また、組立体37は、反射率を高めるために上述したような表面処理が施されたものであってもよい。組立体37は、既製品に取り付け可能である。例えば、組立体37は、すでにトイレ空間に取り付けられている手乾燥装置1の手挿入部3に設置可能なものであってもよい。組立体37は、両面粘着テープ、接着剤、ネジなどの固定部材を用いて手挿入部3に取り付けられてもよいし、固定部材を用いることなく手挿入部3に取り付けられてもよい。
組立体37は、手挿入空間5に面する手挿入部3の表面のうち、複数の面に反射部36を設ける際に適している。例えば、手挿入部3の、前側の面、後側の面、左側の面、右側の面、及び底面のうち、2以上の面に反射部36を設ける際に、組立体37が適する。
組立体37は、例えば、一部品で構成される。つまり、組立体37は、複数の面に配置するために、折り曲げ、あるいは曲げを有するものである。また、組立体37は、折り曲げ、あるいは曲げなどの、曲げ加工が施されたものである。
図30に示すように、曲げ加工が施される前の組立体37は、板状部材である。以下の説明では、組立体37の曲げ加工が施される前の、板状の状態を組立シート38と呼ぶ。図31は、組立シート38の他の例を示す展開図である。組立体37及び組立シート38は、組立底部37aと、組立周囲部とを備えてもよい。組立底部37aは、例えば、組立体37を手挿入部3に設置した際に、挿入底部3aに位置するか、挿入底部3aに向かい合うか、挿入底部3aに接する。組立周囲部は、手挿入部3の挿入周囲部に位置するか、挿入周囲部に向かい合うか、挿入周囲部に接する。以下の説明では、「に位置する」、「に向かい合う」、「に接する」を総称して、「に位置する」と記す。
組立周囲部は、挿入前部3bに位置する部位である組立前部37bと、挿入後部3cに位置する部位である組立後部37cと、挿入側部3dに位置する部位である組立側部とのうちの少なくとも一つを含む。組立前部37bと組立後部37cは、互いに向かい合う位置に配置される。組立側部は、挿入左部3gに位置する部位である組立左部37gと、挿入右部3hに位置する部位である組立右部37hとのうちの少なくとも一つを含む。組立左部37gと組立右部37hは、互いに向かい合う位置に配置される。
組立体37において、組立前部37bと組立左部37gは隣り合う。組立体37において、組立前部37bと組立左部37gは互いに垂直または垂直に近い向きに配置される。組立体37において、組立前部37bと組立右部37hは隣り合う。組立体37において、組立前部37bと組立右部37hは互いに垂直または垂直に近い向きに配置される。組立体37において、組立後部37cと組立左部37gは隣り合う。組立体37において、組立後部37cと組立左部37gは互いに垂直または垂直に近い向きに配置される。組立体37において、組立後部37cと組立右部37hは隣り合う。組立体37において、組立後部37cと組立右部37hは互いに垂直または垂直に近い向きに配置される。
組立体37が手挿入部3に設置されると、組立底部37aは、水平に、または水平に近い向きに、配置される。組立体37が手挿入部3に設置されると、組立周囲部は、鉛直線に平行に、または、鉛直線に平行に近い向きに、配置される。
組立体37を形成する各々の部位は、大部分が平面である。組立体37を形成する各々の部位は、隣接する部位との間に曲げ部を有する。曲げ部は、垂直に折れ曲がっているものも含んでいてもよい。また、曲げ部は、組立体37のうち、隣接する複数の部位が共有する部分であってもよい。例えば、組立前部37bと組立右部37hの間にある曲げ部は、組立前部37bの一部であってもよいし、組立右部37hの一部であってもよいし、組立前部37bの一部と組立右部37hの一部とから構成されてもよい。
組立体37及び組立シート38は、組立周囲部の複数の部位のうちの少なくとも1つを備える。つまり、組立体37及び組立シート38は、組立前部37bと、組立後部37cと、組立左部37gと、組立右部37hのうちの少なくとも1つを備える。
組立体37は、手挿入部3の主要機能が損なわれないよう適切に配置される。例えば、組立体37は、吹出口部、手挿入部3に配置された各種センサ、及び排水口8を覆うことが無いように、配置されているか、成形されている。例えば、組立体37が手挿入部3に設置された状態で、組立体37の上部は、吹出口部及び各種センサよりも低い位置に配置されていてもよい。また、組立体37が手挿入部3に配置された状態で、組立体37の上部は、吹出口部または各種センサよりも上部に配置され、吹出口部または各種センサを覆わないよう開口または切り欠きが組立体37に備えられていてもよい。換言すると、組立体37は、手挿入部3に設置された状態で、吹出口部及び各種センサが視認可能となるように、配置されているか、成形されている。
図29に示す組立体37、及び、図30に示す組立シート38は、組立底部37aと、組立後部37cと、組立左部37gとを備える。異なる例として、組立体37は、例えば、組立底部37aを備えずに、組立周囲部の複数の部位のうち少なくとも隣り合う2つの部位を備えるものでもよい。
図31に示す組立シート38は、組立底部37aと、組立前部37bと、組立後部37cと、組立左部37gと、組立右部37hとを備える。このように、組立体37は、例えば、組立周囲部の複数の部位のうち、少なくとも3つの部位と、組立底部37aとを備えるものでもよい。
組立シート38は、例えば板金部材でもよい。組立シート38は、1部品からなる。組立体37及び組立シート38の、一つの部位と、当該部位に隣り合う部位との間には曲げ部が設けられる。組立シート38は、曲げることが可能なように薄板状のもので構成される。
図32及び図33は、組立シート38を組立体37に組み立てた状態を維持するための構造の例を模式的に示す図である。組立シート38は、図32に示す凸本体部38aと、図33に示す凹本体部38cとを備える。例えば、凸本体部38a及び凹本体部38cのそれぞれは、組立底部37aと、組立前部37bと、組立後部37cと、組立左部37gと、組立右部37hとのうちのいずれかに相当してもよい。
図32に示すように、凸形状部38bは、凸本体部38aの一部から突出するように形成されている。凸形状部38bの数は、1つでも複数でもよい。
図33に示すように、凹形状部38dが凹本体部38cに形成されている。凹形状部38dは、凹本体部38cの一部が、組立シート38の厚み方向に対して垂直な方向へ凹んだ形状になった切り欠きに相当する。凹形状部38dの数は、凸形状部38bの数と同じであることが好ましい。
組立シート38の厚みは、例えば、組立シート38の全体にわたって均一でもよい。凸本体部38a、凸形状部38b、凹本体部38c及び凹形状部38dの厚み方向は、組立シート38の厚み方向と同じ方向である。
組立シート38は、曲げ部が曲がることで立体形状となる。このときに、凸形状部38bと凹形状部38dとが噛合う位置に配置されるように、組立シート38において、凸形状部38bと凹形状部38dが位置する。凸形状部38bの形状は、かぎ型形状、返しの付いた形状、抜け止め防止形状などである。凹形状部38dは、凸形状部38bに噛合うような形状を呈している。凸形状部38bと凹形状部38dは、ジグソーパズルのように互いに嵌り合う。
以下の説明では、図32に示すように、凸本体部38a及び凸形状部38bの厚み方向に垂直な方向を第一方向とし、当該厚み方向と第一方向との両方に垂直な方向を第二方向とする。凸形状部38bは、凸本体部38aから第一方向に向かって突出する。凸本体部38aとの第一方向の距離が、比較的短い第一距離D1である第一位置において、第二方向についての凸形状部38bの長さは、L1となる。凸本体部38aとの第一方向の距離が、第一距離D1よりも長い第二距離D2である第二位置において、第二方向についての凸形状部38bの長さは、L1よりも大きいL2となる。すなわち、凸形状部38bは、その先端に近い第二位置の太さL2が、根元に近い第一位置の太さL1よりも、大きい形状を呈している。
例えば、凹形状部38dは凹本体部38cの特定の辺から凹んだものである。以下の説明では、図33に示すように、凹本体部38cの中心または重心に相当する位置38eから、凹形状部38dが形成された特定の辺までの方向を第三方向とし、凹本体部38c及び凹形状部38dの厚み方向と第三方向との両方に垂直な方向を第四方向とする。位置38eからの第三方向の距離が、比較的短い第三距離D3である第三位置において、第四方向についての凹形状部38dの長さは、L3となる。位置38eからの第三方向の距離が、第三距離D3よりも長い第四距離D4である第四位置において、第四方向についての凹形状部38dの長さは、L3よりも小さいL4となる。すなわち、凹形状部38dの開口部に近い第四位置での第四方向についての凹形状部38dの幅L4は、第四位置よりも凹形状部38dの奥に位置する第三位置での第四方向についての凹形状部38dの幅L3よりも小さい。
図30及び図31に示す例の組立シート38にも、凸形状部38b及び凹形状部38dが設けられている。凸形状部38bと凹形状部38dが噛み合うことで、抜け止め防止構造としての機能が達成される。その結果、図29に示すように、組立体37の立体形状をより安定して維持することが可能となる。
図34は、図31に示す組立シート38の変形例を示す展開図である。図34の変形例では、組立底部37aに、実質的に長方形の開口37iが設けられている。開口37iの面積は、開口37iを除いた部分の組立底部37aの面積よりも大きい。このような開口37iを設けることで、挿入底部3aの表面の大半は、紫外線反射率の高い材料で覆われることなく、手挿入空間5に対して露出する。その結果、挿入底部3aに向けて照射された紫外線が上方へ向かって反射することを抑制できるので、手挿入空間5の外へ漏れる紫外線をより確実に低減できる。
組立体37は、手挿入部3に配置されたときに手挿入部3に対して隙間が生じることがないように、手挿入部3の内寸に合わせた外寸を有するものであることが望ましい。なお、図28と同様の構造で組立体37を手挿入部3に配置してもよい。例えば、組立体37が手挿入部3に配置された際、組立体37のうちの、手挿入空間5に露出する面の裏面は、配置面3pに接する。例えば、組立前部37b、組立後部37c、組立左部37g、組立右部37hの少なくとも1つの裏面は、配置面3pに接する。このとき、組立前部37b、組立後部37c、組立左部37g、組立右部37hの少なくとも1つの裏面のうち配置面3pに接している部位の反射側壁部は、配置側壁部3qに対して、近接または接触していてもよい。つまり、組立体37の直上には配置側壁部3qが位置していてもよい。つまり、組立体37が設置される位置に当たる、手挿入部3の挿入周囲部の表面は、組立体37に隣接する位置の手挿入部3の表面に対して、一段窪んだ位置に配置されてもよい。これにより、組立体37が配置されると、組立体37は、組立体37の周辺の手挿入部3の表面と同一面上に位置するか、組立体37の周辺の手挿入部3の表面に対して窪まった位置に配置される。これにより、組立体37の表面に手が触れたり、組立体37の縁に手が触れたりする可能性が低くなるため、安全性、反射率、及び殺菌性能が向上する。また、仮に組立体37と手挿入部3の接着が弱くなっても、組立体37が上方に移動することはない。また、接着せずに組立体37を手挿入部3に直接配置することもできる。この場合でも、組立体37が手挿入部3から外れることなく使用可能である。さらに、組立体37は、組立シートの状態、つまり平面形状の状態に、弾性により戻ろうとする力が働いてもよい。この場合も、配置側壁部3qがあることで、手挿入部3に対する位置がずれることがない。
手挿入空間5に面する表面は、光源24が生成する光の主波長の光に対して70%以上の反射率を有する第一領域と、光源24が生成する光の主波長の光に対して30%以下の反射率を有する第二領域とを含んでもよい。これにより、第一領域で反射した紫外線を他の領域に照射することで広範囲への照射を可能としつつ、第二領域で紫外線の反射を抑制することで、手挿入空間5の外へ漏れる紫外線をより確実に低減できる。例えば、挿入前部3b、挿入後部3c、挿入左部3g、挿入右部3hのうちの少なくとも一つに第一領域を設け、挿入底部3aに第二領域を設けてもよい。反射部36を設けることで第一領域を形成し、反射部36で覆われない領域を第二領域としてもよい。
なお、手乾燥装置1は、さらに、光触媒処理が施された部分を有するものであっても良い。光触媒とは、光が照射されることにより触媒作用が生じるものである。例えば、触媒作用が生じると、細菌あるいはウイルスが分解され、無害化される。光触媒とは、例えば、酸化チタンからなる。例えば、UV照射装置23から照射された光線は、直接、または反射した後、手乾燥装置1の少なくとも一部に照射される。このようなUVの光線が照射される面を被照射面と呼ぶ。例えば、被照射面の少なくとも一部に、光触媒処理が施されていてもよい。光触媒処理は、被照射面の表面に施されてもよい。また、成型より前の工程で、光触媒材料と樹脂材料の練り込みが施され、その練り込まれた材料を成型した部品によって被照射面が形成されたものであってもよい。例えば、被照射面の材料が樹脂材料である場合には、当該材料は光触媒材料が練り込まれたものであってもよい。光触媒材料が練り込まれた材料の場合、拭き掃除等により、表面が削れても、光触媒効果が持続しやすい。光触媒処理が施された被照射面は、UVの光線が照射されると、これまでに上述したUVによる殺菌作用に加え、触媒反応により、細菌あるいはウイルスを分解する。これにより、細菌あるいはウイルスが、殺菌・無害化される速度がさらに速くなる。このため、感染リスクがさらに低下する。
また、UV照射装置23は、空気を殺菌してもよいし、手乾燥装置1の内部を殺菌してもよい。例えば、UV照射装置23は、手乾燥装置1の内部の風路を殺菌してもよいし、手乾燥装置1内部の液体に向けて、UVを照射し、殺菌してもよい。この場合でも衛生性を高めることができる。
実施の形態2.
次に、図35を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図35は、実施の形態2による手乾燥装置40の模式的な断面図である。この断面図は、手乾燥装置40の前後方向に対して垂直な平面で手乾燥装置40を切断した断面正面図に相当する。
実施の形態1では、手乾燥装置1の底部に配置された吸気口16から送風機10により気流を吸引し、吹出口部から手挿入空間5へ吹き出された気流が手に当たることで、手を乾燥させる例について説明した。このような実施の形態1では、手挿入部3の側方あるいは上方から、微細な水滴が飛び出す可能性がある。実施の形態2による手乾燥装置40によれば、実施の形態1に比べて、水滴の飛散を低減することが可能となる。
特に重要な点を以下に記載する。以下の点は、実施の形態1と同様である。通気孔6を有する吹出口部は、手挿入部3に配置される。例えば、吹出口部は、挿入周囲部に配置される。例えば、吹出口部は、挿入前部3bあるいは挿入後部3cに配置される。挿入底部3aには、排水口8が形成される。挿入側部3dの上部は、例えば、挿入前部3bの上部と同等の高さに配置されてもよいし、挿入後部3cの上部と同等の高さに配置されてもよい。送風機10が駆動されると、吹出口部の通気孔6から空気が吹き出される。
以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。手乾燥装置40は、手挿入空間5に対して開口する吸引口41を備える。吸引口41は、例えば、手挿入部3に配置される。吸引口41は、吹出口部に対して隣り合う手挿入部3の部位に配置されてもよい。例えば、図35に示すように、吹出口部が挿入前部3bあるいは挿入後部3cに配置される場合、吸引口41は、挿入側部3dに配置されてもよい。あるいは、吸引口41は、挿入底部3aに配置されていてもよい。吸引口41は、手挿入空間5に露出する位置に配置される。図示の例の吸引口41は、吹出口部より低い位置に配置されている。ただし、吸引口41は、吹出口部より高い位置に配置されていてもよい。手乾燥装置40は、吸引口41を1つだけ備えていてもよいし、複数の吸引口41を備えていてもよい。例えば、図示の例のように、挿入左部3gに配置された吸引口41と、挿入右部3hに配置された吸引口41とを手乾燥装置40が備えてもよい。1つの吸引口41は、複数の小孔が集まって形成されたものでもよい。これにより、吸引風速が高まるとともに、ユーザが誤って指等を吸引口41に挿入する可能性を低減でき、安全性が向上する。
手乾燥装置40は、吸引風路42を備える。吸引風路42は吸引口41と流体的に連通する。つまり、吸引口41から吸引された空気は吸引風路42を通過する。吸引風路42は複数備えられていてもよい。例えば、挿入左部3gに配置された吸引口41と流体的に連通する吸引風路42と、挿入右部3hに配置された吸引口41と流体的に連通する吸引風路42とが備えられていてもよい。
吸引風路42の少なくとも一部は、本体筐体2のカバー部と、手挿入部3との間に配置されてもよい。吸引風路42の少なくとも一部は、カバー部と手挿入部3が形成した領域に配置されてもよい。例えば、吸引風路42は、サイドカバー2cと挿入側部3dが形成した領域に配置された部分を有する。例えば、吸引風路42は、左のサイドカバー2cと挿入左部3gが形成した領域に配置された部分を有する。例えば、吸引風路42は、右のサイドカバー2cと挿入右部3hが形成した領域に配置された部分を有する。換言すると、カバー部と手挿入部3は、吸引風路42を形成する部材を兼ねる。
吸引風路42は、吸引口41と同等の高さの位置、もしくは、吸引口41よりも低い位置、に配置される。吸引風路42は、送風機10の吸気側に対して、直接または間接的につながる。つまり、送風機10が作動すると、吸引風路42を介して、手挿入空間5から空気が吸引口41へ吸引される気流が発生する。吸引風路42は実施の形態1に記載されたような吸気風路18に流体的につながっていてもよい。
本実施の形態であれば、手を乾燥するときに、手挿入空間5の空気を吸引口41へ吸い込むことができる。これにより、水滴が手挿入空間5の外へ飛び出すことを抑制できる。それゆえ、実施の形態1に比べて、水滴の飛散を低減することが可能となる。
吸引風路42は、例えば、吸引風路421と、吸引風路422と、吸引風路423とから構成されてもよい。吸引風路421の一端は、吸引口41と流体的につながる。吸引風路421の少なくとも一部は、上下方向に沿って形成される。吸引風路421は、吸引口41から流入した空気を下方向へ移動させる。吸引風路421の一端は、送風機10よりも上方に配置される。吸引風路421の他端は、送風機10より下側に配置される。
吸引風路422の一端は、吸引風路421の他端と流体的につながる。吸引風路422の少なくとも一部は、手乾燥装置40の左右方向または前後方向に沿って形成される。吸引風路422は、吸引風路421を通過した空気を、手乾燥装置40の上面視での中心側に移動させる風路を備える。例えば、上方から手乾燥装置40の内部を視た場合に、吸引風路422の一端は、手乾燥装置40の、左端、右端、前端、後端のいずれかに近い位置に配置される。すなわち、上方から手乾燥装置40の内部を視た場合に、吸引風路422の一端は、送風機10とは重ならない位置に配置される。上方から手乾燥装置40の内部を視た場合に、吸引風路422の他端側の少なくとも一部は、送風機10に覆われる位置に配置される。吸引風路422の少なくとも一部は、水平方向に沿って形成されていてもよいし、水平面に対して斜めの方向に沿って形成されていてもよい。
吸引風路423の一端は、吸引風路422の他端と流体的につながる。吸引風路423は、例えば、送風機10の下側に配置される。吸引風路423の少なくとも一部は、上下方向に沿って形成される。吸引風路423は、吸引風路422を通過した空気を上方に移動させる風路を備える。吸引風路423は、手乾燥装置40の左端及び右端よりも、中心側に近い位置に配置される。吸引風路423の他端は、送風機10の吸気側と流体的につながる。
吸引風路422と吸引風路423は、一体となった形状を呈していてもよい。例えば、吸引風路422及び吸引風路423は、上方から手乾燥装置40の内部を視た場合に、吸引口41から流入した空気を手乾燥装置40の中心側に移動させつつ、前側から手乾燥装置40の内部を視た場合に、下方から上方に空気を移動させる風路であってもよい。
吸引風路421の下方には、ドレンタンク9が配置される。吸引風路422及び吸引風路423の下方には、ドレンタンク9が配置されてもよい。
手が手挿入部3に配置されると、送風機10が作動し、吸引口41から吸い込まれた気流が、吸引風路42及び送風機10を通過して、吹出口部から手挿入空間5へ吹き出される。吹出口部からの気流は、手に当たり、手に付着した水分を吹き飛ばす。送風機10の作動により、吸引口41に吸引力が発生し、吹出口部から吹き出された空気の少なくとも一部を吸引口41が吸引する。例えば、一方向から手に当たった気流の少なくとも一部は、一方向とは実質的に垂直な方向へ移動することで、吸引口41に近づき、吸引される。
また、吸引口41は、手あるいは手挿入部3から吹き飛ばされた水滴、並びに、手挿入空間5に浮遊している水滴を吸引する。吸引口41から吸引された水滴は、後述する水滴除去手段等により空気から分離され、ドレンタンク9に蓄積する。
吸引口41から吸引された空気には、吹出口部から吹き出された空気が含まれる。吸引口41から吸引された空気は、送風機10により、吹出口部から再び吹き出される。
重力により挿入底部3aに落下した水滴、及び、挿入周囲部の壁面を伝って挿入底部3aに流下した水滴は、挿入底部3aに形成された傾斜面によって排水口8に集まり、排水口8からドレンタンク9へ回収される。それに加え、吸引口41は、手挿入空間5に浮遊している水滴及び空気を吸引する。これにより、手挿入空間5の外部に吹き出される水滴及び空気が減り、衛生性が向上する。
水滴は、挿入底部3aに溜まりやすい。挿入底部3aに溜まった水滴が飛散する可能性がある。吹出口部から斜め下向きに吹き出される気流により、手の指先側つまり下側から、多く水滴が飛散する。吸引口41が吹出口部よりも低い位置にある場合には、これらの飛散した水滴をすぐさま吸引口41へ吸引することができる。それゆえ、衛生性がさらに向上する。
その一方で、吸引口41が吹出口部よりも高い位置にある場合には、手挿入部3から飛散した水滴または手から飛散した水滴が、手挿入空間5の外へ移動しようとするときに、当該水滴を吸引口41へ吸引しやすい。それゆえ、この場合にも、衛生性を向上できる。
手乾燥装置40は、少なくとも1つの水滴除去手段を備えていてもよい。水滴除去手段は、吸引風路42を通る気流から水滴を除去する。手乾燥装置40は、例えば、第一水滴除去手段43を有する。第一水滴除去手段43は、吸引風路422に配置されてもよいし、吸引風路423に配置されてもよいし、吸引風路422と吸引風路423との境界部に配置されてもよい。
第一水滴除去手段43は、主に微細な水滴を除去する。第一水滴除去手段43は、例えば5μm以下の粒子あるいはエアロゾルを除去する。第一水滴除去手段43は、例えば、エアフィルタを備える。第一水滴除去手段43は、好ましくは、HEPAフィルタを備える。第一水滴除去手段43は、吸気流に含まれた微細な水滴あるいは微粒子を、吸気流の空気から除去して捕集する。第一水滴除去手段43により微細な水滴及び微粒子が取り除かれた清浄な空気は、送風機10を通過した後、吹出口部から吹き出される。
手乾燥装置40は、第一水滴除去手段43の衛生性を改善する衛生性改善手段(図示省略)をさらに備えていてもよい。衛生性改善手段は、例えば、第一水滴除去手段43に作用する。衛生性改善手段は、例えば、第一水滴除去手段43の近傍に配置される。衛生性改善手段は、例えば、第一水滴除去手段43を加熱する加熱手段である。加熱手段は、例えばヒータである。手乾燥装置40の繰り返しの使用により、第一水滴除去手段43の水分含有量が多くなると、雑菌が繁殖し、衛生状態が悪化する可能性がある。これに対し、加熱手段により第一水滴除去手段43が加熱されると、第一水滴除去手段43の温度が高くなる。その結果、雑菌の繁殖が抑えられ、雑菌の数が減少し、衛生性が向上する。また、第一水滴除去手段43に付着した水分を加熱手段からの熱で蒸発させることで、雑菌が繁殖しにくい環境にすることができ、衛生性が向上する。また、加熱手段により蒸発した水分についても、加熱により、雑菌の数を減らすことができており、衛生性が向上する。
また、衛生性改善手段は、例えば、UV照射手段でもよい。UV照射手段は、例えば、実施の形態1に記載のUV照射装置23と同様のものでもよい。UV照射手段が紫外線を第一水滴除去手段43に照射することで、第一水滴除去手段43に付着している微生物を不活化させることができるため、衛生性が向上する。UV照射手段は、例えば、UVAの波長域の紫外線を照射するものでもよい。UVAは、UVBあるいはUVCに比べて、殺菌能力は低いが、樹脂を劣化させにくく、人体に与える悪影響も低い。このため、UVAであれば、長時間照射あるいは常時照射が可能となる。
吸引風路42が複数ある場合、例えば、挿入左部3gの吸引口41につながる吸引風路42と、挿入右部3hの吸引口41につながる吸引風路42とがある場合には、複数の吸引風路42が一つに合流する合流部が備えられてもよい。合流部は、第一水滴除去手段43よりも上流側に設けられてもよい。つまり、複数の吸引風路42からの気流が合流した後に、第一水滴除去手段43により水滴が除去されるように構成してもよい。第一水滴除去手段43の上流側に合流部が配置されると、第一水滴除去手段43は1つで済むため、部品数が少なくて済む。あるいは、第一水滴除去手段43よりも下流側に合流部が設けられてもよい。複数の吸引風路42からの気流が、第一水滴除去手段43により水滴が除去された後に、合流部により一つに合流してもよい。
手乾燥装置40は、例えば、第二水滴除去手段44を有する。第二水滴除去手段44は、例えば、吸引風路421に配置されてもよいし、吸引風路422に配置されてもよいし、吸引風路423に配置されてもよいし、吸引風路421と吸引風路422との境界部に配置されてもよいし、吸引風路422と吸引風路423との境界部に配置されてもよい。
第二水滴除去手段44は、第一水滴除去手段43と比べて、比較的粒径の大きい水滴を除去するためのものである。第二水滴除去手段44は、第一水滴除去手段43よりも上流側に配置される。つまり、吸引口41から吸引されて吸引風路42移動する空気は、第二水滴除去手段44を通過した後、第一水滴除去手段43を通過する。その後、この空気は、送風機10を通過し、吹出口部から吹き出される。
第二水滴除去手段44は、例えば傾斜部からなる。傾斜部は、例えば1つまたは複数の板状部材44aを含む。傾斜部の各々、すなわち板状部材44aは、薄板状に構成される。複数の板状部材44aは、例えば、実質的に互いに平行に配置される。複数の板状部材44aは、例えば、実質的に等間隔に配置される。複数の板状部材44aによる傾斜部は、例えば鎧板形状を呈している。
板状部材44aは、配置されている位置の吸引風路42の軸方向に対して、または当該風路の空気の流れる方向に対して、傾斜して配置される。例えば、吸引風路422に板状部材44aが配置されている場合は、吸引風路422の軸方向に対して、または吸引風路422の空気の流れる方向に対して、板状部材44aが傾斜して配置される。例えば、吸引風路423に板状部材44aが配置されている場合は、吸引風路423の軸方向に対して、または吸引風路423の空気の流れる方向に対して、板状部材44aが傾斜して配置される。
板状部材44aは、高端部と低端部を有する。低端部は、高端部よりも低い位置に配置される。高端部と低端部を含む傾斜面、または高端部と低端部が形成する傾斜面は、鉛直面に対して傾いて配置される。傾斜面は、例えば、水平面よりも鉛直面に近い向きに配置される。例えば、水平面と傾斜面のなす角は45度から80度程度である。好ましくは55度から75度程度である。
図35の例のように、第二水滴除去手段44が吸引風路422に配置される場合、すなわち、水平方向に沿った吸引風路42に第二水滴除去手段44が配置される場合には、複数の板状部材44aは、上下方向に並ぶように配置される。
手乾燥装置40は、上面視における中心を有する。中心とは、例えば、重心位置であってもよい。上面視における手乾燥装置40の中心は、手乾燥装置40の左端と手乾燥装置40の右端の中間、かつ手乾燥装置40の前端と手乾燥装置40の後端の中間の位置であってもよい。第二水滴除去手段44が吸引風路422に配置される場合、板状部材44aの高端部は、板状部材44aの低端部よりも、上面視における手乾燥装置40の中心に近い位置に配置される。この場合、吸引風路422は、中心側かつ上方に向かう吸引風路が形成される。
吸引風路421では下方に向かう風路が形成され、吸引風路422では少なくとも水平方向に移動する風路が形成される。また、吸引風路422は、傾斜部すなわち板状部材44aの傾斜面により、上方向に移動する風路となるよう構成される。つまり、下方に向かう吸引風路421の気流は、傾斜部すなわち板状部材44aの傾斜面により、斜め上方向に急激に向きを変える。このため、吸引風路421から吸引風路422にかけて気流が進むときに遠心力が作用する。一般に、遠心力は質量に比例する。換言すると、遠心力は、体積と密度の積に比例する。水滴は、空気よりも密度が大きいので、空気よりも遠心力の影響を受けやすい。このため、水滴は、空気に比べて吸引風路422を通過しにくい。また、上記傾斜面は、吸引風路423に向けて、斜め上向きに傾斜する面である。このため、傾斜面に付着した水滴が集まって体積が大きくなると、重力により、傾斜面に沿って水滴は滴る。このため、傾斜面に付着した水滴は吸引風路423側に向かいにくい。このため、送風機10に水が入りにくく、故障しにくい。また、吹出口部からも、微生物を含んだ水滴が飛散しにくい。このため、衛生性がさらに向上する。
第二水滴除去手段44が吸引風路423に配置される場合、つまり、上下方向に沿った吸引風路42に第二水滴除去手段44が配置される場合には、傾斜部の複数の板状部材44aは、水平方向に並ぶように配置される。この場合も、遠心力を利用することで、水滴を空気から、より効率良く分離することができ、上述した効果が得られる。
なお、手乾燥装置40は、吸引口41以外のところからも空気を吸引してもよい。例えば、第一水滴除去手段43の少なくとも一部は外気にさらされており、手乾燥装置40は、第一水滴除去手段43の下方から直接第一水滴除去手段43を経由して空気を吸引してもよい。通気孔6から吹き出された空気は熱を持っていることがある。この空気を循環することで、空気の温度が上昇しすぎてしまう可能性がある。通気孔6から吹き出した空気ではない外気をも併せて吸引することで、異常な温度上昇をより確実に防ぐことができる。なお、第二水滴除去手段44は、複数の場所に設けられていてもよい。吸引口41は、例えば、挿入周囲部に設けられる。第二水滴除去手段44は、吸引口41の近傍に設けられてもよい。第二水滴除去手段44は、吸引口41と一体となって設けられていてもよい。つまり、吸引口41から吸引された空気が、吸引風路42を下方に移動する前に、第二水滴除去手段44を通過するように構成されていてもよい。例えば、板状部材44aは、水平面に対して傾斜して配置される。例えば、板状部材44aは、吸引口41から吸引風路42に向かうにつれて上方に向かうよう配置される。例えば、吸引口41から吸い込まれた空気が上方に移動するように板状部材44aは傾斜して配置される。このように、第二水滴除去手段44が、吸引口41の近傍に設けられるか、または吸引口41と一体になって設けられることで、手から分離した水滴の一部は第二水滴除去手段44に付着する。板状部材44aに付着した水滴は、挿入底部3aに落下し、排水口8から排出される。このように、第二水滴除去手段44が配置されることで、吸引風路42に流入する水滴を抑えることができる。これにより、第一水滴除去手段43に付着する水分が少なくなり、衛生性がさらに向上する。
実施の形態3.
次に、図36を参照して、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図36は、実施の形態3による手乾燥装置45の上部の側面図である。図36に示すように、手乾燥装置45は、遮蔽体46をさらに備える。手乾燥装置45は、第一状態と、第二状態とを切り替え可能に構成されている。第二状態は、手挿入空間5への手の入口となる手挿入開口7の少なくとも一部を遮蔽体46が覆う状態である。第一状態は、手挿入開口7のうちで遮蔽体46に覆われる割合が第二状態よりも小さいかゼロとなる状態である。第二状態においてUV照射装置23から紫外線を照射すると、手挿入開口7を通って手挿入空間5の外へ向かった紫外線を、遮蔽体46が遮蔽する。これにより、当該紫外線が人体に当たることをより確実に防止できるので、高い安全性が得られる。
第一状態は、手を手挿入開口7から手挿入空間5へ挿入可能な状態である。第一状態は、手挿入開口7が開かれた状態である。第一状態は、遮蔽体46が手挿入開口7を遮蔽せず、手挿入開口7が開かれたままの状態である。第一状態は、UV照射装置23から紫外線が照射されている場合、照射された光線の少なくとも一部が、手挿入部3より上方へ照射されうる状態である。
第二状態とは、例えば、手挿入空間5へ手を挿入することが推奨されない状態である。第二状態とは、例えば、手挿入空間5への手の挿入が、物理的に困難であるか不可能な状態である。第二状態とは、例えば、遮蔽体46が手挿入開口7を遮蔽している状態である。第二状態とは、例えば、第一状態よりも、手挿入開口7のうちで開かれている領域が物理的に狭くなった状態である。等しい出力で光源24が点灯していると仮定した場合、第二状態のときの手挿入部3より上方への紫外線照射量は、第一状態のときの手挿入部3より上方への紫外線照射量よりも少なくなる。
実施の形態1による手乾燥装置1は、遮蔽体46を備えていない。このため、UV照射装置23から照射された光線の一部が、UV照射装置23から手挿入部3よりも上方へ直接照射されるか、あるいは、手挿入空間5に面する手挿入部3の表面または反射部36で反射した後に手挿入部3よりも上方へ照射される可能性がある。そのようにして手挿入部3よりも上方へ照射された光線の、量、または照度、または照射量を、「漏れ量」と定義する。漏れ量が少ないほど、周囲の人が紫外線を被ばくする量が少なく、安全性がさらに高くなる。
遮蔽体46は、紫外線の透過を防止し、手挿入空間5の外へ紫外線が放射されることを防ぐ。遮蔽体46は、特定の紫外線の波長の大部分を、反射または吸収するものであり、より好ましくは波長の大部分を吸収する。より具体的には、UV照射装置23から照射される紫外線領域の波長の大部分を、遮蔽体46が反射または吸収する。例えば、遮蔽体46は、UV照射装置23の主波長の光線に対して、20%以下の透過率を有している材料で作られており、好ましくは10%以下の透過率を有している材料で作られている。例えば、遮蔽体46は、UV照射装置23の主波長の光線の透過率及び反射率を、20%以下、好ましくは10%以下に抑えた材料からなる。例えば、遮蔽体46は、UV照射装置23の主波長の光線の透過率及び吸収率を、20%以下、好ましくは10%以下に抑えた材料からなる。遮蔽体46の大部分は、樹脂材料または金属材料からなる。
遮蔽体46は、手挿入部3のうちの上部に配置されてもよいし、手挿入部3より上方に配置されてもよい。遮蔽体46は、UV照射装置23よりも上方に配置される。
本実施の形態では、遮蔽体46が回転軸46aを中心として回転移動することにより、第一状態すなわち開状態と、第二状態すなわち閉状態とに切り替わる。回転軸46aは、手乾燥装置45の左右方向に対して平行である。遮蔽体46は、壁部46bと、壁部46bを回転軸46aにつなぐ支持部46cとを備える。図示の例において、壁部46bは、回転軸46aを中心とする円筒面に沿う曲面状を呈する。第二状態では、壁部46bが上方から手挿入開口7の少なくとも一部を覆う。第一状態は、壁部46bが本体筐体2の前側に移動し、手挿入開口7が開放される。
ユーザが手動で遮蔽体46を動かすことで、第一状態と第二状態を切り替えてもよい。
手乾燥装置45は、遮蔽体46を動かすアクチュエータ(図示省略)を備えていてもよい。制御部22は、手検知部21による検知または人検知部39による検知に応じて、当該アクチュエータを駆動して遮蔽体46を動かすことにより、第一状態と第二状態を自動で切り替えてもよい。例えば、制御部22は、手検知部21が手を検知したこと、あるいは、人検知部39が人を検知したことに応じて、第二状態から第一状態へ切り替えてもよい。また、制御部22は、手検知部21が手を検知していないこと、あるいは、人検知部39が人を検知していないことに応じて、第一状態から第二状態へ切り替えてもよい。
本実施の形態において、手検知部21は、遮蔽体46よりも上方に配置されてもよい。あるいは、手乾燥装置45は、実施の形態1の手検知部21に加えて、遮蔽体46よりも上方に配置された手検知手段を備え、当該手検知手段による手の検知に応じて、第一状態と第二状態を切り替えてもよい。
手乾燥装置45は、第二状態から第一状態へ切り替わると、UV照射装置23の光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成された出力変更手段をさらに備えてもよい。すなわち、第二状態のときにUV照射装置23による紫外線照射が実施され、第一状態のときにUV照射装置23による紫外線照射が抑制されるように、当該出力変更手段により制御されてもよい。これにより、UV照射装置23からの紫外線が人体に当たることをより確実に防止できる。当該出力変更手段は、例えば、制御部22により達成されてもよい。
手検知部21または人検知部39の検知状態と、UV照射装置23の光源24の出力と、遮蔽体46の動きとの関係の例について、以下に説明する。人がいないことを人検知部39が検知している状態から、人がいることを人検知部39が検知している状態に変わった直後、出力変更手段は、UV照射装置23の光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにする。その直後に、手乾燥装置45は、第二状態から第一状態へ切り替わる。また、手があることを手検知部21が検知している状態、または、人がいることを人検知部39が検知している状態から、手がないことを手検知部21が検知している状態、または、人がいないことを人検知部39が検知している状態に変わった時点の直後、または当該時点から所定の時間が経過した後、手乾燥装置45は、第一状態から第二状態へ切り替わる。その直後、または所定の時間が経過した後、出力変更手段は、UV照射装置23の光源24の出力を増加させるか、光源24を点灯状態にする。
手乾燥装置45において、遮蔽体46が、着脱自在なアタッチメントとして設けられていてもよい。着脱自在なアタッチメントとして遮蔽体46を設けることで、例えば、遮蔽体46を備えていない既存の手乾燥装置に対して、遮蔽体46を後付けで取り付けることが可能となる。遮蔽体46は、例えば、手挿入部3に対して着脱可能でもよいし、本体筐体2に対して着脱可能でもよい。
実施の形態4.
次に、図37を参照して、実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態3との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。実施の形態4は、実施の形態3と比べて、遮蔽体の構成が異なる。
図37は、実施の形態4による手乾燥装置47の上部の側面図である。図37に示すように、実施の形態4による手乾燥装置47は、実施の形態3における遮蔽体46に代えて、第一遮蔽体48及び第二遮蔽体49を備える。この例のように、本開示において、一つの手乾燥装置47が、複数の遮蔽体を備えていてもよい。第一遮蔽体48は、壁部48aと、ギア部48bと、壁部48aをギア部48bにつなぐ支持部48cとを備える。第一遮蔽体48は、ギア部48bを中心として回転移動する。図示の例において、壁部48aは、ギア部48bを中心とする円筒面に沿う曲面状を呈する。
第二遮蔽体49は、壁部49aと、ギア部49bと、壁部49aをギア部49bにつなぐ支持部49cとを備える。第二遮蔽体49は、ギア部49bを中心として回転移動する。図示の例において、壁部49aは、ギア部49bを中心とする円筒面に沿う曲面状を呈する。
ギア部48b及びギア部49bのそれぞれの回転軸は、手乾燥装置47の左右方向に対して平行である。ギア部48bは、ギア部49bに噛み合う。このため、ギア部48bは、ギア部49bとは反対方向に回転する。したがって、第一遮蔽体48及び第二遮蔽体49は、互いに反対方向に回転する。
第二状態すなわち閉状態では、壁部48a及び壁部49aが上方から手挿入開口7の少なくとも一部を覆う。第二状態から、壁部48a及び壁部49aが互いから離れるように回転すると、第一状態すなわち開状態に切り替わる。第一状態では、壁部48aが本体筐体2の前側に移動し、壁部49aが本体筐体2の後側に移動することで、手挿入開口7が開放される。第一状態から、壁部48a及び壁部49aが互いに近づくように回転すると、第二状態に切り替わる。
手乾燥装置47は、遮蔽体46を動かすアクチュエータ(図示省略)を備えていてもよい。当該アクチュエータは、例えば、ギア部48b及びギア部49bのいずれか一方だけを回転駆動すればよい。当該アクチュエータがギア部48b及びギア部49bのいずれか一方だけを回転駆動すれば、その回転力が、ギア部48b及びギア部49bのいずれか他方に伝達することで、第一遮蔽体48及び第二遮蔽体49の両方を回転移動させることができる。
実施の形態5.
次に、図38を参照して、実施の形態5について説明するが、前述した実施の形態3との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。実施の形態5は、実施の形態3と比べて、遮蔽体の構成が異なる。
図38は、実施の形態5による手乾燥装置50の上部の側面図である。図38に示すように、実施の形態5による手乾燥装置50は、実施の形態3における遮蔽体46に代えて、遮蔽体51を備える。図38では、第二状態の位置にある遮蔽体51が実線で描かれ、第一状態の位置にある遮蔽体51が破線で描かれている。
遮蔽体51は、壁部51aと、壁部51aの基端部を本体筐体2の上部の後部につなぐヒンジ部51bと、壁部51aの先端部から突出する突出部51cとを備える。遮蔽体51は、ヒンジ部51bを中心として回転移動する。図示の例において、壁部51aは、平板状を呈する。ヒンジ部51bの回転軸は、手乾燥装置50の左右方向に対して平行である。
第二状態すなわち閉状態では、壁部51aが上方から手挿入開口7の少なくとも一部を覆う。第二状態では、壁部51aが水平になるか、水平に近くなる。第二状態において、突出部51cは、壁部51aの先端部から下向きに突出する。第二状態において、突出部51cは、本体筐体2の上部の前部に接する。第二状態から、壁部51aが、その前端部の位置が高くなるように回転すると、第一状態すなわち開状態に切り替わる。
実施の形態6.
次に、図39を参照して、実施の形態6について説明するが、前述した実施の形態3との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。実施の形態6は、実施の形態3と比べて、遮蔽体の構成が異なる。
図39は、実施の形態6による手乾燥装置52の模式的な上面図である。図39に示すように、実施の形態6による手乾燥装置52は、実施の形態3における遮蔽体46に代えて、複数の遮蔽体53を備える。複数の遮蔽体53のそれぞれは、実質的に長方形の板状を呈する。複数の遮蔽体53のそれぞれは、回転軸53aを中心として、回転移動可能である。それぞれの回転軸53aは、鉛直線に対して平行でもよい。遮蔽体53は、回転軸53aを介して、本体筐体2の上部の後部に接続されている。遮蔽体53の壁面は、水平でもよい。回転軸53aは、遮蔽体53の長手方向の一端に近い位置にある。
第二状態すなわち閉状態では、それぞれの遮蔽体53は、その長手方向が手乾燥装置52の前後方向に平行になる。第二状態では、複数の遮蔽体53が、その長手方向に対して垂直な方向に並ぶ。第二状態では、複数の遮蔽体53が、手乾燥装置52の左右方向に並ぶ。第二状態では、複数の遮蔽体53が、上方から手挿入開口7の少なくとも一部を覆う。
第二状態から、それぞれの遮蔽体53が、例えば90度回転すると、第一状態すなわち開状態に切り替わり、手挿入開口7が開放される。第一状態では、それぞれの遮蔽体53は、その長手方向が手乾燥装置52の左右方向に平行になる。第一状態では、複数の遮蔽体53が、その長手方向と同方向に並ぶ。第一状態では、上面視において、それぞれの遮蔽体53は、他の遮蔽体53と、部分的に重なるように配置される。
実施の形態7.
次に、図40を参照して、実施の形態7について説明するが、前述した実施の形態3との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。実施の形態7は、実施の形態3と比べて、遮蔽体の構成が異なる。
図40は、実施の形態7による手乾燥装置54の側面図である。図40に示すように、実施の形態7による手乾燥装置54は、実施の形態3における遮蔽体46に代えて、遮蔽体55を備える。遮蔽体55は、壁部55aと、壁部55aの基端部を本体筐体2の上部の後部につなぐヒンジ部55bとを備える。遮蔽体55は、ヒンジ部55bを中心として回転移動する。図示の例において、壁部55aは、平板状を呈する。ヒンジ部55bの回転軸は、手乾燥装置54の左右方向に対して平行である。
第二状態すなわち閉状態では、壁部55aが上方から手挿入開口7の少なくとも一部を覆う。第二状態では、壁部55aが水平になるか、水平に近くなる。第二状態から、壁部55aが、その前端部の位置が高くなるように回転すると、第一状態すなわち開状態に切り替わる。
本実施の形態の手乾燥装置54は、ペダル56と、移動装置57とをさらに備える。移動装置57は、ユーザがペダル56を足で踏むと第二状態から第一状態へ切り替わり、ユーザがペダル56から足を離すと第一状態から第二状態へ切り替わるように、遮蔽体55を動かす。本実施の形態であれば、ユーザが遮蔽体55に手で触れることなく、第一状態と第二状態を切り替えることができる。このため、衛生性に優れる。
便宜上、図40では、第一状態に相当する位置にある遮蔽体55、ペダル56、及び移動装置57と、第二状態の位置に相当する位置にある遮蔽体55、ペダル56、及び移動装置57とが、共に実線で描かれている。
ペダル56は、手乾燥装置54の前に立ったユーザの足元に相当する位置に配置される。移動装置57は、梃子57aと、プッシュロッド57bとを備える。梃子57aは、支点57cを中心として、回転移動可能である。支点57cの回転軸は、手乾燥装置54の左右方向に平行である。梃子57aの前端部にペダル56が設置されている。梃子57aが回転移動すると、ペダル56は、上下方向に移動する。プッシュロッド57bの下端部は、梃子57aの後端部に接している。プッシュロッド57bの上端部は、ヒンジ部55bよりも前方において、遮蔽体55の壁部55aに接している。
遮蔽体55が閉じた第二状態からユーザがペダル56を足で踏むと、梃子57aの前端部が下降して、梃子57aの後端部が上昇する。プッシュロッド57bは、梃子57aの後端部に押されて上昇する。上昇したプッシュロッド57bの上端部が壁部55aを押し上げることで、遮蔽体55が開いた第一状態となる。ユーザがペダル56から足を離すと、遮蔽体55が自重によって元の位置に戻ることによって、第一状態から第二状態へ切り替わる。
本実施の形態であれば、ユーザの足の力を利用して遮蔽体55を動かすことができるので、消費電力を低減できる。
実施の形態8.
次に、図41及び図42を参照して、実施の形態8について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図41は、実施の形態8による手乾燥装置58の斜視図である。図42は、実施の形態8による手乾燥装置58の断面側面図である。これらの図に示す手乾燥装置58の手挿入部3は、ユーザが手乾燥装置58の正面から手を手挿入空間5に挿入するように構成されている。手挿入開口7は、手乾燥装置58の正面を向いて開口している。手挿入部3は、挿入上部3rを有する。挿入上部3rは、手挿入空間5の上部を形成する。挿入上部3rは、挿入底部3aと向かい合う。手挿入空間5に面する挿入上部3rの表面は、下方に向く。
図42に示すように、本体筐体2の内部において、手挿入部3よりも上方の位置に、送風機10が配置されている。吹出口部を構成する通気孔6と、手検知部21と、UV照射装置23とは、挿入上部3rに配置されている。吹出口部は、通気孔6から下に向かって、気流を手挿入空間5へ吹き出す。UV照射装置23から照射される紫外線の少なくとも一部は、下に向かって放射される。手乾燥装置58は、吹出風路13を通過する空気を加熱するヒータ61を備えていてもよい。
本実施の形態であれば、手乾燥装置58の外観において、前面視と、後面視と、側面視と、上面視と、下面視とのいずれにおいても、光源24が本体筐体2に覆われることで、光源24が視認できない。これにより、ユーザが光源24を直視する可能性を減らすことができ、また、光線が眼に入るリスクを低減することができ、安全性が高い。
実施の形態9.
次に、図43を参照して、実施の形態9について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図43は、実施の形態9による手乾燥装置59の機能ブロック図である。図43に示すように、実施の形態9による手乾燥装置59は、人認識部60を有する。人認識部60は、複数のユーザを識別するように構成されている。人認識部60は、例えば、ユーザの顔を撮影するカメラを用いて顔認証技術または顔識別技術により個人を識別してもよいし、指紋リーダを用いて指紋認証技術または指紋識別技術により個人を識別してもよい。人認識部60は、例えば、ユーザが所持する社員証、会員証、ICカード、RFIDタグなどから、識別情報を読み取り、その読み取った識別情報を、予め記憶された識別情報と照合することで、個人を識別してもよい。
人認識部60により識別されたユーザの一人一人について、制御部22は、個人がその日に手乾燥装置59を使用した回数(以下、「利用回数」と称する)をカウントする。人認識部60により識別された特定のユーザが手乾燥装置59を使用するときに、当該ユーザの当日の利用回数が、基準回数以下である場合には、制御部22は、UV照射装置23から、当該ユーザの手に紫外線を照射する。これにより、当該ユーザの手に付着している可能性のある微生物を紫外線により殺菌することができ、衛生性が向上する。
上記基準回数は、例えば、健康な成人が1日にトイレを利用する平均的な回数に応じて定められた値でもよい。
一般に、紫外線は人体に有害となる可能性があるので、1日に被ばくして良い紫外線の照射量は定められている。特定のユーザの1日の利用回数が基準回数に達した場合でも、その日に当該ユーザの手に照射された紫外線の総量が、1日の被ばく許容照射量以下になるように、UV照射装置23による照度と、1回の照射時間とが、次式の関係を用いて、設定されていることが好ましい。なお、1日または8時間の被ばく許容照射量としては、例えば、日本産業規格のJIS Z8812により定めれられたTLV(Threshold Limit Values)に基づく値を用いてもよいし、それより低い値を用いてもよい。
1日の被ばく許容照射量[mW/cm2]
=被照射面(手)の照度[mJ/cm2]×1日の総照射時間上限[秒]
=被照射面(手)の照度[mJ/cm2]×1回の照射時間[秒]×基準回数
人認識部60により識別された特定のユーザが手乾燥装置59を使用するときに、制御部22は、当該ユーザの当日の利用回数が、基準回数を超えている場合には、基準回数以下である場合に比べて、UV照射装置23の光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成されている。これにより、ユーザの手に照射された紫外線の総量が、1日の被ばく許容照射量を超えることを、より確実に防止できる。
制御部22は、人認識部60により識別された特定のユーザの当日の利用回数が基準回数を超えている場合に、利用回数が多くなるほど、光源24の出力をゼロに近づけていくようにしてもよい。
本開示による手乾燥装置は、UV照射装置23による照射のオン/オフを制御するための信号を受信する受信部をさらに備えてもよい。手乾燥装置に設けられたセンサの検知信号を当該受信部が受信すると、制御部22が、UV照射装置23による照射のオン/オフを制御してもよい。また、手乾燥装置の外部に設けられたセンサの検知信号を当該受信部が受信すると、制御部22が、UV照射装置23による照射のオン/オフを制御してもよい。当該受信部は、遠隔からの信号を受信可能でもよい。例えば、手乾燥装置の管理あるいはメンテナンスを行う管理者が使用する端末103からの信号を当該受信部が受信すると、制御部22が、UV照射装置23による照射のオン/オフを制御してもよい。なお、端末103については後述する。
実施の形態10.
次に、図44を参照して、実施の形態10について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図44は、実施の形態10による手乾燥装置62の機能ブロック図である。図44に示すように、実施の形態10による手乾燥装置62は、第二光源63を備える。UV照射装置23の光源24は、第一光源に相当する。第二光源63の主波長は、光源24の主波長よりも長い。制御部22は、手検知部21が手を検知すると、光源24を点灯せずに、第二光源63を点灯するように構成されている。
第二光源63が照射する光の波長は、光源24が照射する光の波長よりも長いので、安全性が高い。本実施の形態であれば、手挿入部3に手が挿入または配置されたときに、その手と、手挿入部3とに対して、第二光源63から光を照射することで、安全に手を殺菌することが可能となる。また、UV照射装置23を搭載した手乾燥装置62であり、衛生性が高いことを、ユーザが認識しやすくなるので、ユーザに安心感を提供することができる。
光源24の主波長がUVCである場合に、第二光源63の主波長が、UVB、UVA、可視光のいずれかでもよい。光源24の主波長がUVBである場合に、第二光源63の主波長が、UVAまたは可視光でもよい。光源24の主波長がUVAである場合に、第二光源63の主波長が可視光でもよい。なお、第二光源63がUV照射装置23と一体になっていてもよいし、UV照射装置23とは別の位置に第二光源63が設けられていてもよい。
実施の形態11.
次に、図45及び図46を参照して、実施の形態11について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
本開示では、手乾燥装置と連携している他の機器と、手乾燥装置とを総称して手乾燥システムと呼ぶことがある。なお、当該「他の機器」は、手乾燥装置から離れた位置に配置されていてもよいし、手乾燥装置に隣接して配置されていてもよいし、手乾燥装置と一体に配置されていてもよい。本開示による手乾燥システムが備える手乾燥装置は、例えば、前述した実施の形態1から実施の形態10のいずれかの手乾燥装置と同一または類似のものでもよい。
図45は、実施の形態11による手乾燥システム64の機能ブロック図である。本開示による手乾燥装置は、特定の領域であるユーザ領域に配置される。ユーザ領域は、当該手乾燥装置のユーザが立ち入る可能性がある領域である。図45に示すように、実施の形態10による手乾燥システム64は、ユーザ領域に人がいるかどうかを検知する在否検知手段65を備える。
本開示では、大便器及び小便器の少なくとも一方と、手乾燥装置と、手洗い場とを含む空間を「トイレ空間」と称する。トイレ空間がユーザ領域に相当してもよい。トイレ空間の出入り口にドア等の仕切りがあってもよいし、当該仕切りがなくてもよい。商業施設等において、トイレ空間に入る前に、折れ曲がった通路があり、その折れ曲がった空間が、仕切りの役割を兼ねている場合がある。この場合、折れ曲がった空間を含めてトイレ空間とみなしてもよいし、折れ曲がった空間を除いた空間をトイレ空間とみなしてもよい。また、多目的トイレをトイレ空間とみなしてもよい。本開示におけるユーザ領域は、トイレ空間に限定されない。例えば、本開示におけるユーザ領域は、便器が配置されておらず、手乾燥装置と、手洗い場とを含む空間でもよい。
在否検知手段65は、ユーザ領域に人がいるかどうかを、いかなる原理によって検知するものでもよい。以下、在否検知手段65の例について記載する。在否検知手段65は、ユーザ領域に設置された例えば赤外線センサのような人感センサによって、人の有無を検知してもよい。在否検知手段65は、ユーザ領域を撮影するカメラの画像を処理することによって、人の有無を検知してもよい。
在否検知手段65は、ユーザ領域の明るさと、ユーザ領域を照らす照明装置のオン/オフとの少なくとも一方を検知することにより、人の有無を検知してもよい。ユーザが手動で上記照明装置をオン/オフしてもよいし、例えば赤外線センサのような人感センサの信号に応じて上記照明装置が自動でオン/オフしてもよい。上記照明装置が点灯していれば、ユーザ領域が明るくなり、ユーザ領域に人がいると判断できる。これに対し、上記照明装置が消灯していれば、ユーザ領域が暗くなり、ユーザ領域に人がいないと判断できる。
在否検知手段65は、上記照明装置と電気的に接続された電気的検知手段により上記照明装置に通電している電流値あるいは電圧を検知することで、上記照明装置のオン/オフを検知してもよい。
在否検知手段65は、ユーザ領域の明るさが閾値よりも高いと、上記照明装置が点灯しているので、ユーザ領域に人がいると検知し、ユーザ領域の明るさが上記閾値よりも低いと、上記照明装置が消灯しているので、ユーザ領域に人がいないと検知してもよい。在否検知手段65は、ユーザ領域の照度を、ユーザ領域の明るさとして検知してもよい。また、手乾燥システム64は、上記閾値を調整可能な閾値調整手段をさらに備えていてもよい。上記照明装置が消灯しているときのユーザ領域の明るさは、そのユーザ領域の周囲の条件によって異なる可能性がある。例えば、上記照明装置が消灯しているときに、窓から入る日光によって、ユーザ領域が、ある程度明るくなる可能性がある。そこで、上記照明装置が点灯しているか消灯しているかを検知するための上記閾値を、閾値調整手段により調整可能にすることで、より高精度に検知できる。閾値調整手段は、例えば、手乾燥装置の管理あるいはメンテナンスを行う管理者が使用する端末103から受信した情報に応じて、上記閾値を変更してもよい。
在否検知手段65は、上記照明装置から照射される特定の波長を検知することによってユーザ領域の明るさを検知し、その特定の波長によるユーザ領域の明るさに応じて、人の有無を検知してもよい。そのようにすることで、日光によってユーザ領域の明るさが変化することに影響されることなく、上記照明装置が点灯しているか消灯しているかをより高精度に検知できる。それゆえ、在否検知手段65は、ユーザ領域に人がいるかどうかをより高精度に検知できる。
在否検知手段65は、ユーザ領域の出入り口のドア、あるいは、ユーザ領域内に設けられた個室のドアがロックされているかどうかを検知するドアロック検知手段により、人の有無を検知してもよい。例えば、ドアロック検知手段は、大便器が設置された個室のドアがロックされているかどうかを検知してもよい。例えば、ドアロック検知手段は、多目的トイレの出入り口のドアがロックされているかどうかを検知してもよい。ドアがロックされていれば、在否検知手段65は、中に人がいると判断できる。ドアがロックされていなければ、在否検知手段65は、中に人がいないと判断できる。
在否検知手段65は、ユーザ領域の音を検知することで、人の有無を検知してもよい。例えば、在否検知手段65は、ドアが開閉する音、便器の水が流れる音、手洗い場の水が流れる音、人が歩く音、人の話し声などを検知し、音が検知された場合には人がいると判断し、音が検知されない場合には人がいないと判断してもよい。在否検知手段65は、上記のような特定の音の音波の基準波形を予め記憶し、検知された音の音波の波形を基準波形と比較することで、特定の音を検知してもよい。
手乾燥システム64の制御部22は、ユーザ領域に人がいないことが在否検知手段65により検知されると、UV照射装置23が紫外線を照射するように構成されていてもよい。紫外線は人体に有害なことがある。ユーザ領域に人がいない間に、UV照射装置23から紫外線を照射して殺菌することで、安全性と衛生性を、より確実に両立できる。
手乾燥システム64の制御部22は、ユーザ領域に人がいることが在否検知手段65により検知されると、UV照射装置23の光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成されていてもよい。ユーザ領域に人がいるときには、UV照射装置23の光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにすることで、紫外線が人に当たることをより確実に防止できるので、安全性がさらに向上する。
手乾燥システム64の制御部22は、ユーザ領域に人がいないことが在否検知手段65により検知されているときに、UV照射装置23による紫外線の照射が続いている時間が基準を超えると、光源24の出力を低下させるか、光源24の出力をゼロにするように構成されていてもよい。これにより、1回の照射時間が必要以上に長くなることを防止できる。それゆえ、光源24の寿命を延ばしたり、窓部26の透過率低下を防止したり、手挿入部3の構成材料の劣化を防止したりする上で、有利になる。
本開示では、UV照射装置23が紫外線を照射していない状態のことを「オフ状態」とも呼ぶ。手乾燥システム64の制御部22は、ユーザ領域に人がいることを在否検知手段65が最後に検知した時点から、所定時間が経過するまで、UV照射装置23をオフ状態にしてもよい。これにより、ユーザ領域に人がいるときに、在否検知手段65が、一瞬、誤って、人がいないと検知した場合でも、UV照射装置23のオフ状態が継続される。それゆえ、紫外線が人に当たることをより確実に防止できるので、安全性がさらに向上する。
手乾燥システム64の制御部22は、ユーザ領域に人がいることが在否検知手段65により検知されている間はUV照射装置23をオフ状態にすることと、ユーザ領域に人がいることを在否検知手段65が最後に検知した時点から、所定時間が経過するまで、UV照射装置23をオフ状態にすることとを組み合わせて実施してもよい。これにより、安全性がさらに高まる。
図46は、実施の形態11による手乾燥システム64が実行する処理の例を示すフローチャートである。以下、図46のフローチャートに基づいて説明する。本開示では、ユーザ領域に人がいる状態を「有人環境」と称し、ユーザ領域に人がいる状態を「無人環境」と称する場合がある。
図46のステップS1で、有人環境であると在否検知手段65が検知すると、ステップS2として、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態にする。UV照射装置23がオフ状態のときに、ステップS3として、無人環境であると在否検知手段65が検知すると、ステップS4として、制御部22は、UV照射装置23から紫外線を照射する。また、ステップS1で、有人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、無人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS4として、制御部22は、UV照射装置23から紫外線を照射する。また、ステップS3で、無人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、有人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS2として、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態にする。
ステップS4の後、ステップS5として、制御部22は、在否検知手段65が無人環境を検知したままで所定時間が経過したかどうかを判断する。在否検知手段65が無人環境を検知したままで所定時間がまだ経過していない場合には、ステップS3に戻る。在否検知手段65が無人環境を検知したままで所定時間がすでに経過した場合には、ステップS6として、制御部22は、光源24の出力を低下させることで、UV照射装置23の照射強度を低下させる。
ステップS6の後、ステップS7で、有人環境であると在否検知手段65が検知すると、ステップS8として、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態にする。これに対し、ステップS7で、有人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、無人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS6に戻る。
ステップS8の後、ステップS9で、無人環境であると在否検知手段65が検知すると、ステップS10として、制御部22は、UV照射装置23から紫外線を照射する。これに対し、ステップS9で、無人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、有人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS8として、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態にする。
本開示による手乾燥装置の制御部22は、手検知部21が手を検知していないときに送風機10を駆動する未挿入時駆動モードを制御モードとして備えていてもよい。未挿入時駆動モードは、手を乾燥させるために送風機10を駆動するときの最低風量あるいは最低風速と同等の風量あるいは風速をもたらす運転であるか、最低風量あるいは最低風速よりも低い風量あるいは風速をもたらす運転である。例えば、未挿入時駆動モードのとき、制御部22は、送風機10の回転速度が、手を乾燥させるときの送風機10の回転速度に等しいか、手を乾燥させるときの送風機10の回転速度よりも低くなるように、送風機10を駆動する。
未挿入時駆動モードのとき、制御部22は、UV照射装置23から紫外線を照射してもよい。これにより、送風機10によって生成される気流に紫外線が照射されるので、ユーザ領域の空気を殺菌することができる。
本開示による手乾燥装置は、送風機10によって生成される気流を濾過するエアフィルタを備えていてもよい。当該エアフィルタは、HEPAフィルタでもよい。未挿入時駆動モードのとき、送風機10によって生成される気流がエアフィルタによって濾過されることで、ユーザ領域の空気を清浄化できる。
制御部22は、多数のユーザが手乾燥装置を利用した後に、未挿入時駆動モードを実行してもよい。これにより、多数のユーザの利用によって汚れた可能性のある、ユーザ領域の空気を、殺菌あるいは清浄化することが可能となる。制御部22は、例えば、手検知部21が手を検知した回数によって、多数のユーザが利用したかどうかを判定できる。
本開示において、制御部22は、時刻を管理するタイマー機能を有していてもよい。また、制御部22は、年月日と曜日とを管理するカレンダー機能を有していてもよい。
制御部22は、一日のうちで所定の時間帯に、未挿入時駆動モードを実行してもよい。例えば、制御部22は、深夜あるいは早朝の時間帯に、未挿入時駆動モードを実行してもよい。これにより、手乾燥装置が利用される頻度が低い時間帯に、未挿入時駆動モードを実行して、ユーザ領域の空気を、殺菌あるいは清浄化することが可能となる。
手乾燥システム64において、制御部22は、ユーザ領域に人がいないと在否検知手段65が検知しているときに、未挿入時駆動モードを実行してもよい。これにより、ユーザ領域に人がいないときに、ユーザ領域の空気を、殺菌あるいは清浄化することが可能となる。
実施の形態12.
次に、図47及び図48を参照して、実施の形態12について説明するが、前述した実施の形態11との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図47は、実施の形態12による手乾燥システム66の機能ブロック図である。図47に示すように、実施の形態12による手乾燥システム66は、第二光源67と、実施の形態11で説明した在否検知手段65とを備える。UV照射装置23の光源24は、第一光源に相当する。第二光源67の主波長は、光源24の主波長よりも長い。光源24の主波長がUVCである場合に、第二光源67の主波長が、UVB、UVA、可視光のいずれかでもよい。光源24の主波長がUVBである場合に、第二光源67の主波長が、UVAまたは可視光でもよい。光源24の主波長がUVAである場合に、第二光源67の主波長が可視光でもよい。
第二光源67は、光を、手挿入部3または手挿入空間5に対して照射するように配置されていてもよい。第二光源67がUV照射装置23と一体になっていてもよい。例えば、光源24の光軸と、第二光源67の光軸とが平行であってもよい。第二光源67が光源24に隣接していてもよい。または、UV照射装置23とは別の位置に第二光源67が設けられていてもよい。
あるいは、第二光源67は、手乾燥装置の外部に向けて光を照射するように配置されていてもよい。例えば、手乾燥装置の上面の表示部4の一部として第二光源67が設けられていてもよい。
手乾燥システム66において、ユーザ領域に人がいないことが在否検知手段65により検知されているときに、UV照射装置23の光源24の点灯が続いている時間が基準を超えると、制御部22は、光源24を消灯して第二光源67を点灯させるように構成されている。第二光源67が照射する光の波長は、光源24が照射する光の波長よりも長いので、照射された光が当たった材料への影響が小さい。UV照射装置23の光源24の点灯が続いている時間が基準を超えた場合には、微生物が減少したと考えられるので、それ以上UV照射装置23から紫外線を照射する必要性は低い。そこで、UV照射装置23の光源24の点灯が続いている時間が基準を超えた場合に、光源24を消灯して第二光源67を点灯させることで、手挿入部3、あるいはユーザ領域の壁など、照射された光が当たり得る位置にある材料の劣化を回避しながら、第二光源67からの紫外線による殺菌を継続することができる。また、第二光源67が可視光を照射するものである場合には、殺菌作用は低いが、第二光源67からの可視光をユーザが見ることで、殺菌が完了していることをユーザに知らせることが可能となる。それゆえ、ユーザに安心感を提供することができる。
図48は、実施の形態12による手乾燥システム66が実行する処理の例を示すフローチャートである。以下、図48のフローチャートに基づいて説明する。図48のステップS11で、有人環境であると在否検知手段65が検知すると、ステップS12として、制御部22は、第二光源67からUVAを照射し、UV照射装置23をオフ状態とする。ステップS12の後、ステップS13として、無人環境であると在否検知手段65が検知すると、ステップS14として、制御部22は、第二光源67からのUVAの照射を停止し、UV照射装置23からUVBまたはUVCを照射する。これに対し、ステップS13で、無人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、有人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS12に戻る。また、ステップS11で、有人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、無人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS14として、制御部22は、第二光源67からのUVAの照射を停止し、UV照射装置23からUVBまたはUVCを照射する。
ステップS14の後、ステップS15として、制御部22は、在否検知手段65が無人環境を検知したままで所定時間が経過したかどうかを判断する。在否検知手段65が無人環境を検知したままで所定時間がまだ経過していない場合には、ステップS13に戻る。在否検知手段65が無人環境を検知したままで所定時間がすでに経過した場合には、ステップS16として、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態とし、UVBまたはUVCの照射を停止する。
ステップS16の後、ステップS17として、有人環境であると在否検知手段65が検知すると、制御部22は、ステップS18として、第二光源67からUVAを照射する。これに対し、ステップS17で、有人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、無人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS16に戻る。
ステップS18の後、ステップS19として、無人環境であると在否検知手段65が検知すると、ステップS20として、制御部22は、UV照射装置23からUVBまたはUVCを照射する。このとき、制御部22は、第二光源67からのUVAの照射を停止してもよい。一方、ステップS19で、無人環境であると在否検知手段65が検知していない場合、あるいは、有人環境であると在否検知手段65が検知した場合には、ステップS18に戻る。
実施の形態13.
次に、図49から図51を参照して、実施の形態13について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図49は、実施の形態13による手乾燥システム68の機能ブロック図である。実施の形態13による手乾燥システム68は、手乾燥装置の手挿入空間5の少なくとも1面を覆うことが可能な覆い部(図示省略)を備える。覆い部は、例えば、実施の形態3から実施の形態7のいずれかで説明した遮蔽体と同一または類似の構成を有するものでもよい。
図49に示すように、手乾燥システム68は、切替部69と、近接検知手段70とを備える。切替部69は、覆い部を動かすアクチュエータを有する。切替部69は、覆い部が手挿入空間5の少なくとも1面を覆う閉状態と、手挿入空間5に手を挿入可能な開状態とに切替可能となるように、覆い部を動かす。
近接検知手段70は、覆い部が閉状態のときに、手または人が手挿入部3に近接していることを検知可能である。近接検知手段70は、前述した人検知部39と同一または類似の構成を有するものでもよい。あるいは、近接検知手段70は、前述した在否検知手段65と同一または類似の構成を有するものでもよい。すなわち、近接検知手段70は、ユーザ領域が有人環境であるか無人環境であるかを検知可能でもよい。
本実施の形態における近接検知手段70は、手検知部21とは別に設けられたものである。手検知部21が手を検知すると、制御部22は、送風機10を作動させることで、手を乾燥させる。すなわち、手検知部21による手の検知は、送風機10を作動させるトリガーとなる。これに対し、近接検知手段70は、人あるいは手が、手乾燥装置に近づいたことを検知するものである。人あるいは手が、手乾燥装置に近づくと、手検知部21よりも先に、まず、近接検知手段70が人あるいは手を検知する。その後、手が手挿入部3にさらに近づくと、手検知部21が手を検知する。
覆い部が閉状態のときに手検知部21が手を検知することがないような位置に手検知部21が配置される。例えば、手挿入部3と覆い部とにより形成される内側の空間に手検知部21が配置される。
覆い部は、手挿入部3の上面を覆うものであってもよい。手乾燥装置の形態に応じて、覆い部が覆う位置が異なる。例えば、側面が開放された手挿入部3であれば、覆い部は、手挿入部3の側面を覆うものであってもよい。また、正面が開放された手挿入部3であれば、覆い部は、手挿入部3の正面を覆うものであってもよい。また、これらを組み合わせたものであってもよい。すなわち、覆い部は、手挿入部3の複数の面を覆うものであってもよい。また、複数の覆い部が備えられていてもよい。複数の覆い部が、それぞれ、手挿入部3の複数の面を覆うように構成してもよい。
手乾燥システム68において、制御部22は、手挿入部3に手または人が近接していることを近接検知手段70が検知すると、覆い部が開状態となるように切替部69を駆動する。これにより、手挿入部3に手または人が近接すると、覆い部が自動で開状態となるので、ユーザがスムーズに手挿入空間5に手を挿入することができる。
手乾燥システム68において、制御部22は、手挿入部3に手または人が近接していないことを近接検知手段70が検知している時間が所定時間続くと、覆い部が閉状態となるように切替部69を駆動してもよい。さらに、制御部22は、覆い部が閉状態のときに、UV照射装置23から紫外線を照射してもよい。覆い部が閉状態のときに、UV照射装置23から紫外線を照射すると、紫外線が覆い部に遮られるので、紫外線が手挿入空間5の外へ放射されることを防止できる。それゆえ、紫外線が人に当たることをより確実に防止することと、手挿入空間5をより確実に殺菌することを両立できる。
図50は、実施の形態13による手乾燥システム68が実行する処理の例を示すフローチャートである。以下、図50のフローチャートに基づいて説明する。本開示では、上述した「覆い部」あるいは「遮蔽体」のことを「蓋」と呼ぶ場合がある。
図50のステップS21で、有人環境であると近接検知手段70が検知すると、ステップS22として、制御部22は、切替部69により蓋を閉状態とし、UV照射装置23から紫外線を照射する。
ステップS22の後、ステップS23として、無人環境であると近接検知手段70が検知すると、ステップS24として、制御部22は、切替部69により蓋を開状態とし、UV照射装置23から紫外線を照射する。また、ステップS21で、有人環境であると近接検知手段70が検知していない場合、あるいは、無人環境であると近接検知手段70が検知した場合にも、ステップS24として、制御部22は、切替部69により蓋を開状態とし、UV照射装置23から紫外線を照射する。このように、本実施の形態であれば、無人環境のときに、蓋を開状態にしてUV照射装置23から紫外線を照射することで、紫外線が人に当たることを確実に防止しながら、ユーザ領域の空気をも殺菌することが可能となる。
ステップS23で、無人環境であると近接検知手段70が検知していない場合、あるいは、有人環境であると近接検知手段70が検知した場合には、ステップS22に戻る。
ステップS24の後、ステップS25として、制御部22は、近接検知手段70が無人環境を検知したままで所定時間が経過したかどうかを判断する。近接検知手段70が無人環境を検知したままで所定時間がまだ経過していない場合には、ステップS23に戻る。近接検知手段70が無人環境を検知したままで所定時間がすでに経過した場合には、ステップS26として、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態にする。このとき、制御部22は、蓋を開状態にしてもよいし、蓋を閉状態にしてもよい。
ステップS26の後、ステップS27で、有人環境であると近接検知手段70が検知すると、ステップS28として、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態にする。これに対し、ステップS27で、有人環境であると近接検知手段70が検知していない場合、あるいは、無人環境であると近接検知手段70が検知した場合には、ステップS26に戻る。
ステップS28の後、ステップS29で、無人環境であると近接検知手段70が検知すると、ステップS30として、制御部22は、UV照射装置23から紫外線を照射する。これに対し、ステップS29で、無人環境であると近接検知手段70が検知していない場合、あるいは、有人環境であると近接検知手段70が検知した場合には、ステップS28に戻る。
図51は、実施の形態13による手乾燥システム68が実行する処理の他の例を示すフローチャートである。以下、図51のフローチャートに基づいて説明する。ステップS31で、有人環境であると近接検知手段70が検知すると、ステップS32として、制御部22は、切替部69により蓋を閉状態とし、UV照射装置23から紫外線を照射する。これに対し、ステップS31で、有人環境であると近接検知手段70が検知していない場合、あるいは、無人環境であると近接検知手段70が検知した場合には、制御部22は、切替部69により蓋を開状態とし、UV照射装置23から紫外線を照射する。このように、本実施の形態であれば、無人環境のときに、蓋を開状態にしてUV照射装置23から紫外線を照射することで、紫外線が人に当たることを確実に防止しながら、ユーザ領域の空気をも殺菌することが可能となる。
ステップS32またはステップS33の後、ステップS34で、近接検知手段70が人または手を検知するか、手検知部21が手を検知すると、制御部22は、切替部69により蓋を開状態とし、UV照射装置23をオフ状態にする。
ステップS35の後、ステップS36で、ユーザが手乾燥装置の使用を終了すると、ステップS37として、制御部22は、切替部69により蓋を閉状態とし、UV照射装置23から紫外線を照射する。
ステップS37の後、ステップS38で、制御部22は、無人環境であると近接検知手段70が検知しているかどうかを判断する。その後、近接検知手段70が無人環境を検知したままで所定時間が経過した場合には、制御部22は、UV照射装置23をオフ状態にしてもよい。また、ステップS34で、近接検知手段70が人も手も検知しておらず、かつ、手検知部21が手を検知していない場合には、ステップS38に進む。
実施の形態14.
次に、図52を参照して、実施の形態14について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図52は、実施の形態14による手乾燥システム71の機能ブロック図である。図52に示すように、実施の形態14による手乾燥システム71は、同一ユーザを認識する人認識手段72と、同一ユーザの利用回数をカウントする人記憶手段と、同一ユーザの1日の利用回数に応じて、UV照射装置23が紫外線を照射する出力を変更する出力可変手段とを備える。本実施の形態では、制御部22が、人記憶手段及び出力可変手段に相当する。
手乾燥システム71では、UV照射装置23から、ユーザの手に紫外線を照射する。これにより、ユーザの手に付着している可能性のある微生物を紫外線により殺菌することができ、衛生性が向上する。また、手乾燥システム71であれば、同一ユーザがUV照射装置23から1日に被ばくする紫外線の量を制限できるので、安全性が向上する。
人認識手段72は、例えば、ユーザが所持する社員証、会員証、ICカード、RFIDタグなどから、識別情報を読み取り、その読み取った識別情報を、予め記憶された識別情報と照合することで、同一ユーザを認識してもよい。人認識手段72は、例えば、ユーザの顔を撮影するカメラを用いて顔認証技術または顔識別技術により同一ユーザを認識してもよいし、指紋リーダを用いて指紋認証技術または指紋識別技術により同一ユーザを認識してもよい。人認識手段72は、前述した人認識部60と同一または類似のものでもよい。人認識手段72が同一人物だと認識した場合に、人記憶手段は、利用回数をカウントする。
第一の例として、出力変更手段は、同一ユーザの1日の利用回数が、増加するごとに、UV照射装置23から照射する紫外線の強度あるいは照度を低下させてもよい。
第二の例として、出力変更手段は、同一ユーザの1日の利用回数が所定の回数を超えると、UV照射装置23から照射する紫外線の強度あるいは照度を低下させてもよい。
第三の例として、出力変更手段は、同一ユーザの1日の利用回数が所定の回数を超えると、UV照射装置23の光源24の出力を0にしてもよい。
手乾燥システム71は、上記第一の例から第三の例のうちの、いずれか二つの制御、または三つ全部の制御、を組み合わせて実行してもよい。他のユーザが手乾燥装置を使用する場合には、これらの制御を実行しないことは言うまでもない。
手乾燥システム71では、同一ユーザに対してUV照射装置23から照射される紫外線の量が、前述した、1日または8時間の被ばく許容照射量以下になるように、上記所定の回数と、UV照射装置23から照射する紫外線の強度あるいは照度とが決められていてもよい。
実施の形態15.
次に、図53を参照して、実施の形態15について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
図53は、実施の形態15による手乾燥システム73の機能ブロック図である。図53に示すように、実施の形態15による手乾燥システム73は、ユーザ領域にいる人の人数を検知する人数検知手段74を備える。制御部22は、ユーザ領域にいる人の人数が、0人のときに、UV照射装置23が紫外線を照射するように制御する。また制御部22は、ユーザ領域にいる人の人数が、1人以上のときには、UV照射装置23による紫外線の照射を停止する。これにより、UV照射装置23から紫外線が人に照射されることをより確実に防止できるので、安全性がさらに向上する。
人数検知手段74は、いかなる原理で、ユーザ領域にいる人の人数を検知してもよい。例えば、人数検知手段74として、ユーザ領域の出入り口に、動画を撮影するカメラまたはサーモグラフィーを配置し、そのカメラまたはサーモグラフィーにより撮影された動画を画像処理することにより、ユーザ領域の出入り口を通過する人の有無と、当該人の移動方向とを検知することで、ユーザ領域に入る人と、ユーザ領域から出ていく人とを検知できる。人数検知手段74は、人が出入り口を通ってユーザ領域に入った場合には、カウントしている人数を1増やす。人数検知手段74は、人が出入り口を通ってユーザ領域から出ていった場合には、カウントしている人数を1減らす。
一つのユーザ領域に、複数の出入り口がある場合には、人数検知手段74は、それぞれの出入り口について、入ってくる人と、出ていく人とを検知し、それらを集計することで、ユーザ領域にいる人の人数を検知する。
人数検知手段74の設置場所は、ユーザ領域の出入り口に限定されない。例えば、ユーザ領域の天井等に、人数検知手段74として、カメラまたはサーモグラフィーを配置し、そのカメラまたはサーモグラフィーにより撮影された画像を処理することにより、ユーザ領域にいる人の人数を検知してもよい。
実施の形態16.
次に、図54から図58を参照して、実施の形態16について説明するが、前述した実施の形態との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。なお、本実施の形態において、記載のない事項については、適宜、公知技術を適用することが可能である。
図54は、実施の形態16による手乾燥システム75の機能ブロック図である。図54に示すように、実施の形態16による手乾燥システム75は、殺菌装置76をさらに備える。殺菌装置76は、手乾燥装置の近傍に配置されてもよい。すなわち、殺菌装置76は、手乾燥装置から若干離れた位置に配置されてもよい。殺菌装置76は、手乾燥装置と一体に配置されてもよい。例えば、殺菌装置76は、手挿入部3に配置されてもよい。
殺菌装置76は、殺菌作用を有する液体である殺菌液を用いて殺菌する装置である。本開示において、「殺菌液」との用語は、「消毒液」または「洗浄液」と言い換えることが可能である。殺菌液は、例えば、アルコール、イオン、次亜塩素酸、次亜塩素酸水、オゾン、または電解水などを用いたものでもよい。殺菌液は、例えば、塩水、食塩水、または塩化ナトリウム水溶液を電気分解したものでもよい。殺菌装置76は、複数種類の殺菌液を用いるものでもよい。
殺菌装置76は、排出手段77を備える。排出手段77は、殺菌液を排出する。排出手段77は、殺菌液を微細粒子にして排出してもよい。排出手段77は、殺菌液を、霧化した粒子にして排出してもよい。排出手段77は、殺菌液を、ミストにして排出してもよい。複数種類の殺菌液を用いる殺菌装置76において、どの殺菌液を排出手段77から排出するかを切替可能に構成してもよい。
排出手段77は、手乾燥装置の近傍に配置されてもよいし、手乾燥装置と一体に配置されてもよいし、手挿入部3に配置されてもよい。排出手段77は、手挿入部3に向けて殺菌液を排出してもよい。排出手段77は、手挿入部3が形成する手挿入空間5に向けて殺菌液を排出してもよい。排出手段77は、手乾燥装置が設置されたユーザ領域の空間に向けて殺菌液を排出してもよい。排出手段77は、ユーザの手に向けて殺菌液を排出してもよい。これらのうちの2以上の対象に向けて排出手段77が殺菌液を排出してもよい。
殺菌装置76は、排出手段77を1つだけ備えていてもよいし、複数の排出手段77を備えていてもよい。排出手段77は、水分を排出する。具体的には、排出手段77は、水分を、散布、撒布、噴霧、噴射、滴下、吐出、放散、拡散、搬送、送風のうちの、少なくとも1つの手段で排出する。複数設けられた排出手段77のそれぞれが、互いに異なる方法で、水分あるいは殺菌液を排出してもよい。
例えば、排出手段77は、排出手段77が設けられた手挿入部3の面を殺菌液が滴るように殺菌液を滴下するものであってもよい。例えば、排出手段77は、挿入前部3bに設けられ、排出手段77から滴下された液体が挿入前部3bの下方に移動していくようなものであってもよい。また、排出手段77は、手挿入部3のいずれかの面、または、手挿入部3の複数の面に向かって、殺菌液を吐出するものであってもよい。また、排出手段77は、手挿入部3または手挿入空間5に配置された手に向かって殺菌液を吐出するものであってもよい。また、排出手段77は、手挿入部3または手挿入空間5に配置された手に向かって殺菌液を噴霧するものであってもよい。また、排出手段77は、手挿入部3が配置された空間に、霧化した殺菌液を放散するものであってもよい。
例えば、手挿入部3に、複数の排出手段77が配置されてもよい。挿入前部3bに複数の排出手段77が配置されてもよい。挿入前部3bの中心よりも左側の位置に排出手段77が配置され、挿入前部3bの中心よりも右側の位置に、それとは別の排出手段77が配置されてもよい。挿入前部3bのうちの左側の半分の部分の中心の位置に排出手段77が配置され、挿入前部3bのうちの右側の半分の部分の中心の位置に、それとは別の排出手段77が配置されてもよい。ユーザが手挿入空間5に両手を入れた際に、正面視にて、左手の手のひらの中心に向かい合う位置に排出手段77が配置され、右手の手のひらの中心に向かい合う位置に、それとは別の排出手段77が配置されてもよい。上記のように排出手段77を配置することで、ユーザが手挿入部3の手挿入空間5に手を入れた際に、排出手段77から排出された殺菌液が手に付着しやすくなる。挿入前部3bの中心よりも左側の位置に配置された排出手段77と、挿入前部3bの中心よりも右側の位置に配置された排出手段77とが、挿入前部3bの中心に対して、左右対称になることが望ましい。
排出手段77は、複数の微細口が排出口として形成されたものであってもよい。これにより、霧吹きのように微細な粒子を排出手段77が噴霧することができる。例えば、排出手段77が設けられた手挿入部3の面に向かい合う面の広範囲にわたって、排出手段77が噴霧するものであってもよい。例えば、挿入前部3bに排出手段77が設けられ、排出手段77から噴霧された微細な水分が挿入後部3cに付着してもよい。
排出手段77が噴霧する方向は、排出手段77が設けられた面から、当該面に向かい合う面への方向に、限定されるものではない。例えば、排出手段77が噴霧する方向は、排出手段77が設けられた手挿入部3の面から、その側方に位置する面への方向でもよい。排出手段77が噴霧する方向は、排出手段77が設けられた手挿入部3の面から、その下方に位置する面への方向でもよい。
互いに向かい合う面のうちの、一方の面に排出手段77が配置され、他方の面に、それとは別の排出手段77が配置されてもよい。例えば、挿入前部3bに排出手段77が配置され、挿入後部3cに、それとは別の排出手段77が配置されてもよい。上記のように排出手段77を配置することで、挿入前部3bに配置された排出手段77から排出された殺菌液は挿入後部3cに付着し、挿入後部3cに配置された排出手段77から排出された殺菌液は挿入前部3bに付着するように、構成することができる。つまり、手挿入部3の広範囲にわたって、殺菌液を付着させることができる。
排出手段77は、霧吹きよりも微細なミストを排出してもよい。排出手段77は、加湿器あるいはネブライザから放出されるミストのように空気中に漂うような極微細な粒子を排出してもよい。例えば、手挿入空間5に向けて排出手段77が殺菌液のミストあるいは粒子を排出してもよい。手乾燥装置が配置された空間に向けて排出手段77が殺菌液のミストあるいは粒子を排出してもよい。
手乾燥システム75は、排出手段77から排出された霧化した殺菌液を、ファン等によって生成した気流とともに搬送するように、制御部22により制御してもよい。例えば、排出手段77が殺菌液を霧化して排出するときに、制御部22が送風機10を作動させることで、生成された気流とともに、その霧化した殺菌液を搬送してもよい。これにより、殺菌液を、より広い範囲に到達させることが可能となる。
手乾燥装置は、排出手段77から排出された霧化した殺菌液を、送風機10が生成した気流によって送風して搬送するための霧搬送風路を有してもよい。霧搬送風路は、送風機10が駆動した場合に、霧搬送風路に送風するか、霧搬送風路に送風しないかを切り替える霧搬送切替部を備えていてもよい。霧搬送切替部として、例えば電磁弁を用いてもよい。霧搬送切替部は、送風機10が作動した場合に、霧搬送風路に空気が流れる開状態と、霧搬送風路に空気が流れない閉状態とを切り替える。例えば、手を乾燥させる場合には、制御部22は、霧搬送切替部を閉状態とする。排出手段77から排出された霧化した殺菌液を搬送する場合には、制御部22は、霧搬送切替部を開状態とする。これにより、手を乾燥させる際に、通気孔6からの風速が低下することを回避できる。
次に、殺菌装置76による殺菌のタイミングについて説明する。手乾燥システム75は、手検知部21による検知と連携して、殺菌装置76による殺菌を行ってもよい。すなわち、制御部22は、手挿入空間5に手が挿入され、手検知部21が手を検知すると、排出手段77により、殺菌液が排出されるように制御してもよい。排出手段77から排出された殺菌液が手に付着するように殺菌液を排出手段77から排出する工程を、殺菌工程と呼ぶ。殺菌工程により、排出された殺菌液が手に付着することで、手は殺菌される。なお、本開示では、手を殺菌しない場合に、手挿入部3の周辺あるいは手乾燥装置の周辺を殺菌することを殺菌工程と呼ぶことがある。つまり、排出手段77により殺菌液を排出することを殺菌工程と呼ぶこともある。
手挿入空間5に手が挿入され、手検知部21が手を検知すると、制御部22は、送風機10を運転させる。つまり、手検知部21が手を検知した場合に、送風機10の運転がオンになる。この工程を乾燥工程と呼ぶことがある。乾燥工程により、手挿入空間5に挿入された手は乾燥される。
第一の例として、手乾燥システム75は、殺菌工程と、乾燥工程とを、この順に行ってもよい。つまり、手乾燥システム75は、手検知部21が手を検知した場合に、送風機10の運転がオンになる前に、排出手段77により、殺菌液を排出してもよい。また、手乾燥システム75は、殺菌工程が開始した後、殺菌工程が終了する前に、乾燥工程を開始してもよい。手乾燥システム75は、殺菌工程が終了した後に、乾燥工程を開始してもよい。手乾燥システム75は、殺菌工程の終了後、所定の時間が経過してから、乾燥工程を行ってもよい。
手乾燥システム75は、排出手段77が殺菌液を排出した直後に、送風機10の運転をオンにしてもよい。手乾燥システム75は、排出手段77が殺菌液を排出する時間と、送風機10の運転がオンになる時間との間に、所定の時間、時間差を設けることがより望ましい。例えば、手乾燥システム75は、殺菌液が排出手段77から排出されてから、数秒間が経過した後に、送風機10の運転をオンにすることが望ましい。これにより、以下の効果が得られる。ユーザが手を手挿入空間5に入れた際に、殺菌液が排出手段77から排出されると、殺菌液はユーザの手に付着する。ユーザは、両手を擦り合わせるようにして、手に殺菌液をしみ込ませる。このようにすることで、手の全体をより確実に殺菌することができる。手が殺菌された状態で、送風機10がオンして乾燥風が吹かれると、手から飛散した水滴に含まれる微生物の数が減る。それゆえ、手挿入部3に水滴が飛散したり、手乾燥装置が設置された空間に水滴が飛散した場合でも、感染リスクを低下させることができる。このため、衛生性が向上する。なお、手に水分が付着した状態では、殺菌液による殺菌効果が低下する可能性がある。このため、予め濃度を高めた殺菌液を用いてもよい。
第二の例として、手乾燥システム75は、乾燥工程と、殺菌工程とを、この順に行ってもよい。例えば、手乾燥システム75は、乾燥工程が開始した後、乾燥工程が終了する前に、殺菌工程を開始してもよい。手乾燥システム75は、乾燥工程が終了した後に、殺菌工程を開始してもよい。手乾燥システム75は、送風機10の運転によって手の乾燥が行われた後に、排出手段77から排出される殺菌液を手に吹きかけてもよい。例えば、手乾燥システム75は、乾燥工程の終了直後、または乾燥工程が終わる直前、または乾燥工程の最中に、排出手段77から殺菌液を排出してもよい。手に水分が付着した状態では殺菌液による殺菌効果が低下する可能性がある。このため、先に手に乾燥風を当てて手を乾燥させた後に殺菌液を排出することで、殺菌効果の低下をより確実に防ぐことができる。
第三の例として、手乾燥システム75は、1度目の殺菌工程と、乾燥工程と、2度目の殺菌工程とを、この順に行ってもよい。上述した通り、手洗い等により濡れた手を乾燥させる際、手洗いが不完全である場合には、手に付着した微生物が、水滴とともに、手乾燥装置に飛散したり、手乾燥装置が設置された空間に飛散したりする可能性がある。このため、手を乾燥させる前に殺菌することが望ましい。その一方で、濡れた手に殺菌液を排出すると、殺菌液が薄まり、殺菌効果が低下する可能性がある。そこで、1度目の殺菌工程で殺菌液により手を殺菌したのち、乾燥工程で送風機10により手を乾燥させ、2度目の殺菌工程で殺菌液により手をさらに殺菌してもよい。この場合、微生物が、水滴とともに、手乾燥装置に飛散する量、あるいは、手乾燥装置が設置された空間に飛散する量を、より確実に減らすことができ、衛生性が向上する。また、乾燥工程で手を乾燥させたのちに、2度目の殺菌工程で再度手に殺菌液が排出されることで、より確実に手を殺菌できる。このため、衛生性がさらに高まる。また、手乾燥システム75は、1度目の殺菌工程で殺菌液を排出した直後に送風機10の運転をオンにしてもよいが、1度目の殺菌工程で殺菌液が排出される時間と、乾燥工程で送風機10の運転がオンになる時間との間に、所定の時間、時間差を設けることがより望ましい。例えば、手乾燥システム75は、1度目の殺菌工程で殺菌液を排出手段77から排出し、数秒間が経過した後に、送風機10の運転をオンにすることが望ましい。
第四の例として、手乾燥システム75は、1度目の殺菌工程と、1度目の乾燥工程と、2度目の殺菌工程と、2度目の乾燥工程とを、この順に行ってもよい。2度目の殺菌工程の次に、2度目の乾燥工程を行うことで、ユーザの手を乾燥させることができる。すなわち、手が殺菌液で濡れたままになることがないので、ユーザの快適性が向上する。手乾燥システム75は、2度目の殺菌工程が開始した後、2度目の殺菌工程が終了する前に、2度目の乾燥工程を開始してもよい。手乾燥システム75は、2度目の殺菌工程が終了した後に、2度目の乾燥工程を開始してもよい。手乾燥システム75は、2度目の殺菌工程が終了した後、所定の時間が経過してから、2度目の乾燥工程を開始してもよい。上記のようにすることで、1度目の殺菌工程で手が殺菌された状態で1度目の乾燥工程により手が乾燥され、さらに2度目の殺菌工程で手を殺菌することで、手に付着している微生物がさらに減少し、2度目の乾燥工程によりさらに手が乾燥される。その結果、手乾燥装置の衛生性、及び手乾燥装置の設置された空間の衛生性がさらに向上するとともに、手が衛生的かつ乾燥された状態になる。
手乾燥システム75は、殺菌工程中であることを報知する殺菌報知部を備えていてもよい。例えば、表示部4が殺菌報知部に相当してもよい。殺菌工程中であることを殺菌報知部が報知することで、ユーザは、殺菌液による殺菌が行われていることを知り、安心感を得られる。
また、手乾燥システム75は、乾燥工程中であることを報知する乾燥報知部を備えていてもよい。例えば、表示部4が乾燥報知部に相当してもよい。
また、手乾燥システム75は、工程報知部を備えていてもよい。例えば、表示部4が工程報知部に相当してもよい。工程報知部は、殺菌工程中であることを報知したり、乾燥工程中であることを報知したりするだけでなく、全工程について報知するとともに、現在の工程がそのうちのどの工程に当たるかを報知する。例えば、1度目の殺菌工程と、その次の乾燥工程と、2度目の殺菌工程との3つの工程で殺菌及び乾燥が行われる場合に、工程報知部は、3つの工程について、文字あるいはイラストを表示することで報知するとともに、現在の工程がそのうちのどの工程に当たるかを、ランプなどの光などで示してもよい。手乾燥システム75は、手乾燥装置に配置されたモニターまたはディスプレイ、または、手乾燥装置が配置された空間に配置されたモニターまたはディスプレイを工程報知部として備え、当該モニターまたはディスプレイに、上述した文字あるいはイラストを表示してもよい。工程報知部を設けることで、ユーザは、殺菌と乾燥の工程を容易に理解でき、より安心して手乾燥装置を使用することができる。
手乾燥システム75は、上述したいずれの工程においても、手が手挿入部3に配置されていないことを手検知部21が検知すると、上述した工程を強制終了してもよい。手乾燥システム75は、強制終了する場合には、乾燥工程であっても殺菌工程であっても工程を終了し、次の工程以降の工程も行わない。これにより、無駄な運転を回避できる。
手乾燥システム75は、人検知手段を備えていてもよい。手乾燥システム75の人検知手段は、前述した人検知部39、在否検知手段65、または近接検知手段70と、同一または類似の構成でもよい。
手乾燥システム75は、手検知部21が手を検知していない間に、排出手段77により殺菌液を排出してもよい。手乾燥システム75は、人検知手段が人を検知していない間に、排出手段77により殺菌液を排出してもよい。例えば、手乾燥システム75は、ユーザが手乾燥装置を使用した後に、排出手段77により殺菌液を排出してもよい。これにより、使用後の手挿入部3を殺菌したり、手乾燥装置が配置された空間を殺菌できる。また、空気中に漂うような粒径の小さい殺菌液を、人が呼吸により吸引すると、人体へ悪影響を及ぼす可能性がある。この点に関し、手検知部21が手を検知していない間に排出手段77により殺菌液を排出すること、あるいは、人検知手段が人を検知していない間に排出手段77により殺菌液を排出することで、人体への安全性がさらに高まる。
管理者が手乾燥装置あるいはユーザ領域を清掃するときのために、手乾燥システム75は、殺菌装置76の排出手段77による排出のオン/オフを手動で操作することができるように構成されていてもよい。例えば、手乾燥システム75は、手検知部21のセンシング機能のオン/オフを切り替える検知切替手段と、人検知手段のセンシング機能のオン/オフを切り替える検知切替手段との、いずれか一方または両方の検知切替手段を備えていてもよい。検知切替手段により手検知部21のセンシング機能をオフにすると、手挿入部3の手挿入空間5に手を入れても、手検知部21が反応しない。検知切替手段により人検知手段のセンシング機能をオフにすると、手乾燥装置に人が近づいても、人検知手段が反応しない。これにより、管理者が手乾燥装置あるいはユーザ領域を清掃しているときに、不意に乾燥工程あるいは殺菌工程の作動が開始することがないので、無用な運転を回避できる。
また、手乾燥システム75は、殺菌装置76の排出手段77の連続運転切替部を備えていてもよい。連続運転切替部をオンにした場合には排出手段77が連続運転され、連続運転切替部をオフにした場合には排出手段77から殺菌液が排出されないように手乾燥システム75が構成されていてもよい。排出手段77の連続運転が実行されると、排出手段77から殺菌液が排出され続ける。管理者が手乾燥装置あるいはユーザ領域を清掃するとき以外には、連続運転切替部をオフにしておくことが望ましい。管理者が手乾燥装置あるいはユーザ領域を清掃するときには、連続運転切替部をオンにすることで、排出手段77から排出される殺菌液を、必要に応じて、清掃に使用することができる。つまり、清掃中に、殺菌液を使用したいときには、連続運転切替部を一時的にオンにすればよい。これにより、清掃する者が、別途に殺菌液を用意する負担を減らすことができるとともに、排出手段77から排出される殺菌液を用いて容易に清掃ができる。なお、連続運転切替部を備えた手乾燥システム75は、上述した検知切替手段を必ずしも備えている必要はない。この場合でも、連続運転切替部をオンにしておくことで、手検知部21あるいは人検知手段の検知結果によらず、排出手段77から殺菌液が出続けるので、その殺菌液を清掃に活用することができる。
殺菌装置76は、塩化物の水溶液を貯留する貯留部を備えていてもよい。殺菌装置76は、貯留部に貯留された水溶液を電気分解して電解水を生成する電解水生成手段92と、電解水生成手段92で生成された電解水を殺菌装置76の外側へ排出する第一排出部とを備えていてもよい。第一排出部は、排出手段77の一例である。なお、電解水は、殺菌液に相当する。本開示において、電解水以外の殺菌作用を有する液体も包含する場合には、「殺菌液」と表記することがある。
電解水生成手段92は、例えば、塩化物の水溶液を電気分解することにより、次亜塩素酸が溶解された電解水を生成してもよい。次亜塩素酸は、「Hypochlorous Acid」とも呼ばれる。次亜塩素酸の組成式は、例えば、「HClO」である。電解水生成手段92は、正極及び負極を含む電極を備えている。電極は、貯留部内に設けられている。
電解水生成手段92の電極は、水に溶け出しにくい材料で作られていることが望ましい。そのような材料として、例えば、チタン、白金が挙げられる。電気分解を促進するために、電極には、イリジウム、白金、ルテニウムなどの白金族の金属、またはその酸化物が担持されていてもよい。電解水には、過酸化水素、活性酸素、OHラジカルなどの化学種が生成されてもよい。
電解水生成手段92は、正極と負極との間に仕切のない1室型であってもよいし、正極と負極との間に仕切を有する2室型、3室型、または多室型であってもよい。1室型の電解水生成手段92は、正極側に生成される酸性イオン水と負極側に生成されるアルカリ性イオン水とを中和して、適切な濃度の次亜塩素酸を含む電解水を生成する。多室型の電解水生成手段92は、正極を収容する室に酸性イオン水を生成し、負極を収容する室にアルカリ性イオン水を生成する。
多室型の電解水生成手段92では、酸性イオン水の使用量と、アルカリ性イオン水の使用量とが、不均衡になる可能性がある。その場合、いずれか残留した方のイオン水を処分しなければならない可能性がある。これに対し、1室型の電解水生成手段92は、残留した方のイオン水を処分する必要性がないので、利便性が向上する。
貯留部は、水と塩化物とを収容可能な容器である。貯留部に収容される水は、上水あるいは水道水でもよい。貯留部に収容される塩化物は、例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムのうちの少なくとも一つである。塩化物は、粉末、顆粒、錠剤、タブレットなど、固体または固形の状態で、貯留部に供給されてもよい。塩化物は、液状、ジェル状のものであってもよい。貯留部へ給水の利便性と、貯留部への塩化物の供給の利便性を高めるために、殺菌装置76から貯留部を取り外せるように構成してもよい。貯留部は、開閉可能なカバーを備えていてもよい。貯留部のカバーを開くか、またはカバーを取り外すと、水あるいは塩化物を容易に貯留部内に入れることができる。貯留部がカバーを有しない場合には、貯留部の開口から水あるいは塩化物を貯留部内に入れることができる。貯留部が有するカバーに開口を設け、開口から水あるいは塩化物を入れてもよい。カバーを有する貯留部であれば、持ち運び時に水がこぼれにくくなる。貯留部には、貯留部内の液体の量を検知する液量検知手段93と、貯留部内の水溶液に溶けた塩化物の濃度を検知する濃度検知手段94と、貯留部内の水溶液のpHを検知するpH検知手段95とのうちの、少なくとも一つの検知手段が設けられていてもよい。
液量検知手段93は、接触式、または非接触式のいずれであってもよい。接触式の液量検知手段93としては、例えば、フロート式、静電容量式が挙げられる。フロート式の液量検知手段93は、貯留部内に設けられたフロートすなわち浮きの、鉛直方向における位置に基づいて液位を検知する。静電容量式の液量検知手段93は、一対の電極間の静電容量を検知することで、液位を検知する。非接触式の液量検知手段93としては、例えば、電波、超音波、または光波を用いて液位を検知するものが挙げられる。
電解水生成手段92の電極を、液量検知手段93として兼用してもよい。鉛直方向に延在する電極は、貯留部内の液位すなわち電解水の液位の変化に応じて、液中に没する部分と、貯留部内の気体に晒される部分との割合が変化する。この割合が変化すると、電極の正極と負極との間に流れる電流値が変化する。それゆえ、電極の正極と負極との間に流れる電流値の変化を検知することで、貯留部に貯留されている液体の量を検知できる。また、液量検知手段93は、例えば貯留部の重さにより、貯留部内の液体の量を検知してもよい。例えば、液量検知手段93は、空の貯留部の重さに対して、どれくらい質量が増えているかにより、貯留部内の液体の量を検知してもよい。
濃度検知手段94は、例えば、光の屈折現象を利用して水溶液中の塩化物の濃度を測定する屈折計でもよいし、水溶液中の塩化物の濃度と水溶液の導電率との関係から水溶液中の塩化物の濃度を測定する電気伝導率計でもよい。また、濃度検知手段94は、例えば、吸光光度法を用いて、塩素濃度を測定してもよい。また、濃度検知手段94は、濁度等の他の情報から、塩素濃度を推定してもよい。
pH検知手段95は、例えばガラス電極を用いたものでもよい。pH検知手段95は、例えばガラス電極法を用いたものでもよい。pH検知手段95によれば、貯留部内の水溶液のpHが、0~14またはそれより狭い範囲で、いくつであるかを検知できる。
電解水生成手段92は、貯留部内に設けられてもよい。電解水生成手段92は、貯留部の外部に設けられてもよい。例えば、第一排出部に繋がる液通路に電解水生成手段92が設けられてもよい。電解水生成手段92は、貯留部に貯留される水溶液が、殺菌装置76の外部へ排出される前に、電解水を生成すればよい。本開示において、「通路」とは、原則として、固体あるいは液体が通過する通り道に相当する。
殺菌装置76が利用する液体が、電気分解を必要としない液体であれば、殺菌装置76が電解水生成手段92を備えていなくてもよい。電気分解を必要としない液体とは、例えばアルコールである。また、管理者が貯留部に直接殺菌液を入れてもよい。
殺菌装置76に上水道から水が供給されるように構成してもよい。つまり、手乾燥装置が上水道に連結されていてもよい。例えば、貯留部は、自動開閉弁を介して上水道とつながっていてもよい。これにより、上水道から貯留部に自動で水を補充できる。液量検知手段93が貯留部内の液位の低下を検知すると、所定の液位に回復するように、上水道から貯留部へ自動で給水してもよい。濃度検知手段94が貯留部内の水溶液の濃度の上昇を検知すると、濃度が所定の濃度まで低下するように、上水道から貯留部へ自動で給水してもよい。
排出手段77は、第一排出部と、第二排出部と、第三排出部とのうちの、少なくとも1つの排出部を備えてもよい。第一排出部、第二排出部、第三排出部のそれぞれは、殺菌液を排出するための機構部を備えていてもよい。第一排出部は、貯留部から、手挿入部3の表面あるいは手挿入空間5を形成する壁面へ、殺菌液を排出する。第二排出部は、貯留部から、ユーザの手へ殺菌液を排出する。第三排出部は、貯留部から、手乾燥装置が設置されている空間へ殺菌液を排出する。
排出手段77から排出された殺菌液は、手乾燥装置の外観に露出してもよい。排出手段77から排出された殺菌液は、外気に触れてもよい。排出手段77から排出された殺菌液は、人と接触可能な位置に露出してもよい。
第一排出部は、手挿入空間5へ殺菌液を排出する第一排出口と、第一開閉弁と、殺菌液を第一排出口へ導く第一液通路とを備えていてもよい。第一開閉弁が開くと、第一排出口へ殺菌液が排出される。第一開閉弁が閉じると、第一排出口への殺菌液の排出が停止する。
第一排出部は、複数の第一排出口を備えてもよい。例えば、複数の第一排出口は、手挿入部3の左右方向すなわち幅方向に沿って、列をなして並んでいてもよい。このように並ぶ複数の第一排出口によれば、手挿入部3の広い範囲を殺菌液で湿らせることができる。また、第一排出口は、手挿入部3の左右方向すなわち幅方向に沿って延びる細長い開口であってもよい。また、第一排出口は、複数の微細口が近接して配置されることで全体として円形に見えるように構成されていてもよい。
第一開閉弁は、典型的には、電磁弁により構成される。第一排出部は、第一開閉弁を開くことで、貯留部内の殺菌液の液位と、第一排出口との高低差、つまり水頭差、を利用して、殺菌液を排出してもよい。第一排出部は、第一開閉弁に代えて、貯留部内の殺菌液を汲み上げるポンプを備えていてもよい。第一排出口から排出される液体の粒子群が、粒径が直径300μm以下である微粒子を含むように、第一排出口が構成されることが好ましい。また、第一排出部は、単に、貯留部内の殺菌液を流出させる流路であってもよい。例えば、第一排出部は、単なる細管あるいはオリフィスであってもよい。このような場合には、単位時間当たりの殺菌液の排出量が、所要の値となり得るように、第一排出口の細管の内径あるいはオリフィス径が設定されればよい。
第二排出部は、ユーザの手へ殺菌液を排出する機能を担う。第二排出部は、ユーザの手へ殺菌液を排出する第二排出口と、第二排出口への殺菌液の排出と排出の遮断とを行う第二開閉弁と、殺菌液を第二排出口へ導く第二液通路とを備えていてもよい。
第二排出口は、例えば、殺菌液を噴霧可能なノズルでもよい。第二排出部は、複数の第二排出口を備えてもよい。例えば、複数の第二排出口が挿入前部3bに配置されてもよい。挿入前部3bの中心よりも左側の位置に第二排出口が配置され、挿入前部3bの中心よりも右側の位置に、それとは別の第二排出口が配置されてもよい。挿入前部3bのうちの左側の半分の部分の中心の位置に第二排出口が配置され、挿入前部3bのうちの右側の半分の部分の中心の位置に、それとは別の第二排出口が配置されてもよい。ユーザが手挿入空間5に両手を入れた際に、正面視にて、左手の手のひらの中心に向かい合う位置に第二排出口が配置され、右手の手のひらの中心に向かい合う位置に、それとは別の第二排出口が配置されてもよい。上記のように第二排出口を配置することで、ユーザが手挿入部3の手挿入空間5に手を入れた際に、第二排出口から排出された殺菌液が手に付着しやすくなる。
第二開閉弁は、典型的には、電磁弁により構成される。第二排出部は、第二開閉弁を開くことで、貯留部内の殺菌液の液位と、第二排出口との高低差、つまり水頭差、を利用して、殺菌液を排出してもよい。第二排出部は、第二開閉弁に代えて、貯留部内の殺菌液を汲み上げるポンプを備えていてもよい。また、第二排出部は、単に、貯留部内の殺菌液を流出させる流路であってもよい。例えば、第二排出部は、単なる細管あるいはオリフィスであってもよい。このような場合には、単位時間当たりの殺菌液の排出量が、所要の値となり得るように、第二排出口の細管の内径あるいはオリフィス径が設定されればよい。
排出手段77は、第二排出部を備えずに、第二排出部の機能を併せ持った第一排出部を備えたものでもよい。すなわち、第一排出部が手挿入部3に殺菌液を排出することができ、かつ、第一排出部がユーザの手にも殺菌液を排出できるものであってもよい。例えば、第一排出部は、複数の微細な第一排出口が近接して設けられた構造を有していてもよい。手挿入部3の面に設けられた第一排出部が、少なくとも、当該面に向かい合う面へ、殺菌液を排出可能でもよい。第一排出部から殺菌液が放射状に排出されるように第一排出部を構成してもよい。
複数の第一排出部が挿入前部3bに配置されてもよい。挿入前部3bの中心よりも左側の位置に第一排出部が配置され、挿入前部3bの中心よりも右側の位置に、それとは別の第一排出部が配置されてもよい。挿入前部3bのうちの左側の半分の部分の中心の位置に第一排出部が配置され、挿入前部3bのうちの右側の半分の部分の中心の位置に、それとは別の第一排出部が配置されてもよい。挿入前部3bの中心よりも左側の位置に配置された第一排出部と、挿入前部3bの中心よりも右側の位置に配置された第一排出部とが、挿入前部3bの中心に対して、左右対称になることが望ましい。
挿入前部3bの面から見て、挿入前部3bに向かい合う挿入後部3cの面よりも近い位置に、ユーザの手が配置される。このため、第一排出部から放射されて間もない粒子は、拡散しきる前に手に当たる。このため、放射した殺菌液の多くを手に当てることができる。これに対し、第一排出部から放射された殺菌液が、挿入後部3cの面に当たるときには、手の位置よりも遠いので、殺菌液が拡散されている。それゆえ、挿入後部3cの広範囲に殺菌液が付着する。このような第一排出部によれば、ユーザの手にも、手挿入部3にも、殺菌液を排出することができる。このため、容易な構成で衛生性をより良好にできる。
第三排出部は、手挿入空間5と、手乾燥装置が配置されている空間との、少なくとも一方の空間へ殺菌液を撒布する機能とのの機能を担う。第三排出部は、殺菌液を霧状にして空間へ排出する霧化装置と、殺菌液を霧化装置へ導く第三液通路とを備えていてもよい。
霧化装置は、霧化した殺菌液を空間へ拡散あるいは撒布する。霧化装置は、殺菌液を加熱して霧化させる加熱式でもよいし、殺菌液を超音波で振動させて霧化させる超音波式でもよいし、ベンチュリー効果を用いたスプレーでもよいし、霧吹きで殺菌液を霧化させる方式でもよいし、コロナ放電を利用して殺菌液を霧化させる静電霧化方式でもよいし、高速回転させたプロペラなどによって殺菌液を拡散させて液滴を破砕する破砕式でもよい。いずれの霧化方式においても、霧化装置は、直径100μm以下の微粒子を含む粒子群が生成されるように殺菌液を霧化することが好ましく、直径10μm以下の微粒子を含む粒子群が生成されるように殺菌液を霧化することがより好ましい。
排出手段77が殺菌液を手に排出する場合は、人が触れても害が少ない、安全に使用可能な濃度の殺菌液を排出することが望ましい。霧化した殺菌液を排出手段77が空間に噴霧する場合には、人が吸引しても害が少ない、安全に使用可能な濃度の殺菌液を噴霧することが望ましい。
第二排出部または第三排出部から排出される微細な粒子を人が吸引すると悪影響が出る可能性がわずかにある。そのような場合には、手乾燥システム75において、前述した遮蔽体、覆い部、または蓋を、手挿入部3に設け、遮蔽体、覆い部、または蓋が、閉状態(第二状態)のときに、第二排出部または第三排出部から殺菌液を排出すればよい。これにより、手挿入部3内に限定されるが、殺菌することができる。その後、手乾燥システム75は、殺菌液を排出してから所定の時間が経過した後に、遮蔽体、覆い部、または蓋を、開状態(第一状態)に、自動で戻してもよい。
第一液通路、第二液通路、及び第三液通路のそれぞれは、例えば配管により構成される。第一液通路、第二液通路、及び第三液通路は、他の液通路から分岐していてもよいし、それぞれが単独で貯留部に繋がっていてもよい。
貯留部は、水と塩化物とを受け入れ可能である。貯留部は、塩化物の水溶液を貯留する。殺菌装置76は、水または他の液体を受け入れるための第一受入口と、塩化物を受け入れるための第二受入口との、少なくとも一方の受入口を備えていてもよい。第一受入口と第二受入口は同一のものであってもよい。つまり第一受入口と第二受入口が兼用のものであってもよい。第一受入口及び第二受入口は開口でなくてもよい。
手乾燥システム75は、第一受入口から受け入れた液体を貯留部に送るための液通路を備えてもよい。当該液通路は貯留部に繋がる。液通路の開口は第一受入口であってもよい。手乾燥システム75は、当該液通路を備えていなくてもよい。その場合、第一受入口は貯留部に設けられる。
殺菌装置76が、上部が開放した貯留部を有し、その上部から貯留部に液体を入れるように構成されている場合において、貯留部の上部を第一受入口と解釈してもよいし、第一受入口が存在せずに貯留部に上方から液体を入れると解釈してもよい。このように、第一受入口は、必ずしも厳密に定義されるものではない。殺菌装置76は、必ずしも第一受入口を備えなくてもよい。
第一受入口は、電解水を生成するための水、例えば水道水、を受け入れるための開口でもよい。殺菌装置76は、第一受入口から水以外の液体を受け入れてもよい。殺菌装置76は、第一受入口から、殺菌作用の少ない液体、または、殺菌作用のない液体、を受け入れてもよい。殺菌装置76は、第一受入口から、殺菌作用の少ない液体、または、殺菌作用のない液体を受け入れ、電解水生成手段92により、殺菌作用を有する液体を生成してもよい。殺菌装置76は、第一受入口から、食塩水あるいは塩化ナトリウム水溶液などの、塩水である液体を受け入れてもよい。殺菌装置76は、塩水を第一受入口から受け入れた場合、塩水を電気分解することで、次亜塩素酸水を生成してもよい。この場合、殺菌装置76は、塩化物の第二受入口から、何も受け入れる必要はない。殺菌装置76は、第一受入口に代えて、塩化物の第二受入口から、塩水を受け入れてもよい。この場合、殺菌装置76は、第一受入口から、何も受け入れる必要はない。
第一受入口は、貯留部の天面と同じ高さの位置に配置されるか、貯留部の天面よりも上方の位置に配置されることが好ましい。これにより、第一受入口から受け入れた液体が、重力により、貯留部に流れる。また、第一受入口は、貯留部の天面に配置されていてもよい。
貯留部へ塩化物を受け入れるための第二受入口が貯留部に設けられていてもよい。第二受入口は、貯留部の天面と同じ高さの位置に配置されるか、貯留部の天面よりも上方の位置に配置されることが好ましい。第二受入口は、塩化物の他に、電解水を生成するための水、例えば水道水、を受け入れるための開口を兼ねていてもよい。管理者は、水を第一受入口から貯留部に入れ、塩化物を第二受入口から貯留部に入れてもよい。管理者は、塩化物を水に溶かした水溶液を、第一受入口または第二受入口から、貯留部に入れてもよい。
貯留部が多室型の場合には、第一受入口と、第二受入口とが、別々の室に繋がっていることが好ましい。
手乾燥システム75は、水を一時的に溜めておくための水槽を有していてもよい。手乾燥システム75は、第一受入口から受け入れた水を水槽に溜めておいてもよい。水槽に第一受入口が設けられていてもよい。例えば、水槽の天面に第一受入口が設けられていてもよい。水槽は、貯留部よりも上方の位置に配置されることが望ましい。
手乾燥システム75は、第一受入口を水槽につなぐ取水通路を備えていてもよい。取水通路は、例えば配管により形成される。第一受入口から流入した水は、取水通路を通過して、水槽に溜まる。手乾燥システム75が水槽を備える場合、液通路は、水槽を貯留部につなぐ。第一受入口から流入した水は、取水通路と、水槽と、液通路とをこの順に経由し、貯留部に流入する。液通路は、水槽の下側に設けられてもよい。液通路は、水槽の下面に設けられてもよい。
手乾燥システム75は、水槽の中の水量を検知するための水量検知手段96と、水槽の中の水量を調整するための水量調整手段97とをさらに備えてもよい。水量検知手段96は、例えば、水槽に設けられてもよい。水量検知手段96は、前述した液量検知手段93について説明した検知方法のいずれかによって、水量を検知してもよい。水量調整手段97は、水槽から貯留部へ水を排出することと、水槽から貯留部への水の排出を止めることを切り替える手段でもよい。水量調整手段97は、例えば、水槽と液通路との、いずれか一方または両方に設けられていてもよい。水量調整手段97は、例えば、電磁弁あるいはポンプを用いたものでもよい。その電磁弁あるいはポンプとしては、公知技術、または上述した仕組みによるものを適用できる。
手乾燥システム75は、濃度検知手段94と、水量検知手段96と、水量調整手段97とのうちの少なくとも二つを組み合わせて使用することで、所望の量の水を貯留部へ移動させることができる。例えば、手乾燥システム75は、水量検知手段96で水量を検知しながら、水量調整手段97により水を貯留部へ移動させることで、移動させる水量を高精度に制御できる。また、手乾燥システム75は、濃度検知手段94で貯留部内の水溶液の濃度を検知しながら、水量調整手段97により水を貯留部へ移動させることで、貯留部内の水溶液の濃度を高精度に調整できる。手乾燥システム75は、濃度検知手段94と、水量検知手段96と、水量調整手段97とのすべてを用いて、水槽の水を貯留部に移動させてもよい。これにより、さらに高い精度で水を移動できる。このように、高い精度で水槽の水を貯留部に移動させることで、貯留部内の水溶液の濃度あるいはpHをより適切に管理できる
殺菌装置76は、塩化物供給部78を備えていてもよい。塩化物供給部78は、貯留部に塩化物を供給するためのものである。塩化物供給部78は、貯留部の一部として設けられたものでもよい。塩化物供給部78は、第二受入口と、第一供給経路と、第二供給経路と、塩化物保管部79とを備えていてもよい。塩化物供給部78は、第二受入口のみを備えていてもよい。第一供給経路は、第二受入口から塩化物保管部79に塩化物を移動するための通り道である。第二供給経路は、塩化物保管部79から貯留部に塩化物を移動するための通り道である。塩化物保管部79は、第二受入口から受け入れた塩化物を一時的に保管するためのものである。塩化物保管部79は、貯留部につながる。例えば、第二受入口に入れられた塩化物は、第一供給経路と、塩化物保管部79と、第二供給経路とをこの順に経由して、貯留部に供給される。
なお、塩化物保管部79に第二受入口が設けられている場合には第一供給経路が備えられなくてもよい。塩化物供給部78が、上部が開放した塩化物保管部79を有し、その上部から塩化物保管部79に塩化物を入れるように構成されている場合において、塩化物保管部79の上部を第二受入口と解釈してもよいし、第二受入口が存在せずに塩化物保管部79に上方から塩化物を入れると解釈してもよい。このように、第二受入口は、必ずしも厳密に定義されるものではない。殺菌装置76は、必ずしも第二受入口を備えていなくてもよい。
第二受入口が手乾燥システム75に設置された状態で、手乾燥システム75のいずれかの部位によって第二受入口が覆われていてもよい。これにより、第二受入口に異物が侵入しにくくなるので、貯留部への異物の侵入を防ぐ上で有利になる。
塩化物供給部78は、塩化物保管部79を備えていなくてもよい。その場合には、第二受入口に入れられた塩化物は、第二供給経路を通過して、貯留部に供給される。また、貯留部に第二受入口が設けられている場合は、第二供給経路が備えられていなくてもよい。
手乾燥システム75は、殺菌装置76に対して、第二受入口を引き出し可能または取り出し可能な構造を有していてもよい。あるいは、手乾燥システム75は、殺菌装置76に対して、第二受入口を含む塩化物供給部78の少なくとも一部を、引き出し可能または取り出し可能な構造を有していてもよい。そのような構造によれば、第二受入口に塩化物を入れる際に、第二受入口、あるいは第二受入口を含む塩化物供給部78の少なくとも一部を、引き出したり、あるいは取り出したりすることで、より容易に作業できる。
塩化物保管部79は、塩化物を、一定数または一定量、保管可能である。塩化物保管部79は、塩化物を自動で排出する機構を有していてもよい。殺菌装置76は、塩化物保管部79内の塩化物の量を調整する塩化物調整手段99を備えていてもよい。塩化物調整手段99は、塩化物保管部79に保管されている塩化物を、一定量、貯留部に搬送してもよい。塩化物調整手段99は、例えば、貯留部内の殺菌液の量が少ない場合に、塩化物保管部79から、塩化物を、一定量、貯留部に搬送してもよい。塩化物調整手段99は、例えば、貯留部内の殺菌液の濃度が、所定の値よりも低い場合に、塩化物保管部79から、塩化物を、一定量、貯留部に搬送してもよい。塩化物調整手段99は、例えば、貯留部内の殺菌液のpHが、所定の値よりも高い場合に、塩化物保管部79から、塩化物を、一定量、貯留部に搬送してもよい。
塩化物保管部79は、粒状の塩化物を保管してもよい。以下に、塩化物の粒が小さい場合の塩化物調整手段99の例を記載する。塩化物の粒が小さい場合とは、例えば、粒の径が最大になる方向についての長さが、5mm未満の場合であり、より好ましくは3mm以下の場合であり、さらに好ましくは1mm以下の場合である。このような小さい粒の場合、塩化物調整手段99は、塩化物の複数個の粒をまとめて貯留部に供給する。塩化物調整手段99は、例えば、開閉弁と、塩化物量検知手段100とを備えてもよい。開閉弁は、典型的には、電磁弁により構成される。開閉弁を開くと、高低差により、塩化物が、塩化物保管部79から貯留部に搬送される。
塩化物量検知手段100は、塩化物保管部79の中の塩化物の量を検知してもよい。塩化物量検知手段100は、塩化物保管部79から貯留部に搬送された塩化物の量を検知してもよい。塩化物量検知手段100は、例えば、塩化物を含む塩化物保管部79の重さの変化により、塩化物保管部79から貯留部に搬送された塩化物の量を検知してもよい。手乾燥システム75は、塩化物量検知手段100の検知結果に基づき、開閉弁の開閉動作を調整する。なお、手乾燥システム75は、塩化物量検知手段100に代えて、貯留部に設けられた濃度検知手段94の検知結果に応じて、開閉弁を調整してもよい。
以下に、塩化物の粒が大きい場合の塩化物調整手段99の例を記載する。塩化物の粒が大きい場合とは、例えば、粒の径が最大になる方向についての長さが5mm以上の場合である。このような大きな粒の場合、塩化物調整手段99は、塩化物の粒を、1粒ずつ、貯留部に供給することが好ましい。なお、本開示では、粒の径が最大になる方向についての長さが5mm以上の場合においても、塩化物調整手段99は、塩化物の複数個の粒をまとめて貯留部に供給してもよい。
図55及び図56は、実施の形態16による手乾燥システム75が備える塩化物保管部79の一例を示す斜視図である。図57は、図56に示す塩化物保管部79の上面図である。図58は、図56に示す塩化物保管部79の側面図である。
以下、図55から図58に示す塩化物保管部79について説明する。図示の塩化物保管部79は、大きな粒の塩化物を1粒ずつ貯留部に搬送することに適した塩化物調整手段99を有する。塩化物保管部79の塩化物調整手段99は、例えば、回転部80と、電動機と、閉鎖部81と、排出口82と、壁83とを備える。図56から図58は、壁83が除去された状態を示す。
電動機は、回転部80を回転させるためのものである。図55から図58では、電動機の図示が省略されている。電動機は、回転部80を、所定の回転量、回転させる。電動機は、ギアを備えてもよい。電動機は、例えば、ステッピングモータでもよい。例えば、閉鎖部81の内部、あるいは閉鎖部81の下方に、電動機が設置されてもよい。
閉鎖部81は、塩化物保管部79のうち、低い位置にある部分に相当する。排出口82は、塩化物保管部79の下部に設けられた穴である。排出口82の内径は、塩化物の粒の外径よりも大きい。排出口82は、第二供給経路または貯留部につながる。排出口82から搬送された塩化物は、貯留部に流入する。排出口82は、塩化物保管部79の下部に設けられた開口、または閉鎖部81に設けられた開口、に相当する。壁83は、塩化物が塩化物調整手段99の外側に漏れないようにするためのものである。
回転部80は、外枠84と、軸部85と、ギア86と、仕切部87と、間隙88とを備える。軸部85は、回転部80の回転中心にあるシャフトに相当する。回転部80のギア86の中心軸は、軸部85の中心軸に一致する。回転部80のギア86は、電動機のギアと噛み合う。電動機のギアの回転が、ギア86により回転部80に伝達し、回転部80が回転する。
外枠84は、軸部85から、回転部80の半径方向に、離れた位置にある。仕切部87は、外枠84と軸部85との間をつなぐ。軸部85に平行な方向から見て、外枠84の形状は、例えば円形である。図示の例では、複数の仕切部87が、軸部85を中心とする放射状に、設けられている。外枠84と軸部85と仕切部87とにより、複数の間隙88が形成される。複数の仕切部87は、回転部80の周方向の位置に関して、等間隔に配置されていることが好ましい。これにより、互いに等しい形状の複数の間隙88を形成することが可能となる。
仕切部87の個数、及び、間隙88の個数は、例えば、2個から8個程度でもよいし、より好ましくは、4個から6個程度でもよい。一つの間隙88は、塩化物が1粒入る空間を有する。塩化物の粒のサイズに応じて、仕切部87の数は、適宜設定されてよい。塩化物の粒は、ある程度、外形のばらつきが少ないことが望ましい。
外枠84の下部は、閉鎖部81の上面に向かい合う。外枠84の内側、かつ外枠84の下側、かつ軸部85の外側に相当する位置に、排出口82が設けられている。図示の例において、軸部85に平行な方向から見て、排出口82の形状は、円形である。軸部85に平行な方向から見て、排出口82の面積は、間隙88の面積よりも小さいことが望ましい。軸部85に平行な方向から見て、排出口82に間隙88が重なった場合に、排出口82が間隙88に完全に包囲されるサイズを排出口82が有していてもよい。
粒状の塩化物が第二受入口から塩化物保管部79に供給されると、粒状の塩化物が自由落下し、それぞれの間隙88に、塩化物が1粒ずつ配置される。間隙88の数よりも塩化物の粒の数が多い場合には、塩化物の粒が、仕切部87の上に積み重なったり、間隙88に配置された塩化物の粒の上に積み重なったりする。
電動機の駆動により回転部80が回転すると、いずれかの間隙88が排出口82の上に重なる。間隙88の内寸と、排出口82の内寸とは、塩化物の粒の外寸よりも大きい。このため、排出口82の上に重なった間隙88に配置されていた塩化物の粒は、排出口82を通過し、貯留部に搬送される。このように、電動機による回転部80の回転量を調整することで、貯留部への塩化物の搬送量を調整することができる。
ある特定の間隙88が排出口82の上方に位置し、当該特定の間隙88内の塩化物が排出口82から排出された後、回転部80が1回転して、当該特定の間隙88が再び排出口82の上方に至るまでの間には、その他の間隙88に配置された塩化物が排出口82から排出される。したがって、回転部80が1回転する間に、当該特定の間隙88に、再び塩化物が入ればよい。それゆえ、間隙88内に塩化物がない可能性が極めて低い。
手乾燥システム75は、塩化物量検知手段100の検知結果に応じて、電動機による回転量を調整することにより、貯留部への塩化物の供給量を自動で調整してもよい。あるいは、手乾燥システム75は、塩化物量検知手段100に代えて、貯留部に設けられた濃度検知手段94の検知結果に応じて、電動機による回転量を調整することにより、貯留部への塩化物の供給量を自動で調整してもよい。
図55に示すように、壁83は、外枠84の外側に設けられている。壁83の一部は、回転部80の外周面に隣接している。壁83の上端は、外枠84の上端よりも高い位置にある。このような壁83が設けられているので、回転部80の回転により、塩化物が動いた場合でも、塩化物が外枠84の外に散らばってしまうことがない。
回転部80は、整頓部89をさらに備えていてもよい。整頓部89は、外枠84の上方、または仕切部87の上方、または間隙88の上方に、配置される。整頓部89は、回転部80と一体となって回転する。整頓部89は、例えば、軸部85から外周方向に向かって突出する。整頓部89は、例えば、棒状または板状の形状を有する。複数の整頓部89が回転部80に設けられていてもよい。整頓部89の数は、仕切部87の数よりも少なくてもよい。整頓部89を設けることで、間隙88に、塩化物が1粒ずつ、より確実に入りやすくなる。塩化物保管部79に塩化物が大量に供給されると、塩化物が間隙88に入らず、間隙88の上方で塩化物が詰まってしまう可能性がある。整頓部89が回転部80とともに回転すると、塩化物保管部79内の塩化物が、整頓部89により、かき混ぜられる。その結果、スムーズに間隙88に塩化物が収納される。整頓部89の、形状、寸法、個数などの仕様は、間隙88に適切に塩化物が入るように、適宜調整されてよい。これにより、間隙88に塩化物が入る確実性がさらに高まる。
塩化物調整手段99は、侵入防止部90と侵入防止支持部91とをさらに備えていてもよい。複数の侵入防止部90が設けられていてもよい。侵入防止部90は、排出口82の上方に配置される。侵入防止部90は、上面視にて、排出口82の少なくとも一部を覆うように設けられる。侵入防止部90は、排出口82に、一度に複数個の塩化物の粒が侵入することを防ぐためのものである。侵入防止部90は、塩化物が、侵入防止部90の上方から排出口82に侵入することを防ぐためのものである。
侵入防止部90は、仕切部87の上方に位置する。侵入防止部90は、間隙88の上方に位置する。侵入防止部90は、回転部80とは別の部材として設けられる。すなわち、回転部80が回転しても侵入防止部90は回転しない。
侵入防止部90は、整頓部89よりも下方に設けられる。回転部80が回転したとき、外枠84、軸部85、間隙88、仕切部87、及び整頓部89に、侵入防止部90が接触しないことが望ましい。侵入防止部90は、棒状の部材でもよいし、板状の部材でもよいし、バネのような弾性体でもよい。
侵入防止部90は、間隙88の上方に位置した塩化物、すなわち、間隙88に配置された塩化物の上に重なるように位置した塩化物、が排出口82の上方の位置に回転移動することを阻害してもよい。侵入防止部90は、間隙88の上方に位置した塩化物、すなわち、間隙88に配置された塩化物の上に重なるように位置した塩化物、を侵入防止部90の上方に移動させるような形状を有していてもよい。
侵入防止部90を設けることで、排出口82の上方かつ侵入防止部90の下方に位置する塩化物の粒の数は、最大で1つに制限される。これにより、2個以上の塩化物の粒が排出口82から一度に排出されることをより確実に防止できる。
適切な量の塩化物が塩化物保管部79に保管された状態で、間隙88に確実に塩化物が位置するように、適宜、寸法等が調整されていれば、塩化物が排出される量は、電動機のギアの回転量に比例する。このため、殺菌装置76は、塩化物量検知手段100及び液量検知手段93を備えていなくても、塩化物保管部79からの塩化物の排出量を高い精度で調整することができる。
侵入防止部90の形状は、侵入防止部90の上に、塩化物が安定して乗ることがない形状であることが好ましい。塩化物が侵入防止部90の上に安定して乗ることができると、間隙88に塩化物が入るスペースがある場合にも、塩化物が間隙88に入らない可能性がある。それゆえ、塩化物保管部79に塩化物を供給する頻度が増える可能性がある。このような観点から、侵入防止部90の形状は、円筒形状、あるいは、侵入防止部90の上面が傾斜した形状であることが好ましい。これにより、塩化物が侵入防止部90の上に安定して乗ることがなくなる。侵入防止部90が、バネなどの弾性体である場合には、塩化物が侵入防止部90の上に乗ろうとした際に、侵入防止部90に、たわみ、あるいは揺れ等が発生する。このため、塩化物が侵入防止部90の上に安定して乗りにくいので、好ましい。また、侵入防止部90が、コイルバネのような弾性体である場合は、侵入防止部90が螺旋形状を呈しているため、塩化物が侵入防止部90の上に乗りづらく、好ましい。
侵入防止部90が弾性体の場合において、例えば、上方から塩化物が侵入防止部90に接触したときに、侵入防止部90が多少変形するが、排出口82に塩化物が入るほどには侵入防止部90が変形しない程度の剛性を侵入防止部90が有していることが望ましい。
または、侵入防止部90が弾性体の場合において、例えば、上方から塩化物が侵入防止部90に接触したときに、侵入防止部90が変形するが、下方に配置された仕切部87に侵入防止部90が支えられて侵入防止部90の変形が抑制されることで、排出口82に塩化物が入らなくなるように、侵入防止部90の剛性及び位置関係が設定されていてもよい。
また、侵入防止部90が弾性体であれば、間隙88に配置された塩化物が積み重なっていたときに、塩化物の中心が弾性体よりも下側にあれば、弾性体が塩化物を下側に付勢し、塩化物の中心が弾性体よりも上側にあれば、弾性体が塩化物を上側に付勢する。つまり、間隙88に正しく配置されている塩化物は排出口82に排出され、間隙88に正しく配置された塩化物の上に積み重なっていた塩化物は、間隙88に正しく配置されるまで、排出口82に排出されない構造となっていてもよい。
侵入防止支持部91は、侵入防止部90を支持するためのものである。図55に示すように、侵入防止部90は、例えば、壁83の外側に設けられる。この場合、壁83に形成された穴に、侵入防止部90が設置されるか、侵入防止部90が入るか、侵入防止部90が挿入される。あるいは、侵入防止部90と壁83が一体になっていてもよい。なお、侵入防止部90の上に乗った塩化物を整頓部89が落とせるように、整頓部89の形状と侵入防止部90の形状とは、適宜調整されたものであってもよい。
以上説明したように、殺菌装置76は、供給される水と、当該水とは別に供給される塩化物とから、塩化物水溶液を生成し、その塩化物水溶液を電気分解することにより、殺菌液となる電解水を生成するものでもよい。このように、殺菌装置76が殺菌液を生成できるので、管理者が殺菌液を容易する必要がないという利点がある。
本開示では、ドレンタンク9に溜まった液体を「ドレン水」と称することがある。ドレン水は、手に付着していた水滴、あるいは、殺菌液が、排水口8を通って、ドレンタンク9に流入したものである。手乾燥システム75は、ドレンタンク9に溜まったドレン水を検知するドレン水検知手段98を備えていてもよい。
ドレン水検知手段98は、ドレンタンク9内のドレン水の量が、所定の閾値に達したこと、あるいは、当該閾値を超えたこと、を検知してもよい。ドレン水検知手段98は、ドレンタンク9に所定の量のドレン水が溜まったことを直接的または間接的に検知してもよい。「直接的に検知する」とは、例えば、ドレン水検知手段98がドレンタンク9に溜まったドレン水の量、すなわち、ドレン水の体積、を検知することである。「間接的に検知する」とは、例えば、ドレン水検知手段98が、ドレンタンク9の重さ、あるいは、ドレンタンク9に溜まったドレン水の重さ、が所定の重さ以上になったことを検知することである。「間接的に検知する」とは、例えば、液体に接触したことを検知するセンサが、所定の時間以上、液体との接触を検知することである。この所定の時間は、揺れによる誤検知を防ぐため、例えば1秒間以上の時間が好ましい。このように、ドレン水検知手段98は、ドレンタンク9に溜まった液体の量、液体の液位、液体の重さ等を検知してもよい。また、ドレン水検知手段98は、重さ、距離、信号の有無、信号の受信の有無等を検知してもよい。
手乾燥システム75は、ドレン水検知手段98の検知結果を報知するドレン水報知部を備えていてもよい。例えば、表示部4がドレン水報知部に相当してもよいし、後述する端末103がドレン水報知部に相当してもよい。一般的な手乾燥装置であれば、定期的な手乾燥装置の手入れとして、例えば、1日に1回あるいは週に1回など、使用頻度に応じた清掃をしていれば、ドレンタンク9からドレン水が溢れることはない。しかし、殺菌装置76を備えた手乾燥システム75においては、手から除去された水に加えて、殺菌装置76から排出された殺菌液の一部も、排水口8からドレンタンク9に流入する可能性がある。これにより、通常の手乾燥装置よりも早く、ドレンタンク9にドレン水が溜まる可能性がある。その結果、ドレンタンク9が満タンになってしまう可能性がある。ドレン水検知手段98により、ドレン水を検知し、ドレン水報知部により、管理者に報知することで、ドレン水がドレンタンク9に溜まり過ぎること、及び、ドレン水が溢れることを防止することができる。これにより、管理者は適切に手乾燥システム75を管理することができる。
なお、手乾燥装置の排水口8をドレンタンク9に接続することに代えて、排水口8が下水の流路につながるように構成されていてもよい。これにより、殺菌装置76から排出された殺菌液、及び、手から除去された水は、排水口8から、そのまま下水へ流される。このため、手乾燥装置を設置する場所で、多量の殺菌液を使用することができる。例えば、安全性は高いが殺菌力が低い殺菌液でも、多量に使用することで、衛生性を高めることができる。
液量検知手段93、水量検知手段96、ドレン水検知手段98、及び塩化物量検知手段100のそれぞれは、対象物の量が、所定の閾値に達したこと、あるいは、所定の閾値を超えたことを、直接的または間接的に、検知する。これらの検知手段は、対象物の量自体を検知するものに限定されない。これらの検知手段は、対象物の量を、いかなる原理で検知してもよい。「間接的に検知する」とは、例えば、量を直接検知せずに、量とは異なる指標あるいは値から、換算、試算、推定、または概算をすることで、量を検知することに相当する。これらの検知手段は、特定の対象の、重さ、距離、変化量、信号の有無、信号の受信の有無、など、いかなるものを検知して、対象物を検知してもよい。これらの検知手段は、例えば、ロードセル、あるいは、スプリングの変位、により検知するものであってもよい。塩化物量検知手段100は塩化物検知部と称されるものであってもよいし、液量検知手段93は液検知部と称されるものであってもよいし、水量検知手段96は水検知部と称されるものであってもよい。
本開示による手乾燥システムは、複数台の手乾燥装置を含み、それら複数台の手乾燥装置が連携するように構成されたものでもよい。例えば、手乾燥システム75は、個々の手乾燥装置における、UV照射装置23の照射時間、あるいは殺菌装置76が殺菌液を噴霧した時間などから、個々の手乾燥装置の手挿入部3の衛生状態を個別に判断してもよい。複数台の手乾燥装置のそれぞれが制御部22を備え、それぞれの手乾燥装置の制御部22が、相互に通信するように構成してもよい。あるいは、一つの制御部22が、複数台の手乾燥装置の動作を制御するように構成してもよい。
複数台の手乾燥装置の制御部22が、個々の手乾燥装置の手挿入部3の衛生状態に関する情報を共有してもよい。または、個々の手乾燥装置の手挿入部3の衛生状態に関する情報を、後述する端末103に集約するように構成してもよい。この場合、端末103が、手挿入部3の衛生状態を分析した結果に関する情報を、個々の手乾燥装置に送信してもよい。上記のようにすることで、複数台の手乾燥装置のうち、現在の衛生状態が最も良好であるものを判別したり、現在の衛生状態が良好な複数台の手乾燥装置を判別することが可能となる。
どの手乾燥装置が、現在の衛生状態が良好な1つまたは複数の手乾燥装置に相当するかを、前述した衛生状態報知手段により、報知してもよい。また、手乾燥システム75は、手乾燥装置が配置された空間に配置されたモニターまたはディスプレイを、衛生状態報知手段として用いて、現在の衛生状態が良好な手乾燥装置がどれであるかを報知してもよい。これにより、ユーザは、現在の衛生状態が良好な手乾燥装置がどれかを容易に把握することができるので、現在の衛生状態が良好な手乾燥装置を選んで使うことができる。それゆえ、衛生性が高まる。
複数台の手乾燥装置を連携させる手乾燥システムは、すべての手乾燥装置のUV照射装置23が同時に紫外線を照射することのないように、各手乾燥装置のUV照射装置23の動作タイミングを制御してもよい。例えば、複数台の手乾燥装置を連携させる手乾燥システムは、複数台の手乾燥装置のうちに、UV照射装置23から紫外線を照射中である手乾燥装置が存在する場合には、他の少なくとも1台の手乾燥装置のUV照射装置23から紫外線を照射しないように制御してもよい。これにより、すべての手乾燥装置が同時に使用できなくなる事象が発生することを防止できるので、ユーザにとって利便性が向上する。
本開示では、手乾燥装置、手乾燥システム、あるいは殺菌装置76を、管理したり、あるいはメンテナンスしたりする、人、業者、会社等を、単に、「管理者」と表記する場合がある。本開示において、手乾燥システム75または手乾燥装置は、管理者が使用する端末103と通信することにより、端末103と連携してもよい。端末103は、データあるいは情報を表示するためのディスプレイを有していてもよい。端末103は、管理者に相当する人が操作可能な操作部を有していてもよい。管理者に相当する人が端末103を操作することで、手乾燥装置あるいは殺菌装置76に対して、情報を外部入力することで、手乾燥装置あるいは殺菌装置76の、操作または制御を行うことができるように構成されていてもよい。
端末103は、例えば、スマートフォンまたはタブレット等の携帯型端末により構成されていてもよいし、パーソナルコンピュータのディスプレイとして構成されていてもよい。端末103は、手乾燥装置に対して、取り外し自在に設置できるものであってもよい。
以下の説明では、塩化物量検知手段100、液量検知手段93、水量検知手段96、ドレン水検知手段98、pH検知手段95、濃度検知手段94、あるいは、その他の検知手段の検知結果、その他の測定部の測定結果、手挿入部3の衛生状態に関連する情報、殺菌工程または乾燥工程における強制終了のタイミングのデータ、UV照射装置23に関連する情報、手乾燥装置に関連する情報、殺菌装置76に関連する情報を、総称して、「各種データ」と呼ぶことがある。端末103は、各種データのうちの少なくとも一つに相当するデータあるいは情報をディスプレイに表示してもよい。
殺菌工程または乾燥工程における強制終了のタイミングのデータとは、どのタイミングで手挿入部3から手が抜かれたかについてのデータである。UV照射装置23に関連する情報とは、例えば、光源24の通算点灯時間、1時間毎の光源24の点灯時間、日毎の光源24の点灯時間、月毎の光源24の点灯時間、年毎の光源24の点灯時間のうちの少なくとも一つの情報を含んでいてもよい。
端末103は、各種データを、通信インターフェース装置を介して取得し、ディスプレイに表示してもよい。端末103は、各種データを、定期的に取得してもよい。この「定期的」とは、1秒以内の間隔等のごく短い間隔を含みうる。
例えば、手乾燥装置または殺菌装置76は、各種データを、通信インターフェース装置を介して、外部の端末103に送信し、端末103のディスプレイに表示させることができる。これにより、例えば、手乾燥装置あるいは殺菌装置76を管理する管理者等の第三者が、手乾燥装置を含む部屋等の空間の外部からでも、手乾燥装置あるいは殺菌装置76に関する、各種データを確認することが可能となる。
端末103は、複数台の手乾燥装置、または複数台の殺菌装置76についての、各種データを取得または確認することが可能である。また、複数台の手乾燥装置、または複数台の殺菌装置76についての、各種データを取得または確認することが可能な端末103が、複数台、設けられていてもよい。上記のようにすることで、各種データを管理及び活用しやすい。
上記の例において、管理者は、必要に応じて、主体的に、端末103のディスプレイを確認することで、各種データを把握することができる。このような例に限らず、手乾燥システム75は、各種データに関する情報を、端末103により、管理者に、より確実に通知するための通知手段を有していてもよい。通知手段は、各種データのいずれかの値が、所定の閾値に達するか、所定の閾値を超えるか、所定の閾値を下回った際に、管理者に通知してもよい。通知手段は、端末103が発生させる、音、振動、表示、光などのうちの、1つを用いるか、2以上を複合して用いることにより、管理者に通知してもよい。例えば、UV照射装置23の光源24の通算点灯時間が、所定の時間を超えた場合に、端末103は、通知手段により管理者に通知してもよい。手乾燥装置または殺菌装置76から通知情報を発信し、その通知情報を端末103が受信し、通知手段が通知してもよい。あるいは、手乾燥装置または殺菌装置76から端末103が各種データを受信し、その受信した各種データから端末103が判断した結果に応じて、通知手段が通知してもよい。
手乾燥装置または殺菌装置76は、外部からの入力を受け付ける受信部を備えていてもよい。受信部は、外部入力を受付ける外部入力受付部を備える。受信部は、例えば既存技術により、外部からの入力を受け付ける。例えば、その入力を受信する方法は、無線、赤外線、センサ等を用いたものでもよい。例えば、手乾燥装置または殺菌装置76は、受信部の外部入力受付部が外部からの入力を受け付けることにより、電解水生成手段92のスイッチのオン/オフの切替、連続運転切替部のオン/オフ、検知切替手段のオン/オフ、すなわち手検知部21あるいは人検知手段のセンシング機能のオン/オフ、塩化物保管部79から貯留部への塩化物の供給と供給停止の切替、送風機10の運転の切替、前述した各種の検知部による検知を行ってもよい。このような構成によれば、外部入力によって、手乾燥装置または殺菌装置76の種々の動作を制御することができる。
また、端末103は、複数の手乾燥装置、または複数の殺菌装置76に対して、外部入力し、複数の手乾燥装置、または複数の殺菌装置76の、外部入力受付部が、外部からの入力を受け付けることもできる。これにより、複数の手乾燥装置または複数の殺菌装置76の扱いがしやすい。
また、端末103が取得した各種データに基づいて、自動で、手乾燥装置または殺菌装置76に外部入力を実施し、手乾燥装置または殺菌装置76の外部入力受付部が外部からの入力を受け付けてもよい。
また、端末103が取得した、複数の手乾燥装置、または複数の殺菌装置76の、各種データに基づいて、自動で、複数の手乾燥装置、または複数の殺菌装置76に外部入力を実施し、複数の手乾燥装置、または複数の殺菌装置76の外部入力受付部が外部からの入力を受け付けてもよい。
上記のようにすることで、例えば、複数の手乾燥装置が配置された空間がある場合に、UV照射装置23あるいは殺菌装置76の駆動により、より衛生性が高い手乾燥装置の方に、ユーザを誘導してもよい。例えば、最後に手乾燥装置が使用されてから経過した時間が長く、衛生性が高い方の手乾燥装置に、ユーザを誘導してもよい。ユーザを誘導する方法として、衛生性が高い方の手乾燥装置の表示部4に、衛生性が高いことがユーザに理解できる表示を出力してもよい。また、複数の手乾燥装置がある空間に設置された、ディスプレイまたはモニター等に、どの手乾燥装置を使えばよいかを表示してもよい。ディスプレイまたはモニター等は、受信部を備える。ディスプレイまたはモニター等は、端末103から自動で送られる情報に応じて、上述した表示内容を表示することが可能である。
手乾燥装置または殺菌装置76の各機能は、処理回路により達成されてもよい。例えば、各検知手段により取得したデータを端末103に表示させる制御を行うための処理回路が備えられてもよい。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)を備えたものであってもよい。
なお、上述した複数の実施の形態のうち、組み合わせることが可能な二つ以上を組み合わせて実施してもよい。